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博 士 ( 工 学 ) 山 崎 博 之

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 山 崎 博 之

学 位 論 文 題 名

P AIVI 方 式 極 数 切 換 誘 導電 動 機 の 解析 法 に 関 する 研 究

学 位 論 文 内容 の 要 旨

  化石燃料の大量消費に伴う地球の温暖化現象に見られるように、地球環境の保全が世界的 な問題になっている。地球環境の保全のためには、クリーンな新エネルギーの開発とともに、

各方面における一層のエネルギー効率の向上をはからなければならない。産業界においても、

消費電カの約6割をしめる風水力機械(ポンプ、プロワなど)の省エネルギー駆動が問題と なっている。

  この問題の解決法としては、電動機の可変速駆動が最も効果があり、連続的な速度制御が 必要な場合はインバータによる誘導電動機の一次周波数制御やサイリスタモ一夕などが使用 されている。一方、連続的な速度制御を必要としない場合や運転パターンによっては段階的 な速 度制 御で 十分な場合は、極数切換誘導電動機 で十分であり、PAM(Pole Amplitude Modulation:磁極振幅変調)方式極数切換誘導電動機の風水力機械の駆動への適用が注目さ れて来ている。

  PAM方 式極 数切換誘 導電動機は、単ー巻線によって1:2以外の極数比が得ら れ、二重 巻線方式と比べると電動機の寸法を小さく設計できる。また、Y、△のいずれの結線も選べ るので、負荷の特性を考慮した設計が容易である。しかも、インバー、夕駆動方式に比べて数 分 の ー の 価格 で、 シス テム の値 段が 非 常に 安価 であ る等 とい う特 徴を 持っ てい る。

  しかし、PAM方式極数切換 誘導電動機は起磁力高調波の影響が大きく、高調波トルクを 発生 しや すい 、また、磁気騒音も大きいなどの問 題点がある。現在、数千kWのPAM方式 極数切換誘導電動機が製作されているが、理論的な検討はなされておらず、これらの問題点 を解決するためには、どのように設計すべきかという設計上の問題が依然残されており、現 在は経験に頼っている状態である。また、PAM方式極数切換誘導電動機の特性算定法も明 らかになっていない。

  PAM方式極数切換の原理は 、例えば8極の起磁カを磁極 振幅変調すると、起磁力分布に は奇数次の高調波起磁カが含まれるようになり、第3次高調波を残して第5次高調波を消す と6極の 誘導 電動機と して動作し、逆に、第5次高 調波を残し第3次高調波を消 すと10極 の誘導電動機として動作するものである。PAM方式極数切換誘導電動機は、磁極振幅変調 のとき消去されずに残された高調波起磁カの影響が無視できず、高調波トルクや磁気騒音の 発生原因となる。このようにPAM方式極数切換誘導電動機の解析法は、一般的な三相誘導 電動機では無視されている空間高調波を取り扱わなければならないという難しさがある。

  本 論文 は、PAM方式 極数 切 換誘 導電 動機の解析 法について述べている。PAM方式極数 切換誘導電動機の変調方法は、一般的にいえば、一相の直列コイル群を二分割し一方の極性 を反転する方法が用いられる。6の倍数極を含まない極数切換え(例えば8極から10極へ の切換え)の場合は、各相の変調波の変調端とコイル端が一致するので切換方法は単純であ る。しかし、6の倍数極を含む極数切換え(例えば8極から6極への極数切換え)の場合は、

b相とc相の変調端とコイル端が一致せず、複雑な変調方法となる。すなわち、一相の直列 コイルを巻数が1/3と2/3のコイルに分割し、その各々 を異なる変調波で変調する方法

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が用いられる。

  本論 文では 、8極 から6極ヘ切 換える場 合を例 にPAM方 式極数切換誘導電動機のインダ クタ ンス行 列の計算 法を明ら かにし た。すな わち、PAM方式 によって8極から6極へ切換 える 誘導電 動機の固 定子巻線 は、一相あたり16個のコイルが直列に接続され、三相では 48個の コイル が存在す る。こ のコイル間の接続を一旦切り離し、固定子には48個の独立 したコイル、回転子は回転子スロット数に等しい相数のコイルが存在するときのインダクタ ンス 行列を 求め、接 続行列に よる変 換によっ て8極から6極ヘ切換えた場合のPAM方式極 数切換誘導電動機のインダクタンス行列を求める方法を提案し、設計上重要なConnection factor、分布係数、短節係数および巻線係数を求めた。

  その 結果、PAM方式 によっ て8極 から6極へ切 換えた場 合の誘導電動機は、固定子巻線 の巻 線軸が非対称な誘導電動機として解析できることが明らかとなった。また、PAM方式 によ って8極から6極へ切換えた場合、第3次高調波起磁カによる逆相分磁界によって回転 し、 電動機 領域に第13次高調 波非同期トルク、制動機領域に第11次高調波非同期トルク が顕著に表われることが明らかとなった。さらに、巻線係数の検討から、第11次および第 13次高 調波非 同期トル クを防 止するに は、機械 角で8/24の長節巻を施せばよいことが 明らかとなった。

  ここでは、8極から6極ヘ切換える場合を例にインダクタンス行列の計算法を述べている が、このインダクタンス行列の計算法は他の極数切換える場合(例えば6極から8極切換え)

にも適用できる一般的な方法である。

  本 論文で は第2に、PAM方式に よって8極から6極 へ切換え た場合 の誘導電 動機のト ル クの 計算法 を明らか にした。 すなわ ち、PAM方式に よって8極から6極へ切換えた場合の 誘導電動機のインダクタンス行列を対称座標軸変換し、対称軸上の電圧方程式を導き、トル クの一般式を求めた。トルクの一般式から高調波非同期トルクを計算し、実験値と比較した ところ良く一致し、本解析法の妥当性が明らかとなった。また、回転時同期および始動時同 期トルクの一般式から、始動時および回転時同期トルクが大きくなる固定子ス口ット数と回 転子スロット数の組み合わせを検討することが可能であり、同期クローリングなど設計上避 け な け れ ば な ら な い ス ロ ッ 卜 数 の 組 み 合 わ せ を 検 討 す る こ と を 可 能 と し た 。   本論 文 で は第3に 、PAM方 式によ って8極から10極ヘ切換 えた場 合の誘導 電動機の 等 価 回路によ る特性 算定法を 提案し ている。PAM方 式によっ て8極 から10極 へ切換え る場 合は 、PAM方式によ って8極から6極ヘ 切換える 場合の 特殊な例であり、第1次、第7次、

第13次 . . .高 調 波 起磁 力 [ (6h十1)次 高 調 波起 磁 力、h≧0]は 正相分磁 界、第5 次 、 第11次 ・・ ・ 高 調波 起 磁 力[(6h十5)次高 調波起磁 力]は逆 相分磁 界となる 。こ のような回転磁界を持つ誘導亀動機の等価回路は、各高調波に対応した等価回路を電気的に 直列に、機械的には共通のシャフ卜に接続されたモデルで表わすことができることおよび等 価回路定数の算定法を明らかにした。さらに、一般的な誘導電動機の設計では、設計寸法か ら漏れりアクタンス・巻線抵抗・励磁リアクタンス等を算定し、等価回路法や円線図法によ って特性を算定することを考慮し、一般的な誘導電動機である8極の、T形等価回路定数から PAM方式に よって10極へ切換えた場合の等価回路定数を算定する計算法を提案している。

等価回路に基づき出力特性および速度トルク特性を算定した結果は実験値と良く一致し、本 論 文 で 提 案 し て い る 等 価 回 路 に よ っ て 、 精 度 の 高 い 特 性 算 定 が 可 能 と な っ た 。

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学位論文審査の要旨 主 査 ′ 教 授    土 谷 武 士 副 査    教 授    大 西 利 只 副査    教授    長谷川    浮

学 位 論 文 題 名

PAM 方 式 極 数 切 換 誘 導 電 動 機 の 解 析 法 に 関 す る 研 究

  風 水力 機器 の 省エ ネルギー駆動法としては速度を制御する方法が最も効 果がある。連続的 な制 御を 必要 と しな い場合や運転バターンによっては段階的な速度制御で 十分な場合は、極 数 切 換 誘 導 電動 機で 十分 であ り、PAM(Pole Amplitude Modulation:磁 極振 幅変 調 )方 式 極数 切換 誘導 電 動機 が注 目さ れて いる 。

  PAM方 式 極 数 切 換 誘 導 電 動 機 は 、 単 一 巻 線 で1:2以 外 の 極 数 比 が 得 ら れ る が 、 磁 極 振 幅変 調し たと き に消 去されずに残された起磁力高調波の影響が大きく、高 調波トルクや磁気 騒音 を発 生し 易 いと いう問題点がある。この影響をどのように避けるかが 設計上の大きな課 題と なっ てお り 、ま た、設計上重要な特性算定法も明らかになっていない 。これは、一般的 な誘 導電 動機 で は無 視されている空間高調波を取り扱わなければならなぃ という困難さがあ る た め で あ る。 本論 文は 、こ のよ うな 状況 にあ るPAM方式 極数 切換 誘導 電動 機の 解 析法 に つい て理 論的 に 研究 した もの であ る。

  本 論 文 で は 、8極 か ら6極 ヘ 切 換 え る 場 合 を 例 にPAM方 式 極 数 切 換誘 導電 動機 の イン ダ ク タ ン ス 行 列 の 計 算 法 を 明 ら か に し て い る 。 す な わ ち 、PAM方 式 によ って8極か ら6極 ヘ 切換 える 誘導 電 動機 の固 定子 巻線 は、 一相 あた り16個の コイ ルが 直列 に 接続され、三相で は48個 の コ イ ル が 存 在 す る 。 こ の コ イ ル間 の接 続を 一旦 切り 離し 、固 定子 には48個の 独 立し たコ イル 、 回転 子は回転子スロット数に等しい相数のコイルが存在す るときのインダク タン ス行 列を 求 め、 接続 行列 によ る変 換に よっ て8極 から6極 ヘ切 換え た 場合のインダクタ ンス 行列 を求 め る方 法を 提案 し、 設計 上、 高調 波ト ルク を防 止す る上 で 重要なConnection factor、 分布 係 数、 短節 係数 およ び巻 線係 数を 求め てい る。

  本 論 文 で は 第2に 、PAM方 式 に よ っ て8極 か ら6極 ヘ 切 換 え た 場 合 のPAM方 式 極 数 切 換誘 導電 動機 の トル クの計算法、および、回転時同期卜ルクを発生する高 調波次数の関係を 明ら かに して い る。 したがって、クローリングを防止するために設計上避 けなければならな いス ロッ ト数 の 組み 合わ せの 検討 を可 能と して いる 。

  本 論 文 で は 第3に 、PAM方 式 に よ っ て8極 か ら10極 ヘ 切 換 え た 場 合 の 誘 導 電 動 機 の 等 価回 路に よる 特 性算 定法を提案している。等価回路においては、二次回路 定数を一次側に換 算し なけ れば な らな いが、この二次側諸量の一次側への換算法および励磁 リアクタンスの計 算法 を明 らか に して いる 。さ らに 、一 般的 な誘 導電 動機 であ る8極 のと きのT形等価回路定 数 か らPAM方 式 に よ っ て10極 ヘ 切 換 え た 場 合 の 等 価 回 路 定 数 を 算 定す る実 用的 な 計算 法 を提 案し てい る 。こ れに より 、10極ヘ 切換 えた 場合 の速 度・ 卜ル ク特 性 および出力特性を 高。 、精 度で 算 定す るこ とを 可能 とし てい る。

  こ れ を 要 する に、 著者 は、PAM方 式極 数切 換誘 導電 動機 の解 析法 およ び特 性算 定 法に つ い て 新 知 見 を得 たも ので あり 、PAM方式 極数 切換 誘導 電動 機の 設計 法の 確立 、お よ び、 電 気機 器工 学の 発 展に 対し て貢 献す ると ころ 大な るも のが ある 。

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よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照