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博士(工学)末永誠一 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)末永誠一 学位論文題名

     酸 化 物 系 セ ラ ミ ッ ク 表 面 の 酸化還元反応に基づくナノ複合化の研究

学位論文内容の要旨

  MEMSに 代 表 さ れ る 次 世 代 デ バ イ ス の 高 機 能 化 ・ 高 集積 化の 流れ の中 で 、ナ ノス ケー ル の異     ・

材複合化技術は、近年ま すます重要となっている。中 でも、配線・電極用の金属部材と、絶縁・セン サー用のセラミッ クス部材との複合化技術は機 能の中心を担うことから、 高機能化・高集積化が不 可欠である。さらに、記 録媒体・触媒等でもこの高度 複合化技術が要求されており、ナノ′オーダー で制御する金属とセラミックスの複合化は、ナノテクノロジーを支える重要課題である。しかし、強度 と形状自由度を両立する ナノ複合化技術が存在しない のが現状である。

  本研究では、セ ラミックス基材と固相、液相 、気相間で進行する酸化・ 還元反応を利用した新し いナ ノ複 合化 技 術の 開発 を目 指し 、 複合 化に 最適 な界面状態を、反応生 成相の生成メカニズムと 微 構造 解析 に基 づ き提 案す る。 す なわ ち、 酸化 物基 材 の構 成元 素で ある 酸 素と 金属 元素 の 、還 元 に 伴 う 析 出 挙 動 に 着 目 し て 、 ナ ノ 複 合 材 料 の 解 析 を 行 い 、 新 規 合 成 法 を 示 し た 。   第1章 は、 活性 金属 と 還元 生成 物の 酸素 の 反応 を利 用し て、 バ ルク 異材 同士をナノオーダーで 複合化する手法を概説し 、本研究の目的を明確にした 。

  第2章 は、Ti―Ag−Cu薄膜 とAl203の固 相界 面反 応について述べた。そ の結果、薄膜内部では、

低 温 側 か らCu―Tiの 合 金 化 反 応が 優先 的に 進 行し 、高 温側 で は界 面に(Ti,Cu) 60相が 生 成す ることを見出した 。熱処理温度をパラメーター に界面反応挙動を調査し、 この反応層は、Cu―Ti系 金属間化合物の酸化反応 により生成する可能性が高い ことを示した。

  第3章 では 、(Ti,Cu) 60の生成メカニズム を明らかにすることを目的と し、Cu―Ti薄膜とAl203 系を 用い て(Tj,Cu) 60相の生成反応挙動を検 討した。これにより、第2章 で考察した、(Ti,Cu)6 O相はCu−Ti系金 属間 化 合物 と還 元生 成物 で ある 酸素 との 反応 に より 生じ るという界面反応モデ ルを 実証 した 。 また 、(Ti,Cu) 60相 を含 む 界面 近傍 層内 の、Tiの化 学結 合状態を分析し、界面 ではTiが酸化物状態から 金属状態ヘ連続して変化する ことを明らかにした。さらに、(Ti,Me) 60´ 相 に 着 目 し て(Me Cu,Mn,Fe,Co,Ni)、Ti−Me7Al203系 界 面 反 応 メ カ ニ ズ ム の 共 通 性 を 検証 する 目的 か ら、Ti―Ni7Al203系 にお ける 界面 反 応を 観察 し、(Ti,Ni) 60相の生成を確認し た 。こ れら の結 果 と、 熱力 学的 考 察に より 、Ti−Me7Al203系(Me ‑ニCu,Mn,Fe,Co,Ni)の界     ‑ 228―

(2)

面反応を共 通のモデルで説明できること を示した。

  第4章で は、Ti‑Ag‑Cu薄 膜フ ィラ ーとAl203と ナノ オ ーダ ーの 界面 反応 層 を利用 した接合・複 合 化手 法の 実用 性 を検 証す るた め に、 液相Ti−Ag―Cu薄膜とAl203の濡れ性の確認 し、薄膜層を

´ 介し たAl203とNbの接 合 実験 を行った。液相を介した 接合後の界面には、(Ti,Cu) 60層に加え て 、Ti0層 の 生 成 が 確 認 さ れ 、 こ れ ら2層 の 界 面 を 介 し て 、 高 い接 合強 度(20kgf7mm2)を達 成   できるこ とを示した。また、接合後の 界面には、Al203基板に対し てTi0層が高配向で成長してい る 事実 から 、還 元 生成 物が 基板 上 で高 温で 成長 する 場 合に は、 高配 向で 整 合性良 く成長する理 想的な界面 形態をとることを示した。

    第5章 では 、2章か ら4章の まと めを 、特 に 酸化 物基 材の還元生成物の反応挙動 の視点から述   べ、 酸化 物基 材 を構 成し てい る金属元素を利用した ナノ複合化手法である選択還 元法の可能性 を示した。

    第6章 では 、3価の 酸化 物を 微量 添 加し てMg0固 溶体 基材 の表 面 へNiナノ 粒子 を優 先 析出 さ   せる 新規の選択還元法に ついて述べた。特に、3価の 酸化物の添加効果をナノ組織 と熱天秤によ   る重量減 少との両面から示した。

  第7章で は、 新規 の選 択 還元 法をNiーCu合 金 のナ ノ粒 子の創製に拡張し、この方 法の応用性の   高さを示 した。さらに、表面金属ナノ粒子と固溶体基材との、界面の配向性、並びに整合性の点か   ら、ナノ 粒子の密着性の高さを示した 。最後に、この方法によりNi7Mg0系ナノ複合材料としてハ   ニカム形 状の多孔体一体型触媒を作成 し、メタンの炭酸ガス改質 実験から触媒部材としての実用   性を検証 した。

    以上、 本論文は、セラミックス基材 表面の酸化還元反応を利用 し、酸化物基材の構成元素であ   る酸素と 金属元素の還元に伴う析出反 応挙動を、特に反応層の微 構造解析から明らかにするとと   もに、こ れら基材構成元素を利用したニつのナノ複合材料とその新規合成法を提案した。まず、構   成酸 素を 利用 し た技 術に つい ては、特定の界面生成 相に着目し、他の合金系まで 拡張した界面   反応モデ ル、ならびに界面層を利用す るナノ複合材料を提案した 。っぎに、基材の構成金属を利   用し た技 術に つ いて は、 従来 からの選択還元法を改 良し、還元生成物の表面へ選 択析出ずる新   規選択還 元法を提案した。これらは、 いずれも新しい技術であり 、微小空間での異材複合化を可   能にする ことから工業的にも重要であ る。

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(3)

学位論文審査の要旨 主査    教授    大貫 惣明 副査    教授    成田 敏夫 副査   教授   市野瀬英喜 副査    教授    黒川 一哉

学 位 論 文 題 名

酸化物系セラミック表面の

酸化還元反応に基づくナノ複合化の研究

ナノスケールでの異材複合化技術は、次世代デバイスの高機能化や高集積化の要望から、ますます重 要となっている。特に、金属とセラミックスとの複合化は機能の中心を担い不可欠の技術である。さ らに、この高度複合化技術はナノテクノロジーの中でも重要課題であるが、ナノオーダーの微細さで 高強度と形状自由度を両立させる複合化技術は達成されていない。本研究はこの点に着目し、セラミ ックス基材と固相、液相、気相の間で進行する酸化・還元反応を利用した新しいナノ複合化技術の開 発を目指したものである。特に、還元生成物である酸素と金属の反応析出挙動に着目して、新しいナ ノ 複 合 材 料 と そ の 合 成 手 法 を 提 案 し た 。 そ の 主 要 な 成 果 は 次 の 点 に 纏 め ら れ る 。

くDTi―Ag−Cu薄 膜 とAl 203の 固 相 界 面 反 応 を 検 討 し た 結果 、 低温 ではCu―Ti合 金化 反     応が進行し、高温では(Ti,Cu)60相が生成することを見出した。ま た、この反応層がCu     ーTi系金属間化合物の酸化反応で生成す る可能性を指摘した。

◎Ti→Cu薄 膜 とAl 203系 の モ デ ル 実 験 か ら 生 成 反 応 挙 動 を 検 討し 、(Ti,Cu)60相はCu

―Ti系金属間化合物と還元生成物の酸素との反応から生成することを明らかにし、界面反応モデル を検証した。また、界面近傍層内でのTiの化学結合状態を分析し、界面ではTiが酸化物から金属 状態 ヘ連 続し て変 化す るこ とを 明 らか にし た。さらにTi―Ni7Al 203系の界面反応を観察結 果 と 熱 力 学 的 考 察 か ら 、Ti一Me7Al 203系(Me =Cu,Mn,Fe,Co,Ni) 界 面 反 応 を共通のモデルから説明した。

◎ 液 相Ti−Ag−Cu薄 膜とAl 203の 濡れ 性を 検討 する とと もに 、薄 膜層 を介 し たAl 203とN bの 接 合実 験を 行っ た。 液相 を介 した 接合 界面 で(Ti,Cu)60層とTi0層の 生成を確 認し、

20kg f/mm2と いう 高い 接合強 度が達成できることを示した。また、還元生成物が基板 上で成     ナ

長 す る と 、 高 配 向 で 整 合 性 の 良 い 理 想 的 な 界 面 形 態 を と る こ と を 明 ら か に し た 。

@これまでに報告されている選択還元法を改良し、3価の酸化物を微量添加からMg0固溶体の表面 へNiナッ′粒子を優先析出させる新しい選択還元法を提案し、これをナノ組織観察と熱天秤測定から 実証した。

    ‑ 230―

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◎新選択還元法をNiーCu合金ナノ粒子の製造に適用して、この方法の応用性を示した。また、金 属ナノ粒子と基材との配向性と整合性はきわめて高いことを示した。さらに新選択還元法をハニカム 形状の多孔体一体型触媒(モノリス触媒)製造ヘ適用し、メタンの炭酸ガス改質実験から触媒部材と しての実用性を検証した。

  冫

これを要するに、著者は、活性金属と酸化物セラミックス基材と水素の反応を微細構造解析から検討 し、基材の還元生成物の酸素と金属元素の析出反応挙動を明らかにするとともに、これを基にした新 しい合成手法を提案し、ナノ複合材料の製造に適用することに成功した。これは従来には無い新技術 であり、ナノ空間での異材複合化を可能にする点で工学的に重要であり、材料工学の発展に貢献する ところ大なるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格があるも のと認める。

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