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博士(工学)覚間誠一 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)覚間誠一 学位論文題名

チャネルスペクトルの高分解能レーザ分光に基づく      長さ測定法の研究

学位論文内容の要旨

  光波長を基準尺度とするレーザ干渉測長法は、各種の先端科学計測・工学生産技術分野に おける重要な基盤的技術のーっである。現在行われている干渉測長法の基本的原理は固定さ れた光波長もしくは合成波長との直接的な比較に基づぃているが、その精度、分解能は第一 に光波長もしくは合成波長の精度、第二に干渉次数の端数部測定の精度で制限される。

  一方、干渉現象をスペクトル領域で扱うと、干渉計は入力光のスベクトルを光路差で一意 に定まる周期を持つスベクトル、すなわちチャネルスペクトルに変換する作用を持っため、

動的、静的のいずれの場合でも長さの測定はチャネル隣接次数問の周波数間隔の測定へと単 純化される。ただしチャネルスベクトルの測定に多色光を用いても、分光器の持つ低い波長 測定精度、波長分解能のために次数間隔を精密に知ることはできず、さらには明瞭に分離し て測定できる最小チャネル間隔もまた分光器の分解能で決まるため、測定可能な長さの範囲 についても大きな制約を受けることは明らかである。

  そこでレーザの単色光をプローブ光として干渉計に入カし、その周波数を走査すると、原 子・分子の吸収スペクトルの高分解能分光測定と同様に、分光器では分解できないチャネル スペクトルの微細な構造を精密に決定することが可能となり、長さ測定のダイナミックレン ジと精度は大きく改善される。このときチャネル次数間の周波数間隔を正確に求めるには、

入カされたレーザ光の周波数変化量や周波数絶対値の精密な測定が不可欠であるが、ラジオ 波 領 域 で は 容 易 な 周 波 数 の 測 定 も 、 光 領 域 で は 非 常 に 困 難 な も の と な る 。   本論文は長さ、周波数の標準に対してトレーサブルな基準スベクトルを生成し、これらと の比較を行ってチャネル次数間隔を正確に測定する研究について述べたもので、以下のよう な8章から構成されている。

  第1章は序論で、本論文に関係する技術分野の背景、および本論文の目的と意義にっい て総括的に記述している。

  第2章では、本研究の全ての実験を通じて光源に使用されている半導体レーザの基本的 構 造 ・ 発 振 特 陸 、 お よ び そ の 駆 動 シ ス テ ム に つ い て 記 述 し て い る 。

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  第3章で は、 半導 体 レー ザの 周波 数走 査に より 得ら れる チャ ネルスペ クトルのパワース ベクトル中´己丶周波数 と周波数走査速度値の関係から長さを決定する方法について検討を行 い 、こ のう ち従 来か ら困 難と され てい る周波数走査速度の高精度測定を 実現する方法とし て、物体長さ標準から転 写された基準チャネルスペクトルを参照する手法を提案している。

  これ に加 え、 本方 法の 測定 分解 能に 影響を及ばすもうーつの技術的障 害である、半導体 レ ーザ の直 接変 調入 カに 対す る周 波数 変調応答の非線形陛の問題を、自 動制御系による変 調 電 流 波 形 の 実 時 間 補 正 を 行 っ て 解 決 で き る こ と を 明 ら か に し て い る 。   第4章で は、 周波 数 軸上 から 切り 出さ れる チャ ネル スベ クト ルの周波 数幅を精密に決定 す るた めの 新し い方 法と して 、周 波数 絶対値が既に判明している原子吸 収線プロファイル の利用を提案している。 また、吸収線中´己位置の精密な特定に必要とされる吸収線微分波 形 を数 値計 算で 再生 する 新た な方 法を 考案し、これにより高速でしかも 高精度な長さ測定 を実現できることを明ら かにしている。

  第5章で は、 第3章で 述 べた 方法 の精 度改 善を 図る こと を目 的と して 、従 来型 の 端面 発 光 型半 導体 レー ザに 比ベ 周波 数可 変性 の点で格段に優れている面発光型 半導体レーザを干 渉 測長 用光 源と して 初め て利 用し 、1THにお よぶ 周波 数幅 で取 得された チャネルスペクト ル 波 形 か ら 光 波 長 レ ベ ル の 精 度 で 長 さ 絶 対 値 を 測 定 で き る こ と を 示 し て い る 。   第6章で は半 導体 レ ーザ で特 に顕 著に 現れ る多 様な 光帰 還誘 起効果に 着目し、そのうち 面 発光 型半 導体 レー ザに 特有 な自 己偏 光変調効果を利用して、その光パ ルス発生の周波数 値 から 長さ を測 定す る方 法に っい て述 べている。パルス周波数はチャネ ル次数間の周波数 間 隔の1/2に一 致し て おり 、こ れを 直接 計数 法で 測定 する こと は長さを 光が伝搬する時間 を レ シ プ ロ カ ル に 測 定 す る こ と に 等 し く 、 次 章 で 述 べ る 方 法 の 布 石 と な る 。   第7章で 提案 する 方 法は 、周 波数 標準 レー ザと の直 接周 波数 比較によ ルチャネルの中心 周 波数 絶対 値の測定を行うとともに、遠隔し た2つのチャネル間の次数間 隔をも決定して、

測 定長 さを 光が 伝搬 する 時間 を精 密に 決定するというものである。した がって本方法にお い て長 さは 特定 の光 波長 との 比較 では なく、光速度と時間の積として、 っまり現在の長さ の 定義 に従 って 決定 され るこ とに なる 。このときレーザ光は光クロック として利用されて お り、 チャ ネル 中心 周波 数に レー ザ周 波数が自動同調されていれば、長 さの絶対値のみな ら ず長 さの 時間 的変 化に つい ても 光周 波数変化として正確に知ることが 可能であることを 明らかにしている。

  第8章は 本研 究の 総 括で あり 、各 章に おい てそ れぞ れ得 られ た工学的 に有用な結論、問 題点および今後の課題等 にっいて記述している。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

チャネルスペクトルの高分解能レーザ分光に基づく      長さ測定法の研究

  干渉測長は高精度測定法の代表的なもので、各種の先端科学計測および工業生産技術分野に おける重要な基盤的技術のーっである。従来の干渉測長の基本原理は、固定された光波長もし くは合成波長と被測定長との干渉計による直接的な比較に基づぃており、その精度と分解能は この固定された光波長もしくは合成波長の精度と干渉次数の端数部測定の精度で制限されてい る。一方干渉計では、その光路長を一定とするとき干渉光のスペクトルが光波長により一意に 定まるから、干渉計は、入射光のスペクトルを、光路差により決まる共振波長間隔(FSR) を周期とする周期的なスペクトル、すなわちチャネルスペクトルに変換する作用を有する。従 って、隣接チャネル間の周波数間隔を測定してFSRを正確に決定すること・によっても干渉測 長が実現できる。しかし、多色光と分光器を用いる通常のチャネルスペクトル測定法では、分 光器の精度、分解能の限界により、隣接チャネル次数間隔の周波数を十分な精度で知ることは できない。そこで著者は、チャネルスペクトル測定による干渉測長法におけるダイナミックレ ン ジ と 精 度 を 飛 躍 的 に 向 上 さ せ る こ と を 目 的 に 研 究 を 行 っ て い る 。   本論文は、長さおよび周波数の標準に対してトレーサブルな基準スペクトルを生成し、それ との比較によルチャネル次数間隔を高精度で測定して共振波長間隔を正確に決定することによ り、干渉測長の精度を飛躍的に向上させることを目的に著者が行った研究について述べたもの で、8章から構成されている。

  第1章は序論で、本論文に関係する技術分野の背景、および本論文の目的と意義について 述べている。

  第2章では、本研究を通して使用される半導体レーザの基本的構造、発振特性、およびそ の駆動システムについて述べている。

  第3章では、干渉則長用光源の半導体レーザの周波数を一定速度で走査するとき得られる

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次 志

良 直

塲 場

大 馬

授 授

教 教

査 査

主 副

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干渉光強度変化をスペクトル解析し、そのピークの中心周波数と周波数走査速度の関係から 長さを決定する方法の検討を行い、走査速度の測定精度と半導体レーザの周波数変調の非直 線性特性が重要であることを明らかにしている。そして、従来困難とされた走査速度の高精 度測定を実現するために、基準チャネルスペクトルを参照する新しい手法を提案している。

また、半導体レーザ周波数変調の非直線性特性の影響を軽減するために、変調電流波形を、

自動制御系により実時間で補正することにより解決する、新しい方法を提案している。

  第4章では、原子吸収線プロファイルを利用してチャネルスペクトルの周波数幅を精密に 決定する新しい方法を提案している。さらに、吸収線中心位置の精密な特定に必要とされる 吸収線微分波形を数値計算で再生する新たな方法を考案し、これにより高速でしかも高精度 な長さ測定が実現できることを明らかにしている。

  第5章では、第3章で述べた方法の精度をより一層向上させるために、周波数走査幅の広 い面発光型半導体レーザを初めて干渉測長用光源として利用し、周波数走査幅1THzで取得 されたチャネルスペクトルを用いる事により、さらに高精度な測長ができることを実証して いる。

  第6章では、面発光型半導体レーザに特有な自己偏光変調効果を利用して、その光パルス 発 生 の 周 波 数 値 か ら 長 さ を 測 定 す る 新 し い 方 法 に っ い て 述 べ て い る 。   第7章では、干渉測長用光源レーザの周波数を周波数標準レーザ周波数と直接比較して、

チャネルの中心周波数絶対値の測定を行うと共に遠隔した2つのチャネル問の次数間隔を決 定することにより、被測定長さ間の光伝搬時間を精密に決定する新しい方法を提案している。

本方法では、被測定長が長さの定義、すなわち、光速度と時間の積に則して決定される。こ の方法によれば、静的長さのみならず、その時間的変化についても光周波数変化として知ら れることを明らかにしている。

  第8章は本論文の総括であり、各章においてそれぞれ得られた工学的に有用な結論、問題 点および今後の課題等について記述している。

  これを要するに本論文は、長さおよび周波数の標準に対してトレーサブルな基準スペクト ルを生成し、それとの比較によルチャネル次数間隔を正確に測定することにより、干渉測長 の精度を飛躍的に向上させることを目的に著者が行った研究によって得られた新知見にっい て述べたもので、光応用計測、応用物理学の発展に寄与するところ大なるものがある。よっ て 著 者は 、 北海 道 大 学博 士 (工 学 ) の学 位 を授 与 さ れる 資 格 ある も のと認め る。

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参照

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