ア メ リカ にお け る
信託資産の拡大 と証券投資 (2)
三E
f∃ 山 和 司
目 次
Ⅰ.は じめに
Ⅱ.信託機関 と信託業務
Ⅲ.信託資産 の拡大 とその性格
Ⅳ.信託機関の資産構成 (1)信託機関の投資責任
(2)
信託機関の証券投資(以上 ,第
39
巻第 1号)(3)信託部門 による自行預金 の形成
Ⅴ.
信託機関の株式投資Ⅵ .むす び (以上 ,本号)
(3
)信託部門 による自行預金の形成信託資産 における自行預金 とは,商業銀行が信託業務 を兼営す ることか ら生 じるもので ある。 信託業務 の遂行 に際 し,商業銀行 は委託者か ら様 々な財産 を 受託す るわ けであるが,このよ うな信託財産 の中には既 に現金が含 まれてお り,
またその財産 を運用す る過程で,追加的 な現金 が生成す る。 例 えば,個人信託 , 代理勘定 ,年金基金 によって受 け取 られ る配当,利子等 の現金,証 券 を売却 して 再投資を行 な うまで待機 す る現金,受益者 に運用益 を配分す るまで一時 的 に滞
1 9 8 8
年8
月1
日提 出〔35 〕
3 6
商 学 討 究 第3 9
巻 第2
号 留す る現金等がそれである28)0商業 銀行 の信託 部 門 の活動 に伴 って生成 す る現金 は,通 常 , 自行 の銀 行 部門 に預金 の形態で置かれ ることになる。 この自行預金 は,8
4
年 には信託 資産 の1 . 4%
を占めるに過 ぎないが,個 々の商業 銀行 の銀行部 門 にお いて 自行 の信 託部門 による預金 は,相 当大 きな位置を占めて いるよ うである。表9
に見 られ るように,信託資産保有額1 0
億 ドル以上 の信託部門で は,その平均 自行預 金額 は3, 97 4
万 ドル (約98億5,500
万 円) とい う巨額 な ものであ り,‑ ーマ ンの指摘 す るよ うに,自行信託部門 はその商業銀行 の最大 の預金者 た る位置 にある29)。つ ま り商業銀行 は信託部門の兼営 によ って,追加 的 な預金源泉 を獲 得 しうる のであ り,これ は商業銀行 の信託兼営 にともな うメ リッ トの一つ となっている。
したが って,信託業務 を兼営 している商業銀行 においては,よ り多 くの預金 を 信託部門か ら獲得 しよ うとす る強 い誘因が,銀行部門の側 に作用す ると考 え ら れ る。
表
9
信託部門の自行預金信託資産保有額による 平均自行預金額 信 託 機 関 の 分 類
( 1 , p O O
ドル )1, 0 0 0
万 ドル未満 p5 3 8 1, 0 0 0‑2, 5 0 0
万 ドル未満1, 5 7 7 2, 5 0 0
万‑ 1億 ドル未満2, 4 6 9
1
億‑ 5億 ドル未満5, 1 7 0‑
5
億‑10
億 ドル未満1 0, 2 6 0 1 0
億 ドル以上3 9, 7 3 8
(出所)Tr us tAs s e t so fFi nanc i al
I ns t i t ut i ons ‑ 1 9 8 4
,よ り作成2 8)Edwar d S.He r man
,"Comme r c i alBank Tr us tDe par t me nt s
,"i n t he Twe nt i e t h Ce nt ur y Fund,St e e r i ng Commi t t e eon Conf l i c t sofI nt e r e s t
,Abus e on Wal lSt r e e t : Con fl i c t s o f I nt e r e s ti n t heSe c ur i t i e s Mar ke t s
,1 9 8 0,p. 1 0 7.
2 9 )I bi d. ,p. 1 0 9.
アメ リカにおける信託資産 の拡大 と証券投資 (
2)
37しか し,信託部門が不必要 に多額 の預金残高 を自行 の銀行部門に保有 す ると すれば,それは受託者 と して受益者 に対す る信託義務 に反す る行為 とな らざ る を得 ない。 なぜな らば,投資 されていない預金残高 は,受益者 のため に利益 を 生む ことはな く,む しろ銀行 に とって利益 を もた らす もの となるか らであ る。
銀行が受益者 の利益 を犠牲 に して 自己の利益 を追求す るとすれば,銀行 は受託 者 と して受益者 に対す る信託義務 を果 た していないのは明 白である。 そのため 信託義務 を誠実 に遂行す るためには,再投資 され るまで一時的 に待機 して い る 現金残高 を極力圧縮す ることが必要 であると考え られ るが,どの程度 の水 準 が 適正であるか とい うことは状況 に応 じて変 わ るものであ り,資産運用 の専 門家
としての受託者 の責任 と判断 に委ね られ るところである
。
なお,この点 に関連 して通貨監督官 は,「多 くの銀行 の見解で は信託業務 は, 信託 資金 が銀行部 門 に預 金 され る ことを考慮 に いれ た場合 のみ収 益 性 が あ る
」3 0 )
とい う指摘 を行 な っている。
つ まり,この ことは銀行部 門 に預金 され た 信託資金 に基づ いて,銀行部門が収益 をあげ,それによって信託部 門 の損失 を 補填 し,銀行全体 として収益性 が確保 され るとい うことを意味 している。 信託 部門の収入 は,信託財産 の管理運用等 のサー ビスを提供す る報酬 として受 け取 られ る手数料収入 に基づ いている。1 97 0
年代初頭 には多 くの信託部門が,この 手数料収入だ けで は信託部門の諸経費 を十分 にまかなえない状況 にあ ったよう である。
以上述 べた点 については次 の引用が参考 になる
。
「ニュー ヨークの連邦準備銀行 によれば,ニュー ヨーク市 の
『1
0大 』銀 行 に ついて は (連邦準備銀行 はよ り詳細 に述べ ることは き らったが),個人信託 業 務 は過去3
年間の うち2
年間 は利潤 を もた らして はお らず,遺産業務 につ いて は,所得税控除以前 の営業収入が,1971
年 を除 いて過去数年間減少 して きて い る。 シテ ィバ ンクの信託部門の前最高責任者 ロバー ト・ホ‑ゲ ッ トは,シテ ィ バ ンクの信託部門 は196 9
年 まで損得 な しで あった と述べて い る。 1
カ月 に300
3 0 )AT t T t ualRe por to ft heCompt r ol l e ro ft heC乙 ↓ r r e r L C ) ′ ‑ 1 97 2 ,p. 2 6 6
3 8
商 学 討 究 第3 9
巻 第2
号万 ドル程度 の手数料 を受 け取 り,また支 出 も
1
カ月 に3 0 0
万 ドルだ った。 ホ‑ゲ ッ トは,銀行 の利潤 は銀行 の商業的側面で信託顧客 (個人 と法人 の両者) に よ って保持 されている要求払 い預金 の
2
億5, 0 0 0
万 ドルか らきて い る ものだ, と説 明 して くれた。 ホ‑ゲ ッ トの述べた ことは,ひとつの重要 な真実 を指摘 し ている。信託部門が彼 らの個人受託者業務 につ いて利潤を示 しうる唯一 の方法 は,いわゆ る 『預金 に基づ いて供与 された信用 』をそれ らの収益 に加 え る こと で ある。
これ は銀行 の信託勘定 によって作 り出 され,銀行 の商業銀行 的側面 で 預金 された りす る投資 されていない現金残高 によって生 み出 された銀行収入 をもた らす信用であ る。」31)
こうした信託部門の収益性 の不足 に もかかわ らず信託業務 が行なわれるのは, 商業銀行 において 「信託部門 は,商業部門 に業務 を引 き付 けさせ,信 託勘定 の 現金残高か ら商業部門が利益 を享受 しうるよ うにさせ るためのひとつのお とり 商品 として,利用す ることがで きる
」3 2
)か らであ るとい う見方 もで き る。 確 か に これ は一つの側面であるが,信託部門を こうした側面 だけで理解す るとす れ ば,信託部門 によ って提供 され る多様 な経済的機能 とその ことによって生 じる 銀行部門 との関連 を見落 とす ことにな ると思われ る。
ただ し,このよ うな商 業 銀行 による信託業務 の兼営 に伴 い,自己の利益 を追求す る銀行部 門 と,受益 者 の利益 のために行動す る受託者 としての信託部 門 との間には 「利益相反」
という問題が絶 えずっ きまとってい るので,その点 には注意 を払 う必要がある。
V.
信託機関の株式投資前節で は,信託機関が受託資産 の大部分 を証券投資の形態で運用 して いた こ とを明 らか に し,同時 に こうした証券投資の中で もとりわけ株式授資が, 大 き な位置を 占めていることを明 らか に した。 そ こで本節で は,信託機関 の株式投 資 に関す る問題 について考察 を深 めることに したい。.
3
1) 原 司郎 監訳 『シテ ィバ ンク 』日本経 済評論 社,1 9 7 8
年5
月,2 8 5
頁。( Dav i d Le i ns dor f,Donal dEt r a,e ta
l.,Ci t i bank,1 9 7 3,pp. 1 9 3 ‑ 4. )
3 2 )
同書,2 8 8
責。(I bi d,p. 1 9 5.)
アメ リカにおける信託資産 の拡大 と証券投資
(2)
表
1 0
主要金融機関 の資産構成( 1 9 8 4
年1 2
月現在)(単位 :
1 0 0
万 ドル) 39商 業 銀 行 金融機関の 貯 蓄 貸 付 相 互 貯 蓄 生 命 保 険 投 資 会 社 (信託部門を除 く) 信 託 資 産 組 合 銀 .行 会 社
連邦政府および
政府関連機関債
242, 500 1 49, 1 3 9
証券投資)(現金,1 25, 35 8 1 4, 6 43 41 , 970
株式等現金,連邦 ■政府債,そ券の他短期証1 25,
ll,9781 48
州 債 .地 方 債そ の 他 債 券 主 と し て州 .地方債1 3 4, 90 0 1 49, 85, 43 91 9 3 42, 2, 077 962 303, 9, 757 6 87
株 式
32 3, 08
164, 1 71
モ ー ゲ ー ジ
9, 457 5 55, 27 7 1 02, 895 1 57, 2 83
不 動 産
30,
15 4 25, 9 85
貸 付 1
, 46 3, 700 2 4, 95 4 54, 61 0
現 金 . 預 金201, 90 0 35, 33 5 4, 95 4
そ の 他 219,700 19,
0 8 4 2
21,814
l l,4 13 6 3 , 3 4 4
(出所)信託資産 は
Tr u s tAs s e t s
ofFi n a n ci alI ns t i t ut i ons ‑ 1 9 8 4
,より作成, その他 はFe de r alRe s e r v eBul l e t i n ,June1 9 8 5
,より作成。信託機関の株式保有額 は
,1 9 8 4
年 に3, 2 30
億8, 1 0 0
万 ドルで あ ったが,この保 有額 は主要 な金融機関 の中で最 も大 きな ものである (表1 0
参 照)。 信 託機 関以 外 に大量 の株式投資を行 な って いる金融機関 は,投資会社 と生命保険会社 お よ び年金基金であ る。 ただ し,年金基金 のかな りの部分 は,信託機 関 と生命保 険 会社 によ って運営 されているので,ここでは年金基金 について は除外 して お くことにす る。 投資会社 と生命保険会社 の株式保 有額 は,それぞれ
1 , 2 51
億4, 80 0
万 ドル と6 41
億7, 1 0 0
万 ドルであ るが,この保有額 は投資会社 につ いて は信託 機 関の3
分 の 1強 ,生命保険会社 につ いて は同 じく5
分 の1
程度 とい う規模 に過 ぎない。投資会社 の場合, その資産運用 は株式投資 に特化 しているが,生保 の 場合 には株式投資 よ りもむ しろ社債 とモーゲージに投資の重点が置かれている。
このよ うに信託機関 は,株式投資 に関 して金融機関の中で卓越 した最大 の機関 投資家( i ns t i t ut i onali nve s t or )
と しての地位 を占めている。こうした信託機関 による大量 の株式投資 は,い くつかの問題 を引 き起 こす こ
40
商 学 討 究 第39巻 第2号とにな ったが,ここで は以下 の二つの問題 について検討 してお こう。 一 つ は, 大量 の株式保有 に基づ く会社支配 に関す る問題 であ り,もう一つ は,信託機 関
表
1 1
金融機 関が最大株主 とな ってい る会社(メ トカー フ委員会 による
1 9 7
2年 の調査)荏 :NYSEの関連会社であるDe
p o s ito r y T ru s t C o r p o r a tio n( ノミニー・ネーム :Ce de&
C o . ) の 33 社 の 持 株 は 除 外 し た 。( 出所)U. S.Congr e s s ,Se nat e,
C o m m itte e o n G o v e rn m en tOperations,Di s c l o s ur eo fCor por at e
O w n e r・s h i p , (G . P . 0 " 19 74 ),p.22.アメ リカにおけ る信託資産 の拡大 と証券投資
(2) 義l
l (続 き)モルガン.ギャランティ
(4
社)Uni t e dAi r c r af t‑ ‑
一一‑一一一‑‑‑‑‑一一一一‑‑‑一一一一‑∴一一一‑‑‑ ‑‑7. 0 CPC ht e r nat i ona
1‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑一一一一一‑一一一一一日‑一一一一一一一‑‑一一一日一一1 . 5
・一一一一一一一一一‑
6. 2 Tr aV e 1 6 r sⅠ ns ur anc e
一一‑一一‑一一‑‑一一‑‑‑‑一一一一‑一一一一一一一一一‑‑‑‑‑‑‑ 6. 0
バンカーズ .トラスト(3
社)一一一一一‑一一一一
. 6. 1 Cont i ne nt alOi 1‑ ‑ ‑
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑一一一日‑‑5. 8 Banke r sTr us t
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑一日て‑‑5. 7
ケ ミカル .バンク(3
杜)Chi c agoRoc kⅠ s l and & Pac i f i c‑ ‑
‑‑一一一日一一一一一一一一一一一一一77
.4Panhandl eEas t e r nPi pe‑ ‑
一一一一一日一一一一‑‑‑‑‑‑γ‑‑‑‑‑‑‑4 . 8 Che mi c alBank
一一一一一‑一一‑‑‑‑‑一一一日‑一一一一一一‑‑‑‑‑‑一一一‑5
.4メ リル .リンチ
(3
社)Che s ape ake & Ohi 0‑ ‑
‑‑‑‑I‑‑‑‑
‑‑‑‑‑‑‑‑‑一一一一‑‑一一4
.4 Pac i f i cPowe r
&Li ght
‑一一一日‑‑‑‑‑‑‑一一‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑一一一一一一2. 5
41
による大量 の株式取引が証券市場 に与 え る影響 に関す る問題である。
(1
)機関株主 と しての信託機関信託機関を含む機関投資家 の株式投資 について は,米国議会および
SEC
に よる各種 の調査が行 なわれて きたが,とりわけ信託機関の株式保有 については, 前述 し‑たよ うにバ ッ トマ ン委員会 による調査以後 も,7 0
年代 のメ トカー フ委員 会,80年代 の リピコフ委員会 によって継続 的な調査報告がなされて きた。 こ うした調査報告 によ って既 に明 らか にされて きた ことであるが,信託機関 (商業 銀行信託部門) は大量 の株式投資 の結果,多 くの大企業 において最大 の株主 と な って いる
。
メ トカーフ委員会報告 によれば,1 9 7 2
年 の時点で調査対象 と した1 3 2
の会社 の うち,5 8
の会社 において銀行信託部門 が最大 の議決権 株 の株主 と な っていた33)。 この うち主 な銀行 につ いて,その銀行信託部門が最大株主 となっ てい る会社数 を紹介 してお くと,チ ェース ・マ ン‑ ッタン2 0
社,ファース ト・3 3 ) U. S.Cong. ,Se nat e,Commi t t e eonGov e r nme ntOpe r at i ons ,Di s c l os ur e
o fCor por at eOwne r s hi p ,( G. P . 0. ,1 97 4),pp. 2 2 ‑ 2 3
,参照。4 2
商 学 討 究 第39
巻 第2
号ナシ ョナル ・シテ ィ
9
杜 ,モルガ ン ・ギ ャランテ ィ4
社 ,バ ンカー ズ ・ト ラス ト 3社である (表11参照)0次 に表
12‑ 15
は,上記商業銀行 の信託部門が どのような会社 の株式 に投 資 し ているか表示 した ものであ り,投資額 の多 い順 に上位20
社 が掲載 されて い る。ただ し,これ らの表で はバ ンカーズ ・トラス トを除 いて,議決権株 か否 か の区 別がなされていない点 に留意 してお く必要がある。 これ らの表か らわか るよ う
に,信託部門 は全体 と して
IBM
,ゼ ロックス等 の優良大企業 に集 中的 に投 資 す る傾 向が見 られ る。 なお,この4
行 に共通 の投資先企業 は,前記2
社 の他 に イース トマ ン ・コダ ックとエクソンがあげ られ る。
表
1 2
モルガン・ギャランティ・トラス トの保有株式( 1 97 5
年6
月3 0
日現在) 会 社 名 保 有 額(1, 0 00
ドル) 持株比率( %)
対総資産比率 (%)1Ⅰ BM
‑一一‑‑‑‑一一 一 一 一 ‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 一 一 一 一 ‑‑‑ ‑一 一 ‑ 一 一 一 一 一 一 一 ‑ ‑ 1, 3 4 8, 5 41 4. 3 5 5. 7 3 2Eas t manKodakC0.‑ ‑ ‑‑ ‑‑‑ ‑‑ ‑ ‑‑ 8 7 3, 1 1 9 5. 2 3 3. 71 3Ame ri c anHomeProduc t sCor p. 3 8 8, 01 9 5. 5 8 li 65 4Proc t e r& Gambl eC0. ‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 日一 一 一 一 一 ‑ 3 8 0, 48 0 4. 71 1. 62 5Sear s,Roe buc k & C0.
‑‑ ‑‑‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 3 8 0, 42 9 3. 3 0 1. 62 6EXXonCor p.
一一一一日‑一一一一 一
一一一一‑
一一一日 一一一一一日 一 一 一 一 一 一 3 3 6, 72 0 1. 6 3 1. 43 7. Sc hl umbe r ge rLt d
∴ 一一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ‑一 一 一 一 一 一 3 35, 6 2 0 7. 0 0 1. 43 8Ge ne ralMot or sCor p.‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 2 91, 9 6 0 2. 0 8 1. 2 4 9S. S. Kre sgeC0. ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 一 一 一 一 一 一 一 一 日一 一 一 日‑ 一 一 一 一 一 一 ‑一 一 一 2 83, 31 4 7 . . 5 3 1. 2 0 1 0Coca■ Col aC0. ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 日 一 一 一 一 一 一 一 ‑‑ 一 一 一 一 ‑‑一 一 一 ‑ ‑ ‑ 2 6 3, 9 4 8 4. 8 7 1. 1 2 1 1Ⅰ nt e r nat l onalPape rC0. ‑ ‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑ 日 一 一 一 一 一 2 43, 61 3 1 0. 8 2 1. 0 4 1 2 Me rc k & Co. ,Ⅰ nc.
一一一一一一一一一一 ‑‑ ‑一 一 一 ‑ 一 一 一 一 一 一 2 2 8, 02 4 3. . 5 6 . 9 7 1 3 Ci t i c or p
一一一‑‑一一一日‑ ‑ ‑
一一一‑‑‑‑‑‑‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 一 丁 ‑ ‑ ‑ 一 一 2 2 6, 5 3 2 4. 7 7 . 9 6 1 4 Hal l i bui ‑ t onc0.‑ ‑ ‑ ‑ . ‑ ‑ ‑
日一一一一一日‑‑一 一 一 一 ‑ ∴‑ 21 9, 6 6 8 6. 1 0 . 9 3 1 5 Phi l i pMor ri s,Ⅰ nc. 一 一 一 一 一 一 日一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 : 21 7, 0 ̲ 0 8 7. 3 9 . 9 2 1 6 Ⅹe roX Cor p.
一一一‑‑ 一 一 一 一 ‑ 一 一 一 日一 一 日一 一 一 ‑一 一 一 一 一 一 日‑ 21 3, 01 5 3. 8 6 . 91 1 7 Ame ri canExpre s sC0.‑‑ ‑‑ ‑ ‑‑ . ‑ ‑ ‑ 1 8 8, 421 6. 0 6 . 8 0 1 8 J. C. Pe nne yCo. ,Ⅰ nc. 一 一 一 日一 一 一 日‑ ‑ 一 一 一 一 ㌦ 1 7 6, 1 3 8 5. 1 0 . 7 5 1 9 Mc I ) onal dsCor p
∴‑‑‑‑‑‑‑一一 一 一 一 日 ‑一 一 一 ‑‑ ‑ 1 7 4, 62 8 7. 6 9 . 7 4 2 0 Dow Che mi c alC0.
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑ ‑ ‑ ‑‑‑ ‑ 1 6 9, 91 5 1. 9 3 . 7 2
(出所)
U. S.Congre ss,Commi t t e eonFi nanc e,B
ankTr ustSt oc k
Hol di ngs ,p. 6.
アメ リカにおける信託資産 の拡大 と証券投資
(2)
表
1 3
バ ンカーズ ・トラス トの保有株式( 1 97 4
年1 2
月31
日現在)会 社 名 保
( 1 0 0
有万 ドル) 持株比率額( %)
議決権株比翠 (%)1 I BM
‑一一一一一一一一一‑‑‑‑ ‑一一一日二一一一‑‑‑‑‑一一日一一一一一一 ‑ ‑ ‑ ‑ 一 一 一 一 一 ‑ 671. 2 2. 7 1. 9 2ATT
‑一一一一一一‑一一一‑一一一‑‑‑一一一一‑‑一一一一一‑‑
一一一日
一一一一 ‑‑ 5 49. 5 2. 1 .
43 Mobi 10i lCor p.
‑‑‑‑‑‑一一一一一一一‑‑‑‑一一一一日‑‑‑‑2 5 4. 5 6. 8 1. 2
4 Me rc k
&Co. ,I nk.
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑2 02. 3 4. 0 2. 5 5 E1 1 ° Li 1 1 y
&Co
∴‑‑一一‑一一一一一一一一一‑‑‑一一一一一一1 62. 9 3
.41. 5 6 Eas t manKOdak C0.
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑日一一一一一一1 36. 7 1. 3 . 8 7 Exxon Corp.
‑‑ ‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑
‑‑‑‑‑‑‑‑‑1 30. 6 . 8 . 5 8 Ame r i c aユ 1HomeProduc t sCor p‑ 1 24. 0 2. 3 1. 8 9Bur roug. hsCor p.
‑一一‑一一‑‑‑一一一‑‑一一一一‑ 116
.1 3. 9 2. 6 1 0 Johnson & Johnson‑ ‑‑
‑一一一日一一‑‑一一一1 05. 8 2. 2 1. 6 1 2 Mi nne sot aMi ni ng & Manu‑
f ac t ur i ng C0.
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑ ‑ ‑ ‑一 日‑‑ 一 一 一 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑
1 3 Dow Che mi c al C0.
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑一一‑一一一一一一一一91 . 0 1. 7 1. 3 1 4 Cont i ne nt a10i l C0.
‑‑‑‑‑‑‑‑‑日一一一一一一一一一‑‑89. 9 3. 9 . 5 1 5 Ⅹe roX Cor p.
‑一一一日‑一一一一山一‑‑一一一一‑‑‑‑‑‑一一一一83. 2 2. 0 1. 1 1 6 AvonProduc t sI nc. ‑‑ ‑
‑‑‑‑‑ ‑‑‑‑‑ ‑ 82
.44. 9 3. 0 1 7 Ge ne l alEl e c t r i cC0. ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 一 一 一
‑‑一一日一一一 一 一 一 80. 6 1. 3 . 8 1 8 Sc hl umbe r ge rLt d. ‑ ‑一 一 ‑一 一 日一 一 日
‑一一一 一 一 一 一 ‑ 7 2. 2 1. 8 1. 1 1 9 We Ve rhae us e rC0.‑ ‑ ‑ ‑ ‑
‑‑ ‑ ‑‑‑‑‑ ‑一 一 一 ‑ 一 一 一 71. 7 2. 0 . 8 2 0 Phi l i p Mor ri s,Ⅰ nc
∴ ‑一一一一一一一一‑ ‑‑‑ 一 一 一 一 ‑一 一 一 67. 9 2. 5 1. 2
(出所)
I bi d. , p. 9
4 3
これ らの表 か ら判 断 す る限 り,モル ガ ン ・ギ ャラ ンテ ィには他 の
3
行 に比 べ て 高 い持株比率 の企業 が多 く見 られ,5%以上 の持株比率 の企業 は,掲 載 され て い る20
社 の うち半数 の10
社 に も達 して い る。 その中で も特 にイ ンターナ シ ョナ ル ・ペ ーパ ー社 の持 株比率 は10%
を越 えてお り,他 の会社 と比較 して非 常 に高 い といえ る。
さ らに調査時点 が異 な るた め正確 で はないが,参考 のため4
行 の 共通 した投 資先企業 で あ る前記4
社 につ いて,4
行 を合計 した持株比率 を次 に 示 してお こう。 IBM
ll. 05%
,ゼ ロ ックス1 4. 06%
,イース トマ ン ・コダック
9. 93%
,エ クソ ン6. 13%
で あ る。こう した商業銀行信託部 門 による大企業 の株式 保有 に注 目 して, 『パ ッ トマ
4 4
商 学 討 究 第3 9
巻 第2
号ン委員会報告 』や フィ ッチ34),コ ッツ35)等 の論 者 に よ って,銀 行 に よ る会社 支 配が行 なわれて いるとい う銀行支配説 が主張 され るよ うにな った。 しか しなが ら,信託部門の株式保有動機 は各信託 資産 の性格 によ って異 な るため,必 ず し もその よ うに断言 で きないよ うに思 われ る。
例 えば信託部 門の管理す る年金基金 によ って保有 され る株式 は,基本 的 に は 表
1 4
フ ァース ト ・ナ シ ョナル ・シテ ィ ・バ ンクの保有株式( 1 9 7 4
年1 2
月31
日現在)会 社 名 保
( 1 0 0
有万 ドル) 持株比率額( %)
対総資産比率 (%) ‑ 1ⅠBM
一一‑‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 日日‑ ‑
‑‑‑一一一‑一一一一‑一一‑一一一‑‑‑一一6 0 6 2. 5 3. 8 2Me r c k
&Co. ,Ⅰ nc
∴ ‑‑‑一一一一一一一一一一‑‑一一一‑2 7 2 5. 5 1 . 7 3Ⅹe r oX Cor p.
一一一‑‑‑
一一‑
‑‑一一一一一‑‑‑‑ ‑‑‑一一一一‑一一2 6 9 6. 6 1 . 7
4Eas t manKodakC0.
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑一一一‑一一2 4 7 2
.41. 6
■5 Johns on & Johns on
一一:‑一一一一一一一‑‑一一一一‑‑21 2 4. 6 1 . 4 6 At l ant i cRi c hf i e l dCo
∴ 一一‑一一‑‑‑‑‑一一‑1 9 4 4. 6 1 ̲ 2 7 E1 ‑ iLi 1 1 y
&Co∴‑一
一一一‑
一一‑‑‑ ‑‑一一一一.‑‑‑‑一一一一1 7 5 3. 7 1 ̲ 1 8 Ge ne r alEl e c t r i cC0.‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ 一 一
一一‑1 5 5 2. 5 1 . 0
9 EXXonCor p
‑ ‑一一一一一‑‑ ‑ ‑ 一 一 一 ‑ 一 一 一 一 一 ‑ 小 一 ‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑ 1 1 5 51 3 3. 1. 0 1 1
1. .0 0 1 0Mi nne s ot aMi ni ng
&Manu‑
f ac t ur i ngC0.‑‑ ‑
‑‑‑‑‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑
l lS. S. Kr e s geCo∴一 一 ‑ ‑ ‑
‑ 一一一一‑ 一一一一‑ ‑ 一一一一 一 一 ‑ 1 4 0 5. 3 . 9 1 2Se ar s,Roe buc k & C0.
‑‑‑‑‑ ‑‑‑一一一一一‑ 一一1 3 6 1. 8 ̲ 9
1 3Coc aCol aCo∴ ‑‑ ‑ ‑‑ 一 一 ‑一
一一
‑ ‑‑一一一一一‑m ‑‑ 1 3 6 4. 3 . 9
1 5Te XasⅠ ns t r ume nt sⅠ nc
∴ 一一 一 一 ‑‑一 一 一 日一 一 1 1 9 7. 7 ̲ 8 1 7Ame r i c anHomePr oduc t sCor p. 1 0 4 2. 0 . 7 1 8He wl e t t ‑ Pac kar dCo̲‑ ‑ ‑ ‑ ‑‑ 一 一 ‑‑ ‑ 一 一 一 一 一 ‑ ‑ 1 0 0 6̲ 2 . 6 1 9Phi l i pMor r i s,I n°̲ ‑ ‑ ‑
一一一一m一一一一‑一 一 ‑ ‑ ‑ ‑ 一 一 ‑ 9 5 3. 6 ̲ 6 2 0Sc he r 1 Ⅰ 1 g‑ Pl o‑ ugh Cor p
∴‑一一一一一‑‑‑一 一 一 一 一 一 9 3 3. 3 . 6
(出所)
I bi d.
,p.103 4 )
フィ ッチ&オ ッペ ン‑ イマ〜著 ,岩 田巌雄 ,高橋昭三監訳 『だれ が会社 を支配 す る か‑ 金融資本 と 「経営者支配」
』 ミネル ヴ ァ書 房,1 9 7 8
年( Robe r tPi t c h and Mar yOppe nhe i me r
,"WhoRul e st heCor por at i ons ?" Soc i al i s tRe v ol ut i on
,Vol
.1 ,Nos. 4 ‑ 6,1 9 7 0 )
を参 照。3 5 )D. M.
コッツ著 ,西山忠範訳 『巨大企業 と銀行支配‑ 現代 アメ リカ大企 業 の支配 構造‑ 』文展堂,1 9 8 2
年( Dav i dM.Kot z ,Bank Cont rolo fLar geCor po‑
r at i onsi nt heUf u‑ t e dSt at e s,1 9 7 8 )
を参照。アメ リカにおける信託資産 の拡大 と証券投資
(2)
45将来 の退職者 に対す る年金支払 いが行 なわれ るまで,資産運用 のための投 資対 象 と して保有 され るのであ り,株式 の配当 とキ ャピタル ・ゲイ ンを主 た る目的 とした保有動機である。 年金基金 の受託者 は,受託者 に課せ られたブル ーデ ン
ト ・マ ン ・ルールや分散投資の原則 によ って,受益者 の利益 を第‑ の基 準 と し た投資行動 を とることが基本 であ る。 したが って この場合 には,株式 の 「支配 証券」 としての側面 は後景 に退 くことにな る。
ただ し,必ず しも支配 目的 とい うことで はないが,企業 の年金基 金 を受託 し た商業銀行が,委託 した企業 との間 に融資関係や重役兼任等 の人的結合 関係 を 有 している場合 には,恐 らくその年金基金 のポー トフォ リオの中 に委託 した企 業 の株式が含 まれ るであろ うことは容易 に推測 しうることであ る
。
そ して この 株式所有が,銀行 と企業 との問の協調関係 を支持補強す るよ うに作用す るで あ表
1 5
チェース ・マ ン‑ ッタン ・バ ンクの保有株式( 1 9 7 4
年1 2
月31
日現在) 会 社 名 保( 1 0
0万 ドル)有 額 持株比率( %)
対総資産比率 (%)1EXXonCor p.一 一 一 一 一 ‑一 一 ‑‑ ‑ 一 一 一 一 一 ‑一 一 一 日一 一 一 一
‑‑‑3 6 9 2. 6 4. 9 2Ⅰ BM‑ ‑
‑‑‑一一一 日一 一 一 一 ‑ ‑‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑一 一 一 一 一 一 一 日‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ ‑ 一 一 3 6 7 1. 5 4. 9 3St andar dOi lCo.orⅠ ndi ana‑ ‑ ‑一 一 1 4 6 2
,41. 9 4Eas t manKodakC0. ‑ ‑
‑‑‑‑ ‑ ‑‑ ‑一 一 ‑ ‑‑ ‑ 1 0 6 1. 0 1 . 4 5At l ant i cRi c hf i e l dC0.
‑‑‑‑‑‑‑‑ ‑ 一 一 一 一 1 0 6 2. 5 1. 4 6ATT‑一
一一‑ ‑ ‑ ‑‑日日一 一 一 一 一 一 一 一 一 ‑
一一‑
一一一‑‑‑一一一日一一一一‑1 0 0 . 4 1. 3 7Me r c k
&Cb. ,I n°.
‑一一一‑‑一一一一‑‑一一一一一一一‑‑‑‑1 0 0 2. 0 1. 3 8Mobi 10i lCor p.
一一一一一‑ 一 一 一 ‑一
日一一日一一一一一一一一一一一8 8 2
.41. 2 9St andar dOi lCo.ofCa
lif.‑一一一日‑一一7 8 2. 0 1 . 0 1 0Ⅹe r oXCor p.一 日一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ‑‑‑
一一‑一一日一一一一‑一一6 5 1. 6 . 9 l lS. S. Kr e s geCo.
‑∴‑ 一 一 一 一 一 m
一一‑m ‑‑‑‑‑‑一一 6 5 2. 5 . 9 1 2Ge ne r alEl e c t r i cC0. ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 一 一 一 m一 一 ‑一 一
一一一‑ 6 3 1 . 0 . 8 1 3Ⅰ nt e r nat l onalPape rC0.‑ ‑‑ ‑
‑‑‑‑ ‑ ‑ ‑ 5 9 3. 7 . 8 1 4Dow Che mi c alC0. ‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑
‑‑‑‑‑‑‑ ‑‑ 5 9 i. 2 . . 8 1 5J. P. Mor gan & Co. ,Ⅰ nc.
‑‑‑‑‑一 一 5 8 3. 1 ̀ . 8 1 6Ame r i c anHomePr oduc t sCor p. 5 4 1. 1 . 7 1 7El iLi 1 1 y & C0.
‑‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑‑‑ ‑ ‑ 一 一 ‑一 一 一 一 ‑ ‑‑ 4 8 1. 0 . 6 1 8Johns on
&Johns on一 一 一 一 一 ‑一 一 一 一 ‑m‑一 一 一 一 4 7 1 .
0. 6 1 9Ci t l c or p‑‑ ‑ 一 一 一 ‑‑一 一 一 日一 一 一 一 一
一一一一‑‑‑一一‑‑‑一 一 一 一 4 3 1. 2 . 6 2 DSpe r r yRandCor p.
‑一一日一一一一一一‑m‑‑一 一 一 ・4 2 4. 4 . 6
(出所)
I bi d. ,p. 1 3.
46
商 学 討 究 第3 9
巻 第2
号ろ う,とい うことも否定で きない側面であ る
。
しか しなが ら,銀行 ・企業 間 の 協調関係 の維持 ,強化 のために保有株式 を利用す るとい うことと,銀行 によ る 一方的な会社支配 とい うこととは区別 され るべ きである。また,財閥家族 の財産が信託 の形態で蓄積 されていることは既 に指摘 したが, その信託資産 の中に会社支配 を目的 とす る株式所有が存在す ることは事実 であ る36)。 もちろん,ここで は会社支配 を行 なお うとす る主体 は,銀行 で はな く財 閥家族 である
。
この点 ,信託資産 に基づ く銀行 の会社支配 とい う議論 とは問題 の性格 が異 な るので,区別 してお く必要がある。 信託部門が個人信託 の資産運 用 につ いて投資裁量権 を行使 しうる場合 には,信託部門 は年金基金 と同様 ,信 託資産 の投資収益 を第一 の基準 と して株式投資を行 な うのであ って,銀行 による会社支配 の 目的のために,個人信託 による株式所有 が行 なわれているわ けで はない。
ハーマ ンは,上述 した点 を含 め,商業銀行が信託部門の保有す る株式 を会社 支配 に利用す ることを制約す るい くつかの条件 をあげているので,彼 の説 を要 約 して紹介 してお こう
3
7)0第
1
の制約条件 は,銀行 の組織機構 の中で信託部 門の独立性が強 い ことで あ る。
その ことは,他 の専門的投資 グループとの激 しい運用競争 にさらされ て い る信託部門の職員 に,会社支配 とい う観点 よ りも投資パ フォーマ ンスの向上 を 計 るとい う観点 か ら株式投資 を行 なわせ ることを可能 にす る。 この組織的独立 性 は,銀行 の戦略的観点 に基づ く支配 のための株式投資 を排除す るわけで はな いが,それは例外的な ものである。第
2
の制約条件 は,銀行 に資産運用 を依頼 した顧客か らの高 い投資パ フォー マ ンスを求 め る圧力 の存在である。仮 に,支配 目的 による投資を行 な った結果, 投資パ フォーマ ンスが悪化すれば,その銀行 は顧客 の信頼 と委託 された資金 を 失 うことにな るか らである。
3 6 )
個人信託 を含 む ロックフェラー等 の財閥家族 の株式所有 については,松井和夫 ,『現 代 アメ リカ金融資本研究序説』,8 3 ‑ 9 6
頁を参照 されたい。3 7 )
この叙述 につ いて は,He r man,op.
°i
t.,pp.5 0 ‑ 5 6
,を参照 した。アメ リカにおける信託資産の拡大 と証券投資
(2) 47
第3
の制約 条件 は,法 的規 制 の存在 で あ るが,これ は独 占禁止 法 と信 託 口座 に対 す る銀行 の信託義 務 に基 づ くもので あ る。一第
4
の制約条 件 は,会社 の支 配 的経 営 グル ー プが ,外部者 によ る支 帯 ・介 入 に抵抗 す る とい う事実 で あ る。
ただ し,実 際 に は株 式取得先 の会社 が そ の銀 行 と取 引関係 を有 して い る場合 に は,信託 部 門 によ る株式 の取 得 は会社側 か ら歓 迎 され る。
つ ま り,株 式 の取得 は両者 の互恵 的取 引関係 を支 持補 強 し,同 時 に 会社 の経営 陣 に対 す る信頼 の表 明 とみ な され るか らで あ る。ハ ーマ ンは,以上 の四つ の制 約条件 を あげ,銀行 に よ る会社支 配 に否 定 的 な 見解 を示 したが ,株式 の 「支配 証 券」 と して の側面 が ,一定 の条 件 の下 で は重 要 な役 割 を果 たす場合 が あ る
。
近年 活 発 に行 な わ れ て い る企 業 の合 併 ・買 収(M&A)にお け る株式 の公 開買 付 (TOB)が それで あ る
。
この よ うな状 況 にお いて信託 部 門 の保 有方式 は,そのTOBの成功 を左右 す る重要 な位 置 に あ る。
1 982
年 にベ ンデ ィ ックス社 とマ ーチ ン ・マ リエ ッタ社 との間でTOB合戦 が 行 なわ れ たが ,この時 シテ ィバ ンクは,ベ ンデ ィ ックスの社 員持 株 制 度 で あ る「サ ラ リー受給 従業員 貯蓄 ・株式所有 計画」 の基金 を信託 財産 と して所有 して いた。 この基金 はベ ンデ ィ ックスの ほぼ
2 3%
に相 当す る株式 を所 有 して いたた め,TOB合戦 は当初 ベ ンデ ィ ックスに有利 と見 られて いた。 しか しそ の後 , シテ ィバ ンクが マ リエ ッタ側 に株式 を売却 す る決定 を行 な った ことによ り,ベ ンデ ィ ックス は不利 な状 況 に置 かれ る ことにな った38)。 なお , このTOB合 戦3 8 )
この叙述 については,メア リー ・カニンガム著,佐々木謙一訳 『パ ワープ レー‑権力抗争 』徳間書店,1
9 8 5
年6
月,27 912 9 2
頁( Mar y Cunni ngham,Powe r pl ay
,1 9 8 4)を参照 した。
このTOB合戦において,ベンディックスの基金を受託 していたシティバ ンクが, なぜベ ンディックスではなくマ リエッタの有利になるような決定 を行 な ったのか, その背景 について述べておこう。
まず このTOB合戦 は,次のような構図の下で展開された。発端 は自動車部品の 製造を中心 とするベ ンディックスが,航空宇宙産業 に進出 しよ うとして,航空 ・軍 需関連企業のマーチ ン ・マ リエッタに対するTOBを宣言 したことに始 まる。 次 に それに対抗 して,マーチン ・マ リエッタがベンディックスに対す るTOBを宣言 し
4 8
商 学 討 究 第3 9
巻 第2
号は,最終的 にア ライ ド社 がベ ンデ ィックスを買収 して終止符が打 たれた。
また近年,こうした問題 に関連 して会社 の経営陣が乗 っ取 り防止 のた め,令 併 や会社資産 の売却 の承認 に必要 な株式 の比率 を増加 させ るとい う定款 の変更 提案 を行 な う事例が増 えている
。
乗 っ取 りは,株価 を上昇 させ株主 に利益 を もた らすが,乗 っ取 り防止 のための定款 の変更 は,そのよ うな株価 の上 昇 を阻害 す るため,株式所有者 としての信託部門 はそのよ うな提案 に しば しば反対 投票 を行 な うことがある
。
信託部 門 は,一般 に現在 の経営陣を支持す ると言 われ る が,経営者 の こうした提案 に賛成す るか否か とい うことは,両者 の間 に どの程 度 の協力的関係 が存在 しているか とい うことが決定 的であ る39)0(2
)機関投資家 と しての信託機関ここで は信託機関の株式投資 とそれが証券市場 に与 え る影響 につ いて考察 す る。
信託機関の株式保有額 は
,1 9 8 1
年 と8 4
年 に減少 した ものの,他 の各年 にお い て は1
年 間に少 ない年で2 4 2
億 ドル,多 い年 には5 7 3
億 ドル も増加 している (義1 6
参照)0 1 9 7 9
年か ら8 4
年 までの期間 において,信 託機 関 の保有 す る株式 の年 平均増加額 は1 9 0
億3 0 0
万 ドルであ った。 それに対 し,株式 の年平均新 規発 行額 は2 6 9
億8, 9 0 0
万 ドルであ った。 したが って平均値で見 る限 り,信託機 関 の保有 株式の年 間増加額 は,株式の新規発行額 を下回 っていたが,保有額 の減 少 したた。 同 じく航空 ・軍需関連企業 のユナイテ ッ ド ・テクノロジーズもマ ーチ ン ・マ リ エ ッタの盟友 として,同社 を援助す るためにベ ンデ ィックスに対 す る
TOB
を宣言した。
この時 ,シテ ィバ ンクの ビル ・スペ ンサー頭取 はユナイデ ッ ド ・テ クノ ロジー ズ の取締役会 に席 を占め,ユナイテ ッ ド・テクノロジーズの‑ リー ・グ レイ会 長 は シ テ ィバ ンクの持株会社で あるシテ ィコープの取締役会 に参加 していた。 ‑ リー ・グ レイは同時 にシテ ィバ ンクの信託委員会 の委員で もあ った。 したが って,上 述 の シ テ ィバ ンクのベ ンデ ィックス株 の売却決定 は,ハ リー ・グレイがマーチン ・マ リエッ タの有利 にな るよ うに,信託委員会 を通 じて影響力を行使 した結果 で あ る と推 測 さ れ る
。
この事例 は,信託部門の保有す る株式 の議決権 の行使 に関 して も,銀行 と企業 間 の重役兼任関係や人的関係が非常 に重要 な決定要因であることを示唆 してい る。
3 9 )He r man,op. ° i t . ,p. 7 2.
アメリカにおける信託資産の拡大と証券投資
(2)
表
1 6
各年中の保有株式増加額と新規発行額(単位 :
1 00
万 ドル)1)保有株
2 )
新 規 式増加額 発行額1 9 7 9
年2 4, 2 3 4 l l , 3 2 5 1 9 8 0 . 4 5, 5 61 2 0, 4 9 0 1 9 81 ▲2 6, 4 6 1 2 5, 3 4 9 1 9 8 2 3 9, 2 9 1 3 0, 5 6 2 1 9 8 3 5 7, 3 1 9 5 1, 5 7 9 1 9 8 4 ▲2 5, 9 2 6 2 2, 6 2 8
▲ は減少 を示す。
(出所)1)
Tr us tAs s e t so fFi nanc i alI ns t i t ut i ons
,各年版より算出。
2 )Fe de r alRe s e r v eBul l e t i n,var ・ i ousi s sue s
4 9
1 981
年 と8 4
年 を除 いた各年 において は,信託機関の保有株式 の増加額 は常 に株 式 の新規発行額 を大幅 に上回 っていた。言 い換 えれば,信託機関には新規発 行 株 をすべて吸収 して もまだ余裕 がある程 の資金 が毎年流入 していたことになる。もちろん,信託機関の保有株式 の増加 には,前述 したよ うに株式市 場 にお け る 株価 の上昇 による評価増 が含 まれてい るので,単純 にその増加額 を株式 の新 規 発行額 と対比す ることは不適当か も知 れないが,それで も株式発行市場 にお け
る信託機関の位置 を推定す る上 で一つの参考 になる。
次 に,流通市場 における信託機関の位置 につ いて考察 してみよう
。
戦後 のアメ リカで は,1
955
年頃 までニュー ヨーク証券取引所 (NYSE)の 株式売買高の4
分 の3
近 くを個人投資家が占め,残 りの4
分 の 1を機関投 資家が 占める状態が続 いたが,1
960
年代 に機 関投資家 の占め る比率が急速 に上昇 し,60
年代 の後半 には機関投資家 と個人投資家 の売買高 は逆転す ることにな った。この傾向 はそれ以後 も一貫 して続 き,1
98 0
年 の両者 の売買比率 は,個 人投 資家35. 1%,機関投資家6 4. 9%
とな った (表17参照)0
また,株式売買高 とな らんで機関投資家 の保有株式 も次第 に増加 し
,1 9 80
年 にはNYSE上場株式 の時価総額1
兆2, 42 8
億 ドルの うち4,402
億 ドル,比率 に5 0
商 学 討 究 第3 9
巻 第2
号 表1 7 NYSE
の株式取引高r
期 間 個1
日の売買高人 機(
関1 0 0
万株)合 計 ‑両者の比率 (個 人 機 %)関1 95 2
年9
月1. 8 0. 8 2. 6 6 9. 2 3 0. 8 1 95 3
年3
月3. 0 1. 0 4. 0 7 5. 0 2 5. 0 1 9 5 4
年3
月2. 3 1. 0 3. 3 6 9. 7 3 0. 3 1 95 4
年1 2
月4. 8 1. 3 6. 1 7 8. 7 21. 3 1 95
.5
年6
月4. 0 1. 3 5. 3 7 5. 5 2 4. 5 1 95 6
年3
月14. 2 1. 4 5. 6 7 5. 0 2 5. 0 1 9 5 7
年1 0
月2. 7 1. 1 3. 8 71. 1 2 8, 9 1 9 5 8
年9
月5. 0 2. 0 7. 0 7
1.42 8. 6 1 95 9
年6
月 ‑3. 6 1. 5 5. 1 7 0. 6 2 9
.41 9 6 0
年9
月3̲ 5 1̲ 6 5. 1 6 8. 6 31. 4 1 9 61
年9
月3. 8 1. 9 5. 7 66. 7 3 3. 3 1 9 6 3
年1 0
月6. 5 2. 9 9
.46 9. 1 3 0. 9 1 9 6 5
年3
月5
.43. 5 8. 9 6 0. 7 39. 3 1 96 6
年1 0
月6. 1. 4. 6 1 0. 7 5 7. 0 . 43. 0 1 9 6 9
年全体7, 9 1 0, 1 1 8. 0 4 4
.15 5. 9
上半期8, 1 1 0
.0 1 8. 1 44. 6 5 5
.4下半期
7. 8 1 0. 2 1 8. 0 43. 5 5 6. 5 1 97
1年上半期1 0. 7 1 5. 9 2 6. 6 40. 3 5 9. 7
第 1四半期1 2. 1 1 6. 2 2 8. 3 42. 6 5 7
.4第
2
四半期9
.41 5. 6 2 5. 0 37. 6 6 2
.41 9 7 4
年第1
四半期9. 5 1 3. 7 2 3. 2 41. 1 5 8. 9 1 97 6
年第1
四半期1 8. 8 2 5. 3 4 4. 1 42. 7 57. 3
(出所)
Ne w Yor kSt o c kExc ha nge ,Fac t Book1 9 85,p. 5 6.
して
35
.4%を機関投資家が保有 していた (表1 8
参照)。このよ うに株式取引,株式保有 に占める機関投資家 の比率が増加 す る現 象 を
「機関化現象」