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ASR 供試体を用いた鉄筋亀裂進展度の評価

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Academic year: 2022

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(1)

ASR 供試体を用いた鉄筋亀裂進展度の評価

住友大阪セメント(株) 正会員 ○草野 昌夫 九州工業大学 正会員 幸左 賢二 九州工業大学 正会員 合田 寛基 九州工業大学 学生会員 土肥 宏記

1.はじめに

現在,鉄筋破断がASRを生じた実構造物で確認されており,

その主要因の解明が求められている.筆者らは,ASR模擬供試 体を用いた研究により,帯鉄筋曲げ加工時に発生した初期亀裂 が ASR 膨張により進展し,破断に至ることを確認した.しか し,上記の研究では急速に膨張が進展する膨張コンクリートを 使用しており,実構造物のような経時的な劣化状況下での鉄筋 亀裂進展の検討が必要と考えられる.そこで,本研究では図-

1に示す形状の反応性骨材を用いた供試体を作成し,長期暴露 状況下での劣化程度をパラメータとして劣化進展に伴う鉄筋 亀裂進展の評価を行った.

2.供試体の劣化進展状況

図-2に供試体ひび割れ密度の経時変化を示す.ひび割れ密 度は,主鉄筋方向の幅0.2mm以上のひび割れを使用し,供試体 の下面を除く3側面のひび割れ密度の平均値を示す.日数の経 過とともにひび割れ密度を計測した結果,劣化初期の case1で はひび割れ密度が 1.78m/m2,劣化中期の case2 では 3.98m/m2 と進展した.その後,case3では5.39 m/m2と,ひび割れの発生 は定常状態となり,劣化が終局状態まで達していた.

次に,ひび割れの発生傾向を検討するため,case3 に生じた ひび割れを用いて発生方向別にひび割れ密度を算出した結果 を図-3に示す.帯鉄筋方向は,1113日でひび割れ密度1.48m/m2, 主鉄筋方向は6.75m/m2とひび割れ発生量に差が生じた.また,

帯鉄筋方向では790日からひび割れ発生が収束するが,主鉄筋 方向のひび割れ発生量は 1100 日から若干少なくなる傾向が見 られる程度であり,ひび割れ発生が収束する時期にも差が見ら れた.このことから,ASRの膨張は拘束が弱い方に集中し,劣 化が進むにつれてその傾向が顕著になることが推察される.

3.鉄筋亀裂観察結果

図-4に示すように鉄筋曲げ加工部を軸方向で1/2カットし,

顕微鏡で50~200倍の断面観察を行い亀裂深さの測定を行った.

個別の曲げ加工を行った鉄筋で初期亀裂を観察し,膨張試験後 の亀裂進展の観察は各供試体からはつり出した旧節鉄筋を用 いて行った.なお,亀裂進展量の評価は亀裂深さを鉄筋径で除 した値を用いて行っている.

キーワード アルカリ骨材反応,鉄筋破断,節形状

連絡先 〒804-8550 福岡県北九州市戸畑区仙水町1-1 九州工業大学 TEL,FAX (093)-884-3123 図-1 供試体形状

旧節D16断面 300 340

300340

旧節D16鉄筋 現行D10鉄筋 帯鉄筋比:0.41%

670

340

100

単位:mm 340

試料1

試料2 試料3

図-3 方向別ひび割れ密度経時変化(case3)

1 2 3 4 5

0 200 400

経過日数(日)

ひび割れ密度(m/m2

600 800 1000 1200 6

7

側面B

1.89m/m2

3.97m/m2

6.75m/m2

0.94m/m2

1.31m/m2 1.48m/m2 帯鉄筋方向 主鉄筋方向 5.60m/m2

1.27m/m2

図-4 亀裂進展確認手法 図-2 供試体ひび割れ密度の経時変化 1

2 3 4 5

0 200 400

経過日数(日)

ひび割れ密度(m/m2

600 800 経過日数:452日

密度:1.78m/m2

経過日数:790日 密度:3.98m/m2

上面 側面B

A

1000 1200 経過日数:1113日

密度:5.39m/m2

case1 case2 case3 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑1095‑

Ⅴ‑548

(2)

図-5に旧波節D16鉄筋の亀裂進展量を示す.最大亀裂進展 量は,初期亀裂が2.07%,劣化初期で4.72%,劣化中期で6.22%,

劣化終局では 6.00%であり,いずれも図-4に示す発生箇所 b

(曲げ加工の中央部)で確認された.ここで,亀裂進展が劣化 中期以降は定常状態になる傾向が見られたため,この要因を既 往の竹節鉄筋を用いた実験の結果をもとに検 討 し た . 4.亀裂進展の特徴

図-6に竹節鉄筋の初期亀裂と終局時の亀裂進展量の結果を 示す.使用した竹節鉄筋は節高さ1.22mm,節変化率0.9mmで あり,波節と比較して節変化率はより小さい鉄筋である.鉄筋 亀裂に着目すると,竹節鉄筋の初期亀裂の最大値は4.00%,終 局の亀裂は鉄筋破断となり波節鉄筋(初期:2.07%,終局: 6.00%)

に比べ,竹節鉄筋の亀裂進展が著しく大きい結果となった.

図-7に示すように,鉄筋亀裂進展はASR膨張により帯鉄筋 が曲げ戻され,曲げ加工部内側に軸方向の引張力が生じ,鉄筋 曲げ加工時に節付け根部に生じた初期亀裂が進展することで 生じると考えられる.しかし,図-8に示すように鉄筋曲げ加 工の際,波節鉄筋の場合は45°の方向に,竹節鉄筋の場合は90°

の方向に初期亀裂が発生する.そのため,波節鉄筋は初期亀裂と 引張力とは 45°の角度を有するが,竹節鉄筋では初期亀裂に対 して直角方向に引張力が作用し,初期亀裂が進展するため鉄筋 破断が生じることが考えられる.以上のような原因から鉄筋に 同じ作用力が加わっても,波節鉄筋は角度を持った初期亀裂の ために亀裂進展量が小さくなったと考えられる.

5.まとめ

(1) 経年劣化に伴う旧波節鉄筋の亀裂深さの進展(初期亀裂 2.07%,劣化初期4.72%,劣化中期6.22,劣化終局6.00%) を確認した.ただし,劣化終局であっても亀裂は鉄筋径D16 に対して6.0%の進展にとどまった.

(2) 波節鉄筋の亀裂進展量が竹節鉄筋に比べて小さくなった原 因の一つとしては,初期亀裂に対して波節鉄筋は45°の方向 に,竹節鉄筋は90°の方向に膨脹力が作用するためであると 考えられる.

図-8 曲げ加工時の亀裂状況(a:波節 b:竹節)

(a)波節鉄筋 (b)竹節鉄筋

亀裂

45°

90°

膨張による 作用力方向

図-7 鉄筋亀裂進展のメカニズム

軸方向 深さ方向

円周方向

②引張力

③亀裂進展

①曲げ戻し 図-5 鉄筋亀裂(波節)

亀裂深さ/鉄筋径(%

図-6 鉄筋亀裂(竹節)

亀裂深さ/鉄筋径(%

試料3 試料2 40

30 20

0 100

Max:4.00

鉄筋破断

10

平均:2.17 平均:14.1 各鉄筋における最大値 各試料における最大値

※ 節3つに対する平均値

(1)節高さ( mm) (2)節変化率φ(mm)0.9

1.22

試料1 試料2 試料3 初期亀裂

試料1

劣化終局 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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参照

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