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超音波レール探傷車の横裂自動判定の検討

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Academic year: 2022

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(1)

0°5MHz 70° 0°2MHz

表層部水平裂 頭部横裂 頭部水平裂 0°5MHz 70° 0°2MHz

表層部水平裂 頭部横裂 頭部水平裂

図‐2 水平裂長と横裂のモデル

水平裂の長いシェリング 水平裂の短いシェリング

検知 不可 検知 可

水平裂の長いシェリング 水平裂の短いシェリング 水平裂の長いシェリング 水平裂の短いシェリング

検知 不可 検知 可

図‐1 シェリング傷を検出する探触子

超音波レール探傷車の横裂自動判定の検討

西日本旅客鉄道株式会社 正会員 ○上西 大樹 西日本旅客鉄道株式会社 正会員 堀 克則

1.はじめに

レール折損の防止は保線の最重要課題のひとつである.JR 西日本におけるレール傷管理では,超音波レー ル探傷車(以下,「探傷車」と称す)によりレール傷を検出し,そのデータに基づき超音波探傷器を用いた精 密な検査を実施してランク判定を行っている.今回 JR 西日本では,探傷車に横裂自動判定機能を追加し,レ ール傷管理を効率的に行えるようにした.以下に概要を述べる.

2.本研究の目的

レール探傷車が出力する傷のうち,シェリング傷に関係する傷には表層部水平裂,頭部水平裂および頭部 横裂がある.これらの傷は,探傷車に搭載された 3 種類の探触子により検出される(図-1).平成 19 年度の レール探傷車の出力データから,これらの傷について調査した結果,表層部水平裂が全体の 96%を占めるこ とがわかった.JR 西日本におけるシェリング傷の評価は原則として横裂深さを基準としていることから,横 裂が無く表層部水平裂のみで検出されているような傷につ

いては,精密な検査の対象とする必要はない.探傷車が検 出する表層部水平裂のうち横裂を有さないレール傷を探傷 車で判別することができれば,精密な検査対象となるレー ル傷を大幅に減じることが可能であることから,今回探傷 車に横裂自動判定機能を追加することとした.

3.検討事項

探傷車が検出した表層部水平裂のうち,横裂の有無を確 認する方法について,以下のとおり検討を行った.

(1)水平裂長と横裂検知について

図-2 に示すようにシェリング傷は,水平裂から横裂 へ枝分かれすることがある.このような場合は,水平裂

の長さが横裂検知の可否に影響を与えることとなる.現在,探傷車では表層部水平裂をその検知長さによ り 1~3 にランク分別しており,25mm 以下を最小ランクとしている.図-2 に示すように検知可能な横裂深 さは水平裂の長さによることから,現行の最小検知長さである 25mm 以下を細分化することにより比較的浅 い横裂にも対応可能と考えた。

(2)表層部水平裂の出力ランク変更の検討

表層部に水平裂がある場合に 70°の探触子から発する超音波により検知可能な横裂深さについては,図

-3 に示すモデルで評価することした.なお,本モデルは,幾何学的に最も検知が困難な位置に横裂が発 生した場合を想定している.図-3 により算出した表層部水平裂長さと検知可能な横裂深さの関係を示す.

表-1 に示すとおり,表層部水平裂長さ(L)が 15mm 以下の場合,10mm 未満の横裂(F)を検知することが 可能である.本結果を受けて,表層部水平裂の出力ランクを表2の通り変更することとした.

キーワード レールシェリング,超音波レール探傷車,水平裂,横裂

連絡先 〒530-8341 大阪市北区芝田二丁目4- 24 JR西日本 鉄道本部 施設部 保線課(技術基準) TEL 0663758960 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑649‑

Ⅳ‑326

(2)

表‐3 表層部水平裂の出力状況 表‐4 表層部水平裂 1 出力箇所の 精密な検査結果

表層部水平裂 36mm≦L000000

表層部水平裂 26mm≦L≦35mm

表層部水平裂 21mm≦L≦25mm

表層部水平裂 036mm≦L 00000

表層部水平裂 16mm≦L≦20mm

表層部水平裂 26mm≦L≦35mm

表層部水平裂 L≦15mm

表層部水平裂 L≦25mm

出力ランク 検知した水平裂長さ

出力ランク 検知した水平裂長さ

表層部水平裂 36mm≦L000000

表層部水平裂 26mm≦L≦35mm

表層部水平裂 21mm≦L≦25mm

表層部水平裂 036mm≦L 00000

表層部水平裂 16mm≦L≦20mm

表層部水平裂 26mm≦L≦35mm

表層部水平裂 L≦15mm

表層部水平裂 L≦25mm

出力ランク 検知した水平裂長さ

出力ランク 検知した水平裂長さ

表-2 表層部水平裂の出力ランクの変更内容  H L

F

L:水平裂長さ

F:頭頂面からの横裂深さ

H:頭頂面からの水平裂発生位置までの距離 θ:70°(横裂検知用探触子の公称屈折角)

θ

表‐1 表層部水平裂長さと 検知可能横裂深さ 図‐3 探触子と検出可能な傷の形態

H=2 H=3 H=4 H=5 10 5.2 6.2 7.2 8.2 15 6.8 7.8 8.8 9.8 20 8.4 9.4 10.4 11.4 21 8.7 9.7 10.7 11.7 22 9.1 10.1 11.1 12.1 23 9.4 10.4 11.4 12.4 24 9.7 10.7 11.7 12.7 25 10.0 11.0 12.0 13.0

L F

表層部水平裂

検知ランク 出力数 割合表層部水平裂の 検知長さ ランク1 1261 21% ≦15mm ランク2 561 9% ≦20mm ランク3 287 5% ≦25mm ランク4 696 12% ≦35mm ランク5 3126 53% ≧35mm

総数 5931 100%

管理室表層部水平裂1 出力箇所の シェリング個数

A1ランク 個数(個)A1ランク

割合 備  考

A 20 20 100.0%

B 104 104 100.0%

C 86 85 98.8%A2:頭部横裂4と併せて検知

210 209 99.5%

表‐5 自動判定適用後の精密な検査省略の可否

なし 1 2 3 4 5 1 × × 2~5 × × × × × ×

傷ランク 頭部横裂の出力ランク

表層部水平裂の出力ランク

○: 精密な検査の省略が可能

×: 精密な検査の実施が必要

4.出力ランク変更後の検証

表層部水平裂の出力ランクを変更した上で実際に探傷車を走行 させ,以下の項目について確認を行った.

(1)傷検出種別

出力ランク変更後の表層部水平裂の出力結果を表-3 に示す.

表-3 に示すとおり当社のシェリング傷の判定基準で精密な検査 省略可能となる横裂深さが 10mm 未満となる水平裂長さ 15mm 未満の傷は 全体の 21%であった.

(2)現場における精密な検査による検証

探傷車の出力ランク変更後に表層部水平裂1(L≦15mm)を出力した箇所に ついて精密な探傷検査を実施したところ,表-4 に示す結果が得られた.

表-4 に示すとおり,表層部水平裂1でシェリング傷管理をしている箇所 の 99.5%は,JR 西日本の判定基準では横裂深さが 10mm 未満の A1 ランクであ ること確認された.また,表層部水平裂1が出力されたが A1 ランクとならな かった1箇所については,水平裂の影響を受け

ることなく頭部横裂が同時に出力されており,

本機能に問題ないことが確認された.

以上より,表層部水平裂ランク1の箇所につ いては,精密な検査を省略可能と判断し,精密 な検査の対象となる探傷車の出力内容を表-5 の通り変更することとした.

5.まとめ

本研究により得られた知見をまとめると、以 下のとおりである.

(1)70°探触子を用いて深さ 10mm 以上の横裂 の検知が可能な表層部水平裂の長さは 15mm 以下である.

(2)表層部水平裂の検知長さが 15mm 以下のシ ェリング傷は,ほとんどが横裂深さ 10mm 未満である.この場合,深さ 10mm 以上の 横裂があったとしても頭部横裂として検

出可能である.したがって,15mm 以下の表層部水平裂を単独で検出した場合は,精密な検査を省略可 能である.

(3)探傷車の横裂自動判定を採用した際には,2 割程度の精密な検査の省略が可能と考えられる.

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑650‑

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参照

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