Title
Clinical and pathological differences between skin-limited
IgM/IgG vasculitis and skin-limited IgA vasculitis( 内容と審査
の要旨(Summary) )
Author(s)
川村, 美保
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学) 甲第1153号
Issue Date
2021-03-25
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/81562
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名 ( 本 籍 ) 川 村 美 保 (三重県) 学 位 の 種 類 博 士(医学)
学 位 授 与 番 号 甲第 1153 号 学 位 授 与 日 付 令和 3 年 3 月 25 日
学 位 授 与 要 件 学位規則第4条第1項該当
学 位 論 文 題 目 Clinical and pathological differences between skin-limited IgM/IgG vasculitis and skin-limited IgA vasculitis
審 査 委 員 (主査)教授 竹内 保
(副査)教授 塩入 俊樹 教授 森重 健一郎
論 文 内 容 の 要 旨
【目的,緒言】
免疫複合体血管炎は IgA 沈着を伴う IgA 血管炎と,IgA 沈着を伴わない免疫複合体血管炎に分けられ てきた。従来,IgA 血管炎は臨床的に下肢に好発する浸潤を触れる(触知可能な)紫斑を特徴とし, 小児では 4~6 週間以内に寛解するが,成人ではより積極的治療が必要と考えられてきた。
2018 年 Sunderkötter らは血管炎 Chapel Hill 分類 2012 年に追加する形で,IgA 血管炎の他に皮膚の 免疫複合体血管炎の一つとして,皮膚 IgG/IgM免疫複合体血管炎の存在を提唱した。しかしその詳 細は未だ明確にされていない。そこでわれわれは 2009 年から 2019 年の間に岐阜大学医学部附属病院 皮膚科を受診し,蛍光抗体直接法で確認できた IgG/IgM 血管炎と IgA 血管炎の臨床的および病理組織 学的検討を行った。 【対象と方法】 岐阜大学大学院医学系研究科医学研究等倫理審査委員会の承認を得て,2009 年 1 月から 2019 年 12 月の間に当科を受診し,臨床所見および病理組織所見,蛍光抗体直接法で診断した皮膚限局性 IgA 血 管炎 24 例(男性 3 名,女性 21 名 49.5±21.1 歳)および皮膚限局性 IgM/IgG 血管炎 14 例(男性 8 名,女性 6 名 50.9±24.9 歳)の患者を対象とした。感染症,悪性腫瘍,膠原病,薬剤誘発性などの 要因が関与したと考え得る症例は除外した。2 群間で皮疹の性状と分布,血液検査所見(末梢血球数, 血清 IgG,IgA,IgM 値,CRP,ESR, AST,ALT, BUN,Cre,ASO),病理組織所見(好中球,リンパ球, 好酸球,組織球の浸潤を評価),治療と臨床経過を比較した。統計分析は,χ2検定およびStudent t-test および Mann–Whitney U 検定を使用した。統計的有意差は,P値<0.05 を有意と判定した。 【結果】 臨床的特徴として,リベド病変(網状皮斑)は IgA 血管炎群と比較して IgM/IgG 血管炎群で有意に多 かった。触知可能な紫斑は IgM/IgG 血管炎群と比較して IgA 血管炎群で有意に多かった。一方,硬結, 触知できない紫斑,潰瘍,血疱,紅斑に有意差はなかった。皮疹は両群とも主に下腿に分布しており, 下腿のみに限局した皮疹は IgM/IgG 血管炎群で有意に多かった。
血液検査所見においては,2 群間で末梢血細胞数に有意差はなく,血清 IgG 値,IgM 値,IgA 値に優位 差はなかった。
病理組織学的所見においては両群とも真皮上層の血管の損傷を示した。浸潤する好中球と核塵の数は IgM/IgG 血管炎群で有意に少なかった。免疫組織化学的染色では CD3+,CD4+,CD8+T細胞がこれら 2
群間のいずれにおいても真皮上層の毛細血管周囲に浸潤しており,CD3+,CD8+T細胞数は IgA 血管炎 群で増加していた。また発症から生検までの期間は 2 群間で有意差はなかった。 治療と臨床経過については,ステロイド全身投与は IgA 血管炎群でより多く使用されていた。少なく とも 3 か月の経過観察中に IgA 血管炎群では 19 例中 3 例が再燃し,IgM/IgG 血管炎群では 10 例全例 再燃はみられなかったが,2 群間で有意差はなかった。 【考察】 IgA 血管炎では皮膚症状が最も多いが,全身症状も 25~70%の症例でみられる。一方 IgM/IgG 血管炎 は全身症状を示さない。そこでわれわれの研究では IgM/IgG 血管炎を皮膚限局性 IgA 血管炎と比較し た。我々の検討では,リベド病変(網状皮斑)が IgM/IgG 血管炎群で有意に多く,浸潤を触れている 紫斑が IgA 血管炎群で有意に多かった。この臨床所見からは血管炎の病理組織学的な深さが 2 群間に ある可能性が示唆された。また IgA 血管炎群では IgM/IgG 血管炎群と比較し,より多くの好中球, CD8+T細胞,CD3+T細胞の浸潤を示した。浸潤する細胞数の違いは生検の時期に依存する可能性があ るが,発症から生検までの期間には有意差がなく,IgA 血管炎群ではより強い炎症がおきている可能 性を示唆すると考えた。浸潤細胞の分析結果は,2 群間の異なる臨床像に関連している可能性がある。 【結論】 IgM/IgG 血管炎群は IgA 血管炎群と臨床的および組織学的に異なる病型と考えられる。 すなわち IgA 血管炎は比較的浅い血管に強い炎症を及ぼし広範囲に皮膚症状が出現すると考えた. 我々の検討では症例数が限られており,IgA 血管炎群と IgM/IgG 血管炎群の違いを評価し,それらの 違いを明確に定義するためにはさらなる症例の蓄積が必要である。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 申請者川村美保は,皮膚限局性 IgA 血管炎および皮膚限局性 IgM/IgG 血管炎について,2 群間での 皮疹の性状と分布,血液検査所見,病理組織所見,治療と臨床経過を比較検討した。 その結果,IgM/IgG 血管炎群と IgA 血管炎群において臨床的および病理組織学的差異が見い出され, IgM/IgG 血管炎は IgA 血管炎とは異なった病型であることを示した。 本研究の成果は IgA 血管炎および IgM/IgG 血管炎の病態理解を前進させ,皮膚科学の発展に少なから ず寄与するものと認められる。 [主論文公表誌]
Miho Kawamura , Yuki Mizutani , Yoko Mizutani , Kanako Matsuyama , En Shu , Tatsuhiko Miyazaki , Mariko Seishima :Clinical and pathological differences between skin-limited IgM/IgG vasculitis and skin-limited IgA vasculitis
J Cutaneous Immunology and Allergy.2021;00:1-6. DOI:10.1002/cia2.12156