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3-006 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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E-ディフェンスによる地盤基礎実験結果の可視化システムの開発

防災科学技術研究所 正会員 ○田端憲太郎 防災科学技術研究所 正会員 佐藤 正義 ソフト・プライム 中島 寛 東京ソイルリサーチ 正会員 阿部 秋男

1.はじめに

地盤の液状化に伴う側方流動現象や地盤・基礎の動的相互作用等を調べるため,土槽内に地盤や基礎構造物 等の模型を設けた試験体に対する振動実験が,E-ディフェンスによる大型土槽の震動実験を含め,数多く実 施されてきた。一般的に,模型試験体を用いる実験では,土槽内に地盤や構造物のモデルが作製されるために 地表面以上の挙動のみが観察可能であり,地盤内部を含む試験体全体の実験時挙動をイメージすることは困難 である。このような実験では,地盤内部の動きと同時に計測データの時刻歴を見ることができれば,実験時の 地盤や構造物の挙動をより深く理解することが可能となる。そこで筆者らは,振動実験の計測データを使用し て,試験体挙動を3次元アニメーションと2次元グラフ表示する可視化システムの開発1)に取り組んだ。本文で は,このシステムの概要について報告する。

2.システムの概要

本システムは,「QuakeVis」,「Make-data」,「Make-model」の3つのソフトウェアで構成されている。

(1)QuakeVis:可視化するソフトウェア本体であり,試験体挙動の3次元アニメーションと2次元グラフによる 表示が可能である。3次元アニメーション表示では,変位データを用いて実験時の試験体挙動を可視化する。

また,加速度,ひずみ,土圧,間隙水圧等については,それらの測定位置にマーク(球,円錐等)を表示し,マ ークの大きさを変化させることにより物理量変化を表現する。本ソフトウェアでは,試験体とマークの表示を 拡大・縮小と回転(任意方向から見ることが可能)させることができ,変位・加速度・ひずみ・土圧・間隙水圧 の表示スケールをアニメーション実行の途中でも自由に変化させることが可能である。さらに,2次元グラフ により実験データの時系列を表示できる。本ソフトウェアは,実行ファイル群の他に,次の3種類のファイル・

フォルダで構成される。

・modelsフォルダ:モデル(土槽,地盤,杭等)の形状と実験時動作を定義する「modelファイル」を含む。

・dataフォルダ:実験で収録された計測データから,挙動を可視化(3次元アニメーションと2次元グラフ表 示)するために最適化された「dataファイル」を含む。

・メタデータ「metadataファイル」:

modelファイルとdata

ファイル内の各データを関連づけ,アニメーション 表示方法を定義する。

(2)Make-data:E-ディフェンスによる実験データ等,記 録間隔が非常に短い計測データは可視化処理時に大きな 負荷となることから,本ソフトウェアで可視化用に計測 データを最適化する(dataファイルの作成)。さらに,本ソ フトウェアにより,加速度から積分による変位算出等の 計測データの処理・補正・編集が可能である。また,

metadataファイルはテキスト形式のファイルであるが,試

験体の各要素の座標とそれに対応する数多くの計測デー

図1 矢板護岸の側方流動実験の可視化

キーワード 可視化,模型実験,振動台実験

連絡先 〒673-0515 兵庫県三木市志染町三津田西亀屋1501-21

TEL: (0794) 85-8211

3-006 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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タ(変位,加速度,ひずみ,土圧,間隙水圧等のx,y,z方 向の時刻歴)と測定位置の関連づけには時間と労力を要す るため,本ソフトウェアにより短時間・簡便なmetadataフ ァイル作成作業を実現した。

(3)Make-model:modelファイルはCADソフトウェアやエ ディタで作成可能であるが,モデルを構成する要素が膨大 なため,本ソフトウェアによりmodelファイルの作成の時 間短縮と作業を簡便化できる。

3.実験結果の可視化

本システムの適用例として,図1にE-ディフェンスに よる矢板護岸の側方流動実験2)を可視化した表示画面を示 す。図1の土槽外側に見られる縞模様は地盤要素を示し,

杭の周辺に見られる黄緑色や青色の点は加速度計や水圧 計の測定位置を示している。図2に,図1と異なる方向か ら見た実験終了後における矢板の水平移動と傾斜,杭基礎 構造物の残留変位を示す。次に,E-ディフェンスによる 水平地盤実験3)での杭基礎構造物と地盤(外側の縞模様で 表示)の試験体の様子を,図3・4に示す。図3は加振前 の状態,図4の左側は加振開始から35秒経過した時点の状 況であり,杭基礎や地盤要素の変形が示されている。なお,

杭表面の赤いマークは,その位置のひずみの大きさを表し ている。図4の右側には,地盤の加速度の35秒時点におけ る深度分布と,この時点までの各深度の時刻歴が表されて おり,試験体挙動の3次元アニメーションとあわせて,2次 元グラフを同時に表示させることが可能である。

本システムは地盤模型実験だけに限らず,種々の振動実 験の可視化に利用できる。図5は簡単な建物をイメージし た試験体の表示例であり,各層ごとに色を変化させて振動 時の建物の変形挙動を表示させることが可能である。

4.まとめ

E-ディフェンスによる地盤基礎実験などの振動実験 における試験体状況の可視化ができるようになり,地盤内 部や地盤中のモデルの挙動を見ることができるようにな った。しかし,構造物の破壊状況等を正確に表現するまで には至っておらず,機能追加・修正により本システムを発 展させる必要があると考える。

参考文献:1) Meneses, J., Sato, M. and Abe, A.: A 3-D visualization system for large-scale experimental geotechnical earthquake databases, 4th Int’l Conf. Earthquake Geotech. Engr., Greek, Paper No.1341, 2007.

2) 田端, 佐藤, 徳山: E-ディフェンスによる矢板護岸と杭基礎構 造物を有する模型地盤の液状化に伴う側方流動実験, 第42回地盤工 学研究発表会, 1465-1646, 2007. 3) 田端, 佐藤, 時松: E-ディフ ェンスによる非液状化地盤中の杭基礎の震動実験(その1:大型せん 断土槽を用いた水平地盤実験の概要), 日本建築学会大会講演梗概 集, 635-636, 2007.

図2 矢板護岸の側方流動実験の 実験終了後における可視化

図3 水平地盤実験の可視化

図4 水平地盤実験の35秒時点の可視化

図5 建物の震動実験の可視化例

3-006 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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