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落石防護網の実規模静的載荷実験

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Academic year: 2022

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落石防護網の実規模静的載荷実験

土木研究所寒地土木研究所 正会員○西 弘明 土木研究所つくば中央研究所 正会員 加藤 俊二 土木研究所寒地土木研究所 正会員 今野 久志 室蘭工業大学大学院 正会員 栗橋 祐介 土木研究所寒地土木研究所 正会員 山口 悟 室蘭工業大学大学院 正会員 小室 雅人

1.はじめに

落石対策工の一つである従来型ポケット式落石防護網の設計は落石対策便覧(以下,便覧) 1) を参考に、構成部材 の吸収可能エネルギー及びエネルギー差を用いて行われているが、その応答メカニズムの解明という観点から行わ れた検討事例はごく限られている。著者らは従来型ポケット式落石防護網について,耐衝撃挙動やエネルギー吸収 機構等を把握するための実規模衝撃載荷実験を実施してきた 2).本稿では,落石防護網の構成部材のエネルギー吸 収量や数値解析における材料構成則等を検討することを目的に実施した,静的載荷実験の概要について報告する.

2.実験概要

図-1に供試体形状を,写真-1~3に実 験状況と載荷用重錘,センサーを示す.実験は 堀込式の試験ヤード上に水平に設置した供試 体に,トラッククレーンで吊り下げた重錘に より静載荷させて実施した.

2.1 試験体概要

供試体の形状寸法は,上述の衝撃載荷実験 と同一で,金網高10 m,金網幅15 mである.

金網には菱形金網5.0 φ×50×50 mm,縦・横ロ ープには18 φ,縦補助ロープには14 φを用い ている.縦(補助)ロープの間隔は3.0(1.5) m,横 ロープの間隔は5.0 mとしている.ワイヤロー プの各交点にはクロスクリップを,ワイヤロ

ープと金網の結合には結合コイルを使用している.縦・横ロープの端部処理は両端をロック(圧縮)加工とし,縦補助 ロープについては端部を1.5 m程度折り返し,ワイヤクリップを用いて固定した.

2.2 実験方法

載荷には,落錘衝撃実験用の質量10 t (直径1.25 m,高さ95 cm,底部より高さ 30 cm の範囲が半径 1 m の球状) の重錘に鉛部材を設置し,質量を約22 tに調整して使用している.本実験における測定項目は,重錘吊り下げ用の ワイヤロープに取り付けたロードセルによる載荷荷重,縦・横ロープ端部のターンバックルに貼付した歪ゲージに よるロープ張力,ワイヤ式変位計による重錘直下およびロープ交点の鉛直変位である.載荷位置は,図-1に示す 2箇所であり,便覧に示されている荷重の作用位置(縦位置:横ロープ間中央,横位置:補助ロープ上)を基本とし,

もう1箇所は横位置を縦ロープと縦補助ロープの中間位置とした.なお,ワイヤロープの初期張力は,縦ロープを

6~11 kN,横ロープを15~23 kNとしたが,金網も含めた自重によりたわみが生じている状態であった.

3.実験結果 3.1 金網鉛直変位

図-2に,縦補助ロープ上への載荷ケースにおける荷重と補助ロープの鉛直変位の関係を示す.図より,載荷点 直下の測定点であるT-1に着目すると,変位が300 mm 程度に達するまでは荷重は数kN程度であり,変位の増加

キーワード ポケット式落石防護網,実規模実験,静載荷実験

連絡先 062-8602 札幌市豊平区平岸1-3-1-34 土木研究所寒地土木研究所寒地構造チーム TEL011-841-1698 図-1 落石防護網実験供試体の形状

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑539‑

Ⅰ‑270

(2)

写真-1 実験状況 写真-2 重錘 写真-3 センサー設置状況

図-2 荷重-変位関係 図-3 荷重-縦ロープ張力関係 図-4 荷重-横ロープ張力関係

に対して非常に緩やかな変化となっている.その後,荷重30 kN (変位900 mm) 程度からは,ワイヤクリップのす べり等によるものと考えられる数kNの増減を伴いながら,荷重は変位に対してほぼ線形的に増加している.本ケ ースでは,載荷点近傍の金網の変形状況やロープ張力等から判断して,約120 kN (変位約1700 mm) までの載荷と した.この荷重-変位関係から,本実験条件における金網とワイヤロープから構成される構造全体系の最大荷重作 用時点までのエネルギー吸収量は約70 kJと算定される.なお,除荷時の残留変位は900 mm程度であった.

一方,載荷点以外の測定点に着目すると,近傍のT-4とT-5がほぼ同様な挙動を示しており,その最大変位は約

500 mmと載荷点の3割程度にとどまっている.最遠端のT-2ではほぼ変位は生じておらず,また,その手前のT-3

においては載荷方向とは反対に200 mm程度盛り上がった状態になっている.図示していないその他の測定点にお いても,最大変位は400 mm程度であり,載荷点近傍で局所的に大きな変位が生じている状態であることがわかる.

3.2 ロープ張力

図-3,4に,縦補助ロープ上への載荷ケースにおける荷重とロープ張力の関係を示す.図より,ロープの両端 (t, b) でほぼ等しい張力となっていること,また,荷重-変位の関係と同様に,載荷初期の荷重の増加は緩やかであ ることがわかる.縦ロープの最大張力に着目すると,載荷点近傍のV3およびV4がそれぞれ両端の平均値で約85,

100 kNであり,他の0~10 kN程度に比較して大きな状態となっている.これは横ロープに関しても同様で,載荷

点近傍のL2,L3の張力がL1と比較して大きく,本供試体のような構造 (構成),支持条件に対する静載荷では,載 荷点近傍のロープで大部分の荷重を分担していることがわかる.

4.まとめ

本研究では,従来型ポケット式落石防護網の構成部材のエネルギー吸収量や数値解析における材料構成則等を検 討することを目的に静載荷実験を実施し,その挙動を把握した.今後は,実験結果を踏まえ落石防護網のエネルギ ー吸収機構等について詳細に分析する予定である.

参考文献

1) 社団法人日本道路協会:落石対策便覧,2000年6月

2) 山口 悟,今野久志,西 弘明,佐々木哲也,小室雅人:従来型ポケット式落石防護網の実規模重錘衝突実験,

鋼構造年次論文報告集,巻21巻,2013年11月

ロードセル

横ロープ 縦ロープ

補助ロープ

変位計 ターンバックル

歪ゲージ

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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参照

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