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博士学位申請論文審査報告書

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Academic year: 2022

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(1)2015 年 1 月 5 日. 博士学位申請論文審査報告書 大学名. 早稲田大学. 研究科名. スポーツ科学研究科. 申請者氏名. 舟橋弘晃. 学位の種類. 博士(スポーツ科学). 論文題目. エリートスポーツ政策に対する国民の受容性 Public Acceptance of Elite Sport Policy. 論文審査委員. 主査 早稲田大学教授. 間野義之 博士(スポーツ科学) (早稲田大学). 副査 早稲田大学教授. 平田竹男 博士(工学)(東京大学). 副査 早稲田大学教授. 岡浩一朗 博士 (人間科学) (早稲田大学). 副査 早稲田大学准教授. 松岡宏高 Ph. D. (オハイオ州立大学). グローバル・スポーツ軍拡競争(Global sporting arms race)といわれるように、昨今のエリ ートスポーツは競技者や指導者としての個人あるいは一競技団体の取り組みから、国家的な関心 事へと変容している。エリートスポーツ分野への財政支出の拡大は、先進諸国において増加傾向 にある。しかしながら、その持続可能性には疑問が呈されている。中期的な将来に、エリートス ポーツへ国費投入の正当性を国民に示すことが困難となり、政策路線を転換する国が現れること が予測される。すでに、オーストラリアやイギリスではエリートスポーツへの公共支出に対する 見直しが実施されている。このような背景を考慮すると、持続可能なエリートスポーツシステム を構築していくためには、 「公共受容/国民(納税者)の理解」という視点が不可欠である。 このような背景のもと、本論文では「エリートスポーツ政策に対する国民の価値評価、および 受容態度の形成メカニズムを明らかにすること」を研究目的としている。 まず最初に、仮想市場法を用いてエリートスポーツ政策に対する貨幣評価(WTP)を推計した。 その結果、成人一人あたり 421 円で、集計値は約 439 億円と示した。この値は文部科学省が計上 している国際競技力向上関係予算を上回る価値を国民が認識している可能性を示した。 (学術誌掲 載論文 1) 次に、エリートスポーツ政策に対する WTP に与える時勢の影響を検証した。その結果、オリ ンピックの前後でも WTP には有意な変化がなく、少なくとも半年間は時間的信頼性を有するこ とを縦断研究により示した。(学術誌掲載論文 2) さらに、WTP に影響を与える社会心理学的要因及びその形成メカニズムを明らかにするために、 共分散構造分析を用いてモデルの適合度を検証した。その結果、エリートスポーツサクセスの社 会的/私的ベネフィット認知(自国に対する誇り、幸せを感じる等) 、エリートスポーツにおける リスク認知(ドーピング等)、アスリートのロールモデルとしての認知が、WTP に影響を与える ことを明らかとした。(学術誌掲載論文 3) 加えて、本論文では、政策アクターの信頼とアスリートのロールモデル認知が、さらに社会的 /私的ベネフィットとリスクを規定し、それらがエリートスポーツ政策の受容意識に強い影響を 1.

(2) 与える構造があることを示唆した。 以上のとおり、本論文ではエリートスポーツ政策の受容性を貨幣尺度にて数量化する方法論を 提示した。その結果、政策目標の競技水準から得られる効用の貨幣評価は、控えめに推計しても わが国の国際競技力向上予算を上回ることを示した。この値は夏季オリンピック競技大会後も半 年間は有意な変化をすることはなく、時間的信頼性が示唆された。また、WTP を規定する要因は、 エリートスポーツサクセスがもたらす社会的/私的ベネフィットの認知、エリートスポーツシス テムが孕んでいるリスクの認知、エリートスポーツ政策アクターの信頼、アスリートのロールモ デル認知と関連していた。 これらのことから、エリートスポーツ政策に対する国民の受容性を高めるためには、社会的ベ ネフィットに働きかけることが有効であると同時に、アスリートの真のロールモデルの養成がエ リートスポーツシステムにおいて重要であることを示唆した。 なお、本論文に含まれる研究内容は、下記のように学術誌上で刊行されており、当該関連分野 の研究者からも高い評価を得ている。. 1) 舟橋弘晃、間野義之:国民にとってのエリートスポーツの価値:CVM(仮想市場法) を用いたエリートスポーツ政策の貨幣評価. スポーツ産業学研究, 第 23 巻,第 2 号: 145-154, 2013.(研究 1) 2) 舟橋弘晃、間野義之:仮想市場法を用いた日本のエリートスポーツ政策の貨幣的評 価:縦断データによる時間的信頼性の検証. 体育学研究, 第 59 巻,第 2 号:465-481、 2014.(研究 2) 3) Funahashi H., Mano Y., Socio-psychological factors associated with the public’s willingness to pay for elite sport policy: does risk perception matter? Managing Leisure. in press. (研究 3) 4) Funahashi H., Nagamatsu J., Shirai K., Yamashita S., Nakamura H., Yamada E., Waku T., De Vosscher V., Mano Y.:Success drivers in the Japanese elite sport system: An examination based on evaluations of elite sport climate by elite athletes. Asian Sport Management Review, Vol.7:61-98, 2014. 5) 舟橋弘晃、間野義之:国際競技力に関する研究の動向―マクロレベルのオリンピック 研究に着目して. Japanese Journal of Elite Sports Support, 第 5 巻:33-49, 2012. 上記のような評価を得て、本審査委員会は、舟橋弘晃氏の学位申請論文が博士(スポーツ科学) の学位を授与するに十分値するものと認める。 以上. 2.

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