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博士学位申請論文審査報告書

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Academic year: 2022

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(1)2018 年 1 月 8 日. 博士学位申請論文審査報告書 大学名. 早稲田大学. 研究科名. スポーツ科学研究科. 申請者氏名. 菅. 学位の種類. 博士(スポーツ科学). 論文題目. チーム・アイデンティフィケーションと地域愛着の関係分析. 文彦. Analysis. on. Relationship. between. Team. Identification. and. Place. Attachment 論文審査委員. 主査 早稲田大学教授. 間野義之 博士(スポーツ科学) (早稲田大学). 副査 早稲田大学教授. 原田宗彦 Ph.D (ペンシルバニア州立大学). 副査 早稲田大学教授. 松岡宏高 Ph.D (オハイオ州立大学). スポーツを通じた地域活性化の推進は,スポーツが有する存在価値のひとつとしてスポーツ基 本法にも謳われている.プロスポーツの振興を志向する自治体も多く見られ,地域への経済的効 果,社会的効果,心理的効果の発揮が見込まれている.なかでもJクラブなど地域を本拠地とす るプロスポーツチームに対しては,心理的効果の範疇として「地域への愛着や誇りの醸成」への 期待が高い. しかし,プロスポーツチームと地域への愛着の関係について,学術的な検証は十分とはいえな い.両者の関係について学術的な検証と考察を試みることは,プロスポーツ振興を通じた地域活 性化を志向する自治体の政策・施策に新たな意義が付与されると考えられる. 本研究では、先行研究の整理・検討によって,①地域愛着には「地域の社会的環境に対する評 価」(以下,社会的評価)が強く影響すること,②チーム・アイデンティフィケーション(以下, チーム ID)と地域愛着の相関関係が有意であること,③両者の因果関係,とりわけチーム ID を 独立変数,地域愛着を従属変数とする関係の実証が不十分であることを示した.このため本研究 では,以下のリサーチ・クエスション(RQ)および仮説を設定している. RQ はチーム ID と地域愛着はどのような関係構造にあるのか.仮説 1 は同一地域の住民間にお いて,観戦意図が高いほど,観戦行動をしているほど地域愛着が高い.仮説 2 は一定期間にチー ム ID を上昇させた住民は,上昇しない住民と比較して,地域愛着が上昇する.そして仮説 3 は チーム ID の上昇は,社会的評価の上昇を伴い,地域愛着の上昇を導く.とした。 研究 1 では、仮説 1 の検証を目的に,愛媛県今治市を調査対象地に選定し,FC 今治の公式戦 観戦者と今治市の住民(非観戦者)を対象とする横断的調査により地域愛着の程度を比較した. その結果,観戦者は非観戦者よりも地域愛着が有意に高く(t 検定) ,非観戦者内においても観戦 意図が高いほど地域愛着が有意に高かった(一元配置分散分析).観戦者内で観戦経験回数による 地域愛着の有意差は認められなかった.以上の結果から,仮説 1 は支持された1).住民間の FC 今治に対する認知度や関心度が顕在化してからの期間が短い点を鑑みると,地域愛着が元々高い 住民がチーム ID の高さを示して観戦行動を示したことで,観戦者の地域愛着が高い結果が導出さ 1.

(2) れたと考えられた.チーム ID が時系列で上昇した際の地域愛着の変化の検証が課題とされた. 研究 2 では、仮説 2 の検証を目的に,今治市の住民を対象に縦断的調査(Ⅰ期〜Ⅲ期/9 ヶ月 間)を行い, 「チーム ID 上昇群」 「非上昇群」間で地域愛着の変化を比較した(二元配置分散分析) . その結果,チーム ID と期間推移の交互作用効果で有意差が認められ,「チーム ID 上昇群」の地 域愛着が上昇していた.チーム ID,期間推移それぞれの主効果は有意差が認められなかった. これらの結果から,チーム ID の上昇は地域愛着の上昇を導くことが示唆され,仮説 2 が支持 された2).ただし,チーム ID の上昇が地域愛着の上昇を直接的に導いたとは断定できず,何らか の媒介変数の存在とその影響の検証を課題としている. 研究3では、仮説 3 の検証を目的に,予備調査として今治市の住民の物理的評価,社会的評価, 地域愛着の関係を分析した結果(重回帰分析),物理的評価と社会的評価は地域愛着の正の影響力 を及ぼし,社会的評価の影響力がより高いことが明らかとなった.次に,本調査として「地域社 会との結びつき」の項目(人間関係の変化,地域活動の参加経験・意向)を測定し, 「チーム ID 上昇群」 「非上昇群」間で比較した(二元配置分散分析).その結果,チーム ID と期間推移の交互 作用効果で有意差が認められ, 「チーム ID 上昇群」の「地域社会との結びつき」が有意に上昇し ていた.チーム ID、期間推移それぞれの主効果は有意差が認められなかった.また,社会的評価 は「チーム ID 上昇群」が有意に高いことが明らかになった. これらの結果から,チーム ID の上昇は社会的評価の上昇を導き,その社会的評価の高さが地域 愛着に正の影響を及ぼしていることから,仮説 3 が支持された. 上述のとおり研究 1・2・3 から,チーム ID,社会的評価,地域愛着は循環的な構造にあること が示された.チーム ID の上昇は,観戦者やファンの拡大をもたらし,地域におけるチームの存在 意義の向上に結びつくと期待される.社会的評価の上昇は,地域の人間関係の豊かさの向上や地 域活動への参加意向の増加により地域コミュニティの活性化をはじめとする社会的便益が拡大し ていることを示している.その際,チーム ID と社会的評価を通じて醸成される地域愛着は, 「人々 と地域とチームをつなぐ絆」として作用していると考えられる. プロスポーツ振興を志向する自治体が多く見られる現在,本研究は住民のチーム ID の上昇を起 点とした社会的便益の拡大や地域活性化に至る道筋に関する学術的根拠の一端を示した点に意義 を有すると考える. 研究指導及び審査の過程は次の通りである。2015 年 4 月に主査による研究指導が開始された。 2015 年 5 月 30 日および 2016 年 5 月 28 日に中間報告会を行った.2017 年 6 月ならびに 9 月に、 副査の研究室にて個別に指導をおこなった。2名の副査より主に論文全体の構成、および分析方 法、考察の内容について指導が行われ、その後適切に修正が施された。2017 年 12 月 6 日に公開 審査会が開かれ、本文の軽微な修正を条件に、合格(博士の学位を授与するに十分値するものと 認める)とすることが確認された。その後、適切に論文の修正が施され、主査と副査が確認した。 上記に示されたとおり、本審査委員会は、菅文彦氏の学位申請論文が博士(スポーツ科学)の 学位を授与するに十分値するものと認める。. 1) 菅文彦、古川拓也、舟橋弘晃、間野義之:スポーツ観戦意図及び行動と地域愛着の関係分 析:FC 今治を事例として, スポーツ産業学研究, 第 27 巻, 第 3 号: 223-232, 2017.(原著論 文):研究1. 2.

(3) 2) 菅文彦、古川拓也、舟橋弘晃、間野義之:チーム・アイデンティフィケーションと地域愛 着の因果関係に関する考察 − FC 今治の本拠地(愛媛県今治市)の住民を対象として - , ス ポーツ産業学研究, 第 28 巻, 第 1 号: 1-11, 2018.(原著論文)印刷中:研究2. 以上. 3.

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参照

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