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岡 山 大 学 温 泉 研 究 所 十 周 年 記 念 に 際

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Academic year: 2022

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岡 山 大 学 温 泉 研 究 所 十 周 年 記 念 に 際 して, 回 顧 ご所 感

前岡山大学温泉研究所長*

大 島 良 雄

岡山大学温泉研究所 の前身で ある岡山医科大 学 放射能泉 研究所が開設せ られてか ら今秋で早 くも満

年を経過 した. 当時 の所長 は 岡山医科大学 学 長清水 多栄 博士で あって,私 は開所 の翌 午 (昭和19年)7月 に所 員 として赴 任 したが,第 二次 世界 大戦 の最 中で人 も物 も不足 の折 柄, 未だ唯一人 の敬重員 も集 ま らない 中に,着 任ヨ週間ばか りで応 召,忽 ち 研究所 の医 員は一時0と な る有様 で あった.召集 を解除せ られ て:Pf・び三朝に帰 任 したのは 翌2O年11月で あったが,此 の 間岡山医科大学 か ら開正次,北 山加一郎両教授 が所 員を兼任せ られた.教授1,助教授1,助手 3の定員が充足せ られたのは21年8月の ことで あっ て,之 を内科, 外科 の両科 に分 ち診療 と研 究 を行った.

昭和211irt'‑4月1日勅 令 第206号 官立大学 官制第16条 に も放射能泉研究所 は放射能泉 に関す る 学理 及び その応用の研究 を掌 るJQ と規定せ られ てい る・

温泉の医学的作問 を研究す るには, まづ温泉 性 状 その ものを明に し,原因 と結果 との連 関 を 追究 しなけれ ば首 軽が一貫 しない. 当時温泉化学部 門は無かったので,私は 三朝 温泉の主要成 分で ある塩素 イオ ン,重炭酸 イオ ン並に ラドンの連 日測 定 を行ってみた所が,三朝 の多 くの汝 泉 は気象 その他の影響で その成分 含有量 に短時間 の動揺 を来すのみか,夏季 と冬季 とでは毎 年 著 しい週期的変動 を行ってい ることを知った. これ は後 に温 泉 作 用の季節的変化 を研究す る端 緒 となったので あ る.温泉化学部 門の官制が公祁せ られた のは昭和21'1年 1月の こ と で あ っ た が, その前か ら東大化学教室 木村健 二郎 数責 の御好意 に よ Ej門下の黒 汀挿口夫 博士次で所藤伝房 博士等に研究所 の非常勤講師 を嘱託 し,温泉 の化 学的 研究 を専 門家 の手 に よって行っていただ いた. その結果昭和2i

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F8月には三朝に強力な トロン泉が 発 見せ られ るに至 り,我 々は これ を 利 用 して トロン泉の医学的有効性 を始 めて砕謹す ることが で きたので あ る.

昭和25年秋 よ鋸 ま同 じく木村教授 門下 の 梅本 春次氏 を温泉化学 部門の主任 に迎 え,以来温泉 中の短寿命放射性成分の追究,温泉 の化学的探査法,温泉 の老 化 現象 の楯明,温泉分析法 の検 討,温泉成分 の長期測定に よる経年変化 の械測,温泉成分 の溶 存 状 態の研究等清澄な活動が行 われてい る.

放射能泉の医学的作用 の特徴 は ラ ドンや トロンの如 き放射性 成分が他 の温泉性状 と協力 して 現 われ る所 になけれ ばな らない.従って箪な る ラ ドン水溶液 の作用乃至 その有効限鼎 を直 に放 射能泉に適用す るのは正 し くない と私は考 えてい る. この 様 な考 の下 に私は放射 能泉 の飲用 及 び入浴に関 して専 ら天然 の放射能泉 を対象 とした 研 究 を行った・従っ て又当然 の事なが ら大凡 の規準 を与 えることがで きたが,有 効 限界を明確に一棟で劃す る訳にはゆかなかった・吸入に

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関 しては研究所 に吸入施設 を作 る余裕がで きなかったので,天 然 の巌 市 を利用 した吸入宝で蔑 らか研究の手探 りを作 るに とどまった・

放射能泉の他 に中国地方 には優 秀な緑ぽん泉が多もつので, その医 学 的な応用に関 して も次 Jq, と研究成績が あげ られ た・

温泉成分 と効果 との直接な連 関の実験的 な誇明法 として此 の数年来 人工 放射 性同位 元素 を利 用 した研究が行 われ 満足すべ き成績が得 られて いる.

外科 では横 間浩博士指導 の下 に手術後 の快復に及ぼす温 泉 の効果 に関 して研究が行われ,昭 和24年末 開設せ られた産婦人科 では 田中良憲 博士の下で,温泉の大 きな適応症で ある産婦人科 的疾患に及ぼす温泉効果 に関 して我 国で始 めて基礎的な実験研究が展開せ られた・

我 国の温泉医学 の これか らの課題で ある温泉の予防 医学的 応用 に関して もレ線障昭や発癌 の 予防について既 に研究が開始せ られてい る.

赴任以来沌泉化学,温泉地 質学,温泉生物学,温泉物理学,温泉 工学 等 の諸部門 を源泉医学 部 門の他 に増設 して,綜 合 的な温泉研究 を行 う態勢 を備 えたい とい うのが私の企図す る所 で あ ったが,歴代 の学長,事務 局長 の熱 心な御尽力に も拘 わ らず,私 の在 任 中に槍設せ られたのは 倭 に温泉 化学部門のみに とどまったのは全 く私 の不敏 の至す所 と申訳 な く思ってい る.併 しな が ら文部 当局の御好意 に よ E)本 年 よE)は特殊研究費 も与 へ られ,地 質 学部門の増設 も間近い由 なのは御 同慶にた えない・温泉生物学部門は未だないが,温 泉 化学部では既 に温 泉植物 の化学 的研究 を開始 して恕 D,賂乗 の発展が期待 され る.

昭和2

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年 よE)岡山医科 大学 放射能泉 研究所 は岡山大学温泉研究所 に改組せ られ,放 射能泉に 限定せず広 く温泉の研究 を掌 る態勢 を整 えつつ ある.

地元で ある鳥取県 の衛生部 とは当初 か ら,最近 は島根県 衛 生部 とも協 力 して温泉調査 に従 事 してい るが,之等県 当局の御好意 には感謝 の他はない.

又 岡山大学施設整 備委員会 の御援助 に対 しては感謝 の言葉 もない位 で ある.温泉研究所分 宝 の買収 に際 しては もとよ り,温泉 化学

門の近代的な研究機械 及び図書 の大部分 は同委 員会 の 寄附に よって賄 われたので あ る・ この誌面 を貸 E)て同委 員会に厚 く御礼 申上 げ る次第 で あ る.

国内及国外の温 泉研究者 との文献交換,研究連絡 の 目的で,殊に 後 者 の 目的 に適 当な閣内の 専 門雑誌がないので,研究所 の機 関誌 を持 ちたい と当初 か ら考 えていたが,貰 現 された のは昭 和23年秋 の ことで, しか も第‑号 は森永寛封の放射能泉の飲用 に関す る研究 論文 別刷 を以 て こ れ に あてたので, 当時欧文抄録 をつ け る飴裕がな く,従って第一の 目的で ある海外 との文献交 換 は行 われなかった・最初 は不定期 出版で あったが,最近 Bi'rF4回の定期 出 版に切換‑ ること が何時で も可能の状態 とな り, 国外 との雑誌交換 も軌 道に乗って きた.

研究所 開設満十年 を迎‑,在任9年間を回顧す る時,何部 も感慨 の種 とな らぬ ものはない.

田舎 の小研究所 には都会の大研究所 にいては想像 もつかないで あろ う田難が あ るが,長 所 もな い ことはない・研究所 創設期に苦労を共 に した 同便諸氏 に衷心 よE)感謝す ると共 に温 泉 研 究所 の今後の愈 々な る発展 を祈ってやまない次 第で ある. (1953.ll.13.記)

★硯 信 州 大 学 教 授

参照

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