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持株制度と労働組合

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(1)

従 業 員

持 株 制 度 と 労 働 組 合

││特に企業参加の観点からする

A社実態調査報告ーーー

んチ「

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序説

l

i従業員持株制度概説

従業員持株制度ハ何日

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dq2岳山市)または株式買入制度(肘自主︒

302

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がその従業員に対し当該会社の株式の取得に便宜を与え︑株主すなわち企業合同所有者として企業利潤の分配ならび

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① 業参加ないし経営参加の一方式として紹介されている︑ことは周知の通りである︒この制度は︑いわ'ゆる利益参加制度

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は︑会社

の思想に由来し︑ドイツにおいても提案論議されたが︑

的な発達をみたものであゐo

特にアメリカにおいて第一次大戦後現実

このような従業員持株制度は︑企業の民主化︑従業員の企業利潤えの参加︑勤倹貯蓄の奨励等のほか︑会社が必要

資金源を所罵労働者に求めるとか︑従業員と企業との利害結合を密接ならしめることによって労働能率増進︑労働者

の防止ないし減少︑罷業怠業の防止を図るとか等々種々の動機あるいは狙いをもって採用さ移動

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22

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従業員持株制度と労働組合(吉原)

(2)

富大経済論集

A

Fhd  れるがであるが︑これには長・短二つの要素が相伴い︑賛否両論が展開されている︒いま︑石井教授の整理に従えば︑

(イ)労使の対立について架橋的な役割を果たす︒すなわち︑﹁一切の労働者もまた資本この制度の長所として︑

家﹂という標語の下に労働者は企業の熱心な協力者となり︑労使の聞に憎悪のない関心が生ずる︒(口﹀この制度に

より産業の真の民主化がもたらされる︒人工的に労働者の経営えの参加を促進させることは好ましくないが︑この制

度によれば︑自然的に従業員の代表者が取締役会に選出されてくる︒(ハ)多くの点で︑この制度のいわば先行形態

であるところの利益参加制度に勝っている︒すなわち︑ω利益参加制度では困難な問題であるとこ石の損失分担の問 題が回避される︒ω賃金問題に干渉しない︒ω企業利益えの参加について何ら新しい概念が必要でない︒ω利益参加

制度のような恩恵的外観がない︒閉会社としてはこのため多くの費用を必要としない︒(ニ﹀以上のほか⁝前述の如

く︑この制度により︑従業員の貯蓄が奨励されること︑会社側からみて︑会社資金の調達に便宜であり︑従業員を確

保し︑企業の安定性が得られること等があげられており︑

一方︑この制度の短所として︑(イ)従業員のために常に追加株を用意しなければならない︒(口)株の保護

措置を必要とする︒(ハ)株に取引性を認めると従業員がこれを売却する︒(ニ)各従業員は結局少数の株式しか所有

しないので︑その利益は大きくない︒(ホ﹀経済的見地からみて︑従業員は︑賃金と貯蓄の両面において二重に企業

の運命に依存することになる︒(ヘ)株価が下落したような場合には︑従業員を失望せしめ︑会社経営者に対する不

信の感情を生み︑かえって労使聞の溝を深める怖れがある︒(ト﹀労働組合主義の立場からみれば︑この制度は労働

組合による侵蝕の脅威に対する逃避的・欺隅的方法である︒すなわち︑企業者は︑株主としての企業所有という想像

的な補償で労働組合との交渉を回避せんとしている等の点が指摘されている︒

以上のように︑この制度に対しては︑賛否両方の見解があるけれども︑前述の短所のほか︑一般に従業員の資力に

(3)

限界があること︑企業の牧益率と安定性が相当程度に大でなければならないこと︑景気変動により従業員が賃金低下 の他に所有株式の価値下落の打撃を受けること等の大きな歓点を有するのみならず︑さらに︑労働者としての自覚が 貧困なわが国においては︑組合の御用化・労働戦線の分烈・賃金の切下げ・労働の強化等を招く怖れがあるとして︑

⑤ 

わが国の労働法学者はこれに批判的な立場をとっている︒

註①大森忠夫﹁労働者企業参加制度に就いて﹂法学論叢五二巻三・四号︑石井照久﹁従業員持株制度と労働株﹂労働法研究一巻

一六一頁以下︑同﹁企業における労働の地位づけ

L

O(同﹃企業形態論﹄二九頁以下︒同﹃労働基本権﹄二四五頁以下所取)︑

同﹃労働法総論﹄(法律学全集)一四一︑一四二頁︒有泉享﹃労働者の企業参加﹄特に三O頁以下︒高田源清っ勤労者による

企業民主他﹂九州労働月報Z

5・ご・八木弘﹁従業員持株制度について

L (

竹田先生古稀記念﹃商法の諸問題﹄二三五頁

)

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(以上筆者の参照し得たもののみ︒外国文献については前掲大森・石井・八 木各教授の論文に多くの紹介がある)なお︑増地庸治郎﹃株式会社﹄一六七lO四頁は︑多くの文献に基きアメリカの従業

員持株会社について詳細な実証的報告をなしている︒その他︑小林台三﹃アメリカの利潤分配制度と従業員の株式所有制度﹄︑石井︑前掲二論文︑高田︑前掲論文参照︒

③大森︑前掲論文︑法学論叢五二巻四号二九│三O頁︒増地︑前掲書︑一七九頁以下参照︒

④石井︑﹃労働基本権﹄二六一頁以下参照︒なお︑のニ

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∞日広田吋・も大体同じような見解を述べているが︑この他に開目立︒

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として︑それは︑安定し

た財政政策を助成し︑剰余金(由民

15 )

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22 )

42 Rg cE

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として︑賃金その他の給付金を引上げ増大することの方が従業員にとって利益になること︑会社は従業員に対する配当

金を一種の固定間接費Q買えの宮話︒)とみなさなければならないこと︑会社の将来の財政政策を固定佑すること等をあげている︒︒己

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従業員持株制度と労働組合(吉原)

(4)

‑356

①石井﹃労働基本権﹄二八七頁以下︑同﹃労働法総論﹄一四二頁︒有泉︑前掲書三二l三三頁︒池田︑前掲書二三頁参照︒しかし前記の高田・八木の両商法学者︑小林経済学士は︑比較的この制度に好意的である︒︒・国内HHOEは︑多くの障害・困難・不利な点があるにかかわらず︑それは倹約・責任感・経営に対する知識︑危険に対する認識を助長し︑労資の区別を打破す

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V

調査に当つての問題意識と調査方法

従業員持株制度を経営参加という観点から考察した場合︑この方式の特質として︑労働者(およびその団体たる労

働組合)が︑資本所有者・株主として︑使用者と全く同じ資格で経営に参加し得るという点をあげることができよ

一般に経営協議会等による経営参加の場合には︑いわゆる﹁経営権﹂と称する不明確な概念が労働者の権利の侵 入を阻止する防波堤あるいは境界線としての役目を果しており︑この経営権概念の援用により︑労働権による経営参

① 

加が制約をうけていることは周知の通りである︒しかるに︑従業員持株制度においては︑労働者・組合員は︑労働権

による経営権への挑戦︑ないしその限界という困難な問題と真正面から遭遇する必要はなく︑株主たる地位において︑

換言するならば株主総会に出席し議決権を行使することによって︑あるいは︑現行会社法上株主に附与されているそ

いわば市民法上の保障のもとに大巾な経営参加を獲得しうるのである︒

ことに︑昭和二五年の商法改正により株主の地位は一段と強化され︑数々の単独株主権・少数株主権が認められ

の他の共益権を行使することによって︑

た︒株主たる従業員は︑書類・帳簿閲覧権(商法二六三条二項︑二八二条二項︑二九三条ノ五・六)︑取締役の違法行為差止

請求権(同二七二条)︑代表訴訟提起権(同二六七条︑一九六条等)等の会社運営に対する監督是正権を行使して経営者の

専横を制肘することができるのみならず︑取締役等の解任請求権(商︑二五七条三項︑二八O条)を行使して余りにも資

(5)

本家的な経営者の更迭を求めることもできる︒更に加えて︑新たに認められた累積投票請求権(二五六条ノ三)を活用

 

して労働者代表重役を選任することも可能なわけであって︑ここに至ってはかの西ドイツの共同決定権法にも匹敵す

べき最高度の経営参加の途が開かれているということができるであろう︒

これらの点を考慮するならば︑かりに労使協調の思想のもとに従業員持株制度が採用されたとしても︑一度び労使

が対立敵対関係に陥るならば︑会社として労働者の株主権行使を全面的に封鎖し得ない以上︑この制度は︑防禦し難

い合法的斗争手段として利用されるという経営者にとって誠に厄介な制度と化する潜在的な危険性を包含していると

いえるのではあるまいか︒

実際的にみても︑前段で述べた如く︑労働者の経済的資力︑企業牧益率およびその安定性︑労資対立意識の程度等

アメリカにおいて一九二O年頃から盛に採用さの要素によって左右される等々多くの問題点を包臓しているために︑

れたこの制度は︑一九二九年の大恐慌を境にして衰微の一途をたどり︑ドイツにおいても一九一一一一年以後のインフレ

ージョンの爆発に伴う経済・社会の混乱によって労働者株式制度に関する様々の論議も結局統一的な帰結をみるに到

⑤ らなかった︒また︑わが国においても終戦後若干試みられたこの制度は︑内部的・外部的原因によって廃棄ないし解

⑤ 体され︑現在では余り行われていないといわれている︒(わが国現行商法は︑株式譲渡自由︑自己株取得禁止等︑従業員持株

)

しかるに︑富山県に主力工場をもっA社は︑株式会社発足当時から従業員持株制度を採用しており︑しかもなお今

357

日までこれを堅持するばかりでなく︑社運とみに上昇し発展の一途をたどっていることは注目に値する︒しからば︑

ω A 杜の従業員持株制度の実態はいかなるものか︑ω労働組合との相互関係如何︑現行法上この制度にとってむしω

ろ阻止的な諸規定があるにも拘らず今日までA社においてこれを維持せしめてきたファクターは何か︑ω経営参加の

従業員持株制度と労働組合(吉原)

(6)

富大経済論集

‑358

一方式としてみた場合果してその突をあげているか︑等の問題意識から調査を試みた次第である︒

調

従業員持株制度については︑会社の発行している種々のバンプレットその他の資料︑社長の著書等を参照するほか︑

数回にわたって会社に赴き︑社長・副社長・労働組合執行委員長に面接して所要事項を質問し︑また数名の従業員を

夫々会社内および会社外において個別的に訪ね関取調査を行った︒会社の労働条件および労働組合活動についても同

様に︑労働組合執行委員長︑従業員若干名に対し質問事項の回答を求めた(労働組合の実態については東京大学社会税学研

究所篇﹃戦後労働組合の実態﹄において取上げられた質問事項および調査票に基いて調査を試みた)︒その他︑富山県労政謀︑労

政事務所︑地方労働委員会︑労働基準監督署の資料を参照するとともに︑これら諸機関の関係係官から聴取調査を行

社は後にも述べ調査に当っては︑会社関係者は必ずしも好意的でなかったことを附記しなければならない︒特にA

る如く︑企業一家的・封鎖的な家族主義的社風をもち︑部外者の会社の内情調査に対して警戒の色をみせた︒ことに︑

調査当時︑部外株主から新株発行につき異議申立があり︑訴訟事件を惹き起していたために︑会社当局は極めて神経

過敏になっており︑従業員もこと株式については余り触れることを好まなかった︒このような事情から︑A社の特殊

制度に対する従業員の考え︑株主意識と労働者意識との競合関係︑会社と労働組合双方に対する忠誠問題等を中心に

したアンケート調査の実施方を早くから会社及び組合幹部に申入れていたにかかわらず︑最終調査当日になり﹁この

際従業員を刺戟するようなことになるので止めて欲しい﹂との回答を受け︑用意した調査票が活用されずに終ったこ

とは極めて遺憾であった︒労働組合についても︑未だに組合事務所がなく︑かつ専従職員がいないため︑執業時間中

に会社内で充分な時間を割いて質問することには困難が感じられた︒

(7)

このように種々の制約を受け︑必ずしも所期の意図通り多角的な調査を行うことはできなかったが︑しかしこれま

での調査の範囲内だけでもかなり多方面にわたって数々の興味ある実態を把握することができた︒以下本稿のテ1

に直接関連安る点をそのまま資料として紹介し︑参考に供したいと思う︒

註①野村平爾﹁日本の経堂参加と労働組合運動﹂季刊労働法一二号特に二頁以下︑向︑﹃経営協議会﹄法律学体系第二部法学理

論篇(一二一)特に五一頁以下︑浅井清信っ経営参加の法理﹂季刊労働法第一一号四頁以下︑吾妻光俊﹁経営協議会の法律問

題﹂労働法研究第一輯所収特に二九・三五頁︒近藤亨一﹁経営協議会﹂末弘博士還歴記念論文集﹃団結権の研究﹄所収玉一九

頁以下︑松岡三郎﹁戦後日本における経営参加日労使協議制﹂季刊労働法二五号三七頁︒池田直視﹁労働者企業参加の基本問

題﹂九州大学社会法講座三十周年記念﹃社会法綜説(上)﹄所取一九四頁以下参照︒なお︑経営権については︑津曲蔵之丞﹁経

営権と労働権L民商法雑誌二四巻四号︑二五巻一号︑同﹃労働法総論﹄一ニO二頁以下︑石井照久﹁経営権と労働基本権L季刊

労働法三三号等がある︒

①高田︑前掲論文︑九州労働月報

Z

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①共同決定権法については︑久保敬治﹃ドイツ経営参加制度﹂︑平田隆夫﹁西独の労働者企業経営参加法L未川先生還歴記念

論文集﹃労働法経済法の諸問題﹄所収が詳しい︒なお同法の全文については︑池田︑前掲書︑二三四頁以下参照︒④石井﹁従業員持株制度と労働株﹂労働法研究第一輯一七八ー一七九頁︒

①大森︑前掲論文︑法学論叢五二巻四号三六頁︑参照︒

O頁 ︒

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調査の対象となったA社は︑本社を東京におき︑富山県に重要工場をもち︑昭和三四年三月現在において︑資本金 A

三億四︑三

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万円︑発行済株式数六八六万株︑授権資本額二二億七万円︑従業員総数︑二︑一二三人(男八O

従業員持株制度と労働組合(吉原)

(8)

富大経済論集

4二七人)︑下請工場八三(従業員四︑OO人)を擁している︒このA社は二つの面でわれわれの関心を強く

惹いていた︒第一の面は︑ここ数年間における飛躍的な発展振りである︒もともと︑A杜は︑昭和九年に現社長の個

人経営の企業として発足し︑社長の実兄二人がこれに加って一時同族的な有限会社の形態をとっていたが︑昭和一八

最近五ヶ年の販売状況

昭和29年 度 昭和30年 度 昭和31年 度 昭和32年 度 昭和33年 度

972893千円 1758113千円 2.604, 100千円 2958475千円 3436418千円 2

最近五ヶ年の総生産高

昭和29年 度 昭和30年 度 昭和31年 度 昭和32年 度 昭和33年 度

705148千吋 1314826千吋 2, 146, 193千吋 2573241千吋 3342706千吋 1

最近三ヶ年の純利益金(営業報告書による) 3

205573918円63 (31. 4.1"32.3.31) 

209265892円99 (32.4.1"33.3.31) 

43858281360

年に株式会社に改組し︑戦災後昭和二O年に富山県に疎開再建した

ものである︒その後昭和二五年にはアメリカから高性能の機械を移

入し︑昭和二七年には独創の機械を設置運転する等して順調な歩み

を進めていたが︑昭和二九年頃より資本金・従業員等急速度に膨脹

し近代的な工場建設に着手すると共に︑能率的な大量生産を目途に

業界唯一の完全なる一貫経営を図り︑着々その成果を挙げつつ今日

に及んでいる︒今やA社は︑当該製品の国内総生産額の九O%を占

(33.4.1"34.3.31) 

め︑単に圏内の需要に応ずるのみならず︑広く東南アジア・中部ア

ジア・中南米・北米・アフリカ・ヨーロッパ等世界の各方面に輸出

をなし︑富山県屈指の大工場であることはもとより︑わが国有数の

メーカーとして活況を呈している︒

関心を惹く第二の面は︑A社が株式会社として発足以来従業員持

株制という特殊な形態をとっている点である︒この点につき︑同社

PR用パンフレットは︑A社の三大特徴の一つとして次のよう

(9)

昭和33年度輸出仕向地別実績表

f延 吋 千 吋

単位 fL金 額 千 円

4

ホ ン コ ン 276,570  244,168  マ ラ イ 138,710  124,521  タ イ 59,063  58, 667  イ ラ ク 9, 536  8,174  オ キ ナ ワ 7,343  8,121  ベ イト ナ ム 5, 252  6,630  セ ロ ン 4,157  5, 745  4, 743  5,088 

ス エ ー ギテ ン 9,034  10,525  ベノレ 8,964  9276 

アイイノレランド 3, 343  3,466  ア ス ラ ン 1,829  2.631 

エ ジ プ イト 7,517  7, 574  カ ナ ギ 3,398  3,505 

ベノレ

749  845 

コ ン ゴ {

76.517  カ ナ タ 。 787  1,048 

サノレパドノレド ミ ニ カ 2316,529 ,928  2014,432 ,787  ニ カ ラ カ 「 15,163  12,784  て才 11,590  9.814  コ ス タ リ カメ キ シ コ 71, ,899 879  62. 706 , 930 

ベ ネ ズ エ ラ 45, 204  36,231 

9,007  8,388  ノ レ ピ ア 6, 666  7,827  ~ 1,004  1.  074 

│ ヤ {ストフリ 2,497 

143,408 

13,682 

904,049  857,061 

﹁当社は社長以下一工員に至るまで全従業員が一体となって組織し︑全員が株主という特異性のある株式会社であります︒このよ

うに需要者︑全従業員︑それにその他の株主と一連の繋をもっ形態に於いて︑永久の繁栄と進歩を図り︑之を通じて人類社会に貢

献するものであるという強い信条を以て︑当社の新しい経営理念の一つとしているのでありますよと︒

また︑社長自身も︑折にふれ談話や著作等においてこの点を強調している︒たとえば︑著書Aの中には次のような

‑361

﹁私の会社では︑新入社員も入社とともに経営にも参加するという形をとっております︒独立自営と同じ気持で働いてもらい︑会

社の利益を分配する︒労働の収入・勤め人としての収入のほかに︑利潤の一部を分配し︑これを貯蓄して株式にあて資本家として

従業員持株制度と労働組合(吉原)

(10)

富大経済論集

‑362

の分配もうけるというわけです︒:::私の考えは︑うちの会社は全員が株主であり労資の関係は判然と割切ってしまいたくないの

L﹁労働の提供だけで如何しでも文化的な生活を営むことが出来ないため︑利益の享受︑利潤の配分を労働者も当然受けねば

:

::

5

表の如く︑従業員の持株は全体の四三・五%という最も 多い割合を占め︑会社役員の約二倍に達するという極めて特異な構成をみせている︒かっ︑現在株式は非公開であっ

て ︑ 5表の﹁その他﹂の株主というのは︑その殆どが︑役員その他の幹部社員 の家族・縁故者︑取引関係者の家族等︑何らかの形で直接的・間接的に会社と 繋りを有している者である︒このような株主の構成からみてもわかるごとく︑

A社は︑役員従業員を中核としたところの

実際︑昭和三四年四月現在の株式の構成をみてみると︑

昭和34331日現在

分 │ 人 数 │ 比 率 │ 株

l

l

比率

17  11  1,537,670  76,883,500  22.4  従 業 員 1,504  571  2,986,350  149,317,500  43.5  下請工場 68  192,900  9,645,000  2.9  取引関係 112  176,940  8, 847, 000  2.6  そのイ也 909  351  1, 966, 140  98,307,000  28.6 

Zに』 2,610  100  6,860,000  343,000,000  100.0 

5

全く封鎖的な株式会社形態をとっていると

いうことができるのである︒

A

社従業員持株制度はどのよ うな機構の下で成り立っているのであろう か︒項を改めて従業員持株制度の問題点を 指摘しながら

A社の実態を紹介しよう︒

(ニ)

A

社従業員持株制度の実態 (a) 

株式を取得しうべき従業員の節囲 従業員持株制度については︑まず︑如何な

(11)

る範囲の労働者に対してこの制度による企業参加を認めるかが問題となる︒アメリカにおける実際例では︑高級社員

にのみこれを認めたり︑勤続年限・職種・賃銀等を標準として持株制度利用の拒否又はその限度に制限を認める場合

が多い

ρ A 社では入社後一年を経過した従業員のすべてにこの制度を適用している︒再言すれば︑A社では従業員は 臨時工・一般工・本工の三種に大別されており︑社員はすべて臨時工として採用され︑一年たてば一般工としていわ

② ゆる本採用の形になり︑その後一定の年数を経過することによって木工に昇格することになっているが︑従業員は一

般工になると同時に会社の株式を取得しうる資格(と同時に義務)を有するのであって︑一般工・木工たる全従業員

が株主となっている︒

従業員の株式の取得方法

う観点から進歩的でありかつ優れた制度であるとしても︑従業員に当該会社の株式を取得しうるだけの経済的能力が LU ' ' t 従業員持株制度が︑一部の論者の説く如く︑かりに経営参加ないし労使協調とい

なければ︑この制度は事実上その効用を発揮することはできない︒したがって︑従業員の株式買入に対する経済的授

助が重大な問題となり︑この制度の眼目とまでいわれている︒事実︑アメリカでは︑株式購入につき一時払のほかに

① 分割式後払の方法を認めたり︑従業員が利用しうる特別資金の設定あるいは醸金・手当等により会社が代金の一部を

 

負担する方法を採用したり︑さらには利益分配として株式を無償配布する事例がみられる︒

この点につき︑A社は従業員の積立預金制度を採用している︒すなわち︑A社では︑従業員は一般工になると同時 に︑給料の一OM︑償与の五O%︑株式配当金の五O%を︑会社の管理する積立預金口座に貯蓄をするという仕組に なっており︑増資の際には︑その預金高が︑そのまま株式購入資金に振替えられることになっている︒各従業員は否 応なく一定の金額だけ差引かれて積立預金に預け入れられ︑増資の際には︑会社側が全く事務的に処理して株式に振 替えるので別段手許からキャッシュを支出する必要がなく︑また︑会社側にとっても︑新株発行に際して一般に公募

従業員持株制度と労働組合(吉原)

(12)

AS  

富大経済論集

してその引受ないし払込に神経を使う必要がなく︑

いわば実質的な社内留保金によって好む時に増資ができるという

巧妙な仕組になっているのである︒

このような従業員の積立預金制度および株式振替制度が因となり果となって︑A

社は︑ここ数年間︑毎年一︑九

OO

万円と三︑︒︒︒万円の二回の増資を行って来た︒また︑社債はこれまで全然発行していない︒

このような給料天引の積立預金制度は︑労

年警官│増資の額

i

2

271.20 

千円 千円

5, 000  20000  27.  8.10  10000  30000  27.10.20  10000  40, 000  28.  1. 20  10000  50000  28.  2.25  10000  60.000  28.  8.18  10000  70000  28.  9.10  10000  80000  29.  2.15  18000  98000  29.10.15  30000  128000  30.  3.10  19000  147000  30.10.  8  30000  177000  31.  3.12  19000  196000  31.10.10  30000  226000  32.  3.13  19000  245, 000  32.10.15  30000  275000  33.  3.14  19000  294, 000  33.10.25  30, 000  324000  34.  3.16  19000  343000 

働基準法第一八条の強制貯金の禁止規定との 関係で問題になるであろう︒現在︑労働基準 監督署に届出られた

A

社の積立貯金制度の機 構は次の様なものである︒明まず︑労働基準 法第一八条二項の規定に基いて︑会社と労働 組合との聞に﹁貯蓄管理に関する協定﹂が結 ばれ︑これが届出られている︒これには︑川

先の名称はA

社であること︑付預金は個人別名義にすること︑付利率は年一割二分︑単利法によることの大綱四項目

労働者の預金を受入れ保管すること︑同預金

表 6

A社労働組合とは別個に︑A

社従業員貯蓄組合が結成されている︒従業員貯蓄組合規

一応自由加入制をうたっており︑役員︑総会等について規定している他︑事業について︑次のように規定して

﹁組合は組合員の受ける給料及び賞与等のうちから各々の希望額を各々の名儀で﹄会社に預け入れる斡旋をなす が定められている︒∞つぎに︑

(一三条)︑﹁預金払戻しは本人の要求に応じ随時取扱うものとする︒但し前以て組合長に申出ることを

(13)

要するよ(一五条)︑﹁組合は組合員の希望に依り会社の株式取得等の斡旋をなすことが出来る﹂(一七条)︒⑪而して︑

会社とこの従業員貯蓄組合との聞で︑全六条よりなる﹁貯蓄金管理協定﹂が締結され︑これには今まで述べて来たと

同じ趣旨が定められてある︒

形式的にではあれ︑このような機構が作られているので︑積立預金制度は一応労働基準法違反のそしりを免れるこ

とができるであろう︒しかし︑従業員の多くは預金に関する規定の存在および内容を熟知しておらず︑給料の一O

賞与・株式配当金の五O%の天引は絶対的なものとしてこれを容認している(従業員は株式の割当を拒否ないし取消

⑤ すことがない)というのが実情である︒

以上のような仕組から容易に推定される如く︑A社では諸外国にみられるような従業員の

⑦ 株式保有高についての制限は別段存在しない︒積立預金が遂次株式に振替えられて行くわけであるから︑預金の増加

に伴って所有株式数も増加することになる︒会社が各従業員に配布している﹁積立預金の増殖一覧表﹂によれば︑新中

(c) 

従業員の持株数

を卒業した従業員が入社後二ニ年・三O才になれば約一OO万円の株主になり︑停年退職の時には約二

000

万円の

株主になるとうたってある︒経営者の話では︑現在の課長クラスは三五才前後で六O万ないし八O万株の所有者であ

③ るとのことであり︑従業員の面接調査の結果は大学卒二年目で大体一︑五OOないし一一︑

00

0株を所有していた︒

(d) 

新株引受権については定款に何ら規定はなく取締役会の決議によって新株の割当増資の場合の新株の割当

を決めている︒新しく一般工になった従業員にはじめて株式を与える場合には︑従来の株主以外の第三者に対して新

株引受権を与えるわけであるから︑株主総会の特別決議を要する(商法第二O八条ノ二第二項)のであるが︑A社は極め

て家族的︑企業一家的な株主構成をみせており︑しかも︑役員︑従業員の会社内部者で全株式の六六%を占めている

ので︑これまで何ら紛糾を生ずることなくこの問題が処理されてきている︒もっとも株主たる各従業員は︑

従業員持株制度と労働組合(吉原)

(14)

富大経済論集

一切会社の方針ないし事務処理に委せ切りであってれら法律の規定には暗く︑

(

ll

A ・

B‑D号︑手続上の暇庇その他の法令違反についてもこれを問題にする気配が全然みられない

(

A

B

C‑D

談 )

(e) 

株式は公開されていないので︑従業員の株式取得価額は額面額である︒額面額は従来は一株式の取得価額

O円であったが︑本年度初めに一万円に引上げられた︒

株券は.現在各自がめいめい所持しているという回答であった(従業員

A

B

C‑D談)

過去において会社が保管していた事例が見られる(退職者に対して退職金と共に株券を返還した︒昭二八)︒しかしいずれに 株券の保管

しろ︑外国例にある如く︑労働組合あるいは貯蓄組合が団体として所有ないし保管したり︑その他別個な株式保有団

③ 体を設置するということは現在行われていない︒

(g) 

従業員持株の譲渡性従業員持株制度については株式の移転の制限が大きな問題となる︒けだし︑当該会社

の従業員以外の者に彼らの持株が自由に移転することはこの制度の趣旨に反し︑また場合によっては投機的に悪用せ

られる危険性がある上に︑限られた従業員株を社外に移転流出せしめることは︑新入社員に株式を取得せしめる機会

を奪うことにもなるからである︒したがって︑外国例では一般に株式の流通性について制限を設け︑特に必要な場合

には会社に買取請求権を認めるとか︑会社の承認を得てのみ譲渡し得るとか︑あるいは相手方は同一会社の従業員に

限るとか︑また︑死亡︑退社の場合には︑会社が強制的に株式を買上げるというような制度がとられれo

しかし︑わが国の現行会社法は︑株式自由譲渡の原則を強く打出し︑定款の定によるもその譲渡を禁止し又は制限

することを得ずと明規している(二O四条)︒かかる大原則が保障されている限り︑従業員といえどもその持株を自由

に他に譲渡しうることは勿論であって︑したがってまた︑もし従業員が社外の第三者に自己の持株を売却するならば

(15)

従業員持株制度も結局崩壊せざるを得ない運命にあるといわねばならない︒株式を従業員その他の会社関係者だけで

保有しようと欲するならば︑会社はこれらの株主との聞において他の第三者に譲渡しない旨の特約を結ぶ等何らかの

措置を講ぜねばならないであろう︒ところで︑前述の通り︑A社は企業一家的な経営理念に基き︑全く封鎖的な従業 t持株制度を維持している

(5

表参照)のであるが︑今年まで会社の経営理念通り株式は社外の第三者に流失しなかっ

た︒これは一体いかなる対策によるのか︑換言すれば︑従業員をして株式を他に売却せしめなかったところの強制力

ないし社内規範は何であったのだろうか︒わたくしは︑この点にこそいわゆる﹁生ける法﹂を発見することができる

と格別の興味を抱いていたのであるが︑調査の結果むしろ以外な事実を発見した︒すなわち︑A社では︑これまで株

式の譲渡を目的とする・会社と従業員聞の特約は全然存在せず︑また長年継続保有者に対する報償金等の特別措置は

何ら講じていなかった︒ただ︑社長が常日頃従業員に対し会社の特殊性すなわち﹁経営者と従業員が一体となりいわ

ば家族的に相協力し共に手を取り合って進むという新しい経営理念に基いている﹂ということを繰返し(毎月一回主力

⑫ 工場で社長の講話があり乙の時には隣地の工場の従業員も全員出席することになっている)云いきかせており︑従業員もこのよ

うな経営方針に意識的或は無意識的に協讃する結果︑別段﹁第三者に売却してはならない﹂旨の具体的な社内法規が

存在しないにもかかわらず︑

﹁売ったら悪い﹂という漠然とした一種の法意識ともいうべきものに拘束されていた

(

BC

D

E談)というのが実情である︒この点につき経営者は︑﹁会社と従業員の聞の信頼関係が基礎にな

っている﹂と誇示していた(副社長談)が︑A

社の株式は非公開であるためプレミヤがつかず︑したがってまた投機 的売買の対象となることがないので︑会社関係者以外の第三者でこれを買い求める者がなかったハ従業員A談)という

ことも大きな原因として挙げることができるであろう︒

また︑従業員が何らかの理由により退社する場合も︑その株式を買戻さなければ︑いかに所属従業員の株式譲渡を

(

)

(16)

富大経済論集

<.... 

1¥ 

制限してみても︑この一角からA社の如き封鎖的な従業員持株制度は崩壊して行くことになる︒したがって︑先にも

⑬ 触れた如く︑このような場合会社に買戻の優先権を留保しておく例が一般に見られるところである︒

しかしながら︑A社では︑遺職の場合にも︑本人の自由意思によって株式を従前通り所有することも可能であり︑

また売却してしまいたい者は会社に額面価格で買取って貰うことになっていた︒しかし︑後者の場合といえども︑制

度的に会社に買一戻の優先権があるというわけではなく︑ただ今までの慣行に従って﹁会社が迭職者の株をひきとり︑

これを希望者に売却して来た﹂のである(社長著書AB1 このように経営者が従業員持株制度を維持するためには不可欠な・従業員株の社外流出防止策に対しては全く無関心であったにもかかわらず︑A社がその経営方針を堅持し得たことはA社の特殊性を如何なく物語るものであり︑誠

に興味深い所であろう︒

BJ

n従業員の取得する株式の種類従業員株式の権利内容のうち︑議決権については労働者の企業参加制度とい う趣旨より考えて︑之を制限しないことが望ましいことは云うまでもない︒まず︑アメリカにおける実際例では︑企

業者側が従業員の議決権行使による経営えの参加干渉を歓迎しないのみならず︑従業員側においても経営参加に対し

実際上関心をもたず︑むしろ企業利益えの参加を主要目的とする投資制度として関心をもつことが多いので︑従業員

株式には財産的権利面における優先権を与える代償として︑その議決権に制限を設けた例も少くない︒しかし他方︑

完全な企業民主化の見地から従業員の経営参加という面を重要視して︑従業員の議決権を何ら制限せず︑会社株式の

大部分を従業員が保有し︑その議決権行使を通じて従業員の意思による企業の民主的運営に成功した事例も紹介され

⑬ 

⑬ 

A社の発行している株式の種類は︑これまで普通株のみであり︑したがって︑議決権については何ら制

参照

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