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博士(農学)近藤 亨 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(農学)近藤   亨 学位論文題名

形 質 転 換 に よ る ジ ャ ガ イ モ 葉 巻 ウ イ ル ス

     抵 抗 性 ジ ャ ガ イ モ に 関 す る 研 究

     学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  ジャガイモ葉巻ウイルス(PLRV)はジャガイモの品質と収量の低下を もたらす世界的にもっとも童要なジャガイモのウイルス病原である。その防 除は現在ウイルスフリ一種いもの作成と媒介昆虫アブラムシの防除にたよっ ている。―方、病書抵抗性品種の育成は最も経済的で、効果ある防除法であ るが、ジャガイモは野性種の抵抗性遺伝子を栽培種に導入する育種法が成果 を上げていない。そこで、本研究では、PLRV抵抗性ジャガイモの作出を 目的 とし 、種 々の外 来遺 伝子 、即 ちPLRVの外 被タ ンパ ク質(CP)遺伝 子 、PLRVゲ ノム 上 のopen reading frame(○RF)2( ウ イ ル ス 複製 酵素 成分 )お よび分 裂酵 母(Schizosaccharomyces pombe)由来二本鎖R NA分解酵素の遺伝子paclを栽培品種に導入した形質転換体の抵抗性を検 定・解析した ̄その結果、完全なウイルス免疫を獲得した形質転換体は得ら れなかったが、遺伝子導入によってウイルス増殖抑制効果があることを明ら かにした。

1 。PLRV のCP 遺伝子を導入した形質転換ジャガイモのPLRV 抵抗 性検定と解析

  PLRVのCP遺 伝 子 を2種 類の 異 な る 発 現 ベ ク タ ーで 導入 した 形質 転換 ジャガイモについて、導入遺伝子の発現確認とウイルス抵抗性検定を行っ た 。PLRVーCP遺伝 子 の み を 導 入 し た 形 質 転 換ジ ャ ガ イ モ15系 統 、PL RV―CP遺伝 子の上 流に 翻訳 効率 を上げ るた めに ジャ ガイモXウイルスの Qロ‑leader配歹IJを付加して導入した形質転換ジャガイモ17系統それぞれ に 、モ モア カアブ ラム シでPLRVを接種した。感染の有無とウイルス蓄積 IをELISAで 調 べ た と こ ろ 、接 種 当 代 で は 非 形 質 転換 系統に 比べ 低いE LISA値 を 示 す 形 質転 換系 統が得 られ た。 特に 、CP遺 伝子 のみ を導 入し た形質転換ジャガイモ1系統(MQ35、)、およびゼロ‐leader配列を付加 し たCP遺伝 子を導 入し た形 質転 換ジャ ガイ モ1系統 (AB32)では、顕著

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な差が確認され、ウイルス増殖が抑制されていると考えられた。次代検定で は 、MQ35は 非 形 質転 換 系 統 との 間に有 為な 差が みら れず、AB32では 非 形 質転換 系統 との 間に 有為差 がみられたが、顕著ではなかった。MQ35を 含む形質転換ジャガイモ5系統をサザンハイブリダイゼーションにより、ま た 、MQ35とAB32を 含 む 形 質 転 換 ジ ャ ガ イ モ8系 統 を ゲ ノ ミ ッ クPCR に よ り 導 入 遺 伝 子の 存 在 を 確認 した。 またMQ35とAB32を含 む形 質転 換 ジャガイモ11系統について、/―ザンハイブリダイゼーションにより導入遺 伝子が予想通りに転写されていることを確認した。また形質転換ジャガイモの PLRV抵 抗 性 と 発 現 RNA集 積 量 の 間 に 相 関 は み ら れ な か っ た 。   ウイルス増殖抑制効果を持つ形質転換ジャガイモにウイルス伝播抑制効果が あ る か 否 か 調 べ る た め に 、PLRVに 感 染 し たMQ35お よ びAB32を 獲 得 源とし、アブラムシ伝搬試験を行った。感染非形質転換ジャガイモを獲得源に した場合に比べて、これら感染形質転換体の伝搬効率は低く、ウイルス防除効 果が期待できた。

2 。PLRV のORF2 を導入した形質転換ジャガイモの作出およびPLR V 抵抗性の検定と解析

  北 海 道大 学 で 継 代 保 存 し て い るPLRVの ゲ ノ ム を 鋳 型 と し てRT―PCR 法 に よ り、 ウ イ ル ス ゲ ノ ム 複 製酵 素を コード するORF2をcDNAクロ ーニ ン グ し 、塩 基 配 列 を 決 定 し た 。  更に 得られ たORF2のcDNAを 植物 発現 ベクターのカリフラワーモザイクウイルス35Sプ口モー夕一とノパリン合成 酵 素 遺 伝 子 タ ー ミ ネ ー 夕 一 の 問 に 挿 入 し 、 構 築 し た プ ラ ス ミ ド を Agrobacterium tumefaciensに取り込ませ、これをチューバーディスク法 によって感染させジャガイモに導入した。  カナマイシン耐性で選抜したジャ ガ イ モ32系 統 にPLRVを 接 種 しELISAを 行 っ た と こ ろ 、 接 種 当 代 で は非 形質 転換系 統に 比ベ 低いELISA値 を示す 系統 が得 られ た。特 に、40 M7では顕著な差が確認され、ウイルス増殖が抑制されていると考えられた。

  40M7を含 む8系 統 に つ い て 、ゲ ノミ ックPCRとノ ーザ ンハイ ブリ ダイ ゼーションにより導入遺伝子の存在と転写を確認した。その結果、形質転換 ジ ャ ガ イモ の 抵 抗 性 と 発 現RNA集 積 量の 間 に 相 関 は み ら れ な かっ た。

3。  SI pombeのpaclを 発 現 す る 形 質 転換 ジャガ イモ のPLRV抵 抗性検 定

  51 pombeのpaclを発 現 す る 形 質 転 換 ジ ャ ガ イ モ3系 統にPLRVを 接種 し 、ELISAを行 ったと ころ 、接種当代では3系統いずれも非形質転換系統 に 比ペ 低いELISA値を 示し 、ウ イル ス増殖 が抑 制さ れてい ると考えられ た 。

    一 ・760−

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

学 位 論 文 題 名

形 質 転 換 に よ る ジ ャ ガ イ モ 葉 巻 ウ イ ル ス 抵 抗 性 ジ ャ ガ イ モ に 関 す る 研 究

  本 論 文 は 、 7章 で 構 成 さ れ 、 図51、 表23、 引 用 文 献121、 総 頁 数169 頁の和論文 で、他に 参考論文1編が添え られてい る。

  本 研究 で は 、ジ ャ ガイ モ 葉 巻ウ イ ルス (PLRV) 抵抗 性 ジャ ガ イ モの 作 出 を 目 的 と し 、 種 々 の 外 来 遺 伝 子 、 即 ちPLRVの 外 被 タ ン パ ク 質 (CP) 遺 伝 子 、 PLRVゲ ノ ム 上 の open reading frame ORF 2( ウ イ ル ス 複 製 酵 素 成 分 ) お よ び 分 裂 酵 母(Schizosaccharomyces pombe)由 来 二 本 鎖RNA分 解 酵 素 の 遺伝 子paclを栽 培 品 種に 導 入 した 形 質転 換 体 の抵 抗 性を 検 定 ・解 析 し た。その結 果、完全 なウイル ス免疫を 獲得した形質転換体は得られなかったが、

遺伝子導入 によって ウイルス 増殖抑制 効果があることを明らかにした。主な研究 成果は以下 のように まとめら れる。

1 。PLRV のCP 遺伝子を導入した形質転換ジャガイモのPLRV 抵抗性検 定と解析

  PLRVCP遺 伝 子 を 導 入 し た 形 質 転 換 ジ ャ ガ イ モ に つ い て 、 そ の 発 現 確 認 と ウ イ ル ス 抵 抗 性 検 定 を 行 っ た 。PLRVCP遺 伝 子 の み を 導 入 し た 形質 転 換 ジ ャ ガ イ モ15系 統 、 翻 訳 効 率 を 上 げ る た め にPLRVCP遺 伝 子 の 上 流 に ジャ ガ イモXウ イ ル スのa‑leader配列 を 付加 し て 導入 した形質 転換ジャ ガイ 17系 統 そ れ ぞ れ に 、 モ モ ア カ ア ブ ラ ム シ でPLRVを 接 種 し た 。 感 染の 有 無 と ウ イ ル ス 蓄 積IELISAで 調 べ た と こ ろ 、 接 種 当 代 で は 非 形 質 転 換系 統 に 比 ベ 低 いELISA値 を 示 す 形 質 転 換 系 統 が 得 ら れ た 。 特 に 、CP遺 伝 子 の み を 導 入 し た 形 質 転 換 ジ ャ ガ イ モ1系 統 (MQ35) 、 お よ びa‑leader配 列 を 付 加 し たCP遺 伝 子 を 導 入 し た 形 質 転 換 ジ ャ ガ イ モ1系 統 (AB32) で は 特 に 低 く 、 ウ イ ルス 増 殖が 抑 制 され て い ると 考 えら れ た 。次 代 検定 で は 、MQ35は 非

郎 明 郎 一   嘉 田 越 田       久 上生 喜 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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形 質 転 換 系 統と の 間 にELISA値 の 有 為 な 差が み ら れず 、ま たAB32で は非 形質転換系統との間に有為差がみられたが、顕著ではなかった。これら形質転換 体の導入遺伝子の存在と転写の確認はサザンハイブリダイゼーション、ゲノミッ クPCRおよびノーザンハイブリダイゼ―ションで行った。また形質転換ジャガ イ モ のPLRV抵 抗 性 と 発 現RNA集 積Iの 間 に 相 関 は み ら れ な か っ た 。   ウイルス増殖抑制効果を持つ形質転換ジャガイモにウイルス伝播抑制効果があ る か 否 か 調 べ る た め に 、PLRVに 感 染 し たMQ35お よ びAB32を 獲 得 源 と し、アブラムシ伝搬試験を行った。感染非形質転換ジャガイモを獲得源にした場 合に比べて、これら感染形質転換体の伝搬効率は低く、ウイルス防除効果が期待 できた。

2 。PLRV のORF2 を導入した形質転換ジャガイモの作出およびPLRV 抵抗性の検定と解析

  PLRVの ゲ ノ ム 複 製 酵 素 を コ ー ド す る ○RF2をcDNAク ロ ー ニ ン グ し 、 これ をジ ャガ イモに 導入 した 。  選抜し たジャガイモ32系統にPLRVを接種 し、ELISAで 感染 の有 無と ウイル ス蓄 積Iを調べたところ、接種当代では非 形 質 転 換 系 統に 比 べ 低 いELISA値 を 示 す 系統 が 得 ら れ た 。  40M7では 特 に値 が低 く、 ウイル ス増 殖が 抑制 されて いる と考 えら れた。40M7を含 む8 系統について、ゲノミックPCRとノーザンハイブリダイゼーションにより導入 遺伝子の存在と転写を確認した。その結果、形質転換ジャガイモの抵抗性と発 現RNA集積Iの間に相関はみられなかった。

3。  S. pombeのpaclを 発現 する形 質転 換ジ ャガ イモのPLRV抵抗性検定

  S・ pombeのpaclを 発現する形質転換ジャガイモ3系統にPLRVを接種し、

ELISAを行っ たと ころ 、接種当代では3系統いずれも非形質転換系統に比ベ 低 いELISA値 を 示 し 、 ウ イ ル ス 増 殖 が 抑 制 さ れ て い る と 考 えら れ た 。

  以上のように本研究は、種々の外来遺伝子を導入したジャガイモのPLRV抵 抗性を解析して、ウイルス増殖抑制効果があることを明らかにしたもので、学術 上の貢献が大きく、学会においても高く評価されるものである。よって審査員一 同は、最終試験の結果と合わせて、本論文の提出者近藤亨は博士(農学)の学位 を受けるに充分な資格があるものと認定した。

参照

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