九州工業大学研究報告(工学)No.39 工979年9月 9ア
塩を含む溶液からの活性炭へのシアン化物の吸着
(昭和51年6月1日 原稿受付)
工業化学教室 津留 豊
岩 崎 順 一
清 水 康 利
細 川 邦 典
Adsorptivities of Cyanides on Activated Carbon in Aqueous S白1ution
by Yutaka TSURU Jしmichi IWASAKI Yasutoshi SHIMIZU IくUllisuke HOSOKAWA
ABSTRACT
The adsorption characteristics of cyanide on activated carboll were investigate〔I ill val』iolls
aq1肥ous electrolytes.ResLIlts for ad50rpt拍n equilibria・of cyanide show Freulldlich・type adsorptioll isotherm de.
noted by activity ill p]ace of equilibrlum concelltratioll in the solutions. The adsorptivity of
cyanide is independellt⑪f coexistance of nitrate, chloride alld sulfate ions, but depends<m hy・droxide ion・ Hydroxide ions adso1−bed on activated carbon are exchar19ed. olle by olle, by
cyarlide iolls in the solutions.The acUvation energy for the adsorption of cyallide oll activated carboll is calculated frorn
Arrelmius s plot as 4,5Kcal/mo|e in the、、・eal{basic solutions, From tllis value, therate detεrm.lllg step ill pH 12.0〜13.O is esしimated to be the nlass transfer of hydrogell cyallide ill th巳sol11・
tlons, produced in the following reaction,
CN− 十H20 = 1−ICN 十 〇H−
HCN十[S] ニHCN加
1諸言 ン柿ンの囎および手繊1ヒはる癬化処理は底
水に関する基準の強化とあいまって多くの人々によって 一麗に活性炭の表面は疎水性が強く,非電解質や弱電 研究されてきた;1・丁}しかしシアンイオンの吸着および接 解質を水中よりよく吸着し,強電解質でも大きな疎水基を 註酸化分解に与える他の共存するイオンの彫響について 臼つ有機化合物などはよく吸着する;1また無機の酸ある の研究はない,本報告はシアンイオンの球状活性炭への いは塩などの強電解質をも水中から吸着する能力のある 吸着性を明らかにするため溶澁中に共存する他のイオン ことが知られている;ハこのため水処理をはじめとして各 の影響を低pHの領域で調ぺたものである。
方面で、水中の微{」成分の吸着分離に活性炭を用いる方
法が注目されている。とくにRideaP}らによるシアンイ
オ・による活性炭の選択的繊、関する酬より結性 2・実験
炭上でシアンイオンが強く吸着,さらに接融法化分解を 2.1.活性炭
受けることが明らかにされて1具来.1甜炭を用いたシア 活性炭試料としては,球状1甜炭(畑藁品工業製,
gs
表一1 活性炭の性質 弐 面 積
沃度吸着力
メチレンフ ルー吸竃f戊J 平撒勾粒う二径
・ 乾燥減量
3 結果および考察 gon〜]200(mヲ9〕
950〜]150(mg∫g) 3.1.吸着等温線
]80〜200−(m9/9) 3.1、1.シアンイオンの吸着平衡に与える,イオン強
:5跳‡1/m) 度およ噸共存アニオンの影響
pHの調整を水酸化カリウムによってpH=12.6(ca.
0.05MKOH)一定としイオン強度を硝酷カリウムによっ てμ=0.05〜020の範囲にわたって調整した場合の吸
X−7000)を用いた,活性炭の一般性状および吸着性能は 着等温線を図一1に示す。シアンイオン濃度5x 表一1に示した;)表面積の測定は窒素ガス吸着法,細孔容 10−一3xlO−3Mの範囲においてつぎのFreundlich型 租と細孔分布は窒素ガス吸着法と水銀圧入法によるもの の吸着等温式で良く整理することができた。
㌻囎質 ㌦一郷 ω
吸着質としては,イオン交換処理したのち蒸留しさら C記,吸着量(M/9−carbon), C〔N−,平衡シアンィオン濃度 に脱炭酸および脱酸素した水で,シアン化カリウム,水 {M},占ユ,H,各々定数である。
酸化カリウム,硝酸カリウム,壇化カリウム,硫酸カリ ウムの各々特級試薬を適度に稀釈し,濃度を標定して使
用した。2.3. 実験操作 声
2・3⊥シアン付ンの吸齎と共存イオンの影響 b紺
200。fの共せん付三角フラスコに1.5m∫mφ〜1.6m/mφ
にふるいわけした球状活性炭2g〔一乾燥後の秤量値)およ
び,シアン材ンを各々5。10−・〜3。]r・M含み,栂 5
≠iα
≠
〆°
ン強度が0.3になるように水酸化カリウムと硝酸カリウ ー5Symb。1、μ論H洞KN防(M)是C(問{°q〔 ピ(M)
ムによって調整した吸額水鰍1・0・eを力品3・:Cの :ll;31i。;, i二1;:1;:;窪 恒温{暫内に静置した。吸着に関する予備1実験より24時間 口 脚oo50門 5・1酷3・1げ
ξ㌶濾璽當㌫罐㌻;㌧図一1霊灘幣と平衡…イオン
ン分析を行なった。同様の実験を塩化カリウム,硫酸カ
リウムなどの塩を用い,イオン強度を0.3になるように しかし,図一1にみられるように吸着等温線はイオン強
調整して行なう。 度の影響を受けていることが推定される。そこで,平衡
2.3.2.シアンイオン吸着速度の測定 シアンイオン濃度を平衡シアンイオンの活抵で表わすた
200mεの共せん付三角フラスコに1.5m/mφ〜1.6m/mφ め次の操作を行なう。まず,シアンイオン電極を利用し
にふるいわけした球状活性炭29をいれ・水酸化カリウ たシアンイオンに関する電位の測定に己り,溶液中にお
ム,硝酸カリウムによってイオン強度をo.3に調整した けるシアンイオンの活量を求め,つぎに化学分析 (JIS
溶液中に24時間放置し,十分浸籏させたのら,実験開始 KO工02)によワシアンイオンの濃度を測定すれば,種々の
時に予備浸漬液と同一の水酸化カリウムおよび硝酸カリ イオン強度下でのシアンイオンに関する活量係数をえる
ウム濃度で2x10一」Mのシアンイオンを含む溶液100m[ ことができる…」図一2に溶液のPHは水酸化力1」ウムに
で置換した。測定は各温度に設定きれた恒温槽内で行な よってpH=12.6一定とし,硝酸カリウムによってイオ
い・吸着開始からその後2時間までのシアンイオンの濃 ン強度をμ=0』5〜0.50と調整した場台の結果を示し
度変化をシアンイ才ンメータ(Model 8田A Orion Re一 た。この際,シアンイオン濃度は1>(10−3M一定としてお
search Col Ltd・)によって測定した。 り,実削値とDebye Huckelの理論式を補正した経験
99
ここで吸着量は熱力学的約束に従い活∫日:係数を1と近似 し濃度で表現した。また②式はイオン強度を一定として おけば活量係数は一定となり{n式の指鷺項1/}rに何ら
一: ノ/エ 1覧麟鱗嶽:㌶鑑
㎝。/°c__ :㌶㌫∴竺:嶽三籔
1肥鵠M 吸着に対し何酬を与えないことが示された・
KNDユ 0−045 M ロt 30℃
0 α1 0.2 Q3 04 05 −▲
川1・ni・5t・e・glh) 1。gC、、、m {M 引 図一2 シアンイオン活坦係数とイオン強度の関係
{Oは実測低実線はDeb∫e ll面・kelの理
論式を補正Lた経験式一lo9仁=0.503、/11 −5
一4
lOgC〔F m
(Mr9}
q/
/ /
/≠一
/一〜
/(1+0、B2。、・7)−0.15∫、{・よる) −5 −4 31D9°CH 1」〕
5ymbo{5 ↑J HOH(}・1)HCL「H] H巳14(畠)
O O、05 0.05 _
5瓦IO−」」、誓エ101ユム 0,10 005 005 5x田 L−5呪1bLコ ー ・卓 一1
口 0.20 0.05 0.15 コ」10 −5110図一4 吸着等温線 30℃
・5 哨
一5 ・c −3旧go司M〕 1。gc、ピ m
s抑bols, μ KOH[H) KN〔㌔fM) HCト」(H)
O OO5005 _ 5、】0㌔ヨ.101 〔}4∫ql ム 010 005 005 5轟10三3占10,
口 020 005 015 5・泊㌧3・1げ
る
図一3吸麟温線(囎趾平齢アン付ン ー5 −4 −3b卵国
韻醐係・3・℃) 5〔。量,K::rD〔㌦1」難1}。・
△ O.0875 005 0ロ125 5川0』 −5口O コ
式一1駆=・.5・3品(1+・.820品一。.15。を示し □ 1日25° °5°°コ7‥1』1°ぱ』
た。以上のイオン強度とシアンイオン活量係数に関する 図_5 吸遊等温線 30℃
関係を用いて図一1を鍵しなおしたのが図.3のグラフ
で誤差の範囲内において一本の直線として示すことがで 3.L2.シアンイオンの吸癌に与える水酸イオン濃
きた・すなわちけンからの麟、おいては,平衡イオ 度の靱
ン鞭鯛川・平衡材ン活1正を用いるべきである・ ホ酸洞ン1瓢を・』1−・川の範雁変化させ,イ とが示される.こ囎合F・eUl・dlid1型・)喘翻端 オン弓鍍が0.3一赴なるように醐カリウ、⊇。て 次のよう{こなる。 ・ r麟れたシアンイオン澱を5・10−・−3。10−・Mを
㌦端 (2弓獣鵬:欝漂::;詳蕊
lUu
対するシアンイオン濃度の変化量の閲係は次のようにな る。(∂1。aCN−/∂L、aOI□μ,丁=1¶この関係式は図一6にっい 一4
て同一吸着量に対する平衡シアンイオン濃度と水酸イォ
1。、c、輌 ン罐の関駐示した図 8のグラフにおいて醐傾き
(胸 @エ カ糎1であることによって証明されω鵡粉に考え
られる反応である。
一5
lo9(】Cバ(Ml
・ymb。1・μK・H(M}KN・・{M)KCN{胆弓 T叫30 C
… §i… §§享 {鍵……誓 ≡菱‖§ξ1…ii{§二; 15 6二宕?出㌫oc・・v。はd 20
・ σ301。 02。 5・1σL3・1σ3 C。..ノm.10・
斑6…一 …旧\
lich型の吸i着等温式によって良く整理された。また水酸 イオン氾度の増加に伴ない吸着されるシアンイ才ンの潤
度は滅少する傾向を示した。この閲係を明らかにするた 0 5 10
砿の酬を行なった.す勧ちユ、酸化がノウム濃度 c…−1。 (・ゆ
0・03Mの溶液に活性炭29をノ・剖・酸付ンに関して吸 図_7吸着水酸イオ堰度と吸着シアンイオン 着平衡1川田に遥させた後pHを測定した。モの後シアン 濃度の間係
イオンを2x10−4〜2x10一ユM濃度になるように添加 し,さらに吸着平衝に達した後溶液のpHとシアンイオ ン濃度を測定し,その結果をi整理したのが図一7である。
縦融および横軸におのおの水酸イオンおよびシアンイオ / ム ンの平衡吸着:;1ヒを示す。このグラフより吸着量に関して △/
その勾配は{∂C−/∂C−…L、・一囎系を示し 一4 /
て剖シアン材ンと水酸材ン障槙1封脂に似鮫換 ωqα・ /° −5
贈をす迦㊨こと働った・以上囎よ {M) ./°1:蒜1:lll淵 り次の反応式が示唆され雄 /
CN−÷H,0=HCN+0}1− (3} −5
}ICN+〔S〕=HCN・・ 〔4} −2 1、。、。。r(M)
ここで〔s〕はシアン化水素の吸着siteを意味しており
端まシアン化水素嚥にr莫1する平衡式で,蹴良 図一8璽睾麟鷺謬蒜『オ漸
く知られたシアンイオンの加水分解に関すろ式である。
. 3.2.シアンイオンの吸纏速度に与える水酸イオン
(引式より Cll[Sl脚=拓al1」品 {引
瞭〕κ=(一刷(一パ{6〕所定霊匡驚巴度に関し吸着平衡状態に端性
G},㈲式の閉係および温度一定の条件より 炭を,2x]0 ⊥Mのシアンイオン濃度を含む溶液へ浸漬 した直後からの溶液中におけるシアンイ才ン讃度の経時
Gl−=占・聡・6 しm ω 変化蝿位の酬として示したのが図一9である.融中
{7}式より吸着量一定の条件下水酸イオン濃度の変化箭に のシアンイオン濃度による電位と吸着時間との問には良
]o]
い直線性が認められ・また水酸イオン濃度0.01〜0.10M k,10・
の範囲では水酸イオン濃度の増加にともない勾配が減少 脚mln引 する傾向が認められた。
20
.1,51
10
・ ● sπ旧o』 T{}mD(℃)
°。°
@ ε 豊
:o▲ ロ . ; 詰
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軌
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図一10 吸着速度定数と水酸イオン濃度の関係
0 50 100 150 ・ 表一2 水酸化セリウム濃度と見掛けの活性化 一Tlmo{ml川 エネルギー
s セDkよ・K器Ψ)Kl二:Ml;:㌫㍗ ・一(M中』l l・』21・.・31・.叫・7{・.1・
:::1::1::::;謬 E−{kca輌・中・叶3ト小小.71・.8
図一9 シアンイオンの吸措にともなう電位と時
間の鵬4°℃ となってグラ・鞠配よ1),囎の馳定貼蹄
めることができることがわかった。次に同様の実験を水 ここで図一9噸糎をもと1こ・シアン化栂:の繊炭 酸材ンi鍍0』1〜0」OEIの鯛で品度を40,45,50,
への囎は嚇の棚{・おいて」吸着・it・は錯融す 55,60℃と変化させ得られた速度定数を緯イ、1・ン灘 るためシアン化水素の減少速度は濃度に関して一次であ に関して整理した結果を図一10に示す。水酸イ才ン濃度 り臓の平飯応緋常に早・・ものとして獄をえる. の増加にともなう額趨喘少は囎,it,の減少を 一・〜・⇒〃=カ、、,〔, 侶}示魍るもの葡ろう・これらの{吉果観掛けの端化 ・・1・・(r)=・,、,,(・),,,(一副 〔9)工勅ギー31を求凸)⊇適度慰の端および鮒 ・,、.{ )・』一(r)、,,1,川,珂,(一た、r) (10}i品度の逆故としてA「「hellhl・の式により酬した融 を表一2に示す。すなわち見掛けの活性化エネルギーは平
またシアン商描極による錨はネ・・ンストの式より 均して・1.5Kca伽・1・離であり,予備鍛にお1ナる報 シアンイオン締と電位との間に次の縣力・ある:・ 齢吸着熱…が3〜51ζ・・1/m・1・であることお」、び1宕
E・E。一岬肌。,、. {1D働興1三り吸竺速蹴が靴るしく上財ること
により,1言三i液中平衡状態で存在するシアン化水崇の活憧
ll脚賦より 炭緬へ醜1酬縫段階にあるものと蹴された.ま ロ刷+澗隔∫ 〔1!)た高p聡蹴繊シアン材ンの無靴は主に撲触
E刷=E,一(脚肌〔止ボ、.,伽_川) 酸化分解による反応によって進むカ1馴ま次報において 報告する。
ここで水酸 f才ン濃度はシアンイ}1・ン濃度の100倍近い . 識度であるた版応によってほとんど変化がなく,また 4・結請
シァン化司q切初濃脳註(3拭より一定値を与えるの 1)剣の」蛙含むi鰍からの付ンσ)・鰐に撒る
で肋式を時岡に関し微分したものは,∂E〃 =(RT/F)占、 実験において,平衡イオン漂度は平衡仁」・ン活litと
1[}2
して表わす必i要がある。
2)活性炭へのシアンイオンの吸着に対し,硝酸イオ ン,壇素イオン,硫酸イオンなどのアニオンは何ら 影響を与えないが,水酸イ才ンは強い影響を与えシ アンイオンと水酸イオンは交換吸着に似た作用をす
る。
3)低pH領域における活性炭によるシアンイ才ンの 吸着は次の反応によって生じたシアン化水素の拡散
が律速過程となる。 ・ CNユ十II20=HCN÷OH−
}ICN十〔S]ニHCN巳d
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