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電気伝導ガラスの研究 工業化学科,無機工業化学研究室

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(1)

電気伝導ガラスの研究

   工業化学科,無機工業化学研究室

乾  忠孝, 細川 邦典, 伊藤 整一一

       Study on Electroconductive Glass

By Tadayoshi Inui, Kunisuke Hossokawa and Seiichi Ito

  Electroconductive glass has been studied and it was found that adherent transparent

films are deposited upon glass by spraying respectively the solution of Sn, Zn, In, Pb,

Sb, Bi or Fe salt to the surface of glass heated. Among them, the films formed by

apPlying the solution of Sn, Zn, In or Sb salt have an electrocodutive property.

  An improved method for property of an electroconductive stannic oxide coating on glass and the mechanism of electro−oonduction were investigated. When the one of

SbCl5, SbCl30r PCl3 is added to the stannic chloride solution as a first addition agent,

the resistance of stannic oxide coating shows a marked decrease, but the stannic oxide coatings are colored in blue−purple by addition of Sb compounds. Addition of NH4F as

asecond addition agent is effective in decrease of resistance.

 L緒言          金井10)は電気伝導ガラスを作るための金属塩

近年轍質ガラスに適当な加工を施し表面1こ 溶液は搬に次の三種の飴液が良好であると報

       告している。

電気伝導|生を有する透明な金属酸化物皮膜を付着

させる研究が進められ,広く用いられている。    (1)基本溶液……酸化物の骨格を与える元素の  J.T. Littleton1)は四塩化錫を加熱したガラ    塩の溶液

スに処理すると,表面に電気伝導性皮膜を生成す    (2)活性溶液……皮膜の電気伝導性を高める微 ることを発見した。その後電気伝導ガラスは米国    量成分溶液

において研究が進められ,J. M. Mochel 2)・3)・4)  (3)修飾溶液・…・皮膜の性能を変化し・安定さ J.K. Davis5)は錫塩のほかCdおよびIn塩も    せる元素を含む溶液

同様な性質があることを見いだし,またこれらの   基本溶液は純粋な塩で入手し易く,硝子面に膜 塩に少量の他の適当な金属塩を添加することによ  状に強固に付着し,硬くて均一な酸化皮膜を与 り,電気伝導度を著しく高め,化学的安定性を   え,他の元素を加えなくても若干の電気伝導性を 増すことを報告している。W,0. Lytle6)・7)や  備えることが必要である。活性溶液としては,活 A.E_Junge8)・9)はメタノールや塩酸フェニー  性溶液元素イオンの電荷は基本元素イオンまたは ルヒドラジンのような有機還元剤を加えたり,弗  酸素イオンの電荷と±1だけ異なり,イ:オン半径 化物を添加したりすると皮膜の伝導性を高めるこ  が小さいことが必要である。

とを報告している。またLytle7)はSnのほかに   従来の電気伝導ガラスについて今まで発表され

Cd, In, Zn, Sb, Co, Ti, Cr, Pt, Si, Tlな  た報告は錫酸化物を付着させたものが圧倒的に多

ども透明な伝導性酸化物を形成するとのべてい  くIn, Cdがこれについでいる。その他の金属

る。      についてはほとんど報告がない。

(2)

 我々は前年,銀を付着せしめた伝導ガラスの研  BV−Z−BA型)を用いて測定した。

究を試みたが・その電気伝導性は析出する金属銀   2_2 単一金属塩溶液による皮膜 によるもので,無定形に析出するために剥離し易   2_2_1 塩化第二錫より生成した皮膜

く・伝導性が不均一 になり・また厚く付着させる    a.溶液濃度及びガラス温度の影響 と着色が濃くなり実用上不便であることがわかっ

た。そこで電気伝導ガラスを系統的に研究する目   メタノール中に塩化第二錫を10・30・50・70%

的をもって,あらゆる金属塩について伝導性の有  溶解し・加熱ガラスの温度を450〜650°Cに変化 無,皮膜の性質などを調べ,ついで添力。剤として して麟し得破膜の電気抵抗を狽碇して第1 活性剤及び修飾液の研究を欣ったのでここに報 図のような結果を得た・

告する。        第・図のように塩化第二錫が5°%まで膿度の増

       加とともに電気抵抗が減少する。これは生成する  2.実 験       酸化錫の量が多いほど,つまり皮膜が厚くなるほ  2_1 実験方法       ど電気伝導性が良くなるためと考えられる。70%

 実験試料は厚さ3mmの板ガラスを25×50mm  になるとまた抵抗が大きくなっているのは・加水 に切断し,充分洗浄した後メタノールで洗い,乾  分解反応が充分に起こっていないためと考えられ 燥して製作する。試料を所定の温度まで電気炉中   る。

で加熱し,引き出してこれに金属塩溶液を噴霧し て酸化皮膜を形成させる。噴霧器のノズルと試料 との間隔は30cmとし,直接吹き付けを避けた。

噴霧時間は10秒とした。

      102        纏        ち

曇       ↑

2

Y      lo

      10 20 30    50       80         120

 10・       →噴務時間(sec)

      第2図 噴霧時間の皮膜抵抗に及ぼす影響

b.皮膜の厚さと電気抵抗

      皮膜の厚さと噴霧時間が比例すると考えられる        ので,550°Cに加熱したガラスに50%塩化第二

         →ガラス瀾姐℃)        膜の電気抵抗を測定した結果が第2図である。

      第2図のように噴霧時間が長くなるほどつまり

舗慧籔鷲腰竺鷺影響 醐が厚くなるほ蹴伝趣増大する・しカ・

 △30%          し過度の長時間の噴霧はガラスの透明度を低下  口50%          し,またガラスに歪を生じて割れを起すようにな  ●70%           るので,おのずから厚さに限度がある。

 生成皮膜の電気抵抗は,長さ1cmの平行電極    c.溶媒の皮膜抵抗に及ぼす影響

を1cm離して取り付け,万能ブリッジ(横河製   溶媒として水,メタノールおよび水とメタノー

(3)

       した。但し噴霧時間は10秒間である。

      第3図より水に対しメタノールの割合が多くな        るほど,つまり純メタノールを用いた方が電気抵        抗が小さくなることがわかる。また溶媒に水を用   104      いた場合にはガラスに割れのはいる欠点があっ  抵      た。ついで溶媒に40%ホルムアルデヒド,イソプ

些      。ピルァルコールおよびエタ,一,レを用いた場合

乏        の甑抵抗を第4図に示した.

Y      第姻よ卿らかなように,炭素鋤ミ少ないほ

  103      ど抵抗が小さくなる。また炭素数が多くなるほど        溶液の粘性が大きくなり噴霧し難い傾向になる。

      これらの実験より溶媒はメタノールが最適であ        ることがわかる。

      d. ガラス表面における反応機構

 102450  500  550  600  650     塩化第二錫溶液を加熱したガラスに噴霧する          →ガラス温度(℃)       と,次のようにガラス表面で加水分解を起こす。

  第3図溶媒の皮膜抵抗に及ぽす影響(1)   SnCl、+2H、0._SnO、+4HC1

 0SnCl4・3H20:H20    =1:1

△      :H、0:MeOH=3:2:1     この反応は500°Cで徐々に・800°Cで急激に 口  〃   :H,0:MeOH=3:1:2    進行する。1000°Cになると更に分解反応が起こ

●      :MeOH  =1:1      って金属錫を生成する。 SnO,が完全な酸化物で ル混合液を使用し,450〜650°Cに加熱したガラ  あると,高い電気抵抗を示し絶縁体になるが,塩 スに噴霧したときの皮膜の電気抵抗を第3図に示  化物から急激な分解酸化を起こすと,金属過剰つ        まり酸素不足状態となり,余剰電子ができてこれ        が電気伝導に寄与する。

      アルコール類を溶媒に使用すると,酸素不足の       状態を更に強めるから電気抵抗の減少に大いに役

  104

       立つ。

 抵  処       SnO2+還元剤一→Sn・SnO

 9       温度に対する抵抗の変化は大体放物線形で,は

 、讐        じめ温度の上昇とともに酸素不足状態が起こり易

 ↑

       く抵抗は次第に減少する。ある点で抵抗が最小と

  103

       なり,この点を越すと漸次増加するのは,溶液が        ガラス面に付着し難くなるという物理的原因によ        るものと考えられる。

       2−−2−2 塩化第一錫より生成した皮膜

 102

   450  500  550  600  650     塩化第一錫の50%水溶液および50%メタノー         →ガラス油度(℃)       ル溶液を加熱したガラス面に噴霧した場合の電気  第4図溶媒の皮膜抵抵に及ぼす影響(n)     抵抗値は第5図の通りである。

●50%SnCl・・3H・0 ホルマリン溶液       低温では白色不透明で分解が不充分とみられ,

°   爆゜ピルアル 一 轍温度が上昇すると褐色味輔びた透明敏膜

△    〃     エタノール溶液      になる。塩化第一錫のガラス面における反応は次

(4)

のように考えられる

   SnCl 2十H20−→SnO十2HCl    2SnO十〇2−一→2SnO 2       2SnO−一→Sn十SnO2

 皮膜の組成は塩化第二錫と類似と考えられる が,電気抵抗は少し高い。

      2−2−3 銅皮膜       a.硝酸銅

      硝酸銅の50%水溶液及び50%メタノール溶        液を,350〜650°Cに加熱したガラス面に噴霧し        て,その電気抵抗を測定したのが第6図である。

      生成皮膜は低温部では黒色不透明であるが,高        温になるに従い漸次透明になる。

      2Cu(NO 3)2−→2CuO十4NO 2十〇2低温       2CuO   −→Cu20+1/202   高温

   500  550  600  650  700    生成皮膜はCuOとCu20の混合物と考えられ

       →ガラス湘藺℃)         る。電気伝導度はSn程に良くないが,可なりあ  第5図塩化第1錫より生成した皮膜の抵抗     る。そして,メタノール溶液の方が良好である。

  SnCl2・2H20109

●{

  H20    10 cc      b.其の他の銅塩

○{認鉦2H・°}8§c

       104

 10ア

106

105

ユ04

103

9 3q

102

350  400  450  500  550  600  650       550     600     650     700

      →ガラス温度(℃)      →ガラス温度(℃)

     第6図 銅皮膜の抵抗       第7図 カドミウム皮膜の抵抗

●{織曽・)・H・°}1§c    ●{欝゜3)・ 4H・°}8ξ。

・{鮒゜・)2◆3H・°}8昆    ○{誌譜3)・ 4H・°}6§c

(5)

 塩化第二銅,蟻酸銅についても同様な実験を試   2−2−5 インジウム皮膜

みたが,その電気抵抗値は107Ω/sqI以上であっ   三塩化インジウムのメタノール溶液および50%

て,ほとんど伝導性が認められなかった。     水溶液について試みたものは第8図の通りであ

2−2−4カドミウム皮膜     る・

 a.石肖酸カドミウム

硝酸カドミウムの50%水溶液および50%メタノ ール溶液について試みた。低温の皮膜は白色で温

       106

}/

105

104

  400     450    500     550    600

104         →ガラス温度〜℃)

    第9図 マンガン皮膜の抵抗

●{踏N°3)・ 6H・°}8§c

       インジウムの場合には700°C以上の皮膜は,

      電気抵抗が104ρ/sq以下まで減少するが,650°C         →ガラス1{11渡(℃)        までの低温部ではあまり低下せず1069/sqオー    第8図インジウム皮膜の抵抗       ダーである。

       生成皮膜は低温では塩化インジウムが残存し,

  InCl3.XH205g

●{

  MeOH   10 cc      高温では酸化インジウムを生成していると思われ

○隈鑑XH・°18§c     る。

度が上昇するにつれて褐色があらわれ,600°C付    2 2−6 マンガン皮膜

近では濃い黒褐色となる。皮膜の電気抵抗は第7   硝酸マンガンの50%水溶液について試みた結果 図の通りである。      は第9図の通りである。550°Cで処理したものは  第7図の様にメタノール溶液では,600°Cで  電気抵抗が105ρ/sq以下に低下する。生成皮膜 102Ω/sq以下の電気抵抗の皮膜が得られる。    は黒色不透明である。

 低温部の皮膜中には硝酸カドミウムが残存し,     Mn(NO・)・一→MnO・(暗黒色)+2NO・

高温になるとCdOが生成している・      MnO一→Mn20,(黒色)+%O,

 b.塩化カドミウム,酢酸カドミウム,硫酸カ

  ドミゥム      塩化マンガンについても試みたが,電気抵抗は これらより得た皮膜は鶴が悪、、か,分解が不 107ρ/sq以上である・

充分で皮膜として使用困難である。その電気抵抗    2−−2−7 コバルト皮膜

も107ρ/sqオーダーが大部分である。       硝酸コ・ミルトの50%水溶液および50%メタノー

(6)

ル溶液にっいて試みた結果は第10図の通りであ   2−2−9 五塩化アンチモンより生成した皮 る。      膜

 水溶液であると,450〜550°Cで処理したもの   五塩化アンチモンの17%,25%,50%メタノー は電気低抗が104Ω/sq以下に低下している。メ  ル溶液(塩酸少量添加)について試みた。五塩化 タノール溶液の場合には,400°C処理で最低で   アンチモンは低温で処理したものは白色粉末,高 あるが水溶液に比べると少し高い。        温で処理したものは透明な皮膜である。

      皮膜の電気抵抗は低温処理のものは105〜106        Ω/sqオーダーであり,高温処理のものは107Ω        /sqオーダーである。すなわちアンチモン単独で        は電気抵抗はあまり減少しない。化学反応は次の        通りである。

106

號      SbC1−−Sb…

↓       2−2−10 その他の金属塩より生成した皮膜 10,       a.塩化マグネシウム

      白色粉末状に析出し電気抵抗は107Ω/sq以上       MgCl 2・6H20−MgCl2・H20−→

       Mg(OH)Cl−→MgO

      b.塩化カルシウム,硝酸カルシウム 10〃      粉末状析出で電気伝導性がない。

      c.塩化ストロンチウム,硝酸ストロンチウム   35°4°°4 °一;0;ス懸(㌻65°7°° 白色粉末状析出で滝気抵抗は・・7Ω/・q以上・

      d.硝酸バリウム      第10図 コバルト皮膜の抵抗

      電気抵抗は107Ω/sq以上。

   Co(NO3)2・6H20109 0{

   MeOH     10 cc      e.塩化アルミニウム,硝酸アルミニウム

●{瓢゜3)・ 6H・°}8§。     白色粉末状析出で・甑抵抗は・・79/・q以上・

       f.硝酸鉛,酢酸鉛

 生成皮膜は,低温部では黒色であるが,高温に   生成皮膜は高温では透明な密着性のある皮膜が なるほど色が淡くなる。       得られるが,電気抵抗は107Ω/sqオーダーであ

 2−2−8亜鉛皮膜       った・

塩化亜鉛の50%水溶液および50%.タ・一,熔  9・四塩化チ

液について試みた。前者では600。Cで処理した   電気抵抗は107Ω/sq以上。

もの蝿気抵抗が、。W、qオーダー,650・C以  TiCl・+2H・O一→TiO・+4HCl

上では107Ω/sq以上である。後者では550。Cで    h・オキシ塩化ジルコニウム

処理したものの電気抵抗が1052/sqオーダー,   白色粉末の析出で・電気抵抗は107Ω/sq以上。

650℃以上では107Ω/sq以上であった。      i・塩化ビスマス・硝酸ビスマス

 生成皮膜は,低温ではオキシ塩化亜鉛,高温で    高温では透明皮膜が得られるが電気抵抗は107 は酸化亜鉛のようである。とにかくいくらか電気   0/sq以上

伝導性のある皮膜が得られる。その他硝酸亜鉛,     BiCl 3+H・〇一→BiOC1+2HCl 酢酸亜鉛についても試みたが,ほとんど伝導性の     BiOCI−→Bi203

ある皮膜は得られなかった。       j.塩化クロム,硝酸クロム

(7)

87

 高温では黒色又は緑色析出物で,電気抵抗は

107ρ/sq以上。

 k.塩化第二鉄,硝酸第二鉄

 高温では赤褐色でかなり透明な密着性のある滑 らかな皮膜が得られる。電気抵抗は107ρ/sq以

       104

上。

L硝酸二。ケル,塩化二。ケル磯酸ニッ 麗

   ケル       9・

         電気抵抗は107Ω/sqオーダーである。硝酸二    Y  ッケルは,550°Cで106〃/sqオーダーである。

       103  生成皮膜は黒色不透明でてる。

 2−3 まとめ

 以上の一般的な金属塩について各々個々に実験 を行ない,次の結論を得た。

 (1)ガラス面に強固に付着し,滑らかで透明な     10・

       450   500   550   600   650  700 皮膜を作るもの……Sn, Zn, In, Pb, Sb, Bi, Fe       →ガラス温度(℃)

これらの金属イオンの外殻電子数はFe以外は18    第11図 塩化第二錫(基本)溶液より生成し または18+2個であって, この様な金属イオン       た皮膜抵抗

三覧舞畿隠姦課;1:蕊;:三 闇瀧

めにガラス面に強固に付着すると考えられる。

 (2)生成皮膜に電気伝導性のあるもの

   Sn, Zn, Cd, In, Sb, Mn, Co

 (3)透明皮膜で電気伝導性のあるもの         194

   Sn,・n      舞

で㌶誌㌶㌶:㌫㌔葉翼 皇

        一      ↑ 適であるという結論になる。それでSnを基本と

       103 して,その修飾の研究を進めた。

 2−4 添加剤の研究

 前述の活性剤, 修飾剤を総称して添加剤とし て,塩化第ニスズ基本液に対するその影響を調べ

た。基本溶液の組成,電気抵抗は第11図の通りで    10・

ある。この塩化第ニスズ基本溶液に種々の添加剤 を加えたものを,600℃に加熱したガラス面に10

秒間噴霧を行なって添加剤の影響をみた。       0.1    0.2       →基木溶液に対する添加ぽ:モル比⊥

 2−4−1,SbCl5, SbC13, PCl3,      (M=sb,p,As)   sn

       Na3AsO3の影響      第12図 添加剤の皮膜抵抗に及ぼす影響 (1)

に霊巖し隠叢㌶墓麟 {曜i:

図に示した。第12図のごとくSb, Pなどの塩化    (□Na3A503)

(8)

物はSnCl 4皮膜の電気抵抗を低下させており,   AlCl3, LiC1, NaCl, CuCl 2, Cd(NO3)2,

特にSbCl 5の添加が大きく低下させている。し  MgCl 2,MnCl2,CoCl2, TiCl4, V205, CrCl 3,

かし適当量の添加が必要でそれよりも量が多くな  NiCl,などの添加は電気抵抗に著しい影響はな るとSnCl4単独の場合よりも電気抵抗がかえっ  い。

て増大する。Sbの添加はまた皮膜を青紫色に着   フェニルヒドラジン,過マンガン酸カリ,ロッ 色し,添加量を増すと段々着色が濃くなる。    シェル塩,塩化第一スズ,二硫化炭素,過酸化水

2_4_2NH、F, NH、Clの影響   素・次亜燐酸ソーダなどの酸化還元剤蝿気抵抗 NH、Fをモ,レ比にしてF/Sn−0.022、添加し に大きな影響を与えない・

たものの電気抵抗は4.47×10Ω/sqであった。    3.スズ皮膜の伝導機構の研究

 NH4Clをモル比にしてCl/Sn=0・0140添加し   酸化スズ皮膜は前述の実験のように良好な電気 たものの電気抵抗は1・18×102Ω/sqであった。  伝導性,があるが,これは酸素不足の状態にある  NH 4Fの添加は明らかに皮膜の電気抵抗を非  ために余剰電子ができて,これが電気伝導に寄与 常に低下させている。しかしNH4F・NH 4Clは   していると考えられる。そしてSnO、格子に不 メタノールにあまり溶けないのでそれ以上添加量   純物としてV価の金属,例えばSbが混入する を増大することはできない。       とSn 4・の代りにSn 5+が置き代り余剰電子が  2−4−3 その他の塩の影響         でき,又フッ化物を添加すると02一の代りにF一  その他の種々の塩を添加した時のSnCl4皮膜  が置き代りこの時も余剰電子ができる。

の電気抵抗を第1表,第2表,第3表に示す。    ところが皿価の金属例えばIn3+が置き代る  InCl3, BiCl3, Na3AsO3, Z nCl2, FeCl 3な   と, In3+は酸素イオンの欠けている効果を中和 どの添加は皮膜の電気抵抗を著しく増大する。    して電気伝導性を悪くする。PCI3の添加による

第1表  添加剤の皮膜抵抗に及ぼす影響(n)

添  加  物 基本溶液に対する Y加量   (9)

   Mモル比Sr「

備     考

InCl3・XH20 0,050

0.00345 3.10×103

(InCl3:65.15%) 0,098

0.00675 1.34×105 1

0,146 0.0101 107以上

一一一一

0,050

0.00371 5.24×102

1

0,098

0.00726 2.59×103

BiCl3

0,192

0.0142 1.01×104

i O.283

0.0210 3.43×105 1  1.860

0,138 107以上

@     1

一一

0,012 iO・00・46

2.52×10・ i

Na 3AsO3

0,035 !0・00426

4.51×102

0,059

1  0.00718 9.45×102

0,109

0.0112 4.65×103

ZnCl2 0,028

0.00480 8.68×102

0,068 0.0116

6・…㏄ i

一一一一一一 一一一一一

0,042     | 「0.00363

5.14×102

FeCl3・6H20

0,082

0.00709

      15・88×103 i      i

皮膜に白いくもりが生成する

0,155

0.0134 4・5×106 |

1,020

0.0882

107以上

(基本溶液だけの場合の抵抗:1.33×102Ω/sq)

(9)

第2表  添加剤の皮膜に及ぼす影響 (皿)

添  加  物 基本溶液に対する

Y加量   (9)

モ砒昔

抵抗(Ω/sq)

備     考

0,032

0.0056 1.36×102

0,113

0.0198

1.26×〃

皮膜に白いくもりを生じ白色粉

0,177 0.0310 1.29 〃

AlCl3

0,242

0.0424

1.38 〃

末を表面に生成する

0,404

0.0707

1.38

0,842 0,147 1.45

0,082

0.0452 1.36×102

LiCl 0,185 0,102 1.38 〃

0,400 0,220 1.39 〃

0,862 0,475 1.71 〃

NaCl 0,017

0.00680 1.37×102

0,053

0.00728 1.41×102

CuCl2・2H20

0,405

0.0557

1.50 〃

1,205  

0,166 1.49 〃

一)一

}…一 〒←〔一

0,020

0.00151 1.38×102

0,046

0.00349

1.57 〃

i

Cd(NO3)2・4H20 0,422

0.0320

1.41 〃

0,767 0.0581 5.62 〃

1,140 0.0864

2・4×106@i 基本溶液にとけきれない。

一….旧 ..

0,080

1.39×102

MgCl2・6H20 0.2]4

0.0246

・・29〃 @1 皮膜に白いくもりを生じ,白色

0,520

0.0598 1.26 〃   i 粉末を表面に生成する。

1 1・022

  0.118

黹K⊥ 

・・3・  1

      lMnCl2・4H20 1

1,004 0,118

2.35×102

一A一 .『A

CoCl2・6H20

1,005 0.0987

2.78×102

@      

TiCl4 1,553 0.19]

       13.53×102       i、…}}

皮膜に白いくもりを生成

一 A

@V205 0,010

0.00256 ・・3…ぴ u 基本溶液にとけきれない。

CrCl3・6H20

1.㎜

0.0875

@   一一一

・・34・・伊 {

皮膜中に白色斑点粉末析出

NiCl2・6H20 1,016 0.0997

3.74×102

@      :

(10)

第3表  添加剤の皮膜抵抗に及ぼす影響(W)      SnO2にSb 203を種々の割合に混合した

添加物 薯㌶璽こ㌘

抵抗(Ω/sq)

0.02

1.18×102

C6H5NHNH 2・HC1

0.1

1.27 〃

  0.2

1.21 〃

P.54 〃 1       .一

一一.

0,011 一∨一一一一一

1.43×102

KMnO 4 0.06 1.23 〃

0.15 1.30 〃

0.40 1.47 〃

一一一KNaC 4 H 406・4H20

0,034

1.41×102

0,068 1.35 〃

_一_一一一一一一

0,061

一一一一〔一1.34x102

SnCl2・2H20 0,187 1.35 〃

0,416 1.37 〃

一..一

0.4(cc)

1.30×102

CS。 ←

1.0 〃 1.17 〃

2.0 〃 1.28 〃

4.0 〃 1.27 〃

←一一.

0.2(cc)

1.15×102

H202(30容量%) 0.5 〃 1.17 〃

1.04〃

3.81 〃

2.0 〃 4.58 〃

一一}

NaH 2 PO 2・H20

0,028 1.32×]02

0,104 1.22 〃

f

ものの電気抵抗および透電恒数を第4表に示

した。

第4表 SnO2とSb203混合物の電    気抵抗および透電恒数

聾・漂卵電多糠m)|透電醗m)

・ i・・6〜7・7…6}2・4〜2・5… 11 1 12・0〜3・0・10615・3〜7・8・10−1

2

3 4 6 8 10 12 14 16 20 40

 2.8〜3.3×1042.4〜3.4×10−10  1.3〜 1.8×10413.6〜6.6x10−lo l1.2〜3.0・10・11.5〜2.9・10−・

       [

 1.1〜5.7×1027.1〜2.4×10←9

       1

1 5.7〜16.3×10i1.5〜4,4×10−8

        

 3.4〜 9.0×10 i2.6〜 7.5×10−8

1.7〜8.5・10・14.5〜15・10−・

…一…7・…1・・7−5・8…一・

1.6〜4.9x10引3.0〜7.9×10−11

2.6〜 3.8×105 1.1〜 2.0×10−11

2・5〜7・9・10「7・4〜10・0・10−12

       第4表の様に8〜10mol%のところに電       気抵抗の最小がある。

       3−3,SnO2とSb 205試料の電気抵抗        および透電恒数

       SnO2にSb 205を種々の割合に混合した       ものの電気抵抗および透電恒数を第5表に示       した。

電気抵抗の減少は還元作用のためであると考えら

れる。       第5表SnO2とSb205混合物の電気

 これらの電気伝導機構を次の実験によって明ら      抵抗および透電恒数

かにする。

 3−1,SnO 2に酸化アンチモン添加試料の      作製

 SnO2に酸化アンチモンが混入すると前述のご とく電気抵抗が減少することがわかったが,これ は半導体と考えることができるので,その混合物 試料を作り研究を進めた。

 試料はSnO 2の粉末に酸化アンチモン粉末を

b205 の含有  電気抵抗   1 透電恒数

量(モル%)      (品/cm)     (F/cm)

0

1 2 4 6 8 10

4.6〜7.7×106 4.9〜7.8×105 4.5〜6.4×105

8.5〜10.5×104

2.3〜4.8×103

1.4〜 5.4×102 5.2〜16.5×10

2.4〜2.5×10 11 3.8〜6.3×10−11 5.5〜8.9×10−11 2.1〜4.5×10−10

L2〜2.5x10−9

4.4〜20 ×]0−9

7.0〜37.5×10−9

混合し,1.25ton/cm2で圧搾して,直径10.44   第4表・第5表ともに8〜10 mol%の部分に mm厚さ1mmの円板に成型し,電気炉中で400  電気抵抗の最小の部分があって良く似ている。

〜1000°Cに加熱して作る。       3−4,X線回析検査

 3−2,SnO2とSb 203試料の電気抵抗およ   純粋のSnCl2, Sb 205, Sb 203,8mol%Sb 2

     び透電恒数      03を含むSnO 2,8mol%Sb 205を含むSnO 2

(11)

試料についてX線回析を行った結果,SnO、+   ない。

Sb 20,とSnO、+Sb 20,とから得られたものは同   (4)酸化スズ皮膜は完全な酸化物でなく・酸素

_で,Sb 20、が生成していることがわかった。  不足の状態にあるので・余剰電子ができてこれが すなわちSn。,+Sb,。、もSn。,+Sb、。、も6。。 謬臨鱒に寄与している・これにV価の添加物と

〜800。Cに加熱するとSb 20、に変ってゆくこと  してSb化合物を加えるとSb 5+がSn 4+に置き代 がわかった.SnO、と酸化アンチモンの表面こお り余剰電子ができ・またNH・Fを加えると02一 いて反応が起って余剰電子が生成し,Sb 20、に  の代りにFが置き代り一一層余剰電子ができて伝導

なっていると考えられる。     度が増大する・

 3−5,熱天秤試験

 成型試料を熱天秤によって重量変化をみた結      文   献 果,いずれの場合も600℃位までは減少量があ

         _       1)J.T. Littleton, U. S. P.2,118,795

ったが,それ以上の高温では重量変化は認められ

      (May,24,1938)

なかった。

       2)J.M. Mochel, U. S. P.2,564,987  3−6 まとめ      (Aug.,21,1g51)

SnO,にSb,0,又はSb,0、をカ。えて600・C 3)ibid・U・S・P・2・564・7°6(A・g・・21・1951)

       4)ibid, U. S. P.2,564,707(Aug.,21,1951)

以上に加熱すればアンチモン表面にSb 5+を生成

       5)J.K. Davis, U. S. P.2,564,677 し,これがSnO2の表面においてSn 4+に置き

      (Aug.,21,1951)

代りその際余剰電子が多量に生成して,電気伝導    6)W.0.Lytle, U. S. p.2,617,741 度が良くなることがわかる。しかしこれは固体表      (Nov.,11,1g52)

面において起こる反応で・本実験ではSnO2に   7)ibid, U. S. P.2,894,858(July,14,1959)

対し8〜10mol%添加したものが最も伝導性が   8)W.0. Lytle&A. E. Junge, Ger.

良好であった。      P・971・957(APri1,23,1959)

       g)ibid, U. S. P.2,566,346(Sep.,4,1951)

 4.総括         

10)金井英三,物性,127−131(]961)

 電気伝導ガラスの研究を行ない次の結論を得

た。

 (1)20余種の金属塩の溶液を,加熱したガラス 面に噴霧してガラス面に強固に付着し滑らかな透 明皮膜を作るものはSn, Zn, In, Pb, Sb,

Bi, Feであり,生成皮膜に電気伝導性のある密 着性皮膜を作るものはSn, Zn, In, Sbなどが ある。透明皮膜を作るものはその中でSnおよび Inである。

 (2)添加剤としてSnO2の電気抵抗を低下さ せるものは, SbCl5, SbC13, PCI3であるが Sbを添加すると皮膜が青紫色に着色する。

 (3)第2添加剤としてはNH4 Fをモル比で F/Sn=0.0221添加することが有効で電気抵抗 が著しく低下する。しかしこれはメタノールにあ

まり溶けないから,これ以上量を増すことはでき

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