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線路下横断工の概要は、 図-1に示すとおりである

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Academic year: 2022

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(1)

軟弱地盤上の線路下横断工の施工

東日本旅客鉄道㈱ 正会員 ○関 禎幸 同 高橋 政善 1.はじめに

千葉県我孫子市に位置する成田線木下~布佐駅間におい て、線路と交差する千葉柏道路の新設が計画され、今回線 路下横断工を施工した。

本報告は、軟弱地盤上における線路下横断工の施工概要 として、軟弱地盤対策工を伴ったHEP&JES工法を採 用した施工概要および施工時の計測結果について述べる。

2.工事概要

線路下横断工は、築堤区間の施工基面下の

RL-3.8m

位 置に、HEP&JES工法による鋼製函体を構築するもので ある。当該位置は、地下水位が高く、軟弱な沖積粘性土層

が層厚

26m程度分布していることから、立坑の構築から線

路下の掘削に至るまで、軌道および周辺地盤に変位影響を 及ぼさないよう各種地盤改良による対策工を行い、施工す る必要があった。線路下横断工の概要は、

図-1に示すとおりである。

3.施工に伴う予測沈下量について

今回工事は、軟弱地盤上での施工であり、線路下横断工 の施工に伴う沈下影響が懸念されたことから、沈下検討を 行った。検討は一次元圧密沈下計算とし、応力分散、各施 工ステップ期間の圧密度を考慮した。また、函体内掘削時 のリバウンド量は除荷時の弾性変形量として算出した。沈 下検討結果の予測沈下量は、表-1に示すとおりである。

4.線路下横断工の施工概要

線路下横断工の施工は、線路への変位影響が考えられる 工種については、安全を考慮して夜間施工とするとともに、

レール温度が上昇する期間も避け、無徐行で施工した。

工事工程は、これらの条件を考慮し、立坑から函体構築 までの工期を

36

ヶ月と設定した。各施工ステップの概要を 以下に述べる。

○STEP1

準備工は、工事による軌道への変位影響を確認するため、

線路下横断工の前後

30m

の軌間内に5mピッチで軌道変位 測定器を設置し、自動計測を行った。管理値は、当該線区

85km/h

を超える線区であることから、整備基準値(静

的)19mmより、警戒値

7mm

を設定した。

○STEP2

発進および到達立坑の掘削に際し、立坑の安定を図るた めに底盤地盤改良工を行った。線路下の函体掘削範囲は止 水を目的とした薬液注入工を行った。また、函体支持地盤 の強度増強を図るため、高圧噴射撹拌による地盤改良を行 った。ここで線路下の薬液注入工は、軌道への変位影響を 抑制させるため、線路直下から鉛直方向へ移動し、施工に 変位を地中に逃がすように施工した。

○STEP3

立坑構築は、鋼矢板を打設し、掘削とともにグラウンド アンカー工を設置した。アンカー長は事前にボーリング調 査により支持層面の分布を把握し、最適なアンカー長を設 定した。また、掘削時の山留安定と周辺地盤への変位量を 管理するため、山留背面に多段式傾斜計を

3

基設置した。

掘削時に計測された変位量は、立坑側に最大で

9mm

であ り、設計時の

30mm

以下に収まる結果を得た。

○STEP4

線路下横断工は、線路の温度上昇期前の

5

箇月間で施工 することで計画した。側壁部では層厚

2m

の帯水層が分布 していたものの、薬液注入工の効果により湧水が無く、ド ライな環境で施工することが出来た。(写真-1,2)。

表-1 圧密沈下検討結果

図-1 線路下横断工概要図

各工種 累計

上床函体施工時 0 0

側壁函体施工時 -22 -22

下床函体施工時 -22 -44

函体内掘削時 4 -40

沈下量 (mm)

キーワード 架道橋,線路下横断工,地盤改良,計測管理

連絡先 〒260-8551 千葉県千葉市中央区新千葉

1-3-24 JR東日本

千葉土木技術センター

TEL 043-225-9153

地盤改良 地盤改良

B-B断面 A-A断面

成田方→

←我孫子方

到達立坑

発進立坑 線路下横断工

A A

BB

平面図

B B

9,300

8,550

0 10 20 30 40 50

11,500 12,700

26,000

地質柱状図

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑385‑

Ⅳ‑193

(2)

5.施工に伴う軌道変位影響について

地盤改良、立坑掘削、函体牽引および函体内掘削時の変 位影響について、軌道変位測定結果の高低の値を基に整理 し、図-2~図-4に示した。

図-2は、地盤改良~立坑掘削までの各工種の完了時に おける軌道の沈下量の累積図である。なお、工事中は図に 示す沈下量に達す前に軌道整備を実施し、警戒値に至らな いように管理した。同図によると、線路下横断工付近では 沈下傾向を示しており、立坑掘削時で

13mm

の沈下が測定 された。なお、図中右側で変位が大きく測定されている箇 所はレール継目の影響が含まれるためである。

図-3は、函体牽引掘削、函体内掘削までの各工種の完 了時における軌道変位量の累積図である。同図によると、

上床・側壁・下床函体の牽引掘削時は、施工とともに沈下 する傾向を示しており、下床函体掘削時で

21mm

の沈下が 測定された。また、函体内掘削時は隆起傾向を示しており、

1mm

のリバウンド量が測定された。

図-4は、沈下検討による予測値と上述した施工時の実 測値を比較したものである。同図によると、各工種ごとの 沈下量は比較的差が大きいものの、沈下曲線モードは概ね 同様の傾向を示している。

6.おわりに

今回、軟弱地盤上での線路下横断工の施工にあたり、各 種地盤改良による軟弱地盤対策工を行い、掘削中の計測管 理をもとに警戒値に達する前に軌道整備を行うことにより、

列車運行の安全に影響を与えることなく工事を完了した。

計測管理結果は、事前検討の予測値よりも小さな値であり、

沈下傾向は予測値と概ね同様であったことから、軟弱地盤 対策工の有効性が確認できた。

営業線に近接した線路下横断工は、様々な条件を考慮し た上で施工しなければならないため、一般的に工事が長期 にわたることが多い。今後、軟弱地盤上での線路下横断工 の施工にあたっては、今回の実績を踏まえ、更なる工期の 短縮、コストダウンを念頭におき、より適切な施工を行う ことで、鉄道の安全安定輸送、地域社会の貢献に努めてい きたい。

図-3 函体牽引~函体掘削までの沈下量累積図 写真-1 鋼製函体牽引状況

軌道検測結果 (高低)

-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50

33410 33420 33430 33440 33450 33460 33470 33480 33490

キロ程 (m)

 mm)

上床函体 側壁函体 下床函体 函体内掘削後

線路下 横断工

レール継目の影響

写真-2 帯水層の掘削状況

-50 -45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0

沈下量 mm

実測値 予測値

上床函体 側壁函体 下床函体 函体内掘削

図-4 各工種ごとの沈下量の比較図

軌道検測結果 (高低)

-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50

33410 33420 33430 33440 33450 33460 33470 33480 33490

キロ程 (m)

高低 (mm

底盤改良 薬液注入 立坑掘削

線路下 横断工

レール継目の影響

図-2 地盤改良~立坑掘削までの沈下量累積図

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑386‑

Ⅳ‑193

参照

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