九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
カキの萌芽期における晩霜害の品種間差
花田, 信章
九州大学農学部
中川, 幸夫
九州大学農学部
鳥飼, 芳秀
九州大学農学部
若菜, 章
九州大学農学部
他
https://doi.org/10.15017/12634
出版情報:九州大学農学部農場研究資料. 8, pp.63-67, 1985-10. 九州大学農学部附属農場 バージョン:
権利関係:
カキの萌芽期における晩霜害の品種二丁
花田信章−・竹工幸夫・鳥飼芳秀 若菜 章?*自石真一
1.目 的
カキは発芽活動を開始すると低温(凍結)に非常年弱くなるため、ふくらみかけた芽が晩霜にあ うと致命的な被害を受ける。果樹園に保存しているカキ品種は冷気の停滞し易い窪地にあり、1985
年4月i日の晩霜により、かなりの被害を受けた。そこでその被害の概要について報告する。
2.材料及び方法
4月1 日早朝の晩霜後、被害程度が明らかとなった4月11日に、果樹園に保存する全品種につい て全芽、全頂芽、結果母枝の芽の生死を調査した。カキ品種はすべて共台(台木親品種は不明)で、
50〜60年生(原町本場ヵキ園)と10年生(篠栗分場カキ園)である。
5結果及び考察
1)外気温の変化篠栗カキ園における1985年2月21日から4月4日までの外気温の変化を第1図に示す。2月 25日の寒波の後気温は上昇し、特に3月25日前後の温暖な条件により萌芽が進み、4月1日早
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第1図 1985年2月21日〜4月4日における外気温の推移
*九州大孝農学部園芸学教室
一63一
朝の晩霜害を受けた。..
本場カキ園の場合、4月1日午前2時過ぎから7時にかけて0℃以下となり最低温度は一1.1
℃を記録し、その時の相対湿度は95%であった(第2図)。篠栗カキ園の場合、3月31日23時 から4月1日午前7時過ぎまで0℃以下となり最:低温度は一2.0℃を記録し、その時の相対湿度 は90%であった(第3図)。
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3月31日 4月1日
第2図 1985年4月1日における外気温並びに相対湿度(本場カキ園)
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第3図 1985年4月1日における外気温並びに相対湿度(篠栗カキ園)
2)低温遭遇条件の違いと被害程度
篠栗カキ園と本場カキ園に栽培しているカキ品種の晩霜害は由間部にある篠栗で大きく、・平野
部にある原町本場では軽かった。両カキ園にある同一品種を比較すると、 富有 、 衣紋,では 両園とも被害が軽く、 西条 、 葉隠 、 絵御所 、 :次郎 でほ篠菓園で50ッ70%あ芽が凍害 で枯死し、 横野 、 平無核 等では篠栗園で著しい被害となった。 紅衣紋 は原町園でも40
%近くの芽が枯死し、篠栗園でもほとんど枯死したことから、かなり晩霜害を受け易いと思われ る(以上第4図)。
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第4図 2:地点における低温遭遇条件の違いによる晩霜被害の品種間差 □:本場カキ園 ■:篠栗カキ園
3)カキ・マメガキ・アメリカガキ品種における晩霜害の違い
篠栗カキ園における晩霜被害程度を第1表に示す。晩霜後芽の生長は停止し、生長点付近が枯 死し、さらに鱗片からのぞいている本葉の多くが枯死した。鱗片に完全におおわれている芽もか なりの被害を受けた。種間で最も被害の軽かったのは萌芽期の著しく遅いアメリカガキ(4月10
〜17日)でほとんど被害はなかった。しかし、マメガキ、カキともかなりの被害を受けた。カキ 種内では御所系で被害が軽く、次郎系で中〜やや甚であり、韓国産のカキではほとんどの芽が被 害を受けた。その他のカキ品種も10〜100%の芽が枯死し、耐晩霜性の変異が大きいと言える。
4)萌芽期と晩霜害の関係
芽の生存率と報告されている(広島県の種苗特性分類調査報告書)萌芽期の早晩の間には正の 相関(すなわち萌芽期の早いものほど晩霜害を受ける)が認められたが、かなりはずれる品種も あり、萌芽を支配する要因が複雑であることとも関連している様に思われる(第5図)。本態に おいても萌芽期を正確に把握する必要がある。
一65一
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(カキの全品種の平均)
第6図 結果母枝における芽の着生 部位と晩霜被害の関係
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早 中 晩 萌 芽 期
第5図 カキの萌芽時期の早晩性と晩霜後の芽の生存率の関係
萌芽は頂芽において早いため、晩霜害を受け易いと言われる。本調査においては頂芽がやや被 害が大きい傾向が認められた(第1表)が、結果母枝上の芽の間には明らかな差は認められなか つた(第6図)。
5)晩霜被害樹における被害後の回復
被害の大きかったカキ品種では被害芽の鱗片えき芽と陰芽が発達発芽した。鱗片えき芽の発芽 は第1又は第2鱗片えき芽にみられ、徒長枝では第5鱗片えき芽まで発芽することもあり、1芽 より1〜5本の新梢を生じた。尚、閲この新梢には花芽のみられることは希であり、花芽がついた 場合にも、遅れ花となり、受精率も悪く良果とはなり得なかった。
本調査では不明確であったが、萌芽ステーシの同一な芽において、耐低温性に品種間差があるのか どうかについても、さらに検討する必要がある様に思われる。