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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

自然電位による地下構造および地熱流体挙動のモデ リングに関する研究

安川, 香澄

https://doi.org/10.11501/3166968

出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

自然電位による地下構造および地熱 流体挙動のモデリングに関する研究

A study on modeling of subsurface structure and hydrothermal systems based on self-potential data

Kasumi Yasukawa

安川 香澄

2000年

(4)

一目次-

Abstract

第l章 序論

……………

第2章 理論

………

..

8

2.1.直接流(direct刀ows)と間接誘起流(coupledflows)

……・・・・ ………-… …… ….

8 2.2. 速度-電流のカップリング係数を用いた間接誘起流の式

………

8 2.3.電流源の式の導出

……… ………

11 2.4.流動電位係数

……… ………

1 2 2.5.電気的物性の温度依存性

……… ………

1 2 2.6.流体流動モデルの式

………

1 3

第3章 自然電位の数値シミュレータPTSP

……… 1

5 3.1. シミュレータPTSPの開発

・ ・・・・・・・ー・・・・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・…・・・・・・・・・・…・・・・・・・・・・・・・

15 3.2.シミュレータPTSPの特徴

…・………・ー・…・・…-……

.. ………・ …・・……・・

16 3.3. 解析解との比較

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

17 3.4.単純な帯水層モデルについての計算例

………

2

0

3.4.1. 電気物性モデル

………・ ……… ……… …… ...・H・..………… ..

21

3.4.2.流動モデル 23

3.4.3. SP異常のパターン

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

26 3.4.4. 実測データへの応用について

・・ ……・・ ………… ……… ・・・・・・ …・……… .

33

第4章 SPに与える地形及び地下物性分布の影響

…… ・・ ……・ …・・……・ …...

35 4.1.地形モデルに対するSPの計算例

・…・・ ・…- …・ ・ ………・・ … ・…・ ・ ・ ……・ ・ ・ …. .

35

4. 1.1. 山地形モデル(左右の標高差がないモデル)

…… ……… …………

36

4.1.2. 崖地形モデル(左右の標高差があるモデル)

…… ……… …………

43 4. 1.3. 地形モデリングのまとめ

…・・・ …-….. ………・ ・ ・ ・ ……・ ・ ・ …・ …・ ……

43 4.2. フィールドでの適用例(涌蓋火山)

………

46

4.2.1. はじめに 46

4. 2.2 .涌蓋山、 岳湯地域の地熱系の概要

… … … …… ………… ……… ……

47 4.2.3.自然電位の測定結果

… … … ………… ……… ・……・・ …… …… …

49 4. 2.4.涌葦山における観測データとモデル計算との比較

…・・・ ……・・・ ……

51

< 1 >

日次

(5)

4.2.5.考察

…… ……… ………… … … ……… ………

62

4. 2.6. 結論

…・・・・……… ・……・・・・・ …・・…・・・・……・・・……・・・・・・…・・・・・・…….

... 67

第5章 地熱地帯における流体流動モニタリングへの適用例 (北海道濁川地域)

…………………

68

5.1. 濁川盆地について

・・・・・・・……・・・・・・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

68

5.2. 測定及びその結果

………

70

5.2.1. 測定について

……… …

70

5.2.2. 測定結果

………

73

5.3.数値シミュレーション

……・………・・・………・・・…

77

5.3.1. 自然状態のモデリング

…・・……・・ ………...・H・..………・・

77

5.3.2. 生産・還元時のマッチング

…・・…・・……・………..…

84

5.4. 考察

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

93 5.5.結論

……・・………・

94

第6章 結論

………・・……….

96

謝辞

・…・…・・…・………・・…・…・・…………・……・・……… …・………-……一.

98 参考文献

…………-………・…・・………-………・… ……….

99

日次

(6)

Abstract

A new selιpotential (SP) and fluid/heat flow code

(PTSP)

is developed by combining the geothermal simulator

PT

(Eressure and工emperature) and the selιpotential code

SPV

(.â_elιEotential from Velocity distribution).

PTSP

calculates two-dimensional self-potential distributions corresponding to fluid velocity and temperature distributions,

which紅e created from the mass and energy balance equations. One of the characteristics of the new code is出at the electro-kinetic cross-coupled cu汀ent sources are not calculated from a pressure gradient, but from a velocity distribution, which results in more realistic flow models based on temperature variations. Another advantage of

PTSP

is that it automatically calculates the temperature dependence of the cross-coupling conductivity and the electrical resistivity. Since the new code calculates the SP distribution at any specified time in the fluid flow simulation, we can calculate SP under non-steady state fluid flow/temperature conditions which allows us to apply SP observations to field momtonng.

h出e beginning, idealized fluid flow models were examined with

PTSP

in order to know the effects of electric resistivity, cross-coupling conductivity and temperature distributions on SP profiles. The topographic effects on SP for inhomogeneous cases were also investigated. Then a more realistic flow model of Waita volcano, Kyushu in its natural state was developed to conduct a data matching of observed and calculated S P profiles. Since there is no information about hydraulic conductivity in this region,

permeability distribution in the model was supposed and gradually improved by出al and error method while resistivity distribution was fixed based on the results of resistivity surveys. The SP profile calculated for the final model shows an excellent match with the observed one. The resultant two dimensional model suggests the extent of fluid flow system around the Waita volcano including surface manifestation area on the foot of出e volcano.

Next, time transitions of fluid flow and its induced SP anomaly during fluid production and i吋ection were studied for the Nigorikawa geothermal field, Hokkaido where a geothermal power plant has been operated since 1982. The SP profile calculated for a natural state model based on the results of resistivity and permeability surveys shows a good match with the observed one in 1981 (natural state). Then the fluid

Abstract

(7)

production and i吋ection were simulated. Both the calculated and observed SP profiles show that the short-term SP change during pressure drawdown and build-up is rather small because positive and negative current sources caused by fluid production and i吋ection cancels each other. On白e other hand a long-term SP change in the observed data is innegligibly large. Simulations show the long-term SP change after years of fluid production cannot be achieved only by the fluid flow but caused by the change of the physical properties.

Thus an SP simulation based on mass and energy conservation equations enables us to construct more realistic physical property models of the systems. For the fields where resistivity data訂e available, it can be used to determine the extent of higher peロneability zones. It also enables to detect which property change results on the SP change identified in the observed data. An application of SP measurement for a geothermal field is thus invaluable for field exploration and for monitoring.

Abstract

(8)

第J1';1.序論

第1章 序論

地下に発 生する流動電位(Streaming Poten tial) による地表の自然電位(S e lf- Potential,以 下SP)分布の異常が、 多くの地熱 地域で 観測されている。 地表のSPを観 測す れば坑井を 掘削することなく地下の流体挙動をある程度予測 できるので 、 SP探査はコスト面から も有利な探査法であり、 地熱探査だけ でな く 、 地下水調査 、 貯水池の管理など応用分野 は広い。ところが、 地熱地域での SP調査結果は、 従来、 たとえば正異常地域は流体の 上昇域を 、 負異常は下降域を示唆するものとして定性的 に解釈されるに留まっているこ

とが多く 、 流体の流 動に基づいた定量的な 解釈は、 これま であまり行われてきていない。

地表のSP発生のメカニズムと しては 、 金属鉱床周辺で見ら れる酸化還元電位(または 電気化学電池 、 El ectrochemic al Poten加1)、 地下 流体化学成分の拡散 による 拡散電位 (Diffi山on PO ten tial)、 熱流動による 熱起電力(Thermoelectric PO削似)、 そ れに 流体 流動

による流動電位が挙げられる。 地熱系におけるSP 異常の発生は、 一部は拡散電位の影 響もあるが、 主に流 動電位あるいは熱起電力によると解釈されている。 これを数値モデ ルで表現するための最も基本的な手法は、 地中に 熱源または圧力源の存在を仮定し 、 そ れによって発生する電流源を計算する方法 である。多くの場合、 フィー ルドデータの解 析には、 圧力源または熱源 、 或いはそれらと等価な電流源を取り入れたモデルが用いら れている。

初期の代表例は、 Anderson and Johns on (1976) が米国カリフォルニア州のロング ・ バ レーについて構築し たモデルであり、 地質境界付近に双極電流源を仮定している。

Corwi n

et al. (1978)によるメキシコのセロ ・ プリエトのモデルでは、 帯電し た2枚の平

行平板を地中に仮定している。 後にCorwin and Fitterman (1979)は、 双極電流源を仮定 して 、 同フィールドのデータを解析している。

00

lds

tein

et al. (1989) は、 セロ ・ プリエトのSPの時間変化を記録し 、 地熱流体生産前

後のSPデータの比較から、 SPと生産との聞に強い相関があることを示し た。 この論文

- 3 -

(9)

第1 Y:. I手J命

ではさらに 圧力源を仮定したモデリングにより、 流体の湧き出す位置を推定しているo

Fittennan

(1979)は、 鉛直断層の両側に現れるSP 異常を、 帯電平板を地中に仮定した

モデルによって説明し、 電流源の発生メカニズムは、 熱でも流体でも可能だ としている。

またFittennan an d Co rwin (1

982)は同様のモデルを用い、 電流j原の発生メカニズムを謬L

と仮定して、 SPデータからインパージョンによって熱源の 位置と大きさを求める試み を行ってい る。

さらに、 Thanassoulas and Lazou (1993)、 Wilt et al.

(1993)では 、 SPの実測データに対 して、 浸透率、 比抵抗およびカップリング係数(cross-coupling conductiv ity)を分布させ た圧力源モデルをあてはめ、 地下の物性分布を推定している。

これらの文献中に見られる圧力源及び熱源は、 電流源と等価なものとしてモデル中に 取り入れられており、 物理的には流体また は熱の 湧き出し点を意味し、 体積は無限小で ある。 しかし、 圧力源や熱源を用いたモデルは、 必ずし も 実際の物理現象を表わ してい ないようである。

例えば、 貫入岩が浅部に達して 熱源となっている地熱系のモデルでは、 近似的に点状 の熱源を導入することは適切で、あろう。 しかし殆どの地 熱貯留層では、 熱源はより深部 に存在し、 熱は熱水対流によって貯留層内へ運ばれている。 この様子を数値モデル化す る場合、 モデル範囲外に 熱源が存在すると仮定し 、 熱源から運ばれる熱流束を表わすた めに、 モデルの底面上に熱流束を付加して流動系を再現する方法がとられる。 しかし 、 熱流束は実際には深部から連続的に存在しており、モデルの底面上に熱の湧き出し口(=

電流源)が存在するわけで はないので、 このよう なモデル計算は実際とは異なるSP計 算値を導くことになる。 電流j原が発生するのは熱源が存在する 場合或いは物性境界を熱 流束が通過する場合 に限られ、 熱流束の存在だけでは電流源は発生しない。 従って実際 の熱源より浅部の熱 水対流系を扱ったモデルでは 、 熱源を付加してSP を計 算する 方法 は不適切である。

圧力源についても 同様である。 流動モデルにおける圧力源とは、 流体 が発生または消

滅するという物理現象が起きている点であり、 流体源とも考えることが できる 。 人工的

(10)

第If,Í.rn甫

な流体 の生産や還元が行われている坑井近傍については、 圧力源を用いたモデルが適 切 な場合もあるが、 自然状態 の系に対しては、 圧力源は不適切である。 熱 の場合と同様に、

モデルの底面に流体流束を 仮定して流動系の一部を再現することはでき るが、 流束は流 体源ではな いので、 電流j原は発生しない。 さらに 熱の場合とは異なり、 圧力は伝播速度 が非常に速いので、 急激な地殻変動の直後を除い ては、 地下に 圧力源が蓄えら れている という現象は起こりえない のである。

またこのような熱源或い は圧力源を強制的に系に課したモデルでは、 質量保存の法 則 及びエネルギ一保存の法則が満たされていないため 、 系の経時変化を表わすことができ ない 。 従って坑井からの流 体の生産、 還元といった活動 が行われる際に 生じる 系の変化 によ って、 SP分布がどのよう に変 化していくか をシミュレーションすること はできな

し)0

一方、 地形の影響に関しては、 Is

hido

(1989)にお いて、 均質媒体ではSPと標高との聞 にリニアな関係が存在する ことが理論的に示され ている 。 前述のハワイの火山の例

(Jackson and Kauahukaua,

1984)では、 これらの火山地帯がほぼ均質な物性 を持った溶

岩から成り、 均質媒体についての理論式が 、 よ く当てはまるも のと考えら れる 。

しかし、 不均質な場合については、 理論的に標高とSPとの関係を 解析的に導くこと

はできない。 不均質性は、 浸透率、 比抵抗、 カップリング係数の3つのパラメータに つ いて論じなければならず、 各々が空間分布している場合 のSPプロファイルへの相互の 影響を考慮するのは非常に困難である。 従 って、 不均質 な場合のデータ解釈は、 数値計 算に よるモデリングに頼らざるを得ないと思われる。 また、 均質媒体でも流動系の両端 に標高差がある場合にはIs

hido

(1989) のモデルが成り立たず、 やはり数値計算が有効で ある。 ところがこれまでの研究で は、 そのような 数値計算によ る試みは行われておらず、

地形の影響をリニア と仮定 し、 その分を差しヲ|い て「補正Jしたデータから異常を読み 取ろうとしている場合が多い。

以上、 これまでのSPモデ リングの問題点をまとめると 、 以下のよう になる。

1)これまでの定量的解析は、 電流源を仮定した場合の定常状態についてのSP分布を計算

ζJ

(11)

第} ";1. 1お命

するもので、 電流源の物理的意味が明瞭でない。 理論的には、 電流源の置かれた点で 流体または熱が消滅、 或いは発生していることになり、 実際の現象にそぐわない。

2)電流源を仮定したモデルと等価な流動モデルは、 運動方程式を満たして いない。 従っ て、 例えば坑井からの生産・ 還元を行なった場合等の経時変化をシミュ レーションす ることはできない。 また任意性が高いので、 SP1�1j定に基つ手いてモデリングを行っても、

比抵抗、 浸透率分布の初期モデルに対してフィードパックすることがで きない。

3)地形に関しては、 これまでリニアな地形補正が行なわれていたが、 SPが 地形とリニア な関係をもつのは、 地下の物性が 均質な場合のみである。 従って不均質性によるSPの 異常を見るには、 地形補正の分を差しヲ|いてデータ解析をするのは不適切で、あり、 地 形も含めてモデリングした結果を生データと比較すべきである。

上述のような問題点 を克服するために、 本研究では流体流動を考慮し て適切な境界条件 を与え、 流動電位によるSPを計算する方法を試みている。 この計算は運動方程式を満た しており、 現実の現象に矛盾しないモデリングを行なうことができる。 また浸透率、 比抵 抗、 カップリング係数の3つの物性分布に対してSPを計算するので 任意性が低く、 デー

タとのマッチングにより、 3つの物性の初期モデルに対してフィードパックすることがで きる。 さらに貯留層モニタリングの際には、 どの物性の変化が SPの変化をもたらしたか を推定することができる。 一方、 地形も考慮したモデリングが可能であ るので、 計算結果 を直接生データと比較することができ、 不均質性がある場合には不適切な「地形補正」を 行う必要が無い。 さらに、 非定常状態についても計算できるので、 生産 ・ 還元時の経時変 化を調べることができる。 本研究では以上のシミュレーションが可能なシミュレータ

PTSP CYasukawa et al.,

1993)を作成した。

Sill

(1982)は、 前述の圧力源の代わり に流速分布を導入して流動電位を計 算する方法

を試みている。 流体の流動は、 圧 力勾配の みならず浮力によっても生じ るので、 それ ら

による流動を統合して扱い、 電 流源を計算 しよう という考えである。 こ の方法は、 物性

変化のある部分を流体が通過する際に電流源が生じることに基づいており、 正 しい流速

分布さえ与えられれば、 ど のよう な系に対 しでも 、 適切な電流源の分布 を計算すること

(12)

第ll�:�.序論

ができる。 従って運動方程式を用いた流体 流動シミュレータに よって、 流速分布の経時 変化を計算 した結果と組み合わせれば、 初期状態から任意の経過時間後のSP分布を計 算するシミ ュレーションが可能で ある。 本論文 で示すシミュレ ータPTSPは、 このSill

(1982 )の方法を とり入れ、 熱水流 動系の シミュレータで計算された流速分布に対して

SP を計算し、 系が時間変化 する場合のSPの変化を計算するもの であ る。

本論文の第2章では、 流 動系及びSPの計算に用いる基本式の理論的背景につい て述 べる。第3章では、 第2章 に示し た数式に 基づいて作成 したシミュレー ション ・ コー ド

PTSPの構成について説明し、 理想化し た流動モデルに対 するSPの計算例を 示す。 第4

章では、 SPモデリングの地熱探査への応用について述べる。 前半で は単純な地形モデ ルに対するSPの計算結果を示し、 地形及び不均質性がSPに及ぼす影響について述べ 後半では観測されたSPデータを利用して広域熱水系のモデリング を行 い 、 未知の物性 分布を推定した例を示す。 第5章 では、 SP モデリングの貯留層モニタリングへの適用 可能性について述べ る。 生産・ 還元が行われて いるフィー ルドで観測されたSPの経年 変化を紹介し、 どの ような 物性または状態の変化 によりSP変化が生じたかをモデリン グによって 推定した例を示す。 第6章では全体の結論を 述べる 。 以上の ように、 本論文 では、 従来は定性的に しか解釈される ことのなかったSP データに対し、 流体流動と組 み合わせたモデリングを行うことによって、 地下の流動系に関する定量的情報を いか に 多く得られるかとい うことを示し 、 地熱探査およびモニタリングにおけるSP法の有効 性を明らかにする。

- 7 -

(13)

第21,1.理論

第2章 理論

2.1.直接流(direct flows)と間接誘起流(coupledflows)

媒体中を流体、電流、熱、またはイオン が流れているとき、流量Jはそのポテンシャル

Xの勾配 、つまり圧力 、電位、温度 、イオン濃度の勾配に比例(符号は逆) し 、J= -L

\1

X の形で書き表わすことができる。 こ こでLは輸送係数(conductivity)であり、個別には順

に浸透率、電気伝導率、熱伝導率、拡散係数と呼ばれ 、それぞれの流 動の式 はダルシーの 法則(Darcy's law)、オームの法則(Ohm's law)、フーリエの法則(Fourier's law)、フイツク の法則(Fick's law)に対応している。 しかし実際には、こう いった一次流動 ある いは直接 流(primaryflows, directflows)の他に、それぞれの流動 が相互に影響して生じる 間接誘起流 (coupledflows)の存在が知られている(Onsager, 1931, Mitchell, 1993)0 例えば岩石中を水が

流れ る場合などには、この 間接誘起流を 無視できない場合が多く 、これを数式で表わすと、

4

1 i=一三L ijマ� (i =1,・・・,4) /'Et、 旬aEA 、、,F'

となる。 添字i=l, ...,4はそれぞ、れ 、流体 、電流、熱、イオンに対応しており、Lの非対角成 分Lil-(i宇J)は、カップリング係数(cross-coupling conductivity)と呼ぶこととする。

2.2.速度ー電流のカップリング係数を用いた間接誘起流の式

ここで、ある系において温度勾配および化学成分濃度勾配は非常に小さくて無視できる と仮定したとき、つまりJiに寄与するポテンシャル勾配は圧力勾配と電界のみと仮定し た

場合を考えるo Ji を流体流量Q及び電流fとで書き改めると、両者の関係は電位φ及び圧力 Pを用いて、次式の ように表わすことができる。

Qご- Lll

\1P

- LJ2 \1φ (2-1)

(14)

第21;1:.理論

Jご-L21 çp - L22 çφ (2-2)

(2-1)及び(2-2)両式は厳密には互いに独立ではなく、 非対角成分 からの寄与分によって2 次的な流動場が発生し、 それに対応する 2次的なポテンシヤル場が生じている。 しかしこ

こでは、 そのよう な2次的なポテンシャル場は非常に小さく、 無視できるものと仮定する。

電流に関する(2-2)式を、 電気伝導度σ及び 電界Eを用いて書き改め、 それぞれのパラメー タをS1単位系で示すと、 以下のようになる。

J = -Lp çp +σE

但し、

J :単位面積あたりの総電流(Nm2).

Lp:圧力ー電流のカップリング係数(A-m/Pa) = L21 p :圧力(Pa/m2).

σ :電気伝導度(S/m) : L22・

E:電界(V/m).E=- çφ, ここでφは電位.

(3)

ところで、 (3)式は、 圧力Pのかわりに流速ベクトルuを用いて、 次のように書き換える ことができる。

J=Lνu+σE ここで、

Lν:速度ー電流のカップリング係数(A-sec/m3).

u 速度(m/sec). u

=

-

k

/μ . çP.

- 9 -

(4)

(15)

第2.1;'i:.理論

であり、Lv とらとの関係は、 浸透率k(m2)および粘性係数μ(Pa-s)を用いて次式のよう に 示される(Sill, 1982)。

Lv = Lp μ/k

以上の説明では、 簡素化の ため、 流体流動のポテンシャルを圧力として述べてきたが、

熱水対流系等では圧力勾配のみならず、 温度差による密度差から生じる浮力も、 流体流動 に関係する。 従ってSP計算 に 用いるポテンシヤル としては圧力ではなく、 浮力を含めた

流動のポテンシャルを採用するのが厳密な方法である。 一方、 流速uを用いた (4)式では 浮力と 圧力とを区別する必要はなく、 速度分布から直接電流Jを計算できるので 、 シミュ

レータPTSPでは(3)式ではなく、(4)式を採用した。 このように 、 浮力による 流動も考慮 してLvを定義する と 、(5)式の関係が厳密に 成 り立つのは1次元水平流動の場合のみと な

る。

熱水対流系で、は、 一般に熱伝導による熱輸送に比べて熱水対流による熱輸送のほうが遥 かに大きいと考えられる。 従って 流体の上昇域 、 下降域での熱流量は流体流量にほぼ比例 すると仮定すれば(つまり熱流量H= aQ)、(1)式から(2-1)及び(2-2)を導く際に微小と仮定

して無視した熱流動による寄与分も、 Lvに含めて考えることが可能である。

また流体中の溶存イオン成分に関しては、 周囲の媒体と 流体との化学反応のある部分 で は、(1)式の化学成分濃度の 勾配が無視で、きな いが、 そのよう な顕著な化学反応のある部 分は、 温度や物性が大きく変わる所であり 、 局所的な場合が多いと考えられる。 従ってモ デリングにお いて 、 その部分につ いては熱流動 と 同様にイオン流動による寄与分も含めて Lvを与え ること で 、 ある程度補うことができる。

以上のように、熱水対流系に関しては、(1)式の全成分から の寄与分をLvに反映させて(4) 式で表現することが概ね可能であるo 従って本論文での Lνは、 (5)式により 厳密にLpと結

(5)

(16)

第2�'L理論

び付けられる量ではなく、 対象となる媒体中を流れる流体について(4)式を満たす量とし て定義する。

2.3.電流源の式の導出

外部からの電流供給のない閉じた系では、 電流Jのダイパージェンスはゼロである。 従 って、(4)式の両辺のダイパージェンスは共にゼロで、 右辺については、

マ-Lv u+マ・σE=O

(6)

となり、流体流動によって発生する電流を打ち消す形で、電流源s=\7.σEが発生する。

(6)式よりSを求めると、

s=マ・σE=-VLJu -Lv v-u (7)

(7)式が示すのは、 「電流j原が発生するのは、 流速ベクトjレuと同方向にカップリング係数 Lvが変化する場合か、 又は、流速ベクトルuの湧きだしが存在する場合である」というこ

とである。 つまり、 地下に流体流動があっても必ずしもそれがSPに反映するとは限らな い。 人工的な揚水等の無い自然状態の系では、 流体の湧き出しは存在しないので、電流源 が発生するのは、カップリング係数の境界面を流体が通過する場合のみとなる。 流体流動 の代わりに熱流動による電流を考えた場合にも(7)式と全く同じ形の式が導かれ、 熱流束ー 電流のカップリング係数をLr熱流束の速度をvとすると、

Sニ-\7Lr・v -L77-v

(8)

ー1 1 -

(17)

部2ìì. .P]!論

となり、 電流源が発生するのは、 熱源が存在する場合またはカップリング係数が変化する 部分を熱流束が通過する場合のみとなる。

2.4.流動電位係数

ここでは、 自然電位に関する諸研究に現われるパラメータと、 本研究 に登場するパラメ ータとの関連を明らかにする意味で、 流動電位係数(streaming potentia] coefficient)とカップ リング係数との関係を示す。

流動電位係数は、 圧力差による流体流動があるときに二次的に発生する電位差を表わし たポテンシャル量で、 単位圧力当たりの電位で示される。 本論文では、 圧力ではなく流体 速度を用いて定式化を行っているので、 速度場を用いた場合の流動電位係数Cしを定義す ると、 以下のようになる。

、P 、� �

1....- 1....-

\._ 、

cv〔=CP広)二LV

X

R=LV/σ

CJ:速度場を用いた場合の流動電位係数(、人σ1m2).

Q :圧力場を用いた場合の流動電位係数(V/pa).

R :電気比抵抗( D-m).

このように流動電位係数は、 電気比抵抗とカップリング係数との積の形で表わされる。

2.5.電気的物性の温度依存性

カップリング係数は、 SPの計算において重要な役割を果たすので、 モデリングの際に (9)

は各々の岩相区分に対して適切なカップリング係数の値を評価しておくことが必要である。

宣言内実験によりカップリング係数を測定した例はいくつかあり、La

Breque

and

Arce

(1992),

(18)

第2l:t.理論

Ishido and Mizutani (1981), Morrison et al. (1978)等に示されている。

SilI (1982)によれば、 カップリング係数の温度依存性は、 温度Tを用いて以下のように 表わされる。

Lv (7) = Lνo (l+Cム 7), ムT =T -To

ここで、 添字Oは、 基準温度T。における値を表わし、 C は定数(C-1)である。 シミュレ ータPTSPで は、 C = 0.01 (Cー1)として(10)式を導入した。 このCの値は、 Ishido and Mizutani (1981)及びMorrison et al. (1978)で別個に行われた実験の結果、 ほぼ共通して得ら

れた値で ある。

3000C未満では、 岩石の電気比抵抗は流体の粘性係数μとほぼ同様の温度依存性を示し、

電気伝導度σは以下の式のように表わすことができる(Sill, 1982)。

σ(η= (}oμ。/μ(η

ここでも添字Oは、 基準温度Toにおける値を表わし、 σおよびμの単位はそれぞれ、

(mho/ m)及び(Pa-s)であるo PTSPでは、 基準温度To=200Cとし、そこでの粘性係数μ。=10-3 (Pa-s)として、(11)式が導入されている。

2.6.流体流動モデルの式

流体流動の計算には、以下の式が用いられる。

mass: i長州dV = -1

pvd'n

dA十i GfdV

巴吋:

i主(p

ef

ー13 -

、、,,ノ ハU'EEA 〆'a‘、 、‘,,ノ 噌'EA噌,EA ft、

(12)

(13)

(19)

ただし、

ゆ:孔隙率.

p:流体密度(kg/m3).

λ:岩石ー流体を含めた系の熱伝導率(J/m-s-oC).

8T:界面温度(C).

A:要素境界面の面積(m2).

V:要素体積(m3).

V d

:流体の速度ベクトル(m/s).

n 要素境界面に垂直な法線ベクトル(長さ1 ).

Gh:単位体積あたりの熱源量(J/m3).

Gf:単位体積あたりの流体源質量(kg/m3).

ef:流イ本の内部エネルギー(J/m3).

今:流体の熱容量(J/kg-oC).

第21';1.JlU論

(12)式は質量保存の法則、(13)式はエネルギ一保存の法則に、 それぞれ対応している。

(20)

第3ì;1. t'l然屯{立の数11f[シミュレ-�PTSP

第3章 自然電位の数値シミュレータPTSP

3.1.シミュレータPTSPの開発

PTSPは、 三次元単相流体流動シミュレーション ・ コードPT(Bodvarsson, 1982)と流速分 布からSPを計算するシミュレーション ・ コードSPV (Sill, 1982)とを組み合わせて作成した 二次元の流動電位計算用シミュレータである(Yasukawa

et

al., 1993)0

PTは、 各計算グリッドの物性(浸透率・熱伝導率等)、 初期条件及び境界条件(温度・圧 力等)の入力データに対し、 系の状態の時間変化を計算するもので 、 任意の時刻での温度、

圧力および流速分布を調べることができる。計算には、 質量保存の法則及び、エネルギ一保 存の法則の式及び状態方程式が用いられる。

input for

11

PT

11

Rock & Fluid properties Mass & Heat sources Init. & bound. conditions

output of

11

PT

11 eq.s

(72), (73)

next time step

'flux.da七, file

distributions of

'sp.inp' file

distributions of P" T,vx& v

z

input for

11

SP

11

R& Lv

SP distribution output of

11

SP

11

input for

11

SP

11

図3-1.

PTSPにおける流体流動とSPの計算フローチャー卜.

Fig. 3-1. Flow chart of the calculation in

PTSP,

a coupled fluid flow and

SP

simulator.

ー15 -

(21)

第3� 白然'dJ:f立の数{I{[シ:ュレ-'1PTSP

図3-1に、PTSPにおける計算のフローチャートを示す。PTは、入力データとして流動系 の初期条件と境界条件が与えられると、流速、温度、圧力分布の経時変化を計算し、指定 されたタイムステップ毎に、これらの計算結果をSPVのサブルーチンに渡すo SPVは、入 力データとして系の電気的物性(比抵抗及びカップリング係数)分布を読み取り、PTで計 算された流速分布に対して発生する電流ソースの分布を計算し、その時のSP分布を計算 する。計算されたSP分布を出力した後、計算は再びPTのルーチンに戻り、次のタイムス

テップに進む。 このようにして、指定された最終のタイムステップに至る まで、計算が続 けられる。

3.2.シミュレータPTSPの特徴

PTSPの大きな特徴のーっとして、流動系の非定常状態で、のSP分布の変化を調べられる

ことが挙げられる。これにより、流体の生産 ・ 還元を行った際における短期間の変化を予 測することが可能で、SPの連続観測による貯留層モニタリング、への応用が可能で、ある。

これをさらに有効にするために、オプションにより、電気的物性の温度依存性を考慮して、

温度分布に対応して電気的物性を変化させて計算させられるようになっている。従って、

流動系の変化に伴う温度変化がある場合についても、より正確なシミュレーションを行う ことカぎできる。

また地下構造モデルとしては二次元モデルしか扱えないが、PTSPではオプションとし て、二次元流動が起きている範囲の厚みを考慮して三次元的にSP分布を計算することも できるので(準三次元モデル)、定量的に流量を扱うことができ、より現実的にフィールド

データとの比較を行うことができる。

PTSPでは、PTの計算を行わずに入力データとして流速、温度、圧力分布のファイル

(flux.datファイル)を与え、それに対するSP分布を直接SPVサブルーチンで計算させること

もできるo 従ってx-z軸系の二次元モデルでは表現できないy方向の流動については、 それ

と等価な流量をflux.datファイル上で、x方向の流動に強制的に付加することにより、y方向の

流動がある場合と等価なSP分布を計算することもできる。つまり構造の三次元性の影響

(22)

第y:-t.自然1江!、工の以(1([;'-ミュレ-?PTSP

を考慮することがある程度可能である。 またflux.datファイルは、 PTを用いて計算するま でもない単純な定常流についてのSPの計算や、 流動系は変えずに電気的物性のみを変化 させて計算を行う際に有効である。

PTSPは物性分布に対応してSP分布を計算するので、 物性分布に関するセンシティビテ イ ・ スタデイが可能である。 例えばフィールド探査の段階では、 地下の構造を一意的に決 めることはできないにしても、 SPの測定データと構造モデルに対する計算値との比較に より、 地下構造モデルに関しでかなりの制約を与えることができる。 また流体生産 ・ 還元 を行う場合のモニタリングに関しては、 実測データにおける時間変化がシミュレーション 結果と合わない場合には、 どの物性の変化が実際のSP変化に影響を与えているのかを推 定することができる。

以上をまとめると、 シミュレータPTSPは、 地表のSP観測データの解釈に定量性を与え、

地下の水理学的構造探査や貯留層モニタリングへの適用性を高める上で、 非常に有用なシ ミュレータと言うことができる。

3.3.解析解との比較

この節では、 解析解が存在する単純なモデルについて、 解析的手法と数値的手法でSP の計算を行った場合の比較を示し、 シミュレータPTSPの有効性を確認する。 以下に示す 解析解の式の導出については、 Sill and Johng (1979) およびWilt and Butler (1990)を参考にし ている。

まず、 均質な半無限媒体中に置かれた点状の圧力源を考える(図3-2)0 これは、 例えば 還元井の周りに発生するSP異常を計算することに相当している。 この問題についての解 析解は、 実際の圧力源と同じ強さの仮想圧力源を、 地表に対して線対称、に置くことにより 得られる。 実圧力源と仮想圧力源とを配置することにより、 ダルシーの式を満たしつつ、

地表境界においては鉛直方向の流動が無いという条件を満たすことができる。 以下に解析 解の導出について簡単に記す。

ー17-

(23)

第31;1.白然',u:f立の数fll[シミュレ-�PTSP

e w 伊 o a m

Z。

図3・2. 半無限媒体への流体注入の概念図

Fig. 3-2 Schematic model of an fluid injection into a homogeneous halfspace.

実圧力源と仮想圧力源との双方にダルシーの法則を適用することにより、 媒質中の圧力 分布を求めることができる。

Qν -�了VP kA (14)

ここで、 Qv及びAはそれぞれ、 体積流量(m3/sec)及び断面積(m2)で、ある。

均質な無限媒イ本にl圧力点源が存在する場合について(14)式を解くと、 媒質中の圧力分 布は圧力源からの距離rの関数として、 次式のように表わされる。

P(r)

=一一一

4πr k Qvμ (15)

(24)

第3Çt.白然屯(立の数(1((;;;ユレ-'1PTSP

地下を均質な半無限媒体と仮定した場合、 仮想圧力源によって発生する圧力も(15)式と同 じように計算することができるので、 圧力分布は両者の和として表わすことができ、

Qyμ Qyμ P( r, r') =一一一 + 一一-

4πrk . 4π〆k (16)

となる。 ここでr及びr'は、 実圧力源及び仮想圧力源からの距離である。 地表面上では、

rとr'の絶対値が等しいので、 r=〆= vÍx弓Z7 を導入して地表面上での解を求めると、

P( x,

Z

= 0) = Qyμ

2πk (17)

となる。 ここで、 xは、 圧力源から観測点まで、の水平距離(m)、 z。 は圧力源の深度(m)で、

ある。

(3)式より、 地表面上での電位は単純な式で表わすことができ、

。(x,

Z

= 0) =

_

R

Lp

Qy

11

2nkJ x2 + z� (18)

となる。 ここで、 Rは均質媒体の電気比抵抗(Q-m)、 L は圧力カップリング係数である。

p

図3-3は、 半無限均質媒体で表わされる地下への流体注入時の定常状態についての地表 のSP分布を示している。 実線は解析解を表わし、 口印はPTSPによる数値解を示している。

この計算に用いたパラメータは、 R= 10 .Q-m、 k = 10 md (= 10-14 m2)、 L p � = 20 m V/atm (コOX 10司4 mV/pa)で、あり、 この Lpの値はLv=2.0×106mA-s/m3と等価である(但し、 kは

上記の値とし、 μ= 10-3 Pa-secとした場合)0 流体源の深度は30.0mとし、 注入量Qv = 10-4

ー19 -

(25)

あ�3?;!. 然'11Û:t.立の政(i在シミュレ-1PTSP

この注入量は質量流量Q,n

= 0.1

kgjsecに相当する。 解析解と数値解との間 には、 良い一致が見られる。

m3jsecとした。

一一一Analytical

PTSP

二一

nu ハU4E・E・「コ::b:::::1t-勺/」0

0

0

O

G

O

o

-っ

2

4

6

8

0

2

-

-

-

4EI--

(〉E)牛ω

100 125 50 75

-2 5 0 25

Distance (m)

- 5 0 -75

水注入モデルに対して計算された地表でのSPプロファイル.

SP profiles calculated for the injection model.

Fig.3-3 図3・3.

3.4.単純な帯水層モデルについての計算例

この計算には、 3.2 ここでは、 単純な構造モデルに対するPTSPでの計算例を紹介する。

節に紹介したように、 PTによる流動計算を行わずに、 単純な流動パターンに対してSPを この計算の目的は、 第2章で示した理論によって生じ 計算するオプションを用いている。

るSP異常が、 個々の流動パターンに対してどのような形で現われるかを理解することで ある。

異なる流動パターンによってどのようなSP異常が発生するかを調べる目的で、 単純な

物性分布を持った二次元モデルに対し、 理想化された流動モデルを与えた場合のSPを計

(26)

第WL C1r.);;',IT:f立の数(i!lシミュレ-1PTSP

算した。 流速は、 流体流動のある全ての計算グリッドに対して一定量を指定した。 この流 動モデルは、 実際の流動に応用するには単純化しすぎている面もあるが、 流動パターンに 対するSP異常の特徴を把握しておく意味で役立つと思われる。 この節の最後に、 このよ

うな単純化したモデル計算の、 実観測データの解釈における活用法について述べる。

3.4.1. 電気物性モデル

まず、 図3-4 ----図3-6に示されるような3つの構造モデルを考える。

Modell

region

1

Rl

= 1.0

(ohm-m)

Lv 1 = 1.0

(mA-sec/m3)

し一一一一一一一一一一一_.J.一一一一一一一一一一一一J

_Cわ nU ---'"--+x_. ()(コ

図3-4. 物理モデル 1 :均質な半無限媒体.

Fig. 3-4 Physical prope吋y Model 1: Homogeneous halfspace.

ー21 -

(27)

第3?;'í:.白然屯f\i:の数fIð:シミユレ-�PTSP

恥1ode12

region 1 region 2

R2 = 0.1, 1.0, 10.0 R1 = 1.0 (ohrn-m)

I

(ohrn-m)

Lv 1 = 1.0 (mA-sec/m3)

I

Lv2 = 0.0 (mA-sec/m3)

L一一一一一一一一一一一一よ一一一一一一一一一一一一」

_C幻 。 一-+x Cわ

図3-5. 物理モデル2:鉛直接触面.

Fig. 3-5 Physical prope吋y Model 2: Vertical contact.

Mode13

region 3 R3=olOr10 0(ohm-m)

l

Lv3 = 0.0 (mA-sec/m3)

i

region 1 region 2

R1 = 1.0 (ohm-m)

I

R2 = 1.0 (ohm-m)

Lv 1 = 1.0 (mA-sec/m3)

I

Lv2 = 0.0 (mA-sec/m3)

L一一一一一一一一一一一一よ一一一一一一一一一一一一J

_Cわ一+χ 。。

図3-6. 物理モデル3:帽岩に覆われた鉛直接触面.

Fig. 3-6 Physical prope吋y Model 3: Vertical contact with caprock.

(28)

第3'�.白然;正1立の故f�(:,,;ユレー?PTSP

モデル1は、 均質な半無限媒体を示している。 単純化のため、 媒体の電気比抵抗Rは1

。-m、 流速と電流の聞のカップリング係数Lνは1 mA

.

sec/m3とし、 全領域で等温状態と

する。 モデル2は、 断層などでよく見られるように、 鉛直方向の接触面においてLvとRが 変化している場合を表わしている。 モデル3は、 モデル2の鉛直接触面の上を薄い水平層 が覆っている例であり、 地熱貯留層の上を帽岩が覆っている場合などがこれに相当する。

以下の計算結果に示す数値は、 統一単位系であればどの単位系でもあてはまるが、 パラメ ータについての理解を容易にするためMKS単位系による単位を添える。 LvおよびRはSPの 計算結果に対してリニアな関係をもつので、 全てのモデルについて領域1における値を1と

し、 他の領域での値を変化させる。

3.4.2. 流動モデル

図3-7---図3-10に、 この節での解析に用いられた二次元流動モデルを示す。

モデルA(図3-7)は、 帽岩の下を一方向に流れる水平帯水層を表わしている。 流体の流 速は一定である。 帯水層の深さは100mとしたが、 SPへの深度の影響を調べる計算では、

帯水層の深さを変化させる。

モデルB (図3-8)は、 垂直断層を単純化したモデルであり、 断層は水平帯水層により左 右両方向から水の供給を受けて、 上昇流域となっている。 断層の幅及び帯水層の厚さはと

もに10mとした。 帝水層中の流体速度を左右とも1m/sとしたので、 双方が合流して上昇す る断層中の流速は2m/sとし、 上昇した流体は地表から湧出することとする。 帯水層の上面 深度は100mで、 断層及び帯水層の周辺の岩石は非透水性とした。

温度変化の影響を調べるため、 モデルBの応用としてモデルB'を考えた (図3-9)0 このモ デルは高温流体が帯水層から断層に流入して上昇する様子を単純化したもので、 流動のあ る部分(断層及び帯水層)の温度を800C、 それ以外の非透水性部分は200Cとした。 この場 合のLν及びRは(10)式及び(11)式に従って、 温度変化するものとして計算した。

- 23 -

(29)

第3(!'f.自然屯位の数ú!(';�ュレ-9PTSP

Model A

100 (m)

Vx=1.0(m/s)→ 110 (m)

rr

」一一一一一ー一一一一一一一一一一一一一一一一一一一J

ーαコ O ー-+x αコ

図3-7. 流体流動モデルA:帯水層中を一方向に流れる流動.

Fig.3-7 Fluid flow Model A: Oneway flow in a confined aquifer.

恥10del B

、l,/ m ,,t、 ハUnu --

Vzl= 2.0 (m/s)

--LF ・・・・ ・E・・ ・・・・ ・・・・

Vx二1.0己公→ ←Vx = -1.0己公

rr

L.一一一一一一一一一一一-.&-一一一一一一一一一一一一J

ーαコ O 一歩X αコ

図3-8. 流体流動モデル B:帯水層から流体を供給されている鉛直断層.

Fig. 3-8 Fluid flow Model B: Vertical fault fed fluid by an aquifer.

(30)

第3 ,�'L rJ然'l\1:f立の数fI!Iシミュレ-'1PTSP

h10del B'

、1101 9n )

20.00C

100 (m)

Vzl= 2.0 (m/ s)

80.00C

ーミー-i】

Vx

=

1.0 (m/s)→ ←い1.0 (m刈 ! 干 (m)

O ー+x

図3-9. 流体流動モデルB' :帯水層から高温流体を供給されている鉛直断層.

Fig. 3-9 Fluid flow Model B': Vertical fault fed hot fluid by an aquifer.

Model C

1 0

PERM

=

1.0E-20

i

州l↓

PERM = 1.0E-13

I z

(m2 )

L一一一一一-一一一一一_

1

一一

一一一一一一一一

J

ーαコ O ー+ x αコ

図3-10. 流体流動モデルC:坑井からの流体生産.

Fig. 3-10 Fluid flow Model C: Fluid production from a well.

- 25 -

(31)

第31;1. I�然I首位の数Mシiュレ-?PTSP

モデルC(図3-10) は、 前節の図3-2に示したモデルとは逆に、 地下から流体を抜き取る生 産モデルであり、 深度75mの部分から流体を生産する。 このモデルの上部には非透水性の 帽岩が存在する。 モデルA及びBでは、 単純化した流速分布を固定値として与えたが、 モ デjレCで、は初期の流速分布をOとして生産時の流動シミュレーションを行い、 定常状態に なった時の流速分布に対してSPを計算した。

3.4.3. SP異常のパターン

この節では、 前節までに示したモデルに対するSPの計算結果を示す。 以下ではモデル の種類を『モデル1AJのように、 電気物性モデルの番号(1、 2、 3) と流動モデルの記号(A、

B、 B',

C) との組合せで示す。

図3-11はモデル1Aおよび2Aについて、 帯水層の深度を100mとしてSPを計算した結果で ある。 これによると、 モデルlAでは全領域についてSPはOだが、 鉛直接触面のあるモデ ル2Aでは、 断層付近で正の異常が発生している。 正異常が発生するのは、 (7)式の第1項 -VLv-uがOでないことによる。 この項のために、 Lvが大きい領域から小さい領域への

流入がある場合には、 流体が鉛直接触面を通過する際に正の電流が発生する。 この計算結 果は、 地表のSPを説明するために平板状の電流源を仮定したFitterrnan(1979)の『パッチモ デルJにおける電流発生メカニズムを説明し得るものであり興味深い。 鉛直接触部分で発 生する電流源の強さは流量に比例するため、 地表で観測されるSP異常の大きさは流量に 比例する。 流動方向が逆の場合には(Lvが小さい領域から大きい領域への流入)、 絶対値が 等しく負の異常が発生する。

図3-12は、 モデル2Aの帯水層の深度を変化させた場合のSPの変化を表わしている。 予 想される通り、 深度が大きいほど異常は小さいo (18)式からも明らかなように、 地表のSP

は電流源からの距離に反比例するので、 鉛直接触面の直上で観測されるSP異常のピーク

値((18)式で、x=oの場合) は、 帯水層の深度に反比例する。

(32)

.- 2.5

〉ε one'l幻ayflow in aquifer

止 (f) 2.0

model2A

1.5

1.0

0.5

0.0

・200 ・150 ・100

第3i;1.:. n然',ITf\i:の数fI(Dミュレ-$'PTSP

o 50

ー+χ

100 150 200 distance

(m)

-50

図3-11. モデル1Aと2Aに対するSPプロファイル.

Fig.3・11 SP profiles for Models 1 A and 2A .

.- 10.0

〉E oneway flow in aqu併r

acアoss vertical coiztaCt a.. cf)

7.5

25m 5.0

2.5

0.0

・100 -50

kd nυ Au 円、u

a n

nu

e

m

1

ハUnU131

x → nu

図3-12. モテソレ2Aの帯水層の深度を変化させた場合のSPプロファイル.

Fig. 3-12 SP profiles for Model 2A for various d epth of aquifer.

- 27 -

(33)

第Ji';-t. íI然',tU立の数fI江沢ュレ-9PTSP

図3-13に、 モデル1Bについて計算されたSP異常を示す。 サブモデル1B-1と1B-2は、 流 動モデルを水平方向の流動と鉛直方向の流動とに分割したモデルを表わしている。 サブモ デル1B-1は、 鉛直方向の流動だけを考えており、 深度100mの所にある流体源から発生し た流体が、 断層中を上昇し、 地表から湧出するモデルである。 地表から流体が流出する所 では、 岩石中では正の値をもっLvが空気中ではOのため、 (7)式の第1項-VLv-uが正と

なって正のSP異常が発生し、 深度が浅いため強いスパイク状の異常となる。 流体源では 負の電流源が発生するが深度が100mと深いため、 地表からの湧出による影響に比べて顕 著ではない。 一方サブモデル1B-2は、 水平方向の流動だけを扱っており、 深度100mの帯 水層の左右から流入してきた流体が、 断層の所で消滅(流体源と逆の現象)するモデルで ある。負の流体源によって正の電流源が発生するため正のSP異常が見られるが、 深度が

100mと深いため、 異常の値は小さく形状はなだらかである反面、 影響を受ける範囲が広

(〉E) 30

10

_____ model 1 B 0....

CJ) 20

0

・200 ・150 聞100 -50 o 50

ー+χ

100 150 200

distance (m)

図3-13. モデル1BとそのサブモデルのSPプ口ファイル.

Fig. 3-13 SP profiles for Models 1 B and its submodels.

(34)

第3'';'t. i'J然屯{立の数f11[シミュレ-�PTSP

ぃ。 モデル1BのSPは、 サブモデル1B-1と1B-2のSPプロファイルの和となっており、 この ことは、 SP異常は種々の流動によって発生するSPの総和となることを示している。

図3-14はモデル1B---3Bに対するSPの計算結果を示している。 モデル3Bは他の二つのモ デルと異なり、 x=Oの所にスパイク状の異常が現われていない。 これは、 地表から流体が 湧出する部分のLvが0であるため、 電流j原が発生していないことによる。 モデル2BでのSP 異常がモデル1Bの異常の1/2の大きさになっているのは、 2Bで、はx>oで、は Lv=0であるため

に、 発生する電流源の量が1Bの1/2であることによる。ここでモデル2BのR2は1.0ohm-m(=

Rl)であり、 比抵抗Rは全領域で一定である。

モデルB '�:対するSPの計算値を図3-15に示す。 図3-14との違いは、 流動部分の温度が高 くなったことであり、 高温部分ではRがやや低くなり、 Lvが増加する。 流動部分のLvが増

大すると発生する電流源の強度が増すため、 領域全体のSP異常が大きくなっている。 し かし流体上昇部であるx=OにおけるRが小さいために、 x=Oと隣の計算グリッドとの電位差

(〉ε)

20

model 1: homogeneous halfspace model 2: vertical contact

model 3: model 2 with caprock

。』

(f) 30

10

0

・200 ・150 ・100 ・50 o 50

ー+χ

100 150 200 distance

(m)

図3-14. モデル1 B"""3 BのSPプロファイル.

Fig. 3-14 SP profiles for Models 1 B-3B.

-29 -

(35)

第3è;'t.121然15位の数1If(;,ミユレ-�PTSP

(〉E)

a.. (f) 30

model 1: homogeneous halfspace model 2: vertical contact

model 3: model 2 with caprock

bot jfow in aqlliJer & jault

20

___ model 1 81

10

o

-200 -150 ・100 ・50 o 50

ー+χ

100 150 200 distance

(m)

図3-15. モデル18',.._,,38'のSPプロファイル.

Fig. 3-15 SP profiles for Models 18'-38'.

が小さくなり、 スパイク状の異常は弱くなっている。 結果としてモデルB1はモデルBと比 較して、 x宇Oで、のSP異常は増加しているが、 x=oで、の異常は小さくなっている。

図3-16---3-18に、 流体生産時のSP異常を示すo Rが全領域で均ーな場合、 つまりR]=

R2=R3の場合について、 モデル1C---3Cの違いを表わした図が図3-16である。 均質な半無 限媒体であるモデル1Cでは、 SP異常の最大値はxニO、 すなわち流体生産の直上で観測され る。 モデル2Cでも同様に最大のSP異常値はx=oで、観測されるが、 その値は図3-14のモデル 2Bと同様の理由により、 モデル1Cの1/2となっている。 モデル3Cの結果はモデル2Cと類似 しているが、 最大値はやや小さく、 その位置はx>o側にずれている。 これはxくO側の浅部 で発生する負の電流源によるものである。 流動モデルCでは生産グリッドに向かう流動が 発生しているため、 生産グリッドより上では下方向の流動が起きているo x>o側で、はLv2と

Lν3が共に0なので電流源は発生しないが、 x<o側で、はLν1とLv3との境界を流体が通過する

際に(7)式の第l項-VLv-uによって負の電流源が生じ、 流体生産によって生じる正のSP

(36)

前3可1.自然屯(立の数fll[シミュレ-�PTSP

異常を下げている。 その結果としてSP正異常の最大値の位置は、 x>o側にずれている。

図3-17は、 モデル2CのR2を変化させたときのSPの変化を示している。 このモデルでは、

x=oの生産グリッドにおいてのみ電流源が発生するためSP異常はx=oで最大値となること、

左右各々の領域は均質で、x=+∞で0となることから、 左右のRの違いに関わらず左右対称 のプロファイルとなる。 従ってR2が大きいほど領域全体を代表する比抵抗値が大きくな るため、 SP異常が大きい。

図3-18は、 モデル3Cの帽岩の比抵抗R3を変化させたときのSPの変化を示しているo R3 が大きいほど、 SPの値は全体に大きくなる。 このことは、 浅部の帽岩が地下の流動に関 する情報の増幅器の役割を果たし、 帽岩の比抵抗が大きいほど顕著なSP異常が観測され ることを示している。

電気物性モデlレ2と3の比抵抗構造が変化した場合のSPの変化については、 生産モデル (モデルC)についてのみ計算を行った。 電流源の分布さえ決定されれば、 数値的にSP分布

戸、400

〉ε

0...

(f) 300

200

100

model1C

-100 。

一斗�X

tluid production

100 distance

(m)

図3-16. 比抵抗が均一の場合のモデル1 C----3CのSPプ口ファイル.

Fig. 3-16 SP profiles for Models 1 C-3C with unified resistivity.

- 31 -

(37)

第31;1.nt�lG:f,!:の数!lf(シミュレ-�PTSP

__

400

E

jluid production

300

R2 = 10.0

(ohm-m)

(f) a..

100

m m 仏日 o nu dEE- -一 ηζ ロハll

200

R2 = 0.1

(ohm-m)

-100 。

一+χ

100

distance (m)

図3-17. モデjレ2Cの比抵抗を変化させた場合のSPプロファイル.

Fig. 3-17 SP profiles for Model 2C with various resistivity.

__

300

ε

jluidprodl拡tion

a.. (f)

/ R3 = 10.0

(ohm-m)

200

100

一+χ

100

distance (m)

-100 。

図3-18. モデjレ3Cの比抵抗を変化させた場合のSPプロファイル.

Fig. 3-18 SP profiles for Model 3C with various resistivity.

(38)

出3市. Ll r!.�(包!立の数イ1((ンミュレ-�PTSP

を計算するのは容易であり、 比抵抗構造のSPに及ぼす影響については多くの文献に例が 示されているので、 ここではこれ以上とりあげないこととする。

3.4.4.実測データへの応用について

以上のモデル計算は、 流動部の流速を均一にするなど、 実際の流動を単純化し過ぎてい る面もあるが、 SPの実測データ解釈の際に適用可能な重要な結果がいくつか得られてい るので、 それらを以下に列挙する。

先に述べた通り、 モデルlAでは全領域についてSPは0であり、 このことは地下にどれほ ど大量の水平流動が存在するとしても、 SP異常が観測されない場合のあることを示唆し ている。 自然状態でSP異常が観測されるのは、 断層のような鉛直接触部を流体が通過す る場合(モデル2A) か、 地表からの流体流出がある場合(モデルlB) のように、 Lvの変化す る部分を流体が通過する場合に限られている。

サブモデルlB-lでは、 地表からの流体湧出により大きなスパイク状のSP異常が生じて いる。 地表からの湧出については、 発生する電流源の深度が無限に小さいため、 微量の湧 出であっても顕著なSP異常が観測される。 但しその異常は局所的であるため、 深部の流 動による異常とは容易に区別することができる。

モデル2Aは、 Fittennan(1979)の『パッチ ・ モデルJのような平板状の電流源の発生メカ ニズムを説明するものである。 (7)式よりLv が変化する所を流体が通過する際に電流源が 発生するので、 一定の断面積を持った帯水層の流体が鉛直接触面を横切る場合には、 その 面上に平板状の電流源が発生するo Fittennan (1979)は、 鉛直接触面の近傍に圧力源又は熱 源を仮定して電流源の発生メカニズムとしているが、 第l章に述べた通り、 圧力源及び熱 源はエネルギー及び質量保存の法則に反するので、 自然状態のモデルとしては不適切であ

り、流動によって生じる電流源でSP異常を説明する本モデルの方が適切と考えられる。

SP異常への比抵抗分布の影響は生産モデルについての計算に示した通りであり、 比抵 抗構造の違いにより、 同じ流動及びLvの分布に対しでも、 異なるSP異常のパターンが生

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(39)

第31;'(.r'I!然?t2fv:の数Úl[シミュレ-?PTSP

じるので注意が必要である。 なお、 ここでは浸透率、 Lv、 Rの三者の影響を調べるために、

それぞ、れを別個に変化させてSPを計算したが、 実際の地下構造では、 地層及び岩相の境

界で三者がともに変化する場合が多い。

参照

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