図3-11はモデル1Aおよび2Aについて、 帯水層の深度を100mとしてSPを計算した結果で ある。 これによると、 モデルlAでは全領域についてSPはOだが、 鉛直接触面のあるモデ ル2Aでは、 断層付近で正の異常が発生している。 正異常が発生するのは、 (7)式の第1項 -VLv-uがOでないことによる。 この項のために、 Lvが大きい領域から小さい領域への
流入がある場合には、 流体が鉛直接触面を通過する際に正の電流が発生する。 この計算結 果は、 地表のSPを説明するために平板状の電流源を仮定したFitterrnan(1979)の『パッチモ デルJにおける電流発生メカニズムを説明し得るものであり興味深い。 鉛直接触部分で発 生する電流源の強さは流量に比例するため、 地表で観測されるSP異常の大きさは流量に 比例する。 流動方向が逆の場合には(Lvが小さい領域から大きい領域への流入)、 絶対値が 等しく負の異常が発生する。
図3-12は、 モデル2Aの帯水層の深度を変化させた場合のSPの変化を表わしている。 予 想される通り、 深度が大きいほど異常は小さいo (18)式からも明らかなように、 地表のSP
は電流源からの距離に反比例するので、 鉛直接触面の直上で観測されるSP異常のピーク
値((18)式で、x=oの場合) は、 帯水層の深度に反比例する。
.- 2.5
〉ε one'l幻ayflow in aquifer
止 (f) 2.0
�
model2A1.5
1.0
0.5
0.0
・200 ・150 ・100
第3i;1.:. n然',ITf\i:の数fI(Dミュレ-$'PTSP
o 50
ー+χ
100 150 200 distance
(m)
-50
図3-11. モデル1Aと2Aに対するSPプロファイル.
Fig.3・11 SP profiles for Models 1 A and 2A .
.- 10.0
〉E oneway flow in aqu併r
acアoss vertical coiztaCt a.. cf)
7.5
25m 5.0
2.5
0.0
・100 -50
kd nυ Au 円、u
a nnu
em
1ハUnU131
x → nu
図3-12. モテソレ2Aの帯水層の深度を変化させた場合のSPプロファイル.
Fig. 3-12 SP profiles for Model 2A for various d epth of aquifer.
- 27
-第Ji';-t. íI然',tU立の数fI江沢ュレ-9PTSP
図3-13に、 モデル1Bについて計算されたSP異常を示す。 サブモデル1B-1と1B-2は、 流 動モデルを水平方向の流動と鉛直方向の流動とに分割したモデルを表わしている。 サブモ デル1B-1は、 鉛直方向の流動だけを考えており、 深度100mの所にある流体源から発生し た流体が、 断層中を上昇し、 地表から湧出するモデルである。 地表から流体が流出する所 では、 岩石中では正の値をもっLvが空気中ではOのため、 (7)式の第1項-VLv-uが正と
なって正のSP異常が発生し、 深度が浅いため強いスパイク状の異常となる。 流体源では 負の電流源が発生するが深度が100mと深いため、 地表からの湧出による影響に比べて顕 著ではない。 一方サブモデル1B-2は、 水平方向の流動だけを扱っており、 深度100mの帯 水層の左右から流入してきた流体が、 断層の所で消滅(流体源と逆の現象)するモデルで ある。負の流体源によって正の電流源が発生するため正のSP異常が見られるが、 深度が
100mと深いため、 異常の値は小さく形状はなだらかである反面、 影響を受ける範囲が広
(〉E) 30
10
_____ model 1 B 0....
CJ) 20
0
・200 ・150 聞100 -50 o 50
ー+χ
100 150 200
distance (m)
図3-13. モデル1BとそのサブモデルのSPプ口ファイル.
Fig. 3-13 SP profiles for Models 1 B and its submodels.
第3'';'t. i'J然屯{立の数f11[シミュレ-�PTSP
ぃ。 モデル1BのSPは、 サブモデル1B-1と1B-2のSPプロファイルの和となっており、 この ことは、 SP異常は種々の流動によって発生するSPの総和となることを示している。
図3-14はモデル1B---3Bに対するSPの計算結果を示している。 モデル3Bは他の二つのモ デルと異なり、 x=Oの所にスパイク状の異常が現われていない。 これは、 地表から流体が 湧出する部分のLvが0であるため、 電流j原が発生していないことによる。 モデル2BでのSP 異常がモデル1Bの異常の1/2の大きさになっているのは、 2Bで、はx>oで、は Lv=0であるため
に、 発生する電流源の量が1Bの1/2であることによる。ここでモデル2BのR2は1.0ohm-m(=
Rl)であり、 比抵抗Rは全領域で一定である。
モデルB '�:対するSPの計算値を図3-15に示す。 図3-14との違いは、 流動部分の温度が高 くなったことであり、 高温部分ではRがやや低くなり、 Lvが増加する。 流動部分のLvが増
大すると発生する電流源の強度が増すため、 領域全体のSP異常が大きくなっている。 し かし流体上昇部であるx=OにおけるRが小さいために、 x=Oと隣の計算グリッドとの電位差
(〉ε)
20
model 1: homogeneous halfspace model 2: vertical contact
model 3: model 2 with caprock
。』
(f) 30
10
0
・200 ・150 ・100 ・50 o 50
ー+χ
100 150 200 distance
(m)
図3-14. モデル1 B"""3 BのSPプロファイル.
Fig. 3-14 SP profiles for Models 1 B-3B.
-29
-第3è;'t.121然15位の数1If(;,ミユレ-�PTSP
(〉E)
a.. (f) 30
model 1: homogeneous halfspace model 2: vertical contact
model 3: model 2 with caprock
bot jfow in aqlliJer & jault
20
___ model 1 81
10
o
-200 -150 ・100 ・50 o 50
ー+χ
100 150 200 distance
(m)
図3-15. モデル18',.._,,38'のSPプロファイル.
Fig. 3-15 SP profiles for Models 18'-38'.
が小さくなり、 スパイク状の異常は弱くなっている。 結果としてモデルB1はモデルBと比 較して、 x宇Oで、のSP異常は増加しているが、 x=oで、の異常は小さくなっている。
図3-16---3-18に、 流体生産時のSP異常を示すo Rが全領域で均ーな場合、 つまりR]=
R2=R3の場合について、 モデル1C---3Cの違いを表わした図が図3-16である。 均質な半無 限媒体であるモデル1Cでは、 SP異常の最大値はxニO、 すなわち流体生産の直上で観測され る。 モデル2Cでも同様に最大のSP異常値はx=oで、観測されるが、 その値は図3-14のモデル 2Bと同様の理由により、 モデル1Cの1/2となっている。 モデル3Cの結果はモデル2Cと類似 しているが、 最大値はやや小さく、 その位置はx>o側にずれている。 これはxくO側の浅部 で発生する負の電流源によるものである。 流動モデルCでは生産グリッドに向かう流動が 発生しているため、 生産グリッドより上では下方向の流動が起きているo x>o側で、はLv2と
Lν3が共に0なので電流源は発生しないが、 x<o側で、はLν1とLv3との境界を流体が通過する
際に(7)式の第l項-VLv-uによって負の電流源が生じ、 流体生産によって生じる正のSP
前3可1.自然屯(立の数fll[シミュレ-�PTSP
異常を下げている。 その結果としてSP正異常の最大値の位置は、 x>o側にずれている。
図3-17は、 モデル2CのR2を変化させたときのSPの変化を示している。 このモデルでは、
x=oの生産グリッドにおいてのみ電流源が発生するためSP異常はx=oで最大値となること、
左右各々の領域は均質で、x=+∞で0となることから、 左右のRの違いに関わらず左右対称 のプロファイルとなる。 従ってR2が大きいほど領域全体を代表する比抵抗値が大きくな るため、 SP異常が大きい。
図3-18は、 モデル3Cの帽岩の比抵抗R3を変化させたときのSPの変化を示しているo R3 が大きいほど、 SPの値は全体に大きくなる。 このことは、 浅部の帽岩が地下の流動に関 する情報の増幅器の役割を果たし、 帽岩の比抵抗が大きいほど顕著なSP異常が観測され ることを示している。
電気物性モデlレ2と3の比抵抗構造が変化した場合のSPの変化については、 生産モデル (モデルC)についてのみ計算を行った。 電流源の分布さえ決定されれば、 数値的にSP分布
戸、400
〉ε
0...
(f) 300
200
100
。
� model1C
-100 。
一斗�X
tluid production
100 distance
(m)
図3-16. 比抵抗が均一の場合のモデル1 C----3CのSPプ口ファイル.
Fig. 3-16 SP profiles for Models 1 C-3C with unified resistivity.
- 31
-第31;1.nt�lG:f,!:の数!lf(シミュレ-�PTSP
__
400〉
E
jluid production300
R2 = 10.0
(ohm-m)
(f) a..
100
m m 仏日 o nu dEE- -一 ηζ ロハll
200
R2 = 0.1
(ohm-m)
。
-100 。
一+χ
100
distance (m)
図3-17. モデjレ2Cの比抵抗を変化させた場合のSPプロファイル.
Fig. 3-17 SP profiles for Model 2C with various resistivity.
__
300〉
ε
jluidprodl拡tiona.. (f)
/ R3 = 10.0
(ohm-m)
200
100
。
一+χ
100
distance (m)
-100 。
図3-18. モデjレ3Cの比抵抗を変化させた場合のSPプロファイル.
Fig. 3-18 SP profiles for Model 3C with various resistivity.
出3市. Ll r!.�(包!立の数イ1((ンミュレ-�PTSP
を計算するのは容易であり、 比抵抗構造のSPに及ぼす影響については多くの文献に例が 示されているので、 ここではこれ以上とりあげないこととする。
3.4.4.実測データへの応用について
以上のモデル計算は、 流動部の流速を均一にするなど、 実際の流動を単純化し過ぎてい る面もあるが、 SPの実測データ解釈の際に適用可能な重要な結果がいくつか得られてい るので、 それらを以下に列挙する。
先に述べた通り、 モデルlAでは全領域についてSPは0であり、 このことは地下にどれほ ど大量の水平流動が存在するとしても、 SP異常が観測されない場合のあることを示唆し ている。 自然状態でSP異常が観測されるのは、 断層のような鉛直接触部を流体が通過す る場合(モデル2A) か、 地表からの流体流出がある場合(モデルlB) のように、 Lvの変化す る部分を流体が通過する場合に限られている。
サブモデルlB-lでは、 地表からの流体湧出により大きなスパイク状のSP異常が生じて いる。 地表からの湧出については、 発生する電流源の深度が無限に小さいため、 微量の湧 出であっても顕著なSP異常が観測される。 但しその異常は局所的であるため、 深部の流 動による異常とは容易に区別することができる。
モデル2Aは、 Fittennan(1979)の『パッチ ・ モデルJのような平板状の電流源の発生メカ ニズムを説明するものである。 (7)式よりLv が変化する所を流体が通過する際に電流源が 発生するので、 一定の断面積を持った帯水層の流体が鉛直接触面を横切る場合には、 その 面上に平板状の電流源が発生するo Fittennan (1979)は、 鉛直接触面の近傍に圧力源又は熱 源を仮定して電流源の発生メカニズムとしているが、 第l章に述べた通り、 圧力源及び熱 源はエネルギー及び質量保存の法則に反するので、 自然状態のモデルとしては不適切であ
り、流動によって生じる電流源でSP異常を説明する本モデルの方が適切と考えられる。
SP異常への比抵抗分布の影響は生産モデルについての計算に示した通りであり、 比抵 抗構造の違いにより、 同じ流動及びLvの分布に対しでも、 異なるSP異常のパターンが生
- 33
-第31;'(.r'I!然?t2fv:の数Úl[シミュレ-?PTSP
じるので注意が必要である。 なお、 ここでは浸透率、 Lv、 Rの三者の影響を調べるために、
それぞ、れを別個に変化させてSPを計算したが、 実際の地下構造では、 地層及び岩相の境
界で三者がともに変化する場合が多い。
前4"iL SPにlj唱える地)f�及び地下物性分布の彩科