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博 士 ( 工 学 ) 西 田 好 毅

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 西 田 好 毅

学 位 論 文 題 名

高 効 率 プラ セオ ジ ム添 加フ ッ 化物 光フ ァ イバ 増幅 器 の研 究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近年のコンピュ一夕通 信、インターネットの普及 に伴う通信容量の急速な増加は、光ファイバ 網を利用した通信容量の 大容量化を緊急の課題とし ている。光ファイバ増幅器は、従来の光一電 気変換が介在する光中継 器に替わる中継器として、 基幹伝送系への適用が検討されているほか、

ソリ卜ン通信、波長多重 通信システムへの適用など 、次世代の大容量・高速光通信システムを構 築する上で必要不可欠な 光部品として認識されてい る。

  波 長1.3 11m帯 で動 作 する 光フ ァイ バ増 幅 器と して 、1991年に開 発されたプラセオジム添加 フッ 化物 光フ ァ イバ 増幅 器(PDFA)は 、高 利得 、高 出 力、 低雑 音特 性に 優 れ、 ラマン増幅器、

半導体アンプなどの他の 候補に較べ、優れた増幅特 性を有している。

  し かしな がら、従来のZrF.,系フッ化 物光ファイバを用いたPDFAは 、1.3 !̲L171発光の量子効 率が低いために、高出カ の励起光源を必要とし、モ ジュールの小型化、低価格化の観点から効率 の改善が望まれていた。

  本 論文 は、PDFAの 効率 を改 善 する こと を目 的と し 、従 来ホ スト ガラ ス とし て使われている ZrF̲i系フッ化物ガラス よりも、フォノンエネルギー の小さいPbF2/InF3系フッ化物ガラスを開発 し、 高効 率の 光 増幅 を実 現す る とと もに 、高 効率PDFAモ ジュ ール を開 発 した ことについて述 べ た も の で あ る 。 本 論 文 は 全7章 か ら な り 、 そ の 主 要 な 成 果 は 次 の よ う に 要 約 さ れ る 。   第1章では 、本論文の背景と目的が述 べられている。光通信システ ムにおける光ファイバ増幅 器の 役割 、こ れ まで のPDFA開 発 の経 緯に つい て概 説 して いる 。す でに 実 用化 されている1.5 肛m帯工 ルビ ウム 添加 光 ファ イバ 増幅 器と の 特性 比較 から、PDFAに おいては効率の改善が重要 であることを明らかにし ている。

  第2章では 、PbF2/mF3系フッ化物ガラ ス中のプラセオジムの螢光特 性について検討している。

Judd−Offelt解 析を 行う こと によって 、1.3皿m発光の量子効率が 、ZrFl系フッ化物ガラスの2 倍の値を持つことを明ら かにしている。カルコゲナ イドガラス、混合ハライドガラスなどの他の 候 補 と 、 螢 光 特 性 、 低 損 失 光 フ ァ イ バ 作製 の 可能 性に つい て比 較 検討 を行 うこ と によ り、

PbF2/nF3系 フ ッ 化 物 ガ ラ ス を 開 発 の 目 標 と し た こ と に つ い て 述 ぺ て い る 。   第3章 では 、PbF2/mF3系フ ッ化 物ガ ラス の ガラ ス組 成に つ いて 検討 して いる 。4種類のガラ ス系を開発し、安定ガラ ス域を明らかにするととも に、熱特性の評価を行い、開発したガラス組 成が、熱安定性に優れ、 光ファイバ作製が可能であ ることを示している。また、ガラス組成を調 整することによって、熱 安定性を損ねることなく、 屈折率を広い範囲で制御できることを示して いる。

  第4章では 、PbF2/mF:j系単一モード 光ファイバの作製について示 している。溶融法によるフ ァイバ母材の作製、ジャ ケット延伸法によるコア直 径の細径化、ファイバ線引きの各工程を示す とともに、低損失化を達 成するために必須となる、フッ化物原料の高純度化について示している。

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作製したPbF2 /InF3系単一モード光ファイバは、比屈折率差△n‑2.5,3.7,6.6%の3種類で、

波長1.2肛mにおける損失値は、△n=ニ2.5,3.7%のファイバにおいては、O.06 dB/mとZr1 系フッ化物光ファイバに匹敵する低損失を達成し、△n二ニ6.6%のファイバにおいては、0.25 dB/mの損失値を得ることに成功している。

  第5章では、作製したPbF2/nF3系単一モード光ファイバの増幅特性について検討している。

△n 6.6%の光ファイバを用いた増幅実験において、これまで最高の利得係数O.36dB/mWを 得ることに成功している。△n ̄3.7%の光ファイバにおいても、同様の諸元をもつZrF|系光フ ァイバの利得係数を上回る、0.26dB/n1Wを達成し、PbF2/InF3系光ファイバが、ZrpI系光フ ァイバよりも高効率であることを明らかにしている。

  第6章では、PbF2/mF3系単一モード光ファイバを用いた3種類のPDFAモジュールの開発に ついて示している。プラグイン・夕イプPDFAモジュールでは、△n−―6.6%のPbF2/hF3系光フ ァイバ、2台の波長安定化1.017Hm半導体レーザ、フんイパカップラ、アイソレ一夕などの光 学部品を高密度に実装し、大きさ15.24X194X247mmのアンプモジュール開発に成功してい る。このモジュールは、ITU−T(国際電気通信連合、電気通信標準化部門)が定めた、1.3肛m 帯lOGbit/secシステムの中継器に要求される10dBmの信号出カを達成し、低消費電力化に も成功している。

  最後に、本論文は、新規に開発したPbF2/nR系フッ化物ガラスを用いた単一モード光フんイ バが、従来のZrF4系単一モード光ファイバに比べ、増幅特性に優れること、また、PbF2/In3 系単一モード光ファイバを用いたPDFAモジュールが、高利得、高出力特性に優れることを明 らかにしている。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

高効率プラセオジム添加フッ化物光フんイバ増幅器の研究

  光ファイバ増幅器は 、従来の光・電気変換が介在 する光中継器にかわり海底 伝送系、基幹伝送 系への適用が進められ いるほか、ソリ卜ン通信、波 長多重通信システムなどの 次世代の大容量・

高速 光通 信 シス テム を構 築す る 上で は必 要不 可欠な光部品として認識 されている。波長1.3Um 帯で 動作 す るプ ラセ オジ ム添 加 フッ 化物 光フ ァイバ増幅器(PDFA)は、 高利得、高出カであるこ とに加え偏波依存性が なく低雑音であることから、 ラマン増幅器、半導体アン プなど他の1. 3u m帯 光増 幅器 に較 べて 実 用的 な光 増幅 器 とし て期待されてきた。しか しながら、従来のZrFよ系 フッ 化物 光 ファ イバ を増 幅媒 体 とす るPDFAは 、1.3um発光の量子効率 が低いために高出カの励 起光源を必要とする問 題を有していた。プラセオジ ムにおいては、上準位とそ の直下に位置する 中間準位のエネルギー 間隔が狭いために、上準位が 多フォノン緩和による非輻 射遷移の影響をう けや すく 量 子効 率が 低下 する 。PDFAの効 率改 善にはフォノン・エネル ギーの小さいガラスをホ スト・ガラスとして用 いることが有効であり、光ファイバに加ニ匸することが可能であるような新 規ホス卜・ガラスの開 発が必要とされてきた。

  本 論文 は 、こ のよ うな 背景 の もと でPDFAの 高効率化について検討を 行ったものであり、従来 のZrF4系 フ ッ化 物ガ ラスよりもフォノン・ エネルギーの小さいPbF2/InF3系フッ化物ガラスを新 規に開発し、ガラス化 範囲、熱特性を明らかにする とともに、単一モード光フ ァイバの作製、高 効率PDFAモ ジュ ール の開 発に 関 して 述べ たも ので あ る。 本論 文は 全7章からなり、その主要な 成果は次のように要約 される。

  第1章 では 、本 論文 の背景と目的が述べ られている。光通信システム における光ファイバ増幅 器の役割、これまでのPDFA開発の経緯について概説 している。

  第2章では、PbFZ/InF3系フッ化物ガラス中のプラ セオジムの螢光特性につい て検討している。

螢光寿命測定およびJudd―Of felt解析を行うことによって、PbFZ/InF3系フッ化物ガラス中の1.3 um発 光の 量 子効 率がZrF4系フ ッ 化物 ガラ ス中 の2倍の 値を 持 つこ とを 明らかにしている。また カルコゲナイドガラス 、混合ハライドガラスなどの 他の系と螢光特性および低 損失光ファイバ作 製の 可能 性 につ いて 比較検討を行うことに より、PbFZ/InF3系フッ化物 ガラスが高効率PDFA用の 増幅媒体として優れて いることを示している。

  第3章 では 、PbF2/InF3系フ ッ 化物 ガラ スの ガラ ス 組成 につ いて 検 討している。4種類のガラ ス系を開発し、安定ガ ラス域を明らかにするととも に熱特性の評価を行い、開 発したガラス組成 が熱安定性に優れ、光 ファイバ作製が可能であるこ とを示している。また、ガ ラス組成を調整す ることによって、熱安 定性を損ねることなく屈折率 を広い範囲で制御できるこ とを示している。

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義 雄

恒 幹

山 下

中 山

授 授

教 教

査 査

主 副

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さ らに、 粘性評価 、等温 結晶化 解析を行うことによって、低損失光ファイバ作製の可能性につい て明らかにしている。

  第4章では 、PbFZ/InF3系 単一モ ード光 ファイ バの作製 につい て述べ ている 。溶融 法によるフ ァ イバ母 材の作製 、ジャ ケット 延伸によるコア直径の細径化、フんイバ線引きの各工程を示すと と もに、 低損失化 を達成 するた めに重要となるフッ化物原料の高純度化について述べている。作 製 したPbF2/InF3系単一モード光フんイバは、比屈折率差△n‑2.5,3.7,6.6%の3種類であり、

△n二ニ2.5,3,7%のファイパにおいては、損失値としてO.06 dB/mの低損失光ファイバの作製に 成功している。

  第5章では 、PbF2/InF3系単一モード光ファイバの増幅特性について検討している。△n 6.6% の 光ファ イバを用 いた増 幅実験 におい て、こ れまで 最高の 利得係数0.36 dB/mWを得ることに成 功している。また、△n二ニ3.7%の光ファイバにおいては、同様の諸元をもつZrFユ系光ファイバの 利 得係数(0. 21 dB/mW)を上 回る0.26 dB/mWを達成し、PbFZ/InF3系光ファイバがZrF。系光ファ イバよりも高効率であることを明らかにしている。

  第6章では 、PbF2/lnF3系 単一モ ード光 ファイ バを用い たPDFAモ ジュー ルの開 発について示し て いる。MOPA−LD励起PDFAモジ ュール、Nd−YLFレ ーザ励 起PDFAモジュール、プラグインタイプ PDFAモ ジ ュ ー ルの3種 類 の モ ジュ ー ル を 作製 し 増 幅 特性 を 評 価 して いる。プ ラグイ ンタイ プ PDFAモ ジュー ルでは 、△n 6.6%の 光ファイバを用い、2台の波長安定化1. 017ロm半導体レー ザ、波長合分波器、アイソレータなどの光学部品を高密度に実装することによって、大きさ15.24 Xl94X247mmの ア ンプ モ ジ ュ ール 作 製 に 成功 し て い る。 増 幅 特 性と し て は33.8dBの 小 信 号利 得 を 達 成す る と と もに 、 国 際 電気 通 信 連 合電 気 通 信 標準 化 部 門 (ITU―T) が定め た1.3Um帯 lOGbi t/secシ ステ ムの中 継器に 要求さ れる10 dBmの信号出 カを満 足した ことを 示して いる。

  こ れを要 するに 、著者 は光通信 システ ムヘの 適用が 期待さ れている1. 3um帯光ファイバ増幅 器 におい て、PbF2/InF3系フッ化 物ガラ スを新 たに開 発し、 単一モード光ファイパを作製するこ と によっ て高効率1. 3um帯 光増幅 器の作 製に成 功したも のであり、応用物理学の発展に対して 貢献するところ大なるものがある。

  よ って 著 者 は 、北 海 道 大 学博 士 ( 工 学) の 学 位 を授 与 さ れ る資 格 が あ るも の と 認 める 。

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参照

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