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博士(工学)宍戸哲也 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)宍戸哲也 学位論文題名

Studies of Protonic Acid Sites Originated from Molecular Hydrogen       and Catalysis over Solid Acid Catalysts

( 水素 分子 をプ ロト ン源と する 固体 酸触 媒と その触媒作用に関する研究)

学位論文内容の要旨

  固体 表面 上で 起こ る酸 触媒反応の活性点は、多くの場合表面に存在するブレンステ ッ ド酸 点、 すな わち プ口 トンである。水素分子は解離によってプ口トンとハイドライ ド を生 成す る可 能性 があ るにもかかわらず、水素分子の存在は触媒作用に対して無関 係 であ るか 阻害 効果 があ ると考えられていた。ところが最近になり、水素分子の存在 に よっ て酸 触媒 反応 が促 進される固体酸触媒系が報告され、これらの系においては水 素 分子 から 触媒 表面 にプ 口トン酸点が生成し、酸触媒反応の活性点として機能するこ と が示 唆さ れた 。こ のよ うな触媒系は、水素の存在によって固体表面の活性点濃度、

強 度 を 水 素 の 圧 力 、 温 度 に よ り 制 御 で き る 新 し い タ イ プ の 固体 酸 触 媒 で あ る 。   本研 究は 、水 素分 子か らのプ口トン酸点生成の可能性とそのメカニズム、水素分子 か らプ 口ト ン酸 点を 生成 する触媒が具備すべき性質、生成したプ口トンの触媒作用を 解明することを目的として行った。

  序章 では 、固 体酸 およ び固体超強酸の触媒機能、固体酸触媒に対する共存水素の効 果 、水 素の スピ ルオ ーバ ー現象について、従来の研究を概説し、あわせて固体の表面 における水素の吸着‐脱離挙動、固体酸触媒の触媒作用、担持金属の構造および電子状 態を評価する手法の原理と得られる情報について解説した。

  第1章で は、 代表的 な固 体超 強酸 触媒 であ る硫 酸根 賦活酸化ジルコニウムに白金を 添加した触媒(Pt/S042‑‑2r0)について、触媒表面における水素の吸着‐脱離挙動を、

吸着温度を変化させた水素の昇温脱離法、および水素.重水素を組み合わせた昇温脱離 法 によ って 検討 した 。水 素の吸着温度の上昇にともない水素の脱離量の増加、脱離ピ ーク温度の高温へのシフ卜が観測された。水素.重水素を組み合わせた昇温脱離実験で は 、水 素、 重水 素の 不完 全な混合が観測された。これらの結果から水素はPt上で解離 吸着した後、担体であるS042一_Zr02上にスピルオーパーしていることを明らかにした。

こ の触 媒を 水素 の存 在下 で温度を上昇させると触媒表面に新たにプ口トン酸点が生成 し 、ル イス 酸点 が減 少す ることを考えあわせ、っぎの気相の水素分子からのプ口トン 酸 点生 成の メカ ニズ ムを 提案した。すなわち、気相の水素分子がPt上で解離吸着し、

担 体上 にス ピル オー バー した後、担体表面を移動し、強いルイス酸点上で電子を放出 し 、 プ 口 卜 ン と な り 近 傍 の 酸 素 イ オ ン 上 で 安 定 化 され 表 面 プ 口ト ン酸 点とな る。

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  第2章では、Pt/SO。2・‐ZrOっについて、プ□トン酸点で進行する典型的な酸触媒反応 であ るク ヌン クラ ッキ ング を水 素の 共存下 、非 共存下で行い、水素分子から生成した プ口 トン 酸点 の触 媒作 用を 検討 し、 水素分 子か ら生成したプ口トン酸点が酸触媒反応 の活 性点 とし て機 能す るこ とを 明ら かにし た。 触媒の活性は水素の存在下で高く、水 素の非共存下(ヘリウム下)では低かった。また、共存ガスを水素‐ヘリウム‐水素と連 続的 に変 化さ せた 実験 では 、活 性の 変化は 可逆 的であった。これは触媒表面のプ口ト ン酸 点濃 度す なわ ち活 性点 濃度 が水 素の存 在の 有無によって変化しているためである と結諭した。

  第3章では、Pt/SO。2Il2r02触媒に担持されたPt,の状態を検討した。Pt/S 042‑‑2r02 上のPtの 触媒 作用 は通 常の 貴金 属触 媒と大 きく 異なっており水素化能が低い。例えば 第2章で 検討し たク ヌン クラ ッキ ング 反応 にお いて 、ク メン や生 成した べン ゼンの水 素化 は進 行し なか った 。こ れは 、Ptの状態 が金 属状態と異なっていることを示唆して い る 。PtL殻XANESス ベ ク ト ル か らPtは 電 子 欠 乏 状 態 に あ る こ と を 明 ら か に し た 。 ま たPtL殻EXAFSス ベ ク ト ル か らPt‑Pt、Pt‑0の 存 在 が 認 め ら れ た こ と 、 お よ び Pt‑O‑Ptの存在 が認 めら れな かっ たこ とな どか ら、SO。2‑̲2r02上 の白 金は 、n金属の 核を比較的薄いR酸化物が覆っている状態であると結諭した。

  第4章 で は 、3章 まで の 結果 を踏 まえ 、水 素分 子か らの プ口 トン 酸点 生成に 必要 な 要素 を水 素の 活性 化点 であ る金 属と 強いル イス 酸点であると考え、この両者を備えた 触媒 (PソSi02とHZSM・5の 機械 的混 合物) を調 製し、吸着ピリジンのIRスベクトル、

重水素および水素‐重水素昇温脱離法、クメンクラッキング反応により水素分子からの プ口 トン 酸点 生成 の可 能性 、お よび この触 媒の 水素存在下における触媒作用を検討し た。 吸着 ピリ ジン のIRスペ クト ルか ら、こ の触 媒を水素の存在下で温度を上昇させる と触 媒表 面に 新た にプ 口卜 ン酸 点が 生成し 、ル イス酸点が減少すること、および水素 を排 気す ると プ口 トン 酸点 が減 少し 、ルイ ス酸 点が生成することが示された。この変 化は 水素 の存 在に よっ て可 逆的 に進 行した 。ま た、水素共存下でのプ口トン酸点生成 はHZSM‐5の場 合と 比較して低温から進行した。水素・重水素昇温脱離による検討から n上 で 解 離 吸 着 し た 水 素 の 一 部 はPt/si02上 か らHZSM―5上へ 移動 して いるこ とが 明 らか にな った こと から 、HZSM‐5と比 較し てプ 口卜 ン酸 点濃 度変 化が低 温か ら進行す る の は 、n上 で 解 離 吸 着 した 水素 のHZSM‐5への 移動 によ ると 推定 した 。この 触媒 を 水素 共存 下、 非共 存下 でク メン クラ ッキン グ反 応に適用したところ活性は水素共存下 で高 く、 水素 非共 存下 では 低く なっ た。こ の活 性も可逆的に変化した。これは気相の 水素 から 触媒 表面 にプ 口ト ンが 生成 するこ とに よって触媒表面のプ口トン酸点濃度す なわち活性点濃度が変化しているためであると結諭した。

  第5章 では、 重水 素化したS0421‐ZlOユ触媒上でブタンの骨格異性化反応を行い、生 成す る水 素同 位体 及び メタ ンの 分布 からブ タン 骨格異性化反応の反応機構の検討を行 った 。そ の結 果、 プ口 トン 付加 の後 、脱水 素( または脱メタン)される経路と酸塩基 両機 能に よる 脱水 素に よる 経路 の両 者が存 在し 反応温度、触媒の前処理温度によって その割合が変化することを明らかにした。

  第6章では、本論文を総括した。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Studies of Protonic Acid Sites Originated from Molecular Hydrogen       and Catalysis over Solid Acid Catalysts

( 水素 分子を プロトン 源とする 固体酸触媒 とその触 媒作用に 関する研 究)

  固体表面上で起こる酸触媒反応の活性点は、多くの場合表面に存在するプロトンである。

従来、水素分子の存在は触媒作用に対して無関係であるか阻害効果があると考えられてい た。本研究は、水素分子からのプロトン酸点生成の可能性とそのメカニズム、水素分子か らプロトン酸点を生成する触媒が具備すべき性質、生成したプ口トンの触媒作用を解明す るために行われたもので、主要な成果は次の点に要約される。

  ◎硫酸根賦活酸化ジルコニウムに白金を添加した触媒(Pt/S04い→2r02)について、水     素一重水素を組み合わせた昇温脱離法によって検討した結果、水素はPt上で解離吸着     した後、担体であるS04いー2r02上にスピルオーバーしていることを明らかにし、っぎ     の気相の水素分子からのプ口トン酸点生成のメカニズムを提案した。すなわち、気相     の水素分子がPt上で解離吸着し、担体上にスピルオーバーした後、担体表面を移動し、

    強いルイス酸点上で電子を放出し、プ口トンとなり近傍の酸素イオン上で安定化され     表面プロトン酸点となる。

  ◎典型的な酸触媒反応であるクメンクラヅキングに対して、水素分子から生成したプ口     ト ン 酸 点 が 酸 触 媒 反 応 の 活 性 点 と し て 機 能 す る こ と を 明 ら か に し た 。   ◎Pt/S04い―2r02触媒に担持されlたPtの状態をXAFSとXPSにより検討し、白金は、金属の     核 を 比 較 的 薄 い 酸 化 物 が 覆 っ て い る 状 態 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。   @Pt/Si02とHZSM―5の機械的混合物においても、水素分子からのプロトン酸点生成が認     められた。クメンクラッキング反応活性は水素共存下で高く、水素非共存下では低い     のは、気相の水素から触媒表面にプロトンが生成することによって触媒表面のプロト     ン 酸 点 濃 度 す な わ ち 活 性 点 濃 度 が 変 化 し て い る た め で あ る と 結 論 し た 。   ◎重水素化したS0421―2r02触媒上でブタンの骨格異性化反応を行い、生成する水素同位     体及びメタンの分布からブタン骨格異性化反応の反応機構の検討を行い、プロトン付     加の後、脱水素(または脱メタン)される経路と酸塩基両機能による脱水素による経     路の両者が存在することを明らかにした。

    ‑ 717−

英和 恒俊       正 暢 忠 部 本 澤 葉 服岩 竹千 授授 授授 教教 教教 査査 査査 主副 副副

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  これを要するに、著者は、分子状水素から表面プ口トンが生成し、それが酸触媒反応の 活性点として作用する新しい固体酸触媒の概念を確立したものであり、触媒化学の進歩に 寄与するところ大である。

  よって、著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格ある者と認める。

718−

参照

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