• 検索結果がありません。

学位論文題名Thrombopoietin in Postoperative Thrombocytopenia following Living Donor Hepatectomy

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文題名Thrombopoietin in Postoperative Thrombocytopenia following Living Donor Hepatectomy"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 医 学 ) 長 佐 古 良 英

     学位論文題名

Thrombopoietin in Postoperative Thrombocytopenia     following Living Donor Hepatectomy

(生体肝移植ドナー術後に生じる血小板減少症とトロンボポエチン)

学位論文内容の要旨

【研究の目的】

  トロンポポェチン(Thrombopoietin,TPO)は巨核球系細胞の増殖,分化を刺激し血小板 産生を促進する系統特異的なサイ卜カインである,主に肝細胞において産生され血小板産生 を制御する主要な調節因子と考えられている.生体肝移植ドナー肝切除後にしばしば一過性 の血小板減少症を経験するが,グラフトサイズの大小によるその較差を比較して術後血小板 減少症の発症機序を臨床的に考察する.またそれが回復する過程で血中TPO濃度がどのよう に推移しているのかを検討する,

【方法】

  2000年9月から2001年12月までの期間に実施された生体肝移植のうち,周術期に輸血を 行っていない20例の成人ドナーを研究対象としグラフトタイプによってニつのグループに 分類した.即ち左葉グラフト群10例(外側区切除5例,左葉切除5例)と右葉グラフト群 10例である.それぞれの群について術前と術後1日,2日,3日,5日,7日,14日における 末梢血血小板数,血中TPO濃度と線溶系の指標としてFDP,D―dimerを測定して比較した,

なお血中TPO濃度は採血後すぐに―80℃で凍結保存してELIZA法で測定した,また術前と 術 後7日 ,14日 に 施行 し たhelical CTよ り 肝 臓( 残 肝)と脾 臓容積 とを算出 した.

【結果】

1)臨床的なデータの比較.

    肝切除率(左葉グラフ卜群;28.2士5.4%,右葉グラフト群;62.6士5.0%,Pく0.001)   を除き左葉グラフト群と右葉グラフト群の間で年齢,性別,手術時間,術中出血量,術中   水 分 バ ラ ン ス , 入 院 期 間 の 各 項 目 に お い て 統 計 学 的 有意 差 を 認め な か った , 2)術後血小板数と血中TPO濃度の推移,

    血小板数は術前値に有意差は無く,各群とも術後すぐに減少して左葉グラフト群で術後   3日に,右葉グラフト群で術後2日にそれぞれ最低値となった後増加に転じ,術後14日   には術前値を超えていた.血小板数の最低値は左葉グラフ卜群が16.8士4.0x 104/pL,右   葉グラフト群が13.0士3.7x104/}1Lと右葉グラフト群の方が有意に低下していた(P=   0.039).一方,血中TPO濃度は両群とも術直後から増加して左葉グラフト群で術後5日,

  右葉グラフト群で術後7日にそれぞれ最高値となった後減少に転じて,術後14日には術   前値まで戻っていた,術後1日(P=0.017),術後2日(P= 0.004),術後3日(P =0.007)   の各時期において,右葉グラフト群の方が左葉グラフト群と比較し有意に高くなっていた・

3)術後線溶系マーカーの推移,

    線溶系マーカーであるFDPとDーdimerの値は,術後一貫して右葉グラフト群の方が高     く推移 してい た.術後2日(FDP,P〓0.027;D−dimer,P〓0.036),術後3日(FDP,   P〓 0.019;D−dimer,P〓0.037),術後5日(D−dimer,P=0.012)の各時期において   それぞれ両群間で有意差を認めた.

141

(2)

4)術後残肝容積と脾臓容積の増加.

    肝 切 除後 の 残 肝 容積 は 左 葉 グラ フ ト 群で1077.8士179.0 C:013(術後7日),1006.9士   190.3crr13(術後14日),右葉グラフト群では675.5士13814cm3(術後7日),762.7土131.5cm3     (術 後14日) であっ た.ま た脾臓 容積を 比較する と左葉 グラフ ト群で170.9士45.4cm3     (術後7日),153.0土49.6cm3(術後14日),右葉グラフト群では197.9土7711cm3(術後   7日) ,184.7土58.0cm3(術後14日)と両群とも術前と比較して術後有意に増加していた.

5)術後残肝容積当たりの血中1門濃度の推移.

    残肝 容 積 当 たり の 血 中TPO濃度 を 算 出 する と , 術 直後 , 術 後7日 ,術 後14日の い ず れ   の 時 期 に おい て も 右 葉グ ラ フ ト 群の 方 が 左葉グ ラフト群 と比較 して有 意に高 く推移 して   いた.

【考察】

  生 体 肝 移 植で は ド ナ ーの 安 全 性 確保 が 重 要 であ る , 成 人間 生 体 肝移 植ではsmauforsiZe がaRを 回 避 する た め 右 葉を 用 い た グラ フ ト を選択 する機会 が多い が,一 般に肝 切除量 が大 きいほ ど術後 に高度 の血小 板減少 症が生 じる, しかし それは通 常,術 後一週 間程度 で回復し て遷延 するこ とは無 い.術 後血小 板減少症の発症機序としてはいくつかの理由が考えられる.

す なわ ち 残 肝 への 血 小 板 蓄積 , 産 生 の場 で あ る 肝細 胞 減 少 に伴 う 血 中TPO濃度 の低下 ,血 小板消 費の亢 進,脾 機能亢 進症, 循環血 液の希 釈によ る見かけ 上の血 小板減 少など である,

  Siemensmaら は ラッ ト を 用 いた 肝 切 除 後の 血 小 板 動態 を 検 討 して80% 肝切除直 後に末 梢 血への 血小板 移行の 休止が 生じて 血小板 数が減 少し, 術後5日 目に増加し始めたと報告した,

肝 切除 後 に 残 肝類 洞 内 へ 血小 板 が 蓄 積す る 現象を 観察し たがこ れが単 独で術 後血小 板減少 症に影 響する のでは なく, 血小板 産生の 最終段 階に包 含される 別の機 構が強 く関与 している ことが示唆されると結論している.

  しか しなが ら術直後 から線 溶亢進 現象を 認めて おり, 残肝へ の血小 板蓄積に よる循 環血小 板消費 の亢進 が術後 血小板 減少症 の重要 な原因 となっ ているこ とは想 到でき る,そ してそれ は生体 への侵 襲が大 きいと 思われ る右葉 グラフ 卜群の 方がより 顕著で あった .また 術後の有 意な脾 臓容積 の増大 から, 脾臓に よる血 小板の 捕捉と 破壊(脾 機能亢 進症) も関与 している と 考 え ら れ る. 術 後 早 期に 血 中TPO濃度 が 上 昇 して お り 肝 細胞 数 減 少 によ るTPO産 生低 下 から血 小板産 生が抑 制され たとい う理由 は否定 され, 血小板数 が術直 後に最 低値を 示してお ら ず , 末 梢 血 希 釈 に よ る 見 か け 上 の 血 小 板 減 少 と い う 理 由 も 考 え に く い .   TPOは 主 に肝 細 胞 に おい て コ ン スタ ン ト に 産生 さ れ て いる が , 慢 性肝 疾 患 に 伴うTPO産 生 低下 か ら 生 じる 血 小 板 減少 症 は 生 体肝 臓 移植術 後に急 速に改 善する .血小 板はH o受容 体 (c‐MpDを 有 し て お り , 末 梢 血 中 のTPOと 巧 み に 結 合 し た り 遊離 し た り して 血 中TPO 濃度は 循環し ている 血小板 数によ り調節 されて いる, 血小板数 が低下 した場 合,受 容体によ っ て捕 ら え ら れるTI)o量が少 なくな るため 血中濃 度が増加 して血 小板産 生が促 進され る.

右 葉切 除 後 の 高度 の 血 小 板減 少 症 に も拘 わ ら ず 血中TPO濃 度 が左 葉 グラ フト群 と比較 して 低 い事 実 は ,TPO産 生 の 場 であ る 肝 細 胞そ の も の の減 少 を 反 映し て いる .これ は術後 残肝 容 積 当 た り の血 中TPO濃 度を 両 群 間 で比 較 し た 際に , 実 際 の血 中TPO濃 度と 逆 の 関 係で 推 移することからも示唆される,

  血 小 板 減 少状 態 に お ける 骨 髄 , 脾臓 , 腎 臓 ある い は 筋 肉に よ るTPO産生 がどの 程度関 与 し て い る の か は 不 明 で あ り , 今 後 は 残 肝細 胞 に お けるTPOmRNAを 測 定 する こ と に よっ て 術 後 血 小 板 減 少 症 の 発 症 と 回 復 の 過 程 を よ り 詳 細 に 解 明す る こ と がで き る で あろ う .

【結論】

  生 体 肝 移 植ド ナ ー 術 後に 生 じ る 血小 板 減 少症は グラフト サイズ に拘わ らず術 後一週 間で 回復す るが, その発 生機序 は主に 残肝, および 脾臓へ の血小板 蓄積が 関与す る循環 血小板の 消 費亢 進 に よ ると 考 え ら れる . 血 小 板減 少 に 伴 い血 中TPO濃 度が 増 加す るが, 術後生 体に 対する 侵襲か らの回 復過程 で,血 小板消 費が減 退する と循環血 小板数 は増加 し,そ の結果と して増加していた血中TPO濃度も減少して還元する.

142 ‑

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Thrombopoietin in Postoperative Thrombocytopenia     following LivlngDOnorHepateCtomy

   (生体肝移植ドナー術後に生じる血小板減少症とトロンボポエチン)

  生体肝移植ドナー術後の一過性の血小板減少はその病態が充分に解明されていない,申 請者は、2000年9月から2001年12月まで に実施 された生 体肝移 植のうち 周術期に 輸血を 行ってい ない20例 の成人ド ナーを研究対象とし,左葉グラフト群10例(外側区切除5例,

左葉切除5例 )と右葉 グラフ ト群10例のニつのグループに分類した.それぞれの群で術前 と術後1日,2日,3日,5日 ,7日 ,14日にお ける末 梢血血小 板数, 血中トロ ンポポ ェチ ン濃度と二次線溶の指標としてDーdimerを測定して検討した,なお血中トロンボポェチン 濃度は採 血後す ぐにー80度 で凍結 保存してELIZA法 で測定した.また術前と術後7日,14 日に施行したhelicalく汀より脾臓容積を算出した,

  血小板数は術前値に有意差は無く,各群とも術後すぐに減少して左葉グラフト群で術後3 日に,右 葉グラ フト群で 術後2日にそ れぞれ最 低値と なった。術後7日にはほぽ術前値に 回復して術後14日には術前値を超えていた.最低値は左葉グラフト群が16.8士4.0x 104/}1L, 右葉グラ フト群 が13.0士3.7x104ノpLと右 葉グラ フト群の 方が有意に低下していた(P= 0.039),一方,血中トロンポポェチン濃度は両群とも術直後から増加して左葉グラフト群で 術後5日,右 葉グラフ ト群で 術後7日にそれ ぞれ最 高値となった後に減少に転じ,術後14 日には術 前値ま で戻って いた. 術後1日(P〓 0.017),術後2日(P〓0.004),術 後3日 (P

〓 0.007)の各時期において右葉グラフト群の方が左葉グラフト群と比較し有意に高くなっ ていた.D‑dimerの 値は術 後ー貫し て右葉グ ラフト 群の方が高く推移していた.術後2日 (P=0.036),術 後3日(P=0.037),術後5日(P〓 0.012)の各時期におしゝてそれぞれ両群 間で有意差を認めた,肝切除後脾臓容積は左葉グラフト群170.9士45.4 cm3(術後7日),153.0 士49.6cm3(術後14日),右葉グラフト群197.9土7711 C1113(術後7日),184.7土58.0cm3(術 後14日)と両群とも術前と比較して術後有意に増加していた.

  生体肝移植ドナー術後に生じる血小板減少症はグラフトサイズに拘わらず術後一週間で 回復しており,その発生機序は主に残肝,および脾臓への血小板蓄積が関与する循環血小

143

正 裕

(4)

板の消費亢進によると考えられた.血小板減少に伴い血中トロンポポェチン濃度が増加す るが,術後生体に対する侵襲からの回復過程で血小板消費が減退すると循環血小板数は増 加し,その結果増加していた血中トロンボポェチン濃度も減少し還元することが示された.

  公開発表後、副査の森本教授より1)血小板減少の原因として残肝へのトラップを指摘し ているがその機序について,2)術後脾臓容積の変化について,3)また実際に生体肝移植 ドナーで血小板が10万個以下に低下した例はどのくらいあるのか,等の質問があった,そ れに対して,1)血管内膜障害が関与する肝類洞内への血小板の蓄積が示唆されていること,

2)過去の基礎実験の結果より術後早期から脾腫があったことが予想されること,3)研究対 象には右 葉グラ フト群3例に10万個以下の血小板減少が生じたが,いずれも重篤な合併症 を来たさずに軽快したこと,などの回答があった.主査の浅香教授より1)今回の研究の動 機についてと,2)血小板減少の機序として脾臓への蓄積がどの程度関与しているのか,ま た3)肝硬変,慢性肝障害に伴う血小板減少の機序についてはどのように考えるのか,等の 質問があった.それに対して、1)ドナーの安全性を考慮するうえでその機序を理解するこ とが必要であると考えたこと,2)有意な脾臓容積の増大から脾臓への血小板のトラップが 予想されるが,実際に残肝への蓄積と比較してどの程度関与しているのかは不明であり,

今後の研究課題であること,3)以前は脾機能亢進症が原因と考えられていたが,肝細胞の トロンボ ポェチ ンmRNAを測 定した結 果ト口ン ボポェ チン産生不全があり,またそれは肝 移植を行うことによってト口ンポポェチン産生が亢進し,血小板減少が軽快した報告があ る,などの回答があった。最後に副査の藤堂教授より今回の研究の総括と追加のコメント があった.1)当初はトロンポポェチンと術後肝再生との関連性に着目したが,実際は肝再 生の指標にはなり得なかったこと,2)ドナーの安全性からドナーの術後に生じる病態を解 明することが重要であることが強調された.また卜口ンポポェチン製剤開発の将来性につ いての討論が行われた.

  本論文は生体肝移植ドナーの術後に生じる血小板減少という現象をグラフトタイプで分け て検討し,またそれが回復する過程での血中ト口ンポポェチン濃度の推移を世界で始めて明 らかにした報告である.今後生体肝移植ドナーの術後管理を安全に行う際に重要な知見と考 えられる.審査員ー同はこれらの成果を高く評価して申請者が博士(医学)の学位を受ける のに充分な資格を有するものと判定した.

144

参照

関連したドキュメント

   近年の メカ ト口二 クス技 術の成 果に より口 ボット に様々 な可能 性を 与える ことが 期待されるよ うにな った。 産業 用ロボ ットが 一歩リ ードし て実 用化さ

0 .minuta の1 系 統の みが トビ イ口 ウン カと ツマグ 口ヨ コバ 工両 方に 対レ抵抗性 を 示し た。 トビイ口ウンカ抵抗性を示した野生イネはO . officinalis の 供

   内因性のエスト口ゲンも簡易逆相カートリッジに定量的に保持され、40 %と75

ンを示した。そこで,このPCR 法で感染初期の患者血液および流行地由来の

   海 棲の 高次 捕食 者で ある イル カ類は 、自 ら発 した超音波音のエコーから、周辺環境の認 知や 餌生 物の 検出 を行 うこ とが できる

検討予定であること,用量は超音波遺伝子導入装置たどを併用することにより漸減可能 であること, AM 発現が亢進している癌細胞は何れも適応となること,特許取得済みで

   一方,核異型度は予後に関する独立因子のひとつであることを既に報告している,本研究で 得られたC

て ,31P ス ペク ト口 ス コピーでのPCr と1H スペク ト口スコピーでのCr の関係に っいて質問