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博 士 ( 歯 学 ) 本 村 英 示

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 本 村 英 示

学 位 論 文 題 名

圧迫側歯根膜に生じる変性組織と応力分布との関連 学位論文内容の要旨

緒言

  

矯正歯科治療におけ る歯の移動は、歯根膜の変性組織の出現とその修復、歯槽骨の吸 収と添加といった組織 変化のもとに生じることがよく知られているっしかし、このよう な生体反応のメカニズ ムについてほいまだに不明な点が多く、矯正カの適用ほ術者の経 験に基づぃて行われている。したがって、歯の移動カ;速やかで歯根吸収などの為害性の 少ない矯正カを確実に 達成するためには、矯正カと組織変r匕との関連について詳細に解 明することが必要であ る。

  

そこで、今回矯正カ を加えた際に歯周組織に生じる応カの定量化を行う目的から、ネ コ上顎犬歯の移動実験 において生体と等価性の高い有限要素解析を行う方法を確立し、

圧 迫 側 歯 根 膜 の 変 性 組 織 の 出 現 と 応 力 分 布 と の 関 連 に つ い て 検 討 し た っ

材料な らびに 方法

1

. 歯の移 動実験

  

実 験 材 料 と し て 健 康 な 成 ネ コ

2

匹 ( 個 体

A

B

) の 上 顎 犬

l

譖 を 用 | ヽ 、 実 験 歯 で あ る 上 顎 右 側 犬 歯 に ク コ ー ズ ド ・ コ イ ノ ン ・ ス ブ リ ン グ を 用 い て 、 固 定 源 で あ る 第 三 前 臼 歯 か ら 遠 心 方 向 に 牽 引 し た 。 な お 、 荷 重 の 大 き さ

;

100g

、 実 験 ! 訊 間 は

4

日 馴 と し た っ

2

. 組織切 片作製 法およ び三 次元再 構築法

  

実 験 瑚 間 終 了 後 、

Bouin

固 定 液 に よ る 潅 流 固 定 を 行 い 、 つ い で 、 上 顎 犬 歯 を 周 囲 の 歯 槽 骨 と と も に 切 り 出 し 、 通 法 に 従 い セ ロ イ ジ ン ・ ブ ロ ッ ク を 作 製 し た ョ つ い で 、 ブ コ ツ ク の 薄 り 亅 面 が カ の 作 用 方 向 と 平 行 に な る よ う に 齢 根 を 横 断 し 、 厚 さ

30

m

で 連 続 薄 切 し た 。 得 ら れ た 切 片 に

H‑E

染 色 を 施 し た の ち 、 光 学 顕 微 鏡 に て 齢 桜 膜 に 児 ら れ る 変 性 組 織のf

j

脱 ;鄒 位 を 観 察 し、

1

哲 根、歯 槽壁 、変.

Pl

:糸EL織の分 布領域 をディ ジタ イザー をJflいて コ ン ピ ュ ー 一 夕 に 人 丿

J

し た っつ い で 、 三 次元

r

f

匁 血v,trtソ フ 卜 に よ り、 三 次 元pf榊 築 を 行 っ た、】

3

. 有限要 素解析 法

  

染 色 を 施 した

:t

繊 切

J1

. の 【 | |か ら 、 各 們 体び )

m

. 顛 翻5お よ び 桃火mjそれ ぞれに おいて 、変

Y

!嗣t織が 竝も広 く分斫

f

し ている そ)の を避4くし 、Ifl.4牧の翁 [繊 切Ji.を 抽fnした。そしてこ れらの

 i

【t繊叨Ji→をもとに二次元4J.|獣製楽そデルをf捧築した。またfギ爪ガ1んHま、繭[繊切

Ji

か ら * ¢ifエ ‖ の

m

ll :

fIlI

展 方

m

を 観 察 し 、 こ れ を 參 考 に 殺 定 し た 。 さ ら に術 瓜 の 火 き さ

ft

、 ネ コ の 」 : 顎 火 附 を 簡 略 化 し た 三 次 元c

J

| 浪 要 楽 そ デ ル を 榊 築 し 、 こ のモ デ ル の 歯 冠 に

    

ー415

(2)

100g

の 荷 重 を か

I

ラ た 解 析 を 行 い 、 こ れ か ら各 横断 面に かか る 荷重 を算 出す る こと によ り 求 め た 。

  

以 上 の 有 限 要 素解 析 にお いて 歯、 歯槽 骨 、歯 髄腔 およ び骨 髄 腔の 物性 定数 に つい てほ 、 過 去 に 報 告 さ れ た 値 を 参 考 に 決 定 し た 。

結果お よび考察

1

.組織 学的知見

  

光 学 顕 徴 鏡 像 に お い て 、 歯 頚 部 で は 佃 体

A

B

と も 同 矇 に 、 歯 根 か 横 断 面 の 楕 円 の 長 軸 方 向 か ら や や 舌 側 よ り の 遠 心 方 向 に 変 位 し て 観 察 さ れ た 。 歯 根 表 面 な ろ び に 歯 根 膜 に 面 す る 歯 槽 壁 ほ 全 周 に わ た っ て ほ ぼ 平 滑 で あ り 、 圧 迫 側 で ほ や や 舌 洲 よ り に 歯 根 膜 変 性 組 識 が 広 範 に 確 認 さ れ た ュ 一 方 、 根 尖 部 で

i

ミ 、 両 簡 体 と も 歯 根 は ほ ぼ 近 心方 向 に変 位し て い た : 歯 恨 表 面 な ろ び に 歯 槽 壁 は 出 頚 部 と は 諜 禍 が 與 な り 両 個 体 と も 箸 し い 凹 凸 が 認 め ら れ た っ 圧 迫

O

‖ と な る 近 心 根 尖 部 で ; ミ 、 個 体

A

で ; ま 煩 側 よ り に

10

所 、 綱 体

B

で は

2

ケ 所 に 狭 い 領 域 で 変 性 組 織 カ ミ 確 認 さ れ た , こ の 様な 部位 は歯 根 と出 惜壁 の距 離 が特 に近 接して いる部分であった。

  

三次 元 再購 築像 にお いて は 而佃 体と ・ニ

J

遠 心側 歯頭 韶 ;付 近に は歯恨全長の1/4〜1/5にわ た っ て 頬 舌 方 向 に 幅 の 広 い 広 範 な 変 陸 組 織 が や や 舌BWより に分 布 して いる のが 観 察さ れ、

根 尖

f

j

主 眼 尖 付 近 に 佃 は

A

で ; ミ

1

ケ 所 の 、 個 体

P

I

↓ ^

20

所 の 変 性 組 織が 歯搬 の長 儺J 方向に 細長|、長円形の狭い領域と して観察された。

  

光学 顕 微鏡 像の 所見 から 、 どの 変性 組織 も1ほ細 胞帯 と 内変 性帯 との識511Jは囚雌であり、

す べ て が 内 変 性 帯 の 謙 梱 を 呈 し て い た 。 さ ら に 、 どの 組織 切片 上 でも 破骨 純li胞 の出 現が 全 く み ら れ な か っ た こ と を ふ ま え る と 、 襾 個 体 と も 組 織 反 応 と い う 点 で

f

ミ、 金 子や 高橋 の鍬告 した4日HiJ例に比べてわずか に遅いものと考えられた ,しかしながら、変 ドヒネfl繊 の三次 元的な分布fミ金子の蝕告し た4鬥f岡伊nこ類f以しており、変.rkネ【i繊の分稲蝕!域が亜 要とな る本実験の目的を迚すもので あったっ

2.有 限要 素解析  

  浙 に 矯 正 カ を ヵ ‖ え た 際 のm鬮 荊t織 のLふ ッJう } イtfを イ1. 【 弧 嚶 楽 法 を 川 い て 解 忻 し た 楸,ltは 、 こ れ ま で に 多 数 な さ れ て い る か 、 そ デ ル の 購 築 、 噺 根 |f炎 の 物 .r'i! 定 数 の 殻 定 と い う , |mこ お い て応)Jう} ′nfと 翁t搬変fヒ とのI刈 辿をI;t翁‖ に険,f、fする にfく川 越が 訪っ た.

  そ ニ で 含 川 、 翁1. 繊 切J1. を も と に し たi,r翁 ‖ ′ こ そ デ ル の 眦 簗 、 さ ら に 物 .rt! 定 数U) な か でnf ロ 「にj出 モ)爪 製な 【1灯佻1【 炎の ヤング 半に つい てfく、 ホ´. ;え1: ′. ;とfmとのJ| ;IlH父峻 によ りlI打 一1−ニi・桃 Jf炎 ー 【  ̄lf. 骭 jヤ のI故 嶮Ji. をJ1:締f試 験 ド でll.r. 桜dW定 し たfII| 〔 を 川い ること によ り、 ′|tt とMめて fIHi・rl!のlt.i|、 イI.| 収峻楽 角譽 甘「 を′ ,frう ニとカiilf能 とな った :,

  1次 元 イI. 以1要 楽 そ デ ル を 川 い た 災 峻 郡f泉 か ら 、mjdm5で は 个 体 と し て ノJび )f1: 川 線 に 近 I堝 . 眦4災にltiい ↓ ふ ノJtlI: が んn! しJI 4迎 にmか っ て ゆ ろ べ か に 減 巌す る エ む ノJ彡 }イ |fを′J; し、 さ ろ に ↓ む 丿 丿Mの | :Iい 餓i域 に ― ・ 故 し て 霞 .rl! 翁1織 が 広 く う } 竹fし て い た ‥ 一 ん 、 桃 尖 溜 ; で ; 土 丿 丿 の 作 用線と 離れ た歯 根膜 の狭窄 した 位置 で局 所的に 高い 応力 値が認 めら れ、 その 領域に 変

性 組織が 存在 して |ヽ た。こ れは 根尖 部で ほ歯頭 部に 比べ て歯根 表面 なろ びに 歯槽壁 が凹

‑ 416 ‑

(3)

凸にとむ不規則な形態

を 呈しているため、カの作用線に近I、圧迫の中央部に応力値の高い部

ft

が存在するので は なく、む しろ歯 極膜の幅 か狭い部位に局所的に応力値が高い部位が存在したものと考 えられるっ

  

ま た、圧迫 側歯根 膜に生じ た応カには圧縮応カのビークが存在し、どの変性領域内に お|、てもごークが合まれており、その値ほ‑70kPa以上であったョまた、綴尖部では‑35kPa 程 度の低い

f

直のビークも存在していたが、これらの部位では変性組織の出現は認められ なかった。このことから、変性組織;ミ、ある一定のf直の大きさを越えた応力分布のヒ ー クの存在下で出現するものと考えられるっニの値につ、v`ては、今回の実験から少なくと も

‑35kP

を越えたところにあると考えられるが、いずれにしろ近藤の報告した毛細血管圧

7

8kPa

に比べるとかなり大きな値である。これ

f

ミ、歯恨暎のコラーゲン練維を介して 毛細血管オ;圧迫され血流が停止するに賦、毛細血管圧に拮抗するというよりも、コラー ゲ ン線維を まず十 分に圧縮 するために高い応カが必要であることを示すものと考えられ る:さろに、変性組織と正常齢嵌膜との境界の応力値

f

ミ、歯頚部で;t‑60 ‑‑70kPaの範囲 の値を示し、ほ;妻一定の値であったが、根尖部で;

‑‑30kPa

.lOOkPa

程度の範囲で多議 な

f

直を示していたっニれにつ.´ヽてほ、歯頭部と隈尖部での歯根膜のコラーゲン線維の配 列の違いによるものと考えられる。一般に、歯頚部で

.

ミごラーゲン線維の走行|ま一定の 方向性があり、その配列は胤貝り的であるのに対して、後尖部では練維の走行は多様でそ の配列も不規則であるっそのため、根尖舗!で

'J‑

歯根膜に生じた応カが同一の艫であった としても、部位によりニニニラーゲン線維の圧縮の様相;ま輿なり、さらには毛gIH|n管の圧迫 の程度に‐ニJ差が生じることが考えられる。

  

今 後fミ、組織反応がさらに逆行した状態に側しても研究を遊め、変性組織の存在下で の歯搬ロ炎の物性定数の測定尖験を行・ゞヽ、応力分布と破骨細胞の出現や変性ネn織の修復と の【劉連について゛ニ

J

検討をカIIえていく所仔である。

417―

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

圧迫側歯根膜に生じる変性組織と応力分布との関連

  

審査はいずれの担当者も口頭試問により提出論文の内容とそれに関連した学問分野につ いて行った、,

  

生体に加わる様々なカの解析には有限要素法が広く用いられている。歯科矯正学の分野 でも本法を用いて歯に矯正カを加えた際の歯周組織の応力分布を解析した報告が数多くみ られるュしかし、これらの報告において有限要素モデルは簡略的に構築されており、また 物性定数についても歯の変位により歯根膜が圧縮され、そのヤング率が経時的に変化する ことが容易に推察されるがこのようなカ学的性質の検討も十分に行われていない。本学歯 科矯正学講座ではこれまでに生体システム工学講座との協同研究により、組織切片をもと にした精密な有限要素モデルの構築ならびに圧縮試験下での歯根膜の弾性特性の測定法の 開発を行ってきた,,申請者はこのような研究を基礎としてネコ上顎犬歯の移動実験におい て生体と等価性の高い有限要素解析を行い、圧迫側歯根膜の変性組織の出現と応力分布と の関連性について検討を行っている )

材料ならびに方法  ,

  

実験材料として健康な成ネコ.2匹(個体八,

B

)の上顎犬歯を用い、実験歯である上顎 右側犬歯にクローズド・コイル・スブリングを用いて、固定源である第三前臼歯から遠心 方 向 に 牽 引 し た な お 、 荷 重 の 大 き さ は

100g

、 実 験 期 間 は

4

日 間 と し た ‥

  

実験期間終了後、組織切片を作製し、光学顕微鏡にて歯根膜に見られろ変性組織の出現 部位を観察し、歯根、歯槽壁、変性組織の分布領域をディジタイザを用いてコンピュータ に 入 カ し た , つ い で 、 三 次 元 画 像 解 析 ソ フ 卜 に よ り 、 三次 元再 構築 を行 った ′,

また、染色を施した組織切片の中から、各個体の歯頚部および根尖部それぞれにおいて、

変性組織が最も広く分布しているものを選択し、計4枚の組織切片を抽出した。そしてこ れらの組織切片をもとに二次元有限要素モデルを構築した、」また荷重方向は、組織切片か ら牽引側の歯根膜の伸展方向を観察し、これを参考に設定した,さらに荷重の大きさは、

ネコの上顎犬歯を簡略化した三次元有限要素モデルを構築し、このモデルの歯冠に100gの 荷重をかけた解析を行い、これから各横断面にかかる荷重を算出することにより求めた。

  

以上の有限要素解析において歯、歯槽骨、歯髄腔および骨髄腔については、過去に報告

    

―418―

治 稔

進  

  重

村 田

中 脇

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

された値を参考に決定し、歯根膜のヤング率については、歯ー歯根膜―歯槽骨からなる試 験片を用いて圧縮試験下において測定した値であるlOMPaを用い、ポアソン比については 丹根の値を用いた,.

結果および考察

  

二次元有限要素モデルを用いた実験結果から、歯頚部では全体としてカの作用線に近い 歯根膜に高い応力値が存在し周辺に向かってゆるやかに減衰する応力分布を示し、さらに 応力値の高い領域に一致して変性組織が広く分布していた。一方、根尖部ではカの作用線 と離れた歯根膜の狭窄した位置で局所的に高い応力値が認められ、その領域に変性組織が 存在していた′、これは根尖部では歯頚部に比べて歯根表面ならびに歯槽壁が凹凸にとむ不 規則な形態を呈しているため、カの作用線に近い圧迫の中央部に応力値の高い部位が存在 するのではなく、むしろ歯根膜の幅が狭い部位に局所的に応力値が高い部位が存在したも のと考えられる

  

また、圧迫側歯根膜に生じた応カには圧縮応カのピークが存在し、どの変性領域内にお いてもビークが含まれており、その値は.70kPa以上であった。また、根尖部では‑35kPa 程度の低い値のビークも存在していたが、これらの部位では変性組織の出現は認められな かった。このことから、変性組織は、ある一定の値の大きさを越えた応力分布のビークの 存在下で出現するものと考えられろ、この値については、今回の実験から少なくとも‑35kP を越えたところにあると考えられるが、いずれにしろ近藤の報告した毛細血管圧‑7.8kPaに 比べろとかなり大きな値である、これは、歯根膜のコラーゲン線維を介して毛細血管が圧 迫され血流が停止するには、毛細血管圧に拮抗するというよりも、コラーゲン線維をまず 十分に圧縮するために高い応カが必要であることを示すものと考えられる 、さらに、変性 組織と正常歯根膜との境界の応力値は、歯頚部では‑60〜‑70kPaの範囲の値を示し、ほぼ 一定の値であったが、根尖部では‑35kPa〜

‑lOOkPa

程度の範囲で

多様な値を示していた,、これについては、歯頚部と根尖部での歯根膜のコラーゲン線維の 配列の違いによろものと考えられる 一般に、歯頚部ではコラーゲン線維の走行は一定の 方向性があり、その配列は規則的であるのに対して、根尖部では線維の走行は多様でその 配列も不規則である‥そのため、根尖部では歯根膜に生じた応カが同一の値であったとし ても、部位によルコラーゲン線維の圧縮の様相は異なり、さらにiう毛細血管の圧迫の程度 にも差が生じることが考えられる

  

以上のように本論文は歯に矯正カを加えた際、圧迫側歯根膜に変性組織の出現する圧縮 応力値についての様々な知見を得た点、今後の歯科矯正学の発展に資すること大である‥

よ っ て 申 請 者 は 博 士 ( 歯 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 を も っ も の と 認 め た 、

‑ 419―

参照

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