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博士(医学)小西 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)小西 学位論文題名

ロルノロルマウス由来NK ―T 細胞の分化と      胸腺上皮細胞の役割

学位論文内容の要旨

は じめ に

  マ ウ スNK― ・T細 胞 は 、CD4十CD8− とCD4−CD8ー の ポ ピ ュ レ ー シ ョ ン か ら 構 成 さ れ 、 通 常 のT細 胞 と 比 べ て 、T細 胞 レ セ プ 夕 一 (TCR冫 の 発 現 量 が 低 い こ と が 知 ら れ て い る 。 ま た 、 刺 激 に 対 し て 早 期 に 大 量 のIL−4とIFN− ア を 産 生 す る こ と が 報 告 さ れ て おり 、免 疫反 応 の 型 を 決 定 す る 役 割 を 果 た す こ と が 示 唆 さ れ て い る 。 さ ら に 胸 腺 内NK−T細 胞 は 、 通 常 のT細 胞 と 異 な り 、 胸 腺 上 皮 で は な く 、 骨 髄 由 来 細 胞 上 に 発 現 す るCDl分 子 に よ っ て positiveselectibnされ るこ とが 報告 され てい る。

  最 近、 リン パ節 とパ イェ ル板 を欠 損す るa6′ /a6マ ウス が、C57BL/6(B6) マウ スコ□二 ー 中 に 発 見 さ れ た 。 こ の マ ウ ス は 胸 腺 と 脾 臓 の 構 築 異 常 を 示 し 、 各 種 免 疫 不 全を 呈す る。

また これ までa6′ / 甜′ マウ スで は、NK亅r細胞 数、 及び その 機能 が有 意 に低 下し ており、

そ の 原 因 が 、a6/a6广 マ ウ ス の 胸 腺 構 築 異 常 に 起 因す るこ とが 北大 免 疫研 で示 され てい る。

  本 研 究 で は 、a6′ /甜 广マ ウス の胸 腺内NK−T細胞 の分 化に おい て、CD1分 子が 胸腺 内の ど の よ う な 細 胞 に よ っ て 提 示 さ れ る か を 解 析 す る た め に 、af/afj′ マ ウ ス を ド ナ ー 、CD1 分 子 を 欠 き 同 じ くNK亅r細 胞 を 欠 損 す る ロ2mー ノ ―、 ある いはCDld1−/― マウ スを レシ ピェ ン ト と し た 骨 髄 キ メ ラ を 作 製 し 、 胸 腺 内NKー .T細 胞 の 分 化 に つ い て 分 析 し た 。 さ ら に 、 NK r細 胞 の 分 化 に 対 す る 胸 腺 上 皮 細 胞 の 直 接 的 関 与 を 調 べ る 目 的 で 、B6由 来 胸 腺 上 皮 細 胞 株 をa6′ . / 甜 ′ マ ウ ス に 胸 腺 内 投 与 し 、 胸 腺に おけ るNKーT細 胞の 産生 を検 討し た。

方 法 と 結 果

1. 抗CD3抗体 刺激 に対 するB6、a6′/十、a6′ /a6′マウスのNK−T細胞のサ イトカイン産生 能を 解析 した 結果 、a6 /a6′ マウ スで は他 のマ ウスに比べて、IL―4、IFN― アの産生が低下 し て い た 。 こ の こ と か ら 、a6′ /a6 ′ マ ウ ス のNK―T細 胞 の 機 能 不 全 が 証 明 さ れ た 。 2.a6 /a6′ マ ウ ス を ド ナ ー 、 ロ2m−/− を レ シ ピ ェ ン ト と す る骨 髄キ メラ マウ ス( 以 下

[a6 /a6冖 ロ2mーノ ―] とす る) の胸 腺、 脾臓 で は、 コン ト口 ール キヌ ラマウス([B6→p 2m一/―]、あるいは[む ′/十→p2m−/−])と同じレベルのNK―T細胞産生が認められた。ま た 、 [a眦 /a6HCDld1−/― ] キ メ ラ で も 、 正 常 レ ベ ル のNK−T細 胞 出 現 が 認 め ら れ た 。 3. [a6′/af)″ ロ2m−/− ]マ ウス で産 生さ れた 胸腺NK−T細胞 の表 面マ ーカーをFACScanで 解 析 し た 結 果 、 正 常B6マ ウ ス のNK r細 胞 と 同 様 の 表 現 形 を 示 し た 。 ま た 、 抗CD3抗 体

(2)

による刺激に対して、匚aly/a13ーーロ2m―/1マウスの胸腺NK‑T細胞は、正常レベルか、そ れ以 上のILー4、IFN‑ア の産 生能を示し、これらが機能的にも正常に分化したことが判明 した。これらのことから、a6′ /alyマウスのNK‑T細胞の分化には、胸腺環境側にCD1分 子が発現される必要はないことが示された。

4. aly/alyマ ウ ス 胸 腺 左 葉 に、B6由 来の 胸腺 髄質 上皮 細胞(1C6)、胸 腺皮 質上 皮細 胞 (4C18)、またはaレ/a6′マウス由来胸腺上皮細胞、線維芽細胞株、メディウム単独を投与 し、NK―T細胞 の分 化を 解析 した。右葉は無処置とした。先ず、投与した胸腺上皮細胞株 の定 着を 調べ るた めに 、1C6と4C18を5,6―Carbox舛luoreSCeindiacetateSuCCinimidyl ester(CFSE) で ラ ベ ル し 、 胸腺 内投 与4週 後に 、螢 光顕 微鏡 にて 観察 した 。そ の結 果 lC6は主 に胸腺 髄質 に、4C18は胸腺皮質に認められ、それぞれの由来する解音サ学的位置 に定 着す るこ とが 確認 され た。次に、各細胞株の胸腺内投与4週後に、胸腺を採取し、胸 腺内 投与 した 左葉 と無 処置 右葉におけるNK―T細胞の割合を算出し、比較検討レた。その 結果 、胸 腺髄 質上 皮細 胞で あるlC6投 与に よっ て、NK−T細胞の有意な増加が認められた が 、4C18、a6/a6細 胞 株 、 ま た は メ デ ィ ウ ム 投 与 で は 、 変 化 は 認 め ら れ なか っ た 。 5.胸腺上皮細胞の胸腺内投与によるNK−T細胞の分化・増殖が、af/萄】′マウス前駆細胞 と正常胸腺上皮細胞との直接的な細胞接触によるのか、あるいは胸腺上皮細胞の産生する 液性因子によるのかを調ぺるために、胸腺内投与に用いた胸腺上皮細胞株がコンフルエン 卜な状態に増殖したプラスティックのプレートをセットした。次にこのプレート内でゲル フオームスポンジ上にセル□ース膜を置き、a6/勾′マウスの新生仔胸腺器官培養を行っ た。 培養5日後 、NK亅T細胞 の割 合は 、ヌデ ィウ ムの みで 培養したものと比ベ変化がなか った。この結果、及び胸腺左葉に1C6を投与したa6′ /甜′マウスにおいても、右葉では NK−T細胞の増加が全く認められなかったことから、NK r細胞の分化と増殖の誘導には、

NK− T前 駆 細 胞 と 正 常 胸 腺 上 皮 細 胞 間 の 直 接 接 触 が 必 要 と 考 え ら れ た 。 考察

  本研究において、NK−T細胞欠損系であるc2ly/a6′マウス、ロ2m−ノーマウス、または CDld1―/− マウ ス由 来の 細胞 構成 の組み合わせにより、NK−T細胞の分化にとって必須の 因子が相補的に充足されたことが示唆された。

  さらに、a6′./a6广マウス胸腺内に注入された胸腺髄質上皮細胞株が、NK−.T細胞の有意 な増加を誘導したのに対し、胸腺皮質上皮細胞株、a6′./a6′.ヒ皮細胞株は増加を示さなか った 。胸腺皮質上皮細胞と胸腺髄質上皮細胞は、抗原提示能において違いがあることが報 告されている。今回、髄質上皮と皮質上皮問で、NKー.T細胞の分化に与える機能にも差が あることが判明した。さらに今回の結果は、a6 /a6′マウスにおいて、特に胸腺髄質の発 達 不良 が 著 し い こ と と も 一 致 す る と 考 え ら れ る 。 し か し 、1C6細 胞 を投 与し た左 葉の NK−.T細胞の割合は、正常レベルには回復しなかった。胸腺内投与した胸腺上皮細胞数が、

ホス トの髄質上皮と比べて少ないことから、胸腺上皮細胞株とaf/afj′マウスのNK―T前 駆細 胞との 接触 が不 十分 であ った という可能性、また、正常無処置マウス胸腺内でNK1` 細胞 が一定 のポ ピュ レー ショ ンに なる のは 生後10週 前後 なの で、今回の観察期間が短か った ためと も考 えら れる 。い ずれ にせ よ、 胸腺 上皮 細胞 がNKイ細胞の分化にとって重要 な役割を果たしていることが、今回初めて判明した。

  リンホトキシンBレセプター一/−(LTロR―ノうマウスと、af/甜′マウスの表現形の類似 性が 示されてきたが、I汀ロR′/―マウスの胸腺構築は正常であることから、a/笥yマウス

(3)

ではLT BR以外のレセプ夕一からのシグナル異常が予想された。最近、caly/afj厂マウスの 異 常がNF一笂b−mducingkmaSe(NIK)の 点突然変異によることが報告された。しかし、

このNIK変異が、どのような経路でab′ /甜′マウスの胸腺髄質異常につながるかについて は不明である。今後、ab′,/a6マウスのNIK変異に伴う、胸腺髄質上皮細胞の細胞膜分子 等の変化の解析が必要であろう。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

ロルノaly マウス由来NK ―T 細胞の分化と      胸腺上皮細胞の役割

  C57BL/6(B6)マウス コ口ニー 中に発見 されたay/a凸 广マウスは、全身のりンバ節とパイ エ ル 板 を 欠損 し 、 胸腺 と 脾 臓の 構 築異 常 を 示す 。aZゆ 本 態がNF―阿bーmducingbnase

(NIK) の点突然 変異であ ることが 最近報告さ れた。ま たこれま でaf/af)マウ スでは、

NK−T細 胞 数 、及 び その 機 能 が有 意に低下し ており、 その原因 が、a/萄′ マウスの 胸腺 構築異常に起因することが北大免疫研で示されている。

  本研究では、a6′ /萄′マウスの胸腺内NKJr細胞の分化において、CD1分子が胸腺内の どのよ うな細胞 によって 提示され るかを解析 するため に、ab/甜′マウスをドナー、CDl 分子 を欠き同 じくNK―T細 胞を欠損 するロ2ミク □グ□ブ リン(ロ2m)ノック アウ卜( − /― ) 、あ る いはCDldl―/― マ ウスを レシピェン トとした 骨髄キメ ラを作製 し、胸腺 内 NK−T細 胞の分化 について 分析した 。さらに、NK−T細胞の 分化に対 する胸腺 上皮細胞 の 直接的関与を調べる目的で、B6由来胸腺上皮細胞株をa6′./萄′マウスに胸腺内投与し、胸 腺におけるNK−T細胞の産生を検討した。

  抗CD3抗体刺激に対するB6、めシ十、a6′ /ab′マウスのNK亅r細胞のサイ卜カイン産生 能を解析した結果、a6′ /萄广マウスでは他のマウスに比べて、IL―4、IFN−アの産生が低下 して いた。こ のことか ら、a6/a6广マ ウスではNK―T細胞の産 生のみな らず、機 能的にも 異常があることが証明された。

  afy/abマ ウ スを ド ナ ー、p2m―/―を レ シ ピェ ン トと す る 骨髄 キ メ ラマ ウ ス( 以 下

[ヨ6′./a6′→B2m−/―]とする)の胸腺、脾臓では、コント□ールキヌラマウス([B6→p 2m―/―]、あるいは[a6′/十→B2m−/―])と同じレベルのNK r細胞産生が認められた。ま た、[afj /afjーーCDld1−ノー]キヌラでも、正常レベルのNK―.T細胞出現が認められた。

  [a6 /a6′→B2m−/―]マウスで産生された胸腺NK―T細胞の表面マーカーをFACScanで 解 析し た 結 果、 正 常B6マ ウス のNK―T細 胞 と同 様 の 表現 形 を示し た。また 、抗CD3抗体 による刺激に対して、[a6′/a6′→ロ2m−/―]マウスの胸腺NK亅r細胞は、正常レペルか、そ れ以上 のIL−4、IFN− アの産生 能を示し、これらが機能的にも正常に分化したことが判明 した 。これら のことか ら、a6/萄マ ウス胸腺細 胞上のCDl分 子と、ロ2mーノーマ ウスの胸 腺構築が相補的に働き、NK―T細胞が正常に分化したと考えられた。

  次にa6/萄′マウス胸腺左葉に、B6由来の胸腺髄質上皮細胞株(lC6)、胸腺皮質上皮細 和

則 司 義 和 孝 上江 村       野 川小 西 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(5)

胞 株(4C18)、 ま た はa6′ ./a/jマ ウ ス 由来 胸 腺 上 皮細 胞 株 、線 維 芽 細胞株、 ヌディ ウム単独 を 投 与 し 、NK―T細 胞 の 分 化 を 解 析 し た 。 右 葉 は 無 処 置 と し た 。 先 ず 、 投 与 し た 胸 腺 上 皮 細 胞 株 の 定 着 を 調 べ る た め に 、 1C6と 4C18を5,6− CarbOXyfluoreSCeindiaCetate succinimidylester(CFSE) で ラ ベ ル し 、 胸 腺 内 投 与4週 後 に 、螢 光 顕 微鏡 に て 観察 し た 。 そ の 結 果lC6は 主 に 胸 腺 髄 質 に 、4C18は 胸 腺 皮 質 に 認 め ら れ 、 そ れ ぞ れ の 由 来 す る 解 剖 学 的 位 置 に 定 着 す る こ と が 確 認 さ れ た 。 次 に 、 各 細 胞 株 の 胸 腺 内 投 与4週 後 に 、 胸 腺 を 採 取 し 、 胸 腺 内 投 与 し た 左 葉 と 無 処 置 右 葉 に お け るNK−T細 胞 の 割 合 を 算 出 し 、 比 較 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 胸 腺 髄 質 上 皮 細 胞 で あ る1C6投 与 に よ っ て 、NK亅r細 胞 の 有 意 な 増 加 が 認 め ら れ た が 、4C18、a6′ /a6細 胞 株 、 ま た は ヌ デ ィ ウ ム 投 与で は 、 変化 は 認 めら れ な かっ た 。 こ の 結 果 か ら 、NK r細 胞 の 分 化 と 増 殖 の 誘 導 に は 、 胸 腺 環 境 側 の 中 で も 、 胸 腺 髄 質 上皮細胞が重要な役割を果たすと考えられた。

  口 答 発 表 に 際 し 、 副 査 の 西 村 孝 司 教 授 よ り 、NK―T細 胞 のpositiveselectionの 機 構 の 解 明 に つ い て 必 要 なmvitroの モ デ ル 系 に つ い て 、 小 野 江 和 則 教 授 よ り 、NIKの 異 常 とNK一・T細胞産生異常の関係、脾臓において[め′/十→p2m―/―]より[a6 /afj′→B2m―/―]

のNK―T細 胞 の 方 が む し ろ 高 い サ イ ト カ イ ン 産 生 能 を 示 し た こ と に 対 す る 解 釈 、 主 査 の 川 上 義 和 教 授 よ り 本 研 究 の 臨 床 応 用 の 可 能 性 に つ い て の 質 問 が あ っ た が 、 申 請 者 は 文 献 的 考察も含め大概妥当な回答をなし得た。

  本 研 究 は 、NK― ・T細 胞 が 造 血 系 細 胞 上 に 発 現 さ れ るCDl分子 と 胸 腺髄 質 上 皮細 胞 両 者に よって、増殖・分化することを初めて明らかにした。

  審 査 員 一 同 ば 、 こ れ ら の 成 果 を 高 く 評 価 し 、 大 学 院 課 程 に お け る研 鑽 や 取得 単 位 など も 併 せ 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

参照

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