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大動脈解離の高速らせんCT : 腹部大動脈分枝についての検討

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原  著 〔東女医大誌 第63巻 第11号頁1399∼1406平成5年11月〕

大動脈解離の高速らせんCT

一腹部大動脈分枝についての検討一

直京女子医科大学 放射線医学教室(主任:重田帝子教授)        ハヤ    ノ     チ    エ        早  野  千  恵 (受付平成5年7月19日) Helical CT of Abdom三nal Aortic Dissection

        Chie HAYANO

Department of Radiology(Director:Prof. Akiko SHIGETA)      Tokyo Women’s Medical College   This study was performed to determine the utility of helical CT for evaluating the involvement of major arteries in dissection of the abdominal aorta. Seventeen patients were prospectively evaluated by helical CT, and the contrast enhancement patterns of the two channels and the main arterial branches were analyzed. Heliρal CT images were then compared with images obtained by conventional CT, and with helical CT images of a control group without dissection.   The pattern of enhancement of the true and false lumens was different in 14 cases. In 9 cases, there was earlier opacification of true lumen and in 5 cases there was earlier wash・out.   The origins of all the.major arteries could be detected by helical CT, except for two inferior mesenteric arteries. Using conventional CT images 20ut of 13 patients were misdiagnosed, since two cel量ac, one superior mesenteric, and two left renal arteires which arose from the true lumens were judged to have arisen from the pseudolumens. In addition, the inferior mesenteric artery could not be identified in 5 cases. In the control group(n=12), helical CT was able to demonstrate all of the major arteries, except for one renal artery and one inferior mesenteric artery.   In conclusion, helical CT is superior to conventional CT for demonstrating the major arteries of the abdominal aorta.          緒  言  大動脈解離の確定診断には,以前は血管造影検 査が必要であった.その後CT装置の目覚ましい 進歩により検査時間は短縮し,画質は著明に向上 し,現在ではCTは大動脈解離の存在診断の第一 選択となっている.血管造影では撮影方向と平行 に存在する剥離内膜が描出されない可能性がある のに比べ,CTは横断像であるために剥離内膜の 向きにかかわらず描出可能で,.さらに血栓により 閉塞している死腔も同定でき,正診率は88%から 100%と報告されている1)∼7).また簡便で侵襲性も 少な:く,最近では解離の範囲もCTで判定され治 療方針が決定されるようになってきている.ただ しこれまでの報告では,大動脈逆流および主要分 枝の罹患の診断には不充分とされ,従来のCTの 最大の難点とされてきた助.

 高速らせんCTはX線管球を1秒間に1回の

割合で連続的に回転させながら,患者を乗せた寝 台を三軸方向に移動させ撮影する方法である.X 線管球と検出器は患者に対し相対的にらせん状の 軌道を取ることになり,短時間に連続したデータ を得ることができ「る8)9).高速らせんCTを用いる 一1399一

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ことにより,大動脈およびその分枝が高濃度に造 影されている時相で腹部大動脈全長をスキャンす ることが可能で,従来のCTに比べ主要分枝につ いての診断能の向上が期待される.  本研究では慢性大動脈解離のうち腹部大動脈に 解離がおよぶ症例に対し高速らせんCTを行い, 主要分枝の同定を中心に検討した.         対象および方法  1.対象  1992年7月から93年3月まで東京女子医科大学 放射線科で腹部大動脈について高速らせんCTが 行われた慢性大動脈解離の17例を対象とした.男 性11例,女性6例,年齢は35歳から73歳(平均56 歳)で,Stanford A型が3例, B型が14例でうち 1例は偽腔がすでに閉塞していた.発症からの期 間は6週間から10年で,基礎疾患として1例に Marfan症候群,1例に原発性アルドステロン症, 1例に多嚢胞腎があった.13例では高速らせん CT施行以前に通常のCTが行われていた.  高速らせんCTによる非解離腹部大動脈および その分枝の描出状態を比較検討するために,対照 として大動脈解離のない12症例に対して高速らせ んCTを行った.対照群の内訳は大動脈瘤7例, 大動脈炎症候群1例,および臨床的に大動脈瘤が 疑われて検査が行おれた正常例4例で,臨床所見 および画像診断により大動脈解離のないことが確 認されている.  2.方法

 使用した装置は,連続回転型CT装置(日立

W2000)である.水溶性ヨード造影剤70ml(イオ ヘキソール,1ml中ヨード300mg含有)を自動注 入器を用い2ml/秒で末梢静脈より注入し,注入開 始30秒後より寝台移動速度2cm/秒,電圧120kV, 電流200mA,1cmコリメーションで,横隔膜の高 さから内・外腸骨動脈分岐部までを2回スキャン した.1回目スキャン終了から2回目のスキャン 開始までに15秒の間隔を置いた.画像は1cm厚で 再構成した.  高速らせんCT施行以前に行ったCTは,東芝

TCT−900Sおよび東芝TCT−60Aの2機種を用

い,それぞれ2秒および4.5秒スキャンで各スキャ ンごとに15∼20mlの造影剤をbolus注入し,2cm       図1 症例1445歳男性Stanford A型 1回目のスキャンで腎動脈分岐部までは真腔が強く造影されている(a∼d).下腸間膜動脈分岐部の レベルでは真魚と偽腔の濃度に差はない(f).腹腔動脈幹(b矢印),下腸間膜動脈(f小矢印)は風 戸から,上腸間膜動脈(c矢印)は真腔から起始している.右腎動脈(d矢印)は真心から,左腎動 脈(d矢頭)は口腔から起始しており右腎皮質が先に造影されている. T:真腔,P:偽腔.

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間隔でスキャンを行った.造影剤は総量100∼150 ml使用した.  主要分枝起始部の同定は真腔,偽腔いずれから 起始しているかを判定し,どちらの腔と同時相に 造影されたかも参考にした.分枝が造影されない 場合を閉塞とし,血管構造自体が同定できない場 合を不明とした.腎動脈については径の左右差お よび腎実質の造影効果の左右差も参考にし,動脈 径が対側に比べ明らかに細い場合を狭窄とした.  得られた画像を次の項目について検討した.  (1)真腔および偽腔の造影効果の経時的変化  (2)主要分枝(腹腔動脈幹,上腸間膜動脈,左 右腎動脈,下腸間膜動脈)起始部の同定  (3)通常のCTおよび対照群との比較          結  果  横隔膜の高さから内・外腸骨動脈分岐部までス キャンの範囲は平均25cm,1回のスキャンに要す る時間は約12秒で,全症例において呼吸停止は無 理なく行うことが可能で良好な画像が得られた.         図2 症例7 63歳 男性 Stanford B型 1回目のスキャンでは口腔のみ強く造影されている(a).2回目のスキャンでは真腔, 偽腔とも造影されている(b). T:真腔,P:偽腔.       図3 症例3 55歳 女性 Stanford B型 1回目のスキャン早期には胃腔と偽腔の濃度に差はない(a,b).上腸間膜動脈分岐部以下で真腔の 濃度が先に低下している(c∼e).主要な分枝はすべて真腔より起始している. T:真腔,P:偽腔. 一1401一

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      図4 症例1152歳 男性 Stanford A型 1回目のスキャン(a),2回目のスキャン(b)とも真腔と偽腔の濃度に差はない.胸部の高速らせ んCTでは,下行大動脈の真腔が先に造影されている(c).上行大動脈では偽腔は閉塞している. T:真帆,P:偽腔.        図5 症例5 50歳 男性 Stanford B型 1回目のスキャンで腹腔動脈幹分岐部まで真髄と偽腔の濃度に差はない(a)。上腸間膜動脈分岐部 以下で真腔の濃度が僅かに低下している(b,c).腹腔動脈幹(a矢印),上腸間膜動脈(b矢印)は 偽腔から起始している.右図動脈(c矢印)は真腔から,左腎動脈(c矢頭)は偽腔から起始してい る. T:真前,P:偽腔.  1.真腔,偽腔の造影効果の経時的変化  偽腔の開存しているユ6例中15例で,1回目のス キャンで真腔が高濃度に造影された.そのうち早 期に真腔が偽腔より高濃度に造影された症例が9 例あり(図1),5例では早期には偽腔は殆ど造影 されていなかった(図2).早期には真鍮,偽腔が 同等に造影された症例が6例あり,そのうち5例 では真腔の濃度が先に低下した(図3).1例では 1回目,2回目のスキャンとも真腔と偽腔が同等 に造影され濃度差はなかった(図4).1回目のス キャンで真腔,偽腔とも造影されない症例が1例 あった.2回目のスキャンでは全例で真腔,偽腔 とも造影されていた(図2).  これらの画像は造影剤使用量70mlで診断に充 分な造影効果が得られた.  2.主要分枝起始部の同定  腹腔動脈幹,上腸間膜動脈,左右腎動脈は17例 全例で同定が可能であった(表1).腹腔動脈幹は 1例で閉塞し,2例で偽腔より起始していた(図 1).上腸間膜動脈は1例で偽腔より起始していた (図5).右腎動脈は4例で起始部付近まで解離が および狭窄していたが,偽腔より起始している例 はなかった(図6).左腎動脈は4例で轟轟より起 始していた(図1,7).下灘間膜動脈は3例で偽 腔より起始しており(図1),2例で不明であった (表2).真腔および偽腔両方より血流を受けてい

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表1 症例の内訳 症例 mo 年齢 性別 Stanford分類 腹腔動脈 上腸間膜動脈 右腎動脈 左腎動脈 下腸間膜動脈 合 併 症 1 58 F B

T

T 狭窄 T T 2 65

M

B T T T

T

T 3 55 F B

T

T

T

T T 4 68

M

B

T

T

T

T T 5 50

M

B P P T P P 6 58

M

B T T

T

T

T 7 63

M

B

T

T

狭窄 T 不明 8 73 F B

T

T

T

T T 9 64 F B T T T P T 10 35

M

B T T

T

T T 原発性アルドステロン症 11 52

M

A

T

T

T

T T 12 47

M

A

T

T

T

P T 多嚢胞腎 13 57 F B T T 狭窄

T

P 14 45

M

A

P T

T

P P Marfan症候群 15 57

M

B 閉塞

T

狭窄 T T 16 57 F B

T

T

T

T 不明 17 55

M

B

T

T

T

T

T ・T:真腔起始,P:偽腔起始   図6 症例15 57歳 男性 Stanford B型 右側に存在する偽腔はすでに閉塞している.右腎動脈 (小矢印)に開存しているが,血栓化した偽腔に圧排さ れて狭窄している,右腎は著明に萎縮しているが腎実 質には造影効果が見られる. る例はなかった.  3.通常のCTおよび対照群との比較  17例中13例に行われていた通常のCTでは総量 100∼150mlの造影剤が用いられており,真腔,偽 腔とも充分に造影されていたが,主要分枝起始部 の判定は2症例で誤っていた.1例で真腔より起 始していた腹腔動脈幹,上腸間膜動脈,左腎動脈 を,他の1例で腹腔動脈幹,左腎動脈を偽腔から 起始していると判定していた(図8).下腸間膜動 一1403 表2 高速らせんCTによる主要分枝の起始の判定 真腔起始 偽腔起始 狭窄 閉塞 不明 (例) 腹腔動脈幹 14 2 0 1 0 上腸間膜動脈 16 1 0 0 0 右腎動脈 13 0 4 0 0 左腎動脈 13 4 0 0 0 下腸間膜動脈 12 3 0 0 2 脈については5例で同定できなかった.同一症例 の高速らせんCTの結果と比べると,高速らせん CTでは2例で下腸間膜動脈が不明であったが, 他のすべての分枝が同定でき,通常のCTと比べ 優れていた.  対照群12例の高速らせんCTでは1例で左腎動 脈が,1例で下腸間膜動脈が不明であったが,そ の他の主要分枝はすべて同定が可能であった.大 動脈解離症例と非解離症例の高速らせんCTの結 果を比較すると,解離症例でも非解離症例と同等 に主要分枝を同定することが可能であった.          考  察  大動脈解離は予後不良な重篤な疾患であるが, 近年内科的,外科的治療の向上に伴ってかなり救 命されるようになってきた1)10)ll).

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        図7 症例9 64歳 女性 Stanford B型 上腸間膜動脈(a矢頭),心血動脈(a,b矢印)が真暗から,左武動脈(b矢頭)は偽 腔から起始している.前腎皮質は左側に比べ速く造影されている.        図8 症例1755歳 男性 Stanford B型 通常のCTで腹腔動脈幹(a矢印)は偽腔から起始していると判定した.高速らせんCTでは,腹腔 動脈幹(b矢印)から総肝動脈(c矢印),脾動脈(c矢頭)は真腔と同時に造影されており真腔から 起始している。 T:真潮,P:偽腔,  上行大動脈に解離が存在するStanford A型で は心タンポナーデ,冠動脈循環不全,瘤化した偽 腔の破裂による急性期死亡率が高く,早期手術が 原則である.一方,Stanford B型では原則的に内 科的治療が行われ,解離が進行する場合や腹部臓 器に虚血が生じた場合,瘤化した偽腔の破裂の危 険がある場合などには手術の適応となる.適切な 治療を選択するには,解離の範囲と形態について 早期に正確な診断を行う必要がある.また,土田 ら11)は発症時死亡の低下に伴って,急性期あるい は2,3ヵ月以内の腹部分枝虚血が原因で死亡し た例が相対的に増加したと報告しており,分枝の 同定が今後重要になってくると思われる.  しかしこれまでの報告では,CTは分枝の罹患 を診断するには不充分とされておりD7),本研究で も通常のCTでは13例中2例,5血管を誤って判 定していた.

 高速らせんCTはX線管球を連続的に回転さ

せながら寝台を移動して撮影を行う方法で,臨床 には1989年に導入され急速に普及してきている. 一法時間が長いため撮影条件には制限があるが, 適切なパラメーターを選択すれぽ従来のCTとほ ぼ同質の画像を短時間に得ることが可能であ る8).1回の呼吸保持で広い範囲を撮影でき呼吸 による位置のずれがないこと,連続したデータを 得られ3次元表示に適しているなどの利点があ る.さらに造影剤注入後短時間で広範囲にわたり 早期相の描出を行うことができ,ある程度選択的 に血管やその他の臓器を造影することが可能であ る12).そのため大動脈を含め血管病変への適用が 期待されるが,これまでには大動脈疾患における 高速らせんCTの報告は行われていない.

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 本研究ではまず非解離症例に対し高速らせん CTを行い,診断に充分な画像が得られることを 確認した上で大動脈解離症例への適用を検討し た.  Changら13)はMR計測による慢性大動脈解離 の真腔および偽腔の血流速度を,真腔では平均 13.3±1.49cm/秒,七三では3.1±0,84cm/秒と報 告しており,適切なスキャン開始時間および寝台 移動速度を選択することにより1血流速度の差は高 速らせんCTで造影効果の差として描出可能と考 えられる.  本研究では造影剤注入を末梢静脈より行ってい ることを考慮し,造影剤注入開始30秒後に1回目 のスキャンを開始し,1回目スキャン終了15秒後 (造影剤注入開始から約1分後)に2回目のスキャ ンを行った.1回目のスキャンでは二二が高濃度 に造影され,2回目のスキャンでは二三も血栓化 の程度が判定可能な程度に造影されることが期待 された.  実際には17例中16例で1回目に真下が充分高濃 度に造影されていた.そのうち14例では,真腔と 偽腔の造影には時間差があった.9例では早期に 真腔が偽腔に比べより高濃度を示し,5例ではご く早期には真腔と偽腔の濃度に差はなかったが, その後下腔の濃:度が先に低下した.この現象は真 弓の血流速度が偽腔より速いことを反映している と考えられる14).  1回目,2回目のスキャンを通じ,真弓と二二 が同等に造影された症例(症例11)は,Stanford A型の解離で,胸部大動脈に対してより速い時相 で高速らせんCTを施行しており,造影剤注入開 始後20∼30秒間のスキャンでは真腔が二三に比べ 高濃度に造影され,30秒以降のスキャンでは丸山 と偽腔の濃度に差はなかった.腹部の検査では造 影剤注入開始後30秒よりスキャンを開始したた め,血流速度に差が存在するにもかかわらず画像 上は濃渡差として描出されなかったものと考えら れる.このような症例にはより早い時期のスキャ ンが有用で,胸部大動脈の検査結果を考慮した上 でスキャンの開始時間を決める必要があると思わ れる,  !回目のスキャンで二二,偽腔とも造影されな かった症例(症例12)は,Stanford A型でIV度の 大動脈弁逆流があり,造影剤の心臓からの駆出が 遅かったものと考えられる.  2回目のスキャンでは,1回目のスキャンで真 弓,偽腔とも造影不良であった症例および真心の みが造影された症例も含め,全例偽腔も充分に造 影され血栓化の程度も正しく評価でき,経時的に 2回のスキャンを行うことが有用であったと考え られる.  寝台移動速度を速くすること(2cm/秒)により, 1回のスキャン時間は約12秒で真腔が高濃度に造 影される時相に腹部大動脈を全長にわたってス キャンすることが可能であり,主要分枝の同定が 容易であった.また二二と偽腔の造影の程度に差 があることが主要分枝が真心,二三いずれより起 始しているかの判定に有用であった.寝台移動速 度が速いことによる画質の低下は二二能に影響せ ず,2例で下腸問膜動脈の起始部が不明であった ほかすべての主要分枝が正しく判定された.下腸 間膜動脈の起始部は対照群では1例で不明で,腎 動脈分岐部以下の大動脈瘤症例であった.下腸間 膜動脈には解剖学的変異はほとんどなく15),CT 上は充分な造影が行われていれば同定は可能と考 えられ,不明例は実際には長期閉塞により索状化 していたものと推測される.ただし下腸間膜動脈 については血管造影の際に検討されていないこと が多く,本研究における症例でも閉塞か否かの確 認はされておらず今後の検討が必要と考えられ た.  使用した造影剤は総量70mlで,当施設における 従来の使用量(100∼150ml)に比べ少量で充分な 造影効果が得られた.腹部大動脈解離症例では, 腎動脈起始部の罹患の有無にかかわらず約半数に レノグラムに異常が見られたとの報告ll)があり, 腎への負担を軽減するためにも造影剤使用量の少 ない本法は有用である.  本研究では病状の安定した慢性例を対象とした が,慢性期には側副血行路の発達により腹部臓器 虚血による死亡はぎわめてまれである.検査時間 が短いこと,使用する造影剤が少ないことなど患 一!405一

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者への負担が軽度であるため,今後は腹部臓器虚 血の危険がある急性期症例への積極的な適用が可 能であると期待される.       結 .語  1.腹部大動脈解離症例に対し高速らせんCT を施行することにより,従来のCTでは不充分と されていた主要分枝の罹患の有無についての診断 能が向上した.  2.真腔および偽腔の血流速度の差がほとんど の症例で画像に反映された.  3.時相をずらして2回のスキャンを行うこと で,血流速度の遅い偽腔にも充分な造影効果が得 られた.  4.造影剤の使用量は従来のCTに比し少ない 量で充分な造影効果が得られた.  稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を賜りました 重田帝子教授に深く感謝申し上げると共に,御指導い ただきました河野 敦助教授,原沢有美博士に心より 感謝申し上げます.また血管造影所見につき御教示下 さいました孫崎信久講師に心よりお礼申し上げます. さらに本研究にご協力頂きました当教室各位にお礼 申し上げます.  この論文の要旨は第52回日本医学放射線学会学術 発表会(平成5年,横浜)において発表した.       文  献  1)Petasnick JP: Radiologic evaluation of aor−    tic dissection. Radiology 180:297−305,1991  2)Yamagucbi T, Naito H, Ohta M et al:False    lumens in type III aortic dissection progress CT    study. Radiology 156:757−760,1985  3)Vasi董e N, Mathie皿D, Keita k e¢aL Compu亡.    ed tomography of thoracic aortic dissection:   Accuracy and pitfall. J Comput Assist Tomogr   10:211−215, 1986 4)Moncada R, Church三ll R, Reynes C et al:   Diagnosis of dissecting aortic aneurysm by   computed tomography. Lancet 1:238−241,1981 5)Thorsen MK, San Dretto MA, Lawson TL et   a1:Dissecting aortic aneurysm, accuracy of   computed tomographic diagnosis..Radiology   148:773−777, 1983. 6)稲垣義明,増田善昭:心,血管系のCT診断.医   学書院,東京(1983) 7)Abrams HL:Abrams Angiography. Llttle   Brown, Boston(1983) 8)Felix R,1、anger M:Advances in CT II,   Springer−Verlag, Berlin(1992) 9)Kalender WA, Seissler W, Klotz E et al:   Spiral.volumetric CT with single・breathhold   technique, continuous trasport, and continuous   scanner rotation. Radiology 176:181−183,1990 10)井上正:解離宏大動脈瘤.脈管学、21:   103−107, 1981 11)土田弘毅,橋本明政,平山統一ほか:解離性大動   脈瘤治療成績向上のための問題点一内科,外科的   治療例106例の検討一.日胸外会誌134:453−461,   1986 12)Schwartz RB, Jones KM, Chernoff DM:   Common carotid artery bifurcation evaluation   with Spiral CT, work in progress. Radiology   185:513−515, 1992 13)Chang JM, Friese K, Caputo GR et a1:MR   measurement of blood How in the true and false   channel in chronic aortic dissection. J Comput   Assist Tomogr 15:418−423,1991 14)河野 敦:第3世代CTによる胸部大動脈解離の   検討.東女医大誌 53:173−183,1983 15)中村仁信,沢田 敏訳:臨床医に必要な動脈分岐   様式一破格とその頻度一.(Lippert H, Pabst R   eds),癌と化学療法社,東京(1988).

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