• 検索結果がありません。

IRUCAA@TDC : タッピングポイント付近における下顎位の前後的変化が筋放電量に及ぼす影響に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "IRUCAA@TDC : タッピングポイント付近における下顎位の前後的変化が筋放電量に及ぼす影響に関する研究"

Copied!
21
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title Author(s) Journal URL. タッピングポイント付近における下顎位の前後的変化が 筋放電量に及ぼす影響に関する研究 手塚, 威宏 歯科学報, 98(2): 151-170 http://hdl.handle.net/10130/3124. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 151. 原    著タッビングポイント付近における下顎位の前後的変化が 筋放電室に及ぼす影響に関する研究 手 塚 威 宏 東貢歯科大学大学院歯学研究科 歯科補綴学第一講座 (指導:溝上隆男教授) 年9月22日受付) 年12月9冒受理) 抄 録:タッビングポイント付近における下顎位の前後的変化が,一定唆合力を発揮させた際の唆 筋および側頭筋の筋放電室に及ぼす影響を調査して,筋放電を利用した下顎位判定についての可能 性を明らかにすることを目的としたo対象は有歯顎被験者8名で,筋放電の誘導部位は唆筋の前 縁,中央,後縁および側頭筋の前部筋束,中部筋東,後部筋束とした.上下項の歯牙接触をなくし た状態で,顎位塊制・唆合力計刺装置を装着して実験を行った。 どの誘導部位を用いても下顎位の前後的変化に伴う唆筋あるいは側頭筋の筋放電室の変化率は小 さかったo また,下顎位を前後的に変化させたときの唆筋中央と側頭筋前部筋束からの筋放電室の 合計を各顎位ごとに試みた場合に,タッビングポイント中央の値と同-とみなせる筋放電室を示す 下顎位は,タッビングポイントの範囲外にも存在する被験者が多かった。従って唆筋および側頭筋 の筋放電室を利用して,前後的下顎位の判定を行える可能性は低いことが示唆された。 キ-ワ-ド:前後的下顎位,筋電図,嘆筋,側頭筋,唆合採待. り下顎の前後的変化による筋放電室の変化は,小 さくなることが知られている6)。 一方,無菌顎症例の嘆合採待にあたっては,ゴ. 緒     旨. 下顎運動を司る唄噴筋各筋の働きや運動の様相 は,筋電図により知ることができるo顎位を水平 的に変化させた際の筋放電室の変化についての研 究上5)は,顎位と唄噛筋との関係を知るうえで,. シックア-チ描言己装 を用いて措記された下顎の 後方限界格とタッビングポイントの範囲との関係. 補緩学的に重要な事項と考える。天然歯列におい ては,下顎の水平的顎位に対応して,唆筋および 側頭筋の筋放電室が大きく変化することが知られ. を蓋に,上下顎の水平的位置関係を決定している ≠射犬にある。このタッビングポイントの範囲,す なわち習慣性開閉運動反復時の前後的な散布度に は個体差があり,個体差が大きいことは,閉口運 動の前後的な塊制能力に個体差が大きいことを意. ている3)o これに対して嘆頭蕨合を失った症例あ るいは無菌顎症例においては,天然歯列とは異な. 味すると判断される。閉口運動の前後的な塊制能 力の個体差には,下顎を直接的に運動させる筋活. 本論文の要旨は,平成5年度日本補綴歯科学会関東支部 学術大会  年2月19日,東京),平成6年度日本補綴歯 科学会閑東支部学術大会  年2月10日,東京)および第 95回冒本楯綴歯科学会学術大会  年5月  広島)に おいて発表した。. 動の個体差が,影響を及ぼすと考える。 そこで著者は,タッビングポイント付近におけ る顎位の前後的変化が唆筋および側頭筋の筋放電 61.

(3) 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電量に及ぼす影響. 152. 室に及ぼす影響を詳細に検討し,筋放電を指標と した下顎位の判定についての可能性を明らかにし ようとした。 材料および方法 上 被験者および被験顎 被験者は,顎口腔系に自覚的および他覚的に異 常の認められない21歳から26歳までの男子8名で ある。いずれの被験者も智歯を除き歯牙の欠如が 無く,充壊物も小嵩裂溝部に留まっている者を選 択した。 2.計測方法 1 )顎位圭綿u ・唆合力計測装置 唆筋および側頭筋の筋放電量の計測を行う際に 顎位を前後的に変化させて唆合力の計測を行うた めに,上下顎に金属製スプリントを応用した顎位 規制・唆合力計測装 を製作した.図1および 図2に顎位圭綿l巨唆合力計測装置とその構造図を. 示す。 (1)顎位規制部 上顎スプリントの口蓋部には,厚さ3mmのコ バルトクロ-ム合金製の金属板を上顎唆合平面と 平行に設定した。この金属板上に,種々の計測顎 位を塊制することのできる可撤交換式の顎位規制 板を取り付けた。顎位塊制板は,歯科用銅合金を 使用して鋳造製作した厚さ約1 mmの仮で,顎位 塊制板の表面には,下顎スプリントに設定したス タイラスの先端が入り込むための嵩を付与した。 なお顎位塊制板は,後述する各計測顎位ごとに製 作し,各計測顎位に対応した顎位塊制板に交換し ながら実験を行った。 (2)唆合力計測部 下顎スプリントには,厚さ工5mmのコバルト クローム合金の金属板を嘆合平面と平行に設定し た。この金属板に,スタイラスを唆舎平面と置交 するように固定した厚さ3mmの貢飴製の金属板 を取り付けた。スタイラスの設定位置7)は,左右 的には下顎歯列の中央で,前後的には第二小臼歯 中央から第二大臼歯遠心辺縁隆線までの間の中央 とした。スタイラスには置径約3mmのステンレ ス・スチール製の円柱を使用し,先端に直径1.5 mmのボールベアリングを固定した。スタイラス を固定した金属板には,ストレインゲージ(共和 電業社製           一    を貼 付し唆合力を計測できるようにした。 2 )筋放電の誘導条件. 図1顎位規制・嘆合力計測装置. (1)筋放電の計測装置 筋放電の誘導には,直径5 mmの小型生体電極 (日本光電社製       -  を電極間距 離8 mmに固定した双極表面電極を使用した。各 計測顎位における唆合力発揮時の嘆筋および側頭 筋の筋放電量は,多用途生体増幅器(日本光電社 製     にて増幅帯域   時定数  秒) 増幅感度        で増幅. 言萱⊇. し,オムニコーダ(日本電気三栄社製    と データレコーダ(共和電業社製       に 言己録した。. 図2 顎位塊制・嘆合力計測装置(構造図) 62 -.

(4) 歯科学報. 153. (2)筋放電誘導筋および誘導部位 筋放電の誘導部位は,左右側の唆筋の前縁,中. 上線を結んだ線の眼高下縁寄り三分の一の位置か ら,フランクフルト平面と100度の角度をなす線. 央および後縁と側頭筋の前部筋束,中部筋束およ び後部筋束の左右側計12ヶ所とした。各誘導部位. 上で,触診で求めた側頭筋の範囲の上下的中央の 位置。. は,図3および図4に示すように電極の位置と角 度とを雄格化しそれぞれの被験者に設定した。. 側頭筋中部筋束      眼高下縁と外耳遺 上線を結んだ線の中央から70度の角度をなす線上. 唆筋前縁    :鼻根部を通り,フランク フルト平面と55度の角度をなす線上で,唆合平面 と交わる位置。. で,触診で求めた側頭筋の範囲の上下的中央の位 置。 側頭筋後部筋束      眼雷下縁と外耳道 上縁を結んだ線の外耳道上縁寄り三分の一の位置 から40度の角度をなす線上で,触診で求めた側頭. 唆筋中央      眼嵩後縁からフランクフ ルト平面に垂線を下ろした点を通り,フランクフ ルト平面と50度の角度をなす線上で,触診で求め た唆筋の範囲の上下的中央の位置。 唆筋後縁      脹高下縁と外耳遺上縁と. 筋の範囲の上下的中央の位置。 なお,臨床的な立場から誘導部位を減らし,唆 筋中央と側頭筋前部筋束のみのデータも分析に加 えた。 電極の貼付には,生体信号モニタ用皮膚前処理. を結んだ線の外耳遺上縁寄り三分の一の位置か ら,フランクフルト平面と100度の角度をなす線 上で,触診で求めた唆筋後縁の位置。 側頭筋前部筋東      眼高下縁と外耳遠. 刺(日本光電社製 スキンピュアー)を用いて,十 分に皮膚の洗浄を行った後に,準閉鎖性フイルム ドレッシング(ジョンソン・アンド・ジョンソン 社製 バイオクルーシブ)を応用した。なお, いずれの貼付部位においても電極間抵抗が kOであることを確認したo また不関電極は,耳 桑に貼付した。 3)計刺量位 各被験者の計測顎位を決定するために,まず実 験用スプリントを使用して,当教室で報吾した適 正なタッビングポイント描記時の条件 のを参考 に,ゴシックアーチおよびタッビングポイントを. 図3 唆筋の誘導部位. 描言己させた。この結果を図5に示す。 被験者1 被験者2. ↓. 被験者3. ↓. 被験者4. \レ \↓. 被験者\レ 被験者8 ↓ 5--』. 図5 被験者のゴシックアーチおよびタッビング ポイント. 図4 側頭筋の誘導部位 63.

(5) 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電量に及ぼす影響. 154. した。各被験者の最大唆合力,計測時嘆合力およ. 計測顎位は,タッビングポイントを中心、に各被 験者の前後運動捧上で,前方は   まで,後. び実験用スプリントを装着させたときの第一大臼. 方はエイペックスまでの問を   間隔で設定 し,最後方位をエイペックスとしたo しかし,エ イペックスとタッビングポイントとの距離が1.5. 歯部における唆合挙上蓋を表2に示す。 3.実際の計測手順 被験者を歯科用治癒椅子に上半身は垂直,頭位. mmと大きかった1名(被験者8)は,前方は工6 mmまでとした。各被験者の計測時顎位とタッビ. はフランクフルト平面が水平になるように座ら せ,各電極貼付部位に電極を貼付して,電極間抵. ングポイントの前後的範囲との関係を図6に,各 被験者のタッビングポイントの長径を表1に示. 抗が安定するのを待った後に計測を開始した。計 測顎位を圭踊りする顎位圭踊り仮を取り付けた上下顎 のスプリントを口腔内に装着し,中心唆合位にお. す。 4)計測時嘆合力 被験者に実験用スプリントを装着させてタッビ ングポイントでの最大唆合力を計測し,その10% および20%の唆合力を各被験者の計測時唆合力と. -前方(A)             後方(P)被験者. J. l. I. l. I. l. I. l   )   l. I. I. I. l. l. 子..` ◎ :タッビングポイントの範固. l. ける最大唆合力の10%または20%の唆みしめを5 -10秒間,各5回ずつ行ったO 唆合力の管理は被 験者が実験中に置接目視できる位置に,デジタル 表示式の唆合力表示機構を備えた計装用コンディ ショナ(共和電業社製       を設置し, 被験者自身に行わせた。被験者の筋肉の疲労によ る影響を避けるため各計測顎位ごとに十分な休息 をとった。図7に実験風景を示す。 4.記録の処理方法および分析方法 1 )記録の処理方法 本実験では各誘導部位からの薪放電の原波形お よび嘆合力をデータレコーダに言己録し,実験終了 後に言己録したデータを再生して,積分ユニット (日本光電社製      で,感度. 図6 被験者の計測顎位およびタッビングポイン トの前後的範囲. D I Vにて積分処理を行い,各計測顎位における 筋放電室を求めた。積分方法は各誘導部位ごと. 表1各被験者のタッビングポイントの長径. 表2 被験者の最大唆合力,計測時唆合力および 唆合挙上皇. 被験者. ク ツ ビ ン グ ポ イ ン トの 長 径. 禍 渚. 最大 唆合力. 討測 時 唆 合 力. 唆合 挙上 量. (k gf). 10 %. 1. 51.7. 5. 10. 工2 1. 0.41. 2. 78.5. 7. 14. 1.27. 4. 0.25. 3. 61.0. 6. 12. 0.95. 5. 0.21. 4. 65.2. 6. 12. 0`85. 6. 0.46. 5. 63.5. 6. 工!. 1.44. 7. 0.96. 6. 64.2. 6. 12. 1.6 1. 8. 1.02. 7. 55.3. 5. 捕. 1.59. 平均. 0.51. 8. 54.2. 5. 10. 1.69. 1. 0.13. 2. 0.21. 3. - 64 一. 20%. (m m ).

(6) 歯科学報. 155. 実 験 結 果. 1.唆筋の筋放電量 各計測顎位における唆筋の筋放電室の糸吾栗を 図9に示すO グラフの横軸には誘導部位および計 測顎位を縦軸には筋放電量を示す。なお計測顎 位はタッビングポイントをTP,エイペックスを APで表示し, TPよりも前方をA,後方をPの アルファベットで示し,それに続く数字で距離を 示した。 被験者1から7における唆筋の筋放電量は,唆. 図7 実験風景 に, 1秒間のタイマーリセット方式で行い,唆合. 筋前縁,唆筋中央および唆筋後縁のすべての誘導 部位で,最前方位または最前方位付近で最大で,. 力の安定した1秒間の値の5回の平均値を各誘導 部位における筋放電室の代表値とした.図8に記. 後方になるに従い小さくなり, APまたはAP付 近で最小となった。. 録の一例を示す。 2 )記録の分析方法 顎位を前後的に変化させた際の各誘導部位から. 被験者8における唆筋の筋放電室は,すべての 誘導部位で,最前方位で筋放電室は大きく後方に なるに従い小さくなるが, APに近づくに従い再. の筋放電量の変化から,前後的顎位と唆筋および 側頭筋との関係を調査した。. び大きくなった。 また,全被験者において顎位を前後的に変化さ. 次に筋放電を指標とした顎位の判定についての 可能性を明らかにするために,各計測顎位におい ての唆筋と側頭筋のすべての誘導部位における筋. せた場合の誘導部位による,筋放電量の差は認め られなかった。 2.側頭筋の筋放電量. 放電室の総和を求めた。次に臨床-の応用を考慮 して,誘導部位としては唆筋中央および側頭筋前. 各計測顎位における側豆貢筋の筋放電室の結果を 図10に示す。側頭筋の筋放電量は,最前方位また. 部筋束を選択し,それらの筋放電室の合計を求 め,唆茄と側頭筋のすべての誘導部位における筋 放電室の総和との比較を行ったO. は最前方位付近で最小で, T P付近から後方の顎 位で大きくなる被験者が多かった。しかし被験者 により変化の傾向が異なる場合があり,変化の傾 向によって次の3タイプに分幾できたo最前方位 または鼻前方位付近で最大で,後方になるに従い 小さくなりAPまたはAP付近で最小となるもの を減少型,最前方位または最前方位付近で最小 で,後方になるに従い大きくなりAPまたはAP. 筋放電 原波形. 付近で最大となるものを増加型,最前方位から APまで増減を繰り返すものを:不定型とした。 表3に各被験者の側頭筋の筋放電室の変化のタイ プを示す。 被験者         および8と大半に増 加型が認められた。被験者1のすべての誘導部位 と被験者2および5の一部に減少型が認められ, 被験者7には不定型が認められた。. 図8 記録の一例 - 65.

(7) 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電量に及ぼす影響. 図9 各顎位および各誘導部位における唆筋の筋放電室 - 66 -.

(8) 歯科学報. 図10 各顎位および各誘導郭位における側頭筋の筋放電量 - 67 -.

(9) 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電量に及ぼす影響. 158. *で示す。. 表3 側頭筋の筋放電室の変化のタイプ. 変 化 の タ イ プ二 被 験 者 および 唆合力 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 減少 型. 被験者    および7における筋放電室の総 和は,鼻前方位において最大で後方になるに従い 小さくなる傾向があった。被験者1の10%唆合力 ではT P前方       唆合力および被験者. Lf. LW. 増加 型. 不定塾. 10%. 前 中後. 20%. 前 中後. 10%. 前. 中後. 20%. 前. 中後. 10%. 前 車後. 20%. 前 車後. 10%. 前 中後. 20%. 前 中後. 10%. 前. 中後. 20%. 前. 中後. 10%. 前 中後. 20%. 前 中後. 10%. 中. 20%. 前車. 10%. 前 中後. 2 0%. 前 中後. 2では     において,被験者3の10%唆合 力では     唆合力ではT P前方   に おいて,被験者7の10%唆合力ではTP後方0.6 唆合力ではTP後方   において 総和は最小となった。 被験者4における筋放電量の総和は,あまり変 化せず   唆合力では     唆合力では TP後方   において最小となった。 被験者5, 6および8における筋放電量の総和 は,最前方位で大きく,後方になるに従い小さく なるが, APに近づくに従い再び大きくなった。 被験者5の10%唆合力ではTP前方 %唆合力ではTP後方   において,被験者 6ではTP前方    において,被験者8の10. 前. %唆合力ではT P前方   で20%唆合力では TPで,それぞれ総和は最小となった。. 後 後. 総和が:最小となった顎i位が,タッビングポイン トの範囲に含まれたのは   唆合力では被験者 および8の4名   唆合力では被験者. 前:前部筋束 中:中部筋束 後:後部筋東. および8の5名であった。 総和が最小となった顎位とそれ以外の顎位との. 側衰貢筋においても唆筋と同様に,顎位を前後的 に変化させた場合の誘導部位による,筋放電室の 差は認められなかった。 3.唆筋と側頭筋の筋放電量の合計 1)筋放電室の合計. 筋放電量の有意差の有無をみて,有意差の認めら れなかった顎位の幅は   唆合力では mmであり平均       唆合力では0であり平均    であった。 (2)唆筋中央と側頭筋前部筋束の筋放電室の合. (1)唆筋と側頭筋の筋放電室の総和 各計測顎位における唆筋と側頭筋の筋放電室の. 計 唆筋中央と側頭筋前部筋束の筋放電量の合計を. 総和を図     唆合力)と     唆合力) に,筋放電量の総和が最小となった号頁位とTPと の関係を図     嘆合力)と     唆合. 図     唆合力)と13-   唆合力)に,筋 放電室の合計が最小となった顎位とT Pとの関係. 力)に示す。図中の★印は唆筋と側頭筋の筋放電 量の総和が最小となった顎位を示す。 t検定を 行った結果,有意水準5%で,最小となった顎位 と他の顎位での筋放電量に差が認められた顎位を. を図     唆合力)と     唆合力)に示 す。 被験者     および7と被験者5の20% 唆合力における筋放電量の合計は,最前方位にお いて最大で後方になるに従い小さくなった。被験. - 68 -.

(10) 歯科学報. 159. 被験者2. 被験者1 FLV/see.. pV/see.. 也 〓. ・[=Ⅱ県. ニニ二三ニ 0. Al・2      . (AT;) ・. 被験者3. 被験者4 !八'sL、。.. 二ニニ二二二. 旦L田Ⅱ血且且. < TP>   AP(PO.6). 被験者5. 被験者6 /LV. 且且血且血且且. 三二三二ニ. Al.2          < TP >     AP(PO.7). Al.2                  AP(Pl.2). 被験者8. 被験者7 FLV/see.. FN/se c.. ニニニ三三二二. 三三二二三三二. ;1工2      ◆        ◆      Al' \. Å1.6 Å         -TP一◆        Å. ★ :総和が表中となった顎使 {→:タッビングポイントの範囲 p<0.05. 図   唆筋および側頭筋の筋放電室の総和   唆合力) 一 69 -.

(11) 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電室に及ぼす影響. 被験者2. 被験者1 .LLV tieLl. 500. 柚酷 被験者3 FLV/see.. 被験者4 〟. 500. 腑血冊. ニ二二二. ◆- TP一◆. 1 TP >   AP(PO.6). 被験者6. 被験者5 FLV/see.. FLV/see.. 餌皿.虹I. 三二二三二 ←TP-. AP (PO.7). FLV/see.. 被験者7. 被験者8. 700. pV/see.. 三三二三二 l. TP. ★ :総和が鼻小となった顎位 ・-:タッビングポイントの範囲 pく. 図    唆筋および側頭筋の筋放電室の総和   唆合力) - 70 -.

(12) 歯科学報. 161. +-前方(A)              後方 被験者. 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.60.4 0.2 TPO.2 0.4 0.60.8 1.0 1.2 1.4 1.6. 1   *--*-*-*-**. (mm). ♯-車3      *--*1-*-*-. -*-*. 6      * -*--1*・-*・01 中-専一車. 総和または合計が最小となった顎位が,タッビ ングポイントの範囲に含まれた被験者数を比較す ると,唆筋と側頭筋の筋放電室の総和では10%唆. ★ く>・*-    ㊥*. ◎:タッビングポイントの範囲 ★ :酎ロが射、となった顎位 * :有意差が認められた顎位. 合力で4名   唆合力で5名であり,唆筋中央 と側頭筋前部筋束の筋放電量の合計では10%唆合. 図    筋放電量の総和が鼻小となった顎位と T Pとの関係   唆合力). 力および20%唆合力ともに2名と後者の方が少な かった。しかし,総和あるいは合計の最小値と有 意差の認められなかった前後的顎位の幅は,唆筋. -前方(A)              後方(P)1.6 1A 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 TPO.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1A 1.6. 被験者】        】 I 1    *-*-・**・*・O 2     *-*-C>00-. と側頭筋の筋放電室の総和では10%唆合力で平均 唆合力で平均    であり,唆. (mm). 筋中央と側頭筋前部筋束の筋放電量の合計では10 %唆合力で平均       唆合力で平均 mmであり,総和を用いる方が広かった。. 3     *一客 4    010    〉 5 6 7 8. *-ヰlo-0 * -*-1*--0--0-. * -*・・*--*01℃トO.くy-0・4-. mmであり平均       唆合力では0であり平均    であった。 (3)筋放電室の総和と唆筋中央と側頭筋前部筋 束の筋放電量の合計との比較. 4     〈    重 く> -★- 0 7     *-    車. 筋放電量の有意差の有無をみて,有意差の認めら れなかった顎位の幅は   唆合力では. *-*・*1-*--*. 2)タッビングポイントの中央の顎位における筋 放電室の合計と他の顎位における筋放電量との. *-★-専I-* 塞-①    ヰ*. ◎:タッビングポイントの範囲 ★ :酎ロが#小となった顎位 * :有意差が認められた顎位. 関係 タッビングポイント付近における筋放電室の変. 図    筋放電量の総和が最小となった顎位と T Pとの関係   唆合力). 化の傾向と,各被験者のタッビングポイントの範 囲との関係を明らかにするために,タッビングポ イントの中央の顎位における唆筋中央と側頭筋前. 者1ではTP前方    被験者7ではTP後 方    残りの被験者ではAPにおいて,杏. 部筋束の筋放電量の合計と,他の顎位問との有意 差の検定を行った。その結果を図15一   嘆. 計は最小となった。 被験者4および8と被験者5の10%唆合力にお ける筋放電室の合計は,最前方位で大きく,後方. 合力)と15-   唆合力)に示す。 t検定によ り,有意水準5%でタッビングポイントの中央の. になるに従い小さくなるが, APに近づくに従い 再び大きくなった。被験者4ではTP後方0.2 mm,被験者5の10%唆合力ではTP前方0.6 mm,被験者8ではTPにおいて,合計は最小と なった。 合計が最小となった顎位が,タッビングポイン トの範囲に含まれたのは   唆合力および20% 唆合力ともに被験者2および8の2名であった。 合計が最小となった顎位とそれ以外の顎位との - 71. 顎位と他の顎位での筋放電室に差が認められた顎 位を*で示す。多くの被験者で有意差が認められ ない顎位,すなわちタッビングポイント中央の値 と同-とみなせる筋放電室を示す顎位が,タッビ ングポイントの範囲外にも存在した。タッビング ポイントの範囲と有意差の認められない顎位の範 囲を比較すると,有意差の認められない顎位の範 囲の方が広い被験者が多かった。.

(13) 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電室に及ぼす影響 被験者1. 被験者2 /八'. 舶品丑 被験者3. 被験者4. .LLV see.. 、l. 150. 二二二二. m mmmmmmmM. AP(PO.6). 被験者5 pV/see.. 被験者6 FLV/see. 150. ・∩=-=Ⅱ. 臨紺. Al・2         1TP>     AP(PO.7). 被験者7 FLV.'(・e.. 被験者8 /八'sel・.. 二二三. Amm醐. ‥TP-. ◆- TP ---    pl・. ★ : -合計が豪小となった顎位 ・-:タッビングポイントの範囲 p<0.05. 図   唆筋中央および側頭筋前部筋束の筋放電量の合計  唆合力) - 72 -.

(14) 歯科学報. 163. 被験膏2. 被験者1. 甘柚. 被験者3. FLV/see.. 被験者4. pV/see.. 冊腑題。) 被験者5. FLV/see.. 皿且振田且. Al・2          1 TP ・・  AP(PO.6). 被験者6. FLV/see.. * _* y #. 柚加 冊紺. 二二二二. 被験者7 FLV/see.. Al.2       -TP--      AP (Pl.2). 被験者8 FLV/see. 250. 二三二二二 一TP-. ★ :ノ合計が某小となった顎位 ←→:タッビングポイントの範囲 p<0.05. 図    唆筋中央および側頭筋前郭筋束の筋放電量の合計   唆合力) - 73-.

(15) 164. 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電室に及ぼす影響. 嘆筋中央+側頭筋前部筋束. 側衰貢筋は,頭蓋側壁に扇状に拡がる筋であり走 行の違いにより前部,中部および後部筋東に明確 に分けられる。本研究においても,側頭筋の誘導 部位を各筋束に設定し左右計6ヶ所とした。 唄噛筋から表面電極を使用して,筋放電を誘導 する際に考慮すべき事柄としては電極間距離,電 極間の抵抗および電極の角度が挙げられる。 電極間距離が変化すると筋放電室も変化するこ とが知られているが,今回の実験では,置径5. ◎:タッビングポイントの範囲 ★ :合計が鼻小となった顎位 * :有意差が認められた顎位. mmの電極を電極間距離8 mmに固定した双極表 面電極を使用しているため,電極間距離の変化に よる筋放電室の変化は生じない。また電極間距離. 図    筋放電室の合計が最小となった顎位と T Pとの関係   唆合力). が,従来の研究でみられる     よりも小さ いため,誘導部位への貼付がより正確に行えたと. 嘆筋中央+側頭筋前部筋束. 考える。 電極間の抵抗は,ノイズ成分を低下させて正確 かつ定量的な筋放電室を計測するために考慮すべ き事柄である。岡根ら10)は電極間抵抗を 鋸こ設定した場合と    鋸こ設定した場合と では,筋放電量に差は認められなかったとしてい るが,筋放電量の定量的な実験を行った鈴木 古屋12)は電極間抵抗を   以下,大平13)は5k. ◎:タッビングポイントの範囲 ★ :金計が鋸、となった顎位 * :有意差が認められた顎位. E2以下,平尾14)は1kO程度に設定しているO今 回の実験での電極間抵抗は     であり,ノ. 図14- 2 筋放電室の合計が鼻小となった顎位と T Pの関係   唆合力). イズ成分のない正確な計測結果が得られたと考え る。. 考     察 上 筋放電誘導筋の選択と電極の貼付部位および 貼付方法について 本研究では,表面電極を用いて容易に筋放電が 誘導できる唆筋および側頭筋を選択し,さらに薪 の走行を考慮して各筋で各々3ヶ所の筋放電誘導 部位を設定した。 同根ら10)は,嘆筋の前縁および後縁とその中間 の4ヶ所からの筋放電量を比較したところ,前縁 からの筋放電室が最も大きく,後縁からの筋放電 室が最も小さいと報菖し,部位により筋活動室が 異なると述べている。そこで本研究では,唆筋の 誘導部位を前縁,中央および後縁の左右計6ヶ所 とした。 - 74. 電極の角度については電極を筋の走行と-致 させて平行に貼付した方が,垂重に貼付した場 合よりも筋放電室が大きく記録できることが および岡根ら10)の研究により報菖さ れている。日本人の喧嘩筋の外形および走行を詳 糸鋸こ分析した岩田16)の研究によると唄噴筋の外形 および走行は様々であり,嘆筋を例にとると外形 は長方形と梯形に分章され,筋の走行は各々4種 幾ずつに分賛されたとしている。著者は唆筋およ び側頭筋の平均的な筋の走行と平行になるような 角度を定め,透明塩化ビニル仮に貼付位置を記録 した。図16に透明塩化ビニル板を使用して電極を 貼付した一例を示す。この板を利用して各誘導部 位に電極を貼付することにより,左右対称に規格.

(16) 歯科学報. 165. 化して電極を貼付することが可能になった。. 嘆筋中央+側頭承前部族束 -一一前方(A)             後方(P)被験者. I. I. I. I. l. I. I. I. I. I. I. I. I. I. 1     *-車  - 0-. A. 2.計測時の唆合高径について 今回の実験では前後運動時の歯牙の接触を防止. L. (mm). 2     *4-*-*. するために唆合高径を第-大臼歯部で mm挙上した状態で,ゴシックアーチおよびタッ. 3    * 4-<トO 4    *-塞--塞--*-8-. ビングポイントの措記と筋放電室の計測を行っ た。 唆合高径を変化させた際のゴシックアーチおよ. 5     *-     -く> I. 一〇`の. *_a_,*_*. 7     *-*--*-a -0-く〉. ♯     …. ◎:タッビングポイントの範囲 ■ :基準とした顎位 * :有意差が認められた顎位. びタッビングポイントの変化について,鵜飼17)は 唆合高径が変化すると口内法描記板上に描かれる. 図15-1 タッビングポイントの中央の顎位にお ける筋放電室の合計と他の顎位との関係 (10%唆合力). 上下,側方および前後の各運動格は変化し,唆合 点は唆合高径が高いほど前方に移動すると述べて いる。正常な有歯顎被験者のタッビングポイント とエイペックスとの距離については は有歯顎被験者29名の最後退位と唆頭蕨合位との 距離は      離れており平均    であ ると報害し    ら19)の連続Ⅹ線写貢による研. 嘆窮中央+側頭箭前部筋束. 究によると有歯顎被験者14名すべてにおいて唆頭 蕨合位からの後方運動が可能で,その距離は0. 2 -工8mmであり平均    であったと報害し ている。今回の被験者のタッビングポイントとエ イペックスとの距離は挙上した状態で mmであり,唆合挙上したことによる影響は少な. ◎:タッビングポイントの範囲. かったと考察される。 タッビングポイントの分布状態について佐藤20). ■ :基準とした顎位 * :有意差が認められた顎位. 図    タッビングポイントの中央の顎位にお ける筋放電室の合計と他の顎位との関係 唆合力). は唆金高径を   挙上させた際のタッビング ポイントは,唆合高径を変化させないときと比較 して前後的な分布範囲が約2倍増加したと報害し ている。習慣性開閉運動路における歯牙接触位の 範囲について川口21)は          平均 林8)は    以下であるとしてい る。今回の実験におけるタッビングポイントの範 囲は       了平均    であり唆合挙 上によりタッビングポイントの範囲が大きくなっ た被験者もいる可能性もあるが,総体的には大き な影響は無かったと思われる。 本実験では,唆合高径を挙上して上下顎の歯牙 接触が無い状態で実験を行わなければならない。 過去に同様の装置を用いた実験での挙上皇は,前 田22)の第2大臼歯部における      藤田23). 図16 電極貼付の一例. 75.

(17) 166. 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電室に及ぼす影響. の前歯部における   と臼歯部における10 mm,佐藤24)の第1小臼歯部における    鈴. に側頭筋は前方位および後方位において,筋放電. 木11)の前歯部で     などがある。本実験で は,これらと比較して挙上皇を少なく設定できた. 室が大きくなることがあるため,顎位の違いに よって種々な筋放電室のパターンを示したと考え られる。. ことによりタッビングポイントの前方-の移動お よび範囲の増加を極力押さえられたと考える。. タッビングポイントとエイペックスが一致する 被験者1では      付近での筋放電室が大. 3.筋放電室の変化について 1 )唆筋の筋放電室の変化. きくならず減少型が認められた。これは被験者1. 顎位を変化させて一定唆合力を発揮させた場 合, 8名車7名の被験者においては,唆筋の筋放 電室は最前方位であるTP前方   の位 で 最も大きく,後方になるに従い小さくなった。こ れは前方位においては唆筋の筋放電室は増加する という過去の報吾   と-致し,唆筋の作用は 下顎の挙上および前方運動の補助であることから も妥当な結果であると恩われる。 しかし,被験者8では,唆筋の筋放電量は鼻前 方位であるTP前方   の位置から後方にな るに従い,小さくなりTP付近で鼻も小さく,さ らに後方になると再び大きくなってAP付近で最 も大きくなった。これは被験者8は,一定唆合力 を発揮するために後方の顎位でも側頭筋と協調し て唆筋が作用したためと考える。 しかし,いずれの被験者においても顎位の前後 的変化に伴う筋放電茎の変化率は小さく,また誘 導部位による差もないことから,誘導部位を3ヶ 所としても嘆筋のみの筋放電室から顎位の前後的 変化を推定できないと考える。 2 )側頭筋の筋放電室の変化 側頭筋の筋放電室の変化は,被験者により変化 の傾向が異なったが,表3に示すように3種幾の タイプに分類できた。 側頭筋は各筋束で走行が異なるため薪の作用方 向も異なる。すなわち側頭嵩から下方に向かう前 部筋束は,下顎を垂直方向に牽引する力を発揮さ. は,タッビングポイントから後方に顎位を偏位す ることが不可能であり,側頭筋が働く必要が無い ためと考える。 タッビングポイントとエイペックスが一致しな い被験者では,増加型が多く認められた。これは AP付近で側頭筋が強く働いて,下顎を後方に保 持したまま一定唆合力を発現させるために,側頭 筋が強く働き筋放電室が増加したと考える。被験 者5の前部筋束に減少型が認められたが,前部筋 束では筋の走行が唆筋のそれに車似しているた め,前方位での筋放電室が増加したものと考えら れるO しかし筋放電室が増加したのは, TP前方 付近の顎位からである。側頭筋の膨隆か ら顎位を判定しようとする試みから荻原4)は,顎 位を前後的に変化させた際の側頭筋からの筋放電 室を計測し,タッビングポイントでの筋放電室と 比較して,タッビングポイントの前後の顎位での 筋放電室は大きくなったと報害している。荻原の 研究では,前方への偏位室を     としてお り,所定の唆合力を発揮させるために側頭筋が働 き,筋放電室が大きくなったと推察される。被験 者5の場合にも同様のことが起きたと考える。 被験者7に禾定型が認められたが,側頭筋の作 用は下顎の維持に関与する25)ことから,被験者7 は開口時に側頭筋が強く働く場合と働かない場合 とがあり,側頭筋による下顎の維持作用が不安定 であることが推察される。. せるために下顎の挙上時および前方位において, 筋放電室が大きくなるo また側頭嵩から前方に向. しかし,側頭筋においても唆筋と同様に,いず れの被験者においても顎位の前後的変化に伴う筋 放電室の変化率は小さく,また誘導部位による差. かう後部筋束は,下顎を後方に牽引する力を発揮 させるために下顎の後退時および後方位におい て,筋放電室が大きくなると考えられる。この様. もないことから,誘導部位を3ヶ所としても側頭 筋のみの筋放電量から顎位の前後的変化を推定で きないと考える。. -76.

(18) 歯科学報. 98, No. 2 (1998). 4.筋放電室を利用した顎位の推定について 河野ら3)は,左右の唆筋および側頭筋の前部筋. 167. 表     前方   における筋放電室の比率 唆合力). 束と後部筋束の筋放電から,平均して前後方向で 左右方向で    の誤差で顎位を推. 被 験 者. 唆筋 中央. 側 頭筋前 部筋 束 ( 〃Ⅴ). 1. 3 7.3. 20.3. 2. 4 5. 7. 44.6. 3. 53.4. 45.0. 4. 35.8. 31.5. 5. 45.6. 45.2. して,金属製スプリントとスタイラスを使用して いるために,上下顎の歯牙の接触はなく,歯牙接 触のある河野らの値よりも誤差は大きくなる。. 6. 33.6. 48.4. 7. 68.0. 12.9. 8. 46.0. 19.5. ら2)は, 30名の無菌顎者を対象に 顎位を中心位から前方に4 mmまで1 mmずっ変. 平 均. 45.7. 3 3.4. 比 率. 57.7 %. 4 2 ▼3 %. 定できるとした。河野らの研究では,有歯顎者を 用いて顎位を水平的に変化させた際に,上下顎の 歯牙の唆合面問に何も介在させていない。例え ば,前方位での唆合では前歯が接触し,臼歯は離 開している。本研究は,無菌顎者での応用を考慮. 化させた際の唆筋と側頭筋前部筋束の筋放電室を 計測し,それぞれの顎位で全被験者の唆筋と側頭. 表4-2 AP前方   における筋放電室の比率 唆合力). 筋前部筋束の筋放電量を平均している。その結 果,顎位を中心位から前方に変化させると,唆筋 の筋放電室は増加し,側頭筋前部筋束の筋放電量. 被 験 者. 唆 筋 中央. ( 〃 Ⅴ). 側頭 筋前 部筋 東. 1. 91.9. 4 7. 0. 2. 75.0. 74 . 7. 3. 70.6. 64.0. 4. 52.8. 42 .9. 5. 55.1. 62 . 1. 平均および唆筋中央と側頭筋前部筋束の薪放電室 の比率を表      唆合力)および %唆合力)に示す。被験者2のように唆合力を変. 6. 52.3. 72 `8. 7. 97`0. 2 5.9. 8. 110.5. 30.0. 化させても,唆筋中央と側頭筋前部筋束の筋放電 室がほぼ同じ被験者もあったが,唆筋中央と比較. 平 均. 75.7. 52.4. 比 率. 59.0%. 41.0%. は減少し,唆筋と側頭筋前部筋束の筋放電室が一 致した位置は,中心位の前方   であったと している。 今回の実験でのAPから前方    におけ る,唆筋中央と側頭筋前部筋束の筋放電量とその. して側頭筋前部筋束の筋放電室が,著しく小さい 被験者も認められたo筋放電室の比率も genらの研究と異なり   唆合力でも20%唆合 力でも, APから前方   の顎位での唆筋と 側頭筋の比率は-致しなかったoまた. 放電室の総和と,唆筋中央と側頭筋前部筋束の筋 放電量の合計を用いたo これは,同一嘆合力を発 揮する際の唆筋と側頭筋の筋放電室の和は,タッ. らの研究は,各被験者で異なる筋放電量を平均し ている。本結果からみても,各被験者により比率. ビングポイント付近において最小となるであろう と仮定したためである。. は異なるので    -genらの方法を臨床応用 する可能性は低いと考えられる。 本研究では前後的顎位判定の可能性を探るため. 嘆筋と側頭筋のすべての誘導部位における筋放 電室の総和を用いる方法と,唆筋中央と側頭筋前 部筋束の筋放電量の合計を用いる方法の結果を比. に,唆筋と側頭筋のすべての誘導部位における筋. 較すると,総和あるいは合計の最小値と有意差の. 一 77 -.

(19) 168. 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電室に及ぼす影響. 認められなかった顎位の前後的な幅は,総和を用 いる方が広かった。これは総和を用いる方法で は,顎位を前後的に変化させた際の各項位ごとの 筋放電量の変化率が少ないこと,総和を求めたた めに各顎位での薪放電量のばらつきが大きくなっ たことにより,有意差の認められなかった顎位の 幅が広くなったと考える。有意差の認められない 顎位の幅が広いことは顎位の判定に利用しずら く,また電極の数も少ない方が利用するのに簡便 であるため,臨床への応用を考慮すると唆筋と側 頭筋の筋放電室の総和を用いる方法よりも唆筋中 央と側頭筋前部筋束の筋放電室の合計を用いる方 法が妥当であると考える。 しかし,唆筋中央と側頭筋前部筋束の筋放電室 の合計において,合計が最小となった顎位が, タッビングポイントの範囲に含まれたのは 唆合力および20%唆合力ともに被験者2および8 の2名であったことから,嘆薪および側頭筋の筋 放電を利用した前後的顎位の判定の可能性は低い ことが示唆された。 本研究では唆筋および側衰貢筋を選択したが,下 顎を後方に牽引するのは主に外側翼突筋が関与す る。外側翼突筋の筋放電は針電極を使用しなけれ ば誘導できず,臨床においては利用しずらいと考 える。今回の実験では,臨床-の応用を考慮して 表面電極を使用したが,この結果から表面電極を 使用することによる限界があったと考えられる。 5.タッビングポイントの範園と筋放電茎との関 係. せる筋放電室を示す顎位の範囲が広くなったが, 他の被験者では関連性は認められなかった。従っ て,タッビングポイントの前後的なばらつき幅と 下顎を前後的に変化させた際の唆筋および側頭筋 の筋放電室の変化は,関連が少ないことが判明し た。 結     論 タッビングポイント付近における下顎位の前後 的変化が,唆筋および側頭筋の筋放電室に及ぼす 影響を調査して,筋放電を利用した下顎位判定に ついての可能性を明らかにすることを目的とし た。有歯顎被験者8名を対象に上下顎の歯牙の接 触をなくした状態で顎位を塊制し,かつ唆合力を 監視するために,顎位塊制・嘆合力計測装置を装 着した。そして,顎位を前後的に変化させて,一 定唆合力を発揮させた際の唆筋および側頭筋の筋 放電室を求めた。電極貼付位置は左右の唆筋の前 縁,中央,後縁と左右の側頭筋の前部筋束,中部 筋束および後部筋束の計12ヶ所とした。計測顎位 はタッビングポイント   を中心に各被験者の 前後運動按上で前方は   まで,後方はエイ ペックス   までの間を   間隔に設定し た。唆合力は,タッビングポイントにおける最大 唆合力の10%および20%とした。また臨床的観点 から,唆筋中央および側頭筋前部筋束のみのデータ を抽出して分析した。その結果以下の結論を得た。 1.嘆筋の前縁,中央および後縁での筋放電室 は,最前方位または最前方位付近で最大で,後方. タッビングポイントの中央の顎位における唆筋 および側頭筋の筋放電量の合計と各顎位における. になるに従い小さくなり, APまたはAP付近で 最小となった。しかし,いずれの被験者において. 筋放電室との有意差の検定を行った結果,タッビ ングポイント中央の値と同一とみなせる筋放電室 を示す顎位が,タッビングポイントの範囲外にも. も顎位の前後的変化に伴う筋放電室の変化率は小 さかった。 2.側頭筋の前部,中部および後部筋束での筋放 電室は,産前方位または最前方位付近で表中で,. 存在する被験者が多かった。そこで,タッtioング ポイントの範囲が狭い被験者と広い被験者とにお いて,タッビングポイント中央の値と同一とみな せる筋放電量を示す顎位の範囲を比較した。その 場合にタッビングポイントの範囲が広い被験者8 では,タッビングポイント中央の値と同一とみな. A P付近から後方の顎位で大きくなる被験者が多 かった。唆茄と同様に,いずれの被験者において も顎位の前後的変化に伴う筋放電室の変化率は小 さかった。 3.唆筋と側頭筋のすべての誘導部位における筋 78-.

(20) 歯科学報. 169. 放電室の総和と,唆筋中央と側頭筋前部筋束のみ の筋放電量の合計とを比較したところ,前者の方 が後者よりも顎位の前後的な変化に伴う筋放電量 の変化は小さいことから,誘導部位数は少なくて 良いことが判明した。 4.顎位を前後的に変化させたときの唆筋中央と 側頭筋前部筋束からの筋放電量の合計を各顎位ご とに試みた場合に,タッビングポイント中央の値 と同一とみなせる筋放電室を示す顎位は,タッビ ングポイントの範囲外にも存在する被験者が多 かった。 以上のことから唆筋および側頭筋の筋放電室を 利用して,前後的顎位の判定を行える可能性は低 いことが示唆された。 謝     辞 稿を終わるにあたり,衝懇篤なる御指導と衝校閲を 賜った恩師歯科補綴学第一講座主任溝上陸男前教授に 深甚なる謝意を表するとともに,本研究に際し常に櫛 指導,御援助を戴いた杉山哲也講師,荻原俊美博士, 種々な御助言を戴いた樫井 素助教授,尾松素樹助教 授をはじめ,教室員各位に感謝の意を表すとともに, 実験に際して御協力下さった被験者各位に厚く衝礼申 し上げる次第である。. が        に及ぼす影響に関する基礎的研 究,歯科学報 8)林  甫:下顎の小関閉運動時の各種姿勢と開閉条 件とが前後的な歯牙接触位に及ぼす影響に関する研 究,歯科学報 9)尾松素樹:顎位決定における     時の力が の前後的位置に及ぼす影響に関する研 究,歯科学報 10)岡頼秀明,津島隆司,三善陸明,長沢 亨:電極の 位置と極問抵抗が唆筋筋電図に及ぼす影響について, 臼補綴歯会誌, 23 : ll)鈴木伸宏:唆合力と唄噴筋の筋放電との関係につい ての実験的研究,第1報 嘆合点の前後的変化につい て,歯科学報, 84: 12)古屋元之:唆合力とDE噛筋の筋放電との関係につい ての実験的研究,第2報 左右側的条件について,歯 科学報 13)大平洋志:唆舎面形態の違いが姐噴力に及ぼす影響 に関する研究-特に下顎第一大臼歯部について-,顔 科学報 14)平尾文明:下顎の位置変化が唄噴筋活動に及ぼす影 響に関する研究,歯科学戟 15) Ahlgren, J. : Mechanism of mastication, Acta 。(1°    し丁目1(上2L上     : i -109. 1冊丘. 16)岩田卓延:日本人深頭筋の解剖学的研究 第1編 唆筋,歯科学報 17)鵜飼 弘.,中心唆合位の決定について,歯界展望, 21 : 447-453, 1963. 18) Ingervall, B. : Retruded contact position of mandible, a comparison between children and adults, Odontol. Reby., 15 : 130-149, 1964.. 文     献 1)六革寿夫:姐噛筋筋電図の補綴学的分析に関する研 究,歯科医学, 28: 21     1 S‥       ヽ ̄‥ Lつ   千歳 Preliminary study of electromyographic chara-. 19) Kidd, W. IJ. and Sander, A. : A study ofposterior mandibuler movements from intercuspal occlusal position, a. Dent. Res., 40 : 419-425, 1961.. 20)佐藤克彦:唆舎挙上および頭部の傾斜がタッビング ポイントの分布状態に及ぼす影響について,日補綴歯 会言志. cteristics for distinguishing centric relation and protrusion in edentulous patients, J. prosthet. Dent. 69 : 171-175, 1993.. 3)河野正司,坂東永-,田中代平,栗山 実,望月 洋,加藤 均,松下和夫,長谷川成男,田据恒雄:唄 噴筋の筋活動を指標とした唆合位の推定,臼補綴歯会. 21)川口豊造:電気的測定装 による習慣的閉口運動お よび唖下運動時の歯牙接触位に関する研究,日補綴歯 会誌 22)前田佳英:唄噴筋力の作用機構と唆合力発現機構 とに関する実験的研究,歯科学報       上. 誌           .. 1973.. 4)荻原俊美:側頭筋郭の把握による前後的下顎位判定 に関する研究,歯科学報 5)川田暫夫:三次元唆合力に蓋ずく下顎位と唄噴筋活 動の関係に関する研究,臼補縁歯会誌, 40 : 369, 1996.. 6)河野正乳 三浦宏之:顎口腔機能と噛みしめ,下顎 運動機能とEMG論集        . 7)樫井 薫:顎運動蕗括記装置の   の設定位置. 23)藤田邦彦:唆合力に関する研究,九州歯会誌 113-123, 1972.. 24)佐藤 清:正常有歯顎者の唆合力作用時における下 顎の偏位傾向に関する研究, -下顎正中矢状面内に おける廃位傾向-,日補緩歯会誌 1979.. 25)蓋  稔:顎機能異常-唆舎からのアプローチ,第 1版     医歯薬出版,東京. -79 -.

(21) 手塚:下顎位の前後的変化が筋放電室に及ぼす影響. 170. The Influence of Anteroposterior Displacement of Mandibular Position Nearby Tapplng Point on Myoelectric Discharge Takehiro TEZUKA Department of Complete Denture Prosthodontics, Tokyo Dental College (Director : Prof. Takao Mizokami) Key words : Anteroposterior mandibular position-Myoelectric dischcLrge-Masseter muscle- TeTnPOral TTuSCle-Registration of interocclusal relation. The aim of this study was to investigate the influence of anteroposterior displacement of mandibular position nearby tapplng POint on myoelectric discharge and to ascertain the p°  1つ,tつ      田   ° ・      ・      -Si】    四  五t discharge of masseter and temporal muscles. The myoelectric discharges of masseter and temporal muscles were recorded in eight dentulous subjects by applying prescribed occlusal forces (10% and 20% of maximum occlusal force). These subjects wore the Gothic arch tracer mod` middle and posterior masseter muscles and the anterior, middle and posterior bundles of temporal muscles. From the clinical polnt Of view, the myoelectric discharges were evalnated as well. The Mandibular positions were established with 0. 2mm interval from 1.2mm forward of tapplng point to apex. It was unable to conjectured the change of the anteroposterior mandibular position by the myoelectric discharge of the masseter muscles or the temporal muscles themselves by any induced position. So the total myoelectric discharges of the middle of masseter muscles and the anterior bundle of temporal muscles were observed. The total myoelectric discharge at the center of tapping POint was compared with one of another mandibular positions・ As a result, many subjects had the mandibular positions that showed the same myoelectric discharge as the center of tapplng POlnt. Therefore, by the use of the myoelectric discharge of the masseter and temporal muscles, the possibility to judge the anteroposterior mandibular position is low・ α. -80-.

(22)

参照

関連したドキュメント

Evaluation of mandibular movement, masticatory muscle activity, and bite force balance in hemifacial microstomia Motoi SUZUKI, Teruo SAKAMOTO, Yasushige ISSHIKI

8 Satinover IA, Hoffman WE, Miletich DJ, Gans BJ, Albrecht RF: A comparison of the cardiovascular and orofacial blood flow changes resulting from hypotension induced

: The morphological analysis of root re- sorption of mandibular primary canines and their rela- tionship with the position of successive permanent teeth using Micro-CT. :

With the aim of reducing patient burden by shortening the treatment period,we performed extraction and immediate implant placement to maxillary central incisor root

目的:平成21年度に千葉県歯科医師会は千葉県から

目的:無歯顎患者の補綴歯科治療の選択肢の一つと

The purpose of this present study was to examine the influence of the pharyngeal airway dimensions after the genioplasty for the maxillary protrusion

Four occlusal points that shifted horizontally in relation to the control point were selected for this study ; the centric occlusion, 2 mm and 4 mm forward from the centric