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IRUCAA@TDC : フェントラミンとプロプラノロールが兎の下顎骨骨髄血流量に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)Title Author(s) Journal URL. フェントラミンとプロプラノロールが兎の下顎骨骨髄血 流量に及ぼす影響 佐塚, 祥一郎 , (): http://hdl.handle.net/10130/27. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 平成18年度卒業論文. フェントラミンとプロプラノロールが 兎の下顎骨骨髄血流量に及ぼす影響. 東京歯科大学第112期生 No.72. 佐塚祥一郎. 東京歯科大学歯科麻酔学講座 指導:一戸達也教授.

(3) 緒言 口腔外科手術では狭い術野で繊細な手技が要求されるため、術中の出血の制 御が重要である。このため、従来から各種の薬物や麻酔条件が口腔組織血流量 に及ぼす影響が検討されてきた. 1)-12). 。中でも骨髄組織血流量は顎骨からの出血. に強く影響すると考えられるので、骨髄組織血流量の制御は口腔外科手術にと って極めて重要な問題である。ニトログリセリンやアデノシン 3 リン酸、トリ メタファン、ニトロプルシドなどを用いた低血圧麻酔では、血圧の低下に伴い、 下顎骨骨髄組織血流量が減少することが報告されている 7)-11) 。一方、過換気に よって動脈血炭酸ガス分圧を 40mmHg から 30mmHg 程度へと低下させると、下顎 骨骨髄組織血流量が減少することも報告されている 12) 。 しかし、これらの数多くの研究にもかかわらず、下顎骨骨髄組織の血管系に おけるアドレナリン受容体の意義については未だ不明のままである。この点が 解明できれば、手術中の血圧変動に対するα受容体遮断薬やβ受容体遮断薬の 使用が骨髄組織血流量に及ぼす影響を知ることができ、血圧のコントロールと 出血量の制御という両面から、適切な麻酔管理が可能になると考えられる。そ こで本研究では、イソフルランを用いた全身麻酔下にα受容体遮断薬のフェン トラミンまたはβ受容体遮断薬のプロプラノロールを投与し、その際の下顎骨 骨髄組織血流量の変化を観察した。 方法 本研究に対する東京歯科大学動物実験委員会の承認を得た後、体重 2.5kg 前 後の日本白色種系雄性兎 6 羽を研究に使用した。 麻酔は 3%イソフルランをマスクで吸入させて導入した。兎を仰臥位で体位固 定した後、切開部に 1%リドカイン 0.5ml を浸潤麻酔して頸部正中切開による気 管切開を行い、20Fr の小児用気管チューブを挿入固定した。右大腿動脈と左耳 介辺縁静脈に 22 ゲージの静脈カテーテルを挿入留置し、動脈圧測定用および輸 液・薬剤投与用とした。動脈圧は圧トランデューサー(P23ID、Gould)を介して 連続記録し、圧波形より心拍数を算出した。輸液は酢酸リンゲル液を使用し、 10ml/kg/時の速度で投与した。塩化アルクロニウム(ディアルフェリン®、Roche、 東京) 1mg/kg を投与して筋弛緩し、1 回換気量 30? 50ml および呼吸回数 30? 40 回/分の調節呼吸とした。局所麻酔薬を使用せずに左側下顎角部から前方に向か って下顎下縁に切開線を入れ、下顎体部骨膜を露出させた。さらに、骨膜を剥.

(4) 離して下顎体部骨面を露出させ、下顎体外側骨面からラウンドバーを骨髄まで 貫通させた。水素クリアランス式組織血流計(MGH-D1、ユニークメディカル、 東京)のプローベを下顎骨骨髄に挿入し、下顎骨骨髄組織血流量を測定した。 超音波血流計(T108、Transonic、Ithaca)のプローベ(Type SB)を周囲組織 より剥離した左側総頸動脈に装着し、総頸動脈血流量を連続的に測定した。 実験準備終了後、終末呼気イソフルラン濃度を 1%として 1 時間以上放置し、 呼吸・循環を安定させた。また、終末呼気炭酸ガス分圧を麻酔ガスモニター (Capnomac®、 Datex、 Finland)により測定し、約 35? 40mmHg を維持した。つ いでフェントラミン 1mg(F 群、n=3)またはプロプラノロール 1mg(P 群、n=3) を静脈投与し、投与前(Pre)および投与 5 分後(Post)の値を記録した。 観察項目はすべてポリグラフ(Series360、NEC 三栄、東京)に連続記録した。 本論文では計測項目を平均値±標準偏差として表した。投与前後の比較として Paired t-test を行い、p<0.05 で有意差ありと判定した。 結果 心拍数、収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧、総頚動脈血流量、舌粘膜血 流量、骨髄血流量の変化を表 1 にまとめた。 1. 心拍数 F 群では Pre が 280.3±14.6 回/分、Post が 269.7±19.4 回/分であり、投与 前後で有意差を認めなかった。P 群では Pre が 295.0±13.7 回/分、Post が 231.3 ±9.5 回/分であり、投与後に有意に減少した。 2. 収縮期血圧 F 群では Pre が 108.7±2.3mmHg、Post が 84.0±8.5mmHg であり、投与後に有 意に低下した。P 群では Pre が 96.3±3.8mmHg、 Post が 108.0±13.0mmHg であり、 上昇傾向にあるものの、投与前後で有意差を認めなかった。 3. 拡張期血圧 F 群では Pre が 46.3±3.2mmHg、Post が 42.7±2.1mmHg であり、投与前後で有 意差を認めなかった。P 群では Pre が 40.3±2.1mmHg、Post が 52.0±13.2mmHg であり、投与前後で有意差を認めなかった。.

(5) 4. 平均動脈圧 F 群では Pre が 67.1±2.7mmHg、Post が 56.4±2.7mmHg であり、投与後に有意 に低下した。P 群では Pre が 59.0±2.6mmHg、Post が 70.7±13.1mmHg であり、 上昇傾向にあるものの、投与前後で有意差を認めなかった。 5. 総頚動脈血流量 F 群では Pre が 29.7±4.9ml/分、Post が 25.3±3.1ml/分であり、投与前後で 有意差を認めなかった。P 群では Pre が 25.0±7.0ml/分、Post が 31.3±6.4ml/ 分であり、投与前後で有意差を認めなかった。 6. 骨髄血流量 F 群ではPre が 21.0±4.2ml/分/100g、Post が 34.0±16.3ml/分/100g であり、 増加傾向にあるものの、投与前後で有意差を認めなかった。P 群では Pre が 35.4 ±21.2ml/分/100g、Post が 39.9±15.6ml/分/100g であり、投与前後で有意差を 認めなかった。 考察 本研究の結果、フェントラミン投与後には収縮期血圧と平均動脈圧が低下し たが、心拍数は増加せず、有意差はないものの総頸動脈血流量が減少傾向、骨 髄血流量が増加傾向を示した。一方、プロプラノロール投与後には心拍数が減 少し、有意差はないものの血圧が上昇傾向、総頸動脈血流量と骨髄血流量が増 加傾向を示した。 1. フェントラミンが骨髄血流量に及ぼす影響 フェントラミン投与後の血圧低下時には、α受容体遮断に伴ってβ作用が顕 著になるために、心拍数と心拍出量が増加するといわれている 13)。本研究でそ のような変化がみられなかった理由は明らかではないが、兎の麻酔をイソフル ランで行っていたことに起因している可能性がある。イソフルランは心拍数を 増加させ、心拍出量を良好に維持するとされており. 14). 、このことによってフェ. ントラミンの作用が現れにくかったのかもしれない。症例数が 3 症例と少ない こともあり、更に症例を重ねることによってフェントラミンの作用がより明ら.

(6) かになるかもしれない。 フェントラミン投与後の骨髄血流量については、2 例が増加、1 例が減少であ った。骨髄血管が皮膚や粘膜の血管と同様にα受容体優位であれば、フェント ラミン投与後に血管が拡張して血流量が増加することが考えられる。しかし、 骨髄血流量は単純に血管の拡張性に依存して増減するわけではないと考えられ る。何故ならば、ニトロクリセリンやアデノシン 3 リン酸、ニトロプルシドな ど、血管拡張作用に基づいて人為的に低血圧を起こす各種の薬物では、血圧低 下に伴って骨髄血流量が減少しているからである. 7)-11). 。したがって、フェント. ラミン投与後の骨髄血流量の変化は、血管拡張の程度とともにその時点での血 圧にも依存して決定されるものと考えられる。 2. プロプラノロールが骨髄血流量に及ぼす影響 プロプラノロール投与後の心拍数減少時には、β受容体遮断に伴ってα作用 が顕著になるために、血圧が上昇するといわれている 13) 。本研究でも、有意差 はないもののそのような傾向が認められた。一方、プロプラノロール投与後に は心拍出量が減少するとされているが. 13). 、本研究では有意差はないものの、総. 頸動脈血流量が増加傾向を示した。これは、β受容体遮断作用によって四肢等 の骨格筋の血管拡張が抑制されて血流量が減少するために、心拍出量減少にも かかわらず、血流の再分配によって総頸動脈血流量が維持または増加すること に起因しているのかもしれない。 プロプラノロール投与後の骨髄血流量については、2 例が増加、1 例が減少 であった。これは、総頸動脈血流量の変化を反映したものと考えられる。しか し、骨髄血管が皮膚や粘膜の血管と同様にα受容体優位であれば、プロプラノ ロール投与後に血管が収縮して血流量が減少することが考えられる。したがっ て、プロプラノロール投与後の骨髄血流量の変化は、血管収縮の程度とともに、 その時点での血圧にも依存して決定されるものと考えられる。 以上のことから、フェントラミンとプロプラノロールのいずれも、投与後の 骨髄血流量はそのときの骨髄血管の状態と血圧との両者の関係で決定されるも のと考えられる。したがって、手術中の血圧変動に対するα受容体遮断薬やβ 受容体遮断薬の使用時には、骨髄組織血流量は血圧のみに依存して変化するの ではないことが示唆された。.

(7) 結論 イソフルランによる全身麻酔下の兎では、フェントラミンとプロプラノロー ルのいずれも、投与後の骨髄血流量はそのときの骨髄血管の状態と血圧との両 者の関係で決定されるものと考えられた。. 謝辞 稿を終えるにあたり、本研究のご指導をいただいた、東京歯科大学歯科麻酔 学講座の一戸達也教授および劒持正浩先生に御礼申し上げます。.

(8) 文献. 1) 五十風 祐: 血圧変化と口腔組織の血流量および酸素分圧との関係に関する 研究?イソフルラン麻酔とエピネフリン投与とによる観察?, 日歯麻誌, 1993, 21, 374-390. 2) Ichinohe T, Homma Y, Kaneko Y: Mucosal blood flow during various intravenous and inhalational anesthetics in the rabbit, Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod, 1998, 85, 268-271. 3) 本間敬和, 笠原正貴, 宮地建次, 一戸達也, 金子 譲: プロポフォール麻酔 およびイソフルラン麻酔における口腔粘膜血流量変化の比較, 日歯麻誌, 1998, 26, 219-223. 4) Homma Y, Ichinohe T, Kaneko Y: Oral mucosal blood flow, plasma epinephrine and haemodynamic responses after injection of lidocaine with epinephrine during midazolam sedation and isoflurane anaesthesia, Br J Anaesth, 1999 Apr, 82, 570-574. 5) 栗尾富子, 富岡重正, 中條信義: 麻酔薬 (笑気, ペントバルビタール, ウレ タン) の主に口腔領域の血流量に及ぼす影響?蛍光マイクロスフェアーによ る血流測定? 低酸素血症時の脳および口腔領域の臓器血流量への影響, 日歯 麻誌, 1999, 27, 311-317. 6) 栗尾富子, 富岡重正, 中條信義: 局所麻酔薬投与下における低酸素血症時の 脳および口腔領域の臓器血流量への影響, 日歯麻誌, 2000, 28, 305-310. 7) Bergman S, Hoffman WE, Gans BJ, Miletich DJ, Albrecht RF: Blood flow to oral. tissues:. and. experimental. study. with. enflurane,. sodium. nitroprusside, and nitroglycerin, J Oral Maxillofac Surg, 1982 Jan, 40, 13-17. 8) Satinover IA, Hoffman WE, Miletich DJ, Gans BJ, Albrecht RF: A comparison of the cardiovascular and orofacial blood flow changes resulting from hypotension induced by sodium nitroprusside and adenosine triphosphate in the rat, J Oral Maxillofac Surg, 1983 Aug, 4, 500-507. 9) 金子 譲: 口腔外科における低血圧麻酔の臨床と生理的反応?ATPを中心に?, 歯科学報, 1987, 87, 1159-1170..

(9) 10) 丹羽 均, 梶山加綱, 城 茂治, 広田康晃, 清光義隆, 渋谷 徹, 澤田孝 紀, 松浦英夫: 口腔領域の組織血流量に対する低血圧麻酔法の影響について, 阪大歯学雑誌, 1988, 33, 473-478. 11) Rodrigo C: Induced hypotension during anesthesia with special reference to orthognathic surgery, Anesth Prog, 1995, 42, 41-58. 12) Handa M, Ichinohe T, Kaneko Y: Changes in PaCO2 induces redistribution of oral tissue blood flow in the rabbit, Acta Anesthesiol Scand, 2006, in submission. 13) Brain B, Hoffman and Robert J, Lefkowitz: (藤原元始, 大森義仁, 吉利 和, 高木敬次郎, 高久史麿, 上篠一也監訳): グッドマンギルマン薬理書?薬 物治療の基礎と臨床?上巻 11 章アドレナリン性受容体拮抗薬, 第 8 版, 廣川 書店, 東京, 1992, 261-287. 14) Bryan E, Marshall and David E, Longnecker: (藤原元始, 大森義仁, 吉利 和, 高木敬次郎, 高久史麿, 上篠一也監訳): グッドマンギルマン薬理書?薬 物治療の基礎と臨床?上巻 14 章全身麻酔薬, 第 8 版, 廣川書店, 東京, 1992, 261-287..

(10) 表1. 心拍数,収縮期血圧,拡張期血圧,平均動脈圧,総頸動脈血流量, 骨髄血流量の変化. F群. P群. Pre 心拍数(回/分). 平均値 標準偏差. 収縮期血圧(mmHg). 平均値 標準偏差. 拡張期血圧(mmHg). 平均値 標準偏差. 平均動脈圧(mmHg). 平均値 標準偏差. 総頸動脈血流量(ml/分). 平均値 標準偏差. 骨髄血流量(ml/分/100g). 平均値 標準偏差. Post. Pre. Post. 280.3. 269.7. 295.0. 231.3*. 14.6. 19.4. 13.7. 9.5. 108.7. 84.0 *. 96.3. 108.0. 2.3. 8.5. 3.8. 13.0. 46.3. 42.7. 40.3. 52.0. 3.2. 2.1. 2.1. 13.2. 67.1. 56.4 *. 59.0. 70.7. 2.7. 2.7. 2.6. 13.1. 29.7. 25.3. 25.0. 31.3. 4.9. 3.1. 7.0. 6.4. 21.0. 34.0. 35.4. 39.9. 4.2. 16.3. 21.2. 15.6. * 投与前との有意差(p<0.05) (L 群 n=3,F 群 n=3) F 群:フェントラミン投与群. P 群:プロプラノロール投与群. Pre:投与前. Post:投与 5 分後.

(11)

表 1  心拍数,収縮期血圧,拡張期血圧,平均動脈圧,総頸動脈血流量, 

参照

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