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中等歴 史教 育 にお け るメタ ヒス トリー学習 の理論 と方法

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(1)

学 位 論 文

中等歴 史教 育 にお け るメタ ヒス トリー学習 の理論 と方法

H27年 度 卒 業

兵 庫 教 育 大 学 大 学 院 教 育 内容 ・ 方 法 開発 専攻

1/114141C

学 校 教 育 研 究 科

認識形成系教育 コース

横    矢    咲    穂

(2)

【目   次】

序 章 …… … … …1

1.問題 の 所 在 と研 究 の 目的 …… … … 1

2.研

究 の 手 順 と方 法 …… … … …2

I章

中 等 歴 史 教 育 に お け る メ タ ヒス ト リー 学 習 の 意 義 と課 題 …… … … …3

第 1節 中等 歴 史 教 育 にお け る メ タ ヒス トリー 学 習 の 可 能 性 …… … … ‐3

1.中等 歴 史 教 育 の 現 状 と課 題 …… … … 3

2.メ タ ヒス トリー 学 習 の定 義 とそ の 可 能 性 … … … 4

2節  

メ タ ヒス トリー 学 習 に関す る先 行 研 究 … … … Ⅲ6 1.メ タ ヒス トリー を問 う視 点 を用 い た 先 行 授 業 事 例 …… … … ‐… … … 6

2.日 本 の 先 行 研 究 か らみ る メ タ ヒス トリー 学 習 の意 義 と課 題 …… … … 22

第 Ⅱ章

 

Reading Li■e a Ⅱi8tOrian"に み る メ タ ヒス トリー 学 習 の 視 点 と方 法 …… …26

第 1節

 

Reading Like a Historian"の理 論 とそ の 単 元構 成 …… … … …26

1.RLHの

基 本 理 論 … … … …26

2.教

材 開 発 事 例 集 の 単 元構 成 …… … … ‐29

3.事

例 単 元 の 特 質 …… … … 32

2節

単 元 「ポ カ ホ ン タス 」 の概 要

,授

業 構 成 とそ の特 質 …… … … …33

1.単元 「ポ カ ホ ン タ ス 」 の概 要 …… … … ‐33

2.教

材 に み る メ タ ヒス トリー 学 習 の 要 件 … … … …38

3.授

業 構 成 に み る メ タ ヒス トリー 学 習 の 要 件 …… … … …41

第 3節

 

単 元 「 レキ シ ン トンの 戦 い 」 の概 要

,授

業 構 成 とそ の 特 質 …… … … ‐43

1.「 レキ シ ン トンの戦 い」 の概 要 …… … … ‐… … … Ⅲ… … … … ‐― … … ‐43

2.教

材 に み る メ タ ヒス トリー 学 習 の 要 件 ― ― … … … ‐46

3.授

業 構 成 に み る メ タ ヒス トリー 学 習 の 要 件 …… … … …47

第 Ⅲ 章 メ タ ヒス トリー の 視 点 を組 み 込 ん だ 授 業 構 成 原 理 と授 業 モ デ ル …… … … … ‐51

第 1節 メ タ ヒス トリー 学 習 の た め の授 業構 成 原 理 …… … … ‐51

2節

教 材 開発 の視 点 …… … … 53

1.聖徳 太 子 と太 子 信 仰 の場 合 …… … … ‐53

2.赤

穂 事 件 と忠 臣蔵 の 場 合 …… … … ‐56

3.年

間 カ リキ ュ ラ ム に お け る メ タ ヒス トリー 学 習 の位 置 付 け …… … … 59

第 3節

 

メ タ ヒス トリー の視 点 を組 み 込 ん だ授 業 モ デ ル …… …r‐‐… … … 59

1.授業 モ デ ル ① 「聖 徳 太 子 と太 子 信 仰 」 …… … … …59

2.授

業 モ デ ル ② 「赤 穂 事 件 と忠 臣蔵 」 …… … … ‐116

(3)

終 章

 

研 究 の 成 果 と課 題 … … … 159

参 考 資 料 …… … … …161

(1)第 Ⅱ章第 2節

,単

元 「ポ カ ホ ン タス」

,教

材 開発 事例集

,授

業 計 画 の原 文(英)‐…………161

(2)第 Ⅱ章第

3節 ,単

元 「レキ シ ン トンの戦 い」

教材 開発 事例 集

,授

業 計 画 の原 文 (英)

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐……Ⅲ‐‐‐‐‐‐‐…185

参 考 文 献 …… … … …

204

謝 辞

(4)

‐図 表 目次 ‐

1‐

分 析 の た め の 観 点 別 位 置 付 け … … … …6

1‐

問 い の 構 造 図 …… … … 12

1‐

知 識 の 構 造 図 …… … … 13

1‐

「メ タ 。ヒス トリー 学 習 」 の在 り方 と 「ヒス トリー 学 習 」 との 関係 …… … …14

1‐

単 元 「現 代 と は い つ か ?」 の 構 造 図 …… … … …15

1‐

展 開 1「 歴 史 の 解 釈 性 」 …… … … …21

1‐

展 開 2「 歴 史 の 再 構 成 性 」 ‐… … … …21

1‐

先 行 研 究 に み る メ タ ヒス ト リー 学 習 の位 置 付 け …… … … …22

1‐

先 行 研 究 に み られ る メ タ ヒ ス ト リー 学 習 の 全 体 計 画 の 中 で の位 置 付 け …… …23

2‐

認 知 徒 弟 制 を 用 い た 史 料 読 解 の 方 法 …… … … …29

2‐

2 RLH全

体 に お け る 学 習 の位 置 付 け …… … … ‐32

2‐

神 話 化 され た ポ カ ホ ン タ ス 像 … … … ‐39

2‐

単 元 「ポ カ ホ ン タ ス 」 の 学 習 活 動 及 び 教 授 活 動 の 構 成 …… … … …41

2‐

単 元 「ポ カ ホ ン タ ス 」 の 主 な 問 い の 構 成 ―― … … Ⅲ… … … …42

2‐

左 :レ キシ ン トン グ リー ンの戦 い を描 いたAmos Doolittleの絵 画 (1775年)‐

‑46

右 :レ キ シ ン トン グ リー ンの戦 い を描 い た

Henry Sandhamの

絵 画 (1886年)‐46 図 2‐

レキ シ ン トン グ リー ン の 戦 い が 描 か れ た 郵 便 切 手

(1925年 )…

… … … … …47

2‐

単 元 「レ キ シ ン トン の 戦 い 」 の 学 習 活 動 及 び 教 授 活 動 の 構 成 …… … … …48

2‐

単 元 「レ キ シ ン トン の 戦 い 」 の 主 な 問 い の 構 成 …… … … …48

3‐

授 業 過 程 モ デ ル …… … … …52

3‐

各 時 代 に お け る聖 徳 太 子 像 の 変 遷 …… … … …54

3‐

聖 徳 太 子 像 の 脱 神 話 化 プ ロセ ス …… … … …55

3‐

赤 穂 事 件 の 神 話 化 プ ロセ ス …… … … ‐57

3‐

赤 穂 事 件 の 脱 神 話 化 プ ロセ ス …… … … …58

3‐

授 業 モ デ ル の カ リキ ュ ラ ム で の 位 置 付 け …… … … …59

1‐

安 達 に よ る 「歴 史 の 消 費 者 」 の 育 成 に 関 す る 「 コ ラ ム 」 内容 の 一 例 …… … … 9

1‐

学 習 の位 置 付 け と学 習 過 程 …… … … ‐lo 表 2‐

歴 史 的 思 考 技 能 の 育 成 す る た め の 手 立 て …… … … …

27

2‐

2 RLHア

プ ローチ に よ る教 授 方 略 …………Ⅲ………‐28

2‐

3 RLHの

単 元 構 成 …… … … …30

2‐

各 単 元 に お け る教 材 を扱 う意 図 …… … … …31

2‐

観 点 別 に 分 け た 教 材 を扱 う意 図 …… … … …32

2‐

「ポ カ ホ ン タ ス は ジ ョン・ ス ミス を救 つ た の か 」 の概 要 …… … … … …… … …34

2‐

「ポ カ ホ ン タ ス は ジ ョン・ ス ミス を救 つ た か 」 の授 業 計 画 書 …… … … ‐37

2‐

ジ ョン・ ス ミス の 二 つ の 報 告 書 の 比 較 …… … … …38

2‐

各 歴 史 学 者 の 主 張 … … … …38

(5)

2‐10 表 2‐11 表 2‐12

「 レキ シ ン トン グ リー ン に て 何 が 起 こ っ た の か 」 の概 要 …… … … …

44

「 レキ シ ン トン グ リー ン に て 何 が 起 こ っ た の か ?」 の 授 業 計 画 書 …… … …45 二 つ の 立 場 か ら書 か れ た 日記 と宣 誓 供 述 書 …… … … …… … … … …49

(6)

序 章

1.問

題 の 所 在 と研 究 の 目的

明 治 か ら始 ま っ た 学 校 にお け る歴 史 教 育 は

,国

民 国 家 形 成 の た め に

,一

定 の観 点 か ら選 び 取 られ た過 去 の事 実 を共 通 の記 憶 と して教 えて きた。 戦 後 の歴 史 教 育 で も一 様 に過 去 の 事 実 を教 え る とい うス タ ン ス は 変 わ らず

,国

民 共 通 の 記 憶 と して歴 史 を教 え て い る よ うに 思 う。

しか し

,1990年

代 半 ば か ら

,戦

後 の歴 史 教 育 を 自虐 史 観 と批 判 し,日 本 は誇 れ る国 で あ る とい う愛 国 心 を強 く促 す 「新 しい歴 史 教科 書 を作 る会 」 な どの歴 史修 正 主 義 も あ らわれ た 。 この こ とか らも分 か る よ うに共 通 の記 憶 と して の歴 史 の捉 え方 は

,様

々 な価 値 観 が存 在 す る グ ロー バ ル 化 した 時 代 に は,通 用 しな くな っ て きた。現 に 日本 は,国内 だ け で な く,

近 隣 の ア ジ ア 諸 国 との 間 で

,領

土 問題 や 従 軍 慰 安 婦 問題 な ど歴 史認 識 。歴 史 解 釈 を め ぐる 問 題 を抱 えて い る。 この よ うな状 況 にお い て

,解

釈 や 認 識 な どは

,人

そ れ ぞ れ に よ っ て 異 な る もの で あ り

,何

が 客観 的 で あ り何 が 正 しい か を一義 的 に決 定 す る こ とは 困難 で あ るだ ろ う。過 去 の事 実 が ど うで あ つ た の か を争 うよ りも,今 を生 きて い る私 た ち が歴 史 (過去)

と ど う向 き合 つて い け ば 良 い の か を考 え る方 が大 事 な の で は な い か。

で は

,過

去 と向 き合 うこ との で き る市 民 を育 成 す るた め に

,歴

史 教 育 は どの よ うに行 わ れ るべ き か。現 状 で の 日本 の歴 史 教 育 は,学習 指 導 要 領 とそ れ に準 拠 した 教 科 書 を も とに,

歴 史 家 (ま た は教 師

)に

よ つ て解 釈 され た歴 史 の事 実 を通 史 的 に教 授 して い る。 いず れ も 無 意 識 か意 識 的 か は と もか く

,一

定 の価 値 観 。歴 史 観 を注 入 して しま うた め

,生

徒 の もつ 歴 史 観 や 歴 史 認 識 を狭 め て しま う。 で は歴 史 教 育 にお い て 生 徒 自身 が 自分 な りの歴 史観 や 歴 史 認 識 を もつ こ との で き る学 習 や それ を も とに社 会 を考 え る学 習 を行 うた め に は ど うす れ ば よい か。そ こで着 目 した の が歴 史 固 有 の性 格 で あ る。歴 史 に は 「解 釈 性 」と「構 築 性 」 とい う二 面性 が存 在 す る。 この 二 面性 に よ り

,歴

史 (過去

)に

つ い て

,多

様 な 見 方 や 考 え 方 ,歴 史観(価値 観)が 生 まれ て くる。ま た歴 史 上 の人 物 や 事 象 が ,神 話 化 (mythificatiOn)

され た り

,神

格 化 ・ 偶 像 視 ・ 英 雄 視 (herOi■catiOn)さ れ や す い の も

,歴

史 の 性 格 に よ る も の で あ る。つ ま り歴 史 事 象 や 人物 に 関す る多様 な解 釈 が,様々 な人 々 に よっ て な され (解 釈 性 ),そ れ が 文 章 化 され た り,語 り継 がれ た りす る こ とで歴 史 が構 築 され て い く(構築 性)

の で あ る。 ま た

,歴

史 の解 釈 を め ぐって は

,人

々 の 思 いや 利 害 が反 映 して お り

,そ

の解 釈 が 一 般 的 で な くて も人 々 の 営 み に影 響 を与 え る こ と もあ る。 従 つて歴 史 を学 ぶ 際 に は

,歴

史 を 単 な る過 去 の 事 実 と して で は な く

,様

々 な人 々 に よっ て解 釈 され 構 築 され た もの と し て 扱 う必 要 が あ る。そ れ は最 終 的 に「歴 史 とは何 か」,「なぜ 歴 史 を学 ぶ の か・教 え るの か 」 とい う歴 史 の意 義 を問 うこ とにつ な が り

,歴

史 と向 き合 うた め の第 一 歩 とな る と考 え る。

筆 者 は この よ うな歴 史 の 見 方 を メ タ ヒス トリー と呼 び

,歴

史 学 習 の 中 に メ タ的 な視 点 を取 り入 れ た い。 そ の際 に歴 史 学 習 とメ タ ヒス トリー 学 習 とに分 け て論 じて い く。

(7)

以 上 の こ とか ら

,本

研 究 で は 先 行 研 究 分 析 に よ つ て 明 らか に な つ た メ タ ヒ ス ト リー 学 習 の 課 題 を克 服 す る た め に

,米

国 の Reading Like a HistOrian"の 取 り組 み を 手 が か り と

して

,メ

タ 的 視 点 を組 み 込 ん だ 日本 の 中 等 歴 史 教 育 の 授 業 開 発 を 目指 して い る。

2.研

究 の 手 順 と方 法

本 研 究 の 目的 を 達 成 す る た め に

,以

下 の 手 順 と方 法 で 研 究 を 行 うこ と とす る。

① メ タ ヒス トリー 学 習 の 定 義 付 け

メ タ ヒス トリー 学 習 の定義 付 け を した 上 で

,歴

史 学 習 の 現 状 と課 題 か ら

,メ

タ ヒス トリ

ー 学 習 の必 要 性 を論 じる。

② メ タ ヒス トリー に 関 す る先 行 研 究 の 分 析

日本 にお け る メ タ ヒス トリー の視 点 の入 つた 先行 研 究 (授業 実 践

)か

,メ

タ ヒス トリ ー 学 習 の意 義 と課 題 を明 らか にす る。

③ 米 国 にお け る Reading Like a Historian"にみ る メ タ ヒス トリー の 視 点 と方 法

② で の課 題 を克 服 す るた め に

,米

国 の Reading Like a HistOrian"の 実 践 か ら

,メ

ヒ ス トリー 学 習 の要 件 を探 る。

④ 中等 歴 史 教 育 に お け る メ タ ヒス トリー 学 習 の授 業 開発

② や ③ を も とに メ タ ヒス トリー 学 習 の 要 件 を見 出 し

日本 の 中等 歴 史 教 育 にお い て メ タ ヒス トリー の視 点 を組 み 込 ん だ授 業 モ デ ル を 開発 す る。

(8)

I章

中 等 歴 史 教 育 に お け る メ タ ヒ ス ト リー 学 習 の 意 義 と課 題

1節

中等 歴 史 教 育 に お け る メ タ ヒ ス トリー 学 習 の 可 能 性

本 節 で は

,中

等 歴 史 教 育 にお け る現 状 か ら課 題 を見 出 し

,課

題 を克 服 す るた め の方 法 と して

,メ

タ ヒス トリー 学 習 の可 能 性 を述 べ る。

1。 中 等 歴 史 教 育 の 硯 状 と課 題

日本 の 歴 史 教 育 で は

,学

習 指 導 要 領 とそ れ に 準 拠 した 教 科 書 を も と に 教 授 して い る。 教 科 書 の 記 述 内 容 は,「 ど の よ うな 政 治 を 行 つ た か 」,「 な ぜ こ の よ うに した の か 」 とい う学 習 課 題 か ら推 察 で き る よ うに

,歴

史 学 の 研 究 の 成 果 で あ る歴 史 (過去

)の

事 実 を 重 視 し

,教

師 は そ れ を 真 理 で あ る か の よ うに 教 授 して い る。そ れ ゆ え 生 徒 た ち は歴 史 家(ま た は 教 師)

に よ つ て 解 釈 され た 歴 史 の 事 実 を通 史 的 に 学 ぶ こ と に な る。

しか し

,歴

史 の 事 実 を 通 史 的 に 教 授 す る歴 史 教 育 で は

,生

徒 に と っ て 自分 の 生 き て い る 現 代 と過 去 の つ な が りが 見 え に く く,「過 去のための過 去の学習」。と して

,歴

史 を 学 ぶ 意 義 や 必 要 性 を 見 出 せ な い 。 ま た 無 意 識 か 意 識 的 か は と も か く一 定 の 価 値 観 を 注 入 して しま うた

,生

徒 の も つ 歴 史 観 や 歴 史 認 識 を 狭 め て し ま う。

そ れ に 対 し

,国

際 化 に 伴 い 価 値 観 が 多 様 化 して い く今 日の 社 会 で 求 め られ る歴 史 教 育 で は

,生

徒 自身 が 自分 な りの 歴 史 観 や 歴 史 認 識 を もつ こ との で き る学 習 や そ れ を も とに社 会 を 考 え る学 習 が 必 要 で あ る。 そ の た め に は 歴 史 を

,単

な る過 去 の 事 実 と して 教 授 す る の で は な く

,現

在 の 社 会 を 考 え る手 段 と して 教 授 す るべ き で あ る。 この よ うな 立 場 を とっ て い る の が

,社

会 科 歴 史 教 育 論 で あ る。 社 会 科 歴 史 教 育 論 に 依 拠 す る人 物 の 例 と して

,米

国 で

は デ ュ ー イ, 日本 で は 柳 田 國 男 や 和 歌 森 太 郎

,等

が 挙 げ られ る。 柳 田 國 男 は 歴 史 (過去)

に つ い て

,以

下 の よ うに 述 べ て い る。

「 も と も と,歴史 とは わ れ わ れ の 過 去 の経 験 で あ り,これ に よ つ て 現 代 を解 釈,批判 し,よ り よ き将 来 を 計 画 し うる こ とが歴 史 教 育 の 目的 で あ る」 の

ま た

,和

歌 森 太 郎 は 以 下 の よ うに述 べ て い る。

「過 去 は た だ 過 去 の た め に顧 み られ る の で は な しに,現在 未 来 の た め に 見 られ る も の で あ る。か の よ う に して,よ き歴 史 家,よ き歴 史 教 育 者 は,ま こ と に『 う しろ を 向 け る預 言 者 』 で あ らね ば な らず ,『 す べ て の歴 史 は 現 代 史 だ』 と言 つ て も よい 」

"

森 分

(1986)は ,こ

の よ うな社 会 科 歴 史 論 の本 質 につ い て触 れ

,歴

史 は 目的 で な く

,現

代 社 会 の理 解 の手 段 と し

,過

去 を前 進 す るた め に利 用 す る こ とで

,歴

史 が 子 ど も に とっ て

(9)

社 会 生 活 を 改 善 し社 会 を 改 革 す る武 器 と な る。 ま た

,歴

史 の 学 習 内 容 は 子 ど も の 必 要 性 と 興 味 。関 心 か ら選 択 ・ 組 織 され る必 要 が あ る とい う4)。

これ ら の 社 会 科 歴 史 教 育 の 本 質 を 踏 ま え

,生

徒 自身 の 歴 史 観 や 歴 史 認 識 を 形 成 す る学 習 の 方 法 と して

,メ

タ ヒ ス トリー 学 習 が 有 効 で あ る と考 え られ る。 つ ま り

,従

来 の 講 義 形 式 の 授 業 で は な く

,生

徒 自身 が 資 料 な どか ら解 釈 した り

,時

代 像 を構 築 す る な ど 開 か れ た 授 業 で あ る。 そ して

,過

去 を活 か す 際 の 視 点 と して

,歴

史 の 解 釈 性 や 構 築 性 と い つ た 歴 史 の 性 格 を

,自

分 自身 の 未 来 に 活 か す こ とが で き る こ と を 目的 と して い る。 次 項 で は 社 会 科 歴 史 教 育 に お け る メ タ ヒ ス トリー 学 習 の 可 能 性 を述 べ る。

2.メ タ ヒ ス ト リー 学 習 の 定 義 とそ の 可 能 性

(1)メ タ ヒス トリー 学 習 の 定 義

現 代 の 社 会 に お い て 人 々 の 多 様 な 見 方 や 考 え 方

,価

値 観 が あ る よ うに

,歴

史 (過去

)に

お い て も 多 様 な 見 方 や 考 え 方

,歴

史 観 (価 値 観

)が

あ る。 例 え ば 過 去 の 事 実 と して 歴 史 の 教 科 書 に 登 場 す る歴 史 事 象 や 人 物 で も

,実

際 は 多 く の 諸 説 が 存 在 し

,人

に よ つ て 捉 え 方 が 異 な っ て い る。 ま た 歴 史 上 の 人 物 や 事 象 は

,神

話 化 (mythificatiOn)さ れ た り

,神

格 化 。

偶 像 視 ・ 英 雄 視 (herOiication)さ れ や す い 。 例 を 挙 げ る と

,兵

庫 県 赤 穂 市 で は 赤 穂 浪 士 を 赤 穂 義 士 と して 教 え た り

,ま

た 鹿 児 島 県 で は 西 郷 隆 盛 を 英 雄 視 して 扱 うな ど

,大

な り小

な り ど こ に お い て も な され て い る こ とで あ る。そ れ は ま た

,上

(権力 者

)か

ら も 下 (民 衆)

か ら も な され て き た 。 そ れ ゆ え

,過

去 に つ い て 多 様 な 歴 史 観 が 存 在 す る の は 当 然 の こ とで あ る。 そ の 理 由 と して

,歴

史 の 解 釈 性 と構 築 性 とい う性 格 が 挙 げ られ る。 つ ま り歴 史 事 象 や 人 物 に 関 す る 多 様 な 解 釈 が

,様

々 な 人 々 に よ つ て な され (解 釈 性),それ が 文 章 化 され た り

,語

り継 が れ た りす る こ とで 歴 史 が 構 築 され て い く (構 築 性

)の

で あ る。 従 つ て 歴 史 を 学 ぶ 際 に は

,歴

史 を 単 な る過 去 の 事 実 と して で は な く

,様

々 な 人 々 に よ つ て 解 釈 され 構 築 され て き た も の と して 扱 う必 要 が あ る。 こ の よ うな 歴 史 の 解 釈 性 や 構 築 性 を 扱 う問 題 は 必 然 的 に,「歴 史 とは 何 か 」,「な ぜ 歴 史 を 学 ぶ (教 え る

)の

か 」 と い う歴 史 の 意 義 へ の 問 い か け に つ な が る。 こ の よ うな 歴 史 の 意 義 を 問 う こ と を こ こ で は メ タ ヒ ス トリー と呼 ぶ こ と と す る。 メ タ ヒ ス ト リー に つ い て は

,ヘ

イ ドン・ ホ ワイ トの 文 芸 評 論 の 他

,多

様 な 捉 え 方 が あ り

,様

々 な 議 論 が な され て い る 5)。

本 論 文 で は

,歴

(ヒ ス トリー

)学

習 に 対 して の メ タ ヒ ス トリー 学 習

,つ

ま り過 去 の 事 実 を 探 究 す る歴 史 学 習 に 対 して

,過

去 の 叙 述 が 事 実 とは 限 らな い も の と し

,解

釈 性 と構 築 性 の 点 か ら歴 史 を メ タ 的 に 見 る こ と を メ タ ヒス トリー 学 習 と定 義 し

,以

下 研 究 を 進 め る。

(2)社

会 科 歴 史 と して の メ タ ヒ ス ト リー 学 習 の 可 能 性

社 会 科 歴 史 に お い て

,メ

タ ヒス ト リー 学 習 の 可 能 性 は 三 点 あ る と考 え る。 第 一 に

,(1)

項 で も述 べ た よ うに歴 史 教 育 に お い て 過 去 を 探 究 す る だ け で は

,な

ぜ 昔 の こ と を 学 ば な け れ ば い け な い の か とい う生 徒 に と つ て 歴 史 を 学 ぶ 意 味 が 見 出 せ な い 。 つ ま り 自分 の 地 域 の

(10)

過 去 や 日本 の 過 去 は 最 低 限 必 要 だ と感 じて も

,中

東 や ア フ リカ な ど の 過 去 を 世 界 史 で 学 ぶ 必 要 性 が あ る の か と

,疑

間 に 思 う生 徒 は 少 な か らず い る で あ ろ う。 従 つ て 歴 史 を 学 ぶ 意 味 を よ り学 ぶ 側 の 生 徒 に 明 確 に す る た め に は

,視

点 を 現 代 か ら未 来 に む け る

,あ

る い は歴 史 と は 何 か

,な

ぜ 歴 史 を 学 ぶ (教 え る

)の

か を 考 え る こ との 方 が 意 義 が あ る の で は な い か 。 第 二 に,日 韓 や 日中 な ど近 隣 諸 国 と の 従 軍 慰 安 婦 問 題 や 南 京 事 件 な どの 背 景 に は,「歴 史 を ど う捉 え る か 」 とい う歴 史 認 識 を め ぐ る対 立 が あ る。 事 実 が ど うで あ つ た か に つ い て 争 い 続 け る こ と よ り も

,友

好 的 な 関 係 を 築 き な が ら暮 ら し て い く こ と を 考 え る 方 が 重 要 で あ る 。そ の 点 で,事実 を どの よ うに 記 憶 して き た の か,どの よ うに解 釈 して き た の か とい う,

歴 史 の 意 義 を 学 ぶ こ とで 少 しで も対 立 を 緩 和 し

,平

和 的 に 友 好 関 係 を 築 い て い く こ とに 役 立 つ の で は な い か と考 え る。

)そ

れ は現 実 で は 非 常 に厳 しい が

,具

体 的 な和 解 の プ ロセ ス を 見 出 す こ とや

,歴

史 認 識 を 問 い続 け る な ど

,双

方 の粘 り強 い 努 力 に よ り道 が 開 け るの で は な い か 。

第 二 に

,近

OECDの DeSeCoプ

ロ ジ ェ ク ト (1997〜

2003年 )に

よ る キ ー コ ン ピ ン テ ン シ ー の 概 念 が ,「

21世

紀 型 能 力 」 と して

PISAな

どの 国 際 調 査 に も取 り入 れ られ

,世

に 大 き な 影 響 を 与 え て い る。 日本 で も文 部 科 学 省 の 「生 き る 力 」 に 反 映 され

,学

習 指 導 要 領 に も そ の 考 え 方 が 盛 り込 ま れ て い る。「

21世

紀 型 能 力 」 の 中核 に あ る 「思 考 力 」 に は,

「 メ タ認 知 力 」 が 挙 げ られ て い る。 従 つ て 歴 史 学 習 に お い て 歴 史 の 意 義 を 問 うこ とは

,学

ぶ 対 象 で あ る歴 史 を メ タ 的 に み る こ と (歴 史 の メ タ認 知

)や ,歴

史 を 学 ん で い る 自 己 を 振 り返 つ た りす る (自 己 の メ タ認 知

)た

,メ

タ認 知 力 の 育 成 に もつ な が る の で は な い か と 考 え る。

以 上 メ タ ヒス トリー 学 習 の 可 能 性 に つ い て 述 べ て き た が

,さ

ら に メ タ ヒス ト リー 学 習 の 意 義 と課 題 を 明 らか に す る た め に

,第 2節

で は

,メ

タ ヒ ス ト リー を 問 う視 点 が 入 つ た 先 行 実 践 を 分 析 す る。 具 体 的 な 分 析 の 視 点 は

,次

の 四 点 で あ る 。

視 点 視 点 視 点 視 点

歴 史 学 習 の全 体 計 画 の 中で の メ タ ヒス トリー 学 習 の位 置 付 け 目標 設 定 の 中 に組 み 込 まれ た メ タ ヒス トリー を 問 う視 点 メ タ ヒス トリー を 問 うた め の教 材 の特 徴 と教 材 の活 用 方 法

メ タ ヒス トリー を 問 うた め の授 業構 成 (発 問,学習 内容,獲得 させ た い 知 識)

現 状 の歴 史 教 育 で は メ タ ヒス トリー 学 習 の み の 実 現 は難 しい の で

,歴

史 学 習 の 中 に メ タ ヒス トリー 学 習 を組 み 込 み

,次

頁 の 図 1‐1の よ うな観 点 を用 い て

,先

行 研 究 の位 置 付 け を 行 つ た。

(11)

1歴史 科メタヒストリー学 習 社会F1/タヒストリー学習 │

1‐

分 析 の た め の 観 点 別 位 置 付 け

1‐1の観 点 に 関 して は

,横

軸 は 学 習 (教 育

)論 ,縦

軸 は 歴 史 論 で あ る。 横 軸 に お い て は

,歴

史 を 目的 (歴 史 学 の 成 果 に 依 拠 した 歴 史 の 概 念 や 方 法 な ど を 重 視 し学 問 と して 教 え る)と 捉 え て い る も の を歴 史 科 的,歴史 を 手 段 (社 会 を 理 解 す る 手 段 と して 教 え る)

と して 捉 え て い る も の を社 会 科 的 と した 。縦 軸 に お い て は ,学 習 で 取 り扱 う歴 史 事 象 を,

過 去 の 事 実 と して 捉 え て い る か

,解

釈 や 構 築 され た も の と捉 え て い る か で 分 析 を 行 う。

2節  

メ タ ヒ ス ト リー 学 習 に 関 す る先 行 研 究

本 節 で は

,メ

タ ヒス トリー 学 習 に関 わ る先 行研 究 の分 析 か ら

,メ

タ ヒス トリー 学 習 に お け る意 義 と課 題 を見 出 し

,筆

者 の研 究 の位 置 付 け を行 うこ とを 目的 とす る。 歴 史哲 学 と して の メ タ ヒス トリー 研 究 は歴 史 哲 学 者 や 歴 史 学 者 な どに よ つ て 多 くみ られ るが

,歴

史 教 育 に メ タ ヒス トリー の 視 点 と方 法 を取 り入 れ た研 究 は

,管

見 の 限 り多 くは無 い。 そ こで本 節 で は

,安

達 一 紀 の 「 ヒス トリー 。リテ ラ シー 学 習 」論 6),生島 博 の 「メ タ・ ヒ ス トリー 学 習 に よ る対 抗 イ デ オ ロギー 教 育 」 論 つ

,兵

庫 教 育 大 学 附 属 小 学 校 8),広島 大 学 附 属 福 山 高 等 学 校 の 実 践 事 例 9),米 国 にお け る Reaing Like a Historian"の五 つ の 事 例 を取 り上 げ

,第

1節で 挙 げ た 四つ の視 点 を 中心 に分析 を行 う。 な お Reaing Like a Historian"に 関 して は ,先 行 研 究 の 中で も,事 例 や 日標 な どが 明確 か つ 詳 細 で あ るので,

第 Ⅱ章 に お い て 具 体 的 に理 論 を分 析 す る。

1.メ タ ヒ ス ト リー を 問 う視 点 を 用 い た 先 行 授 業 事 例

(1)安達 一 紀 の 「 ヒ ス トリー ・ リテ ラ シ ー 学 習 」 論 ア

.世

界 史 授 業 の ね らい

安 達 は

,戦

後 の 民 主 主 義 社 会 の も と

,歴

史 教 育 は 依 然 と して 国 民 育 成 教 育 の 一 端 を 担 つ て お り,その よ うな 歴 史 教 育 は 「国家のイデオ ロギー装置」10)と して カ リキ ュ ラ ム の 中 に組 み 込 ま れ た も の と して 捉 え る べ き だ と い う考 え に 立 つ 。 そ の た め

,歴

史 教 育 が 国 民 育 成 教 育 とい う作 用 を 潜 在 的 に 持 ち続 け て い る とい う こ と を 顕 在 化 させ

,そ

の 上 で 歴 史 教 育 に あ た り

,子

ど も達 に は,「歴 史 とかかわ る力」11)=「 ヒス トリー・ リテ ラシー」12)を同 時 に 身 に付 け

(12)

る こ とが 望 ま しい と した 。ま た,歴史 教 育 に つ い て (i)「国民国家」時代 をいか に教 えるか13),

(五 )「国民国家」時代 にあつていかに教 えるか1。とい う視 点 か ら考 察 を 行 つ て い る。 で は安 達 の 「 ヒ ス ト リー ・ リテ ラ シ ー 学 習 」 の ね らい は何 か

,大

き く は

,(i)「

世界史像」 を伝 えるこ と 15),(五 )「歴史」 の消費者 と しての思考力の育成16),の二 点 で あ る。

ま ず (i)「 世 界 史 像 」 を伝 え る こ と と は

,現

在 の 社 会 で 活 動 す る 人 々 の 思 考 や 行 動 の 準 拠 枠 と して 機 能 して い る 「世 界 史 像 」 を

,将

,社

会 参 画 す る 子 ど も 達 に 学 ば せ る とい う こ と で あ る。 こ こ で 扱 う 「世 界 史 像 」 と は ,「 今 日支 配 的 な 集 合 的 記 憶 」17)の こ とで

,い

わ ば 教 科 書 の 内 容 で あ る と考 え て 良 い だ ろ う。 しか しそ れ だ け で は

,教

科 書 に あ る イ デ オ ロ ギ ー 性 を そ の ま ま 注 入 して しま うた め,「世 界 史 像 」 を 教 え る と同 時 に

,正

,公

的 な 歴

史 を 警 戒 す べ き も の と して 教 え な け れ ば な ら な い とい う。 そ れ が

,(五

)「歴 史 」 の 消 費 者 と して の 思 考 力 の 育 成 で あ る。安 達 は

,歴

史 家 は,「過 去 」 と向 き 合 い な が ら歴 史 を 作 る と い う意 味 で,「歴史 の生産者 」18)で ぁ り

,歴

史 家 以 外 の 人 々 は

,歴

史 家 が 作 つ た 「歴 史 」 と 向 き合 い,「現 在 」 を 生 き る た め の 思 考 や 行 動 を参 照 して い く意 味 で,「歴 史 の消費者」19)で あ る と述 べ る。 安 達 は

,子

ど も達 に は

,前

者 の 「歴 史 の 生 産 者 」 と して の 思 考 力 よ りも,

後 者 の 「歴 史 の 消 費 者 」 と して の 思 考 力 が 必 要 だ とい う。 で は,「歴 史 の 消 費 者 」 と して の 思 考 力 とは 何 か 。 安 達 は

,歴

史 に お け る リテ ラ シ ー 能 力

,メ

タ 的 に 歴 史 認 識 す る 力 の よ う な も の で あ る と定 義 して い る。 つ ま り

,歴

史 は 客 観 的 な 過 去 の 事 実 な どで は な く

,誰

か に よ り都 合 の 良 い よ うに 語 られ た 物 語 に す ぎ な い と捉 え

,歴

史 を 広 義 の 意 味 で メ デ ィ ア の 一 種 と して い る。 そ の よ うに 捉 え る と他 者 の 視 点 か ら見 た も の は

,必

然 的 に あ る種 の 屈 折,

歪 み を 伴 う。ゆ え に,そ の 情 報 が 事 実 で な く,作成 され た も の で あ る こ と を 常 に 意 識 して,

そ の 屈 折

,歪

み 具 合 を 自覚 す る 必 要 が あ る と い う こ とで あ る。具 体 的 に は,「誰 の 視 点 の 歴 史 で あ る の か 」 とい う こ と に 常 に 問 い 続 け る態 度 を 身 に 付 け させ る こ と を ね らい と して い

る 。

そ して,こ の よ うな ね らい を 達 成 す る た め に,二種 類 の 教 師 の 「構 え 」が 必 要 だ とい う。

一 つ 日は,「世 界 史 像 」が 偏 見 で あ る こ と を 自覚 させ

,子

ど も が 結 果 的 に 偏 見 を 自 己 成 就 さ せ な い よ うな 姿 勢 を 育 成 す る 「構 え 」 で あ り

,二

つ 日は ,「 歴 史 の 主 体 が 誰 で あ る の か 」,

常 に 関 心 を もつ 子 ど も を 育 成 す る 「構 え 」 を 心 掛 け るべ き だ と して い る。

イ.メ タ ヒ ス トリー 学 習 の た め の 授 業 の 工 夫

安 達 の 授 業 は

,通

常 の 講 義 形 式 を と り

,そ

の 中 で 毎 時 授 業 プ リン トを 用 い る こ と よ つ て 行 わ れ て い る。 そ の 左 半 分 に は 「世 界 史 像 」 を伝 え る授 業 内 容 の 穴 埋 め

,右

半 分 に は 「歴 史 の 消 費 者 」 と して の 思 考 力 育 成 の た め 内 容 を 「コ ラ ム 」 とい う形 で 掲 載 して い る。 安 達 が上記 の よ うな形 式 を とつた のは,①受験 とい う現 実 を配慮す るこ と,②一 時 間の 中で「研 究授 業」案 の よ うな もの を作成 し

,授

業 を行 う発想 に無理 が あ るこ と

,③

公 開 され てい る 授 業案 は現実的 で はない

,と

い った理 由を挙 げて い る。「コラム」 の内容 は,(1)「歴 史」

の多様性 を め ぐる コラム,(2)固有名 詞 を通 じて世界 を認 識 す る コラム,(3)誰 の歴 史 か問 うコ ラム,(4)歴史用語 に関す る コラム,(5)抑制 と して の歴 史 の知 に関す る コラム

,と

う観 点か ら設 定 され てい る。 これ らは

,歴

史 は誰 に よって解釈 され

,ま

た どの よ うに解釈

(13)

さ れ た の か を 問 う も の で あ る。 こ れ ら を 問 う こ とで,「歴 史 と は 何 か 」 とい うメ タ ヒス ト リ ー を考 え る も の に な っ て い る。 次 貢 の 表 1‐

1は ,そ

れ ぞ れ の 観 点 に お け る 「コ ラ ム 」 の 内 容 の 一 例 で あ る。

.分

析 と考 察

安 達 の 歴 史 学 習 論 は

,歴

史 そ の も の の 意 味 を 問 い

,単

な る 客 観 的 な 過 去 の 事 実 と して の 歴 史 で は な く,誰 か に よ り都 合 よ く語 られ た 物 語 で あ る こ と を 明 らか に す る も の で あ っ た 。 そ の た め

,歴

史 教 育 に お い て

,科

学 的 歴 史 認 識 よ り も む し ろ

,人

が 歴 史 と か か わ る力 を 身 に 付 け させ る こ と の 重 要 性 を説 い た 。 つ ま り

,こ

れ ま で の 歴 史 教 育 が 「歴 史 の 生 産 者 」 の 育 成 を 目指 して き た こ と を批 判 し,「歴 史 の 消 費 者 」を 育 成 す る こ と こ そ が 歴 史 教 育 に は 必 要 で あ る と主 張 す る。 歴 史 を物 語 と して 捉 え

,人

は そ れ と常 に 関 わ り続 け る とす れ ば

,歴

史 家 の 育 成 で は な く,市民 と して「歴 史 とか か わ る 力 」を 身 に 付 け る とい う安 達 の 方 法 は,

市 民 形 成 を 目指 す 点 に お い て 重 要 で あ る とい え る。ま た,「歴 史 と か か わ る力 」の た め の「 コ ラ ム 」 に つ い て も ,「 誰 の 視 点 か 」「誰 の 歴 史 か 」 とい つ た こ と を 常 に 問 い 続 け る 姿 勢 は,

筆 者 の 授 業 開 発 に も示 唆 を 与 え る 重 要 な 部 分 で あ る。 で は 本 実 践 の 課 題 は 何 か 。

第 一 に

,歴

史 学 習 の 方 法 で あ る。 毎 時 に 配 布 す る プ リン ト左 半 分 の

,穴

埋 め プ リ ン トの 学 習 方 法 は

,あ

ま りに も従 来 と変 化 して い な い 。 む し ろ安 達 の 実 践 の 日玉 とい え る右 半 分 に 書 か れ た コ ラ ム欄 こ そ が

,授

業 の メ イ ン に な るべ き 箇 所 で は な い か 。 ま た 「 コ ラ ム 」 と い う方 法 で は

,読

む 生 徒 も い れ ば 読 ま な い 生 徒 も 出 て く る。 安 達 の い う 「歴 史 と か か わ る 力 」 を 育 成 す る た め に は,「 コ ラ ム 」を読 ま な い こ とに は 始 ま らな い し

,教

師 の 指 導 な しで は

,生

徒 が ど こ ま で 切 実 に捉 え て い る か 不 明 で あ る。つ ま り,「歴 史 とか か わ る 力 」の 育 成 は 保 障 で き な い 。

第 二 に,「 コ ラ ム 」 の 内 容 に 関 す る こ とで あ る。「コ ラ ム 」 に は

,主

に 授 業 の テ ー マ に 関 す る 映 画 の 紹 介 や

,様

々 な歴 史 家

,哲

学 者 な ど の 著 書 を用 い て

,安

達 が 分 か りや す くそ の 見 解 を 引 用 して い る。 非 常 に 簡 単 に ま と め て あ り

,一

見 理 解 しや す い よ うに 思 え る が

,そ

の 内 容 は 歴 史 の解 釈 が 見 方

,考

え 方 に よ つ て 異 な る こ と を 分 か らせ る た め に は 十 分 で は な い 。 そ の 解 釈 が どの よ うな歴 史 事 実 か らな され た も の な の か

,そ

こ に 含 ま れ るイ デ オ ロ ギ ー 性 や

,そ

こ に 内 在 す る人 々 の 考 え 方 や 視 点 を含 ん だ 具 体 的 な 説 明 や 解 説 が 書 か れ て い な い た め

,教

師 の 余 談 と して 受 け 取 られ て しま う危 険 性 も あ り

,こ

れ で は 安 達 の 意 図 す る も の が 伝 わ らな い 。

第 二 に,「歴 史 と か か わ る 力 」 の 系 統 性 で あ る。 安 達 は

,単

元 と して で は な く

,そ

の 時 々 の 授 業 で 「コ ラ ム 」 とい う形 で,「歴 史 と か か わ る力 」 に 関 す る 内 容 を載 せ る こ とで

,繰

返 し歴 史 を メ タ 的 に 問 お う と した 。しか し前 項 で 挙 げ た 五 つ の 観 点 の「 コ ラ ム 」の 内 容 を,

教 師 の 配 慮 に よ り,多 種 多 様 に 提 示 す る とか え つ て 生 徒 が 混 乱 す る の で は な い か と考 え る。

安 達 の 提 唱 す る歴 史 学 習 論 を 行 うな らば

,ど

の よ うな 配 列 で

,ど

の 内 容 を ど の 程 度 掲 載 す る の か な ど系 統 性 を も た せ た ほ うが

,生

徒 の 「歴 史 とか か わ る 力 」 の 育 成 に 活 き て く る の で は な い か 。

(14)

1‐

安 達 に よ る 「歴 史 の 消 費 者 」 の 育 成 に 関 す る 「 コ ラ ム 」 内 容 の 一 例

コ ラム の 種 類 テ ー マ コ ラ ム の 内 容

(1)「 歴史 」 の 多 様 性 を め ぐ る コ

ラ ム

韓 併

被 害 の 歴 史 は 代 々 語 り継 が れ る の に 対 して,加害 の 歴 史 は 風 化 しや す い 。両 者 の 温 度 差 を知 るた め に 江 華 島 事 件 か ら関 妃 暗 殺 を へ て 日韓 併 合 に い た る 近 代 日朝 関 係 史 を描 い た 2冊の 歴 史 小 説『 李 朝 滅 亡 』(片野 次 雄 著,新潮 文 庫 ),『 関 妃 暗 殺 』(角 田房 子,新潮 文 庫)を薦 め た い 。「韓 国 人 」 と 「 日本 人 」 が ソ ウル の 同 じ正 宮 景 福 宮 を 訪 れ て も そ こ に 違 う景 観 を 見 い だ して い る の か も知 れ な い 。

(2)固 有 名 詞 を 通 じ て 世 界 を 認 識 す る コ ラ ム

「 秦 の 時 代 」

地 名 に は 他 称 が 多 い 。「中 国 」 を 「 シ ナ 」 とい うこ とが あ る が,それ も ま た『 エ リュ トゥー ラー 海 案 内 記 』 の 第 64節に 「其 処 に は テ ィー ナ ィ と呼 ば れ る 内 陸 の 大 き な 都 が あ り… 」か ら き た 他 称 で あ る 。つ ま り「秦 」 の 音 か らシナ,chinaの音 が 出 た 。 こ の 国 は 現 在 「 中 国 (中華 人 民 共 和 )」 と名 乗 つ て い る が,自 民 族 中 心 主 義 的 な 観 点 の 間 の 事 情 を 近 藤 和 彦 は ,「 近 代 日本 人 は,世界 の 中 心 とい う意 味 を お び た 「 中 国Jと い う 表 記 を 嫌 い,(中)幹で な く枝,中央 で な く支 部 を 連 想 させ る 「支 那 」

とい う表 記 を 頻 用 した 」 と,「 支 那 」 と い う表 象 が 用 い られ た 背 景 を説 明 して い る (『文 明 の 表 象

 

英 国 』1998年 ,山川 出 版 社)。 も つ と も,

当 の 中 華 人 民 共 和 国 が そ の 英 訳 に Chinaを 使 つ て い る た め 話 が や や こ し く な つ て い る。こ の「 シ ナ 」とい う表 記 を 問 題 に す る場 合 は,また 「南 シ ナ 海 」「東 シ ナ 海 」 とい つ た 表 記 に も 同 時 に留 意 す る 必 要 が あ ろ う。

(3)誰 の 歴 史 か 問 うコ ラ ム

「 日本 の 大 陸 侵 略 」

「軍 部 と独 走 」 とい う 「物 語 」。 戦 後 の 日本 で は,軍部 の 独 走 で 戦 争 に 突 入 した とい う 「物 語 」 が 支 配 的 で あ る。 しか し,軍部 だ け で 独 走 で き る わ け も な く現 実 に は 国 民 を 含 む 諸 勢 力 が 軍 部 に 伴 走 し,あ る い は そ の 独 走 に 沿 道 で 旗 を 振 つ て い た と考 え る の が 自然 で あ る (大 衆 社 会 の 出 現 と独 裁 の 問 題 一 大 衆 の 支 持 の な い 独 裁 は 考 え られ な い)。 戦 後 の 東 京 裁 判 に お い て,冷戦 下 に お い て 日本 の 占領 統 治 を 円 滑 に 行 うた め に 政 治 的 思 惑 を優 先 させ た ア メ リカ は,すべ て の 戦 争 責 任 を 軍 部 (と りわ け 陸 軍)

と一 部 の 指 導 者 に だ け 背 負 わ せ て,公家 出 身 の 首 相 に よ る「一 億 総 懺 悔 」 とい う形 で 天 皇 と国 民 を免 罪 した 。そ の 天 皇 を筆 頭 に 国 民 を免 罪 す る た め の 手 続 き が 東 京 裁 判 で あ り,政府 も ま た サ ン フ ラ ン シ ス コ 平 和 条 約 で これ を 承 認 した 。 そ の 政 治 的 取 引 の 結 果,戦後 の 日本 は 冷 戦 体 制 の受 益 者 と な り,高度 経 済 成 長 を現 出 させ る こ と に な っ た 。 な お,この よ うな 基 本 的 な 見 方 は,吉田裕『 日本 人 の 戦 争 観 』(岩波 書 店)か,政治 的 取 引 と して 東 京 裁 判 を と らえ る 見 方 に 関 して は 山 崎 正 和 の 論 考 「歴 史 の 真 実 と政 治 の 正 義Jか ら示 唆 を 得 た 。

(4)歴史 用 語 に 関 す る コ ラ ム

「第 二 次 世 界 大 戦 」

「第 二 次 世 界 大 戦 」 とい うの は,1939年 9月 1日 か ら 1945年 9月 2 日 と い う 「時 期 区 分 」 とい う 「枠 組 み 」 で 切 り取 つ て は じ め て,「第 二 次 世 界 大 戦 」 とい う 「歴 史 」 が 成 立 す る こ と に な る。「時 期 区 分 」 と い う 「枠 組 み 」「理 論 」 を 通 して み る,つま りそ の こ と を 歴 史 哲 学 の神 川 正 彦 は 「ジ ェ ネ ラ リゼ ー シ ョ ン 」 とい う言 葉 で 表 現 して い る。 単 純 化 し て い え ば,ジェ ネ ラ リゼ ー シ ョン と は焦 点 を合 わせ る とい うこ と。 もの を み る た め に は 焦 点 を 合 わ せ て 対 象 を切 り取 る必 要 が あ る。ジ ェネ ラ リ ゼ ー シ ョン・ ゼ ロ と は,焦点 が あ つ て い な い た め す べ て が 視 角 に は い つ て き て い る が,その た め 何 も見 え て い な い 状 態 とい うこ とが で き る。 そ の 作 用 が 働 か な けれ ば,そ こ に は 無 数 に 起 っ た 様 々 な 出 来 事 か らな る カ オ ス が 拡 が る だ け とな る。

(5)抑制 と し て の 歴 史 の 知 に 関 す る コ ラ ム

「 絶 対 王 政 」

「お お よそ こ の よ うな反 照 規 定 とい うも の は 奇 妙 な も の で あ る。た とえ ば あ る人 が 王 で あ る の は,ただ 他 の 人 が 彼 に 対 して 臣 下 と して ふ るま う か らで しか な い 。 と こ ろ が 彼 らは 反 対 に彼 が 王 だ か ら 自分 た ち は 臣下 な の だ と思 うの で あ る。Jと大 澤 真 幸 は マ ル ク ス『 資 本 論 』 か ら引 用 しな が ら,そ こに 「承 認 の循 環 」 が隠 され て い る と した。(『パ ラ ドックス』

所 収)。 実 際 ,例 え ばル イ 14世の 一 日はす べ て公 開 され た儀 式 で あ った。

王 は 民 衆 の 日の前 で 王 で あ る よ うに振 る舞 うこ とに よ つ て 初 め て王 と な つ た。(アポ ス トリデ ス,ジャ ン・ マ リー『 機 械 と して の王 』 みす ず 書 房)。 国 王 の イ メ ー ジの 固 定 化 につ い て は フ ジ タ ニ の『 天 皇 のペ ー ジ ェ ン ト』

(NHK出

)も参 照 の こ と。

出 所)安達 一 紀 ヒス トリー・ リテ ラシー学習試論『 歴史の消費者』の視点,教師の『 構 え』 を重視 した世 界 史 学 習」,兵庫 県 立姫 路 西 高等 学校『 研 究集 録 』第 18号

,2001年

,pp.53‐78よ り筆者 が作成。

(15)

(2)生島 博 の 「メ タ・ ヒ ス トリー 学 習 に よ る 対 抗 イ デ オ ロ ギ ー 教 育 」 論 ア

.授

業 開 発 の ね らい

生 島 は

,社

会 問 題 に も な っ て い る歴 史 教 科 書 論 争 を イ デ オ ロ ギ ー 論 争 と捉 え

,公

教 育 を 行 う以 上 イ デ オ ロ ギ ー 教 育 か らの 脱 却 は 難 しい とい う。 さ らに 日本 の 子 ど も達 が イ デ オ ロ ギ ー 教 育 の 被 害 を 受 け る危 険 性 を 述 べ て い る 。 そ こ で

,対

抗 イ デ オ ロ ギ ー 教 育 と して の 歴 史 教 育 が 必 要 で あ り

,そ

の 方 法 論 と して メ タ ヒス トリー 学 習 を 用 い て い る。 生 島 の 考 え る メ タ ヒ ス ト リー 学 習 と は ,「 歴 史 を メ タ 的 に 認 知 させ る 学 習 」20)で ぁ り

,歴

史 家 等 に よ り 歴 史 が 作 られ る過 程 を 知 り

,ま

た 学 校 現 場 で 歴 史 が どの よ うに 教 授 され て い る か とい う過 程 や 段 階 さ え も理 解 させ よ う とい う学 習 で あ る。 メ タ ヒ ス トリー 学 習 の 目的 に つ い て

,生

島 は 以 下 の よ うに 述 べ て い る。

歴史教 育 におい て習得 させ られ が ちな,イ デ オ ロギー に対抗 して くた めに

,子

供 た ちに現 実に行 われ てい るイデオ ロギー教育の実態 を知 らせ,でき うる限 り,物事や事象 を科学的 に,論理 的 に,批 判 的に考察 してい こ うとす る態度 を養 うことで ある2D。

.授

業 構 成

生 島 の 述 べ る メ タ ヒ ス トリー 学 習 の 方 法 に お い て

,学

習 の 位 置 付 け と学 習 過 程 に 着 眼 し て ま と め る と以 下 の 表 1‐

2に

な る。

1‐

学 習 の 位 置 付 け と学 習 過 程

学 年 中 学 校 1年

,2年

の 学 年 段 階 の 最 初 の 3時間 を 1単元 とす る

「歴 史 の 事 実 と は 何 か 」

教材 …第 一 次 史料 とな る 日記 や 写真 等 指 導 …歴 史 事 実 を記 録 者 が 記録 を して 史料 と

す る際 に

,①

「切 り取 られ

,残

され た 事 実 」 と② 「歪 曲・ 脚 色・ 捏 造 され る 事 実」が生 じる理 由 を生 徒 に考 えせ る。

歴 史 事 実 が

,記

録 者 の 主 観 や 歴 史 観 に よ り

,誇

張 され,歪 曲 され

,捏

され て 史 料 と な る こ と も あ る とい う 点 を

,具

体 的 資 料 を 提 示 し

,立

場 や 価 値 観 か ら離 れ て 歴 史 を 提 え る こ と は で き な い 。

2

「歴 史 は 歴 史 学 者 等 の 解 釈 で あ り 仮 説 で あ るJ

教 材 … 第 二 次 史 料 とな る歴 史 学 者 の 学 説 等 指 導 …① 「今 日の 学 説 (歴 史 解 釈)の対 立 」

や ② 「新 旧 の 学 説 の 変 化 」 が 起 こ る理 由 を 生 徒 に考 え させ る。

解 釈 を 批 判 的 に,科学 的 に 考 察 して 吟 味 ・ 検 証 して い く こ とで,歴史 の 真 実 に 近 づ い て い く。

3

「教 科 書 内 容 に も

,科

学 的 な 解 釈 と と も に イ デ オ ロ ギ ー や 物 語 (虚 構)

が 混 在 して い る」

教 材 … 二 次 史 料 を 取 捨 選 択 して 加 工 した 教 科 書 や 新 聞・ 雑 誌 な どの 内容

指 導 … ① 「新 旧教 科 書 の 比 較 」 や ② 「現 行 の 教 科 書 同 士 の 比 較 」 を し

,最

新 の 学 説 を 活 か そ う と しな が ら も

,教

科 書 会 社 や 執 筆 者 の歴 史 観 や 思 想 性 に よ り,各

社 の 教 科 書 内 容 に 差 異 が 見 られ る点 に 気 づ か せ る。 ま た

,身

近 な マ ス メ デ ィ ア の 報 道 や 眼 前 の 教 師 の 指 導 に も

,教

科 書 と同 様 の こ とが い え る 点 に 留 意 さ せ る。

歴 史 は

,①

書 き 手 の 価 値 観 や 思 想 性 か ら逃 れ られ な い と こ ろ が あ る に し て も

,②

執 筆 者 は 最 新 の 歴 史 解 釈 を も と に 事 実 に 迫 ろ う とす る

,教

科 書 の 二 面 性 に 着 日 し

,身

近 な マ ス メ デ ィ ア の 報 道 も 同 様 で あ る こ と に 触 ,物事 を 批 判 的 に 客 観 的 に 捉 え る こ との 大 切 さ を理 解 させ る。

出 所

)生

島 博

 

「対 抗 イ デ オ ロ 鳴 門 教 育 大 学

ギ ー 教 育 と して の歴 史 教 育 ― 「メ

2002年度 修 士 論 文,pp.87‐88よ

夕・ ヒ ス トリー 学 習 」 の 開 発 一 」, 筆 者 が 作 成 。

(16)

生 島 が 授 業 開 発 した 授 業 案 の 概 要 22)を 以 下 に 示 す 。

中 学 校

 

1学

 

社 会 科 (歴史 的 分 野

)学

習 指 導 案

1.題

  

歴 史 とは 何 か 2.目

歴 史 学 習 を 始 め る 中学 一 年 生 の 最 初 の 段 階 に お い て,歴史 学 者 達 の 手 で 歴 史 が 作 られ て い く状 況 を段 階 的 に 眺 め させ る こ と で,「歴 史 は誰 か の歴 史 解 釈 で あ り,仮説 で あ る」 とい う歴 史 自体 が 持 つ 特 質 を理 解 させ る。

ま た

,歴

史 教 育 の 持 つ イ デ オ ロ ギ ー 性 に 着 目 させ,イ デ オ ロ ギ ー を 対 象 化 で き る思 考 力 を 育 成 ,歴史 事 象 を科 学 的 に,論理 的 に

,批

判 的 に 捉 え て い こ う とす る態 度 を養 う。

3.指導 計 画

(1)歴史 とは 何 か 。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。3時間 (本 時 1/3,2ノ3,3/3)

4.指

導 内 容 の 構 造

時 限 各 時 の 主 題 上 段 … 指 導 内容 (到 達 目標),下段 … 板 書 内 容

1 史 料 と は 何 か

史 料 は,第一 次 史 料 とは い え,記録 者 の 主 観 や 価 値 観 に よ つ て 選 ばれ,切 り取 られ た 事 実 を 記 録 した もの で あ る。 ま た,史料 に よ つ て は,記録 者 の 思 想 や 目的 に よ り,意図 的 に 記 録 内 容 が 虚 構 され る場 合 も あ る。

       

1.切 り取 られ た 事 実 … 日記 (二 人 の 生 活 記 録)

2.作 られ た 事 実 … 写 真 (戦 争 時 の プ ロパ ガ ン ダ写 )

2 歴 史 解 釈 と は 何 か

歴 史 解 釈 は仮 説 で あ り,新しい 史 料 の発 見 や,新しい

史 観 が 生 ま れ る 中 で

,論

争 が 起 こ り

,歴

史 解 釈 は 変 化 。発 展 して い くが,定説 とな っ た 歴 史 常 識 を覆 す こ

と は,容易 で は な い 。

1.学 説 (仮 説)の対 立 … 邪 馬 台 国 論 争 2.学説 (仮 説)の変 化

(1)新 解 釈 が 受 容 され る 場 合 … 百 姓 とは 何 か (2)新 解 釈 が 受 容 され な い 場 合 … な ぜ 京 都 は 空

襲 か ら逃 れ た か

3 歴 史 教 科 書 と は 何 か

歴 史 教 科 書 の 記 述 内容 に は,事実 を誤 りな く記 載 しよ う と し て 一 定 の 評 価 を 得 た 最 新 の 学 説 を 反 映 し よ う とす る一 方 で,執筆 者 や 教 科 書 会 社 が 持 つ 主 義 。主 張 を 伝 え よ う と して,取 り上 げ る事 実 や 解 釈 や 評 価 が 異 な る 一 面 も あ る。

1.教 科 書 内 容 の 変 化

(1)新 しい 仮 説 の 反 映 … 江 戸 時 代 の 外 交 政 策 は

「 鎖 国 」 な の か (2)古 い 仮 説 の 否 定 … 日本 列 島 に 旧石 器 時 代 前

期 は あ つ た の か

2.教科 書 内 容 の 差 異 … 戦 争 に 対 す る 評 価 等 の 違 い 3.マ ス メ デ ィア の 報 道 … 時 に 虚 報 や 捏 造 も

(17)

.分

析 と考 察

生 島 の 実 践 を 分 析 す る た め に,

て み た 。 そ れ を 以 下 以 降 の 図 1‐2,

問 い と知 識 の構 造 並 び に授 業 展 開 を筆 者 な りに図 式化 し 図 1‐3に示 す 。

なる点はどう

リカ人違は,日

ぼっちで泣い

し時を■った別の写真を 気づいたことは何か

,そこから何

れるのは,ど うなときか

ではどのよ 饉されてい れなぃのは,

ようなときか

この意見の対立

なぜこんなに変わ ってしまったのか

者や教科■含杜どう ると思うか い銀説か晉定

ると教科書の

はどのように つの資料で,何

ことをしたのか 代のことを

たのに,な れている内署

1‐

問 い の 構 造 図

(18)

"考=力

哺蜘臓酔u聞馴躍説

"電

:

:11:,]Illli二

111

ヒに中饉螂出期静場]

は書かOE史

であり傾籠て ",新

しル

1‐

知 識 の 構 造 図

生 島 の 「メ タ・ ヒス トリー 学 習 に よ る対 抗 イ デ オ ロギー 教 育 」 論 は

,歴

史 教 科 書 が作 ら れ る ま で の過 程 を辿 り

,そ

こ に生 じる歴 史解 釈 のイ デ オ ロギー 性 に着 目させ る こ とで

,対

抗 イ デ オ ロ ギ ー 教 育 を行 うとい うもの で あ っ た。

こ の 実 践 で評 価 す べ き点 は

,問

い と知 識 の構 造 か らもわ か る よ うに,「歴 史 とは何 か」を 考 え る際 に

,歴

史 学 習 の根 本 とな る史 料

,歴

史 解 釈

,歴

史 教 科 書 の 本 質 を考 え るの に適 し た 問 い に よつ て授 業 を構 成 して い る点 で あ る。 さ らにそ の 問 い を追 求 して い くた め に

,多

種 多 様 な 資 料 (史料

)を

用 い

,そ

こ に存 在 す るイデ オ ロギー性 に気 づ かせ て い る。 この よ うに

,メ

タ ヒス トリー の視 点 を普 段 の歴 史 学 習 の前 段 階 と して の歴 史 カ リキ ュ ラム全 体 の

(19)

導 入 に組 み 込 み

,生

島 の 実 践 をす る こ とは非 常 に意 義 が あ る。 で は 生 島 の 実 践 の 課 題 は何 か 。

第 一 に,授業 の難 易 度 と年 間 カ リキ ュ ラ ム に お け る位 置 づ け で あ る。この点 に 関 して は,

本 人 も課 題 と して 述 べ て い る。本 実 践 を 中学 一 年 生 の歴 史 学 習 の導 入 段 階 で実 践 す る には,

や や 難 しい よ うに感 じる。 小 学 生 の段 階 で歴 史 につ い て は あ る程 度 ふ れ て い るが

,史

料 か ら適 切 な部 分 を読 み 取 る,用 語 を理 解 す る活 動 に は あ ま り慣 れ て い な い 。ま た,本授 業 は,

歴 史 学 習 の導 入 の 単 元 で あ る。生 島 は研 究授 業 後 の生徒 の ア ン ケー ト結 果 か ら,「あ ま り理 解 で き な か つ た 」 とい う意 見 を考 慮 して

,単

元 の終 結 部 に 再 度 「メ タ ヒス トリー 学 習 」 を 位 置 付 け て い る (以 下 生 島 の構 想 図 を示 す(図 1‐4))。

1‐

「メ タ・ ヒス トリー 学 習 」 の 在 り方 と 「ヒス トリー 学 習 」 との 関 係 23) しか し

,こ

れ で は 本 当 に歴 史 学 習 全 体 を 通 して

,歴

史 に 含 ま れ る イ デ オ ロ ギ ー 性 に 対 抗 で き る歴 史 の 見 方

,考

え 方 が 身 に 付 くの か は 疑 間 で あ る。 や は り

,普

段 の ヒ ス トリー 学 習 に お い て も安 達 の よ うに メ タ 的 な 視 点 を 問 う こ とが 必 要 で あ る 。

第 二 に

,そ

れ ぞ れ の 単 元 の 終 結 部 の ま と め 方 で あ る。 例 え ば 第

1時

の 導 入 で 「史 料 とは 何 か 」 の 主 発 間 に よ り

,史

料 とは ど うい う も の か を 確 認 して か ら

,続

く学 習 活 動 の な か で 史 料 の 特 質 に つ い て 学 ん で い る。 しか し終 結 部 で は

,今

日学 習 して わ か つ た こ と な ど と ま と め て い る が

,再

度 「史 料 とは 何 か 」 主 発 間 を 問 うべ き で は な い だ ろ うか 。 各 時 に お い て も 同 様 の こ とが い え る。

第 二 に

メ タ ヒ ス ト リー 学 習 に お け る 目標 で あ る。 こ の 実 践 は

,生

島 が 先 行 研 究 と して 分 析 した

,安

達 一 紀 の 「 ヒ ス トリー ・ リテ ラ シ ー 学 習 」 論

,原

田 智 仁 の 「理 論 批 判 学 習 」 論 24),児玉 康 弘 の 「解 釈 批 判 学 習 」 論 25)を混 合 した 実 践 に な つ て い る。 よ つ て 学 習 方 法 と して は歴 史 解 釈 学 習 に な つ て い る が, 日標 か ら推 察 す る に

,市

民 形 成 の た め の 歴 史 解 釈 学 習 とい う側 面 で は な く

,歴

史 家 の よ うな 市 民 育 成 の た め の 歴 史 解 釈 学 習 に な つ て い る。

イ デ オ ロ ギ ー に 関 して は

,現

在 の 社 会 で も存 在 して い る の で

,本

実 践 か ら さ らに 現 在 とつ な が り

,生

徒 の 認 識 と リ ン ク す る よ うな 展 開 が み られ る と

,よ

り社 会 科 歴 史 と して の メ タ ヒ ス トリー 学 習 を成 立 させ る こ とが 可 能 に な る。

(3)兵庫教育大学附属 小学校 実践例 :社会科 固有 の学び を育て る授 業構 成 と実践分析(Ⅱ )

―第

6学

年 「『 現代 とはいつ の こ と?』」 を事例 と して ―

「 ヒス トリー学密」

導入 (入)としての

「メタ 。ヒス トリー子冒」

歴史の対象化

・ 仮説性

。物語性 他者が構成・制作

)としての

「メタ 。ヒス トリー学習」

歴史の対象化

。仮説性。物語性

他者が構成 。政策

参照

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