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理論と方法 33巻2号 2018年 数理社会学会 Sociological Theory and Methods Vol.33 No Japanese Association for Mathematical Sociology 特集論文 高学歴化社会における学歴と職業的地位の関連 古

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Japanese Association for Mathematical Sociology

特集論文

高学歴化社会における学歴と職業的地位の関連

古田和久(新潟大学)

[要約]

本論文は高学歴化の進展とともに,学歴と職業との関連がどのように変容したのかを,

1965

年から

2015

年の

SSM

調査データを用いて検証した.出生コーホートと年齢段階に よる相違に焦点をあて,各学歴層の職業構成の絶対的変化および学歴間の相対的格差の長 期的趨勢を吟味した結果,次のことが分かった.第

1

に大卒者は専門職従事率が維持され るなど,その職業構成は比較的安定する一方,高卒者の変化は大きく,事務職が減少し,

熟練職や半熟練・非熟練職に集中した.第

2

に,1961-70年生まれ以降の大卒者は職業キャ リアの中盤で管理職への到達が困難化した.他方,高卒者は職業キャリアの初期段階から ブルーカラー職に就く傾向が顕著になった.第

3

に,学歴間の相対的格差は出生コーホー ト間で維持されていた.しかし,その内部では若年時の学歴間格差が,1960-70年代の教 育拡大を経験した世代で縮小した.ただし,その動きは

1990

年代以降に大学進学を迎え た世代に継続されず,学歴差は維持されていた.

[キーワード]

高学歴化,教育と職業,趨勢分析

[審査記録]

受稿

2018

4 月 30

日/掲載決定

2018

8

15

1  問題の所在

現代社会では,個人は教育制度を経由して職業に就いていく.このため,高学歴化は教 育と職業の関係に,どのような変化を及ぼすのかに関心が寄せられてきた.その代表的 仮説は学歴と職業の関連が強まることを予測するもので(「産業化命題」),産業化した社 会では職業の専門分化が進み,学校教育を通して職業的スキルが獲得されるため,職業 達成に対する出身階層の影響が弱まり,学歴の効果が強まっていくと予想した(Treiman

1970).

他方,高学歴化とともに大卒者の給与の低下や失業率の上昇などが生じ,仕事で要求 されるよりも高い学歴を得る「過剰教育」の発生が指摘された(Freeman 1976=1977).ま た,学歴の価値低下(「学歴インフレ」)が起こり,学生の関心は知識・技能ではなく,卒 業証書を得ることに重点が置かれ,学歴のふるいわけ機能が強化されることが懸念された

(Dore 1976=

1978).学歴が個人の相対的位置づけを決める側面が強ければ,社会全体

では教育への過剰投資につながるからである(Thurow 1975=1984).

(2)

階層研究では,出身階層から到達階層への移動における教育の媒介的役割を重視し,出 身階層,教育達成,到達階層の

3

者の関係において,学歴と職業との関連が検討されてき た.なかでも欧州を中心とした近年の実証分析は,産業化命題の予想に反し,学歴と職 業の結びつきが弱まっていると報告した(Breen and Luijkx 2004; Jackson et al. 2005; Van de

Werfhorst 2007

など).日本を含む先進

14

カ国を対象とした最新の国際比較研究は,多く

の国で職業的地位に対する学歴の効果が減少していること,所得への効果は国によって傾 向が多様であることを明らかにした(Ballarino and Bernardi 2016)1)

日本でも高学歴化が進行してきたが,近年の

SSM

調査データを用いた分析によれば,

職業や所得の学歴間格差はあまり変化していない.実際,近藤博之(1997)は

1975

年と

1995

年データの

40

歳から

69

歳の男性を取り出し,初職と

40

歳時職に対する学歴の効果 を検討した.その結果,学歴は初職だけでなく中高年の職業的地位にも持続的に影響し,

その効果は時点間で類似していた.また,原純輔・盛山和夫(1999)は

1955

年から

1995

年の調査を使用し,40歳代男性の学歴と職業および

40

歳から

59

歳男性の学歴と収入の 関係を調べたが,学歴間格差は両者とも縮小しておらず,詳細にみれば格差が拡大してい る部分もあった.さらに平沢和司(2011)は

2005

年データを用い,初職・現職の職業威 信と職種,現在の所得に対する学歴・学校歴の影響を分析した.結果,学歴や学校歴の影 響は長期的に安定していること,大学の入学難易度によりその後の職業達成が異なり,一 部の大学では専門学校卒や短大・高専卒と職業威信・職種や所得の違いがないことを明ら かにした.

職業や収入に対する学歴効果の持続性と安定性が確認される一方,日本社会では経済状 況の悪化により,1990年代中盤以降に学校卒業を迎えた世代において若年雇用問題が注 目された(太田 2010).そして,この問題は学歴とも無関係ではない.実際,「就職氷河期」

世代を含め,不況期に労働市場に参入した世代ほど,卒業後年数を経ても就業確率が低く,

就業者でもフルタイムになりにくいなどの不利があり,それは学歴の低い層で顕著だとい う(玄田 2010).SSM調査データでも初職離職リスクの学歴差が認められているが(石田

2014),若年雇用の動向を踏まえれば,学歴と職業との関係は変化したのかが注目される.

さらに近年の若年雇用に限定せずとも,学歴効果の安定性という全体の趨勢には,出生 コーホートや年齢段階ごとの多様な動きが隠されている可能性がある.その動きは明らか にされていないけれども,後で述べるように,そこには教育拡大の中長期的な影響を解き ほぐす手がかりがある.この問題関心から,本論は最新の

2015

SSM

調査データを加 え,教育と職業の関連に関する長期趨勢のなかに,各コーホートや年齢層の動きを位置づ けて検討する.職業との関連において,学歴の収益はある学歴層のうち特定の職業に就い た割合で示される絶対的収益と,その割合を学歴間で比較した相対的収益に区別されるが

(Bernardi and Ballarino 2016),以下でも各学歴層の職業構成の変化に加え,教育拡大や職 業構成の変化を考慮したうえでの,学歴による職業的地位の相対的格差を吟味する.

2  本論の分析視角

先行研究は,学歴と職業との関連を調査時点間で比較するものも多いが(Van de

Werfhorst 2007; Wolbers et al. 2001

など),世代間移動表の時点間比較に対しても指摘され たように,隣接する調査時点のデータには同一出生コーホートの人が多く含まれるので,

社会の変化への感度が鈍くなるおそれがある(石田 2008; 三輪 2008).教育拡大の中長期

(3)

的な影響を探るという本論の課題に鑑みて,この指摘は重要である.これを踏まえ,出生 コーホートと年齢段階の違いを区別して学歴と職業との関係を吟味するが,以下で説明し よう2)

まず,高学歴化は異なる世代間で生じた現象である.したがって,その影響を確かめる には,学歴と職業の全体的関連がコーホート間でどう変化したのかを検討しなければなら ない.野村正實(2007)は,待遇格差の大きい「社員」「準社員」「職工」などの身分と学 歴が密接に結びついていた戦前期から,そうした学歴主義が継続するとともに変容した戦 後期,そして高卒者をブルーカラー職に定期採用するようになった高度成長期など,学校 と会社の長期的動向を描いた.SSM調査の蓄積にはこれらの時代を経験した幅広い世代 が含まれるので,出生コーホート間での大卒者の職業構成の絶対的変化や,他の学歴と比 較した相対的格差の推移を見極めることで,高学歴化との対応が明確になる.加えて,長 期的趨勢のなかに,あるコーホートに特有の動きが観察されるのかにも注目する.学校卒 業時の経済状況が中長期にわたり個人の就業状態や賃金に影響するという「世代効果」(太 田 2010)の観点からは,それが学歴間格差の変動を伴ったものであるのかどうかが興味 深い.

次に,年齢や職業キャリアへの注目である.学歴との関係において,初職や

40

歳代の 職業を参照することが多い.これは初職が職業キャリアの起点として,その後の地位達成 にも影響するのに対し,40歳代の職業は個人の主な職業と考えられるためである3).ただ,

新卒就職者の離職に「七・五・三」という学歴差が存在することはよく知られており(黒澤・

玄田 2001),昇進も高卒者と大卒者ではそのパターンが異なる(今田・平田 1995).また,

Ishida et al.(1997)は昇進機会に対する大学ランクの効果が,下位の管理職への昇進には

影響しないが,卒業後

20

年を経て,上位の管理職に到達する際に影響することを発見し た.これらは,学歴と職業との関係がキャリアや年齢段階で変化することを示唆する.

そのうえ,各学歴の職業構成や学歴間格差の変化がどの年齢層で顕著なのかを分析する ことは,教育拡大の影響を探る手がかりとなる.日本では新規学卒一括採用のもと学歴別 に採用されるため,学歴と職業の関係は若年層でその変化が大きい可能性がある.他方,

高学歴化の影響は職業キャリアを経るなかで顕在化することもある.たとえば,大卒者は かつて企業の幹部候補として採用されたが,その規模の増加が競争を激化させ,キャリア 中盤以降で昇進が困難となるかもしれない.教育拡大の中長期的な帰結を探るには,キャ リアの終盤も含め,各年齢段階での学歴と職業との関係に注目することが有効であろう.

最後は視点を変えて,職業分類について述べる.専門的技術的職業と管理的職業(以下,

専門職と管理職)は「高学歴化が進行すればするだけ,高等教育卒業者の学歴をもったも のでなければ,容易に獲得することが困難になっていく傾向」(潮木 1975: 77)にあると されたように,大卒学歴と強く結びついてきた.したがって,大卒者の増加が専門職や管 理職への入職にいかなる影響を及ぼすのかは,学歴インフレや過剰教育の観点からも重要 である.ただし,専門職と管理職を区別する.その理由は,学校などを通して知識・技能 あるいは資格を得て仕事に就く専門職と,組織内での昇進を経て到達する管理職では,知 識・技能のタイプや入職経路が異なるからである.事実,石田浩(2008)は

40

歳時点で「上 層ホワイト階層」に到達した人について,初職で上層ホワイトに入職した者と職業キャ リアを経て到達した者を区別したが,前者は専門職に後者は管理職にほぼ対応している4). また,管理職従事率は年齢の上昇とともに増えるので,これらの職業の区別は年齢やコー ホートの観点から,学歴と職業との関連を分析する本論の戦略とも整合的である.

以上のように,学歴と職業との関係について,出生コーホートと年齢段階による相違に

(4)

加え,専門職と管理職の違いに着目し,戦前から現在に至る長期的トレンドを絶対的お よび相対的側面から吟味する.これにより,高学歴化が急速に進展した日本社会において,

学歴が職業的地位の形成に対し,どのような役割を果たしてきたのかを考察する.

3  データと変数

分析するデータは,「社会階層と社会移動全国調査(SSM調査)」である.SSM調査は

1955

年から

10

年ごとに実施され,同様の形式でデータが蓄積されているため,教育と職 業との関連を長期的に捉えることができる.本論では

1965

年から最新の

2015

年調査まで の

6

時点のデータを利用する5).1975年調査までは対象者が男性のみであり,高学歴化 の影響を職業の観点から分析するため男性に限定するが,この点は本論の限界である.

主な変数は,調査対象者本人の学歴と現在の職業(現職)である.学歴は,中学,高校,

短大・高専,大学(大学院を含む)の

4

分類とした(卒業と中退は区別してない).高校 卒業後に専門学校(専修学校専門課程)に進学した者は高校に分類されている.旧制の学 歴も相当する上記

4

分類に含むが,1921-30年生まれまでの世代は旧制学歴が中心,1931-

40

年生まれは両者が混在しつつも新制学歴が多くを占める.そして

1941-50

年以降の世 代はすべての者が新制の学歴となっている.現職は

SSM

職業大分類を一部合併し,専門 職,管理職,事務職,販売職,熟練職,半熟練・非熟練職,農林職および無職の

8

分類と した6)

本論は学歴と職業との関係を,出生コーホートと年齢段階の違いに着目して分析するが,

各調査年で

25

歳から

64

歳の対象者を

10

歳幅に分け,調査時点と組み合わせれば,分析 対象は表

1

のように整理できる.対象者のうち,1965年に

55-64

歳の

1901-10

年生まれが 最も古く,反対に

2015

年に

25-34

歳となる

1981-90

年生まれが最も新しい世代である.

このデータ構造のため,複数の角度から分析可能だが,高学歴化との対応関係を明確に するため,出生コーホートに着目する.1つは,年齢段階を一定として調査時点間を比べ ると,教育拡大が進むなか,各時点の若年層や高年層の動向を把握することができる.も う

1

つは,同一コーホートが最大

4

時点で観察されている利点を活かし,各コーホートの 人たちの加齢とともに,学歴と職業との関係がどう変わっていくのかを追うことができる.

4  各学歴層の職業構成の変化

4.1

 各年齢段階における学歴と職業との関係

はじめに,学歴と職業との関係がどう変化してきたのかを,年齢段階ごとに調べよう.

大卒者が希少だったころと教育拡大後の若年世代を比べて,大卒者の職業が変わったのか 表1 分析データの構造

1965 1975 1985 1995 2005 2015

25-34 1931-40 1941-50 1951-60 1961-70 1971-80 1981-90

35-44 1921-30 1931-40 1941-50 1951-60 1961-70 1971-80

45-54 1911-20 1921-30 1931-40 1941-50 1951-60 1961-70

55-64 1901-10 1911-20 1921-30 1931-40 1941-50 1951-60

(5)

図1 出生コーホート別現職構成の推移(年齢・学歴別)

(6)

など,学歴別職業構成の長期的変容を確認する.併せて,職業経歴の序盤から終盤のいず れの段階で,その変化が大きいのかを検討する.図

1

は年齢段階ごとに,学歴別の現職構 成の推移を出生コーホート間で比較したものである.男性の場合,短大・高専卒がどの年 齢層でも少なく,また近年は中卒者がほとんどいないことに注意しながらみていこう.

最初は

25-34

歳時の学歴別現職構成である.大卒者を特徴づけるのは専門職従事率の高

さである.実際,大卒者の約

3

割が専門職に就いていることに加え,この割合は

1990

年 代以降に大学進学した世代でも低下していない.大卒者の事務職と販売職率は合わせて

5

割程度で推移してきたが(ただし事務職が若干の減少傾向にある),1981-90年生まれで はやや低下し,半熟練・非熟練職が増えている.このように,大卒者の職業構成の変化は 比較的小さい反面,高卒者はブルーカラー化が進行してきた.具体的には,1931-40年生 まれには

3

割程度みられた事務職が急速に縮小し,熟練職が増加した結果,高卒者の多く が熟練職および半熟練・非熟練職に就いている.また,1931-40年生まれの中卒者は農林 職が

2

割を占めていたが,近年はほとんどが半熟練・非熟練職と熟練職となっている.

次の

35-44

歳層の特徴は,25-34歳時にはごく少数だった管理職が急増することである.

この点は,学歴別の動向がきわめて興味深い.35-44歳の大卒男性において,かつては

3

割を占めた管理職が縮小し,1971-80年生まれでは

1

割に満たない.すなわち,職業キャ リア中盤での管理職への到達が困難になり,これはもともと管理職の多かった大卒者で目 立つ.

続いては

45-54

歳層である.大卒者の専門職率はこれまでの年齢層と同様,コーホー

トによる変化はみられない.また管理職が全体的に増え,大卒者の管理職割合の低下は

35-44

歳層ほど明確ではないものの,45-54歳でも縮小傾向にある.高卒者の管理職割合

も増加しているが,こちらはコーホート間でのはっきりした傾向はない.その他の学歴層 は,短大・高専卒において管理職率が低下している.古い世代では中卒者(旧制の義務教 育卒)の

3

割程度を農林職が占めていたが,1931-40年生まれで急速に減少している.

最後は

55-64

歳の対象者である.この年齢層は職業キャリアの終盤にあたり,すべての

学歴で無職が目立つ.1921-30年生まれまでは旧制学歴を持つ者が中心なのだが,この点 を踏まえても,大卒者の職業構成の変化は小さい反面,高卒者のブルーカラー化が進むな ど,これまでの傾向を再確認するものといえる.また中卒者(旧制の義務教育卒者)にお いて,農林職から熟練・半非熟練職への転換がより鮮明にみられることが特徴的である.

4.2

 大卒者と高卒者の職業構成の年齢間比較

続いて,同一の出生コーホート集団が複数時点で観察されている利点を活かし,学歴に よる職業構成が年齢によってどう変わっていくのかを調べる.上では大卒者の管理職昇進 の縮小が示されたが,いずれのコーホートでそうした結果が生じているのか,その他に コーホート特有の動きが存在するのかを,大卒者と高卒者の比較から確かめる(図

2).

大卒者についてコーホート間の違いに注目すると,新制学歴の者が中心となる

1931- 40

年以降のコーホートでも,専門職割合は各年齢層の

30%

程度で安定している.最も若

1981-90

年生まれにおいても,その割合は減っていない.対照的に,管理職の分布は年

齢と強く相関するが,管理職到達率の低下は,1961-70年コーホート以降で著しい.事実,

1951-60

年生まれの大卒者では

23.4%

35-44

歳時に管理職に到達していたのだが,1961-

70

年生まれではこの割合が

15.6%

となっている.さらに,1971-80年生まれの

35-44

歳時 の管理職率は

10%

を下回り,新しいコーホートほど管理職への到達が明らかに困難化し ている.

(7)

他方,高卒者の職業構成においても,加齢とともに管理職が増えるとはいえ,大卒者ほ ど大きくはない.これも原因となり,無職者が増える

55-64

歳を除けば,同一コーホート 内における職業構成の変化は小さい.ホワイトカラー職(専門,管理,事務,販売)とブ ルーカラー職(熟練,半熟練・非熟練,農林)に

2

分すれば,どのコーホートでも両者の 割合は安定している.よって,高卒者のブルーカラー化はコーホート間で生じたものとい える.つまり,同一コーホート内で加齢とともにブルーカラー職従事者が増えるのではな く,後のコーホートほどキャリアの初期から,これらの職業従事率が高くなったのである.

各学歴層の職業構成の絶対的変化をみれば,第

1

にどの年齢段階,コーホートでも大卒 者の専門職率の低下や,ブルーカラー化の明確な傾向はなかった.第

2

に高卒者の職業構 成の変化はきわめて大きく,事務職割合が急速に低下し,熟練職や半熟練・非熟練職へと 集中した.この傾向はコーホートの間で生じ,新しい世代ほど職業キャリアの初期段階か らブルーカラー職に就いていた.第

3

に,1961-70年生まれ以降,35-44歳の大卒者で管理 職従事率の低下傾向が鮮明となり,1971-80年生まれでは管理職到達がさらに困難化した.

管理職の結果は,職業コーティングとも関係があるかもしれない.管理職自体が多様化 するなか管理職コードの付与は難しく,2005年

SSM

調査の管理職率は「国勢調査」との 乖離も大きいと報告されているからである(高橋 2018).ただし,「賃金構造基本統計調 査」では,大卒と高卒の両者とも役職者割合が低下し,役職に就く年齢が高まっていると いう(佐藤・石井 2017).加えて,1971-80年生まれの大卒者は

1990

年代後半から

2000

年代初めの「就職氷河期」に就職したと考えられるが,この世代は

30

歳代後半から

40

歳 代前半になっても上の世代が同年齢であったときに比べ,給与や役職者比率が低い(黒田

2017).こうした結果とも整合的であり,社会の動きを反映したものだと推察される

7)

図2 年齢段階による現職構成の推移(学歴・出生コーホート別)

(8)

5  学歴間の相対的格差の推移

今度は学歴間の相対的格差を分析する.世代間移動表の研究(たとえば,三輪・石田

2008)に倣い,学歴と職業からなるクロス表に対数線形モデルをあてはめ,教育拡大や職業

構成の変化を統制したうえで,学歴間の格差を吟味する.ここでも,出生コーホートと年齢 段階による相違を注視し,学歴と職業との関係が強まったり,弱まったりするのかを探る.

2

は各調査時点で

25-64

歳の男性を対象として,出生コーホート(C),年齢段階(A),

学歴(E),現職(D)からなる多重クロス表に,対数線形モデルをあてはめた結果である8). これにより出生年にすれば,1901年から

1990

年生まれまでの長期にわたる現職の学歴間 格差の動向を確かめることができる.なおセル度数が小さいため,無職は除外した9)

2

には,変数間にさまざまな関連を想定したモデルの適合度を示した.モデル

1

は学 歴と現職が相互に独立だと仮定している.CAEと

CAD

をあらかじめ含め,学歴と現職の それぞれの分布がコーホートと年齢で異なることを考慮している.モデル

1

は検討のベー スであり,学歴と現職が無関連だとするのは現実的ではないので,モデル

2

は学歴と現職 の関連を追加し,両者の関連はコーホートや年齢の間で一定だとしている.尤度比検定と

BIC

の値から,モデル

1

よりもあてはまりが大幅に改善されていることが分かる.

これらに続く

3

つのモデルは,Unidiff(Uniform Difference)モデルと呼ばれる対数乗法 モデル(Erikson and Goldthorpe 1992; Xie 1992)で,学歴と現職の関連パターンはコーホー トや年齢で同一だが,関連の強度がコーホートや年齢の間で変化すると仮定している.モ デル

3

は関連の強さが年齢のみによって違うことを,モデル

4

はその強度がコーホートの みによって異なると仮定している.最後のモデル

5

は,学歴と現職の関連の強さがコー ホートと年齢段階の組み合わせごとに違うと想定している.具体的には,表

1(第 3

節)

で示された

24

の組み合わせごとに,学歴と職業との関連の強度が異なるというわけである.

各モデルの適合度を吟味すれば,モデル

2

と比較して,モデル

3

は統計的に有意な改善 がみられない.つまり,全体では学歴と職業との関連の強度は年齢層によって違わないと 判断できる.モデル

4

とモデル

5

については,モデル

2

に対し尤度比検定で統計的に有意 な改善がみられる.加えて,モデル

5

はモデル

3(⊿

G2

= 57.2, ⊿

df = 20, p < 0.001)やモ デル

4(⊿

G2

= 35.3,

df = 15, p < 0.01)と比較して,あてはまりがよい.他方,BICの 値が最も小さいのは,モデル

2

である.このため,いずれのモデルを採用するべきかの判 断は難しいが,各パラメータの値から変化の方向性を探ってみる.

3

はモデル

4(M4)とモデル 5(M5)からパラメータの値を表示したものである.

表2 コーホート・年齢・学歴・現職のクロス表に対する対数線形モデル(N=11,935

モデル G2 d.f. p(G2 DI BIC 比較 ⊿G2 ⊿d.f. p(⊿G2

M1 CAE CAD E D 4431.6 312 0.000 0.235 1502.8

M2 CAE CAD ED 527.1 294 0.000 0.066 -2232.7 1vs2 3904.5 18 0.000

M3 CAE CAD βAED 522.5 291 0.000 0.066 -2209.2 2vs3 4.6 3 0.200

M4 CAE CAD βCED 500.6 286 0.000 0.064 -2184.2 2vs4 26.5 8 0.001

M5 CAE CAD βCAED 465.3 271 0.000 0.062 -2078.7 2vs5 61.9 23 0.000

(注)1: C: コーホート,A: 年齢,E: 学歴,D: 現職.

2:M3M5Unidiffモデルの結果で,A,C,CAによってED関連の強度が異なると仮定.

(9)

両方のモデルとも最も古い

1901-10

年生まれの

55-64

歳層における学歴と職業との関連の 強さを基準として,その強度が強まるのかどうかを表している.なお,1901-10年生まれ

55-64

歳時の

1

回のみの観察であるため,このコーホートの値は最年長層のみで代表さ

せることになる.パラメータの値が

1

より大きければ,基準よりも学歴と職業との結びつ きが強いのに対し,1より小さいコーホートや年齢はその関連が弱いことを意味する.

はじめに,モデル

4(M4)のパラメータの値から,年齢段階を区別せずにコーホート全

体の動きを確認しよう.それによれば

1901-10

年生まれと比較して,1911-20年,1931-40年

1941-50

年生まれで関連がやや強い.その後,最も若い

1981-90

年生まれにむけて学歴間

格差が少し縮小しているようにみえる.ただ,最も新しいコーホートの関連性は

25-34

歳時 の

1

回のみの観察で示されていることに注意が必要である.全体としてみれば,学歴と職 業との結びつきの強さはあまり変わっていないか,強いていえばやや低下している.

次に,モデル

5(M5)の結果から年齢段階ごとの傾向をみれば,はっきりとした動き

が観察されるのは

25-34

歳層である.事実,この年齢段階では学歴間格差が縮小傾向にあ る.しかし,縮小傾向は最近まで継続しているのではなく,1951-60年コーホートまでで ある.これとは対照的に,35-44歳層では関連が上下に変動し,明確な傾向を見出すこと は難しい.また,45-54歳と

55-64

歳層はあまり変化がない.したがって,全体的には年 齢段階が高いほど,学歴間の相対的格差は安定的だといえる.続いて,同一コーホート内 で年齢層の違いによって,学歴間格差に大小があるかどうかを調べた.1931-40年生まれ

では

25-34

歳時点で学歴と職業との関連が強いが,それ以降のコーホートにおいて,若い

時点ほど学歴間格差が大きいということはない.また,その他のコーホートでも,年齢段 階による格差の動きに系統的な違いはない.モデル

2

に比べモデル

3

で改善がなかったこ とからも,年齢段階による学歴間格差の動きに,コーホート間で共通の傾向はないと判断 できる10)

以上の結果,第

1

に全体では学歴と職業との関連は維持され,その関連はどちらかと いえば弱まっている.第

2

に年齢段階別の動きを重ねれば,1931-40年と

1941-50

年生ま れで両者の関連が若干強いのは,25-34歳と

35-44

歳層での格差が大きかったためである.

逆にいえば,この関連がやや低下した原因は,25-34歳段階での関連が

1951-60

年生まれ で弱まったことにある.第

3

に,1971-80年生まれ以降が

1990

年代以降の高等教育の再 拡大期に大学進学した世代にあたる.それらのコーホートは観察時点が少なく,今後の推 移を見極めるべきだが,これまでは学歴と職業の関連に大幅な変化の兆しを見出すことは できない.

図3 学歴間の相対的格差の比較(モデル4およびモデル5の結果)

(10)

6  議論と結論

本論は高学歴化が進む現代社会において,個人の学歴と職業との関係にいかなる変化が 生じてきたのかという問題関心のもと,1965年から

2015

年の

SSM

調査データの蓄積を 利用して,各学歴層の職業構成および学歴間の相対的格差の中長期的変容を吟味した.

まず,各学歴層の職業構成の絶対的水準をみれば,大卒者では専門職率が安定し,ブ ルーカラー化への明確な動きは生じていなかった.しかし,1961-70年生まれ以降,職業 キャリアの中盤で管理職割合が低下する傾向が表れ,1971-80年生まれではさらに縮小し ていた.一方,高卒者の職業構成の変化はもっと顕著であった.高卒者の事務職従事者率 が急速に低下し,大半が職業キャリアの初期からブルーカラー職に就くに至った.

これら絶対的側面に関する結果から,大卒者と高卒者の両方で事務職が関係する部分に おいて,職業構成の変化が大きかったことに注目したい.高学歴化と関連づければ,大卒 者の供給が増加したことにより,入職時において事務職従事者の中心が高卒者から大卒者 に代替されたのに引き続き,増加した大卒事務職が,キャリア中盤での管理職昇進が困難 になったと考えられる.専門職に比べれば,事務職や管理職の職務に必要とされる知識・

技能の獲得には入職後の職場訓練の比重が高いと思われるが,高卒者から大卒者への代替 は高学歴化の進行とともに,学歴の選抜機能が強化されたものと考えることができる.

他方,学歴間の相対的格差は出生コーホート間では安定的であったものの,その内部に は興味深い動きがみられた.具体的には,1960年代から

1970

年代の教育拡大を経験した

1941-50

年と

1951-60

年生まれの入職に近い時点(25-34歳)で学歴差が縮小した.しかし,

その後は,1990年代以降の高等教育再拡大期に大学進学しかつ若年雇用問題が顕在化した 世代でも,学歴間格差の明確な拡大・縮小など,コーホート特有の動きはみられなかった.

結局,現時点では学歴インフレが継続的に進行した証拠を見出すことはできない.高校 卒でも就くことができた事務職に大卒学歴が要求されるようになったとみれば,確かに学 歴インフレが生じたといえるかもしれない.しかし,専門職自体の拡大や専門職の内部を 検討する必要はあるが,大卒者の専門職率は維持されていることも重要である.また,事 務職の職務内容も高度化したのかもしれない11).加えて,相対的格差は

1960

年代から

1970

年代の教育拡大期の若年層で縮小したが,その原因の一端は,1931-40年生まれには まだ多かった中学卒の農業従事者が,高度経済成長期以降に入職した

1941-50

年と

1951- 60

年生まれで急減したことにもあると考えられる12).さらに,高等教育の再拡大期を経 験した若いコーホートでは,学歴間格差は維持されていた.つまり,学歴差縮小にむかう 一貫した動きはなく,その時々の社会状況を反映しつつも相対的格差は維持されているの である.

これらの結果から,学校教育の拡大と職業構成の大幅な変化に比べ,大学進学の社会経 済的価値は決して減じられていないと考える.今後,大学の学校歴や大学院,専門学校を 区別した詳細な学歴分類,所得や従業上の地位などの社会経済的変数を用いて検証するべ きだが,大局的見地に立てば,学歴の地位配分機能は安定していると判断できるだろう.

[謝辞]本稿は古田和久(2018)に加筆・修正を加えたものである.本論文の執筆にあたり,2名の匿名の査読 者からはたいへん有益なコメントをいただいた.記して感謝したい.

本研究はJSPS科研費特別推進研究事業(課題番号25000001)に伴う成果の1つであり,本データ使 用にあたっては2015SSM調査データ管理委員会の許可を得た.また本研究はJSPS科研費15K17379,

18K02387の助成を受けたものである.

(11)

[注]1) 日本に関する分析は,男性の職業的地位や所得に対する学歴の効果は低下していないが,短大卒女性 の初職において,学歴の収益が縮小したと指摘している(Sato and Arita 2016).

2) 高学歴化との対応関係を明確にし,かつ年齢段階ごとの動きにも注目するため,入職コーホートでは なく,出生コーホートによる分析を採用した.

3) 佐藤俊樹(2000)は世代間移動の出発点となる「父親の主な職業」に対し,他の年代に比べ転職が少 なく安定している40歳代の職業が,「本人の主な職業」だと説明している.

4) 石田(2008)は「上層ホワイト階層」と一括したが,初職でこの層に参入した人のほぼ9割が専門職で,

初職後に到達した人の8割以上が管理職であることが示されている.

5) これまでのSSM調査の歴史および2015年調査の概要については,白波瀬佐和子(2018)を参照のこと.

2015年調査は2017227日版(バージョン070)を用いた.

6) 管理職は,1985年以前の調査との整合性を保つために,『2005SSM日本調査コードブック』(2005 年社会階層と社会移動調査研究会 2007: 93-94)にしたがって修正した.

7) 管理職への移行は,2015年調査でより詳細な検討がなされている(竹ノ下 2018).

8) コーホート×年齢が構造的に観察されない組み合わせ(structural zero)は,これを除いて推定した.

推定にはLEM(Vermunt 1997)とRMASS(Venables and Ripley 2002)パッケージを用いた.

9) 無職を含めた場合や職業カテゴリーを合併した場合,SSM総合職業分類を用いた検討など,いくつ かの分析を試みた.その結果,基本的な傾向が同じであることを確認した.

10)戦後に職業キャリアを開始した世代(1931-40年生まれ以降)に限定した分析も行ったが,図3で確 認された結果と同様の傾向であった.

11)潮木守一(1978)は高度成長期に大卒者割合が増加した販売職について,この職業に要求される知識・

技術水準が高度化した可能性を指摘している.

12)ただし,大卒者と高卒者に限定した分析でも,学歴と職業との関連は強まっておらず,本論の結果に 反する傾向はみられなかった.

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(13)

Special Issue Article

Trends in the Association between Education and Occupation in Japan

Kazuhisa Furuta (Niigata University)

Abstract

This paper examines long-term trends in the association between educational credentials and occupation in times of rapid educational expansion in Japan. Using data from the Social Stratification and Social Mobility Survey, I show the changes that have occurred in occupational distribution by educational level and demonstrate the net association between education and occupation. First, the occupation of college graduates has not changed dramatically as shown by the proportion of profession, while the occupation of high school graduates has been subject to constant change during the period under examination. The proportion of high school graduates becoming clerks has decreased, while more and more of this group has become skilled, semi-skilled and unskilled workers. Second, among college graduates, especially those born after 1961, there has been a decrease in the proportion gaining promotion to managerial positions in the middle of their career. On the other hand, high school graduates became more likely to enter the labor market as skilled workers from the outset. Third, log-linear analyses indicate that the net association between education and occupation has remained constant between birth cohorts although downward trend has shown among respondents aged between 25 and 34, who experienced educational expansion during the 1960s and 1970s.

Keywords

educational expansion ,education and occupation, trend analysis

Review History

Received April 30, 2018/Accepted August 15, 2018

古田 和久(ふるた かずひさ).新潟大学人文社会科学系 准教授.〒950-2181 新潟市西区五十嵐2の町8050番地.

furuta@ed.niigata-u.ac.jp.研究関心:教育社会学,社会階層論.

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