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博 士 ( 工 学 ) 朝 倉 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 朝 倉 学 位 論 文 題 名

一般廃棄物埋立処分場浸出水中の内分泌かく乱物質の 流出及び処理特性に関する基礎的研究

学位論文内容の要旨

  近年 ,野生生物の生殖異変の報告から内分泌かく乱物質(以 下,EDCs)が問題になっている。EDCs には, ダイオキシン類など副次的に生産されるものの他,農薬類・界面活性剤・プラスチック関連物 質など が挙げられている。これらは,我々の身の回りに存在し,しかも大量に使用されている物質で ある。

  使用 済みのプラスチックは焼却処理される他に,不燃ごみとして,もしくは事業者によって直接,

埋立処 分場ヘ持ち込まれ,プラスチックに使用されているEDCsが,浸出水を媒体として周辺の水環 境を汚 染する可能性がある。このため,埋立処分場から発生す る浸出水に含まれるEDCsの濃度や,

水処理 施設における除去効果についての研究が必要となってい る。

  現在 ,浸出水中に検出されるEDCsの種類と,その濃度範囲が 把握されつっある。しかし,浸出水 中のEDCs濃度の変動特性,ごみ層内部での挙動,水処理施設で の各処理プロセスによる除去効果の 評価に ついての研究は少ない。特に,ごみ層内部での挙動についての研究は今だ行われておらず,こ のため 長期的な流出に関する議論ができない。そこで本研究で は,次の3点を主な研究課題とした。

  ・一 般廃棄物埋立処分場におけるEDCsの流出濃度および変動 特性   ・埋 立廃棄物層におけるEDCsの流出特性

  ・浸 出水処理施設におけるEDCsの処理特性

  第1章 では ,本 研究 の背 景として廃棄物埋立処分場をとりま くEDCsの問題について説明し,研究 の目的 ,構成と流れについて述べた。

  第2章では,浸出水中ダイオキシ ン類の実態と研究の動向を文献調査によって述べた。浸出水に含 まれる 濃度は高くないが長期間にわたって低濃度で推移すること,SSに含まれて流出しやすいこと,

また埋 立層から流出する総量はきわめて少ないことが分かった。生物処理や凝集沈殿処理などの従来 の 水 処 理 方 法 で も , 河 川 水 レ ベ ル ま で 除 去 す る こ と は 可 能 で あ る こ と が 分 か っ た 。 第3章で は, 一般 廃棄 物埋 立処 分場 にお け るEDCsの 流出 濃度 およ び変 動特 性に ついて調査した。

  最初 に,測定対象とするEDCsを選定した。政府のミレニアム プロジェクト(1999年)に挙げられ た,対 応すべき重要性が特に高い化学物質と,浸出水中のEDCs濃度を調査した既往の研究を参考に,

ア ルキ ノレ フ ェノ ール 類(APs),ビ スフ ェ ノー ルA(BPA),フ タル 酸エ ステ ル類(PAEs)および有機 ス ズ 化 合 物 類(OTs)の4物 質 群 を 対 象 と し た ( 以 下 , 測 定 対 象EDCsを 単 にEDCsと 記 す ) 。   調査 対象とする埋立処分場として,二つの一般廃棄物処分場(A,B処分場)を選定した。A処分場 では, 混合ごみを埋め立てており,焼却灰を含まないのが特徴 である。B処分場では,可燃ごみの焼     ―1247−

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却灰と事業系の直接搬入ごみを埋め立てている。

  浸 出水 中のEDCs濃度 を測 定し た結 果 ,埋 め立てられたプラスチックから溶出すると思われるBPA とDEHPが , 河 川 水 に 比 べ て 高濃 度で あっ た。BPAは ,河 川水 中濃 度に 比べ て100倍以 上の 濃度 で 検出されるため,水処理による除去が必要であ る。DEHPは,河川水中濃度に比べて10倍程度であり,

リスク低減のために水処理が必要であると思わ れる。また,界面活性剤に使用されるAPsは河川水レ ベルであり,また船底塗料に使用されるOTsは検出されないため,これらの 物質は浸出水中では問題 とならない。

  埋 立ブ ロッ クの 経過 年数 に対 して , 浸出 水に含まれるBPA濃度は減 少していくが,DEHPはほぼ一 定の濃度で推移することが分かり,長期的な流出傾向が示唆された。

  第4章 は ,埋 立廃 棄物 層に おけ るEDCsの 流出 特性 を, 室内 実験 に よっ て調 べた 。EDCsの ごみ 層 内の移動を支配する要因としては,ごみ層/丶丶の収着と,ごみ層内部での分解が考えられる。そこで,EDCs の ご み 試 料 へ の 分 配 係 数 と , ご み 試 料 中 で の EDCs分 解 速 度 定 数 を 測 定 し た 。   分配係数は,BPAくAPsくPAEsの順に大きくな った。これは,オクタノール水分配係数の大小と相関 が見られる。また,ごみ試料毎に比較すると, 覆土試料くごみ試料A,Bく焼却灰試料の順に大きくな った 。熱 灼減 量と の相関を超えて,PAEsは焼却灰試料に収着しやすぃ 傾向があることが分かった。

  分 解 速 度 定 数 は ,APsが 比 較 的 高 く , 次 にBPAが 大 き か っ た 。PAEsで は ,DBPとDEHPが 特 に 小 さ か っ た 。 ご み 試 料 毎 に 比 較 す る と , 覆 土 試 料 に お い て ,APsとBPAが 高 か っ た 。   さ らに ,こ の結 果を用いて,ごみ層からのEDCsの流出濃度の経時的 変化を,モデル計算によって 予測した。流出濃度の変化を表す計算式は,ご み毎に定まる初期流出濃度を表す定数と,雨水による 洗い出しおよび分解による濃度減少を表す関数 との積で表現できた。初期流出濃度は,分配係数を求 める収着実験の結果から求められることがわかった。次に,濃度減少を表す関数のノミラメータを評価 した結果,洗い出しによる濃度減少の効果が小 さく,分解による濃度減少の効果が支配的であること がわかった。最後に,流出濃度の経時的変化を 計算した結果,BPAは初期濃度が高いために,またDBP とDEHPは 分解 が極 端に遅くてごみ層内にとどまるため,河川水中の濃 度レベルまで減少するのに数 十年以上必要であることが分かった。

  第5章 は ,浸 出水 処理 プロ セス にお けるEDCsの処理特性について検 討を行った。特に高濃度で検 出されるBPAとDEHPについて述べる。

  最 初に ,50所の 浸出水処理施設において,処理プロセス毎に採水し てEDCs濃度変化を調査した。

BPAは,単純な曝気 処理によって濃度が河川水レベルまで低下することがわ かった。DEHPは,曝気・

凝集沈殿・回転円板・砂ろ過および活性炭吸着 処理では除去できず,河川中の10倍程度の濃度で放流 され るこ とが 分か った。このため,DEHPの除去のためには促進酸化処 理などの,さらに追加的な処 理が必要であることが分かった。

  次に,単に浸出水を静置したときの濃度の経 時変化を観測した。BPAの減 少は,生物分解よりも,

酸化的雰囲気によっておこる化学的酸化による ことが示唆された。このため,BPA処理のために,曝 気処理が有効である。

  最後に,凝集沈殿・活性炭吸着・促進酸化処理による除去効果を,室内実験によって評価した。BPA は, 曝気 処理 によ って処理できるので,DEHPについて述べる。凝集沈 殿処理では,ろ過程度の高い 固液 分離 操作 をす れば,半減できることが分かった。活性炭吸着処理 では,DEHPは処理されにくい 事 が わ か っ た 。 ま た , 促 進 酸 化 処 理 に よ っ て ,DEHPが 容 易 に 分 解 で き る こ と が 分 か っ た 。   第6章では,まとめの章とし,本論文の結論を述べた。

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(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授 助教授

田中 恒川 古市 眞柄 松藤

学 位 論 文 題 名

信壽 昌美    徹 泰基 敏彦

一 般廃 棄物埋立処 分場浸出水中の内分泌かく乱物質の 流 出及 び処理特性 に関する基礎的研究

  近年,野生生物の生殖異変の報告から内分泌かく乱物質(以下,EDCs)が問題になっている。EDCs には,ダイオキシン類など副次的に生産されるものの他,農薬類・界面活性剤・プラスチック関連物 質などが挙げられている。使用済みのプラスチックは,不燃ごみとして埋立処分場ヘ持ち込まれ,プ ラスチック中のEDCsが,浸出 水を媒体として周辺の水環境を汚染する可能性がある。 このため,

浸 出 水 中 のEDCs濃 度や ,水 処理 施設 にお け る除 去効 果に つい ての 研究 が必 要と なっ てい る。

  本研究では,l)EDCsの流出 濃度および変動特性,2)埋立廃棄物層におけるEDCsの流出特性,3) 浸出水処理施設におけるEDCsの処理特性,を主な研究課題としている。

  第1章で は, 本研 究の 背景 として廃棄物埋立処分場をとりまくEDCsの問題について 説明し,研 究の目的,構成と流れについて述べている。

  第2章では,浸出水中ダイオキシン類濃度の実態を文献 によって調査し,浸出水中濃度は高くな いが長期にわたって流出が継続すること,生物処理や凝集沈殿処理などの通常の水処理方法で,河川 水レベルまで除去できていることなどを明らかにしている。

    第3章 では ,測 定対 象EDCsとし て, アル キル フェノ ール類(APs),ビスフェノー ルA(BPA), フ タ ル 酸 エ ス テル 類(PAEs)およ び有 機ス ズ 化合 物類(OTs)の4物質 群を 選定 して いる (以 下,

測定対象EDCsを単にEDCsと記す)。

  調査対象埋立処分場は,A処分場(混合ごみを埋め立てており,焼却灰を含まない)と,B処分場

(可燃ごみの焼却灰と事業系の直接搬入ごみ)であり,長期の測定により,埋立プラスチックから溶 出するBPAとDEHP (APEsのーっでフタール酸シ゛エチJハキシ)が,河川水に比べて高濃度であること,

また,APsは河川水レベルで,O′rsは検出されなぃため,両物質は問題とならないことを明らかに している。埋立ブロックの埋立後経過年数に対しては,浸出水中BPAはわずかずつ減少するが,DEHP     ―1249―

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はほぼ一定の濃度で推移することも明らかにしている。

  第4章 では ,埋 立廃 棄物 層 にお けるEDCsの流 出特 性を 室内 実験 によ って調べ ている。EDCsの 分配係数は全体に高い値であり,BPA<廿sくn壥sの順に大きく,オクタノール/水分配係数と相関 が見られること,また,覆土試料くごみ試料A,Bく焼却灰試料の順に大きいことを明らかにしている。

分解速度定数は全体に極めて小さな値であり,APsが比較的高く,次にBPAが大きかったこと,PAEs では,DBPくAPEsのーっでフタール酸シ゛フ゛チル)とDEHPが特に小さかったこと,ごみ試料毎に比較す ると,覆土試料においてAPsとBPAが高かったことなどを 明らかにしている。さらに,この結果を 用いて,埋立地からのEDCsの流出濃度の経時的変化をモ デル計算によって予測し,初期流出濃度 は分配係数測定実験によって推定できること,濃度減少に対しては,洗い出しの効果は小さく,分解 によるものが支配的であることなどを明らかにしている。

  第5章 では ,浸 出水 処理 プ ロセ スに おけ るEDCsの 処理特性について検討している。まず,5か 所の浸出水処理施設を調査し,BPAは単純な曝気処理によって河川水レベルまで低下していること,

DEHPは,曝気・凝集沈殿・回転円板・砂ろ過および活性 炭吸着処理では除去できず,河川中の10 倍程度の濃度で放流されていることを明らかにしている。次に,単に浸出水を静置したときの濃度の 経時変化を測定し,BI)Aの減少は酸化雰囲気下では,生物分解よりも化学的酸化によって起こるこ とを明らかにしている。さらに,凝集沈殿・活性炭吸着 ・促進酸化処理によるDEHP除去効果を室 内実験によって評価し,凝集沈殿処理では固液分離効率が高ければ濃度を半減できること,活性炭吸 着処理では処理できないが、促進酸化処理によって容易に分解できることなどを明らかにしている。

  第6章では,本論文の結論を述べている。

  これを要するに、著者は、一般廃棄物埋立処分場におけるEDCsの流出濃度および変動特性,EDCs の吸着・分解特性および流出特性,並びに浸出水処理施 設におけるEDCs処理特性に関する基礎的 研究を行い,その成果は,一般廃棄物最終処分場浸出水中内分泌かく乱物質の適正な処理及び管理に 貢 献 す る も の で あ り 、 廃 棄 物 工 学 及 び 環 境 工 学 に 寄 与 す る と こ ろ が 大 で あ る 。   よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る

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