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博士(工学)朝日学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博 士 ( 工 学 ) 朝 日 学 位 論 文 題 名

二分決定グラフにもとづく量子効果デバイスの研究 学位論文内容の要旨

  集 積工 レク トロ ニク スに おけ る 目標のーっは、既存LSIとは 異なる手法で情報処理 を行う次世代の集積回路を開拓することにある。そのためには、トランジスタとは別の 方法で論理動作を行う新しい機能デパイスを開発しなければならない。微細化限界にま もな く直 面す るLSI開発 研究 のプ レークスルーとして、それは 重要なアプ口一チであ る。そのための研究方針として、従来とは異なるディジタル関数表現のデバイス化を考 えることが望ましい。トランジスタによる論理設計は、主にブール代数式による関数表 現にもとづいて行われてきた。ここでは新しい機能デパイス開発のため、デジタル関数 を 二 分決 定グ ラフ(Binary Decision Diagram:BDD)で 表現 し、 そ の表 現法 に適 し た物理現象を用いてインプリヌントすること を考える。

  二分決定グラフは有効グラフによるデジタル関数の表現法のーつであり、コンピュー タを使った論理設計のためのツールとして開発された。二分決定グラフを用いると多く のデジタル関数を簡潔に表現することができる。したがって、二分決定グラフにもとづ いて論理回路を構成することにより、簡潔な回路設計が可能になる。さらに、論理回路 を構 成す るた めの 単位 デバ イス (BDDデバイス)の基本動作は 、単純な二分岐スイッ チであり、デバイス構成には入カに従って信号媒体の転送方向を切り替えることができ る様々な物理現象を利用できる。なかでも量子効果を利用して実現するデパイスは、低 消費電力・超微細化の要望に合致し、次世代集積デパイスの可能性を産むことが期待で きる。

  本論文では二分決定グラフを実際のデバイスで実現する、という新しいアイデアを提 案し、さらに量子効果と結びっけることにより新しい機能を持っデパイスの構築を試み た。量子効果として、単電子の輸送現象を利用した構成と、単電子と互いに双対関係に ある磁束量子の転送を利用した構成について考えた。いずれも転送による信号の減衰が なく、ソリトン的な挙動を示すため、転送によって論理をおこなうデバイスに適合して いる。

  結 果と して 、単 電子 形のBDDデ パイスを用いて、大規模回路 にも適用できる単電子 回路の設計方針を確立することができた。これまで、単電子デパイスによって任意の大 きな論理回路を実現することは難しいと考えられてきたが、二分決定グラフと単電子の 輸送を結びつけることによって原理的に実現可能であることをシミュレーションにより 明ら かに した 。ま た、 磁束 量子 形 のBDDデパイスを用いた論理 回路では、高速な論理 回路が可能であることをシミュレーションで示し、効率的に論理回路を構成する手法に ついて示した。

(2)

本 論文は6章から構成されている。以下に各章の要旨を示す。

  第1章 で は 、 本 研 究 の 歴 史 的 背 景 と 目 的 を 述 べ 、 各 章 の 概 要 を 記 し た 。   第2章では、ディジタル関数表現法のーつであ る二分決定グラフについて、論理関数 の表現方法やグラフ の作成方法の簡単な説明を行なっている。さらに、論理関数の効率 的な表現手法につい ても述べている。

  第3章では、二分決定グラフのデパイス化の概 念を述ベ、論理回路を構成する場合の 単 位 要 素 と な るBDDデ パ イ ス の 機 能 につ いて 述べ てい る。BDDデ パイ スの 実現 には 様々な物理現象の利 用が可能であり、利用する現象に応じた特徴をもっデパイスを構成 す る こ と が で き る 。 い く っ か の 構 造 例 を 示 し 、 そ の 特 徴 を 述 べ た 。   第4章で は 、単 電子 トン ネル 現象 を利 用し たBDDデバ イス の構成方法について 説明 し、論理回路を構成 する方法について述べている。また、トンネル接合とキャパシタと 電源から成る単電子 回路を解析するため、単電子現象の物理と単電子回路解析シミュレ 一夕のアルゴリズム についても説明している。例として、基本論理回路や組み合わせ論 理回路を設計し、そ の動作をシミュレーションによって確認した。また、サブシステム のような大規模回路 も同様に設計できることを示した。さらに、実際の回路動作に影響 を与える諸現象につ いて述ベ、シミュレーション上で誤動作確率を見積もった結果を示 した。

  第5章で は 、磁 束量 子を 利用 してBDDデ パイ スを 構成 する ことを述べている。 磁束 量 子 を 利 用 し たBDDデ パ イ ス で は 、 共有 形BDDなど の効 率的 な論 理設 計が 可能 であ り、二分決定グラフ の特長をより活かした構成が実現できる。いくっかの論理回路を例 に あげ 、シミュレーショ ンにより設計した回路が正しく動作をおこなうことを確 認し た 。磁 東量 子や その 転送 原理 、BDDのスイッチ動作の原理などを説明するため、 ジョ セフソン効果につい ての簡単な説明も行っている。

  第6章では本論文の結論と今後の課題について 述べている。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

二分決定グラフにもとづく量子効果デバイスの研究

  集 積エ レ ク ト口 ニ ク スに お ける目 標のーっ は、既 存LSIと は異なる 手法で 情報処理 を 行う次世 代の集 積回路を 開拓す ることにある。そのためには、トランジスタとは別種 の 方 法 で論 理 動 作を 行 う 新し い機 能デバイ スを開発 しなけ ればなら ない。 現状のLSI 開 発はまも なく微 細化限界 に直面 することが予想されるので、その先のブレークスルー を 築 く た め に 、 新 し い 機 能 デ バ イ ス の 開 拓 は 重 要 な 研 究 課 題 で あ る 。   本 論文では 、新し い機能デ バイスを創り出すための方針として、従来と異なった論理 表 現 法 の利 用 に 着目 し た 。従 来のLSIは「 ブール代 数式に よる論理 表現を トランジ ス タ でハード ウェア 化する」 という 考えにもとづいている。それに対して著者は「二分決 定 グラフに よる論 理表現を 量子効 果デバイスでハードウェア化する」という新しい概念 を 提案し 、理論 解析によ り新しい 次世代 の集積回 路が構 築可能で あるこ とを示し た。

  二 分決定グ ラフと は有向グ ラフによるデジタル論理関数の表現法のーつであり、論理 を 構成する ための 単位機能 が単純 な二分岐転送、という特徴をもつ。したがって、トラ ン ジスタに 利用で きない物 理現象 であっても、二分決定グラフの形式ならば論理構成に 利 用できる 可能性 がある。 そして 適切な物理現象を利用することで、低消費電カと超高 集 積化に適 した集 積デバイ スを創 り出せる 可能性が ある。

  本 論文では 、二分 決定グラ フによる論理表現と量子物理現象と結びっけることにより 新 しい機能 を持つ 集積デバ イスの 構築を試みた。有望なデバイス構造として、単電子の 輸 送現象を 利用し た構成と 、それ に類似した磁束量子転送現象を利用した構成を提案し た 。それ ぞれ1個の電 子と1個の磁 束量子を 二分岐転 送して 論理動作 を行う 。いずれ も 転 送に必要 な回路 構成が単 純であ り、しかも転送に要する電カが微小なので、二分決定 グ ラ フ に も と づ い て 論 理 を お こ な う デ バ イ ス に 適 合 し て い る 。   本 論文によ る研究 の結果、 二分決定グラフにもとづく単電子論理回路と磁束量子論理 回 路の構成 方針が 明らかと なった 。さらに、大規模システムにも適用可能な回路設計手

仁 機

志 一

好 英

孝 喜

宮 川

井 永

   

   

雨 長

福 宮

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

法を確立す ることができた。従来は単電子現象や磁束量子現象を用 いて規模の大きい論 理システム を構成することは難しいと考えられてきた。しかし、本 研究により、二分決 定グラフと の組み合わせによれば低消費電カの大規模集積システム が原理的に構成可能 であること が判明した。あわせて、今後の研究展開に参考となる種 々の知見も明らかと なった。

  これを要 するに、著者は二分決定グラフによる論理表現を量子効 果デバイスでハード ウェア化す るという新しい概念を提案し、さらに単電子輸送現象と 磁束量子転送現象を 利用した実 際の論理システムの構成方針を明らかとしたものであり 、次世代集積回路の 開拓研究に 対して貢献するところ大なるものがある。

  よって著 者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格があるものと認める。

参照

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