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Ni-P 系低抵抗金属皮膜抵抗器

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Academic year: 2021

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(1)

無 電解 めっ きに よる Ni‑P系低抵抗金属皮膜抵抗器

1. ま え が

次亜 りん酸ナ トリウムを還元剤 とす る酸性無電解めっき法に よって作 製 す るNi‑Cr‑P 系金属皮膜抵抗器はその製造方法,電気抵抗特性等においてい くつかのす ぐれた特散を有す (1)(2)が,その一つに金属皮膜抵抗器 としては比較的高抵抗値の皮膜が得 られ ることがあげ られる.

しか しなが らこの反面, 低抵抗値 (0.3オーム以下)でかつ,抵抗温度係数 (以下T.C.R と略記する)の小さいものをこの方法で作製することは従来は困難であった.た とえば,低 抵抗体を得る目的で塩化 クロムを添加 しない,いわゆるカニゼン法によるニッケルめっきを 長時間にわた って施 して得 られ るNi‑P膜の場合を例にとると, めっき浴温75oC,め っき 時間15分以上の処理によって,一応0.3オーム (3.54×10mm,1WP型磁器円筒基体 に めっ きを施 した場合,以下同じ)以下の皮膜を得ることは出来るが, この場 合のT.C.R値はほ 300‑500ppm/oC程度 とかな り高 く,カニゼソ浴に塩化 クロムを添加 した浴に よって作 製する中抵抗体,もしくは高抵抗体のT.C.R (30p.p.m/oC以下)に較べて著 しく劣 って い る.

筆者は生産 コス ト,およびユーザー一般の要望を考慮 して無電解めっき法に よって抵抗値 0.2オーム以下,T.C.R150p.p.

m/oC以下の低抵抗体を得ること を一応の目途 として研究をすすめ て釆たが,従来のカニゼソ浴中に 還元性添加剤を加えてめっき処理 を行な う場合,ほぼこの目的を満 足する抵抗体を再現性 よく作製出 来 ることを確認 し,最適めっき時 間についても検討を加えたのでこ れ らの実験結果を報告する.

2.試料お よび電気抵抗特性 いわゆるカニゼソ法による酸性 無電解 ニッケル めっ き浴 を使 用 し,従来 と同様な方法で基体の粗 面化,脱脂,感受性化の各処理を

Plo Po

0.310

0.30̲

0.290 0.280

///ノ//////////^ (il) (.

3 0.270

0.260 ((a)b);初抵抗:熟処理後の抵抗値値分布

5 0.250

0.0000b.....222122413020990000̲ 分布 .(b) l

(b)

l

l

試 料 本 数

1 初抵抗および熟処理後の抵抗値分布 (Plo,Poの比較)

(2)

106 長野工業高等専門学校紀要 ・第5

施 した の ち,浴温 88oC 5分間のめ っき処理を施 して 得 られ1ロット20本 の試 料 (Poと略称する)と,同 じくめ っき浴100∝に対し10グラムの 還元性添加剤を加えた浴でめっ き処理を行な って得ら1ロ ッ ト20本の試料 (PIOと略称す る.以下同じ)について測定 し た初抵抗値分布を図 1に示す.

いずれの場合もその初抵抗値 分布は良好で,平均値に対す る 最大値,最小値の偏差はともに

±4%以内である.,(a)

初抵抗値分布,0))は250oC, 3

時間の熱処理を施のちの分 布を示す もの,エージング変 化率はPIOが20.9%減少するの に対 し,Poは30.6%減少 とか な り大きくなっている.

これ らのロッ トの中か ら無作 意に抽出した 3本づつの試料に つ いて測定 した抵抗温度特性試 験の結果を2に示す.この測 定は熱処理を施 さないまま,温 度を常温から200oCまで上昇さ せ,200oC到達後そのまま2時 間同温度にて放置してその過程 における抵抗値 変率 を測 定 し,次にこれを一旦常温 まで冷 却 したのちふたたび温度上昇さ せて同様の測定を行なったもの

100

■.= 温 度 〔℃〕 保持時間H) o ノ

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イ 一

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0 ‑‑P10 筋1回 日測定1

2 添加剤量のT.C.Rにおよぼす影響 (PJOとPoの比較)

0 6 12 18 24 30

3 め っき時間 と初抵抗値 との関係 で,その値は供試試料3本の平均値を示す.

図か ら第一段階すなわち常温か ら200oCまでの温度上昇過程では,マチーンの法則によ るpo(熱処理による抵抗率変化の非可逆部分)が存在 し,第二段階すなわち旦冷却 したの ちふたたび温度上昇せしめる過程ではpo分が消滅,pT分 (抵抗温度係数よる抵抗率変 化の可逆分)のみが残ることが明 らかである.

poは絶対零度における残留抵抗であって,この場合は面心立方格子か らなニッケルの徴 細結晶中の格子不整にもとず くもので,これが熱処理過程においてその粒界消滅 し,抵抗

(3)

無電解めっきにるNLP系低抵抗金属皮膜抵抗器 107

値を下げるものである(3). また,PoP10との特性の相違はPIOに余分に含 まれ る不純物に よりその格子欠陥数に相違をきた し,熱処理によるこれ ら欠陥の消滅程度にも差異が生ずる ためと考えられる.

第二段階の測定結果から求めたT.C.R値,つ まり200oC, 2時間の熱処理を施 した のち T.C.R値はそれぞれ,Plo;149p.p.m/oC,Po;514p.p.m/oCP10がPoに比べて格段に す ぐれているが,これは不純物による電位分布の不均一性によるものと考えられ る.

次に添加剤量をめっき浴100∝ あた り0‑10グラムの範囲にわた って小刻みに変え,めっ き浴温 も高温になるにつれて浴の自己分解 の確率が増大 し,生産上不都合の生ず ることを考 慮 して75oCとし,かつ,めっき時間を6,12,18,24,30分の5段階にわた って 変えて作製 した合計6ロッ トの試料 につ い て測定 した抵抗値,エージング変化率,T.C.R 値等の測定結果を図3‑図11に示す.

3は添加還元剤量 (グラム/100∝)をパラメータに とった場合の めっき時間 と抵抗値 と の関係を示す.抵抗値は1pッ ト50本中

より無作意に抽出 した3本の平均値であ る.めっき時間とともにめっき量はほぼ 直線的に増加するため,抵抗値はほぼ双 曲線的に減少 している. また添加還元剤 に よる抵抗値の有意差は認め られず,特 にめっき時間が18分をこえると抵抗値は ほとんど一致するものとみなされ る.30 分以上のめっきは液の自己分解を生 じや すいこと,および時間の割には抵抗値の 減少を望めないのでこの程皮の抵抗値を 得る手段 としては18‑30分程度のめ っき 時間が適当と思われる.

4は同じくめ っき時間 とT.C.R 関係を示す もので,添加剤のないロット は他のロッ トに くらべ極端にT.C.R が大きいことが明 らかである.添加試料 については添加剤量に よるT.C.Rの変 化に特に有意差は認め られないが,T.C.

R値 とめっき時間 との関係をみると,め っき時間が長 くなるにつれてT.C.R の減少す る傾向がみ られ,特にめっき時 30分の。ッ トについてはすべて100p.

p.m/oC以内に納 まっていることがわか る.

5はめっき時間とェ‑ジソグ変化率 との関係を示す. この値は200oC, 2

000000432aゝヒddtZ・U・ト.

・ ・ ‑ ■ ● 一 一 ・ 一

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+I1Po

o一一一P2 0‑‑PI

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一P8 X1‑‑Plo

6 12 18 24 30 めっき時間〔分)

4 めっき時間とT.C.Rとの関係

0090807060

%)(撃EE1)掛qJ

J

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0 6 12 18 24 30

めっき時間 〔分〕

図 5 めっき時間とェージソグ変化率との関係

(4)

108 長野工業高等専門学校紀要 ・第5

1098000二温度(̲d 時 間㌢〕

6 抵 抗温度特性 (P。)

塁lOOo 〈=遥警慧=二義0保持時間1 2H1

.ゝJ .0‑‑̲̲612:警 ‑王宮≡一 一

F.

0‑18

S 90

×一24分 4,

8 抵抗温度特性 (Pl)

3100o

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守時間㌢ト

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夏 7 間 竿 〟 .‑ \

≡ = :

10抵抗温度特性 (P8)

i

,100o 讐 時 間去H〕‑

̲

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岩 90 ;Ix 一一△一一三三言2340夏間分 〃分 〃穿

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図 7 抵抗温度特性 (P2)

100

■ヽ‑.i S.9080 温 度〔℃) 保 持 時 間 〔H〕

0 A ̲....̲6 20 0◆ 1 2

=

●‑⊥6分 間 め っ き

…≡……曇 …\

9 抵抗温度特性 (P8)

100

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保管時間2

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0‑18

15

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11起毛抗温度特性 (Plo)

(5)

無電解めっきにるNiP系低抵抗金属皮膜抵抗器

59︻%︺(坦吉守)qlyl

●・6分間めっき

012 /I

0‑18 /I x24 ,I 30

5099︻%]()静JI

0 2 4 6 8 0 2 4 6 2.10℃放芯時間H〕 200℃放毘時間H】

12高温無負荷放置特性 (Plo) 図13高温無負荷放置特性(Po)

問の熱処理を施 したのち常温 まで冷粧 した場合の抵抗値に対す る初抵抗値の比 (相対値)を 示す もので, この場合もPoの変化率が大 きい点を除けば添加剤量に よる有意差はみ とめ ら れないが,め っき時間が長 くなるにつれてその値は一様に滅少 している.

6‑図11はPo,P2,P4,P6,P8,PIOの各 ロッ トの抵抗温度特性を示す もので,図2 示 したものと同様に常温か ら200oCまで温度上昇 させた後 200oCにて2時間保持 した場合の 抵抗値変化の推移を示す.

各 ロッ トに共通 した憤向として,め っき時間の増大に伴なって抵抗値変化率が減少す るこ と,およびこの傾向は添加試料において特に著 しい こと等をあげることが出来 る.

図12, 図13はそれぞれ PID,Poについて行な った高温 (200oC)無負荷放置特性を示す も ので,これ らか ら高温無負荷安定性についてはPIOがPoに くらべて著 しくす ぐれてい ること, およびPIOについていえば,め っき時間の増大 とともに安定性の増大することが明 らかであ る.

他の添加 ロッ トについてもこの傾 向は析似 してお り,無添加 .]ッ トのみが著 しい不安定性 を示 している.

このようにめ っき時間の短い ロッ トが長時間め っきの ロッ トに くらべてそのエージング変 化率,温度特性,無負荷放置特性等において劣る理由についてはめ っき膜 の法線方向成分の 相違が考え られ る.すなわち当初のめ っき反応は活性化剤 として付与 した塩化パ ラジウムの 触媒作用に よって促進 されるのに対 し,め っき膜生成後は生成皮膜 (主としてNi‑P合金皮 膜)が触媒作用を行な うため当然そのめ っき反応に相違が表われ,そのため皮膜 の断面組織 が層状 とな り,た とえば基体表面におけるP含量は5%に対 し,0.1ミクロン附近で10%と, かな りの相違が生ず ることも報告されてお り(4),さらに,め っき過程において浴のpH値が次 第に減少 し, このため皮膜成分のP含是が増加す ること(5)も考え られ る.以上のことを考慮 して結局,長時間めっきに̀よって生成す る皮膜のす くれた特性は,皮膜中のP含量に よるも の と考え られ る.T.C.Rについてはこの他に添加剤に よる不純物の存在が影響 してい る こ

とは明 らかである.

(6)

110 長野工業高等専門学校紀要 ・第5

3.

カニゼソ法 として知 られている酸性無電解 ニッケルめ っき浴に,還元性添加剤を混入 した 浴に よって得 られ る皮膜の電気抵抗特性を検討 した.その結果,

(1)添加剤の混入に より,無添加浴 より得 られ るNi‑P合金皮膜に くらべ,著 しくT.C.R の良好な抵抗膜を得ることが出来 る.

(2) この傾向は添加剤の分量を小刻み (め っき浴100∝ あた り, 2, 4, 6, 8,10グラ ム)に とって検討 した結果,添加剤量にはあまり影響 されない.

(3)ェ‑ジソグ変化率,初抵抗値分布,無負荷放置特性等については,添加 ロットが無添 加 ロッ トに くらべ てす ぐれているが,添加 ロッ トについて検討 した結果は添加剤量に よ

る有意差はあ まり明 らかではない.

(4)めっき時間については添加 ロッ ト,無添加 ロッ トともめ っき時間の 増 大 と と もに, T.C.Rエージソグ変化率,高温無負荷放置特性 とも著 しく向上す る.

等の点が明 らか とな った.

めっき時間が30分を こえ,添加物が10グラム/100ccをこえた場合,浴の自己分解す る可能 性が増大 し,この傾向は浴温が85oCをこえるときに特に著 しい こと,お よびめ っき槽は通常 プラスチ ックス製容器を使用す るためその耐熱性はほぼ75‑80oCが限界であること等を考 慮すると,所期の 目的である低抵抗値,低T.C.R値の試料を得るため に は,添加剤2グラ

/100cc,め っき浴温75oC前後,めっき時間20‑30分程度が適当であると思われ る.

本研究にあた り,原材料を提供 していただいた株式会社 日本抵抗器製作所の開発担当関係 各位に深甚な謝意を表す る.

(1)樋清 正 無電解めっきによるNiCr・P皮膜抵抗体について,電子通信学会誌(o)197118 (2)樋清 正 無電解めっきによるNiCr・P皮膜抵抗体の熱処理効果について

電子通信学会電子回路部品材料研究会資料,資料番号CPM72‑38(19721や9)

(3) S.T.PaiandJ.P.Marton"AnnealingEffectsontheStructureandResistivityofNiP.

丘lms"AppL Pbys.γol.43.No.2Febmary1972.

(4) A.H Graham P.W.Lindsayand.R..Red..ElectroChem.Soc.112.408(1965) (5) た とえば,森岡達也;金属表面技術11,131.(1960)

参照

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