,長野工業高等専門学校紀要 ・第1
9号(
1988) 65無電解
Ni‑W‑P皮膜低抵抗体 の量産化 の検討
青木博夫 樋浦正
Study of mass production of low ohm resistors prepared by electroless Ni‑W‑P plating
Hiroo AOKI and Tadashi HIURA
Thelowohm metal負lm resistorsunderlSとcanbemadebyelectrolessNi・Pplating.
℃utforpreciseusetheyarenotsuitablebecauseoftheirTCRcannotbecomelessthan lOOppmrC.SowedevelopedNi・W・Pmetalfilm lowohm resisitorswhichTCRisequal toprecisiontyperesistors,bychangingtheratioofingredientsinplatingbath.
Atfirstinthispaper,thetrade・offPointbetweenTCRanddeposittingratehas beeninvestigated,assumi ngmass・productionof30thousandsresistoresinalot.
And thenreliabilitytests,including shorttimeover・load,temperaturecycle, pulse,Stepstress.loadlife,moistureloadlife,Werecarriedoutforbothconventional Ni.PandNi・W・Pmetal丘Im resisitors AsaresultithasbeenfoundtheNi・W・Pis superiortotheNi・P,especiallyinstepstressandpulsetest.
1. ま え が き
真空蒸着法やスパ ッタ リング法によって作製され る金属皮膜抵抗器は,炭素皮膜抵抗器に 此較 して優れた特性を有するため,近年電子機器の高性能化に伴って広 く使用 されつつある.
しか しシャン ト抵抗や電流検出抵抗 として使われるlSl以下の低抵抗に関しては,真空蒸着 龍やスパ ッタ リング法では,低抵抗になるにしたがって抵抗温度係数 (以下TCR)が増大 す ること,および作製に長時間を要することなどか ら性能面, コス ト面の両面か ら実用上の 困難点がある.
一方,無電解めっき法は,上記のような真空系を用いる方法に比べて,開放系であるため 大量生産向きではるかにコス トダウンが可能であ り,低抵抗 も作 り易いとい う特長を有する.
そこでこの方法によってNi‑P合金の低抵抗器が実用になっているが,そ のTCRは約100 ppm/oCと大 きく精密な用途には適 さない(1).
我々は無電解Ni・W ・P合金めっき液成分の最適化を行 うことで,TCRが数ppm/oC以 下 の精密級の低抵抗器を作製 し,各種信頼性試験 も実施 しこの抵抗器は十分実用に耐え得る
ことをすでに報告してきた(2).
今回は1
ロ
ッ ト3万本の抵抗器の作製を前操 として,実用上十分なTCR値 とめっき速度* 電気工学科 助教授
** 電 気工学科 教授
原稿受付 昭和63 年
9月
28日
との トレー ドオフ点を検討 した.そ して この方法によって作製 した抵抗器 と従来か らの Ni
‑Pめっき抵抗券について,ステ ップス トレス試験等を実施 した ところほ とん ど全ての面に おいてNi・W・Pめ っき抵抗器が優れてお り,特にステ ップス トレス とパルス試験において その差は顕著であった.
2.
試 料
抵抗基体 としてはアル ミナ含有率70%,表面末研磨 の直径1.7m,長 さ5.5mの1/4W塾に 相当する磁器円筒を使用 した.めっきの前処理は従来の方法(3)で行い,めっきは液組成,液 温,めっき時間,Ⅴ/A比 (め っき液 と全基体表面積の比)等 の条件を変えて行 っ た.熱 処 理は空気中250oC, 3時間で行い,その後に円筒両端にスズめっき銅線 リー ド付 きキャップ 電極を圧入 した.次に実使用状態 と同一にするため,めっき膜に溝切 りを行 った ものの表面 に保護塗装を施 し信頼性試験用の試料 とした.なお溝切 りは, レーザー光線を用 いて行 うレ ーザーカッティング (以下LC)と回転するディスクを用いて行 うメカニカルカッティング
(以下M C)の2種類で行い諸特性に及ぼす影響について調べた.
3.
実験結果お よび検討 /
低抵抗では膜厚が厚 くなる関係上,め っき液中のイオンを多量に消費す るため,必要 とす る薬品の量 も多 くなる. また低抵抗の場合,めっき時間が長 くなるためェネルギー消費 も多 めになる.そ こで無電解めっきの特長を生かすためには,めっき速度の向上 とめ っき液の有 効利用により, さらにコス トの低減をはかる必要がある.
まずめっき速度の向上をはかるために, この低抵抗用めっき液を構成す る各成分の作用に ついて検討す る.め っきはめっき液中の金属イオンの還元作用によって行われるため,液中 には十分な金属イオ ンの存在が必要であ る.
.このめっきの場合には, ニッケルイオン, タングステソイオソ供給 のためにそれぞれ 硫酸 ニッケル, タングステン酸ナ トリウム の金属塩が用 い られている. この金属イオ ンを触媒物質上に還元析出させるために, 還元剤 として次亜 リン酸 ナ トリウムが用 い .られている. まためっき液の安定性を保 ち 寿命の延長をはかるために,錯化剤が用 い られ るが, これは金属イオンを錯体化 し遊 離金属 イオン 濃度を低下 させ る働 きがあ る. このめっき液 の場合には 錯化剤 とし て, クエ ン酸 ナ トリウムが用 い られ て い る.錯化剤は上述の ようにめっき液を安定 にす る働 きがあるが,一方ではめっき速度 を低下 させて しま うとい う困難を招 くこと になる.
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a∝8
6420 2 5 5 0 P L q l i 7 5 1 0 0
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図 1 め っ き 時 間 と 抵 抗 値 の 関 係
無電解Ni・W・P皮膜低抵抗体の量産化の検討 67 そ こで クエ ン酸ナ トリウム量を減少させることにより,めっき速度の上昇が予想 され るの で,めっき液中のクエ ン酸ナ トリウム量をlJ中20‑40gの間で5gきざみで変化 させてめ っ きを行った. クエ ン酸ナ トリウム量をパ ラメータとして,めっき開始後5分以後におけるめ っ き時間に対する抵抗値の減少の様子を図1に示す・ この時のめっき条件はタングステン酸 ナ トリウム量10g/∫, 硫酸 ニッケル7g/∫,次亜 リン酸ナ トリウム10g/∫, め っ き 液 量500 mt,めっき液温90oC,基体本数350本である・図 よりクェ ソ酸ナ トリウム量が少な くなる紘
ど,同一時間における抵抗値は小 さくなることがわか る・ しか しなが ら25g/tではめっき開 始 後25分,20g/Jでは10分で自己分解を起 こしめ っき液は使用不能 となった. 自己分解 の原 因 は次のように考 えることができる・ このめっき液 のように次亜 リン酸塩を用 いた無電解 ニ ッケルめ っき液では,めっきの進行につれて溶液中に亜 リン酸 イオンが蓄環 され, これが遊 離 ニッケルイオソと結合 して亜 リン酸 ニッケル沈澱物質(4)が形成 される・ これがめ っき反応 の触媒 として働 くため,めっき液 の自己分解を招 くことになる. したが って25g/J以下のク エ ン酸ナ トリウム量ではニッケルの錯化が十分でな く,遊離 ニッケルイオンが液中に多量 に 存在 し, 自己分解を起 こすためめっき液 の処方 としてこの温度では,ふ さわ しくないことに な る.
次に40g/Jと30g/Jの抵抗値減少曲線か ら,両者の抵抗値の減少の程度を比較す る. まず め っき時間 と抵抗値の掛 ま一定 とい う仮定(2)を行って,40g/tの時の定数をA,30g/lの時 の定数をBとすると,それぞれの抵抗値の減少率は,
旦dtニー A B・意 ‑‑B去
とな り,定数Aお よびBに依存す るため同一時間における曲線の債 きか らは,めっき速度 の 減少の程度を比較することはできない・
そ こでめっき時間 tlのクエ ン酸ナ トリウム量40g/Jにおける抵抗値をRal,30g/Jにおけ る抵抗値をRbl,t2の40g/Zにおける抵抗値をRa2,30g/tにおける抵抗値 をRb2とす る と,先の仮定 より
Ral・tl‑Ra2・t2→Ral/Ra乞‑t2/tl Rbl・tl‑Rb乏・t2ーRbl/Rb2‑t2/tl
とな り抵抗値 の比は,めっき時間の逆数比 と等 しくなるはずである. しか しなが ら実際には 我抗値の減少は理論値 よ り低下する・ したがってある2点間の抵抗値の比が,その時間の逆 数比か らはずれる度合により,めっき速度の減少の比較を行 うこととす る.
めっき時間5分 と50分において両曲線の比較を行 うこととす る.図よ りつ ぎの値 を得 る.
tl‑5,t2‑50,Ra1‑9.16,Ra宅‑1.24,Rb1‑6・42,Rb2‑0・68,これ よりt2/t1‑50/5‑10, Raユ/Ra2=9.16/1.24‑7.35,Rbl/Rb2‑6・42/0・68‑9・4となる・これよ り30g/lでは抵抗値
の比は,時間の逆数比か らはあ ま りずれていないが,40g/Jの場合ではかな りずれていること がわかる.め っきが進行す るためには, ニッケル クエ ン酸錯体か ら解離 した遊離 ニッケルイ オ ンの存在が必要 となるが, クエ ン酸ナ トリウム量が40g/Jの場合には, この解離速度がめ っ き速度に追 いつけないために,理論値 との差が大 きくなった ものと考えられ る.一方30g
/Jのものは遊離 ニッケルイオンが,めっき速度
に見合 うだけ存在す るため理論値か らの差は, 100 小 さかったもの と考え られ る.
クェン酸ナ トリウム量20,30,40g/Jの試料 か らlSと前後の抵抗値のものを選び, これにカ 5
ッテ ィング を行い10(日と程度に 抵抗値を 拡大 560 し,TCR,短時間過負荷お よび第3高調波雑
●U
盲 80こし
ト
音 の試験を行 った. ここで短時間過負荷 とは, 40 定格 の2.5倍電圧を5秒間印加 した後の抵抗値
変化率であ り,第3高調波雑音 とは,抵抗器に 20 10kHzの定格電圧を印加 した 時端子に 現われ
る第3高調波 (30kHz)の電圧 の値である. 0 図2よ りクエ ン酸ナ トリウム量が20,30,40
ど/Jと増 えるに したがってTCRの平均値お よ ‑20 びば らつ きが, 小 さく なっている ことが わか
る. なおばらつ きは,10本ゐ試料の不偏分散の
20 30 40 Quqn一myofSodiumCiTrqle(g
/
i)
平方根で表わす ものとす る. カッテングの違い '図
2 クエン酸ナ トリウム量とTCRの関係 で比較す ると,全般的にLCの方がMCより,平均値お よびば らつ きが大 きくなってお り,特に20g/tの場合にはその差が足弓著 となってい る.めっき液中 のクエン酸ナ トリウム量が減 ると,皮膜中の リン含有量が減少,一方 ニッケ ル含有量は増大 し(5)導電機構が純 ニッケルに近づ くためTCRは大 きくなった ものと思われ
表l クエナ酸 トリウム量と 短時間過 負荷特性 クエン酸ナトリウム量
(g/り
表2 クエン酸ナトリウム量と 第3高調波雑音
クエン酸ナトリウム量
(g/り
LCIMC LCIMC LCIMC LCIMC ,o・o/ ILV
0.00 0.12 0.01 0.10 0.01 0.12 0.00 0.10 0.00 0.13 0.01 0.13 0.01 0.12 0.00 0.12 0.01 0.12 0.01 0.10 LC:レ‑ザ‑カッティソグ
MC:メカニカルカッテンィソグ
LC:レーザーカッティング MC:メカニカルカッティング
無電解Ni・W・P皮膜低抵抗体の量産化の検討 69 る. またLCのほ うがTCRが大 きめに出る原因については, レーザーによる■ヵ ッテ ィング 個所がディスクカッティソグより高温にな り, この部分の結晶化が進んだため と考え られ る.
したが ってクエン酸ナ トリウム畳20g/Jでは,皮膜 中の リン含有量が少 ないための温度の影 響が強 く現われて,30g/I,40g/Eよりもカッティ1(グによる差が大 きくなった もの と思わ れ る.
表1ほ図1の試料を用いた短時間過負荷試験 の結果を示す.表 よりすべての試料は0.05%
以内に収まっていることがわかる.
ク
エ ン酸ナ トリウム量についてみると含有量が減 るに従 って変化率は大 きくなる偵向にあ るが, やッティング方式浸よる差は見当 らない・表2はクエン酸ナ トリウム量 と第3高調波雑音の関係を示す.LCのものは,30g/Eで最 低 の値 になってお りそれぞれのば らつ きもほ とんどないことがわかる.M Cの場合に も同様 の債向を示すが,30g/Jお よび40g/Jの試料中に,他のものより1桁大 きな試料が混在 して いることがわかる. この原因については,低抵抗では膜が厚 くなるためカッティング時のデ ィスクの機械的力が, カッティング部以外にもおよび膜を剥離 させ るため と考え られ る. こ れはめ っきの基体への付着力を,高めることに より故事できるもの と考えられ る.一方LC の場合には,皮膜に機械的力が加わ らないため皮膜 の剥離は起 こらず,特別に大 きな値のも のが存在 しないもの と考え られる.
●表
3 試験項目と試放条件,規格値試 験 項 目 l 試 放 免 凍 l 規 格 値 l試料数 TCR
温度サイクル
短時間過負荷 はんだ耐熱性 ステップス トレス
/( /i, ^
負 荷 寿 命 耐湿負荷寿命
25(C〜+65oC
‑55巾C(30
分) →
+25pC(5分) →
+155lC(30分)
5サイクル定格電圧の2.5倍 5秒 350oCはんだ浴 5
秒没的
定格電圧の2.5倍から0.5ス テップで増加コソIJソサ充放電方式 ユ砂間隔
70【C,90分ON30
分
OFFの定格間欠負荷 40oC,95%,90
分
ON 30分
OFFの定格間欠負荷
±0.5%
±0.5%
10 10 5
1 1
0 10次に従来のNi・P低抵抗器 と本法によるNi・W‑P低抵抗器を量産規模で作製 し,以下の 試験を行い両者の特性を比較 した. ここでNi・W・P めっきのめっき条件で,図1と異なる 点はクエソ酸ナ トリウム畳25g/∫, 液量107, 液温50oC,基体本数3万本,めっき時間3時
間であ る.試験はTCR,温度サイクル,はんだ耐熱性,短時間過負菰 ステ ップス トレス, パルス,負荷寿命,耐湿負荷寿命の8項 目であ り,それぞれの試験条件は表3に示す.
図3にTCRの比較を示す.M Cについて見 ると,Ni・Pでは平均値で100ppm/oC程度,
最大値で 120ppm/oC程度であるが,Ni・W・Pでは平 均値で 30ppm/oC程度であ り, ば らつ きも小 さいこと がわかる.LCについて見るとNi・W・PではMCとの 差はほ とんどないが,Ni・Pでは平均値で30ppm/oC凝 度減少 している. ここでMCでTCRが大 きめになる原 因は,MC時の溝付近の皮膜 の温度が熱処理温度以上に な り,皮膜の結晶化が進む(6)ため と考え られる・一方L cでは レーザーの ど‑ム数十 jLと狭 くまた 高速で行わ れ るため,溝付近 の皮膜 の温度上昇が少ないためTCR は本来の値を示す と考え られ る.Ni・W・Pでカ ッティン グに よる差がないのは, もともとこの皮膜は温度に対 し て安定であるか らである(2).
図 4に温度サイクルの比較を示す・MCについて見 る E93 TCR
と平均値では差がないが,ば らつ きでは Ni・W・Pのほ うが1/3程度になっていることがわ か る.LCについて見 るとNi
‑ P
では絶対値でみた最大値はあま り変化はないが,平均値 では大 きくなってお り, Ni・W・Pでは前図同様カッティングによる差が疏著でないことが わかる.図5に短時間過負荷の比較を示す・MCについて見 るとNi・Pで値がNi・W・Pに比較 し て大 きくなっていることがわかる・ しかしLCでは両者の差は顕著ではない・ この試験にお いてもNi・W・Pではカッテ ィングによる差は認め られない・
喜
∝\
0 . 0 5
o:
A 0
‑0.05
‑0.10
‑0.15
‑0.20
図4 温度サ イ クル 図5 短時間過 負荷
図6にはんだ耐熱性の比較を示す・Ni・Pで負の変化すなわち抵抗値が減少す る原因は, 350。Cのはんだに浸す ことに より結晶化が若干進行す るため と考えられる・
図7にステ ップズ トレスの比較を示す・MCについて見 ると電圧で4倍,電力で16倍 まで 差はな く, しか しそれ以上ではNi・Pで急散に抵抗値が減少す るが,Ni・W・Pでは5倍 まで 耐 え得 ることがわかる・LCについて見るとNi・W・Pでは
M
Cと大差ないがNi・Pでは4・5無電解Ni・W・P皮膜低抵抗体の量産化の検討 倍 まで耐え得ることがわかる.また丙めっき膜 ともLC
のほ うが 耐え得る電圧の境界が 明確である ことがわか 言ヽ̲′0.2
る. これはLCの切断面がMCに比べてバ リがす くない だ たB,電圧が皮膜中で平等に印加 され発熱の局部集中が 竜 o・1
避けられるため と考えられる・ このように過負荷電圧を o
加えることにより抵抗値が減少する原因は,過負荷によ
る自己発熱の温度が熱処理温度を上回 り結晶化を進展 さ 0・1 せ るためであるが, この試験結果か らもNi・W‑P 皮膜 ‑0.2 が熱に対 して安定であることが証明され る.
図8にパルス試験の比較を示す.Ni‑W・Pではカッテ ィング方式によらず10,000回印加 してもその抵抗値変化 は掻 くわずかであることがわかる.一方Ni
・ P
ではその■lllヽ 芭 +5
α:
丘 !
lLAr 0
‑5
‑10
‑15
‑
20
‑25
‑30
‑35
‑40
2.53.03.54.04.55.05.5
Muui p t eofRQ t i ngVoudge 図
7‑ 1 ステ ップス トレス盟 +5
α:
≧ o
A
‑5
‑10
‑15
‑20
‑25
‑30
‑55
‑40
‑0.3
71
図
6 はんだ耐熱性● N卜W‑ P 0 N卜P ( Lc I SerCu 川ng )
2.53.03.54.04.55.05.5 MuL†fpteofRq†hgVouqge 図7‑2 ステップス トレス
変化は少ない回数のころか ら現れ,MCでは1,000回付近か ら急激に増加する・ しか しLC ではその増加はわずかである.前述のよ うにカッティングの切断面にJ叫 が存在す るとこの 部分に電界が集中し,パルス印加を繰 り返すことによりこの部分の皮膜を破壊 し,抵抗値の 増大をもた らす と考えられる.Ni‑W‑Pでは,MCでも抵抗値変化が少ないが, このことか
らこの皮膜は電界に対 しても強斑であることがわかる・
図
9
に負荷寿命の比較を示す.MC,LCともにめっき方式による差はほ とんどないがL cの方が変化率が小さいことがわかる・図10に耐湿負荷寿命の比較を示す.MCについて見るとNi・Pでは170時間までは一旦抵
(Y.)∝\∝
V
1.2 1.00. 8
0.6 0.4 0.2 0‑0.2
100 101 102 103 104
1 mpressi ngTi mes 図 8‑ 1 パ ル ス 試 験
室
∝ 〇
・2
\ ∝
< 0
.10
‑0
.1● N卜W‑P 0 N卜P
亭 主 ‑ 。‑‑ ‑ ( Mec hQ n i c q LCuI l i ng )
102 ・.5xlO2 10さ
She
LfTi me( H) 図
9‑ 1負 荷 寿 命
ヽ
演̲■■∝ 〇・2
\
∝
< 0
.10
‑0.1
● NトW‑P
0 N i ‑ P
主 ≠
( Mec hQ n i cQ LCuI l i ng )
102 5×102 103
She
LfTi me( H) 図
10‑ 1耐湿負荷寿命
42021
0 8
64202I ' O
OO0O(Y.) t] /
∝Voo 101 102 103 10
.
1 mpr essi ngTi mes 図
8‑2パ ル ス 試 験
求 = \ 笥 o 0 ・ 2 . 1 0
‑0.1
● 0 NトW‑ N ト P P
強ま =匪轟 二
( Lo se rCu 川 n g )
102 5xlO2 lo‡
She L fTi me( H) 図
9‑2負 荷 芳 命
盟 α 0.2
∝
\<
0.10
‑0.
1
●
Ni‑W‑ P 0
Ni‑P=F ̲ ‑ t = i f f j , I
( Lc serCul l i n g )
102 5xlO2 10'
She
tfTi me( H) 図
10‑2耐湿負荷寿命
抗値が減少す るがその後は上昇 し,Ni・W ・Pでは170時間まではほ とんど変化がなく,その 後Ni・Pと同様 な憤 きで上昇 してい くことがわか る.LCについて見 るとMCと同様な傾向
無電解Ni・W・P皮膜低抵抗体の量産化の検討 73 であるがその変化は,はるかに小 さいことがわか る.
4. あ と が き
研究室 レベルでは,従来のNi・P低抵抗器 よ りもはるかに優れていた Ni・W ‑P 低抵抗器 の,量産化を前提 とした実験を行 った.めっき液中のクエ ン酸ナ トリウム量を減 らす ことに よ りTCRはある程度犠牲にすることになるが,めっき速度 の向上をはかれ ることがわかっ た.
そ こでめっき液10J中で3万本めっきし, 各種試験を実施 し特性評価を行 った.Ni・W ・P めっきは,TCRの値が小さいのはい うまで もな く,過負荷お よび熱に対 して安定であるこ とが証明できた.特にステップス トレス試験お よび′くルス試験に関 しては, Ni・PめY;きよ りも格段に優れていることがわか った. またカッティング方式について見 ると, レーザーカ ッティングが全般的にメカニカル カッティングよ りも優れてお り, したが って より高安定な 抵抗器製造には レーザーカッティングを用いる必要があると考え られ る.
これで一応大量生産 レベルでの試験をほとん どすべて実施 し,工場で実用化可能であるこ とを確認できたわけであるが,今後は別の元素を用いた合金によ り,初抵抗値で0.151程度 のものが1時閉場下の短時間でめ っきが可能でかつ諸特性の優れた抵抗器を開発 したい・
最後に本研究を進めるに当 り,多大なる御協力をいただ きました多摩電気工業株式会社に 感謝 の意を表 します.
文 献
(1)
N.
Miura,Y.Fuura and A.kazami :Low・Value nikelresistorsElectroless‑plated on IMST substrateforpowerhybridICs.ElectrocomponentScienceandTechnorogy.8,
pp.83‑89(1981).(2)青木博夫,樋清 正 :無電解Ni・W・Pめっき膜を用いた低抵抗体の電気抵抗特性,電子情報通信 学会論文誌,J70‑C,7,pp.1064‑1069(1987).
(3)樋浦 正,青木博夫 :無電解めっきによるNi・Cr・P皮挟抵抗体の電気抵抗特性,電子通信学会論 文誌,J61‑C,8,pp.517‑524(1978).
(4) 神戸徳歳 :無電解めっき,損書店,p127(1984).
(5) 小岩一郎,逢坂哲洞,沢井秀夫 :非晶質無電解Ni・W‑P皮膜の抵抗値の熱変化特性,金属表面技 術,34,12,pp.36‑39(1983).
(6) ST.PalandJ.P.Marton:AnnealingeffectsonthestructureandresisitivityofNi・P 丘lms,∫.Appl.Physリ43,2,pp.282‑287(1972).