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Ni-Cr-P 皮膜抵抗体の電気抵抗特性

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(1)

無電解 めっ きに よるNi‑Cr‑P皮膜抵抗体 の 電気抵抗特性

正*

1. ま え が

電子回路部品として現在各方面で使用 されているいわゆる金属薄膜抵抗体は炭素系あるい 'は樹脂系その他の皮膜抵抗体に比 し,抵抗温度係数,安定性等において格段にす ぐれた特性 を示 し, これに使用す る金属材料についても多種類の単金属あるいは合金が実用化 され てお り,その理論的研究 も種 々報告されている(1).しかるに これ らの皮膜は少数の例外を除 きそ のほ とん どが真空蒸着法 もしくは カソー ドスパ ッタリソグ法によってその形成がな され る関 係上,大がか りな真空装置を必要 とす ること,平板上に皮膜形成が行なわれ るため抵抗値の 調整に炭素皮膜抵抗器においてな され るようなみぞ切 り法が適用できない こと,金属薄膜の 特質上電極付けに特別な 配慮がなされなければな らない こと等 主 として 生産上の 難点があ る. これ らの困難点を改善す るため,皮膜 の形成方法の一つ として無電解め っき法の採用が 考え られ る. この方法に よれば上記の困難点のすべてを解決できるのみな らず,皮膜の付着 力 も大で,相当過酷なは く離試験に も十分耐える こと,皮膜 自身の機枕的強度 も大で耐摩托 性 も十分であること,あ っき膜厚が被め っき体の形状に よらず均一であることな ど数多 くの 利点を有 しこのためすでに2‑3の企業で実用化が計画 されてい る状況である. しかるに こ れ ら無電解め っきに よる皮膜形成はそのほ とんどが次亜 りん酸ナ トリウムを還元剤 とす るい わゆるカニゼ ン法に よるニ ッケルめ っきが主体で,その皮膜成分は りん約10⊂%コを含むNi P合金であって,抵抗器 として使用す る場合次の点で大 きな欠点を有す る.すなわち,(1) 抗温度係数が大きい こと,(2)抵抗値 の高い ものが得 られない こと等である.抵抗器は もとも と発熱を伴 う部品であるため,(1)の弱点は特に致命的である.実際に作製 した試料について 測定 した結果,熱処理その他種 々のエージングを施 した試料についてみても,抵抗温度係数 100亡ppm/oCコ以下のものを再現性 よく作製す ることは困難であ り(2), しか もその抵抗値 も 安定に作れるもの としてはほぼ100fl/cm2jが限界の ように思われ る.また,JIS規格並 衣 (7¢×23m‑mの磁器製円筒基体に皮膜形成せ しめた ものに1W負荷)の負荷寿命試験 の結 果はほぼ100時間の負荷に耐えることが限界で, 2倍負荷では相当に悪 く, さらに3倍負荷 を加えた場合,約25時間で プラス10(%コ以上の抵抗値変化率を示 し, とうてい使いものに な らなか った.

無電解めっき法に よるNi‑P合金皮膜 のこれ らの欠点を改善す る目的で, このNi‑P 金中に クロムを添加す ることを試みた結果,次亜 りん酸ナ トリウムを還元剤 とす る無電解 ニ ッケルめ っき法に準ず る方法に よって,Ni‑Cr‑P合金皮膜を絶縁性基体表面に形成せ しめ

*電気工学科

昭和46年11月20日受理

(2)

44 長野工業 高等専門学校紀要 ・第4

ることが可能であること,皮膜 中のクロム成分を適当にえ らぶ ことおよび適 当なェ‑ジソグ を施す ことに よって抵抗温度係数30bpm/oCj以内の試料を再現性 よく作製出来 ること,初 抵抗値で数十〜数万 ⊂fl/cmBJの範囲にわた って安定に作 り得 ること, 負荷寿命はステ ップ ス トレス式で定格の4倍負荷を印加,16時間後の抵抗値変化率が1〔%コ以内であ ること等が 判 明 した.以下は これ らの実験結果の詳細な報告である.

2.試 料 の 作 製

N ‑Cr‑P合金皮膜は従来 よ り行なわれてい る無電解 ニ ッケルめ っきの手法に したが って 粗面化,脱脂,感受性化,活性化の各処理を施 した絶縁性基体を,酸性無電解 ニ ッケルめ っ き浴中に適量の塩化 クロムを添加 して浸漬す ることに よって基体表面に形成す ることが出来 る.め っき工程 のブ ロック図お よび脱脂液,感受性化液,活性化液 の処方の一例を次に示す.

本実験 では浴の調合お よび浴管理のわず らわ しさを考慮 してニ ッケルめ っき浴のみは市販の 酸性無電解 ニ ッケルめ っき浴を用い,その中に適量の塩化 クロムその他を添加 した.

め っき工程 ブロック図

l l垂 上座芦 J

無水 クロム酸 75⊂g

硫 酸 250cccj 感受性化液

塩化第‑すず 10Cg) .

40lcc

* ・ 1000Cccj 活 性 化 液

塩化パ ラジウム 0.25⊂g 1000Cccj 1は ニ ッケルめ っき浴100亡ccコに対 し, それぞれ,0,1,2,3,4グラムの塩化 クロ ムを添加 した浴中に上記前処理を施 した抵抗 基体を1分間浸漬 して得 られた皮膜中の クロ ムの分析結果を示す. この場合の浴のpH 塩化 クロムの分量に よって多少変 るが,ほぼ 6‑ 4,め っき浴温は920亡Cコ一定,活性化 液感受性化液温お よび水洗温度はすべ て常温 とし,抵抗基体は皮膜 の付着力を高め る目的 で, 2r%コ弗酸水溶液中に5分間浸漬 して粗 面化をはか った‡wp型磁器製 円筒基体 伽

×10mm)を使用 した. 塩化 クロム量 の増大 とともに皮膜中の クロム成分 も増大す るが,

321%)・IUW3g

1 2 3

塩化 クpム量 lg/100cc

1 塩化ク。ム量とクpう成分 Fig.1 Relationship between component

ofCrandweightofCrC12

(3)

無電解めっきによるNiCrP皮膜抵抗体の電気抵抗特性 45 塩化 クロム量が 4(g/100cc〕を こえるとめ っきのつ きまわ りは急速に悪化 し,均一な皮膜を 得 ることは困難 となる. この際 のクロム混入の機構 として,

(1) クロムイオソが ニッケルイオンと全 く同 じよ うに して次亜 りん酸ナ トリウムに よ り還 元 され,基体表面に析出す る.

(2) クロムイオンの状態のままか,あるいは クロムとりんの化合物,た とえばCrHPのよ うな形で皮膜中に混在する.

等の場合が考え られるが,浴のpH6‑ 4であ り,酸性溶液における電位‑pH図か ら想 像 して(1)の クロムの還元析出の可能性は少なく, したが って(2)のイオン状態のままか, また は りんとの化合物の状態で混入 しているとみる方が 自然の ように思われる. この際の反応式 として次のような場合が考えられる.

II2PO2‑+H'+ 4H.J PHS+ 2H20 Cr+PH8ー CrHP+H2

3.熱処理 と抵 抗温度特性

これ らの試料の抵抗温度特性を図2‑図6に示す. 図2はめ っき浴中の塩化 クロム畳 (ど/

100cc)をノミラメータとして温度を常温か ら400(oC)まで上昇せ しめた場合の抵抗相対値の 変化を示す.塩化 クロム0(gコすなわちNi‑P皮膜においてほ,300‑400CoCコでNi‑NiBP の共晶体が析出 し始め,結晶変態す ることがⅩ線的に確認 されてお り(3), このためその導電 機構は純 ニ ッケルに近いものとな り,図のように既著な抵抗値の減少を示す ものと考え られ るが, クロムを多量に含有する試料については この傾向は少な く,塩化 クロム3亡gコ以上の 試料についてはむ しろ抵抗値の増加がみ られる. 図3は塩化 クロム3亡g/100ccコ含有のめ っ き浴を用いて皮膜形成 した試料について, 常温‑ 50(oC‑30(oC‑100亡oC‑40(oC

0 100 200 300

度 〔C〕

400 0 50 100

7 度 (C〕

150 200

2 温度と抵抗相対値 3 温度と抵抗相対値(繰返し加熱) Fig.2 Relationshipbetweentemperature Fig.3 Relationshipbetweentemperature

andrelativevalueofresistance. andrelativevalueofresistance

(4)

46 長野工業高等専門学校紀要 ・約 4

‑150⊂oC‑70⊂oC‑200(oCコ‑30亡oCコのサイクルで加熱冷却を繰返 した場合の抵抗相 対値変化の様子を示す.図か らあ る温度 まで加熱すれば,その温度範囲においては温度に よ る抵抗値の変化 したが って抵抗温度係数の値は格段に小さくな り, しか もその値は加熱温度 に よらずほぼ一定であることが判 る. したが って抵抗器の使用条件 より考えて低抵抗温度係 数のものを得 るためには約200亡oC)程度の熱処理が適当であると思われ る.図4は同 じく め っき浴中の塩化 クロム量をパ ラメータにとって200(oCコまで温度を上昇せ しめ,同温度 にて3時間保持 した後徐冷 し,再び温度上昇せ しめた 場合の 抵抗相対値の 変化の 様子を示 す.塩化 クロム量によってその様子は異なるが,いずれの試料 も200亡oCコ加熱後徐冷す る 時は加熱の時のあ とを辿 らず,図の矢印で示す よ うな変化をす る.而 してこれを再び加熱す る時はほぼ冷却時の曲線を辿 る.図4か ら一旦200亡oCコまで加熱 した試料は抵抗温度係数 が減少す ること,および塩化 クロム量の増大に伴なって抵抗温度係数値が正か ら負へ移行す る傾向があること,熱処理の前後で抵抗温度係数の正負が入れ替 る傾向があることな どが明 らかである.

5はこの関係をは っき りさせ るためのもので,横軸にめ っき浴中の塩化 クロム量を,た て軸に上記の熱処理を施 した もの と未処理の ものおのおの5本ずつについて測定 した抵抗温 度係数の平均値⊂ppm/oCコを示す.図4か らも容易に想像 され るごとく,熱処理によって抵 抗温度係数の正負が逆転す ること,その値が減少すること, ,お よび塩化 クロム量3‑ 4(g/ 100ccコの間で 0となる点があると推定出来 ることなどが判 る.実際に この間の塩化 クロム量 を小刻みに変えて測定 した結果では,塩化 クロム量3.7亡g/100ccコの附近で最 も良好な抵抗温

0

50 100 150 200

'C)

図4 温度と抵抗相対値(200oC保持) 図5 塩化クローム含量と抵抗温度係数 Fig.4Relationshipbetweentemperature Fig.5 RelationshipbetweenquantityofCrC12

andrelativevalueofresistance andtemperaturecoe琉cientofresistance

(5)

無電解めっきによるNiCrP皮膜抵抗体の電気抵抗特性 47 度係数のものが得 られ るように思われ る.1に塩化 クロム3.7亡g/100ccコ,めっき時間1分間 でめ っきを施 した1ロット約400本の中か ら無作意に抽出 した20本の試料に前記熱処理を施 した後測定 した抵抗温度係数(T.C.R.)の値を示す.表1では抵抗温度係数に正負のものが 混在するが, これはめ っき浴300ccコを用いて400本程度のめ っき処理を行な、ったため皮膜 成分に不均二の試料が混在す るため と考え られる.均一成分のものを得るためのめ っき浴量 の限界を知 る目的で行な った実験の結果では現在のところではめ っき浴100Cccjに対 して使 用 した与wp型磁器円筒基体(34xlOmm)50本 までがほぼ‑様な抵抗値および抵抗温度係 数を示す. したが ってこれが均一成分 となる限界のように思われ る.

1

︹%)TJTIJ・r37i1川‑

6 温度および200oC保持時間と抵抗相対値

Fig.6 Relationbetweenrelativevalueofresistanceandtemeperature ortimeafterreaching200oC

(6)

48 長野工業 高等専門学校紀要 ・第4

2はめ っき浴100⊂ccコに対 し,20本のめ っきを行な った ロットについての抵抗温度係数 を示す ものである. この程度のⅤ/A比 (め っき浴の体積に対す る被め っき体表面積の比)で は抵抗温度係数はすべて正であ り,その値 もほぼ揃 っていることが判 る.

図620oCコで熱処理を行な う場合の保持時間を決定す る目的で行な った実験結果で, 初抵抗値約409オームの試料3本について常温か ら200loCコまで加熱 し・ 200CoCコでその

まま約8時間保持 し,一旦徐冷 した後あ らためて同一の試験を行な った場合の各過程におけ る抗抵対相値変化の様子を示す.熱処理に よって抗抵温度係数の減少す ることは前述の通 り であるが, 200ocJにおける保持時間との関係をみ ると, 200(oCコ到達か ら2‑ 3時間で 初期効果 とみ られ る抗抵値の変化はほぼ完了す るものとみて差扱えない ように思われ る.

以上の諸結果か ら, この抵抗体の熱処理条件は200oCユ 3時間程度が 適当であると考 え られ る.

4. 真空処理 と高温無負荷放置特性(4)

主 として高温無負荷放置特性を改善す る目的で,め っき直後に真空脱 ガス処理を施 した試 料について行なった実験結果について述べる.実験に使用 した試料は従来行な って来た標準 的な方法で皮膜形成 した1ロッ ト約500本の初抵抗値分布を測定 し,その分布の最頻値に近 い抵抗値を示す ものの中か ら12本をえ らび出 し,塗装な しのもの,そのまま塗装を施 した も , 5×10Storrの真空中にて30oC,40分間処理後塗装を施 した もの,同 じく5×10S

torrの真空中で60亡oC),8時間処理後塗装を施 .Lた ものをそれぞれ3本ずつ,他にはぼ同 一条件で作製 した後約6ケ月間室内に放匿 しておいた ロッ トの中か ら3本え らんだ無塗装の ものの合計5グループを200oCコの恒温槽中で無負荷放置 した場合の抵抗相対値変化の輝子 を図7に示す.め っき後6ケ月間放置のものは200⊂oCコ,10時間の放置でほぼ2⊂%コの抵抗

︹%)gt

0

2

4

放 置時 間 〔H〕

(a)無塗装6ケ月放匿 0))無塗装めっき直後 (G)単純塗装 (α)真空中30分処理 (e)同上8時間処理

7 200oC無負荷放置試験 Fig.7 Noloadagingcharacteristicsat

200oC

10‖‖(%ql

(aY. / / ー

/ (,SilP oil xt 。一 0‑ 0‑ ‑ 0 0

;I.Ti中脱 かス後

(

C,

/

coating

5

処 理 時 間 〔H〕

図8 200oC処理時間と抵抗相対値 Fig.8 Relationbetweenrelativevalueof

resistaIICeandannealinghoursat200oC

(7)

無電解めっきによるNiCトP皮膜抵抗体の電気抵抗特性 49 値変化を示すが,真空処理後塗装 した ものはこれに くらべその変化率は大幅に減少す る.而

して真空処理の時間の長短,温度の高低に よる影響は比較的僅少である.め っき後そのまま 塗装 したものは塗装 しない もの よりその変化は少ないが,真空処理後塗装 した ものに くらべ るとまだ相当に大 きな変化率を示す. この ことはめ っき過程で混入す ると思われ る水分,水 素 ガスおよびめ っき後投入す る水分,付着 ガス等の影響によるものと思われ る. また無塗装 試料の抵抗値変化率の大 きい理由として酸化の影響 も考え られ る.

8はめ っき後6ケ月間室内にて放置 した試料について無塗装のままシ リコーンオイル中 200oCコ無負荷放置試験を行なった結果である.図中曲線(a)は比較のために行な った無塗 装,気中加熱のものであ り,曲線O))が同 じく無塗装油中加熱のものである.曲線0卵こおいて加 熱の初期に変化率が大で,後期に飽和に近づ くのは初期において吸蔵ガスの放 出があるため と思われる.また曲線(a)の変化率の大 きいのは加熱初期においては吸蔵 ガスの,後期におい ては酸化の影響によるものであろ う.曲線(o)も比較 のため真空中脱 ガス処理を施 した後防湿 塗装を施 した ものの測定結果で, この場合は吸蔵ガス,酸化の双方 ともその影響は僅少であ り, したが って抵抗値変化率 も極めて小さい範囲に納 まっている.表3ほ前記5グループの 試料の抵抗温度係数を測定 した結果である・測定に用いた試料は大体抵嘩温度係数30⊂ppm/

ocコ以内になるように作製 した ロッ トか らえらんだ もので, これ らの処理によってもその値 には大 きな変化がない ことを示 している.ただ無塗装で6ケ月間放置のものはほぼ2‑ 3 に増加 している.

4は真空中脱 ガス後防湿塗装,エージングを施 した グループと,エージソグのみを施 し たグループの2グループについて過負荷試験を行な った結果を示す. この試験 の方法は,30 分間負荷を印加,30分間放置後その抵抗値変化率を調べた もので,測定に供 した試料は抵抗 値ほぼ 450‑ 500オームで

, i w

p型磁器円筒基体に皮膜形成せ しめた ものである.表 中表 面温度 とあ るのは負荷印加30分後の皮膜表面の温度を示す.いずれのグループにおいて も定 格の8倍負荷すなわち lW印加 までほ抵抗値変化率,表面温度 ともわずかで十分実用に耐え 得 るが,定格の16倍すなわち2W印加では抵抗値変化率の点で脱 ガス後 コーソグ,エージ ソグを施 したグループがす ぐれてい る.表5は同一条件でめ っきを施 した試料4本の中2 は脱 ガス, コーチングを施 し,他の2本は これ らの処理を施 さずエージソグに よる抵抗値変

3 各種前処理と抵抗温度係数 (T.C.R.)

(8)

50 長野工業 高等専門学校紀要 ・第4

表4 各種前処理と抵抗値変化率,表面温度

p脱ガス,塗装,‑‑ジング F エ ー ジ ン グ の み 率 い/4W ll/2W い w L 2W Jl/4W Il/2W I IW F 2W 如 碓 変化率 0.04も..020.04ら.0810, 0.16Lo.51も.26lo.03も.130.36ら.150.17も.17 ら.82

表5 各種前処理とエージング変化率 IR200CI R200OC R2R200o0oCC 真 空 処 理 済 55754.4.06 55572.02.4 9999..6560

化率を比較 した ものである・エージ./グ変化 率において,脱 ガス, コーチング試料がす く れていることが判 る.

以上のように真空中脱ガス処理は抵抗温度 係数に対 してはそれ程 の影響を もた らさない が無負荷放置試験,過負荷試験等に対 しては 好い結果を示す ように思われ る.なお本実験 には コーチソグ材料 としてS社製 シ リコー レジ/を使用 したが, コーチング材料,電極材料等による影響 も考え られ るので 日下検討中 である.

5.負 荷 寿 命 試 験5)

負荷寿命を調べる目的で行な ったステ ップス トt'ス試験 の結果を表6‑表10濃示す. この 試験の方法は,室温において初めに定格電圧を加え,次に2,4,8倍 と順次負荷電力を ステ ップアップして印加 し,それぞれの段階において1分,10分1時間,16時間後の抵抗値変 化率を調べるもので,使用 した試料が前述の如 く,炭素皮膜抵抗器の場合の与wp型に相当 す る磁器円筒基体に皮膜形成 した ものである関係上, 段 として‡W,第 2段 として

1 ‑

W,

以下順に与W ,lW ,2Wを印加 して抵抗値変化率を測定 した. また,使用 した抵抗器は塩化 クロム3.7Cg/100ccj,め っき時間1分,め っき浴温(92oC〕, 活性化浴温16CoCコとして作 製 した1ロッ ト約500本の中か ら比較的初抵抗分布の最頻値に近いもの6本をえ らび, これ に平等に6回のみぞ切 りを施 した ものである.最頻値に近いものをえ らんだ理由は先に報告 した(6)〜(7)ように,分布の中心か ら大 きくずれた抵抗値を有す る試料に くらべてその抵抗特

6 常 温 負 荷 寿 命 試 験 (ステップス トレス第1段)

7

(ステップス トレス第2段)

(9)

無電解めっきによるNi」:P皮膜抵抗体の電気抵抗特性 51

8

(ステップス トレス第3段)

10 同 (ステップス トレス第5段)

9 (ステップストレス第4段)

性が格段にす くれているためである.表中ス テ ップ トレス第 1段 とあるのが与W (定格負 荷),以下第2段がiw (2倍負荷),第3段が iw (4倍負荷),第4段が1W (8倍負荷) 5段が2W (16倍負荷)を印加 した ものであ

る.表か らステ ップス トレス式常温負荷寿命 試験 の結果は,第5段すなわち定格の16倍負 荷を印加 しては じめて断線がみ られ る程度で あ り,前述の表4に示す短時間過負荷試験の 結果 と併せ考えて, 1Wすなわち定格の8 負荷 までほほぼ確実に耐え うるものと思われる.

6.

次亜 りん酸ナ トリウムを還元剤 とす る酸性無電解め っき法に よって得 られる Ni‑Cr‑P皮 膜に関する一連の実験結果の中,電気抵抗特性に関す る実験結果の一部を報告 した.

この抵抗体の特性 として,抵抗温度係数はほぼ30lppm/oCコ以内で中級の金属薄膜抵抗器 のそれに匹敵 し,過負荷特性 も良好である.また,金属薄膜抗抵器に比 し,抵抗値の高い も のが得 られ,みぞ切 りに よる抵抗値の調整 も容易である.本論文では触れなか ったが,本抵 抗器の弱点 として, レジソ系防湿塗装1回塗 りの試料について比較 した場合,耐湿負荷寿命 において,性能のよい炭素皮膜抵抗器にややお とる点があげ られ るが,同塗装3回塗 りでほ ぼ炭素皮膜 の水準 まで性能を高めることが可能である.長時間無負荷放置試験について も触 れ る余裕がなか ったが,無塗装試料について,20ocコで500時間放置後の抵抗値変化率は 大体, 2⊂%コ以内とNi‑Cr薄膜抵抗器 よりす ぐれて居 り,真空中脱 ガス処理,熱処理等を 工夫 してさらに性能を高め得るものと思われる. またェ‑ジソグ後抵抗温度係数測定の際の returun,Ta‑N,CrSiO等 と同程度である. したが って抵抗値調整の容易な こと,炭素皮 膜抵抗器 とほぼ同一工程で成晶化出来,大量生産に適す ること,価格の低廉性な どの特徴 と 併せ考慮すれば実用抵抗器 としての可能性 も十分考え られ る.成分面,組織面か らの理論的 検討,晶質管理面の検討等が今後の課題であろ う.

(10)

52 長野工業 高等専門学校紀要 ・第4

終 りに 日頃御指導いただいている信州大学工学部小山恒夫教授,測定 の一部に御協力いた だいた太陽社電気株式会社,株式会社 日本抵抗器製作所の開発担当関係の各位に対 し深甚な

る謝 意 を表 す る.

(1)た とえば 金親 :Ni‑Cr系高精度薄膜抵抗器の研究 電子通信学会誌(C)1969‑ll (2) 樋浦 :無電解めっきによるNi‑P皮膜抵抗体 長野高専紀要3 P.‑103 (3) 呂戊辰 :=防蝕め っきと化学めっき" P.‑340 日刊工業新聞社 (1967)

(4) 樋浦 :無電解めっきによるNi‑Cr‑P皮挨抵抗体の真空処理効果について 1971年 電 気四学会東海支部連合大会 15p‑ F‑13

(5) 樋浦 :無電解めっきによるNでr‑P皮膜抵抗体について 電子通信学会誌(C)1971‑8 (6) 樋浦 :無電解めっきによるNi‑Cr‑P反映抵抗体の初抵抗分布 と電気的特性との 関連

性について 電子通信学会誌(C)1971‑10

(7) 樋浦 :無電解めっきによるNi‑Cr‑P皮膜抵抗体の初抵抗分布の改善について 1971 電子通信学会信越支部大会一 6

参照

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