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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院 農学院 修士論文発表会, 2019年27

ダイズ FLOWERING LOCUS T オルソログ FT2a/FT5a の 開花後の生殖生長における機能に関する研究

生物資源科学専攻 植物育種科学講座 植物遺伝資源学 針谷 康平

1. 緒言および目的

FLOWERING LOCUS T(FT)オルソログは,植物種を超えた花芽形成(花成)を誘導する

シグナル物質である。FT オルソログは,花成のみならず,バレイショでは塊茎形成,タマネ ギでは鱗片形成など光周期性を示す形態形成にも関与する。短日植物であるダイズの

FT

オ ルソログ-FT2a および

FT5a-も花成の誘導に加え,莢の発育や茎頂の相転換など開花後の

生殖生長に関与するが,FT オルソログによるこれらの誘導機構は未知である。本研究では,

ダイズの

FT2a

および

FT5a

の過剰発現個体や準同質遺伝子系統を用いて,開花後の生殖生長 である莢形成と受精に関わる花粉および柱頭に関する両遺伝子の機能解明を目指した。

2. 方法

Williams 82

を野生型(WT)とした

FT2a

および

FT5a

の過剰発現個体(FT2a-ox および

FT5a-ox)ならびにFT2a

(E9)の発現低下型対立遺伝子

e9

と正常型の

E9

に関する準同質遺 伝子系統(NIL)を供試した. WT をあらかじめ生育初期に

2

週間の短日処理により開花を誘 導した後,これらの系統を長日条件で栽培し,莢の形成率,柱頭上の花粉発芽および

in vitro

での花粉発芽を調査した。

3. 結果および考察

長日条件では,WT では開花した花は莢へと分化せず,その多くが落花した。一方,FT2a-

ox

および

FT5a-ox

では,開花した花は莢へと分化し,莢の形成率は

WT

と比較して有意に増

加した。柱頭上の花粉粒数には系統間に差は見られなかったが,WT では柱頭上での花粉の 発芽率が非常に低くかったのに対して,過剰発現個体では

WT

と比較して花粉発芽率が有意 に増加した。したがって,長日条件での

WT

の莢形成率の低下は,柱頭上での花粉の未発芽 に原因すると考えられた。しかし,

In vitro

発芽培地では

WT

の花粉も

FT2a-ox

の花粉同様の 割合で発芽した。また,長日および短日で生育した個体の花粉をそれぞれの柱頭に人工授粉 させたところ,花粉の由来に関わりなく短日で生育した個体の柱頭では花粉発芽が認められ たが,長日で生育した個体の柱頭では花粉の発芽が抑制された。これらの結果から,長日下 での莢形成率の低下は,柱頭上での花粉の未発芽に起因し,その要因は柱頭にあることが明 らかになったが,柱頭の組織化学観察からは

WT

FT2a-ox

個体の間に構造上の差異は観 察されなかった。過剰発現個体だけでなく

E9

e9

に関する

NIL

においても,同様に

e9

系 統では柱頭上で発芽する花粉の割合が

E9

系統に比べて有意に減少した。

4. 今後の展望

本研究において,

FT2a

および

FT5a

が花粉の発芽を誘導する機能を柱頭に付与することが

明らかとなった。これら

2

つの

FT

オルソログが柱頭での花粉発芽を可能にする機構につい

て,今後は遺伝子レベルまたは代謝産物レベルから網羅的に追及することが必要である。

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