• 検索結果がありません。

低温処理による花木類の開花促進に関する研究 VII. シナレンギョウの開花に対する低温処理と促成温度の相互作用-香川大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "低温処理による花木類の開花促進に関する研究 VII. シナレンギョウの開花に対する低温処理と促成温度の相互作用-香川大学学術情報リポジトリ"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

低温処理による花木類の開花促進に関する研究

Ⅶ シナレンギョウの開花に対する低温処理と促成温度の相互作用

五 井 正 憲,結 城 哲 也

STUDIES ON THE ACCELERATION OF FLOWERINGIN WOODY

ORNAMENTALS BY LOW TEMPERATURE TREATMENTS.

ⅦEffectsoffor・Cing temperaturesr・elatedtocoldstorageontheflowerIing

OfFoγざツ班ねγi†・よdよdi∫ざよmaLINDL..

MasanoriGoIandTetsuyaYuKI

Effectsofcoldstorageandfor・Cingtempertur・eSOnthefloweringofForsylhiaviridissimawer・einvestigat烏dl

Cutshoots40cminlength,OnWhichflower・budsful1ydeveloped,WereStOredatO℃for・4and8weeks

starting on Dec…29,1980lAfter storage,five shoots were forced to flowerin each chamber held at

COnStanttemperatureOf5ミ10ミ150and20℃.Dur・ingtheexperiment,thecutendofshootwasdippedinto

tap water・5cmindepth,The results wereas follows.

1lFlowerbudsdevelopedthroughJunetoNovemberandmaturedpollensandovules were observed on

Dec‖29,1980,thestartingdateoftheexperimentTheflowerbudsdidnotshowanymorphological

Changesduring8week stor・age.

2r When shootswere forcedat5℃afterstorage,mOStflower buds were prIeVentedfromflowering

regarIdlessofcold storage andonlylO%offlower buds couldcomeintobloom,

3”AtlOO,150and20℃,however,flower buds were promotedto flowernOrmally..Number of days

tofloweringinforICingdecrIeaSedwithincreasingfor・Cingtemperature and dur・ationsofcold storageいThe

percentofflowerIinginthree temperatur・e regemeSWaS about60%when shoots were stored for・4 weeks Orlonger・,butthatofunstoredshoots wasdecreasedparticullary forcedat150and20℃。

シナレンギョウの開花に対する低温処理と促成温度の相互作用を調べた。1980年12日28日に収稽した切り枝 を40cmに切りそろえ,同29日より0℃暗黒で冷蔵した。4および8週間後に,50,100,150 および20℃で促 成を開始した。結果の大要は以下のようであった。 (1)花芽は12月28日までに完成しており,肱珠および花粉形成は正常であった。花芽は冷蔵中に形態的変化を 示さなかった。 (2)5℃で促成すると,冷蔵期間の長・矧こかかわらず,開花は著るしく遅れ,開花率は10%に止まった。 (3)10℃以上の促成温度では,高温ほど,また冷蔵期間が長いほど,到花日数は減少し,さらに開花揃いがよ くをった。そして,無冷蔵区以外では,開花率がほぼ60%に達した。

諸 言

シナレンギョウの促成法としては,自然条件下で栽培された株の枝を1月中・下旬以降に温室に人れるか, 花芽形成が完了する11月から切り枝を冷蔵(−2℃,4∼8週間)した後に温室に入れるのが実用的とされて いるil)。 しかし,早期促成においては,たとえ冷蔵した枝でも,不開花や開花むらを生じやすい。メf外にお ける開花期前の気温は,最高130∼15℃,最低3..50∼55℃(香川,3H下旬−4月上旬)であるから,15L20

(2)

香川大学農学部学術報告 第37巻 第1号(1985) ℃は促成温度として十分であると考えられる。もしそうであれば,早期開花が異常にをる原因は何であろうか。 従来,花木の促成においては,冬の低温に十分遭遇した枝を用いること,早期には比較的高温で,また春先 にはやや低温で開花させることなどが要点とされてきた(2)。このことは,不十分な低温しか受けていをい花芽 は開花のために高温を必要とし,十分を低温を受けた花芽は低温でも開花し得ることを示している。この実験 は,シナレンギョウの開花に対する低温遭遇と促成温度との相互作用を明らかにするために計画したものであ る。 実験材料および方法 材料は香川県大川郡内の平野部に植栽されている15∼20年生株から採取した。1980年12月28日に,花芽着生 の多い,長さ60∼70cmの当年枝を切りとった。それらを先端より40cmに切i)そろえ,摘菓し,5本ずつの束と した。翌日,このうちの8束を吸水させをがら,0℃暗黒条件の冷蔵庫に置いた。 4および8週間後に,それぞれ4束ずつ出庫し,50,100,150および20℃の定温室で人工光下(けい光100∼20 01uち16時間日長)に1束ずつ置き,開花状態を調べた。なお・,無冷蔵(対照)の枝は,12月29日に定温室に 置いた。促成中は,枝を深さ約5cmの水道水を入れた容器に入れ,湿度を保つためにビニールで囲った。 実験開始日,冷蔵終了日に花芽を採取し,FAAで固定した後,りんペん剥皮法で花芽形成状態を調べた。促 成開始後は,数日ごとに水をとり替え,毎週1回開花状態を調べた。 聾七P岩−utぎてむき○︼︸○︼Sおp−○ざN Coldstorage(weeks) 0 0 8 0 ぎてど′〇一山こ○ま 5 10 15 25 Forcingtemperatur・e(℃) 5 10 15 20 For・Cingtemperature(℃) Figl・1”Effectofcoldstor・ageandfor・CingtemperIature Figt・2”Effectofcoldstorageandfor・Cingtemperatur・e

OnthenumberJOfdaystofloweringinforcing

on the percentage of flowering of Fors.ylhia

OfForsylhiaviridissiuLindl。 扇ribissima。

(3)

結果および考察 花芽観察の結果は以下のとおりであった。すなわち,冷蔵前に花芽は完成しており,冷蔵中には全く変化 しなかった。シナレンギョウの花芽は,形態的に完成するまで50∼20℃の節囲で発達し得る(2・3)。しかし, 0℃では発達しか、。また,完成した花芽はほぼ完全に休眠状態となり,長期間の低温に遭遇した後でをけれ ば開花に至らか−(1=;2,3)。この実験では,自然の花芽完成期(2)より後に切り枝したので,当然のことをが ら花芽は完成していた。 促成開始から各枝の第1花が開花するまでの日数(到花日数)を第1図に示した。5℃で促成すると,冷蔵 期簡の長・短にかかわらず,開花は著るしく遅れた。シナレンギョウの花芽の低温要求は,自然条件下で2月 上旬までには完全に充足されており(1),また,その低温要求は花芽完成期に6∼8週間冷蔵することによって も充足される(2)。これらの点を考慮すると,自然の低温を12月下旬まで受け,さらに8週間冷蔵された枝の低 温要求は十分に満たされていた筈である。それにもかかわらず正常に開花しをかったことは,5℃が促成温度 としては低すぎたことを示している。 促成温度が高くなるにつれ,同一・冷蔵期間に対する到花日数は急激に減少した。その結果,10℃では開花に 80日以上要した無冷蔵の枝が,20℃ではわずか24日で開花した。同▼一億成温受では,冷蔵期間が長いほど開花 は早くなった。 このように,到花日数で表わした時,シナレンギョウの開花は,高温ほど,また低温要求が満たされるほど 早くをる。 この実験において,100および15℃ではむろんのこと,20℃で促成しても,長期間冷蔵された枝ほど早く開花 した。このことから,シナレンギョウの低温要求はこれまでに報告(1,2,3)されているより長く,8週間以上 であると思われる。たとえば,インター・メディア(ダ.ね由㍗medよα)の低温要求は−2℃・4∼6週間で充 足され,レンギョウ(F∂岬e乃ざα〕やシナレンギョウでも同様の報告がある。花木や果樹をどの花芽(また は花序)の低温要求が満たされたかどうかは,比蜘勺高い温度下で花が正常に開くかどうかによって判定され ることが多い。レンギョウ類でも,200∼25℃下における開花が調べられているが,この温度は自然開花期の温 度よりはるかに高い。このようを高温下では,本実験のように低温遭遇が不十分でも開花するので,低温要求 を正確に判定するのは難かしい。レンギョウ類でも,8週間以上の冷蔵試験を行なう必要がある。 開花開始後の開花率−(開花花芽数÷着蕾数)×100−の変化と最終開花率は,第2∼5囲および6図に示 した。 Cold storage(weeks) O Check 0 4 ● 8 0 5 哲j蜜豆t︶モ︶ま 0 1415161−71819 20 2122 23 24 25 26 27 28 Forcing per・iod(weeks) Fig.3・Accumulativecur・VeSin%offloweringofFors.ylhiavirissi仇aWhencutshootswerIeStOr・ed at O℃ for40r8weeks and then forced at5℃ to flower.

(4)

香川大学農学部学術報告 第37巻 第1号(1985) 0 5 ぎーJ心き◇t−︶○求 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 13 14 15 16 17 18 19 Forci一喝period(weeks) Fig.4.Accumulativecurvesin%offlower・ingofFors.ylhiaviribissim&Whencutshootswerestored

ato℃for40r・8weeks andthenfor・CedatlO℃toflower

ぎてむきOt︸−○辞 5 2 50 如已tLむき01︼−◇求 0 1 2 3 4 5 6 7 Forcingperiod(weeks) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Forcingperiod(weeks)

Fig.5…Accumulative cur・VeSin % of flowering of Figl61Accumulative curvesin % of flowering of Forsγlhia virldissima when cut shoots were Fors.ylhia viridissin&When cut shoots were

storIedatO℃for40rI8weeksandthenforced

storedatO℃for40r8weeksandthenforced

at15℃tofloweru at20℃toflower. 促成温度5℃では,冷蔵期間にかかわらず開花率の増加はほとんど認められず,最終開花率はきわめて低か った(第2図)。到花Fi数で表わした場合と同様に,開花率から考えても,5℃はシナレンギョウが開花し得る 下限温度であろう。10℃以上では,促成温度が高温になるほど,累税関花率の曲線の勾配は急になった(第4, 5,6図)。また,同一促成温度では,冷蔵期間が長いほど開花率は急速に高くなった。この結果から,促成温 度が高いほど,あるいは低温期間が長いほど,シナレンギョウの開花揃いはよくなると言えよう。 秋に休眠し,春に生育を再開する温帯産のキク(7)やキキョウ(4)において,長期間冷蔵された株は,高温では もちろん低温下でもよく生育し,他方,低温要求が十分に充足されていをい棟は高温でのみ生育することが知 られている。これは,植物の休眠をそれらが生育し得る温度域の狭まり,休眠馴星をその拡大と考えることで 説明されている(8)。すをわち,低温要求が十分に満たされていをいキクやキキョウは高温でしか生育しをいが,

(5)

1■・分な低温を受けると高温でも低温でも生育する。花木の花芽の低温要求については,不明を点が多い。しか し,促成温度に対する反応と低温期間との関係から,シナレンギョウの花芽の低温反応は,キクやキキョウに 似たものと考えられる。すをわち,シナレンギョウの花芽は,長期間の低温に遭遇するほどより低温でも開花 し得るようにをる。ただし,高温ほど早く開花することは,前述のとおりである。 本実験の結果は,シナレンギョウの促成における合理的な温度条件を実証的に示した。すなわち,(1)完成し た花芽が8週間かそれ以上の低温を受けていれば10L15℃でもよく開花するが,(2)不十分な低温しか受けてい ない花芽は開花のために15L20℃を必要とする。 したがって,従来言われているように,最少限の低温遭遇で促成する早期促成ではかなり高温を必要とし, 時期が遅くなるにつれ,促成温度を低くすることができる。また促成温度を高く保てば,時期が遅いほど到花 日数をより短縮することができる。 引 用 文 献 (1)五井正憲:低温処理による花木類の開花促進に 関する研究 Ⅲ シナレンギョウの促成につい て,香川大学農学報,25(2),207−217,(1974)。 (2)五井正憲:低温処理による花木類の開花促進に 閲す−る研究 Ⅵ シナレンギョウ(Foγざ一γ亡んぬ γわよdiβざimαLINDL.)の花芽形成要因,香川大農 学報,27(2),63・−75(1976)。 (3)五井正蕃:温帯花木の花芽形成をらびに開花調 節に関する研究,香川大農学部紀要,38,ト113 (1982)。 (4)井上進,小西国義:低温処理と栽培温度がキキ ョウの生育に及ぼす影響について,園学要旨昭 和50年春,436,(1980)。 (5)小杉滑:花木の開花生理と栽培,169−201,東京 博友社,(1976)。

(6)Riinger,W.:Licht und Temperaturim

Zielpflanzenbau,162−164,Bel,PaulParey,

(1964)。 (7)塚本洋太郎編:園芸植物の開花調節,257−274, 東京,誠文堂新光社,(1970)。

(8)Vegis,A.:Dormancyin higher・Plants,Ann。

Rev.PlantPhysiol。,15,185T224,(1964)。

(1985年5月31日 受理)

参照

関連したドキュメント

連続デブリ層と下鏡との狭隘ギャップ形成およびギャップ沸騰冷却

優越的地位の濫用は︑契約の不完備性に関する問題であり︑契約の不完備性が情報の不完全性によると考えれば︑

˜™Dには、'方の MOSFET で接温fが 昇すると、 PTC が‘で R DS がきくなり MOSFET を 流れる流が減šします。この結果、 MOSFET

・ ○○ エリアの高木は、チョウ類の食餌木である ○○ などの低木の成長を促すた

真竹は約 120 年ごとに一斉に花を咲かせ、枯れてしまう そうです。昭和 40 年代にこの開花があり、必要な量の竹

 学年進行による差異については「全てに出席」および「出席重視派」は数ポイント以内の変動で

・微細なミストを噴霧することで、気温は平均 2℃、瞬間時には 5℃の低下し、体感温 度指標の SET*は

泥炭ブロック等により移植した植物の活着・生育・開花状況については,移植先におい