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般 原 則 を 中 心 と し

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(1)

我が国の企業会計原則について

企業会計原則設定の必要性

彩戦後の我が国の経済界は一時混乱の極に達して︑インフレーションの進行は︑資本の蓄積と︑企業の再建を阻害す

るようにたり︑経済界は縮少再生産の過程を辿らざるを得危いように危うた結果として︑基本的要請であるととろめ我

が国経済の白立体制の確立という目的の達成を不能に陥しいれたのである︒ととろがその後経済九原則の実施を契機と

して︑かえって経済界は変則的なデフレーションの傾向を示すよミにたり︑戦後における経済基盤の脆弱性を露呈した

のであるが︑昭和一一十五年六月の朝鮮動乱の勃発を基図とするととろの特需と︑米国を中心とする軍備拡張による世界

的物静一不足に基因するととろの輸出の増大は︑我が国の経済界に一応好影響をもたらしたのであって︑昭和二十五年後

期に入って鉱工業生産指数は戦後最高を示すに至ったのである︒しかしかかる現象は︑我が国経済を現状のままにて放

置すべきこ止を意味するものでたく︑此の際五日々は念速に国際的経済要請に即応すべき経済体制の確立を意図すべきで

ある︒我が国の企業会計原則の設定は︑かかる要請に応えるものとして経済安定本部企業会計制度対策調査会中間報告

として発表されたるものと理解されるのである︒

我が国の企業会計原則について

(2)

O

企業会計原則設定の目的はバ企業会計の基準を確立維持し︑我が関経済の民主的にして健み一たる一発建のための科学的

基礎を与えようとするものであり︑具体的には企業会計制度の改善統一により︑外資の導入︑企業の合理化︑課税の公

正化︑証券投資の民主化︑産業金融の遁正化等の合理的解決に資せんとするものである︒しかし周知の如く企業自体︑

投資者乃至債権者保護の見地によ与就にその必要性は認められたのであって︑特に銀行︑保険︑電気︑鉄道等の諸事業

法規中に財務諸表に関する準則の制定が友され︑叉昭和五年八月商工省臨時産業合狸局に財務管別委員会の設置せられ

るや︑財務諸表の統一を企図して︑昭和九年八月財務諸表準則を制定したのである︒しかしそれは昭和十二年十一月公

表された製造原価計算準則とともに︑第一衣大戦後の不呪時代に際会して︑産業合川崎化運動の一方策として制定された

ものであり︑私経済的企業の健全たる発展乃至合湖的運営を意図したものであり︑指導教育的た内部計算的思考に出づ

るものであったので︑当時の経済界の発展段階に於ては︑その普及徹底を期し得たかったのである︒然るに第一一衣大戦

の勃発するや統制強力的た協同計算的思考に基く準則の制定が要請せられるようになり︑陸軍は昭和十五年四月に軍需

品工場事業場検査令に基き︑陸軍軍需品工場事業場財務諸表準則を制定し︑海軍は昭和十五年十一月海軍軍需品工場事

業場財務諸表作成要領を制定実施し︑さらに昭和十六年十︺舟企画院は財務諸準則統一協議会の審議決定した製浩工業

財務諸準則︑即ち製謹工業貸借対照表準則草案︑製浩工業財産目録準則草案及び製造工業損盆計算書準則草案を発表し/ て︑製遁工業原価計算要綱とともに︑我が国産業に対する経川崎統制︑価格統制並びに経営合現化の基準としての統一的

経営計算制度の確立を企図したのである︒

しかしそれは戦争目的遂行のための手段であり︑軍需品調達価格乃至統制価格決定の手段として利用されたのであれJハ4

1

て︑経営合理化への寄与を友し得たかったのである︒

稿

(3)

学文献解題﹂ハ研究論集︑二ハ巻三号︑昭一八・一二︑頁七七l

00

︶を参照されたく︑倫簡単な内容の検討を拙稿﹁我が国の財

務諸去について︺︵研究論集︑十七巻合併号︑昭一九・七︑頁二

OOl

Oυで試みておるので参照されたい︒

新の如く我が国肥於て過去に各種の財務諸表準則が制定されたのであるが︑それは個別企業自体乃至債権者保護のた

め︑或は国民経済的要請に基因するとしても国家戦力増進に費すべき一方策とじて企図されたのである︒しかもそれ

は主として形式の統一一を目的とせるものであり︑その実質的内容の統一化は期待たし得たかったのである︒しかるに昭

和一一十四年七月中四報告として発表された今回の企業会計原則及び財務諸表準則は︑単なる形式の統一のみにと左まら

y実質的内容の統一をも企図せるものちあり︑名詞実ともに企業会計制度の改善統一をたさんとするものである︒それは

戦後に・判明ける我が国経済の基本的要請たる貿易品最高度生産体制の確立への礎石をたすものであり︑個別企業の私経済

的目的の遂行の手段としてのみたら宇︑さらに国民経済的な目的を達成するための基本的方策としてである︒即ち企業

会計原則がその設定さるる目的について述べている如く︑我が国の企業会計制度は︑欧米のそれに比較して︑茜しく不

統一であり︑企業の財政状態並びに経営成績を正確に把握することが困難であって︑企業の健全なる進歩発展のために

も︑枇会全体の利径のためにも念速に改善されねばたらたいのである︒

上越の如き目的をもって設定された企業会計原則は﹁企業会計の実務の中に慣習として発達したもののたかから︑

般に公正一安当と認められたととろを要約したものであって︑必ヂしも強制されたいでも︑すべての企業がモの会計を処

四するに当って従わたければ友らたい基準である﹂と述べられている︒会計理論は最初会計実務が発達し︑実︐践的要請

の結果として理論体系の形成をみたのであって︑即ち理論は実践から分析及び綜合の理論的過程を経て形成されるもの

であって︑それは当然企業会計の基準と怠るものであり︑一般に公正安当と認められるものでたければたらたい︒此の

点に於て企業会計原則は︑我が国経済界の実状であるととろの不統一であり︑改善の余地の多い実践的企業会計の中か

投が出向の余業会計原則について

(4)

ら基準を求めたのでなく︑叉欧米会計学の瑚論乃査会計実践号︑そのままとり入れrものでたく︑我が国企業会計の現

実的要請であるととろの企業の合理的運営基準の確立を基底とする外資の導入︑課税及び産業金融の遁正化︑証雰投資

の民主化等を意図するととにより︑広く欧米の会計実践をもとり入れた基準を作成したものである︒従ってそれは我が

国に於ける新しき会計四論と実践とを形成せんとする教育指導的意味を有するのであるo即ち財務諸表の体系とじて損

益計算書︑剰余金計算書︑剰余金処分計算書︑貸借対照表︑財務諸表附属明細表を規定し︑現行商法規定に基く財産目

録の作成を廃止したのである︒従来の体系は財産目録︑貸借対照表︑損益計算書︑準備金及び利盆または利息の配当に

関する議案であって︑剰余金計算書︑剰余金処分計算書及び財務諸表附属明細表の規定をもたたかったのである︒本来

企業の目的は営利の追求であり︑純損径計算を企業会計の主目的とするかぎりは︑従来の財産計算を主目的とする財産

目録及び貸借対照表を中心として︑損盆計算書を従属的に考えた体系よりも︑成果計算即ち損盆計算を重親して︑

j

余金計算を明示せる今回の企業会計原則の体系はすぐれている︒︐次に企業会計原則は︑商法︑税法︑物価統制令等の改

擁される場合において掌重されるべきであるとするが︑改正商法︵昭二五・五・一O法律第一六七号︶は就に株式発行

費に貸借対照表能力を認め︵第二八六条ノ二︶︑法定準備金を利盆準備金と資本準備金に区別し︵第二八八条︑第二八

八条ノごν︑附属明細表の作成義務を課した︵第二九三条ノ五︶のである︒叉改正法人税法は︑資本剰余金を課税の対

象外におく意味で︑額面超過金︑加入金及び合併差金の益金不算入を認めハ第九条ノ二︑三︑五︶︑棚卸資産の評価法

について会計四論の導入を認めた︵第九条ノ七︶Dである︒又企業会計原則は︑﹁公認会計士が公認会計士法及び託雰

取引法に基き財務諸表の監査をたす場合に沿いて従わ︑怠ければたらたい基準とたる﹂とする︒公認会計士法︿昭二ゴ一・

Oコ一号﹀によって公認会計士が財務諸表を監査する場合及び改正証雰取引法︵昭二五・三・コ二法律第

コ二号︶によって証歩取引所に上場されている株式の発行会社その他の者で証雰取引委員会で定めるものがこの法律の

(5)

規定により提出する貸借対照表︑損盆計算書︑モの他の財務計算に関する書類を︑その者と特別の利害関係のたい公認

会計士が監査証明する場合に従わ友ければなら友い基準と怠るのであって︑証券取引委員会規則︵昭二五・九・二八︶

第一八号︑財務諸表等の用語様式及び作成方法に関する規則及び同規則取扱要領︵昭二六・コ一・一四︶は︑その内容に

2 υ

ζれが法制化されたものと解せられる︒

﹁註一一﹂企業会計原則の制定について︑黒沢清教授は﹁会計慎則の比較研究﹂︵会計︑五大巻三号︑昭二四・七︑頁一

ll

六︑同巻凹

号︑昭二四・九︑頁三七l四六︶においてその基本となうたところの︑サンダアズ︑ρットフィルド︑モIア三教授の﹁会計原則要

gE

υ

14

m v H H 29

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E g p H C ω

∞﹀とベヱトン︑りトルトン両教

授の﹁企業会計基準への序論﹂︵﹀ロ

H E S L 5 5

ロ吉会与︒d

EZ hw oo SE Em gp ER

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TC EE 23 P

さ︶乏を比較研究され︑前者は一般原則︵

22 2P

﹈ 同 ︾ 円

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貸借対照表原則ハ

S225

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E︺等の会計の基本形式についての原則を確立するものであり︑後者は開価基準︵

CE 2s EP E

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H2 8g EE

m x h v E P E

∞︶剰余基準ハデ目立

gE SL

悼み田︶等の会計の実質的対象を基礎として確立さかたH

ものであって︑右の差異は︑米国に於ける会計原則研究の対立する基本概念に基因するのであるが︑我が国の現肢においては︑理論 的探化を企図する﹁企業会計基準﹂によるよりも︑会計の基本形式たる損盆計算書︑貸借対照表等を基礎とした﹁会計原則要綱﹂を 編成方針としてとりいれたのであるが︑さらに此等の業績と経験とを充分研究して一歩前進したものであるとされる︒倫此の点の詳 細に関しては︑企業会計制度対策調査会及び日本会計研究学会その他の論述ハ企業会計原則と財務諸表との関係について!会計五六

巻三号︑昭二四・七︑頁二一11四四l

︑企業会計原則

l同誌五六巻五号昭ニ四・一O︑頁四三!七

O

l︑同巻七号昭二四・一二︑頁

l一一一丁目︑企業会計原則の統一を中心としてl

同誌五七巻一号︑昭二五・一︑頁六七

lOl︑会計慌則の制度的意義l平井

泰太郎編企業会計原則批判︑昭二五・八︑頁一一一l

二 千

i︶における企業会計原則の起案者としての黒沢清教授の詑明の趣旨に明白で

ある︒即ち企業会計原則は財務諸表準則を作成することを目的としたのであるが根本的には財務諸表を超えた企業会計総体の理論体 系の確立を目標とするものであって︑日本の企業会計の実肢は単に合計技術のみならずその制度的背景の非近代性という点が問題で

我が国の企業会計原則について

(6)

あって︑合計原則の根底にある制度改革の本質を会計の技術的改善という商工省財務管理委員会当時の思想を離股して根本問題の打 闘に主力を注いたのである︒しかも合計原則が確立され維持されるためには︑その基礎がかち得られな︿ては一片の形式であり単な

る形骸にとどまることとなると説明せられる︒

そしてその目的の達成のためにはまず第一に商法における計理体系の改革を必要

ξ

ずるのであって︑我が国商法の総則及び会経法

中にかかげられた財産目録の規定は︑母体であるドイツ商法においても一九一一二年に英国会批法にならって廃止されておるののであ

るから︑我が国に於ても成文規定から餓除せねばならないのであって︑従来財産目録に支閉されていた貸借対照表をこれから解放し︑

計理の重点を損益計算書に置き換えなければならぬとされ︑本文において話連せるように剰余合計算書と

Vう新しい財務衰の導入に

重点が注がれることになったのであり︑動態的常会計思想が会計実践の上に導入され︑古い法体系の改革に対する大きな抱負野心の もとに作成されたものであり︑その意味で会計原則は一つの思想の表現であって形式ではないとされる︒さらに次に近代的混法の基 礎ずけをなすことであって︑譲渡所得と譲渡損失との観念を誘導した英米合計学上のキャピタル・ゲイン︵

E1

Z︼中旦ロ﹀とキャぜ

タル・ロスハ

PZ

ろの導入によっての利潤概念の確立︑即ち生産活動によって・生ずる利潤と︑企業が法的に制度的に与えられg

ている資本制の上に生ずる所得との区別とその豆確な杷底をなす

ζとによって︑課麗対象としての利潤の法的概念の確立を一部践する

ものであるとされ︑又会計原則の維持のための制度としての公認会計士制度の設定と︑証券取引委員会による企業会計に対する統制

の制度化が課題であるとされる︒

新の如︿企業会計原則は︑会計の単なる形式的な技術的制度化ではな︿て︑それは経済的概念であるばかりでな︿︑法的概念でも あって︑その維持は具体的には公認会計士の設定による監査基準でもあり︑又証録取引訟による制度的要誌の則具ともなるのであ

る︒山下勝治教授は﹁会計原則に対する若干の疑義﹂︵平井泰太郎編︑企業会計原則批判刈︑頁一五i二問﹀においγて︑会計原則は合

計処理の具体的基準として実質的内容をもつものでなければならないとして︑﹁公正妥当﹂とは

Eういう意味をもつのであろうかと

問題を提供されるo

教授は会計実践のうちから会計原則を抽出ナるには企業会計の計算目的を定立することが要請されるのであワ て︑会計目的の定立な︿しては合計原則の形式ということは考えられないのであるが︑かかる合計目的という考え方は見出されない とされて︑具体的には損益計算目的を中心とする動的観の立場がとられているが如︿であるが︑全体の原則として必ずしも動的観の

(7)

一貫性が見ちれず︑個々の原則は必ずしも損盆計算中心の考え方から論調的には演縛されておらない︒即ち会計目的実現のための統

一的な論理上の一貫性を欠くものであり﹁公E安当﹂なる観念の推理的過訟が無視されるとされる︒教授は勿論此の際絶対なる唯一

の真実性を求めようとされるのでなく︑即ち会計目的達成の絶対的完全性︑真実性を求めるのでなく︑相対的真実性を要請されるの であるが︑それは会計目的に照し︑論理的思考の過程を経て帰結されるものでなければならぬとされる

o

私は山下教授の指摘されるように﹁生きた原則﹂としての会計目的の明確化を必要と思うが︑起案者としての黒沢教授の諾論述に は明瞭に表示されているように思う︒企業会計原則は﹁企業会計原則の設定について﹂において具体的な目的を明示しているのであ るが︑さらに会計原則設定の趣旨を規定するか︑又は別に運営要領の如きものの発去により会計目的の明示と各原則の有機的関聯と を解明されるならば実際界の要請にも応えるものと思う

o

 

 

企業会計原則内容の検討

商工省︑陸軍︑海軍及び企画院で発表した財務諸表準則は︑単に準則として形式的会計制度の統一

を企図したにすぎたいのであるが︑安本中間報告は企業会計原則と財務諸表準則とを発表し︑財務諸表準則は企業会計原

則の指示する会計調論の適用の結果としての標準様式と作成方法とを規定するものであり︑統一会計制度の実質的た確

立を具現したものである︒会計瑚論の基本原則を確立する企業会計原則は︑一般原則︑損盆計算書原則及び貸借対照表

原則のコ一区分に規定され︑財務諸表準則は煩盆計算書準則︑剰余金計算書及び剰余金処分計算書準則並びに貸借対照表

準則の一一一準則によって︑その標準様式と作成方法とを規定するのである︒従前の財務諸表準則には剰余金計算書及び剰

余金処分計算書準則の規定はたく︑貸借対照表︑財産目録及び損盆計算書の諸準則を規定するのであるが︑本準則には

財産目録の準則を規定せたいのである︒財務諸表中より財産目録の除去される川崎由として︑従前の諸準則は静態論的会

計思想を基本とするものであり︑企業会計の目的は一定時点に於ける企業の財政表示を主目的としたのであるが︑企業

我が国の企業会計原則にワいて

(8)

宮︑大経涜識集

一 一

会計原則は動態論をその瑚論的根拠としてゐるものであり︑企業の成果計算を主目的とするので損盆計算書特に割余金

計算に於て︑資本剰余金と利盆剰余金とを明確に区別し︑配当金︑校員賞与金等は利盆剰余金を以って充当するが︑資

本剰余金の使用を厳禁するのである︒従前は期首財産と期末財産との比較によりその差額が期末に於て増加するたらば

正味財産の増加εして利盆に計上し︑資本取引と損盆取引との差別なく取引の庁呆として正味財産の増加する時は課税

の対象と友り︑企業外への流出を認めたのであるo即ち期間計算を中心とする営業上の収益と費用との対象による営業

損益と営業外損盆との混同を来たし︑損盆計算の本質を忘却したのである︒かくの如く従前は財産計算を重硯せる結果

曹として財産目録が重要たる地位を占めたのであるが︑企業会計原則は損盆計算に重点を置く結果として剰余金計算を明

確に友し︑財務諸表附属明細書を附加するととにより︑更に経営成績及び財政状態を明示して祉会的要請に応ぜんとし

たのである︒向従前の諸準則は勘定形式を以って財務諸表の表示形式としたのであるが本準則はとれを報告式に改変し

一般祉会への理解に資せんとしたのである︒

の基準とたるものである︒本原則の内容に従えば︑真実性の原則︑正規の簿記の原則︑剰余金の原則︑明瞭性の原則︑

︵ 一 一 ︶

本原則ば損盆計算書原則及び貸借対照表原則に共通する基本原則を抽出したものであって︑両原則

継続性の原則︑安全性の原則及び単一性の原則の七原則を規定する︒

1︶ 真実性の原則として﹁企業会計は︑企業の財政状態及び経営成績に関して︑真実友報告を提供するものでたけ

ればならたい﹂と規定するのであって︑真実の意味を形式的に解するならば︑企業会計にゐけるすべての取引は牧入と

支出にかからしめて牧盆主費用止を計算し︑真実たる営業損盆乃至純損盆の算出をなすべきであって︑取引はとれを立

証すべき証懇書類等に基かねば友ら?︑姿意的た数値によって牧入と支出或は牧益と費用の計上をたすべきでたく︑正

規た簿記によって正確な会計記録が作成されねばたらね︒叉実質的危意味に解するならば財政状態及び経営成績は現在

(9)

価値の表示でたけねばたちヂ時価表示を必要︑とする︒かかる時価表示は実践上不可能たるのみ友ら守︑企業の価値がそ

の所有財産よりも営業利盆の多少によっセ決定せられ︑企業の牧盆カ評価が基本的命題であるとするたらば︑自から真

実性の原則に一定の限界を生︑ずるものであり︑時価決定の時期︑方法或は売却時価算定の困難性という問題よりも︑成果

計算を基本とする取得原価主義によるべきであり︑企業の所有財産の牧益力表示という思想はとれを放棄するととによ

り︑系統的た正規の簿記による成果計算即ち経営成績の表示と財政状態の表示とが有機的に統一されるのである︒

﹁註一﹂真実性の原則にづき黒沢教授ハ前掲諾論文参照﹀は︑真実なる報告とは︑独語貸借対照表法上における貸借対照表真実性の

原則ハC2

百 円凶 器

ZL2HSNd司 岳

ZP

︶を意味す特観的な絶対的な﹁真実性﹂ではな︿﹁相対的な真実性﹂を意味するのであって︑

そり要件として︑一つは実質的内容をもつものであること︵﹈

f p g t p H μ υ

む他は明瞭性をもつものであるとと︵凸

H O P

正規の簿記の原則と結合して﹁一般に認められた原則﹂の一つとなっている﹁緊要性の原則﹂ハロ

2

q z

z q

︶を形成す

るものと考えられる︒即ち企業が真実な財政報告をなすのに︑一定の基準と体系にしたがって財務諸表を作成し報告することである

とされる︒

2︶ 正規の簿記の原則として﹁企業会計はすべての取引につき︑正規の簿記の原則に従って︑正確た会計帳簿を作

成したければたらたい﹂と規定する︒企業の所有する資産︑負債及び資本が正当たる証海部書類等を基本としてその増減変

化を記録計算整刑判さるべきものであって︑それが企業会計原則及び財務諸表準則の制約のもとに行われねばたらたいと

とを指示するものであって︑単に期首と期末との財産を比較して純損盆を計算し︑財産の確定とその結果としての資本

及び利潤を算出するととではたいのである︒しかしながら現今の企業はすべて正規の簿記により会計帳簿を作成してい

るのであって︑中小企業経営における多ゅの例外をのぞけば特に原則として規定する必要はたいのであって︑如何に財

産計算を主目的とする会計制度に︑市引いても︑企業規模の拡大と生産過程の複雑化はE規の簿記を無視するととはできな

我が闘の企業会計原則について

(10)

− −

ハ 一

一 一

い︒従ってζの原則は真実性の原則及びその他の原則との有機的た関聯に暑いて意義をもつのである︒

﹁註一こ正視の簿記の原則につき黒侭教授ハ前掲論文参照﹀は︑財務諸表は財産目録法Q4

0E

SU

1E

2v

&︶ではな︿誘導法︵巴市

st 25 0

r3によって作成さるべきであり︑歴史的記録と分析的記録に基いて作成され報告されねばならないとされるo

剰余金の原則として﹁資本取引と損盆取引とを明瞭に区分し︑特に資本剰余金と利盆剰余金とを混同しては在

らない﹂と規定する︒剰余金の原則は企業会計原則に於ける最も特異な原則であって︑我が国の会計実践上金︿従前に

は認識されなかった原別である︒我が国商法及び税法に於ても此の原則は否定されてきたのである o従って此の原則は

我が国企業会計の実務の中に慣習として発達したもののたかから︑ 3︶ 

一般に公正安当と認められたととろの原則がとりあ

げられたのでたく︑欧米の慣習の中からとりあげられたものであって︑我が国改五商法及び改正法人税法は本原則の採

用を認容しているのである︒資本剰余金と利益剰余金との区別は資本取引と損径取引との区分を前提とする︒資本取引

は投下資本の増減に関する取引であって︑増資及び減資は明瞭なる資本取引である︒さらに従来は資本取引ではある

が︑資本確定の原則に従って︑株式発行差金︑梯込剰余金︑減資差盆︑合併差盆及び回定資産再評価径等を利益と考え損

益取引とみなして利益処分の対象としたのである︒企業会計原則は此の不合理を改め此等を資本取引として資本剰余金

に計上しその留保すべきζとを明示したのである︒新くすることにより実質的な梯込資本又は再評価による増加資本の

維持が可能となったのである︒損益取引は企業の経営目的遂行上発生する損盆に関する取引である︒損益の算定は期間

計算をその根底とオJ

一営業期間に発生する損益は損益計算書に計上され︑当該期間に関係の危い損盆即

︵ = 一 ︶

ち固定資産売却損益︑前期損盆修正及び臨時損失等は利盆剰余金計算書に計上される︒

﹁註三﹂剰余金の原則仕さらに損盆計算書原則六と七に詳細な規定をもつのであるが︑固定費摩再評価損益を資本剰余金に入れ︑

国定資産亮却損益を利益剰余金に入れるととの矛盾について諸学者の批列を受けているのであワて︑会計原則はその根拠を実現主義

(11)

に求めて売却損益の利益剰余金への算入を安当化するのでるる︒山下教授ハ前掲論文参照﹀は資本一取引と損盆取引との区別は不明瞭 であり︑損録取引に基く損益勘定は資本勘定の部分と考えられるから︑会計原則にいう損益取引はこれを営業取引とすべきであると

され︑さらに例一部によって︑﹁例えば固定資産帳簿価格一O万円のものを一

0

0万円と再評価すれば︑その評価差額九

O万円は資本

剰余金に入るとするも︑その後

ζれを一二O万円に売却するとせば︑その際︑利益剰余金に入るべき実現利盆は一一O万円とみるべ

きである﹂とされ︑この場合剥盆剰余金一一O

万円主計上すべきであろうかとされて︑との場合における再評価損益と兎却損益との

同一一性を指摘されるのであるo

私はこの点に関して︑企業会計原則は経済的観念であると同時に法的観念でるるから︑企業の自由な 評価による価値修正は認めず︑取得原価を基本とするのであるが︑現下の如きインフレーション時に於ては実質資本維持のために必 要な再評価基準を法的に規定し︑必要とする場合にはこの基撃により再評価することを認め︑これを資本剰余金に入れるならば教授

の指摘される加き矛盾を従仁ないのでなかろうか︒

4︶ 明瞭性の原則として﹁企業会計は︑財務諸表により︑利害関係人に対して必要な会計事実を明瞭に表示し︑企

業の状売に関する剣断を誤らせたいようにし左ければ左らたい﹂と規定する︒企業会計に対する関心は︑単に企業家の

7︑資本の提供者たる株主︑債権者︑国家その他将来利守関係をむすばんとする一般大衆がもっておるのであっ

て︑企業の財政状態及び経営成績に関する判断を誤らせたいためには真実なる会計事実を明瞭に表示せねばたらない︒

勿論真実性に関しては︑その限界と制約があるのであるが︑かかる限界と制約の下に於ける真実たる会計事実が明瞭に

表示せられなければたらたい︒しかもかかる会計事実は疋規の簿記の原則に従い︑継続性の原則によって毎期継続した

一定の余計処測の原則及び手続に従って作成せられねばたらたい︒これが具体的には損盆計算書における総額主義︑費

用収経対応︑区分計算等の諸原則となり︑剰余金区分の原則となる︒文貸借対照表における概観性︑完全性︑科目区分

等の諸原則となる︒命財務諸表附属明細表はこの原則に基づくのである︒

5︶ 継続性の原則としてつ企業会計は︑その処坤の原則及び手続を毎期継続して適用し︑濫りにとれを変挺しては

我が国の企業会計原則についv

(12)

山口問大経済論集

たらたい︒正当な明白により会計処瑚の原則又は手続に主要た変更を加えたときは︑とれを財務諸表に註記したければ

ならたい﹂と規定する︒会計処瑚の原則及び手続が如何たる論理又は方針のもとに決定されたとしても一度採用されれ

ば毎期継続して不変であることは企業内の財政状態及び経営成績を各経営相互間の比較又は分析のためにも︑毎期間の

比較又は分析のためにも必要であるのみたら宇︑第三者による外部比較文は分析のためにも必要である︒特に第三者で

ある利害関係人には︑正当た理由によって会計処測の原則叉は手続に重要た変更を加えたときは︑とれを財務諸表に註

記したければその剣断を誤らせるとととたる︒明瞭性の原則からみても当然のととである︒企業会計原則はその具体的

規定を財務諸表の諸原則及び諸準則によって定めている︒

6︶ 安全性の原則として﹁企業の財政に不利た影響を及ぼす可能性のある場合には︑とれに備えて遁当に健全た会

計処理をしたければなら友いLと規定する︒安全性の原則は従来保主主義の原則と称した原則であって︑損盆計算等に

・おける﹁予想の利盆は計上してたらないが予想の損失は計上し︑泣ければたら在日V﹂という原則と︑貸借対照表に・おける

﹁時価と原価との何れか低い価格で評価せよ﹂という低価主義の原則及び﹁偶発債務叉は偶発損失は貸借対照表の脚註

に記載し怠ければたらない﹂という貸借対照表能力の原則がその内容を友すのである︒この安全性の原則は会計四論上

に於ては︑あまり支持されない原則ではあるが︑会計実践上から強く要望された原則である︒評価基準について時価︑

原価及び低価のコ一主義につきさらに各基準が考えられるのであるが︑簡単にコ一主義についJて考察する友らば︑貸借対照

表が一定時点に於ける資産︑負債及び資本の現在価値を表示せねば友らね・とするたらば︑それは当然時価主義の採用と

たる︒叉景気変動により価格が甚しく変化する時には営業損盆と評価損盆とを区別し︑純損盆を算出するためにも時価

が考慮されねばたらたい︒原価ほ過去の価格であり︑現在の資産価値を表示するものでたいこととたる︒しかし真実性

の原則で述べた如く︑時価算定の困難と︑会計実践上から実益の乏しい点から原価特に取得原価がとりあげられたので

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ある︒さらに安全性の原則によって棚却資産については︑時価が原価より低い場合には時価によるべきであるとして低

価主義が慣習として採用されたのである︒叉償却資産︵回定資産︶については︑過大償却による早期償却が奨励された

のである︒過去における保守主義は低価主義−過大償却︑過大貸倒引当金の設定等によって︑秘密積立金の発生すると

とが︑企業の健全性︑安全性を保持するととができると考えたのであるが︑かかる思想は誤っておると考えられる︒企

業の健全性又は安全性は企業牧盆力の如何にかかっておるのであって︑個別資産の牧盆カ算定の不可能であるという点

で取得価格が採用せられ︑現実に時価が取得原価と甚しい相遣を来す時には︑支出価値の費用価値への転換が遁正に期

間計算を通じて行われ得たいという観点から回定資産の評価替えが行われ︑遁正償却を通じて実質資本の維持が計られ

ねばたらたいのであって︑評価差額は資本剰余金として留保されるととは当然である︒しかし棚卸資産については︑そ

の流動性からみて︑時価が取得原価より下落した場合には時価により評価するととにより適正な販売政策の樹立が可能

とたる︒理想的会計処理としては︑回定資産及び棚卸資産に対する評価差樹は資本剰余金に計上し︑遁正たる減価償却

の励行と︑遁正たる資産の表示が︑なされねばたらない︒

﹁註四﹂無形固定費意については︑有償取得の場合に限り︑その対価をもってその取得原価とするのであって︑保守主義の最も徹

底したものである

o

無形固定資産は如何に価値があろうとも︑無償取得の場合には貸借対照表に記載せないという態度は従来よりそ

の不合理なるζ

とが論ぜられてきたのでるるが︑元来︑時価は企業の超加牧益力の根源として還元さるべきものであって︑その決定 の困難又は不可能なるととと︑資産価椅は原則としてその支出価値に根拠を求める結果であると考えられる

o従って貸借対照表に計

上される啓一産は支出価値を前提とナるものであり︑時価とはその支出価値の一件評価にすぎない︒ここに貸借対照表記載能力の限界が

7︶ 単一ー性の原則として一株主総会提出のため︑信用目的のため︑租税目的のため等種々の目的のために異なる形

式の財務諸表を作成する必要ある場合︑それらの内容は信頼し得る会計記録に基いて作成されたものであって︑政策の

我が国の企業会計原則について

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考慮のために事実の真実たる表示をゆがめてはたちたい﹂と規定する︒種々の目的のために異たる形式の財務諸表を作

旋する場合にも︑内容は正規の簿記の原則に従い︑正確た会計帳簿によって作成された真実た報告でたければたら友い

のであって︑使用目的によって形式は変っても︑内容は単一でたければたら友いとするのである︒財務諸表準則の規定

は基準であって︑更に明細友る財務諸表でも︑簡単たものでも︑必要に応じて作成するととができるのであるが︑必要

た会計事実を明瞭に表示し︑企業の状況に関する刷判断を誤らせたいように内容は常に単一たもので︑怠ければたらたいの

=~ a

さて以上に於て一般原則についてその概観をしたのであるが︑我が国企業会計制度の上に普及徹底するためには︑公

認会計士制度を媒介としてあらゆる企業に強制されねばならたいと思うのであるが︑証雰取引法に基づく一億円以上の

資本を有する証雰取引所に上場されている株式の発行会枇その他に強行されるとしても︑叉その範囲が拡大されたとし

ても︑現在の我が国経済の発展段階より考えれば必ヂしも全企業への徹底は期しがたいのであり︑我が圏全企業の九九

%以上が中小企業形態をとるかぎりは前途に多難友ものがあると考えられるので︑学者及び実務者の絶大なる努力が要

請されると思う︒戦時中及び戦後における原価計算規則の制定強化にもかかわらやy︑それは勿論国家が軍需品調達価格

決定の手段として︑又は統制価格決定の手段として利用したとしても︑現在割合にその普及をみたいのである︒かかる

点より考えれば単たる強制監査の基準とするよりも︑企業の能率経営の合理的手段としての価値を強力に教育指導すぺ

きであり︑我が国経済基盤の念遼たる向上が望ましいのである1

倫一般原則の内容については︑既に諸学者の批測が発表されているのであるが︑概して純迎的であり︑我が国会計実

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践にその理論的根拠を求めているものが少くたいように思われ︑今後の実証的研究を基礎として改善深化されねば友ら

Jて︑むしろ問題は今後に残されていると思う︒

︵昭和二十六年五月八日﹀

我が国の企業会計原則にづいて

参照

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