原 著
〔書橋繕63魏霜62劉1骨〕
ブタ冠状動脈および大動脈中膜由来培養平滑筋細胞の
血管作動物質に対する反応性とその違い
東京女子医科大学 循環器内科宗教室 ウエ ダ テツ 上 田 哲 (主任 広沢弘七郎教授) ロウ 郎 (受付 昭和62年8月20日)The Responses of Cultured Swine Coronary and Aortic Medial Smooth Muscle Cells to Vasoactive Agents and the Di仔erences between Them
Tetsuro IJEDA
Department of Cardiology(Director:Prof. Koshichiro HIROSAWA) Tokyo Wonlen’s Medical College
Cultured smooth muscle cells were obtained by the explant method from medias of swine coronary arteries and ascending aortas, and their responses to vasoactive agents such as histamine, serotonin, noradrenaline, propranolol, isoproterenol and KCI were investigated. Cultured coronary cells in a con且uent and quiescent condition were contracted by histamine, serotonin and KCI which had been added into culture media, but did not by noradrenalin, propranolol and isoproterenol. On the other hand, cultured aortic cells were contracted by only histamine and KC1. As a result of the contraction, the areas of cell sheets reduced, The areas of smooth muscle cells, which were estimated quantitatively as the afeas of cell sheets measured by acolor image analyzer, were in parallel with the concentration of agents.
The administration of histamine for several Ininutes to cultured smooth muscle cells induced following morphological changes on individual cells;the formation of many small cytoplasmic processes on their free walls, and the increase of the cell thickness, but the decrease of the cell
area. These morphological changes caused by histamine were inhlbited by the simultaneous administration of a H1−receptor antagonist, diphenhydramine, and a intracellular Ca antagonist, 8一(N,N−diethylamino)octyl 3,4,5−trimethoxybenzoate(TMB−8)respectively. Histamine in− creased inHuxes of 45Ca2+from culture media into smooth muscle cells.
The contraction of coronary cells induced by histamine was signi丘cantly greater than that of aortic cells. The. contraction of coronary cells due to the administration of serotonin was inhibited by an addition of a 5HT1・receptor antagonist, cyproheptazine.
From these且ndings, it is concluded that several vasoactive agents cause cultured s輌ne coronary and aortic smooth muscle cells to contract in vitro, and that coronary cells are more sensitive in contraction to vasoactive agents than aortic cells.
はじめに 狭心症の原因の一つとして冠状動脈の李縮が注 目されている.しかしながら,まだこの李縮の発 生機序について不明の点が多い.そこでブタ冠状 動脈および大動脈の中膜より,explant法で得た 培養平滑筋細胞を用いて,その収縮を定量的に評 価する方法を確立し,あわせてこれら筋細胞の 種々の薬物に対する反応性と,その違いについて
検討して,若干の知見を得たので報告する. 実験材料と方法 1.ブタ冠状動脈および大動脈中膜平滑筋細胞 の培養 生後約6カ’月の食肉用雑種オス去勢ブタを潟血 屠殺し,これから無菌的に心臓を摘出した.そし て,右冠状動脈を起始部より約1Cmの部分から後 室問枝移行部まで無菌的に採取し,penicillin G (100u/ml), streptomycin(100μg/ml)を加えた Hanks液内で縦に開き,内皮を歯科用スパーテル で擦過剥離し,外膜と中膜外層を実体顕微鏡下で ピンセットを用いて剥離除去した.そして残った 動脈壁をメスで細切して約1mm角のexplant(移 植片)とした.また同じブタの上行大動脈の一部 を採i取し,同様にexplantを作った.これらを250 mlフラスコの底に置き,10%fetal calf serum
(FCS)を添加したDulbecco’s modified Eagle’s medium(DME)(ニッスイ)を加え,5%CO2下, 37℃に艀幽すると,5∼7日でexplantより平滑 筋細胞が出現し始め,2∼3週するとフラスコ面
全体をおおうほど増殖した.この培養細胞を
trypsinで継代し,その1∼8代のものを実験に用 いた. 細胞の同定は次のように行った. 1)explantの一部を,0.1M燐酸塩緩衝液加 fo㎜alinに固定しパラフ々標本とし,内皮およ び外膜の混入がないことを光顕的に確認した.ブ タ冠状動脈および大動脈の中膜には,電顕的に平 滑筋細胞しか存在しな:い. 2)増殖した培養細胞がconHuentとなった際, 平滑筋細胞に特徴的とされるいわゆるhills& valleysの配列を示すことを倒立顕微鏡下で確認 した. 3)培養細胞を電顕的に観察し,thick丘1ament, thin filament, dense ovoid areas, basement membraneの存在を確認した. 4)polyclonal抗体(和光純薬)を用いて,酵素 抗体法でアクチン,ミオシソの存在を確認した. 実験に用いる培養細胞は,5%FCSを添加した DMEに懸濁し,直径3.5cmプラスチヅク・ディッ シュに1.0×105個/2m至ずつ撒きconnuentとし た.光顕的観察に供する場合は,接種の際に前もっ てディッシュの底にカ・ミーグラス(24×18mm, MATSUNAMI)を入れ,その上に細胞を撒ぎ, 増殖させた. 2.血管作動物質等の薬剤の培養液への添加法 培養細胞がconHuentとなったら,実験開始の 24時間前に培養液をDME十10%FCS(2ml)を, DME÷5%FCS(2ml)に交換した.実験開始時に 培養液中にhistamine(最終濃度10 9∼10−3M), serotonin(10−9∼10−3M), noradrenaline(10−9 ∼10 3M), propranolol(10−9∼10−3M), isoproter− enol(10 8∼10−3M), KCI(25∼100mM)(和光純 薬)をそれぞれ加え,別個に細胞の形態学的変化 を経時的に倒立顕微鏡下で観察した.薬剤添加の 際,培養液の温度やpHの変化,細胞と空気との接 触が起ζらないように,次のようにした.すなわ ち,前もって薬剤を最:終濃:度の10あるいは100倍の濃度でDME+5%FCSに溶解し,温度とpH
(37℃,7.4)を補正しておいて,最終濃度になる よう手早く培養液に加えた(実験群).コントロー ル群には,温度とpHを補正したDME」「5%FCS を,実験群と同量培養液に加えた. 3.培養細胞の形態学的観察法 実験期間終了後,実験群およびコントロール群 の培養細胞を,glutaraldehydeあるいはformalin に固定し,透過電子顕微鏡走査電子顕微鏡,あ るいは光学顕微鏡下で観察した.透過電子顕微鏡 標本は,細胞を0.1M燐酸塩緩衝液加2.5%glutar− aldehyde(pH 7.4)に固定した後脱水,エポキシ 樹脂に包埋し超薄切片を作製した.そしてそれに 酢酸ウラン・鉛染色を施した.走査電子顕微鏡標 本は,glutaraldehyde固定した後脱水,臨界点乾 燥し,その後イオンスパッタリング法を用いてイ オンコーティングして,標本を作製した.また0.1 M燐酸塩緩衝液加formalin(pH 7.0)で固定した 標本にヘマトキシリン・エオジン染色を施し,光 学顕微鏡下で観察した. 4.細胞形態の画像解析 1)細胞総面積の測定 カバーグラスに細胞を増殖させ,実験終了後, 細胞の増殖しているカバーグラスの入ったディッシュ内に静かにformalinを入れ,細胞を固定,カ バーグラスを引き上げヘマトキシリソ・エオジン
染色を施し,エオジンに染まった部分の総面積,
すなわち細胞質の総面積を,画像解析装置(Color
image analyzer, CIA 102,オリンパス転換)を
用いて測定した.培養液に薬剤を加え,細胞が収 縮した場合には,細胞のおおっている範囲が縮小 してカバーグラス面が露出するので,細胞のお おっている部分の面積を測定し,細胞収縮の程度 を数量化した. なお,ヘマトキシリン・エオジンの染色性が面 積測定に大きく影響するため同一実験群の染色は 同一条件で行った. 2)個々の細胞の面積の測定 単離した培養平滑筋細胞の,個々の大きさの変
化をalkaline dissociation method(Krushinsky, Orekhov法変法1)2))を用いて検討した. 3.5cmディッシュにconfluentとなった培養細 胞を2群に分け,1群には50mM KCI,他の群に はコントロールとしてDME十5%FCSを投与し, 30分間37℃で艀下した後formalinで固定した.数 時間固定後,phosphate−buffered salineで2回静 かに培養細胞の表面を洗い,30%KOH−99%eth− anol(1:1)群をL5ml加え,室温でゆっくりと 振盤させた.3時間後,KOH−ethanol液をパス ツールピペットで静かに吸い取り,細胞表面を蒸 留水で2回洗い,その後再び蒸留水をディッシュ に加えて静かに数回撹搾して,パスツールピペッ トで細胞を集め,その2∼3滴をスライドグラス 上に滴下した.それを室温放置して自然乾燥させ た後,ヘマトキシリソ・エオジン染色を施した. それらを光顕的に観察するとともに,画像解析装 置を用いて,単離した個々の培養細胞の面積を測 定し,KCI投与群とコントロール群との間で比較 した. 5.Histamineやserotoninによる細胞形態変 化に対する受容体拮抗薬,カルシウム拮抗薬の影 響 histamineやserotonin添力ロによる培養平滑筋 細胞の形態の変化が,受容体を介した変化である かどうかを検討するため,H、受容体拮抗薬di一 phenhydramine(DH, Siglna),5HT1受容体拮抗 薬cyproheptazine(CH, Sigma)の影響を検討し た. 10−5M DHまたはCHを加え,20分間艀置した 培養細胞に,10}5M histamineまたはserotonin をそれぞれ加え,再び艀卸してその30分後にfor− malinで固・益した.その細胞にヘマトキシリン・エ オジン染色を施し,光顕的に観察すると共に画像 解析装置を用いてその変化を定量化した.
また,細胞内Ca2+拮抗薬,8一(N,N−
diethylamino)octyl 3,4,5−trimethoxybenzoate (TMB−8)(Sigma)3),およびCa2+channel block・ er, diltiazem(Tanabe)の細胞形態変化に対する 影響を検討するため,受容体拮抗薬と同様の実験 を行った.6.Ca2+uptakeとcyclic adenosine mono・
phosphate(cAMP)
histamine添加により培養細胞は形態を変化す るが,その際の培養液から細胞内へのCa2+ up−takeと細胞内cAMP濃度の変化を検討した.細
胞が3.5cmディッシュにconHuentとなったと
き,DMEに含まれる血清濃度を10%から5%に
落し,24時間艀適した後,培養液に,histamine(最 終濃度10−5M)と45Ca2+10μCi(NEN)を同時に加 えた.再び細胞を37℃に艀齢し,一定時間後(0, 5,10,20,30,60,120分)にlanthanum chloride を加え,Ca2+の細胞内への流入を止めた.細胞を よく洗浄した後,trichloroacetic acidを用いて細 胞内45Ca2+を抽出し,その一部を取り細胞内45Ca 値をβカウンターで測定した.また残りを3,000 rpm,10分遠心し上清を分取し,水飽和etherで trichloroacetic acid除去後, cAMP assay kit(Yamasa)を用いて細胞内cAMP:量を測定した. 7.統計学的検討 統計学的処理には,t検定を用い,5%以下の危 険率の場合を有意差ありとした. 実験成績 1.血管作動物質等によるブタ冠状動脈および 大動脈培養平滑筋細胞の形態変化 1)細胞集団としての検討 connuentとなったブタ継代培養動脈中膜平滑
筋細胞を,位相差顕微鏡で観察すると,hills& valleysの増殖形態を示し,細胞間隙はほとんど認 められなかった(写真1).また冠状動脈,大動脈 由来の培養細胞の形態に差は認められなかった. この状態の培養平滑筋細胞に10−5M histamineを 投与すると,数分の間に徐々に細胞間に間隙を生 じディッシュ底は露出し,投与後難15分でその間 隙は最大となった(写真2).それは投与後約30分 まで持続し,その後はhistamineの入ったままの 写真1 ブタ冠状動脈培養平滑筋細胞(2代継代)像. 平滑筋細胞に特徴的とされるhills&valleysの配 列を示し,細胞間隙はほとんどない.位相差顕微鏡 籐,×130 状態でも間隙は徐々に小さくなり,早い場合には 投与後約90分でほとんど間隙のない元の状態に 戻った,このような変化は,投与したhistamineの 濃度が高くなるにつれて著明となり,またコント ロール群には認められなかった.冠状動脈筋細胞
は,histamine以外, KCI, serotoninに対しても
濃度依存性に同様の形態変化を生じたが,nora・
drenaline, isoprotereno1, propranololを種々の
濃度で投与しても明らかな変化は認められなかっ た.大動脈筋細胞は,histamineとKC1以外の薬 写真2 写真1と同じ条件のブタ冠状動脈培養平滑筋 細胞にhistamine(最終濃度10−5M)を投与後20分の 位相差顕微鏡像.×130
灘
鐵
灘 写真3 A:ブタ冠状動脈培養平滑筋細胞を初代継代し48時間後の位相差顕微鏡像. B:Aの細胞にhistamine(最終濃度10−5M)を投与後10分の像. Aと同じ部分の位 相差顕微鏡豫である.histamine投与前に比して一部の細胞は明らかに面積が縮小 し,丸くなっている(矢印), ×80物に対して反応しなかった. 2)単離した培養細胞についての検討 1)では培養細胞の形態変化を細胞群として検討 したが,この方法では個々の細胞にどのような変 化が生じているのか明確な情報が得られない.そ こで,次の二つの方法を用いて,培養細胞個々の 形態変化について検討した. (1)継代後早期における形態変化の検討 trypsin処理後数日しかたっていない培養細胞 を位相差顕微鏡で見ると,細胞密度は疎で,まだ hills&valleysを形成しておらず,多くの平滑筋 細胞は重層していない.そのため,個々の培養細 胞の形態を位相差顕微鏡下で観察することができ る.そこで接種後48時間目の培養細胞に,10−5M histamineを作用させた. histamine投与前の個々の細胞は,こんぽう状・ 星状・やじり状など種々の形をしていたが,そこ にhistamineを投与すると,数分で細胞の面積が 縮小し始め,細胞は丸くなった(写真3A, B). (2)Alkaline dissociation methodによる形態
変化の検討 接種後早期の細胞の形態変化と,co㎡【uentと なった状態の培養細胞の形態変化が同じであると は言えない.そこで,conHuentとなり,かつ重層 した状態の培養細胞群にhistamineを作用させ, 写真4 Connuentとなったブタ大動脈培養平滑筋細 胞(2代継代)にalkaline dissociation methodを 用い単離した細胞の光顕像.
細胞は大きく,細胞表面は平坦で凹凸を示さず,比 較的均一に染色されている.ヘマトキシリソ・エナ ジン染色.×800
細胞間に間隙ができた状態における個々の細胞の
形態変化を,alkaline dissociation methodを用い て検討したD2》.コントロール群の単離細胞は,大
巽.
写真5 Connuentとなったブタ大動脈培養平滑筋細 胞(2代継代)にKCI(最終濃度25mM)を投与30分 後に固定し,alkaline dissociation methodを用い て単離した細胞の光顕像. 細胞質突起に富み,不規則な形態を示す.ヘマトキ シリン・エオジン染色.×800 2翼¶05 毫
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o r■■9,‘0・05一 工 口《o.01 乙 1200μz 《…崔
薗 OOO 300 0 CO閥丁爾OL 民C1 5覧FC8 26旧闇 図1 単離したブタ培養大動脈平滑筋細胞(2代継代) の平均面積(臓)と培養細胞群の面積(○). 両面積共に画像解析装置を用いて測定し,向って左 がコントロール群,右がKC1(最終濃度25mM)投与 群を示す.細胞群の面積をポイント数で表した.ポ イント数が少ないほど,面積の縮小していることを 示す.KC1投与群は投与後30分でformaline固定し た.きく平坦で,細胞質もエオジンで均一に染まって いた(写真4).これに対して,実験群の細胞は厚 さを増し,エオジンに強く染まり,細胞の辺縁は 不規則となり,多数の小突起が認められた(写真 5).また両々の単離した細胞ひとつひとつの面積 を画像解析装置を用いて測定し比較すると,実験 群の細胞はコントロール群に比して面積が有意に 減少していた(図1). この二つの実験結果から,con舳entの状態の細 胞集団における細胞間隙の増大は,個々の細胞の 収縮を反映しているものと思われた. 3)Histamineとserotoninに対する冠状動脈 と大動脈培養平滑筋細胞の反応性の比較検討 冠状動脈と大動脈の中膜に由来した培養平滑筋 細胞についてhistamineとserotoninによる収縮 性を比較検討した.薬剤投与後30分で,細胞をfor− maline固定し,ヘマトキシリン・エオジン染色を 行い,画像解析装置により,細胞群の面積を測定 した.そして,コントロール群の面積を100%とし た場合の,それぞれの群の面積のパーセントを求 め比較した. (1)Histamineに対する反応性 最終濃度10−9Mから10『5Mまでの4種のhis・ tamineを投与し,それぞれの形態変化を,画像解 析装置を用い定量化した.またHI受容体拮抗薬 DH(最終濃:度10−5M)をhistalnineに併用し,そ の影響も定量化した(図2). 冠状動脈大動脈由来の平滑筋細胞は共に,濃 度依存性に面積を減少し,10−7M以上の濃度で は,両者は,コントロール群に比して有意に面積 は減少した(p〈0.01).しかし,冠状動脈由来の 平滑筋細胞は,大動脈由来のそれに比べてhis− tamineに敏感でより強く収縮し,10−5Mではそ の差は明瞭であった(p<0.Ol).また,この変化 は,DHを併用すると抑制され,10一5M histamine を投与しても細胞収縮は生じなかった. (2)Serotoninに対する反応性 最終濃度10皿9から10−5Mまでの4種のser・ otoninを両動脈培養平滑筋細胞に投与し,画像解 析装置を用いて定:卸した.一また5HTI受容体拮抗 薬CH(最終濃度10−5M)の,この変化に対する影 岩 註 缶 建 臣 % 100 50 . Pト・、 h’
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図2 Histamine投与による冠状動脈および大動脈 培養平滑筋細胞の収縮性の比較. []は冠状動脈,●は大動脈を示し,コントロール群 の細胞群の面積を1QO%として表した.したがって, 値が小さいほど収縮が強いことになる. 岩 託 缶 呂 臣 嵩 50 IAdd Cソprohep電azhe 量0−5麟汲一噛一一一一↓一一↓…
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図3 養平滑筋細胞の収縮性の比較. □は冠状動脈,●は大動脈を示し, の細胞群の面積を100%として表した, Serotonin投与による冠状動脈および大動脈培 コント ローノレ君羊 響も検討した(図3). 両動脈筋細胞にserotoninを作用させると,冠.灘灘蜘
写真6 ブタ大動脈培養平滑筋細胞(4代継代)のコントロール群の透過電子顕微鏡
像.
筋細胞はおたがいに重層しあい,細胞の自由表面は平滑で,粗面小胞体,mitochon・ dria, multivesicular body, Goldi野が明瞭である。酢酸ウラン・鉛染色.スケール
は1μm. 写真7 写真6と同じ条件のブタ大動脈培養平滑筋細胞にhistamine(最終濃度10−5 M)を投与後30分の透過電子顕微鏡像. 細胞内の丘lamentが明瞭となり,多数の小突起を自由面に認める.酢酸ウラン・鉛 染色.スケールは1μm. 状動脈由来の筋細胞の面積は濃度依存性に縮小 し,10−5Mではコントロール群に比して,有意に 縮小し(p<0.01),この変化は,CHにより抑制さ れた.しかし,大動脈由来の筋細胞はserotoninに よる形態の変化は認められず,面積もコントロー ル群と有意な差を認めなかった. なお,これら両動脈培養細胞の反応性は,8代 まで継代を繰り返しても同様であった. 4)透過電子顕微鏡的観察 コントロール群の平滑筋細胞は,最高約5層に 重層し,細胞の自由表面は平滑であり,粗面小胞
体,mitochondria, multivesicular bodyセこ富み,
Golgi野は明瞭である(写真6).これに対して histam三ne投与群(最終濃度10−5M)は,細胞間に 間隙を生じ,自由面に大小不同の多数の小突起(長 さ0.5∼1.5μm,幅0.5∼1.3μm)を形成し,細胞 内小器官,ことに粗面小胞体,multivesicular り body, Golgi野は減少し,70∼80A前後のthin む mament束や100A mamentが,細胞の長軸に平 行に発達していた(写真7).小突起内には,小数 の粗面小胞体,mitochondria, multives孟cular
bodyなどの小器官は認められたが,束状の
丘1amentが突起内に入ることはなかった. 5)走査電子顕微鏡的観察 コントロール群の平滑筋細胞は平坦で,重層し, ディッシュ面は露出していなかった(写真8). histamine投与群の平滑筋細胞は,その辺縁がま くれ上がり,自由面に多数の大小不同の突起を認 め,細胞間にディッシュ面が露出していた(写真 9). 2.培養細胞の形態変化の本態についての検討 ブタ培養血管平滑筋細胞は,薬剤により著明な写真8 ブダ冠状動脈培養平滑筋細胞(3代継代)の コントロール群の走査電子顕微鏡. 細胞は重層してディッシュ面の露出はない.×1,700 形態変化を生ずる.そこで,この形態変化の本態 を検討するために,次に述べるいくつかの実験を 行った. 1)受容体拮抗薬の形態変化に対する影響 10−5M DHまたはCHにあらかじめ艀渇した 培養細胞に10−5M histamineまたはserotoninを 作用させたところ,histamineやserotoninによ る細胞収縮は完全に抑制され,細胞の形態はコン 写真9 写真8と同じ条件のブタ冠状動脈培養平滑筋 細胞にhistamine(最終濃度10−3M)を投与後10分の 走査電子顕微鏡像. 細胞間に著明な間隙を生じ,ディッシュ面は露出し, 糸のように伸びた小突起を認める.×1,700 トロール群または実験前のそれと同様であった (図2,3). 2)Histamineによる培養細胞の形態変化に対 するTMB−8およびdiltiazemの影響 上述の実験結果より,これらの形態変化は収縮 によるものであることが推測されたが,この変化 に対する,TMB・8, diltiazemの影響を検討した % 100 50 0 r一尋 1一一一一一一一噸 CORONARY AORTA 4・3 Pく0.01 r一_一・← u一ウ
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9ゆ 聲 聲サ 聲ラ 図4 TMB・8およびdiltiazemの影響.誰
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聲 、豊甲 量望助
.鍵岳 雛 購う 冠状動脈および大動脈培養平滑筋細胞のhistamineによる収縮に対する コントロール群を100%としてそれぞれの群の面積を表す.pmol/d18h 500 山 と 《 ← Ω.250 ⊃ 為
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0 30 60 竃20m薗n・ 丁IME 図5 ブタ大動脈培養平滑筋細胞のhistalnine投与(最終濃度10−5M)によるCa2+ uptakeとcAMP値の変化. ○はhistamine投与群,●はコントロール群のCa2+uptakeを表し,△はhistamine 投与群,▲はコントロール群のcAMP値を表す. (図4). 冠状動脈および大動脈培養平滑筋細胞をそれぞれ4群に分け,1群はコントロール群,2群は
histamine 10−5M単独投与群,3群はhistamine 10−5M十TMB−8 150μM投与群,4群はhis− tamine 10−5M+diltiazem 10}5M投与群とした. 1群の細胞の総被覆面積を100としてそれに対す る割合で,面積変化を表現した.その結果,TMB 8はhistamineによる細胞の収縮を有意に抑制し たが(p<0.01),diltiazemはそれを抑制しなかっ た. 3)Histamineによる培養細胞の形態変化と Ca2+一uptakeおよびcAMP濃:度 histamine投与の際の,血管培養平滑筋細胞の 形態変化と,細胞内のCa2+uptake,細胞内cAMP 濃度の変化を検討した. 大動脈由来の培養平滑筋細胞について,his− tamine投与後120分までの45Ca2+uptake,および 細胞内cAMP値の変化を検討した(図5). His− tamine投与群の細胞内45Ca2+値は10分後にピー クを作った後低下し,その後再びしだいに増加す るが,コントロール群の細胞内45Ca2+値はピーク を作らず,そのまましだいに増加していく傾向を 示した.cAMP値は実験群とコントロール群の間 に有意差を認めなかった.また経時的変化をみた が,cAMP値に変化はなかった.次に冠状動脈培 養平滑筋細胞について,histamine投与後30分ま で同様の実験を行なった(図6).大動脈と同じく, 冠状動脈培養平滑筋細胞も,histamineにより,45 Ca2+uptakeは有意に上昇したが, cAMP値は変 化しなかった. したがって,histamine投与により,細胞は形態 変化を生ずると共に,細胞内へのCa2+の流入が起 こることが示唆された. 考 察 1.血管作動物質による培養平滑筋細胞形態変 化の本態 ブタ培養血管平滑筋細胞は,種々の薬剤により, 著明な形態の変化を生じ,そめ形態的観察から, その変化が細胞面積の縮小と厚さの増加によるこ とがわかった.また受容体拮抗薬の併用により, 変化が抑制されるため,histamine, serotoninに ついては受容体を介した変化であると考えられ た.これらのことから,この筋細胞の変化は収縮pm
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C評㌦聖P隔ke 8:131謝鷲蕊 eAMP △;hl凱am川eτσ置M ▼=COn量rol mediしlm P O.0↑ ・mZ、 .0 睾 。琶 10 0 3艦i. TI鯛ε 図6 ブタ冠状動脈培養平滑筋細胞のhistamine投 与(最終濃度10}5M)によるCa2+uptakeとcAMP 値の変化. ○はhistamine投与群,●はコントロール群のCa2+ uptakeを示し,△はhistamine投与群,▼はコント ロール群のcAMP値を表す. によると思われる.しかし,培養平滑筋細胞の面 積の縮小が,弛緩を表わすとの報告がある4).その ため,形態的観察のみでなく他の手法を用いて収 縮であることを確認する必要があり,収縮弛緩に 重要な役割を果たすとされるCa2+の動きと,弛緩のsecond messengerとされるcAMP値変化を
検討し,これらの形態変化の本態について調べた (図4,5,6). 平滑筋の収縮弛緩は,細胞内Ca2+の増減により 制御される5).すなわち,平滑筋の収縮には,細胞 内Ca2+レベルの上昇が必要であり,それは筋小胞 体とミトコン1ドリアが主とされる細胞内Ca2+貯 蔵部位からのCa2+の遊離が重要で,細胞外液の Ca2+は必要としな:いことが知られている6)7).細胞 内Ca2+貯蔵部位からのCa2+の遊離を抑制すると されるTMB−8により,培養平滑筋細胞の形態変 化は抑制され,またCa2+channel blockerである diltiazemがこれを抑制しなかったことは(図 4),平滑筋細胞収縮における,細胞内Ca2+貯蔵部 位からのCa2+遊離の重要性を,再確認させるとと もに,これらの培養平滑筋細胞の形態変化が収縮 によるものであることを裏付けた.また細胞内へ のCa2+流入の増加は(図5,6),細胞膜のCa2+ channelの活性化によるものと思われ,また加えて,その際弛緩のsecond messengerである
cAMP値が変化しないことは,間接的にこの変化 が収縮であることを示唆した. 2.血管李縮研究における培養細胞の有用性 培養平滑筋細胞における収縮運動の観察は,生 体内における環境と全く異なった人工的環境下で 、のものであり,細胞形態も培養条件,たとえぽ, 細胞密度,継代数などによって異なる.したがっ て,その成績の解釈はきわめて慎重でなけれぽな らないし,かなり繰り返された実験成績に基づく ものでなければならない.培養細胞を用いた研究 には,このような欠点はあるにしても,次のよう な利点もある. 1)細胞を周囲環境から分離でぎるので,細胞独 自の収縮機能を検討することができる. 2)細胞を多量に得ることができるので,収縮に 関連した細胞代謝を研究することができる. 3)細胞収縮に影響を及ぼす因子を作用させ,そ の影響をみることができる. 培養血管平滑筋細胞を得る方法として,従来よ りexplant法と酵i素分散法とが行われてきた が8),explant法で得られた細胞は,発芽の段階で 細胞にoutgrowthという選択が加わるためか,自 発的に収縮することはなく,また種々の血管作動 物質に対しても光顕的に明らかな収縮は起こらな いとされてきた9)∼11).一方,酵素分散法では,収縮 能を持つ培養平滑筋細胞が得られるので,収縮の 観察研究には,酵素分散法で得た平滑筋細胞が用 いられることが多い12)∼16).しかし,分散法で得ら れた平滑筋細胞も継代すると収縮しなくなるた め,初代細胞しか実験に用いられない傾向があり, 実験のつど細胞を調整しなけれぽならない煩雑さ がある.本研究によっ℃,explant法で得た動脈培養平滑筋細胞も,血管作動物質やKCIの添加に よって形態変化を生じ,それが収縮であることを 確認した.また収縮によるこれらの形態変化を定 量化する方法も,画像解析装置を用いて確立でき たので,少なくともブタ動脈平滑筋細胞を用いた 収縮反応の研究には,本法の利用も可能であろう. なお,ウサギおよびサルの大動脈よりexplant 法で得た培養平滑筋細胞は,ブタの実験と同様に 薬剤を用いても収縮反応を示さな:かった. 3.摘出ブタ冠状動脈条片の収縮性と培養平滑 筋細胞における収縮性、 成熟ブタより摘出した心臓より,冠状動脈条片
を作り,それにhistamine, serotonin, nora− drenalineを作用させた場合の収縮性17)と,本実験 成績とを比較した.条片についての成績によると, histamineは10−7∼10−5Mの濃:度で,濃度依存性 に条片を収縮させ,serotoninも10−8∼2×10−6M で濃度依存性に収縮を起こしたが,noradrenaline は逆に拡張作用を示したという.培養細胞におい ても,histamine, serotoninは共に10−9Mから10−5
Mまで濃度依存性に収縮を生じたが,nora−
drenalineでは収縮を生じず,条片標本とin vitro 標本の平滑筋細胞の収縮はかなり類似性がみら れ,ブタ冠状動脈中膜由来の培養平滑筋細胞はin vitroにおける血管平滑筋の収縮を再現しうるモ デルとして扱えるものと考えられる. 4.大動脈と冠状動脈由来の平滑筋細胞の収縮 性の違いについて 本研究において,同一実験条件下で培養液中に, いくつかの薬物を添加した場合,冠状動脈は大動 脈に比べ敏感に反応する.その差を生む細胞レベ ルでの動態の差は全く不明であり,今後の解析が 必要である. 一般に,臓器動脈は,大動脈より収縮しやすい と言われているが,臓器動脈の血管作動物質に対 する反応性は動物種,臓器により異なることが知 られているし,また同一の動物臓器でも,動脈の 径によって反応性が異なる.例えばサルの冠状動 脈では,起始部においてはnoradrenalineによっ て収縮するが,末梢の細い動脈では弛緩を示し, その原因として,それぞれの平滑筋細胞の血管作 動物質に対する受容体機能が異なることが考えら れている18). 動物実験などの成績から冠状動脈李縮は内膜肥 厚を有する部位に発生すると言われている19)20). 内膜肥厚部に出現する内膜平滑筋細胞は,中膜平 滑筋細胞と超微形態的に異なるので,その収縮反 応性も当然中膜筋細胞と異なることが想像され る.また内膜肥厚を伴う部位においては,しぼし ぼ内皮細胞に壊死が認められるので,内皮細胞か ら分泌される弛緩物質(endothelium−derived relaxing factor)21)も減少していることが期待で きる.これらのこξも動脈硬化を伴った内膜に献 血が高頻度かつ高度に生ずる理由として,考慮し ておく必要があろう. いずれにしても,本実験からブタの冠状動脈中 膜平滑筋細胞は,in vitroにおいても大動脈の筋 細胞に比べて,histamine, serotoninに対し,強 い収縮性を示した.本モデルは自律神経や内皮細 胞の影響を考慮する必要がないので,筋細胞自体 に1血管作動物質に対する反応性の差が存在するこ とを考えておく必要があろう. ま と め 1.ブタ冠状動脈および大動脈より,中膜平滑筋細胞をexplant法で継代培養し, histamine, ser− otonin, noradrenaline, propranolol, isoproter− enol, KC1を作用させた. 2.冠状動脈培養平滑筋細胞はhistamine, ser− otonin, KCIに,大動脈培養平滑筋細胞はhis− tamine, KCIに,それぞれ濃度依存性に反応し収 縮した.その収縮の程度を細胞総面積の測定によ り定量化した. 3.Histamine投与により,培養細胞の,1)面 積は縮小し,2)細胞質にthin filamentや100 A mamentが増加し,3)細胞自由面に多数の突起が 形成された. 4.Histamineやserotoninによる細胞収縮反 応は,それぞれの受容体拮抗薬により抑制された, 5.Histamineによる細胞収縮時,細胞内への Ca2+の取り込みは有意に増加し,細胞内Ca2+拮抗 薬,TMB−8は, histamineの収縮反応を抑制した. 6.冠状動脈由来培養平滑筋細膨は,大動脈由来
平滑筋細胞に比べ,histamineに対し,より敏感に 反応し,強く収縮した.serotoninに対し,前者は 濃度依存性に反応し収縮したが,後者は反応しな かった. 稿を終るにあたり,私に山梨医科大学第1病理学教 室で研究する機会を与え,また終始御指導下さいまし た,広沢弘七郎教授,ならびに関口守衛教授に深謝致 します.また山梨医科大学にての2年間,そしてそれ 以後も,直接御指導と御助言をいただき,また御校閲 下さいました山梨医科大学第1病理学教室吉田洋二 教授に深謝致します. 本論文の研究は,主に山梨医科大学第1病理学教室 で行ったもめであり,須田耕一助教授,三俣昌子助手 を始めとする教室諸子生方の協力に感謝致します.ま たCa2+に関する実験に協力して下さいました北里大 学薬学部遠藤正彦先生に感謝致します. なお本論文の要旨は,第15回日本脈管作動物質研究 会ならびに第27回日本脈管学会において報告した. 文 献
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