博士論文
感温性高分子膜の製造とその物質透過性に閏する研究
熊本大学 工学部 自然科学研究科
生産科学専攻応用物質化学講座
緒 方 智 成
第 1 章 緒 論
1 . 1 は じ め に
1.2感浬性高分子の機能と研究 1.3感温性高分子膜
1.4本研究の目的 1.5文献
11345
第2章 感温性高分子の合成
2.1はじめに 2.2実験
2.2.1試薬
2.2.2NIPAAmおよびその他のモノマーのPVAへのグラフト重合 2.2.3感温性高分子膜の製造
2.2.4熱処理
2.2.5グルタルジアルデヒド処理 2.2.6膨潤度測定
2.2.7示差走査熱量計(DSC)による相転移温度測定 2.2.8熱応力歪測定装置(TMA/SS)による引っ張り試験 2.2.9微量元素分析
2.2.10赤外吸収(IR)スペクトル測定
2.2.1113C-および1H核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定 2.2.12ゲル漉過クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定 2.2.13蛍光プローブによる膜の親一疎水環境の観察 2.3結果と考察
2.3.1NlPAAmのPVAへのグラフト重合 2.3.2PVA-g-NIPAAm共重合体の構造 2.3.3グラフト重合条件の検討 2.3.4PVA-g-NIPAAmおよびPGN膜の膨潤度温度変化 2.3.5熱処理
2.3.6グルタルアルデヒド処理
2.3.7TMA/SSによる膜の引っ張り強度の測定 2.3.8蛍光プロープによる膜のミクロ環境の観察 2.4まとめ
2.5文献
7777899900111122226503793881111111111123333444
第3章相転移温度の異なる感温性高分子の合成および相転移温度に及ぼす諸因子 3 . 1 は じ め に
3.2実験 3.2.1試薬
99004455
目次
1122293655555566
第4章MACを導入した感温性高分子の特異的膨潤挙動 4 . 1 は じ め に
4.2実験 4.2.1合成 4.3結果と考察
4.3.1PGN-MAc膜の温度変化に基づく膨潤挙動
4.3.2PGN-MAc膜の特異的膨潤挙動におけるNlPAAmとMAC間の 水素結合の影響68
4.3.3NlPAAmとMAC間の水素結合およびMAC中のα-メチル基の 疎水性相互作用の解明
4.3.4PGN-MAc膜の熱処理またはグルタルアルデヒド処理による膨潤度の抑制 4.4まとめ
4.5文献
77778886666666
70
236777
第 5 章 感 温 性 高 分 子 膜 に よ る 種 々 の 物 質 の 透 過 5.1はじめに
5.2実験 5.2.1透過実験 5.2.2吸着実験 5.2.3濃度測定 5.3結果と考察
5.3.1電解質の透過
5.3.2メチレンブルーの透過
5.3.3分子量の異なるポリエチレングリコールの透過 5.3.4親疎水性の異なるブチルアルコール異性体の透過 5.3.5メタクリル酸を導入した膜の物質透過性
5.4まとめ 5.5文献
7777990070423777777788899000111
3.2.2グラフト重合 3.2.3カチオン交換容量測定
3.2.4膨潤度および相転移温度の測定 3.3結果と考察
3.3.1感温性高分子の膨潤挙動に及ぼす高分子鎖に導入されたモノマーの影響 3.3.2相転移温度および膨潤度に及ぼすゲル溶媒の影響
3 . 4 ま と め 3.5文献
総 括
6.1本研究の成果
6.1.1感温性高分子の合成 6.1.2種々のモノマーの導入 6.1.3透過性の温度制御 6.2今後の課題と展望
888890000001111111
第 6 章
第 1 章 緒 論
1.1はじめに
高分子ケルは高分子が3次元のネットワークを形成し、溶媒との高い親和性を保ちながら、そ の広がりが制限されるため溶解せずにその形状を保持している。高分子ゲルの中で、溶媒が水で あるものを高分子ハイドロゲルと呼び、高分子ハイドロゲルは高分子が自重の数倍から数百倍に も及ぶ大量の水を含んでおり、高分子鎖と水との間での相互作用に基づき、様々な性質を示す。
水は、地球の環境および生命にとって欠かすことができず、その利用および制御に高分子ハイド ロケルを用いることは、省エネルギー・省資源、利便性、環境保護、高機能などの面から有益で
あると考えられる。
この高分子ハイドロゲルは様々な用途に利用されつつある。古くは、こんにゃくや寒天などの 食品があり、近年では衛生用品や化粧品、その他多くの材料として実用化されている。さらに新 機能材料としてゲル特有の性質を利用した研究が多数なされ、医療.医薬をはじめ、バイオエン ジニアリング、土木建築素材、農業・園芸・食品など多方面への利用がなされつつある1,2,3,4,5) 。 また、生体組織はほとんどがゲルから構成されているといっても過言ではなく、医療の分野では 高分子ゲルの生体への親和性の高さから、代替組織等への用途が有望視されている⑳。
1970年代にゲルの相転移現象が見いだされ7)、外部環境に応答するインテリジェントマテリア ルとしての研究が盛んになり、その刺激応答性を利用した医薬や農業、工業など多方面への応用 が期待されている。これらの研究の発展とともにその理論的なモデル展開も広がり、その相転移 現象を含めたゲルの性質も制御可能となり、ゲルの特性とゲルのマクロおよびミクロの構造的特 徴との関連も明らかになりつつある。
高分子ゲルが機能‘性素材として注目され始めたのはきわめて最近であるが、その特異的な性質 により、これまでになかった機能を持つ新材料として、あるいはこれまでの機構.機械.装置に
とって変わる素材として将来を見据えた研究・応用がなされていくと考えられる。
1
1.2感温性高分子の機能と研究
1940年代にFloryらによる高分子ゲルの熱力学的なアプローチによる研究において帥、高分子
ゲルの吸水・膨潤挙動は浸透圧により決定されるとされ、その浸透圧は定性的に次に表される Floryの次の式により導かれるとされた。この式はそれぞれの項においてゲルの
、鋤,除{-封L・.L詩型煮}
(ここで、Q:膨潤度,j/Vu:高分子網に固定された電荷密度,1/S'/2:外部溶液のイオン強度,
(1/2-X,)/V1:高分子網と水の親和力,〃/Vo:架橋密度。である)
浸透圧がいくつかの要因により影響されることを示している。ゲルの系の内外における浸誘序差 によるケル内への水の浸入は、通常の線状高分子が溶媒和され広がった構造をとることにより溶 解することと同様であり、ゲルとなる高分子は水との高い親和性により吸水する。この吸水があ る程度進行すると、高分子鎖は広がった状態になりエントロピーが減少し、また、高分子鎖が伸 長することにより弾性エネルギーが上昇する。これらの力が釣り合った状態がゲル内外での浸透 圧差が0となる平衡膨潤である。高分子鎖と水との親和性や高分子鎖の弾性はゲルを構成する高 分子鎖の構造や高分子鎖とゲルの溶媒との相互作用、例えばそれぞれの親疎水性、イオン性、水 素結合力、剛直性、可動性などにより決定される。つまり、ゲル溶媒の組成、濃度、pH、温度 などの変化により高分子鎖間または高分子鎖と溶媒間での相互作用が影響を受け、ゲルの膨潤状 態が変化する結果となる。ゲルは、これらの状態の変化による膨潤状態の変化がある領域で急激 に大きくなり、相転移を示す。これが外部環境に応じて膨潤一収縮する刺激応答性高分子ゲルと いわれる性質の基礎となっている。この刺激応答性高分子ゲルについての研究は多数なされてお り、光.熱.電場・濃度・物性などの物理的変化や化学的変化に基づく刺激により膨潤度などが 可逆的に変化する高分子ハイドロゲルが利用されている。
刺激応答‘性高分子の中でも、温度変化に応答する水溶性高分子は比較的古くから知られており、
水溶液が高温で白濁・不溶化するカルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリ ピニルメチルェーテルなどが挙げられる。特に近年、N-置換型(メタ)アクリルアミドのポリマ ーの一部が水中で温度変化により鋭敏な相転移を示すことが見いだされ,)、盛んな研究がなされ
2
ている。中でも、ポリハノーイソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)は相転移温度(下限臨界溶 液温度:LowerCriticalSolution亜mperature(LCST))が室温または体温に近い32℃であり、相転移
挙動が濃度や重合度に依存せず鋭敏で、構造が比較的単純で合成や重合が容易であることから、
感温性高分子及び感温性高分子ゲルとしてもっとも多く用いられている。
この感温性高分子ゲルは高温で自由エネルギーに対するエントロピー項の寄与が大きく負と なり、溶解における自由エネルギー変化が正となるために、より規則性の高い相分離状態になる。
これに基づき、感温性高分子ゲルはわずかな温度変化に伴い吸水一脱水を行い、それに伴う膨潤 体積変化や透光性の変化、親疎水性の変化を示す。これらの変化を利用し、温度変化により吸着
一脱着を繰り返す吸水材料'①や吸着剤u)、体温や化学組成に基づき薬物を放出するドラッグデリ バリーシステム'20、酵素の固定化'鋤、細胞の固定化'4)、温度制御型クロマトグラフ'5)など多方面
にわたる研究・開発が進められている。また、この他にも光応答性物質を組み込み、そのフォト クロミック反応に基づくイオン性の変化などにより、相転移を引き起こす素材'6)や、イオン種に 選択的に応答して相転移を生じる高分子など'7)、温度変化のみではなく様々な環境変化をトリガ ーとする刺激応答性高分子としての研究も数多く行われている。
1.3感温性高分子膜
物質を選択的に分離したり、濃縮する高分子膜などはこれまでに多数研究・実用化されている。
通常の膜による物質分離には、膜中の細孔サイズに基づくふるい効果による分離およびイオン交 換膜によるイオン性物質の分離などがある。特に後者のイオン交換膜による分離においては、分 離のための駆動力として電圧印加または酸・アルカリなどを使用するため、生体関連物質のよう な透過物質では変質したりすることがある。この様な場合、穏和な条件により膜の細孔サイズや 物性などを変化することができれば、それらの物質を変性させることなく分離でき、かつ溶離液 から物質を分離精製する必要もないため、有効な分離方法になると考えられる。この様な観点か ら物質の分離・透過において、その分離能を温度によりコントロールまたは温度により透過物質 を選択することを目的とし、感温性高分子膜の検討が行われつつある。例えば、多孔質ガラスフ ィルターの表面にシランカップリング剤によりNIPAAmを導入し、ガラスの表層に形成された
ゲルを膨潤一収縮させることにより、多孔質ガラスの細孔容量を温度により変化させ、透過でき
3
るポリエチレングリコールのサイズのコントロールについて報告がなされている'鋤。その他にも、
NIpAAmを含むゲルを用いて物質の透過を温度により制御する研究が行われている19.20.21)。しか
し、これらのゲルは本来柔軟なものであり、膜としての利用に耐える機械的強度の高い膜は支持 母体なくして非常に製造しにくいという欠点があった。また、いずれの場合でもNIPAAmの相
転移に基づくハイドロゲルの膨潤度の変化により、膜中を物質が透過する際の経路である細孔の サイズを変化させ、コントロールを実現している。しかし、NIPAAmの相転移に基づく親疎水
‘性の変化などを利用した感温性高分子膜についての研究や透過物質の透過挙動におよぼす影響 の検討はなく、膜自体の相転移温度などの性質の制御も幅広く自由に行えるものではなかった。
1.4本研究の目的
本研究の目的は、高分子膜の物質透過において、温度変化により制御を行うというもので、そ のために高分子膜は次にあげるような性質を有していることが課題とされた。
(i)透過膜として利用できる強靭な膜である。
(ii)鋭い相転移を示す。また、これに反してある温度範囲で徐々に転移を行う。
(iii)相転移温度を変化することができる。
(i)はハイドロゲルを膜として利用する場合には薄く、かつ強い膜が必要とされるためである。(ii)
の性質では、わずかな温度変化により透過のON-OFF制御が可能となる。または、poly(NIPAAm)
の相転移による』性質の変化に基づいた選択的な分離を行うに当たり、温度を調整することにより、
分離物質を容易に選択できる。(iii)の性質により、用途に応じた相転移温度を持つ感温性高分子 膜を得ることができる。
これらの課題をふまえた上で膜の設計を行い、次のような点を中心とし、検討を行った。
4
(1)PVA弓g-NIPAAm高分子膜の合成条件および不溶化処理
親水性高分子であるPVAは、熱処理またはグルタルアルデヒド処理などにより強度の高い薄 い膜が形成できること、およびPVAには種々のピニルモノマーがグラフト重合できることが知 られている。そこで親水性で、かつ感温性を持つ高分子膜を製造するためにPVAにNIPAAmを
グラフト重合することを考えた。得られたPVA-g-NIPAAm共重合体から、膜として利用可能 な強い膜を得るための種々の検討を行った。
(2)PVA-g-NIPAAm共重合体およびPVA-g-NIPAAmに様々なモノマーを導入した 共重合体の膨潤挙動および相転移温度の変化。
NIPAAmなどのアクリルアミド誘導体の感温性高分子はその高分子網の親疎水性に応じてそ の相転移温度が変化することが知られており、目的の(iii)を達成するために、親疎水性の異な る種々のモノマーを導入することにより、グラフト共重合体の親疎水環境を変化させその感温性 および膨潤度を検討した。
(3)作製した膜を用いた物質の透過挙動および透過物質の性質の透過挙動への影響。
作製した膜を実際に利用するためにその物質透過性および感温性を検討するとともに、透過物 質の‘性質による透過挙動の差を調べ、物質分離の基礎的な知見を得た。
本論文の内容を簡単にまとめ、以下に述べた。本論文は6章から構成されており、第1章では、
本研究の背景および目的を述べた。第2章では感温性高分子膜の合成を目的とし、ポリピニルア ルコールーグラフトーノV~イソプロピルアクリルアミド共重合体の合成条件およびそのキャラク タリゼーションについて検討を行い、得られた共重合体膜の処理や、その膨潤度温度変化特性な どについて述べる。第3章では転移温度へ及ぼす諸因子を検討するためにグラフト共重合体に第 3の成分として異なる』性質を持つモノマーを導入し、そのモノマーの性質に応じた膨潤度や相転 移温度の変化やゲル溶媒の性質による膨潤度や相転移温度の変化などについてまとめる。第4章 では第3章で見いだされたメタクリル酸を含む感温性高分子の性質などについて詳しく検討を行 い、その結果を述べる。第5章では、作製した感温性高分子膜を用いて透過実験を行い、その透 過性への温度の影響や透過する物質の性質の影響について分子サイズや親疎水性の面から検討
5
T、Tanaka,Phys、Rev、Zett.,40,820(1978)
て述べる。
1.5文献
Dの鋤の③①の③功刈、②卸刈、nm⑧助刈刈
T,Okano,Y,HBae,HJacobsandS.W、Kim,JKCb'2”此aReノezzse,11,255(1990)
増田房義,工業材料29,(8),40(1983)
遠山柾雄,竹内芳親,砂丘研究31(1),1984 吉田益穂,食の科堂No.105(1986)
森本一洋,高分表37,759(1988)
山内愛造ら,高分子論文集34,261(1977)
を行った結果を述べる。第6章では、本研究で得られた結果をまとめ、今後の課題や展開につい
P.J、Hory,分加cjpノEsqfPb伽e7.αI”ぶぴ,ComenUniv、Press,NewYork(1953)
H
、 H e s k i n s a n d J
・ E G u i l l e t ,
、 X M Z z c r o
"
、
o1Sbj.-αA0.,Ie"8)1961(1442, R
、 F , S
・as,EIeitFer,Cussl,L、Cソb”.E》)1987,97(i,42ZgSb
HKawaguchi,KRljimoto,Y、Mizuhara,CbjIb〃Pb伽も”,270,53(1992)
Y、Okahata,MZzcア℃"、o彫““,19,493(1986)
T、G、ParkandAS・HOf6nan,JBjo"zedR母,24,21(1990)
T,G,ParkandA.S、Hof6nan,Bjo舵ch.Bjbe"9,35,152(1990)
M、Gewehr,KNakamura,NIse,andHKitano,Mzノb℃"Zoノ.αI”.,193,249(1992)
A・Suzuki,andT・Tanaka,Mz”e,346,345(1990)
入江正浩,田中剛第41回高分子討論会予稿集,2550(1992)
T ,
確,MjiU・KomoCJ:o,at、S,Sh”・hツ1hフcJ0)Sb99(147,423, XueShenWu,AllanSHofhnan,andPaulYager,JPb伽.錘Pbj伽Cソbe"1.,30,2121(1992)
T
・Yno,Oka・、He,HBadS.WSancob,Ja・此""oJECbim,990)K5(1,25,11aseeノedR H
F e i l ,
Y・H、・Je,San,BejieFW、・M:Jm,iKE,配bz")199』1(832,46,.
6
2 章 感 温 性 高 分 子 の 合 成
2.1はじめに
本研究では、ポリピニルアルコール(PVA)にハノーイソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)
をグラフト重合することにより感温性高分子を作製した。通常、ゲルは3次元の高分子網を形成 することにより、溶媒への不溶性などを示す。高分子をゲルとする方法には、
(i)2官能性以上のモノマーを共重合させ、共有結合による架橋(網目)構造を形成する。
(ii)線状の高分子に化学的処理や添加を行い、共有結合やクーロン結合または配位結合による架 橋構造を形成する。
(iii)高分子鎖同士に絡み合いを持たせ、架橋点とする。
(iv)結晶化や配向化などの高分子間のミクロの凝集力を利用する。
(v)ゲル溶媒に対して親和性の低い部分を導入し、凝集力を持たせる。
などが挙げられる。PVAは熱処理により不溶化し、さらに多数の水酸基を有し、様々な化学処理 を施しやすいという点から、膜母体として用いることにした。さらにPVAは親水性であり、そ の親水性も重合度やケン化度などにより調節可能である。また、様々な処理で不溶化するまでは ジメチルスルホキシド(DMSO)への溶解性を示すために、溶媒キャスト法による製膜が可能で あり、膜の厚さや大きさなどの制御が容易である。橋架け剤を含んでいないので、重合後に精製 を行うことが可能であり、重合後に常圧で製膜されるために重合時に発生する気泡なども含まず、
平滑で均一な膜を作製することができる。
2.2実験
2.2.1試薬
(1)ポリビニルアルコール(PVA)
表2-1に挙げた重合度およびケン化度が異なるものをそれぞれ乾燥して用いた。
7
Provider
(3)ペルオキソニ硫酸カリウム(KPS)
エタノールで再結晶を行い乾燥後、微粉末にしたものを用いた。
(4)グルタルアルデヒド
市販の25%水溶液を必要に応じて希釈して用いた。
なお、(1)のうち一部は日本合成化学(株)から、(2)は興人(株)から寄贈を受けたも
のを使用した。他の試薬は市販品の特級を用いた。
亜ehldlnbaydutsesihtni2desusloPhoclal1ynivyloP i r a b b I e v i a t i o n s
500 1500 2000 1700 1800 2000 2000 2600 2600
Abbreviation D・P.★ ,.S・鈴
桜田らの方法に従い')、所定量のPVAをDMSO20cm3に加熱溶解し、冷却後、所定量のNIPAAm
を加え溶解した。さらに重合開始剤としてペルオキソニ硫酸カリウム(KPS)を所定量加えた。こ のモノマー溶液を試験管に移し、水冷下で1時間窒素置換後、ドライアイスーメタノール浴で冷 却固化し、試験管を熔封した。これを40℃で20時間ふりまぜながら重合した。得られた重合溶
8
(2)Ⅳ-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)
ベンゼンに溶解したものをへキサンに注ぎ再結晶を繰り返した後、乾燥して用いた。
》Ⅳ肥釦塑茄お 伽皿
恥恥P裡皿皿鍵盤唖 螺螺呼蝿螺蝿恥螺蝿ンシンンン ●●●●■a●●■●●■■品●。■&●●■a●■■の●。■& mamaaaa
》》》》碑》》侭》
NNNNNNN
D e g r e e o f p o l y m e r i z a t i o n D e 厚icaifonapfseoe t i o n
*
* *
2.2.2NIPAAmおよびその他のモノマーのPVAへのグラフト重合
液を大量のアセトンに注ぎ、生じた沈殿を粉砕した後、アセトンで洗浄を繰り返すことにより、
未反応モノマー、ホモポリマーおよび溶媒を除去した。沈殿を集め乾燥しPVA-グラフトー NIPAAm共重合体(PVA-g-NIPAAm)を得た。
2.2.3感温性高分子膜の製造
乾燥した共重合体をDMSOに5wt%となるように溶解し、これを内径48mmのガラスシヤー レに4cm3流延した。常圧下、空気中で50℃で96時間溶媒を蒸発させることにより膜を作製し た。得られた膜はイオン交換水で膨潤させ、シャーレより剥離した後、種々の実験に使用した。
ただし、膨潤度を測定する場合には、測定を開始する温度のイオン交換水で膨潤させ、膜を剥離 した。
2.2.4熱処理
得られた膜の膨潤度を抑制するために熱処理を行った。熱処理は製膜を行った後、シャーレの まま自然対流型の常圧の恒温装置により、所定の温度で所定時間加熱することにより行った。放 冷後、イオン交換水で膨潤させ剥離した。剥離が困難である場合には、0.01mol/dm3のNaOH
水溶液を用いて剥離し、その後希塩酸で中和し、イオン交換水で充分に洗浄した。この時、赤外 吸収スペクトル観察により、膜が加水分解していないことを確認した。
2.2.5グルタルアルデヒド処理
シャーレより膜をイオン交換水で剥離した後、2%または5%のグルタルアルデヒドの 0.5mol/dm3塩酸酸性水溶液に室温で30秒浸し、乾燥したシャーレ上に平面状に広げた後、所定
温度に加熱することにより反応を行った。所定時間後、室温の希水酸化ナトリウム水溶液で膜を 洗い、さらに大量のイオン交換水で加熱一冷却を繰り返しながら洗浄し、使用するまでイオン交
換水中で保存した。
9
2.2.6膨潤度測定
(i)膜の面積または体積に基づく膨潤度
シャーレより剥離した膜を正方形に切り取り、形がわかりやすいように方形の頂点に点を付け、
一定の温度のイオン交換水中で充分に膨潤させた後、目盛付きシャーレ上で写真を撮影した。温 度を変えてこれを繰り返し、得られた写真像の各頂点間の距離をノギスで測定し、各温度におけ る膜の面積を求めた。同様に乾燥状態での面積を測定し、式2-1に基づき、各温度における膨潤
度(Swellingratio(S))を求めた。
‘w伽伽仰-筈例
こ こ で 、 S s m 程 1 1 : 膨 潤 し た 膜 の 面 積 ( c m 2 ) Sdn,:乾燥した膜の面積(cm2)
また、得られた値を3/2乗した値を体積に基づく膨潤度(Swellingratio(V))とした。
(ii)膜の吸水重量に基づく膨潤度測定
シャーレより剥離した膜を正方形に切り取り、一定の温度のイオン交換水中で充分に膨潤させ た後、膜を取り出し、膜の表面についている過剰の水を理化学用清拭紙および、素焼き板で取り 除きすばやく重量を測定した。温度を変えてこれを繰り返し、各温度における膜の重量を求めた。
同様に乾燥状態での膜の重量を測定し、次の式2-2に基づき、各温度における重量に基づく膨潤 度Swellingratio(W)を求めた。
M伽息伽仰)-筈側
ここで、w§剛9,1:膨潤した膜の重量(9)
wI”:乾燥した膜の重量(9)である。
1 0
2.2.7示差走査熱量計(DSC)による相転移温度測定
測定を行う溶媒で膜を充分に膨潤させた後、表面の過剰の溶媒をふき取り、測定用のアルミニ ウムカプセルに密封し、同様にα-アルミナゲルを封入した試料をリファレンスとし、セイコー 電子工業(株)製のDSC/100を用いて、0℃から50℃まで1℃/minで昇温しながら測定した。
得られたDSCカーブの30℃前後に現れた吸熱ピークを示す点を相転移温度とした。
2.2.8熱応力歪測定装置(TMA/SS)による引っ張り試験
水で膨潤した膜を室温で幅3mm長さ2cmの長方形にひずみや割れがないように切り取った。
これをセイコー電子工業(株)製の熱応力歪測定装置(TMA/SS100)の引っ張り試験用モジュー
ルに固定し、膜が乾燥しないように注意しながら、室温で509/minの定速荷重で測定した。試 料が2mm伸長すると装置が止まるので設定試料長を2mm引き伸ばした後、同様に繰り返し、
試料が破断するまで引っ張り試験を行った。得られた荷重一のび曲線により膜の強度を評価した。
2.2.9微量元素分析
炭素、水素、窒素含量の元素分析は熊本大学工学部付属工学研究機器センターに依頼して行っ た。
2.2.10赤外吸収(IR)スペクトル測定
赤外吸収スペクトルは熊本大学工学部付属工学研究機器センターに依頼して行い、試料の形態 に応じて、KBr錠法またはフイルムにより測定した。
2.2.11’3Gおよび'H核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定
lH-NMRはグラフト共重合体をDMSO-d‘に溶解し、テトラメチルシラン(IMS)を基準ピーク
指標として加えて、測定した。l3C-NMRは重合度が500のPVAを用いて合成したPVA-g-
1 1
NIPAAm共重合体を重水またはDMSO-d‘に溶解し、2種の測定方法で測定した。測定は、日本
●
電子社製のJNM-EX90AFI砦NMR(90MHz)を用いて行った。
2.2.12ゲル漉過クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定
試料を乾燥して'IHFに溶解し、PIFE製のメンプランフィルター(孔径40um)で源過した後、
GPC測定装置(カラム;昭和電工(株)KFL80M×2,移動相;'IHF,検出器;日本分光工業(株)
830-RI示差屈折率計)により、分子量分布および平均分子量を求めた。分子量較正曲線には分 子量既知のポリスチレンを用いた。
2.2.13蛍光プローブによる膜の親-疎水環境の観察
ケルの水中での親疎水性環境を観察するために共重合体に蛍光プロープを導入し、その蛍光ス ペクトルや蛍光寿命を測定した。蛍光プロープにはスキーム2-1の経路で合成したダンシルアク
リルアミド(DAN)を用い、これをPVA-g-NIPAAm共重合体のグラフト重合時にNIPAAm量に
対して0.01wt%添加することにより導入した。これを以降PGN-DANとする。また同様に線状 のpoly(NIPAAm)にDANを導入し、poly(NIPAAm-DAN)を作製した。得られたPGN-DAN膜
をスキーム2-2に表されるように入射光が膜面に対して45.となるように石英ガラス製セルに 固定し、入射光に対し90。の方向での反射の360~610,mの蛍光スペクトルを恒温装置を装着
した日本分光(株)製FP550Aを用いて励起波長335nm(水溶液の場合は330nm)で温度を変
えて測定した。そのスペクトルにおける発光極大波長により親疎水性を評価した。
poly(NIPAAm-DAN)は水に溶解して石英ガラス製セルにいれ、入射光に対して90.方向から蛍
光スペクトルを観察した。
2.3結果と考察
2.3.1NlPAAmのPVAへのグラフト重合
PVAに対する種々のモノマーのグラフト重合については桜田らによって報告がなされている')。
本研究では、この反応を用いて、PVAにNIPAAmをグラフト重合した。この時の反応はスキー
12
W c i r c
、c
CH2 H H
2
C
ヘーゾ
Scheme2-1
H2N〆、/NH2
○
ヘゾ へソ
CH2 1 1
へ〆HCC
I l 、 0
S y n t h e s i s o f f l u o r e s c e n c e p r o b e
3 ) 2
一 t J
〕
THF
THF
Dansylaminoethylacrylamide D
a n s y l c h l o r i d e
( D A N
)
Scheme2-2
Quartz
稗
lBxcitation
↓
c e l
]
L
l - E m
m ision-陸
Membrane
Measurementoffluorosentspectraofmembranes
1 4
ム2-3に示されるペルオキソニ硫酸イオンの開裂により生じたラジカル(a)がPVA上の水素を引
き抜き、その点を開始点として重合が始まる(b)。これをもとにスキーム2-4で示される経路にて PVA弓g-NIPAAm共重合体を作製した。しかし、これらの反応では、通常のラジカル重合も進行
し、NIPAAmのホモポリマーが生じるのでこのホモポリマーを取り除く必要がある。グラフト 重合体の精製は重合溶媒(DMSO)、NIPAAmのモノマーおよびホモポリマーの良溶媒であり、
PVAの貧溶媒であるアセトンに重合溶液を注ぐことにより、末反応のPVAを含めたグラフト重 合体を塊状に沈殿させ行った。副生成物のpoly(NIPAAm)を効率よくかつ完全に取り除くために
塊状の沈殿を細かく粉砕し、アセトンを繰り返し交換することにより、NIPAAmのモノマーお
よびホモポリマー、DMSOを抽出した。この時の抽出されたホモポリマーの量を調べるために次
の測定を行った。
・グラフ卜重合時に生成するpoly(NlPAAm)量の測定
PVA=0.59,NIPAAm=59,KPS=10mg,DMSO=20cm3の反応溶液を調製し、40℃で20時間反
応を行った。得られた重合液を300cm3のアセトンに注ぎ粉砕後、穏やかに撹拝しながら6時間 後に源過し、沈殿とアセトン溶液に分けた。沈殿は再び300cm3のアセトンに浸し、アセトン溶 液はエバポレーターでアセトンを留去し、残査としてNIPAAmのモノマーおよびホモポリマー
のDMSO溶液を得た。これをNIPAAmのモノマーおよびホモポリマーの貧溶媒であるエーテル に注ぎ、沈殿を回収し乾燥後秤量し、抽出されたNIPAAmのモノマーおよびホモポリマーの量 を求めた。これらの操作をアセトンへの溶出物がなくなるまで繰り返した。アセトン抽出された NIPAAmモノマーおよびホモポリマーの分子量をGPCにより測定した。この時の抽出量を表2-
2に示した。分子量分布を調べてみると、そのほとんどが重合しており、モノマーは残っていな いことがわかった。また、poly(NIPAAm)の溶出量は抽出が進むにつれ減少し、7回目でほぼO
となることが確認された。この後、沈殿として得られた目的のグラフト共重合体を乾燥後、アセ トンを溶媒としたソックスレー抽出を行ったが、NIPAAmなどの溶出は検出する事ができなか
った。これより、以降の実験には7回以上アセトンを代えて洗浄して得られたグラフト重合体を 使用した。ただし、このグラフト重合体には未反応のPVAが含まれていることが予測された。
そこで、グラフト重合体を熱水により抽出を行ったが、溶出してくるPVAは検出できなかった。
15
( a
)
( b
)
( c
)
l n i t i a t i o n
{
P r o p a g a t i o n
「 町
怖
Termination
S 0 万b
Scheme2-3
K2S208-十2K++S208号
S2O言一→2S01.一 → 2 S 0 4 。ー
●
+
ソ、、ツHC、'、公'一十ゾ、、',C、'、、''、'+耳OSH
O H O H
+言O2S--ト+、,ー、,可、OツSCH、,、+可OS. 叩
I
0
+ソ、'、'、Cv、/、'、一ーし~、/、C、'、-,+HSO耳
ll
O H O
MechanismofradicalfOrmationonPVAchain
1 6
PGNmembrane
C H 2
=
〒H /卜cb
C-N-CH
4H、CH,
、 ' (
‘C H 2 -
〒H ,
>
、,
+
OH
仙鱒
’〒H卜 C -
i』
DMSO /CH3
N-CH
H、CH3
肌sopropylacrylamideI
(NIPAAm)
P o l y v i n y l a l c o h o l
()AVP
50。C,96h Removalofhomopolymer
PVA-gLNlPAAmcopoIymer
G l u t a r a l d e h y d e t r e a t m e n t ( b
)
Scheme2-4
一 一
Acetone DMSO
』割
A n n e a l i n g ( a
) PGN-Amembrane(a)
PGN-GAmembrane(b)
PreparationofPVA-grafl-NIPAAmcopolymerandmembranes ●
1.136 0.3996 0.2534 0.2297 0.0337 0.0188 P
V A - g - N I P A A m a f t e r p o l y m e r i z a t i o
、
000000000000
600000002026
779344
-
Extractiontimes Extracted M、
poly(NIPAAm)(9)
Total lst 2nd
srd 4ht 5th e+7th Table2-2Extractionofpoly(NIPAAm)frompolymermixturecontaining
F e e d
;PVA,N59=0.IPAAm0mS=1KP59,=g,DMSOm30c=2
P o l y m e r i z a t i o n t i m e
=20e=ruatrpeme,Th40℃
2.0172
ー
YieldofPVA-g-NIPAAm L o s s d u r i n g O p e r a t i o n
2 . 2 5 9 0.52889
1 8
2.3.2PVAg-NIPAAm共重合体の構造
PVA-g-NIPAAm共重合体の構造を確認するために種々の検討を行った。これらの検討で用い たPVA-g-NIPAAm共重合体は特に断らない限り、PVA=0.59,NIPAAm=59,DMSO=20cm3,
KPS=10mg,重合温度=40℃,重合時間=20hの条件で得られたものを使用した。
(i)元素分析によるNIPAAm含量の測定
元素分析結果より、NIPAAmの含量を求めた。窒素含量N(%)と炭素含量C(%)の比であるN/C より、次の式2-3に基づきNIPAAmの含量が求められる。
0 5 5
×1(W)c×0,0 ()3-2
MRM〃'"×=800-2Ⅳ(,0)c/
測定の結果は他の条件変化と共に2.3.3の(ii)で検討を行った。
(ii)赤外吸収スペクトルによる観察
PVA-g-NIPAAm共重合体の赤外吸収スペクトルを図2-1に示した。それぞれのピークの帰属 を示す。
3200~3600cm~’ ;yOH
1650cm~’ ;amidel
l550cm~’ ;amidell l370cm~’ ;ropylIsop
これらより、PVA弓g-NIPAAm共重合体にはNIPAAmのアミド基およびPVAの水酸基が存在 することが確認された。
(iii)'H-および'3C-NMRスペクトル観察
ケン化度および重合度の低いPVA(PVA1500)を用いて得られたPVA弓g-NIPAAm共重合体の
重水溶液の'H-NMRスペクトルを図2-2に示した。このスペクトルの帰属を次に示す。
1 9
28002400
(ま)8自呈冒呂曾伊
旨
1 1 1 I
1900180017001600150014001300
(m'c・
)
IRspectmmofPVA-g-NIPAAmcopolymer
36003200 2000 12001100 1000
F i g . 2-1
RJ ー
8 7
F i g . 2-2
6 5 4 3 2 1
( 6 )
1H-NMRspectrumofPVA-g-NIPAAmcopolymer Solvent:DMSO-d6
0
4.4ppm;一○H,3.8ppm;>CH-(PVA),1.3ppm;一CH2-(PVA),
7.2ppm;一NH-(NIPAAm),1.1ppm;一CH3(NIPAAm)
この結果からも、PVA-g-NIPAAm共重合体中にはPVAとNIPAAmが含まれていることが確
認された。
PVA-g-NIPAAm共重合体の重水溶液のBCM法によるl3C-NMRスペクトルを図2-3に示し
た。帰属を次に示す。
20.5ppm;-CH3,41ppm;>CH-(NIPAAm),43ppm;一CH房(PVA),
65ppm;>CH-(PVA),175ppm;>C=0
PVA-g-NIPAAm共重合体のDEPI、法によるに'3C-NMRスペクトルを図2-4に示し、次に帰属 を示した。
22pm;-CH3,40ppm;>CH-(NIPAAm),45ppm;>CH2(PVA),65ppm;>CH-(PVA)
DEPT法によるl3C-NMRスペクトルには、炭素の級数により、ピークの正負が変化する。本 実験においては、一・三級の炭素は正方向に二級の炭素は負方向にピークが延び、また四級炭素
は消失する条件で測定を行った。スキーム2-4にみられるようにPVA-g-NIPAAm共重合体に はNIPAAmのPVA上へのグラフト開始点が第四級炭素になることから、図2-3に見られ図2-4
では消失しているピークを調べた。しかし、消失したピークはカルボニル基によるものだけであ った。これは、l3C-NMRの感度が低く、またグラフト開始点がわずかにしか存在しないためと
思われる。
そこでこの四級炭素が生じていることを確認するために、ラジカル開始点が多く発生するよう に高濃度の開始剤を用い、さらに高濃度のDMSO-d‘溶液の粘度が低くなるようにPVAのモデ ル化合物としてイソプロピルアルコールを用いて得られた重合体の測定を行うことにした。開始
2 2
暖
川幽此llllhjdlll ,lJh』l,Mul
9 0 8 0 7 0 6 0 5 0 4 0 3 0 2 0 1 0 0
6
F i g . 2 - 3 1 3 C - I , M R s p e c t r u m o f P G N c o p o l y m e r i n D J O ( B C M m e t h o d
)
の 。
(己○昌の日自」四四Q)〔諸口屋』⑫冒湯一.g8z{)巴』○日。●皇8房幽乏z‐U四寸圃・函塵
-~
。、
○○一
○↑○m
24
写’一一‐8 ○の
○m↑
○の
○ト
剤であるKPSが溶解するようにエタノールを30Wt%加えたイソプロピルアルコール20cm3に 29のNIPAAmを溶解し、KPSを100mg加えて反応を40℃で48時間行った。得られた重合体
を水に注ぎ、加熱して生じた沈殿を集めて再び水に溶解し、これを繰り返すことにより精製を行 った。得られた共重合体のlH-およびl3C-NMRを測定したが、グラフト開始点の濃度が低く四 級炭素の存在は確認できなかった。
ここで、2.3.1で求めた副生成物のホモポリマーの分子量(約70000)が、グラフト鎖の分子 量がほぼ同じであると仮定すると、重合度2600のPVA鎖1本に約5本のNIPAAm鎖がグラフ
トしていることになる。さらに、’3C-NMRでは存在比が低い質量数が13の炭素を検出するもの であるので、測定が困難であるため検出されなかったと考えられる。
これらの検討の結果から、グラフト共重合体である直接の証拠は得られていない。しかし、共 重合体の性質や溶媒による抽出などからPVAとpo1y(NIPAAm)の混合物との性質とは異なって
おり、PVA上にNIPAAmが固定されていることは明らかである。
2.3.3グラフト重合条件の検討
次の様にグラフト重合条件を変化させ、得られた重合体の収量やNIPAAm含量、相転移温度、
得られる膜の性質などを検討した。
(i)ポリビニルアルコール(PVA)の種類の変化
PVAは表2-1に挙げた種類のものを使用し、以降にはその略号で表した。これらのPVAを用 い、PVA0.59、NIPAAm5g,KPSlOmgを20cm3のDMSOに溶解した反応溶液を、40℃で20
時間重合し、得られた重合体の収率とNIPAAm含量を求めた。表2-3にその結果を示した。PVA
の重合度が高くなるにつれ、収率およびNIPAAm含量が増加した。また、反応中の重合溶液の 粘度も同様に高まり、重合度の高いNH-26などを使用した場合には流動性はほとんどなかった。
これは、重合度の高いPVAの高い粘性とそれによるゲル効果が生じ、重合速度や重合度が上昇 したためと考えられる。また、得られた重合体の膨潤度はPVAの重合度およびケン化度が高い
2 5
( wt)% copolymerpreparedusingvariousPVAs
Table2-3YieldandNIPAAmcontentofPVA-g-NIPAAm
1% dj
脱伽 NIPAAmcontent PVA
2 6
%%%%%%%%%298736131677777888
淵汎酬%%%%%%244判仙岨佃馳“
PVA500 PVA1500 PVA2000
AH-17 NH-18 NH-20 AH-22 AH-26 NH-26
PVA=0.59,NIPAAm=59,DMS○=20cm3,KPS=10mg,l0h
ほど低下した。PVAは重合度およびケン化度が高くなると結晶化度が高まることにより親水性が 低下することから、PVAの結晶化度の上昇により膨潤度が低下したためと思われる。
PVAのケン化度が低くなるほど、収率およびNIPAAm含量はわずかながら増加した。しかし、
ケン化度の低いPVAから得られた重合体はPVAの結晶化度が低いために親水性が高く、水中で の膨潤度が過大で膜としての使用には適さなかった。
以上の結果より、収率やNIPAAmの含量が高く、膜にした場合に高い強度が期待できるNH-26
(重合度2600,ケン化度99%以上)を以降の実験に用いた。
(ii)PVA:NIPAAmの仕込み比と開始剤量の影響
仕込み時におけるPVAとNIPAAmの比率のグラフト重合体の収率やグラフト効率、NIPAAm 含量への影響を検討した。PVAとNIPAAmの総量を5.59に固定し、PVA:NIPAAmをl:0.5 から1:20の間で変化させた。これを20cm3のDMSOに溶解し、開始剤としてKPSをDMSO20cm3
あたり1~15mgの範囲で変化させ加えた。この様にして調製した溶液を40℃で20時間振鐙し ながら重合して得られたPVA-g-NIPAAm共重合体の収率を表2-4に、NIPAAm含量を表2-5
に示した。NIPAAmの比率が増加するに従い、NIPAAmの含量は増加する傾向にあったが、PVA に対するNIPAAmの量が10を越えるとほとんど変化しなくなった。また、収率はNIPAAmの 量が増加するに従い低下した。これはNIPAAmの仕込量の増加と共にNIPAAmのホモポリマー
の生成量も増加するからである。
グラフト重合体の膨潤度はNIPAAmの含量の増加と共に上昇した。また、NIPAAmの含量が
もっとも少ない1:0.5の仕込み比から得られた重合体においても感温性は観察され、低温では膨 潤し、高温では白濁・収縮した。
また、KPSが10mgまでは開始剤濃度と共に収率は増加したが、それ以上では収率は低下した。
これは、過剰の開始剤により、通常のラジカル重合に基づくNIPAAmのホモポリマーが生成し やすくなったためである。さらに、開始剤濃度が高い場合は、NIPAAmポリマー鎖の重合度が 低くなることが考えられる。
2 7
1mg
Tnble2-4 YieldofPVA-g-NIPAAmcopolymerpreparedusingvariousPVA:NIPAAmratioandamountofKPS
AmountofKPS PVA:NIPAAm
%%%%%%280680
878433
5mg lOmg l5mg
4mg
8 8
75%
60%
46%
27%
26%
16%
%%%%%%169631
876432
%%%慨跳跳
氾舶陀322
%%%%%%659008
765421
1:0.5 1:1 1:5 1:10 1:15 1:20