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ドキュメント内 仙鱒 (ページ 86-98)

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用いて同様な実験を行った場合の結果と共に温度に対して示した。PGN-A膜では低温側から温 度が上がるにつれ、透過速度は上昇し、poly(NIPAAm)のLCSTである約32℃以上で急激に低下

し、45℃では透過速度はほぼ0となった。これは、PGN-A膜の膨潤度と同様な結果である。つ まり、膨潤度の低下により膜は脱水・収縮し、ゲルの構造が密になったために透過が抑制された ためである。さらに高温の50℃では再び透過が認められた。30℃付近までは温度上昇に伴い透

過速度が上昇する現象は膨潤度の温度依存性と異なっているが、これは温度上昇に伴う溶質の拡

散'性の増加のためと考えられる。

PGN-GA膜の透過挙動も同様であったが、30℃以下の低温ではPGN-A膜よりも透過速度は 大きく、透過速度はPGN旨A膜よりも低い約30℃以上で低下し始めた。また、透過の抑制の程度

はPGN~A膜に比べて小さく、40~45℃ではPGN-GA膜の透過速度の方が大きくなり、45℃で

も透過が観測された。これらの処理の異なる2種の膜は同様な膨潤度変化挙動を示すにも関わら ず、透過挙動に差が現れた原因を推測すると、そのミクロ構造の差に基づくものと考えられる。

グルタルアルデヒド処理は20℃で反応が進行し、その20℃での膨潤状態で架橋されたために、

高温で脱水が進行しても高分子網が広がった状態となり、膜中の細孔もやや大きくなっていると 考えられる。

以上のように、PGN三AおよびPGN-GA膜は低温で透過し、高温で透過が抑制できるを感温性

高分子透過膜として使用できることが明らかとなり、それぞれの処理の違いにより、透過性に差 があることが分かった。

(2)アルカリカチオン種の異なる塩化物塩の透過

アルカリ金属イオンの違いによる透過への影響を検討するために、塩化リチウム、塩化カリウ ム、塩化ナトリウムをそれぞれ0.01mol/dm3含む混合水溶液を用いて、PGNミA膜の透過挙動を

温度を変えて測定した。ここで、第4章で述べた塩水溶液中における膜の相転移温度の変化を考

慮する必要があるが、本実験で用いた濃度では相転移温度や膨潤度の顕著な変化は見られなかっ た。得られた経時濃度変化より、各温度での透過速度を求めそれぞれのイオン種ごとに図5-4に 示した。塩化リチウムのみを含む水溶液の結果と同様に高温で透過が抑制され、25~35℃の範囲 で透過速度はK+>Na+>Li+の順に低下することが認められた。この実験での透過ではこれらのイ

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オンは対イオンとのイオンペアを形成して行動すると考えられる。ここで、それぞれの水和イオ ン半径を示すと、Li+:3.82A,Na+:3.58A,K+:3.31A,Cl~:3.32Aである9.対イオンはそれぞ

れ塩化物イオンであるので共通であるが、それぞれの金属イオンの大きさにはわずかながら差が

見られ、透過速度が速いものほど小さくなっている。また、水中での拡散定数(D)はIjCl:1.312,

NaCl:1.545,KCl:1.917(×lO5cm2/sec)であり5)、やはり透過速度の順に大きくなっている。

この膜を介した物質膨潤しているゲルを介する拡散であるので、水和イオン半径のわずかな差に より透過速度の変化が現れるとは考えにくく、これらの塩の透過速度の差は主に拡散係数の差に

よるものと推測した。

(3)アニオン種の異なるリチウム塩の透過

水和イオン半径が大きく異なる金属イオンは得難いので、イオンのサイズが大きく異なる陰イ オンを持つ塩を用いて透過実験を行った。図5-5には塩化リチウムそしてドデシル硫酸リチウム (LiDS)および酢酸リチウムのの0.01mol/d㎡のそれぞれの水溶液を用いて行った透過実験の

結果から得られた透過速度の温度依存性を示した。陰イオンの分子量が増加するにつれ、その透 過速度は大きく低下し、そのイオンサイズが大きいと思われるLiDSの透過速度はかなり小さい 値となった。この結果から、透過物質の分子量により、透過速度が影響されることが明らかとな

った。

(4)透過挙動におよぼす塩濃度の影響

第4章でも述べたようにpoly(NIPAAm)ゲルを含め、ゲルは周囲の溶液(ゲル溶媒)の組成の

影響を強く受け、特に濃度が高い場合はその浸透圧の高さによりゲルは大きく脱水・収縮する⑳。

この塩の濃度の透過におよぼす影響を温度を一定にして、塩化リチウムの濃度の異なる水溶液の 透過をPGN-A膜を用いて測定した。膜はあらかじめ、測定を行う濃度の塩化リチウム水溶液で 膨潤させ、透過実験の直前にイオン交換水で膜の表面を洗い、表面の過剰の水溶液を完全に除去

した後、実験に用いた。ただし、透過水溶液の濃度が異なるために、式5-1で定義した透過速度

は適用できないので、式5-2で表される透過係数によりその透過を評価した。

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ここで、Pは透過係数(dm/h),Jは透過量(moMm2/h),CLtはt時間後の左側での濃度

(mCl/dm3),CRoは開始直後の右側の濃度(mCl/dma)である。

リチウムイオンの透過係数を右側の溶液の濃度に対して図5-6に示した。渡度が高くなると透

過係数は低下した。透過速度の低下は高濃度の塩水溶液により膜が脱水され、膨潤度が低下した ためで、目視による観察では高濃度の塩水溶液中での膜の膨潤度は非常に低いものであった。ま

た、この高濃度の塩化リチウム水溶液中でのDSCによる相転移温度測定は-5~50℃の範囲で吸 熱ピークが見いだされず、測定できなかった。

このように、物質透過においてその周囲の水溶液の濃度により透過は影響され、高い濃度では その浸透圧により相転移温度以下でもゲルの膨潤度が低下するために透過が抑制されることが 明らかとなった。

5.3.2メチレンブルーの透過

有機物質の透過性を検討する目的で、水溶性のカチオン性染料として知られているメチレンプ ルーを用いてPGN-A膜の透過実験を行った。

図5-7に0.05mol/dm3のメチレンプルー水溶液を用い、得られた経時濃度変化より求めた透

過速度を温度に対して示した。無機の塩などと同様に高温で透過が抑制されている。また、透過 に用いたメチレンプルーの水溶液は0.05mol/dm3と塩化リチウムの透過のときに用いた

0.01mol/dm3より濃度が高いにも関わらず、その透過速度は低く、40℃以上で透過は全く見ら

れず、塩化リチウムの透過で見られた50℃での透過も観測されなかった。これらの減少はメチレ ンプルーがイオン性ではあるが、その分子量が高く透過性が低いためと考えられる。また、図5-7 にはNIPAAmを含まないポリピニルアルコール膜(NH-26を使用)を熱処理した膜を用いて同様

な実験を行ったときの結果も示した。温度上昇と共にその透過速度は増加しており、高温では物

質の拡散性が増加することが確認され、また、PGN-A膜の感温性はNIPAAmによる膨潤一収縮

によるものであることが確認された。PGN-A膜の透過速度の温度による変化には、膜および透

過物質のそれぞれの性質が影響していることが分かった。

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メチレンブルーの透過が40℃以上では完全に抑制されることが分かったので、透過操作中に温 度を変えた場合の動的な透過の変化を検討した。40℃で膨潤させたPGN-A膜を用い、

0.05mol/dm3のメチレンプルーの水溶液の透過を40℃と30℃で周期的に温度を変えて透過実験

を行った。図5-8にその時の左側に拡散してきたメチレンブルーの経時濃度変化を温度変化のパ ターンと共に示した。図5-8から明らかなように40℃で透過は見られないが、30℃にすると透 過することが分かった。この差は可逆的で、繰り返し行ってもその透過と停止は繰り返された。

このようにPGN-A膜を用いることにより、温度をわずかに変えるだけで物質透過をほぼ完全 にON-OFFする事が可能であることが明らかとなった。

5.3.3分子量の異なるポリエチレングリコールの透過

PGN-A膜は高分子ハイドロゲルであり、そのゲルの性質の一つとして、ゲル漁過効果があげ られる。ゲルの漁過効果はゲル中に存在する膨潤細孔に基づくものであり、ハイドロゲルである PGN-A膜にもこの膨潤細孔が存在し、またPGN-A膜の膨潤度は温度により変化し、その際に

ゲル中の膨潤細孔サイズも共に変化することは明らかである。ゲルの膨潤細孔サイズにより透過 物質がその分子サイズにより影響を受けることが容易に推測できる7)。実際に、前述した無機イ オンである塩化リチウムよりも分子サイズの大きいメチレンプルーの透過速度は低かった。そこ で、透過挙動への透過物質の分子量依存性を詳細に検討することを目的とし、水溶性の高分子で あるポリエチレングリコールの様々な分子量のものを用いて以下の検討を行った。

透過溶液として、分子量が異なるポリエチレングリコール(PEG)(PEG20000M.W・=20000, PEG2000;M、W、=2000,PEGlOOO;MW.=1000,PEG400;MW.=400)およびジエチレングリコ

ール(DEG)をそれぞれ0.5wt%含む混合水溶液を用い、PGN旨AおよびPGN-GA膜の透過を温度

を変えて測定した。この時のPGN-A膜のセルの左側における各分子量PEGの経時濃度変化を 34℃(a)と36℃(b)の場合について図5-9に示した。ここで図5-9の36℃のときの縦軸のスケー

ルは34℃の縦軸の10分の1となっている。つまり、36℃での透過は34℃に比べ大きく抑制され ていることが明らかである。この時分子量が20000のPEG20000は他の温度も含めて透過は全

く認められなかった.それぞれの分子量での透過速度を求め、温度に対して図5-10に示した。

約35℃以下までは透過速度はPEGの分子量が大きくなるにつれ低下した。ここで、温度に対す

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