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[講演要旨]断層ガウジの色彩に基づく断層の相対的な活動性推定手法

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Academic year: 2021

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(1)歴史地震 第31号(2016) 219頁. [講演要旨] 断層ガウジの色彩に基づく断層の相対的な活動性推定手法 内田 淳一*(原子力規制庁技術基盤グループ)・宮脇 昌弘(原子力規制庁技術基盤グループ) §1. はじめに 断層の活動性は断層上部を覆う地層の切断関係 または変形構造と地層の年代から評価することが多 い.しかし,地層の欠如や年代試料が採取できない 等の理由により,このような方法が適用できないことが ある.この場合,断層破砕物質の年代測定または性 状に基づいた活動性の評価を行うが,精度の高い評 価手法が確立しているとは言い難いため,複数の手 法に基づいた総合的な評価を行う必要がある.その 手法の一つを検討した. §2.検討内容 断層ガウジの色彩を用いた相対的な断層の活動 性(最新活動時期からの経過時間,活動間隔)推定 手法として,次の手順に沿って検討した. ①対象とする活断層の調査(断層露頭の認定,断 層ガウジの色彩値の測定及び整理) ②断層ガウジの色彩分析及び断層の活動性推定 a. 色彩変化実験(標準状態での色彩値の反応 速度定数の推定) b. 色彩測定に基づく年代標準式の構築と活動 性の推定 §3.検討結果 3.1. 対象とする活断層の調査 郷村断層,野島断層,楠本断層,西山断層におい て断層露頭を認定した.各断層の断層ガウジを対象 に,それぞれ複数地点で色彩を測定した(1 地点につ き 50 回 測 定 ) . 測 定 に あ た っ て は 分 光 測 色 計 (CM-700d:L*,a*,b*表色系.a*は赤色系,b*は黄色 系)を用い,色彩値の分布をヒストグラムで整理した. 測定の結果,ほとんどの断層ガウジで a*及び b*は 強い正の相関を示した.さらに各断層の a*及び b*の 色彩分布を比較したところ,西山断層のように活動周 期が長く,最近活動していない断層の色彩分布は, 正規分布もしくは対数正規分布に従うような形状を見 せた.これに対し,野島断層,楠本断層のような活動 周期の短い断層の色彩分布からは,形状にばらつき のある複数のピークが見られた. 3.2. 断層ガウジの色彩分析及び断層の活動性推定 3.2.1 色彩変化実験 地表付近の断層破砕帯周辺では酸化帯において 酸化反応が進行するが,断層活動時には水素ガスの 発生により還元環境に戻されると考えられている(産 業技術総合研究所,2012).このような過程に伴う含 鉄鉱物相の変化が,断層ガウジの色彩変化に大きな. 影響を与えると考えられる.断層ガウジの色彩から断 層活動後の経過時間を推定するためには,断層ガウ ジの常温での色彩変化速度を求める必要があるが, そのためには長期間での実験が必要となり現実的で はない.そこで反応を速めるため,郷村断層,野島断 層,西山断層の未変質の標準岩石試料を用いて 様々な温度条件で加熱を繰り返し,その都度,分光 測色計を用いて色彩を測定した.これにより,各温度 での反応速度定数を求め,アレニウスプロットにより 常温(15℃)における a*及び b*の反応速度定数を推 定した.なお,薄片観察,EPMA 及び鉱物組成分析 の結果からも,断層ガウジの色彩変化に鉄元素の化 学変化が深く関与していることが支持される. 3.2.2 色彩測定に基づく年代標準式の構築と活動性 の推定 3.2.1 に基づくと,色彩値は化学反応速度論に従っ て変化すると考えられる.そこで,化学反応速度論に 基づき 3.2.1 で求めた反応速度定数を用いて郷村断 層,野島断層,西山断層の年代標準式を構築した. 3.1 から読み取った断層ガウジの色彩値の最大値 及びピーク値を年代標準式に適用した.算出値をラ ンク分けし,相対的な断層の活動性について次の通 り推定した. ・a*値に基づく経過時間:野島<郷村≪西山 ・b*値に基づく経過時間:野島<郷村≪西山 ・活動間隔:野島<郷村<西山 この結果は既知の情報とある程度整合している.し かし,最新活動時期からの経過時間が現実に比べか なり短く算出されること,断層活動時に色彩が初期値 に戻るかどうかの不確実性もあることから,本手法は 他の手法と併せて,断層破砕帯のグルーピング等へ の補助的利用が考えられる. §4. まとめ 断層ガウジの色彩測定結果及び色彩変化実験の 結果を基に,最新活動時期からの相対的な経過時 間及び活動間隔を求め,既知の情報とある程度整合 した結果を得た.本手法は,断層破砕物質の性状に 基づいた活動性評価手法の一つとして,他の手法と 組み合わせた補助的利用が考えられる. 文 献 産業技術総合研究所,2012,地質調査総合センター 研究資料集,no 560.. ― 219 ―.

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