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論文内容要旨

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論文内容要旨 ラット回盲部におけるslow waveの生後発達 昭和学士会雑誌 第77巻1号 2017年

生理系生理学(生体調節機能学分野)専攻 遠藤 利行

消化管の蠕動運動は外来神経を切断しても消失せず自動能を有すること が知られている。消化管平滑筋の膜電位は常に周期的変動を示し、slow waveと呼ばれる。slow waveの脱分極相が活動電位の発生の引き金とな り、消化管が収縮する。そして消化管の収縮・弛緩が秩序をもって行われ ることにより腸管内容物が混和され、肛門側へと輸送される。この腸管運 動が異常をきたす疾患として腸重積がある。発症年齢は1歳未満が過半数 を占め、その大半が特発性である。我々は腸管運動の調節機構が乳幼児で は未熟で収縮と弛緩のリズムや大きさが不安定であることが腸重積の原 因の1つではないかと考えた。これまで消化管運動の生後発達に関する研 究は少ない。そこで腸管運動の発生源であるslow wave に着目し、このリ ズムや大きさが乳幼児では不安定であり、生後発達と共に安定するという 仮説を立てた。本仮説を検証するため、ラット摘出腸管標本を用い、腸重 積の好発部位である回盲部における電気的活動の生後発達を調べた。実験 には生後0-2 日(P0-2)、P 6-8、P 13-15、P 20-22および成ラットを用 い、ガラス吸引電極を用いて回腸末端および回盲弁付近から電気的活動を 記録した。得られたslow wave の連続20周期から平均周期および振幅を 計測し、各日齢群における平均値±標準偏差、変動係数を算出した。変動 係数は標準偏差を平均値で除することにより求めた。回腸末端は P0-2 で は小さく不規則な電位変動しか示さず、P6-8 以降、規則的で明白な電位 変動、つまりslow waveを示した。slow wave の周期および振幅はP6-8 で 3.54±0.45 秒と 0.17±0.04 mV、P13-15 で 3.05±0.23 秒と 0.17±0.04 mV、P20-22で 3.06±0.15秒と0.30±0.03 mV、成ラットで2.86±0.14秒

と0.27±0.04 mVであった。これらの値の発達に伴う有意な変化は認めら

れなかったが、変動係数は日齢とともに減少し、P20-22 および成ラット で最も低い値となった。一方、回盲弁付近は成ラットを除く全ての日齢で 小さく不規則な電位変動しか示さなかった。成ラットでは約半数において 回盲弁付近からslow wave が観察されたが、回腸末端のslow wave に比 べて振幅が小さく、回腸末端から伝播した電位と考えられた。このことか

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ら回盲弁付近では slow wave に伴う周期的収縮がないと示唆される。以 上、我々の仮説通り、ラットでは回腸末端部におけるslow waveのリズム や大きさが生後しばらく不安定であり、P20-22 までに成熟・安定するこ とが明らかとなった。この結果は、消化管の収縮と弛緩のリズムや大きさ が乳幼児期で不安定であることが腸重積の原因の1つであるとした我々 の考え方を支持する。

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