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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 徐    虹      学 位 論文 題 名

Studies on the Effect of Dietary Factors on Hepatic     and Intestinal Dise;ise   .

     匸   lSeln Animal rvIodels

( 動 物 モ デ ル に お け る 肝 臓 ・ 消 化 管 疾 病 に 及 ぼ す     食 餌 成 分 の 作 用 に 関 す る 研 究 )

学位論文内容の要旨

  肝臓 は栄 養素 代謝 を司 る臓 器として重要であり、消化管は栄養素の吸収 及び消化を 行 う主 要な 臓器 とし て機 能し ながら食餌成分とからだとの間の障壁となっ ている。従 って、食品はこれ らの臓器の恒常性維持と密接に関連していると考えることが出来る。

現 在、 疾病 の予 防に 関し て多 くの議論がなされているが、殊に食品成分の 肝臓銅代謝 や 消化 管発 癌に 及ぼ す作 用に 関して詳細は明らかになっていない。ヒトに おける疾患 の 実験 動物 モデ ル系 の構 築及 びそれを用いた食品の評価は、我々の健康改 善に寄与す る こと に疑 いの 余地 はな い。 本研究では肝臓及び消化管疾患に関わる動物 実験モデル を用い食餌成分の 作用について検討した。

1.D‑penicilliamineまた は過 剰量 のヒ スチ ジン 添加 食の 経口摂取によるLong‑Evans Cinnamon (LEC)ラ ッ ト に お け る 肝 臓 銅 含 量 の 減 少 と 肝 障 害 の 軽 減   LECラットはヒトのウィルソン病遺伝子に相同性のあるCu‑transportingP−type ATPase 遺 伝子 に変 異を 持つ 、自 然発 生的 に肝不全を引き起こす、また、肝臓中に著しい銅の 蓄積が起こること からウィルソン病の動物モデルと考えられている。D‑penicilliamine と ヒス チジ ンは とも に強 カな 銅キ レ ート 活性 をも つこ とから 、本研究ではLECラット におけるD−penicilliamineまたはヒスチジン過剰食の経口摂取が肝臓、血清及び尿中の 銅 含量 を調 べる とと もに 、肝 臓中 のタンパク質発現・脂質代謝・酵素活性について検 討 した 。結果として、D‑penicilliamineまたはヒスチジン過剰 食の摂取がLECラットに お ける 肝臓 銅含 量の 過剰 蓄積 を抑 制し、尿中への銅排泄を促進した。また、本研究で はLECラ ット にお ける 脂質 代謝 異常 を改 善す る傾 向も 観察 された。ヒスチジン過剰食 の 摂取 によ るLECラッ トに おけ る病 態改 善は 、ウ ィル ソン 病患者に対する新しい予防 治療法としての可 能性が示唆された。

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2.ラット系統及び加齢による消化管粘膜における免疫系細胞の局在変化とコール酸 摂取が放射線照射後のラット大腸上皮細胞動態に及ぼす影響

  当該上皮細胞の組織内における存在位置が細胞の増殖あるいは分化の状態を反映す ることから、消化管上皮は細胞生物学的モデルとして大変興味深い。消化管陰窩長軸 に沿った組織切片内での標識細胞の位置及び頻度からその細胞の挙動や機能を知るこ とが出来る。本研究ではラット系統及び加齢が大腸陰窩内でのナチュラルキラー細胞 と上皮問リンパ球の局在に及ぼす影響について検討した。DAラットのCD161゛ナチュ ラ ル キラー(NK)細胞 はWKAHやF344ラッ トより陰 窩内に高 頻度存在 すること 、一 方、CD8゛上皮間リンパ球はむしろDAラットでは低頻度であることを明らかにした。

プ口モデオキシウリジン取込を指標として、陰窩上皮を増殖上皮領域とそれ以外の分 化上皮領域に分け、免疫系細胞の局在を組織化学的に検討した。その結果、CD161゛NK 細胞は陰窩底部に多く存在した。また、結腸陰窩周囲のCD161゛NK細胞とCD8゛IEL 数が、特に上皮増殖領域において加齢により著しく減少した。異常な上皮細胞が発生 する可能性の高い陰窩底部での免疫監視機構においてCD161゛NK細胞が重要な役割を 担うと考えられる。また、胆汁酸は生理的な状態では脂質吸収に不可欠な成分である 一方、特に二次胆汁酸の一部は癌の発達において促進的に作用することが知られてい る。本研究では、あらかじめコール酸を摂取させておいた場合、放射線によるDNA 傷害後の上皮細胞動態にどのように作用するかを検討した。一般に放射線照射後、消 化管上皮はアポトーシスを起こして一部が死滅することが知られている。本研究では、

結腸部位に大腸癌の前癌病変であるaberrantcづptfぬiを誘発するのと同程度のァ線(4 Gy)をラットに照射した。興味深いことに、あらかじめラットにコール酸を摂取させ ておいた場合、結腸部位では照射後24時間以内での上皮細胞のアポトーシス発生頻度 が有意に減少した。それに伴いS期上皮細胞の減少が抑制された。一方、盲腸部位で はコール酸の摂取による上皮細胞動態への有意な影響は見られなかった。これまで、

胆汁酸は発癌プローモーターとしての役割は知られていたが、本研究により発癌イニ シエーションの調節因子としての役割が新たに示唆された。

  食餌成分は肝臓における銅代謝異常による病態の改善に寄与するとともに、消化管 発癌における上皮細胞の動態制御に関与することが明らかになった。さらに食餌成分 の制御は当該消化管関連疾病の病態改善だけでなく、予防にも寄与しうることを示唆 している。このような病態モデルを用いた食餌成分の作用解析は、症状に合わせた理 想的 な食品摂 取法を明らかにするための評価系として重要であると考えられる。

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学 位 論 文 審 査 の要 旨 主査

副査 副査

助教授 教授 教授

石 塚 原 川 端

敏 博 潤

     学位論文題名

Studies on the Effect of Dietary Factors on Hepatic     and Intestinal Dise;ise i

     く   lSeln Animal Models

( 動 物 モ デ ル に お け る 肝 臓 ・ 消 化 管 疾 病 に 及 ぼ す     食 餌 成 分 の 作 用 に 関 す る 研 究 )

  本 論 文 は 、 英 文103頁、 図11、 表20、4章 から な り 、参 考 論 文4編 が 添 えら れ て いる 。   肝臓は 栄養素 代謝を司 る臓器 として重 要であり 、消化 管は栄養素の吸収及び消化を行う主 要な臓 器とし て機能し ながら食 餌成分 とからだ との間 の障壁となっている。従って、食品は これら の臓器 の恒常性 維持と密 接に関 連してい ると考 えることが出来る。現在、疾病の予防 に関し て多く の議論が なされて いるが 、殊に食 品成分 の肝臓銅代謝や消化管発癌に及ぼす作 用に関 して詳 細は明ら かになっ ていな い。ヒト におけ る疾患の実験動物モデル系の構築及び それを 用いた 食品の評 価は、我 々の健 康改善に 寄与す ることに疑いの余地はない。本研究で は 肝臓 及 び 消化 管 疾 患に 関わる 動物実験 モデル を用い食 餌成分の 作用に ついて検 討した 。

1.D・penicmarnjneま た は過 剰 量 のヒ ス チ ジン 添加 食の経 口摂取に よるL舳g―EVandnnamon

(uヨコラッ トにお ける肝臓 銅含量 の減少と 肝障害 の軽減

  L正Cラ ッ ト は ヒ ト の ウ ィ ル ソ ン 病 遺 伝 子 に 相 同性 の あ るCu屯 孤spomngPぢpeATぬe遺 伝 子 に変 異 を 持つ 、 自 然発生 的に肝不 全を引き 起こす 、また、 肝臓中 に著しい 銅の蓄 積が起こ ること からウ ィルソン 病の動物 モデル と考えら れてい る。D・p師cillia而neとヒスチジンはと もに強 カな銅 キレート 活性をも つこと から、本 研究で はLE℃ラットにおけるD一pemCiIlia血ne ま たは ヒ ス チジ ン 過 剰食の 経口摂取 が肝臓、 血清及 び尿中の 銅含量 を調べる ととも に、肝臓 中のタ ンパク質発現・脂質代謝・酵素活性について検討した。結果として、D一p師dlIiarnjne゛ ま たは ヒ ス チジ ン 過 剰食 の 摂 取がLE℃ ラッ ト に おけ る 肝 臓銅 含 量 の過 剰 蓄積 を抑制 し、尿 中 への 銅 排 泄を 促 進 した 。 ま た、 本 研 究 ではLE三Cラ ットにお ける脂 質代謝異 常を改 善する 傾 向も 観 察 され た 。 ヒス チ ジ ン過 剰 食 の 摂取 に よるLi三Cラッ トにお ける病態 改善は 、ウィ

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ルソン病患者に対する新しい予防治療法としての可能性が示唆された。

2.ラット系統及び;0ロ齢による消化管粘膜における免疫系細胞の局在変化とコール酸摂取が

´放射線照射後のラット大腸上皮細胞動態に及ぽす影響

  当該上皮細胞の組織内における存在位置が細胞の増殖あるいは分化の状態を反映すること から、消化管上皮は細胞生物学的モデルとして大変興味深い。消化管陰窩長軸に沿った組織 切片内での標識細胞の位置及び頻度からその細胞の挙動や機能を知ることが出来る。本研究 ではラット系統及び加齢が大腸陰窩内でのナチュラルキラー細胞と上皮間リンバ球の局在に 及 ぼ す 影響 に つい て 検 討し た 。DAラ ット のCD161サ チュ ラ ル キラ ー(NK)細胞 はWKAH やI:344ラットより陰窩内に高頻度存在すること、一方、CD8゛上皮間ルンパ球はむしろDA ラットでは低頻度であることを明らかにした。プロモデオキシウリジン取込を指標として、

陰窩上皮を増殖上皮領域とそれ以外の分化上皮領域に分け、免疫系細胞の局在を組織化学的 に検討した。その結果、CD161゛NK細胞|ま陰窩底部に多く存在した。また、結腸陰窩周囲 のCD161十NK細胞とCD8十IEL数が、特に上皮増殖領域において加齢により著しく減少した。

異常な上皮細胞が発生する可能性の高い陰窩底部での免疫監視機構においてCD161十NK細 胞が重要な役割を担うと考えられる。また、胆汁酸は生理的な状態では脂質吸収に不可欠な 成分である一方、特に二次胆汁酸の一部は癌の発達において促進的に作用することが知られ ている。本研究では、あらかじめコール酸を摂取させておいた場合、放射線によるDNA傷 害後の上皮細胞動態にどのように作用するかを検討した。一般に放射線照射後、消化管上皮 はアポトーシスを起こして一部が死滅することが知られている。本研究では、結腸部位に大 腸癌の前癌病変であるaber瑚mtcづptfMiを誘発するのと同程度の7.線(4Gy)をラットに照 射した。興味深いことに、あらかじめラットにコール酸を摂取させておいた場合、結腸部位 では照射後24時間以内での上皮細胞のアポトーシス発生頻度が有意に減少した。それに伴 いS期上皮細胞の減少が抑制された。一方、盲腸部位ではコール酸の摂取による上皮細胞 動態への有意な影響は見られなかった。これまで、胆汁酸は発癌プ口ーモーターとしての役 割は知られていたが、本研究により発癌イニシェーションの調節因子としての役割が新たに 示唆された。

  以上のように本研究は、食餌成分が肝臓における銅代謝異常による病態の改善に寄与する とともに、消化管発癌における上皮細胞の動態制御に関与することを明らかにした。さらに 食餌成分の制御は当該消化管関連疾病の病態改善だけでなく、予防にも寄与しうることを示 唆している。このような病態モデルを用いた食餌成分の作用解析は、症状に合わせた理想的 な 食 品 摂 取 法 を 明 ら か に す る た め の 評 価 系 と し て 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。   よって、審査員一同は、徐虹が博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格を有するも のと認めた。

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