九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
平成24年の土地家屋調査士関係判例
七戸, 克彦
九州大学大学院法学研究院 : 教授
http://hdl.handle.net/2324/25934
出版情報:ふくおか : 会報. 118, pp.7-11, 2013-01. 福岡県土地家屋調査士会 バージョン:
権利関係:
平成 2 4 年の土地家屋調査士関係判例
学術顧問・九州大学大学院法学研究院教授
七 戸 克 彦
1 判例データベースの検索結果
私がこの原稿を書いているのは、平成24年 の年末 (12月14日)であるが、この時点で、
私の大学の研究室からアクセス可能な3種類の 判例データベース一一‑<D
TK C
法律情報データ ベースLEX/DB
インターネット・②判例秘 書アカデミック版LL 1判例検索・③WESTL A W ]APAN‑ー を 用 い て 、 平 成24年 中「土地家屋調査土jの語が登場する判例を検 索してみると、以下の15例がヒットする(い ずれも紙ベースの判例集には未登載で、また、
裁判所ウェブサイト (http://www.courts. go. jp)の判例検:索システムでもヒットしない)。
【1] 東京地判平成24年1月30日平成22年 (ワ)第34310号(損害賠償請求事件)
【2】 東京地判平成24年2月27日平成22年 (ワ)第18102号(損害賠償請求事件)
【3】 東京地判平成24年2月27日平成22年 (ワ)第30632号(境界確定等請求事件)
【4] 東京地判平成24年2月28日平成23年 (ワ)第2360号(ブロック塀等撤去土地明 渡請求事件)
【5】 東京地判平成24年3月9日平成21年 (ワ)第37653号・平成22年(ワ)第3355 5号(土地所有権移転登記更正登記等請 求本訴事件・同反訴事件)
【6] 東京地判平成24年3月16日平成22年 (ワ)第37727号(損害賠償請求事件)
【7】 東京地判平成24年3月23日平成22年 (ワ)第40328号(損害賠償請求事件)
【8】 名古屋地判平成24年3月27日平成22年 (わ)第2463号・平成23年(わ)2644号(所
得税法違反・詐欺被告事件)
【9】 高松地判平成24年3月27日平成22年 (ワ)第688号(損害賠償請求事件)
【10] 東京地判平成24年4月12日平成23年 (ワ)第20155号(損害賠償請求事件)
【11] 東京地判平成24年4月19日平成23年 (ワ)第32289号(損害賠償等請求事件)
【12】東京地判平成24年6月13日平成23年 (ワ)第32460号(囲繰地通行権確認等請 求事件)
[13] 福岡地判平成24年6月19日平成23年 (ワ)第1412号(国家賠償請求事件)
【14] 高知地判平成24年6月26日平成24年 (行ク)第2号(移送申立事件)
【15] 和歌山地判平成24年9月10日平成23年 (わ)第797号・平成23年(わ)第860号(競 売入札妨害、電磁的公正証書原本不実記 録・同供用、強要被告事件)
これらの裁判例のうち、【14] は、日本年金 機構法(平成19年法律第109号)54条「不動 産登記法及び政令で定めるその他の法令につい ては、政令で定めるところにより、機構を国の 行政機関とみなして、これらの法令を準用する。」
にいう「政令で定めるその他の法令
J
(日本年 金機構法施行令3条1項1号:司法書士法、 2 号:土地家屋調査士法、 3号:登録免許税法、5号:不動産登記令、 4号・ 6号:船舶登記令) の法律名がヒットしたものであるが、残り 14 例は、特定の土地家屋調査士が調査・測量ある
いは登記申請に関与した事案であり、そして、
その中でも【7】と【10】の2例は、土地家 屋調査士を被告とする損害賠償請求事件であるO
平成 2 4 年の土地家屋調査士関係判例
学術顧問・九州大学大学院法学研究院教授
七 戸 克 彦
1 判例データベースの検索結果
私がこの原稿を書いているのは、平成24年 の年末 (12月14日)であるが、この時点で、
私の大学の研究室からアクセス可能な3種類の 判例データベース一一‑<D
TK C
法律情報データ ベースLEX/DB
インターネット・②判例秘 書アカデミック版LL 1判例検索・③WESTL A W ]APAN‑ー を 用 い て 、 平 成24年 中「土地家屋調査土jの語が登場する判例を検 索してみると、以下の15例がヒットする(い ずれも紙ベースの判例集には未登載で、また、
裁判所ウェブサイト (http://www.courts. go. jp)の判例検:索システムでもヒットしない)。
【1] 東京地判平成24年1月30日平成22年 (ワ)第34310号(損害賠償請求事件)
【2】 東京地判平成24年2月27日平成22年 (ワ)第18102号(損害賠償請求事件)
【3】 東京地判平成24年2月27日平成22年 (ワ)第30632号(境界確定等請求事件)
【4] 東京地判平成24年2月28日平成23年 (ワ)第2360号(ブロック塀等撤去土地明 渡請求事件)
【5】 東京地判平成24年3月9日平成21年 (ワ)第37653号・平成22年(ワ)第3355 5号(土地所有権移転登記更正登記等請 求本訴事件・同反訴事件)
【6] 東京地判平成24年3月16日平成22年 (ワ)第37727号(損害賠償請求事件)
【7】 東京地判平成24年3月23日平成22年 (ワ)第40328号(損害賠償請求事件)
【8】 名古屋地判平成24年3月27日平成22年 (わ)第2463号・平成23年(わ)2644号(所
得税法違反・詐欺被告事件)
【9】 高松地判平成24年3月27日平成22年 (ワ)第688号(損害賠償請求事件)
【10] 東京地判平成24年4月12日平成23年 (ワ)第20155号(損害賠償請求事件)
【11] 東京地判平成24年4月19日平成23年 (ワ)第32289号(損害賠償等請求事件)
【12】東京地判平成24年6月13日平成23年 (ワ)第32460号(囲繰地通行権確認等請 求事件)
[13] 福岡地判平成24年6月19日平成23年 (ワ)第1412号(国家賠償請求事件)
【14] 高知地判平成24年6月26日平成24年 (行ク)第2号(移送申立事件)
【15] 和歌山地判平成24年9月10日平成23年 (わ)第797号・平成23年(わ)第860号(競 売入札妨害、電磁的公正証書原本不実記 録・同供用、強要被告事件)
これらの裁判例のうち、【14] は、日本年金 機構法(平成19年法律第109号)54条「不動 産登記法及び政令で定めるその他の法令につい ては、政令で定めるところにより、機構を国の 行政機関とみなして、これらの法令を準用する。」
にいう「政令で定めるその他の法令
J
(日本年 金機構法施行令3条1項1号:司法書士法、 2 号:土地家屋調査士法、 3号:登録免許税法、5号:不動産登記令、 4号・ 6号:船舶登記令) の法律名がヒットしたものであるが、残り 14 例は、特定の土地家屋調査士が調査・測量ある
いは登記申請に関与した事案であり、そして、
その中でも【7】と【10】の2例は、土地家 屋調査士を被告とする損害賠償請求事件であるO
2 【7]判決の事案と判旨
【事案の概要】
本件は、 Xが、住宅の建築を請け負ったY1 社〔東京セキスイハイム株式会社〕と、表示登 記〔旧不登法〕の申請手続を行った土地家屋調 査士Y2を相手に、債務不履行ないしは不法行 為に基づく損害賠償を請求した事案であるO
( 1) Aは、昭和56年にXと婚姻し、平成 3 年にXの父Bの養子となった。
(2) Bは、本件建物の敷地である千葉県成田 市く住所略〉の宅地479.33平方メートル を所有していた。同土地の西側には赤道が 存在しているが、本件建物の建築当時、本 件赤道と本件土地の境界は未確定であった。
(3) Aは、本件土地上に存した!日建物を取り 壊した後、平成6年12月、 Y1社に対し、
本件建物の建築を依頼し、翌平成7年4月 26日には千葉県香取土木事務所(当時) に対し本件建物の建築確認申請書が提出さ れ、同年 7月15日本件建物が完成し、土 地家屋調査士Y2は、 Aから本件建物の表 示登記申請の依頼を受けて、同申請を行っ た。なお、本件建物について検査済証の交 付は受けていない。
( 4 ) A
は、本件建物の建築に際し、C
信用基 金協会〔財団法人千葉県労働者信用基金協 会〕の保証のもと、労働金庫から合計280 0万円を建築資金として融資を受け、 Bは Aの債務を連帯保証した。だが、 Aは、平 成14年12月19日、千葉地方裁判所佐倉支 部に自己破産の申立てをし、 C信用基金協 会は、 D労働金庫に対し合計2194万2204 円を代位弁済した結果、 Aに対する求償権 を取得した。その後、 C信用基金協会は、平成16年3月31日に、 E信用基金協会〔社 団法人日本労働者信用基金協会〕に、 Aに 対する求償権を譲渡した。
( 5 ) 一方、 Aは平成14年に妻Xと離婚し、
平成15年には養父Bとも離縁したが、平 成17年3月31日、本件建物をBに贈与した。
翌平成18年12月23日にBは死亡し、 Xが Bの権利義務を単独相続した。
( 6 ) その後、平成20年6月になって、本件
土地と赤道との境界が確定したが、確定し た境界によれば、本件建物の北西側の一部 分(1.14m)が赤道部分に突出している
ことになった。
( 7 ) 一方、 E信用基金協会は、亡Bの権利義 務を承継したXに対し、上記求償金の支払 を求める訴えを東京地方裁判所に提起し、
同裁判所は、平成21年12月8日、 2054万 2204円および利息の支払を命じる判決を 言い渡した。
( 8 ) そこで、 Xは、 Y1社およびY2土地家 屋調査士に対し、①本件建物の一部が赤道 部分に突出した違法建築であるため、本件 建物は無価値物となり、 Xは上記債務相当 額の損害を被った、また、②適法な建物が 建築されるとBを欺同して、 Aの債務の連 帯保証人にさせたとして、債務不履行ない し不法行為による損害賠償を請求する本件 訴訟を提起した。
【判旨】
請求棄却。
1 1
Xの主張〔①〕についてア Xは、 Yらが本件境界を知っていながら予本 件建物の一部を本件赤道に突出させたことが、
AがYらに対して委託した本件建物の建築あ るいは表示登記の申請業務の債務不履行に該 当すると主張しているO
しかしながら、 Yらが本件境界を知ってい たとする根拠については、平成7年当時には 国土調査による立ち会い等が行われていた可 能性があるというにすぎず、当時、本件境界 に関する境界杭が打たれていたこと等に関す る客観的な証拠はなく、 Xの主張は推認を述 べるものにとどまっているO
一方、 Yらは、本件建物が新築された当時、
本件土地が本件赤道及び隣地に接する部分に 樹木界等が認められ、しかも建て壊し前の建 物と本件建物とはほぼ同じ位置に建築された ものであったことから、生け垣より東側に位 置する本件境界が境界線であるとは認識して いなかったと主張しているところ、本件建物 は、本件土地上の建物を取り壊して建て替え られたものであること、本件土地の西側には 生け垣があること、平成7年当時、本件土地 2 【7]判決の事案と判旨
【事案の概要】
本件は、 Xが、住宅の建築を請け負ったY1 社〔東京セキスイハイム株式会社〕と、表示登 記〔旧不登法〕の申請手続を行った土地家屋調 査士Y2を相手に、債務不履行ないしは不法行 為に基づく損害賠償を請求した事案であるO
( 1) Aは、昭和56年にXと婚姻し、平成 3 年にXの父Bの養子となった。
(2) Bは、本件建物の敷地である千葉県成田 市く住所略〉の宅地479.33平方メートル を所有していた。同土地の西側には赤道が 存在しているが、本件建物の建築当時、本 件赤道と本件土地の境界は未確定であった。
(3) Aは、本件土地上に存した!日建物を取り 壊した後、平成6年12月、 Y1社に対し、
本件建物の建築を依頼し、翌平成7年4月 26日には千葉県香取土木事務所(当時) に対し本件建物の建築確認申請書が提出さ れ、同年 7月15日本件建物が完成し、土 地家屋調査士Y2は、 Aから本件建物の表 示登記申請の依頼を受けて、同申請を行っ た。なお、本件建物について検査済証の交 付は受けていない。
( 4 ) A
は、本件建物の建築に際し、C
信用基 金協会〔財団法人千葉県労働者信用基金協 会〕の保証のもと、労働金庫から合計280 0万円を建築資金として融資を受け、 Bは Aの債務を連帯保証した。だが、 Aは、平 成14年12月19日、千葉地方裁判所佐倉支 部に自己破産の申立てをし、 C信用基金協 会は、 D労働金庫に対し合計2194万2204 円を代位弁済した結果、 Aに対する求償権 を取得した。その後、 C信用基金協会は、平成16年3月31日に、 E信用基金協会〔社 団法人日本労働者信用基金協会〕に、 Aに 対する求償権を譲渡した。
( 5 ) 一方、 Aは平成14年に妻Xと離婚し、
平成15年には養父Bとも離縁したが、平 成17年3月31日、本件建物をBに贈与した。
翌平成18年12月23日にBは死亡し、 Xが Bの権利義務を単独相続した。
( 6 ) その後、平成20年6月になって、本件
土地と赤道との境界が確定したが、確定し た境界によれば、本件建物の北西側の一部 分(1.14m)が赤道部分に突出している
ことになった。
( 7 ) 一方、 E信用基金協会は、亡Bの権利義 務を承継したXに対し、上記求償金の支払 を求める訴えを東京地方裁判所に提起し、
同裁判所は、平成21年12月8日、 2054万 2204円および利息の支払を命じる判決を 言い渡した。
( 8 ) そこで、 Xは、 Y1社およびY2土地家 屋調査士に対し、①本件建物の一部が赤道 部分に突出した違法建築であるため、本件 建物は無価値物となり、 Xは上記債務相当 額の損害を被った、また、②適法な建物が 建築されるとBを欺同して、 Aの債務の連 帯保証人にさせたとして、債務不履行ない し不法行為による損害賠償を請求する本件 訴訟を提起した。
【判旨】
請求棄却。
1 1
Xの主張〔①〕についてア Xは、 Yらが本件境界を知っていながら予本 件建物の一部を本件赤道に突出させたことが、
AがYらに対して委託した本件建物の建築あ るいは表示登記の申請業務の債務不履行に該 当すると主張しているO
しかしながら、 Yらが本件境界を知ってい たとする根拠については、平成7年当時には 国土調査による立ち会い等が行われていた可 能性があるというにすぎず、当時、本件境界 に関する境界杭が打たれていたこと等に関す る客観的な証拠はなく、 Xの主張は推認を述 べるものにとどまっているO
一方、 Yらは、本件建物が新築された当時、
本件土地が本件赤道及び隣地に接する部分に 樹木界等が認められ、しかも建て壊し前の建 物と本件建物とはほぼ同じ位置に建築された ものであったことから、生け垣より東側に位 置する本件境界が境界線であるとは認識して いなかったと主張しているところ、本件建物 は、本件土地上の建物を取り壊して建て替え られたものであること、本件土地の西側には 生け垣があること、平成7年当時、本件土地
と本件赤道との境界は確定しておらず、当時、
法務局に備え付けられていた地図に準ずる図 面は現地再現性のない図面であったこと、平 成7年当時、本件土地の所有者はBであり、
同人は本件土地上に居住していたのであるか ら、本件建物建築に際し、本件土地の範囲を 指示したと考えられることなどからすれば、
Yらの主張には合理性を認めることができるO また、平成7年当時、建物建築後、検査済証 の交付を受けていない建物が多数存在してお り(公知の事実)、本件建物について検査済 証が交付されていないことは特段不自然なこ
とではない。
上記によれば、 Yらは、本件境界より西側 にある生け垣付近を本件土地の西側境界とし て、本件建物の建築あるいは表示登記の申請 業務を行っており、本件土地の西側境界が本 件境界であることは認識していなかったと認 められるO したがって、 Xの上記主張は採用 することができない。
また、上記の本件土地上の建物を取り壊し て本件建物が建築されたことなどの事情から すれば、 Yらが、本件境界より西側にある生 け垣付近を本件土地の西側境界と考えたこと については合理性があり、 Yらが本件境界を 認識していなかったことについて落ち度があ ったともいえないから、結果として、本件建 物の一部が本件境界より西側に突出して建築 されたことについて、 Aから本件建物の建築 あるいは表示登記の申請業務の委託を受けた
Yらに何らかの過失があったとも認められな い。
J
1 2 X
の主張〔②〕についてXは、 Yらが、本件建物が違法建築物であ るのに適法な家屋が建築されるとしてEを欺 同したと主張しているO
上記主張は、 Yらが本件土地の西側境界が 本件境界であることを知っていることを前提 とする主張であるが、先に認定したように、
Yらは、本件境界より西側の生け垣付近を境 界と考えており、本件境界が境界であるとは 認識していなかったのであるから、その余の 点について検討するまでもなく、 Xの上記主 張には理由がない。
J
3 【101判決の事案と判旨
【事案の概要】
( 1 ) 本件土地(東京都台東区
OOia
丁目176 香4および同番5の、合計69.38ぱ ( 登 記面積)の土地)は、もとA Bの共有であ ったが、平成18年 1月31日、株式会社C クリエイションが、売買により所有権を取 得し、さらに、同年4月17日、 X商事株 式会社が、売買により所有権を取得した。( 2 ) 有限会社Y1測量は測量全般を業とする 会社であり、 Y2はY1測量の代表者で土 地家屋調査士であるが、 CX間売買の直前、
Y1測量およびY2は、本件土地を測量し て、平成18年4月5日付確定実測図(以 下「本件実測図
J
という。)を作成した。( 3 ) ところが、その後、平成20年 4月にな って、本件土地の隣地(東京都台東区
00
a丁目176番11および同番12の土地)の 所有者Dから、本件土地と隣地との境界が 本件実測図の記載どおりではないことを前 提とする訴訟(東京地方裁判所平成20年 (ワ)第11021号土地所有権確認等請求事件。
以下「別件訴訟
J
という。)が提起され、平成22年8月27日、 Dの請求を認容する 判決が言い渡された。
X
商事は控訴したが、平成23年4月22日、 X商事とDとの間で、
東京高等裁判所において、 Dの主張する線 を境界として、 X商事の所有地とDの所有 地を画することを確認することなどを内容
とする和解が成立した。
( 4 ) その結果、 X商事は、 2.16niの土地を 失い、この部分に設置した時間貸駐車場の 機器類を移設するなどの損害を被ったとし て、 Y1測量およびY2土地家屋調査士に 対し、共同不法行為に基づく損害賠償 (3 64万3547円および遅延損害金)を求める 本件訴訟を提起した。
【判旨】
請求棄却。
1 (
1 ) 証拠く略〉によれば、以下の事実が認 められるOア Y1測量は、 Cクリエイションから本件土 地の測量の依頼をされ、平成18年3月ころ と本件赤道との境界は確定しておらず、当時、
法務局に備え付けられていた地図に準ずる図 面は現地再現性のない図面であったこと、平 成7年当時、本件土地の所有者はBであり、
同人は本件土地上に居住していたのであるか ら、本件建物建築に際し、本件土地の範囲を 指示したと考えられることなどからすれば、
Yらの主張には合理性を認めることができるO また、平成7年当時、建物建築後、検査済証 の交付を受けていない建物が多数存在してお り(公知の事実)、本件建物について検査済 証が交付されていないことは特段不自然なこ
とではない。
上記によれば、 Yらは、本件境界より西側 にある生け垣付近を本件土地の西側境界とし て、本件建物の建築あるいは表示登記の申請 業務を行っており、本件土地の西側境界が本 件境界であることは認識していなかったと認 められるO したがって、 Xの上記主張は採用 することができない。
また、上記の本件土地上の建物を取り壊し て本件建物が建築されたことなどの事情から すれば、 Yらが、本件境界より西側にある生 け垣付近を本件土地の西側境界と考えたこと については合理性があり、 Yらが本件境界を 認識していなかったことについて落ち度があ ったともいえないから、結果として、本件建 物の一部が本件境界より西側に突出して建築 されたことについて、 Aから本件建物の建築 あるいは表示登記の申請業務の委託を受けた
Yらに何らかの過失があったとも認められな い。
J
1 2 X
の主張〔②〕についてXは、 Yらが、本件建物が違法建築物であ るのに適法な家屋が建築されるとしてEを欺 同したと主張しているO
上記主張は、 Yらが本件土地の西側境界が 本件境界であることを知っていることを前提 とする主張であるが、先に認定したように、
Yらは、本件境界より西側の生け垣付近を境 界と考えており、本件境界が境界であるとは 認識していなかったのであるから、その余の 点について検討するまでもなく、 Xの上記主 張には理由がない。
J
3 【101判決の事案と判旨
【事案の概要】
( 1 ) 本件土地(東京都台東区
OOia
丁目176 香4および同番5の、合計69.38ぱ ( 登 記面積)の土地)は、もとA Bの共有であ ったが、平成18年 1月31日、株式会社C クリエイションが、売買により所有権を取 得し、さらに、同年4月17日、 X商事株 式会社が、売買により所有権を取得した。( 2 ) 有限会社Y1測量は測量全般を業とする 会社であり、 Y2はY1測量の代表者で土 地家屋調査士であるが、 CX間売買の直前、
Y1測量およびY2は、本件土地を測量し て、平成18年4月5日付確定実測図(以 下「本件実測図
J
という。)を作成した。( 3 ) ところが、その後、平成20年 4月にな って、本件土地の隣地(東京都台東区
00
a丁目176番11および同番12の土地)の 所有者Dから、本件土地と隣地との境界が 本件実測図の記載どおりではないことを前 提とする訴訟(東京地方裁判所平成20年 (ワ)第11021号土地所有権確認等請求事件。
以下「別件訴訟
J
という。)が提起され、平成22年8月27日、 Dの請求を認容する 判決が言い渡された。
X
商事は控訴したが、平成23年4月22日、 X商事とDとの間で、
東京高等裁判所において、 Dの主張する線 を境界として、 X商事の所有地とDの所有 地を画することを確認することなどを内容
とする和解が成立した。
( 4 ) その結果、 X商事は、 2.16niの土地を 失い、この部分に設置した時間貸駐車場の 機器類を移設するなどの損害を被ったとし て、 Y1測量およびY2土地家屋調査士に 対し、共同不法行為に基づく損害賠償 (3 64万3547円および遅延損害金)を求める 本件訴訟を提起した。
【判旨】
請求棄却。
1 (
1 ) 証拠く略〉によれば、以下の事実が認 められるOア Y1測量は、 Cクリエイションから本件土 地の測量の依頼をされ、平成18年3月ころ
本件土地の測量をした。その過程で、 Y 1測 量は、本件土地と隣地との境界付近に御影石 (以下「本件御影石j という。)を発見した。
イ Y 2土地家屋調査士は、同月24日、 Cク リエイションの担当者、隣地所有者D、東京 都や台東区の担当者ら本件土地の周辺の地権 者らに境界立会いを求めた。その際に、 Y 2 調査士は、本件御影石は境界石として設置さ れたものであると考えられる旨の説明をした が、 Dは、明確な反対の意思を表明すること はなかった。
ウ Y 1測量は、同年4月5日、本件御影石が 境界石である前提で本件実測図を作成し、本 件土地周辺の地権者の同意を得て、境界確認 書に押印を得るため、 DやCクリエイション を含めた全関係者に本件実測図をも送付した。
エ 同月 17日、 X商事はCクリエイションか ら本件土地を購入した。
オ ところが、同月25日、 Dから、 Y 1測量 およびY 2調査士に対し、本件実測図では本 件土地と隣地との境界に異議があり、同意で
きない旨の書面が出された。
カ その後、同年6月 8日に、 Cクリエイショ ンの社長、 Y 2調査士、 Dらが立ち会って、
現地で再度確認をしたが、境界について合意 に至らなかった。
Yらは、同年7月11日、 Cクリエイショ ンに対し、同年3月24日の立会状況等につ いての報告書を提出し、「同年8月3日、 X商 事に対しでも、報告書を提出した。
(2) X商事は、 Yらが、本件土地の境界につ いてDの確たる同意がないのに「確定実測 図
J
を作成し、かっそれを外部に流出させ た(十分な注意義務をもって本件実測図を 作成して公にすべきなのにこれを怠った)と主張するO しかしながら、上記認定事実 によれば、本件実測図は、平成
1 8
年3
月24 日の本件土地の周辺土地の関係者の立会い を元に境界を確認した結果を元に作成され たものであり、本件実測図を作成する過程 で、 Y 1測量Y 2調査士に過失があるとは 認められない。また、上記認定事実によれ ば、本件実測図は、最終的に境界確認書を 作成する前提として、 Cクリエイションを含む関係者に送付されたものであって、仮 にX商事がこれを元に本件土地を購入した のだとしても、 Yらは、 Cクリエイション が計画確認書が作成される前に、本件実測 図によって、本件土地をX商事に売却する
ことは、予想していなかったものであり、
Yらに責任があるとは認められない。
また、 X商事は、 Yらが測量時にCクリエイ ションおよび前所有者A Bらに境界の確認を求 めなかったことを指摘するが、上記認定事実に よれば、 Yらは、 Cクリエイションの確認は得 ているし、また、 Yらが、本件実測図を作成す るにあたって、前所有者のA Bらの確認を得る 必要があったとは認められない。
さらに、 X商事は、 YらがDからの異議が出 た後に、境界紛争につき解決を怠ったことが注 意義務違反であると主張するが、 Cクリエイシ ョンから測量を依頼されたに過ぎないYらに、
Dから境界につき同意を得る義務があるとは認 められないのであって、 Yらに注意義務違反が あるとはいえない。
なお、 X商事は、別件訴訟における、 Y 2調 査士の証人尋問における証言についても、落ち 度があったかのような主張もするが、 Y 2調査 士の証言について、何ら違法な点は見あたらず、
これが、 X商事に対する不法行為にあたるとは 認められない。」
4 土地家屋調査士業務への示唆
【7]判決・【10]判決とも、結論的には土 地家屋調査士の損害賠償責任は否定された。し かし、これらの訴訟において被告たる地位に立 たされた土地家屋調査士の失った時間と労力は 計り知れない。それゆえ、これらの事例から学 び取らなければならない点は、「予防法学
J
的 な観点一一すなわち、そもそもどのような行動 をとっていれば、このような訴訟の被告として 訴えられずにすんだのか、という点であるO( 1 ) 【7]判決からの示唆
まず、【7]判決に関していえば、注意義務 違反(過失の有無)に関する裁判所の認定は、
調査士側にかなり甘い印象を受けるO 判旨は、
本件建物が旧建物を取り壊しでほぼ同じ位置に 本件土地の測量をした。その過程で、 Y 1測
量は、本件土地と隣地との境界付近に御影石 (以下「本件御影石j という。)を発見した。
イ Y 2土地家屋調査士は、同月24日、 Cク リエイションの担当者、隣地所有者D、東京 都や台東区の担当者ら本件土地の周辺の地権 者らに境界立会いを求めた。その際に、 Y 2 調査士は、本件御影石は境界石として設置さ れたものであると考えられる旨の説明をした が、 Dは、明確な反対の意思を表明すること はなかった。
ウ Y 1測量は、同年4月5日、本件御影石が 境界石である前提で本件実測図を作成し、本 件土地周辺の地権者の同意を得て、境界確認 書に押印を得るため、 DやCクリエイション を含めた全関係者に本件実測図をも送付した。
エ 同月 17日、 X商事はCクリエイションか ら本件土地を購入した。
オ ところが、同月25日、 Dから、 Y 1測量 およびY 2調査士に対し、本件実測図では本 件土地と隣地との境界に異議があり、同意で
きない旨の書面が出された。
カ その後、同年6月 8日に、 Cクリエイショ ンの社長、 Y 2調査士、 Dらが立ち会って、
現地で再度確認をしたが、境界について合意 に至らなかった。
Yらは、同年7月11日、 Cクリエイショ ンに対し、同年3月24日の立会状況等につ いての報告書を提出し、「同年8月3日、 X商 事に対しでも、報告書を提出した。
(2) X商事は、 Yらが、本件土地の境界につ いてDの確たる同意がないのに「確定実測 図
J
を作成し、かっそれを外部に流出させ た(十分な注意義務をもって本件実測図を 作成して公にすべきなのにこれを怠った)と主張するO しかしながら、上記認定事実 によれば、本件実測図は、平成
1 8
年3
月24 日の本件土地の周辺土地の関係者の立会い を元に境界を確認した結果を元に作成され たものであり、本件実測図を作成する過程 で、 Y 1測量Y 2調査士に過失があるとは 認められない。また、上記認定事実によれ ば、本件実測図は、最終的に境界確認書を 作成する前提として、 Cクリエイションを含む関係者に送付されたものであって、仮 にX商事がこれを元に本件土地を購入した のだとしても、 Yらは、 Cクリエイション が計画確認書が作成される前に、本件実測 図によって、本件土地をX商事に売却する
ことは、予想していなかったものであり、
Yらに責任があるとは認められない。
また、 X商事は、 Yらが測量時にCクリエイ ションおよび前所有者A Bらに境界の確認を求 めなかったことを指摘するが、上記認定事実に よれば、 Yらは、 Cクリエイションの確認は得 ているし、また、 Yらが、本件実測図を作成す るにあたって、前所有者のA Bらの確認を得る 必要があったとは認められない。
さらに、 X商事は、 YらがDからの異議が出 た後に、境界紛争につき解決を怠ったことが注 意義務違反であると主張するが、 Cクリエイシ ョンから測量を依頼されたに過ぎないYらに、
Dから境界につき同意を得る義務があるとは認 められないのであって、 Yらに注意義務違反が あるとはいえない。
なお、 X商事は、別件訴訟における、 Y 2調 査士の証人尋問における証言についても、落ち 度があったかのような主張もするが、 Y 2調査 士の証言について、何ら違法な点は見あたらず、
これが、 X商事に対する不法行為にあたるとは 認められない。」
4 土地家屋調査士業務への示唆
【7]判決・【10]判決とも、結論的には土 地家屋調査士の損害賠償責任は否定された。し かし、これらの訴訟において被告たる地位に立 たされた土地家屋調査士の失った時間と労力は 計り知れない。それゆえ、これらの事例から学 び取らなければならない点は、「予防法学
J
的 な観点一一すなわち、そもそもどのような行動 をとっていれば、このような訴訟の被告として 訴えられずにすんだのか、という点であるO( 1 ) 【7]判決からの示唆
まず、【7]判決に関していえば、注意義務 違反(過失の有無)に関する裁判所の認定は、
調査士側にかなり甘い印象を受けるO 判旨は、
本件建物が旧建物を取り壊しでほぼ同じ位置に
建築された経緯から、
r y
らが、本件境界〔筆界〕より西側にある生け垣付近を本件土地の西側境 界〔筆界〕と考えたことについては合理性があ り、 Yらが本件境界〔筆界〕を認識していなか ったことについて落ち度があったともいえない」
とするのであるが、しかし、本件建物の建築当 時、本件赤道と本件土地の筆界が未定であった ことについてYらは了知していたのであるから、
そもそも旧建物が越境建築であった可能性につ いて注意を払うべきだったのに、これを怠った 落ち度があるといえなくもない。
( 2 ) 【10)判決からの示唆
一方、【10)判決の認定もきわどい。判旨は
「本件実測図は、最終的に境界確認書を作成す る前提として、 Cクリエイションを含む関係者 に送付されたものj にすぎないとして、 Yらの 責任を否定した。しかし、ここでそもそも問題 であるのは、なぜ別件訴訟で負けるような(不 正 確 な ?)実測図をYらが作成したのか、とい
う点であるO
別件訴訟は所有権確認訴訟であるから、(事 実関係ははっきりしないが)あるいは筆界と所 有権界がずれていた事案なのかもしれない。し かしながら、もしそうであるならば、 Yらは立 会の際に、 Cクリエイションや隣地所有者Dら に対して、筆界と所有権界のずれについて説明 すべきであったし、また、委託者であるCクリ エイションに対して、本件土地を売却する際に は買主 (X商事)に筆界と所有権が不整合であ る旨を告知するよう促しておけば、 トラブルは 未然に防げたかもしれない。
(3) [1)判決からの示唆
説明義務との関係では、土地家屋調査士は被 告にはなっていないが、【 1】判決の事案もす こぶる興味深い。 Xはその所有建物の敷地であ る甲・乙2筆の土地の一部を、 Y不動産の仲介 により、 A土地家屋調査士の分筆のための測量 を経て、 Bらに売却したが、売却後の残地の面 積不足のため、既存建物が建ぺい率違反となっ てしまった。判旨は、 Xが、 A調査士作成の土 地分割測量図と異なる範囲を特定してBらに売
却した点を捉えて、売却の結果残地上建物に建 ぺい率違反が生ずることに関するY不動産の説 明義務違反はないとしたが、 Xの土地売却は、
Y不動産の媒介によるものであるのに、売却土 地の範囲をY不動産が知らないというのは、い かにも奇妙な事案であるO
( 4 ) 【5】判決からの示唆
一方、【5】判決の事案は、 X1所有の甲土 地ならびにX 2所有の乙土地が、 X 1 . X 2ら 共有の丙土地を通路として公道に通じていると
ころ、 X1所有の甲土地を Yが買い受けたケー スであるが、判旨によれば、
r y
は、本件売買契約締結後、本件通路用地〔丙土地〕の測量業 務等を行った土地家屋調査士Aから、 Yが将来
〔甲〕土地について開発許可の申請をする場合、
私道部分(本件通路用地) (=丙土地〕の共有 者全員が必要となる旨、現時点では開発許可申 請につき共有者全員の同意を得られる見込みが あるとしても、今後相続等によって共有者に変 動が生じれば、共有者らの中に開発許可申請に ついで同意しない者が出てくる可能性があるの で、本件通路用地(=丙土地〕が共有状態にあ ることは〔甲〕土地を将来開発する上で不安要 因になる旨、〔甲〕土地のような広い土地を取 得する場合には、その取得者が私道部分も単独 で所有する方が安全である旨の助言を受けた。
また、 Yは、上記の際、 A土地家屋調査士、から、
X 2 (所有の乙〕土地は道路に接していない袋 地であるため、 YがXらから本件通路用地の共 有持分を譲り受けて同土地をYの単独所有とす ると、 X2 (所有の乙〕土地につき建物を建築 することができなくなるなどの影響が生じるこ
とについても説明を受けた
J
とされるO非常に詳細なアドバイスであり、ここまでの 説明を行えば紛争は生じないように見えるが、
しかし、その後に締結された丙土地の売買契約 につきX 2から錯誤無効が主張され、他方、丙 土地を取得できなければ甲土地も買い受けなか ったとのYの錯誤無効の主張は排斥されてしま うo A調査士の説明は、「予防法学
J
的に見て、いずれの点が至らなかったのだろうか。
建築された経緯から、
r y
らが、本件境界〔筆界〕より西側にある生け垣付近を本件土地の西側境 界〔筆界〕と考えたことについては合理性があ り、 Yらが本件境界〔筆界〕を認識していなか ったことについて落ち度があったともいえない」
とするのであるが、しかし、本件建物の建築当 時、本件赤道と本件土地の筆界が未定であった ことについてYらは了知していたのであるから、
そもそも旧建物が越境建築であった可能性につ いて注意を払うべきだったのに、これを怠った 落ち度があるといえなくもない。
( 2 ) 【10)判決からの示唆
一方、【10)判決の認定もきわどい。判旨は
「本件実測図は、最終的に境界確認書を作成す る前提として、 Cクリエイションを含む関係者 に送付されたものj にすぎないとして、 Yらの 責任を否定した。しかし、ここでそもそも問題 であるのは、なぜ別件訴訟で負けるような(不 正 確 な ?)実測図をYらが作成したのか、とい
う点であるO
別件訴訟は所有権確認訴訟であるから、(事 実関係ははっきりしないが)あるいは筆界と所 有権界がずれていた事案なのかもしれない。し かしながら、もしそうであるならば、 Yらは立 会の際に、 Cクリエイションや隣地所有者Dら に対して、筆界と所有権界のずれについて説明 すべきであったし、また、委託者であるCクリ エイションに対して、本件土地を売却する際に は買主 (X商事)に筆界と所有権が不整合であ る旨を告知するよう促しておけば、 トラブルは 未然に防げたかもしれない。
(3) [1)判決からの示唆
説明義務との関係では、土地家屋調査士は被 告にはなっていないが、【 1】判決の事案もす こぶる興味深い。 Xはその所有建物の敷地であ る甲・乙2筆の土地の一部を、 Y不動産の仲介 により、 A土地家屋調査士の分筆のための測量 を経て、 Bらに売却したが、売却後の残地の面 積不足のため、既存建物が建ぺい率違反となっ てしまった。判旨は、 Xが、 A調査士作成の土 地分割測量図と異なる範囲を特定してBらに売
却した点を捉えて、売却の結果残地上建物に建 ぺい率違反が生ずることに関するY不動産の説 明義務違反はないとしたが、 Xの土地売却は、
Y不動産の媒介によるものであるのに、売却土 地の範囲をY不動産が知らないというのは、い かにも奇妙な事案であるO
( 4 ) 【5】判決からの示唆
一方、【5】判決の事案は、 X1所有の甲土 地ならびにX 2所有の乙土地が、 X 1 . X 2ら 共有の丙土地を通路として公道に通じていると
ころ、 X1所有の甲土地を Yが買い受けたケー スであるが、判旨によれば、
r y
は、本件売買契約締結後、本件通路用地〔丙土地〕の測量業 務等を行った土地家屋調査士Aから、 Yが将来
〔甲〕土地について開発許可の申請をする場合、
私道部分(本件通路用地) (=丙土地〕の共有 者全員が必要となる旨、現時点では開発許可申 請につき共有者全員の同意を得られる見込みが あるとしても、今後相続等によって共有者に変 動が生じれば、共有者らの中に開発許可申請に ついで同意しない者が出てくる可能性があるの で、本件通路用地(=丙土地〕が共有状態にあ ることは〔甲〕土地を将来開発する上で不安要 因になる旨、〔甲〕土地のような広い土地を取 得する場合には、その取得者が私道部分も単独 で所有する方が安全である旨の助言を受けた。
また、 Yは、上記の際、 A土地家屋調査士、から、
X 2 (所有の乙〕土地は道路に接していない袋 地であるため、 YがXらから本件通路用地の共 有持分を譲り受けて同土地をYの単独所有とす ると、 X2 (所有の乙〕土地につき建物を建築 することができなくなるなどの影響が生じるこ
とについても説明を受けた
J
とされるO非常に詳細なアドバイスであり、ここまでの 説明を行えば紛争は生じないように見えるが、
しかし、その後に締結された丙土地の売買契約 につきX 2から錯誤無効が主張され、他方、丙 土地を取得できなければ甲土地も買い受けなか ったとのYの錯誤無効の主張は排斥されてしま うo A調査士の説明は、「予防法学
J
的に見て、いずれの点が至らなかったのだろうか。