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産業用ビデオカメラ画像を用いた動的測定手法の基礎研究

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Academic year: 2022

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産業用ビデオカメラ画像を用いた動的測定手法の基礎研究

株式会社 フジエンジニアリング 正会員 ○西芝 貴光 株式会社 フジエンジニアリング 正会員 讃岐 康博 株式会社 フジエンジニアリング 非会員 菊地 智彦 株式会社 エルゴビジョン 非会員 内田 勇治 1.はじめに

近年,道路構造物の高齢化に伴い構造物の健全度を調査し,更新の要否を判断する手法が求められている.

構造物の健全度評価手法は様々であるが,活荷重載荷時の動的挙動(たわみや振動特性など)も有効な指標の

1

つである.従来,橋梁などの動的挙動測定のうちたわみ測定は,単管やワイヤーを利用した地盤との相対変 位を変位計によって測定している.また,振動特性については,橋梁各部に振動センサー(加速度計や速度計)

を設置して測定している.何れにしろ,各センサーからの出力は延長ケーブルによって測定本部まで引き込み 集中管理する方法が主流である.しかし近年,川幅の広い河川上の橋梁や谷合の橋梁など,センサーの設置や 延長ケーブルの配線が困難な環境条件下での測定ニーズも高まっている.このような背景のもと,高速度カメ ラを用いた動的計測の基礎的研究や家庭用デジタルビデオを用いた動的測定の研究がなされている.ここ では,多点同時測定への展開と長時間測定が容易な産業用ビデオカメラを用いて,不動点とみなすことができ る離れた地上から,対象構造物に設置した標点をビデオ画像により動的に追尾するシステム(以下,画像変位 計という)によって,対象構造物の動的挙動を把握する手法の基礎的な実験結果について報告する.

2.実験方法

実験は図1に示すように,板ばねを利用した1自由度の振動系 に標点を設置し,その標点の動的挙動を産業用ビデオカメラによ って追尾撮影する方法とした.なお,撮影は焦点距離の異なるレ ンズでの 2 ケースの仕様とした.画像変位計の精度検証のうち,

たわみ量については高感度変位計と比較し,周波数特性について は圧電型加速度計と比較した.

また,標点としては再帰性反射に優れているスコッチライト(φ 20mm)をフェルトシートに貼付け,レンズ近傍から照明で照らし て反射させた.撮影した画像は Hough 変換により円形の標点を同 定し,サブピクセル推定によって 1/4pix の分解能(300mm レンズ

で 0.2mm,1000mm レンズで 0.06mm の精度)で標点を追尾した. 図1 測定対象(1自由度振動系の標点 および高感度変位計,圧電型加速度計)

加速度計 高感度変位計

板ばね

標点(スコッチライト)

今回使用した機器の主な仕様を以下に示す.

産業用ビデオカメラ:追尾撮影 200×100pix(通常撮影 659×494pix)

フレームレート :100fps

望遠レンズ :焦点距離 300mm(図2)

:焦点距離1000mm(図3)

撮影距離 :20m

追尾画像 200×100pix

20mm

1000mmレンズ 産業用ビデオカメラ

追尾画像 200×100pix

300mmレンズ 産業用ビデオカメラ

20mm

図2 測定システム(300mm レンズ仕様) 図3 測定システム(1000mm レンズ仕様)

キーワード 変位測定,振動測定,画像変位計,産業用ビデオカメラ,Hough 変換,サブピクセル推定 連絡先 〒532-0002 大阪市淀川区東三国 5-5-28 株式会社 フジエンジニアリング TEL 06-6350-6132

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑335‑

Ⅰ‑168

(2)

3.実験結果

3.1 たわみ量の検証

実験は,前述した 1 自由度振動系を紐で引っ張り解放する引き綱法で加振したもので,望遠レンズの焦点距 離変更に加えて,板ばねの長さを変えることにより 1 自由度系の固有振動数を 2 種類に変化させ,合計 4 ケー スの測定を行った.固有振動数 7.6Hz における接触式変位計(高感度変位計)と画像変位計の実験結果を図4 に,同様に 13.3Hz における実験結果を図5に示した.図4および図5の実験結果によると,画像変位計によ るたわみ波形は,接触型変位計によるたわみ波形と変位量も周期も同じ波形を示しているといえる.また,両 者の相関係数は 0.9 以上と非常に高い値を示している.

-15 -10 -5 0 5 10 15

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

経過時間(s)

変位量(mm)

画像変位測定 接触式変位計

相関係数(R2)=0.9971

-15 -10 -5 0 5 10 15

0 0.5 1 1.5 2 2.5

経過時間(s)

変位量(mm)

3 画像変位測定 接触式変位計

相関係数(R2)=0.9994

300mm

レンズ仕様 1000mmレンズ仕様

図4 両手法の固有振動数 7.6Hz での比較

-15 -10 -5 0 5 10 15

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

経過時間(s)

変位量(mm)

画像変位測定 接触式変位計

相関係数(R2)=0.9982

-15 -10 -5 0 5 10 15

0 0.5 1 1.5 2 2.5

経過時間(s)

変位量(mm)

3 画像変位測定 接触式変位計

相関係数(R2)=0.9901

300mm

レンズ仕様 1000mmレンズ仕様

図5 両手法の固有振動数 13.5Hz での比較 3.2 周波数特性の検証

-15 -10 -5 0 5 10 15

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 経過時間(s)

変位量(mm)

画像変位測定 加速度から算出した変位 変位(mm)=加速度(mm/s2)÷(2πf)2

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 10 20 30 40 5

周波数(Hz)

スペ

13.3Hz

図6は,固有振動数 13.3Hz における,

画像変位計と加速度計で得られた周波 数特性を比較したものである.

0 画像変位測定 加速度計

両手法から得られた周波数は同じで あり,画像変位計は加速度計と同等の 精度を有しているといえる.

図6 両手法の周波数特性の比較(300mm レンズ)

4.おわりに

本実験により画像変位計での動的たわみ測定が可能であることが分かり,今後実橋での検証実験を行う予定 である.また.画像変位計のフレームレートは 100 枚/秒であり,計算上 50Hz の動的挙動の測定は可能で,多 点同時測定への展開が容易な産業用ビデオカメラであれば,橋梁の振動モードの測定も可能である.さらに,

画像変位計は標点近傍の一部分(200×100pix)の画像のみを抽出追尾するシステムであるため,データ量が小 さく長時間測定(256GB の記録容量で 24 時間測定が可能)にも適しているといえる.

1出水享,板井達志,松田浩,森田千尋,伊藤幸広:デジタル画像相関法による動的変位計測に関する 基礎的研究,鋼構造年次論文報告集,第

19

巻,pp.671-676,2011年

11

2岡重嘉泰,海老原学,川谷充朗他:家庭用デジタルビデオカメラを用いた変位計測による橋梁の応答振動数 特性,土木学会第

65

回年次学術講演会(平成

22

9

月) ,Ⅰ-456,p911-912 ,2010年

9

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑336‑

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参照

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