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砂質土の液状化後の沈下量に及ぼす粒度と密度の影響

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Academic year: 2022

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キーワード:液状化,砂,体積ひずみ,非排水せん断

連絡先:福島県郡山市田村町徳定字中河原

1 TEL. 024-956-8710 FAX. 024-956-8858

砂質土の液状化後の沈下量に及ぼす粒度と密度の影響

日本大学工学部 学生会員 ○佐古野 崇弘 平田 真史 日本大学工学部 正 会 員 仙頭 紀明

1. はじめに 1964年の新潟地震は砂地盤に建設された多くの構造

物が液状化による地盤沈下で大きな被害を受けた。以降,この沈下 量評価について研究されてきたものの,細粒分を含まない砂に限 定されていた1)。一方,1995年の兵庫県南部地震において細粒分 を含む砂でも液状化の発生が確認されている。しかし,細粒分を含 む砂の液状化後の沈下に関する研究は少ないことが現状である。

そこで本研究では粒度の異なる2種類の砂を用いて,相対密度を 変えた実験を行い,粒度と密度が沈下量に及ぼす影響について考 察を行った。

2.

研究方法 試験に用いた試料は硅砂5号,硅砂6号と硅砂8号を 質量比3:1で混合した砂(以降混合砂と称する)である。 各試料の物 理特性を表-1に示す。硅砂5号は,混合砂に比べて平均粒径の 大きい砂である。硅砂5号は,細粒分を含まないが,混合砂の細粒 分含有率は17%である。また,図-1に各試料の粒径加積曲線を示 す。工学的分類によれば硅砂5号は砂(S)で,混合砂は細粒分質砂

(SF)である。両試料とも非塑性(NP)である。実験には中空ねじりせ

ん断試験装置を用いた。供試体は外径7cm,内径3cm,高さ10cm の中空円筒状である。供試体作製は負圧法で行い,空中落下法に より所定の相対密度に調整した。供試体の飽和には間隙の空気を 二酸化炭素に置き換えた後,脱気水を通水し,背圧を100kPa載荷 した。供試体のB値を表-2に示す。目標B値は0.95としたが低い値 を示した混合砂では約0.89の試料があった。供試体の圧密条件は 有効拘束圧100kPaの等方圧密とする。圧密が終了すると非排水条 件にて,せん断応力振幅一定で繰返しせん断した。その時のせん 断ひずみ速度は0.5%/minとした。繰返し載荷はせん断ひずみが両 振幅で10% (DA=10%)に至るまで継続した。実験ケースは表-2に 示す砂の種類,圧密後の相対密度Drcおよび応力比(τ/σvo

’)を変

化させた15ケースである。ケース1は硅砂5号の中密詰め,ケース2

は硅砂5号の密詰め,ケース3は硅砂5号の緩詰めである。一方,ケース4は混合砂の中密詰め,ケース5は混合砂の緩詰 めである。非排水繰返しせん断が終了した後に排水量を測定し,体積ひずみを求めた。

3. 実験結果

図-2に硅砂5号のせん断応力,せん断ひずみおよび過剰間隙水圧比と繰返し回数との関係を示す。繰返

し回数が18回からひずみは大きく変化し始め,回数と共に上昇していく。過剰間隙水圧比は繰返しせん断に伴って徐々 に上昇していき,19回で1.0になっている。21回でせん断ひずみが両振幅で10% (DA=10%)となっている。これは有効応 力がゼロに到達し,さらに繰返し応力が作用して供試体が液状体になり,せん断抵抗力がなくなって大きなひずみが発生 した状態の完全液状化をしているといえる2)。 図-3に応力-ひずみ関係および有効応力経路を示す。応力-ひずみ関

硅砂5 混 合 砂 土 粒 子 密 度 ρs (g/cm3) 2.654 2.662 細粒分含有率

(%)

シル ト分 0

17 14

粘 土 分 0 3

平 均 粒 径 D50 (mm) 0.390 0.100 最 大 間 隙 比 em a x 1.140 1.239 最 小 間 隙 比 em i n 0.694 0.674

表-1 試料の物理特性

図-1 粒径加積曲線 表-2 実験ケース

ケ ー ス 試料 応力比 τ/σv0

相対密度

Dr c( % ) B 1‐1

硅砂5

0.20 55.4 0.98

1‐2 0.25 58.4 0.96

1‐3 0.30 56.5 0.98

21 0.25 71.6 0.98

2‐2 0.30 72.6 0.98

2‐3 0.35 71.0 0.99

3‐1 0.15 44.1 0.97

3-2 0.175 42.0 0.98

3-3 0.20 40.9 0.96

4‐1

混合砂

0.15 54.2 0.94

4‐2 0.20 52.7 0.90

4‐3 0.25 53.2 0.89

5‐1 0.115 32.4 0.92

5-2 0.125 29.2 0.97

5-3 0.15 32.1 0.95

0 20 40 60 80 100

0.001 0.01 0.1 1 10

通過質量百分率(%)

粒径(mm)

5号硅砂

混合砂

III-2

土木学会東北支部技術研究発表会(平成21年度)

(2)

係を見ると,せん断力の増加に伴い,せん断剛性が増加するのがわかる。

有効応力経路においても同様に,間隙水圧が減少して有効応力が増加 し,せん断剛性が増加している。図-4は液状化強度曲線である。図-5 は,体積ひずみと累加せん断ひずみの関係である。累加せん断ひずみ とは,各時間間隔におけるせん断ひずみの増分の絶対値を累積したもの で,有効応力解析等にて土の損傷を表現するために内部変数として使 われる量である3)。図-4,5を比較してみると,液状化強度が大きいほど 同じ体積に至るまでの累加せん断ひずみも大きいことから,液状化強度 と累加せん断ひずみは相関が高いといえる。図-5より,相対密度が増加 すると体積ひずみも減少し,累加せん断ひずみは増加する傾向にある。

また,細粒分を含んでいるとDA=10%に達するまでの累加せん断ひずみ は小さい。細粒分を含む砂(ケース4)は含まない砂(ケース1)と比べて,沈 下量は同じでも累加せん断ひずみに20%程度の違いが見られる。また,

比較のため仙頭ら3)が提案した体積ひずみの予測モデルによる計算結 果を図-5に示す。両者を比較すると,今回の結果を予測モデルで概ね 評価できることがわかった。これは砂の種類によらず相対密度がわかれ ば体積ひずみと累加せん断ひずみの関係がわかることを表している。図

-6に体積ひずみと相対密度の関係を示す。図より,相対密度が大きくな るにつれて体積ひずみは少なくなっていることがわかる。また,相対密度 の同じ硅砂5号と混合砂の体積ひずみをみると,ほぼ同じ位置にあるため,

細粒分の有無に係わらず沈下量は相対密度に依存していることがわか る。

4.

まとめ 粒度と密度を変化させて,中空ねじりせん断試験を行った結 果,液状化後の体積ひずみは粒度の違いよりも,むしろ相対密度と相関 が高いことがわかった。よって沈下量は,概ね繰返しせん断履歴(累加せ ん断ひずみ)が決まれば,相対密度によって予測可能であるといえる。ま た,細粒分を含んでいると液状化するまでの累加せん断ひずみが小さい ことがわかった。

参考文献

1)吉嶺・石原:地震時液状化に伴う砂地盤の沈下量予測,第26

回土質工学研究発表会,No.1,pp.767-770

(1991) 2)地盤工学会:地

盤の動的解析-基礎理論から応用まで-,pp.11-13

(2007) 3)仙頭・

風間・渦岡:非排水繰返しせん断履歴後の再圧密実験と体積収縮特性の モデル化,土木学会論文集,No.764/Ⅲ-67,pp.307-317

(2004)

図-5 体積ひずみと

累加せん断ひずみの関係

図-6 体積ひずみと 相対密度の関係 図-4 液状化強度曲線

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

1 10 100

応力比τ/σvo'

繰返し載荷回数N

ケース1-1~1-3 Drc=55-58%

ケース2-1~2-3 Drc=71-73%

ケース3-1~3-3 Drc=41-44%

ケース4-1~4-3 Drc=53-54%

ケース5-1~5-3 Drc=29-32%

DA=10%

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

体積ひずみ

ε

v

(%)

累加せん断ひずみ

γ

acm

ケース1-1~1-3 Drc=55-58%

ケース2-1~2-3 Drc=71-73%

ケース3-1~3-3 Drc=41-44%

ケース4-1~4-3 Drc=53-54%

ケース5-1~5-3 Drc=29-32%

Drc=50% Drc=60% Drc=70% Drc=30%

実験結果

Drc=40% 実線:仙頭ら(2004) モデル化された 関係(豊浦砂) DA=10%

acm

v γ

ε −

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

20 40 60 80

体積ひずみεv(%)

相対密度Drc(%)

硅砂5号 混合砂 DA=10% 図-2 実験結果の一例

(ケース 1-1 D

rc

=55% e=0.893

繰返し応力振幅比

0.20)

図-3 応力-ひずみ関係および有効応力経路

-25 0 25

τ(kPa)

0 0.5 1

0 5 10 15 20

⊿u/σvo'

繰返し回数N -8

0 8

γ(%)

-25 0 25

-7 0 7

せん断応力τ(kN/m2)

せん断ひずみγ(%)

0 50 100

平均有効主応力 p(kN/m2)

土木学会東北支部技術研究発表会(平成21年度)

参照

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