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加圧板法を用いた圧縮ベントナイトの水分特性曲線の測定

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Academic year: 2022

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加圧板法を用いた圧縮ベントナイトの水分特性曲線の測定

足利工業大学 正会員 西村友良 東京大学 生産技術研究所 正会員 古関潤一

1 まえがき

放射性廃棄物の地層処分施設の構造体を構成する緩衝材ベントナイトの物理・化学的特性および膨潤特性の報 告が多数行われている。一方、不飽和状態にあるベントナイトの工学的性質の予測には保水性の把握が重要であ る。ベントナイトの保水性は高いため、対象とするサクション範囲に応じて試験の種類を選択しなければならな い。西村・古関1)は 2.8MPa 以上のサクション領域の水分特性曲線を蒸気圧法により測定しているが、1500kPa 以 下のサクション領域の水分特性曲線のデータの蓄積も不可欠である。そこで本研究では改良型水分特性曲線測定 装置を用いて加圧板法により保水性試験を行い、サクション 450kPa までの水分特性曲線を示す。

2 試料・実験装置・試験方法

2-1 試料・実験装置 クニゲルベントナイト V1 に質量比 30%の割合で山形県西置賜郡飯豊町産の硅砂を混合した材料 を試料とし、初期含水比を 5.9%に調整した。ベントナイトの 土粒子密度は 2.733g/cm3、ベントナイトの化学組成は次のとお りである。SiO2 69.7%、TiO2 0.14%、Al2O3 15.8%、Fe2O3 1.69%、

MgO 2.19%、CaO 2.00%、Na2O 2.04%、K2O 0.24%。硅砂の D50は 0.94mm であった。図-1は圧密試験、膨潤圧試験、保水 性試験が行える改良型水分特性曲線測定装置である。本装置は 耐圧セル、剛性モールド、底盤、セル圧供給口、セラミックフ ィルター、給排水管路、差圧計付二重管ビュレット、荷重計、

加圧板、ロッドなどからなる。モールドの内径は 60mm、高さ 65mm であった。底盤に装着したセラミックフィルターの直径 は 45mm、厚さ 7mm、空気侵入値 500kPa、透水係数 2.28×

10-10m/sec であった。

2-2 試験手順 所定の質量の試料をモールドに入れ装置 全体を組み上げる。荷重計、変位計の初期値を読み取った後、

段階的に 3MPa まで圧密圧力を加え、供試体の変位を測定する。

次に圧密圧力を 93kPa まで除荷する。除荷終了時の供試体高さ を保ちながら図-1中の吸排水口から脱気水を供給し供試体

上部から水浸することで、一方向のみの吸水条件とする膨潤圧試験を開始する。2 ヵ月以上の膨潤圧測定後、モー ルドとともに供試体を底盤から外し、セラミックフィルターを飽和させた底盤に取り付ける。再び装置全体を組 み上げ、加圧板法による保水性試験を実施する。載荷したサクションは 50kPa から 450kPa であり、膨潤圧試験終 了時の膨潤圧と同一の圧密圧力を保水試験中載荷した。サクション載荷時間は少なくとも各段階 48 時間とした。

供試体からの排水量は二重管ビュレットで測定し同時に高さ変化も計測した。

3 実験結果

3-1 圧縮曲線と膨潤圧の変化 含水比 5.9%のベントナイトの圧縮曲線を図-2に示す。最大圧密圧力 3MPa での間隙比は 0.61、飽和度 26.4%、3MPa 付近の圧縮指数は 0.43 であった。一方除荷過程の圧密圧力 93kPa にお ける間隙比は 0.65、飽和度 24.8%であり、膨張指数は 0.03 であった。次に間隙比 0.65、乾燥密度 1.66g/cm3

キーワード: ベントナイト,サクション,水分特性曲線/連絡先:栃木県足利市大前町 268 TEL 0284-62-0605 tomo@ashitech.ac.jp 0

0.5 1 1.5 2

1 10 100 1000 10000

間隙比

圧密圧力 kPa 含水比 5.9%

図-2 圧縮曲線 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑1‑

CS13‑001

(2)

保ち、定体積条件下の膨潤圧の変化を図-3に示す。図-3中 には測定開始から 120 時間までの結果も示している。吸水開始 直後から膨潤圧が発生し、約 20 時間後には 300kPa の膨潤圧が 計測されている。その後 60 時間まではゆるやかに低下し、再 び 28 日近くまで増加を続け、最大膨潤圧の 508kPa を示してい る、最大膨潤圧を示した後はゆるやかに低下し、試験終了時に は 447kPa であった。このように吸水開始時の急激な膨潤圧の 増加、その後の低下、再び膨潤圧が増加する特性は水浸前のベ ントナイトのサクションが異なっていても示されることを西 村・古関1)は報告している。

3-2 水分特性曲線 含水比の時間変化を載荷サクション ごとに図-4に示す。サクション載荷前の供試体は含水比 38.2%、乾燥密度 1.32g/cm3、飽和度 99.0%であった。ここで 膨潤圧試験から保水性試験への移行の際、底盤の取り替え時の 無拘束状態の間に供試体が膨張を生じ、乾燥密度が 1.66g/cm3 から 1.32g/cm3に減少した。50kPa のサクション載荷において 92 時間を要して含水比が 38.2%から 36.5%に低下し、その低 下量は 1.7%であった。100kPa 以上のどのサクションに対して も含水比の低下量は 1%以下であった。一方、サクション載荷 による供試体高さ方向のひずみ(収縮を正値)とサクションと の関係を図-5に示す。不飽和化の進行(サクションの増加)

によって収縮ひずみが発生し、450kPa のサクションにおいて 4.6%のひずみが生じている。水分特性曲線として、図-6、

図-7にサクションと含水比、飽和度の関係を示す。450kPa

までのサクションを載荷したことで含水比は 38.2%から 32.1%まで減少し、飽和度は 99.1%から 91.3%まで低 下した。また水分特性曲線から空気侵入値に相当する水分特性曲線上の変曲点は確認されなかった。

4 まとめ

ベントナイトに対して圧密試験、膨潤圧試験、加圧板法による保水性試験を連続的に行い、水分特性曲線を求 めた。サクション 450kPa までには空気侵入値に相当する水分特性曲線上の変曲点は確認されなかった。

参考文献 1) 西村友良,古関潤一 :循環型湿度制御システムを用いたサクションが異なる圧縮ベントナイトの膨潤圧測定,

第9回環境地盤工学シンポジウム,地盤工学会,pp,65-70,2011 年.

33 34 35 36 37 38 39 40 41

0 20 40 60 80 100 120

含水比

経過時間 h サクション 50 kPa

図-4 加圧板法による含水比の変化

サクション 100 kPa

サクション 200 kPa サクション 300 kPa サクション 400 kPa サクション 450 kPa

0 2 4 6 8 10

0 100 200 300 400 500

高さ方向のひずみ

サクション kPa 収縮を正値

図-5 サクションとひずみの関係

0 10 20 30 40 50 60

0 100 200 300 400 500

含水比

サクション kPa 図-6 サクションと含水比の関係

サクション載荷前 乾燥密度 1.32g/cm3

0 20 40 60 80 100

0 100 200 300 400 500

飽和度

サクション kPa 図-7 サクションと飽和度の関係

サクション載荷前 乾燥密度 1.32g/cm3 0

100 200 300 400 500 600

0 10 20 30 40 50 60 70 80

膨潤kPa

経過時間 日 図-3 膨潤圧の変化

0 100 200 300 400

0 20 40 60 80 100 120

膨潤kPa

経過時間 h

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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CS13‑001

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