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粘性材料の注入に伴う乾燥砂の割裂現象について ○早稲田大学

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅲ-B281. 粘性材料の注入に伴う乾燥砂の割裂現象について ○早稲田大学 学生会員 伊藤 正浩 早稲田大学 学生会員 高林 洋 早稲田大学 正会員. 赤木 寛一. 建築研究所 正会員. 田村 昌仁. 1.まえがき 地盤内部の局所的な水圧増加により,地盤の破壊をもたらす場合がある.このことを一般に割裂現象と呼 んでいる.従来,割裂現象に関する研究は,透水性が小さく,かつ大きな引張強度を有する岩石が主に対象 とされていた.一方,結合力が高度に発達した岩石と異なり,透水性が大きく引張強度がほとんどない砂質 地盤の割裂現象については,研究も少なく不明な部分が多かった.1 ) しかし近年における工法の発達は,薬 液注入による割裂注入や,泥水シールドにおけるブローなどの割裂現象を生み出し,さらにこの割裂現象を 地盤環境保全の手段として,復水工法への利用が考えられている.2 ) また,地震により被災した住宅基礎復 旧に用いられるコンパクション・グラウティングにおいても,注入に伴う地盤の割裂現象が発生する. 3 ) 本研究では,上記のような各種の地盤注入における割裂現象を対象とし,砂質地盤への注入に伴う割裂発 生条件を把握するために,3 次元模型実験装置を用い,割裂現象のメカニズムの基礎的解明を目的とする.. 2.実験概要 大型供試体は高さ 600(mm),直径 600(mm)の円柱 形で,ゴムスリーブ内に乾燥砂(ケイ砂 6 号)を所定 の密度で締固めて作成した.供試体下部からは高さ 300(mm),直径 40(mm)の注入ロッドを立ち上げた. また下端には注入圧力の測定用に圧力計を取りつけた. 注入材はベントナイトに,ゲル化させ割裂形状を観察 できるようにするため,水ガラスを加えたものとした. そして,粘性の異なる 3 種類の注入材A・B・Cを作 成した(表1参照).. 図1. 実験装置図. 実 験 は 作 成 し た 供 試 体 に セ ル 水 を 通 し 側 圧 49.1 (kPa)をかけ,その後注入装置に注入材を入れ,油. 表1. 圧ジャッキにより 2 秒に1回の間隔で注入材上面に圧. 比重 (g/cm 3 ). ファンネル粘度 (sec). 注入材A. 1.22. 35. 注入材B. 1.23. 44. 注入材C. 1.24. 77. 力を作用させることによって注入し,1 秒間隔で注入 圧を測定した.また,注入装置のピストン部分の下が り幅を 5 秒間隔で読み取ることで,注入量を測定した. 注入終了後,所定の時間(約 60 分)を経過したのち,. 注入材の物性値. *注入材のゲル化時間:約 60 分. 供試体を解体し,割裂発生の形状を詳しく観察した. 表2 試料 ケイ砂6号. 試料の物性値. 土粒子の密度(g/cm 3 ) 乾燥密度(g/cm 3 ) 2.63. 1.54. 間隙比. 含水比(%). 透水係数(cm/sec). 0.71. 0.39. 2.21×10 ‑2. キーワード:注入,砂,割裂圧,注入速度,割裂形状 〒169-8555 新宿区大久保3-4-1 早稲田大学理工学部. Tel:03-5286-3405 Fax:03-5272-0695.

(2) 土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅲ-B281. 3.実験結果及び考察 今回行った 3 種類の注入材A・B・Cにおける実験結果として,注入時間と注入圧との関係をグラフに示 したものを図2に,注入圧の最大値をもって定義する割裂発生圧と発生前後における平均注入速度をまとめ たものを表3に示す. これより,注入材の粘性が高いほど割裂発生圧は高くなることが分かる.これは粘性が大きいほど割裂発 生前に生じる亀裂先端部の圧力低下が大きいことにより,注入圧が急激に増大しないと割裂が発生しにくく なるためと考えられる. また,注入材の粘性が高いほど割裂発生前の注入 1 200. 速度が遅くなっているが,これは浸透量が少なくな ることで注入が進まなくなるためとみられる.この. 注入材A. 1 000. 注入材B. ことは割裂形状の観察によっても,注入口付近の固. 一方割裂発生後の注入速度は発生前に比べて粘性 による注入速度の違いによって差はみられない.こ れは割裂の進展状況が,割裂脈の幅と厚さの増大に 支配されているためと考えられる.. 注入材C. 注 入 圧 (kPa). 結部分の塊が小さいことから理解できる.. 800. 600. 400. 次に 3 種類の実験で生じた割裂形状について図3 〜5に示す.いずれも厚さ約1(cm)ほどの2次元 的な平板上の形を形成し,総じて1面的なものであ. 200. 0 0. るが,その方向は注入材Aは上向きに,注入材Cは. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 注 入 時 間 ( se c). 水平(横)向きに,Bはその中間である.今回の実 験では拘束圧も一定で,試料も 1 種類であったので, これは注入速度の違いによるものが大きいとみられ. 図2. 各実験における注入時間と注入圧力との関係. 表3. 各実験における割裂発生圧・注入速度. る.注入速度が大きい場合,注入材の注入方向に沿 って注入材が進みやすく,速度が小さい場合は注入. 割裂発生圧 (kPa). 材の注入方向への浸透が食い止められ,その方向に 垂直な方向へ進みやすくなる.したがって,割裂発. 割裂発生前の 割裂発生後の 平均注入速度 平均注入速度 (l/min) (l/min). 生前に生じる亀裂がその方向に生じやすくなるため. 注入材A. 659. 2.79. 3.13. とみられる.. 注入材B. 823. 1.70. 2.54. 注入材C. 1145. 1.10. 2.84. 図3〜5: 各注入材の実験 による割裂発生 状況 (デジタルカメ ラにて撮影) 図3:注入材A. 図4:注入材B. 図 5:注入材C. 参考文献 1)森,田村,千:砂質地盤における割裂発生機構,土木学会論文集 388 号Ⅲ-8,PP61~70,1987 年 2)印東,野見山,赤木:飽和砂の目詰まりに基づく割裂現象について,第 34 回地盤工学研究発表会,地盤工学会 1999 年 3)伊藤,高林,赤木,田村:飽和砂の高粘性材料注入に伴う割裂現象について,第 35 回地盤工学研究発表会(投稿中).

(3)

参照

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