• 検索結果がありません。

細胞分裂を伴わない木部導管細胞の分化

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "細胞分裂を伴わない木部導管細胞の分化"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)細 胞 分裂 を伴 わ な い 本部 導管細 胞 の分 化 五日. 馬. 場. この研究を行 な うにつ いて ,文 部省 よ り,科 学研究費・ 総合研究. (A)課. 題番号 836014(昭 和48年 度 ∼ 昭和50年 度 ), な らび に , 科学研究費・ 環境制 御特定研究. (1)課 題番号 911408(昭 和49年 度∼ 昭和51年 度)の 援助を受 け. て い る。 また、放射性 同位元素 の実験 は ,京 都大学 に於 て行 な った。 ここに 謹 しん で謝意を呈す る。. は. じ. め. に. 植物 および動物 において ,生 長 (植 物 )お よび成長 (動 物 ),云 いかえ る と細胞 が分化 して い く場合 に ,必 ず細胞 の分裂 0細 胞 の伸長 を併 うのが 普通 の場合 で あ る。 と ころが ,最 近著者 の研究 の結果 ,COleus. BIumeiの 茎 の. 組織培養実 験 に於 て ,必 ず しも細胞分裂 を併わな い木部細胞分 化が起 こる事 実が明瞭 にな って 来 た。即 ち COleuS Blumeiの 茎 の柔細 胞が オ ー キ シ ン類 (Indol-3-Acetic Acid,以 下. IAAと 略す)と 糖類 (Sucrose)の. 木部導管細胞 (Wound Vessel Member,以 下. WVMと. 影響に よ り. ,. 略す)に 分化す る場. 合 ,一 部分 の木部導管細胞 は細胞分裂 によ り形成 るが ,大 部分 の木部導管細 胞 は分裂 によ らな いで柔細胞 の細胞 壁がそ の まま肥厚す るだ けで 本部導管 に な る こ とが判 明 した。 このよ うな 事実 は ,細 胞増殖 のみな らず細 胞分化 にお いて も基本的 に重要 な課題 で あ るので ,こ れを解 明す るため の実験 を行 な って い る。今 回 は ,そ の 中間発表 と して報告す る。.

(2) 細胞分裂を伴わない木部導管細胞の分化. Ⅱ. 材 料 お よ び方 法. Coleus Blumeiの 若 い茎 の節間部分で は ,維 管束 の配列が簡単 なので. ,. しば しば維管束 の形態形成 ,木 部導管細 胞 の形態形 成 ,師 部 師管細胞 の形態 形成 な どの研究 に用 い られ る。 この茎 の維管束 の一 部分 に傷を与 え ,. IAAと. 糖類を与 え ると ,傷 にやや. 近 い部分 の柔組織 の一 部 の細胞 は脱分化 ,再 分化を起 こ し,Uniqneな Cell. Wall Striationが あ り,か つ ,Simple(ま た は Scalarform)PerforatiOn を もった木化 した細胞 ,す なわち ,WVMと な る。. ,A,は 維管束を傷 つ けて ,5ppm IAAと 2%の 糖 類を与 えて 5日 間培養 した場合 ,傷 の まわ りに形成 され る WVMの 写真 であ る (倍 率 30 倍 また B,は WVMの 一 部を拡大 した写真であ る (倍 率 100倍 第 1図. ,. )。. )。. 第 1図. Aは 傷のまわ りに形成された WVMを 示す. (30倍. ) Bは WVM. のかたちを示す (100倍 ) まず材 料 に 用 い る植 物. IAA)の. COleus Blumiか. ら植 物 生 長 調 整物 質 (た とえ ば. 源泉 を 除 去 す るた め に , そ の 植 物 の す べ て の 葉 , 頂 端 芽 お よび え.

(3) 馬 場. 三 吾. き芽 を鋭利 な razorで 切 り落 した。48時 間 そのまま (鉢 に植 えた まま)の 状 態 に 置 いた。無菌状態 の下 で ,上 か ら数 えて第 2節 間を用 いて つ ぎのよ うな 培 養を行 った。 第 4節 間か ら上 の茎 の部分 を切 り取 り,そ の部分を 5分 間 1%次 亜塩素酸 ナ トリウ ム水溶液 で 表面殺菌 を した。 表面殺菌 した 茎 の第 2節 間か ら長 さ 1。. 3 Cmの Segmentsを 切 り取 った。 それぞれ の Segmentsの ほぼ中央 に於. て ,茎 の 4す み にあ る維管束 の うち 2つ を切 るに必要 な深 さの Transverse. Woundを 与 えた。 第 2図 に示 し て あ るよ うに ,茎 の Segments は _Apex Upright(Basal End. Down)lこ し, Segmentsの 上 端 が. 5ppm IAA, 2%庶 糖 を含 む. 9 cm. 1%Agarの 解 に入 るよ うに した。 Segmentsの 下端 は 1%Agarの 中 に 入 るよ うに した。 われわれ はこ の よ うな方法を Successive Cup. Techigueと 云 って い る. (文 献. 1.. 2)。 今 回 はふた の部分 は静 置 し たままで使用 した。 培養 は暗黒条 件 の下 で23℃ で 7日 間培養 を行 な った。 傷 つ けた直後 ,1日. ,2日 ,3. ,5日 ,6日. および 7日. 日 ,4日. の 各培養時期 の Segmentsを 一 部 分 は形態を観察 して木部導管細 胞. 第 2図. The Successve Cup Technique lこ 用 い る容器 の概要図 Aは 表面 か ら見た図 Bは 側面 か ら見た図 た とえば a:5p.p.m.IAA+2%. (WVM)を 教 え るために用 いた。 他 のす べ ての. Segmentsは. SDS一 Phenolに よ る. sucrose+1%agar.. d:1%agar Oみ. 。. RNA Frcationへ の 14C. IURACILの と り こみ ,DNA Fractionへ の 3H THYMIDINEの とり こみを.

(4) 486. 細胞分裂を伴わない木部導管細胞の分化. 測定 す るために用 いた。. Ⅲ. 結 果. と 考 察. 上 にのべ た よ うに ,COleus Blumeiの Segmentsを Apex Upright(Basal. End Down)に. して 培養 した場合 ,IAAと 糖類 の影響 によ り,Segmentsの. (WVM)は つ ぎの表 に示 して あ る。 培養 3日 目で は l Segments当 り平均 100個 のWVMの 形成 が観察 されたが 7日 目で は平 均 1550個 のWVMが 形成 された。SDS― Phen01法 によ り培養各 傷 の まわ りに形 成 され る木部導管組織. ,. 日数 の Segmentsを 用 いて ,14C. URACILの RNA Fractionへ の と りこみ. は培養 2日 の もの が最 も多 い と り込 みを示 したが ,培 養 3日 以後 は減少 を示 した。 また DNA Fractionへ の. 3H THYMIDINEの. とり こみ は培養 3日 ま. で は増加 したが ,3日 以後 は減少 した。. ヨ︼ 0く工⊃0 〓     ∞. 第 3図. WVMの 3Ⅱ TⅡ. 形成 と, 14C URACILの RNA Fractionへ の と りこみ および YMIDINEの DNA Fractionへ の と りこみ ,と の関係を示す ゛.

(5) 487. 馬 場 三 吾. 14C URACILの と りこみ ,お らび , 3H THYMIDINEの と り こみ と木音6 導管細胞. (WVM)の. 形成を比較 して 考察す ると ,培 養 3日 ま での場合 ,W. VMの 形成 に さきだ って 14C URACILお. よび 3H. THYMIDINEの. とり こみ. が増加 して い る。 この事実 は木部導管細胞 の形成 の さきぶれ現象 といえ る。 わずかな細胞分裂 は培養 2日 か ら培養 4日 ま で に起 こって い ると考 え られ る 一 方 ,培 養 5日 以後培養 7日 まで は 14C URACttLお よび. 3H THYMIDINE. の と り こみ は非 常 に減 少 して い るが ,WVMの 形成 は多 くな って いる。 しか しこの時期 に培養 して いる Segmentsに 細胞分裂が観察 されな い事実か ら判 断 して ,細 胞分裂を 併わな い木部細胞分 化が起 こって い るので あ ると結論 さ れ る。. Ⅳ. 文. 献. 1)LORIN W.ROBERTS and SANGO BABA(1968)IAA― induced Xylem Differentiation in the Presence of Colchicine.(英 文 ). Plant and Cell Physiol.9315-321. 2)LORIN¬W.ROBERTS and SANGO BABA(1968)Effect of Proline on Wound Vessel Member Formation。 Plant and Cell Physiol.9353-360. (英 文 ).

(6)

参照

関連したドキュメント

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

の多くの場合に腺腫を認め組織学的にはエオヂ ン嗜好性細胞よりなることが多い.叉性機能減

 肺臓は呼吸運動に関与する重要な臓器であるにも拘

MIP-1 α /CCL3-expressing basophil-lineage cells drive the leukemic hematopoiesis of chronic myeloid leukemia in mice.. Matsushita T, Le Huu D, Kobayashi T, Hamaguchi

 Schwann氏細胞は軸索を囲む長管状を呈し,内部 に管状の髄鞘を含み,Ranvier氏絞輪部では多数の指

 1)血管周囲外套状細胞集籏:類円形核の単球を

病理診断名(日本語) 英語表記 形態コ-ド 節外性 NK/T 細胞リンパ腫、鼻型 Extranodal NK/T cell lymphoma, nasal-type 9719/3 腸管症型 T 細胞リンパ腫

RNAi 導入の 2